説明

可搬物体の加工処理用線形機械および可搬物体の加工処理方法

可搬物体を加工処理する方法、および、可搬物体を加工するための機械であって、集積回路が組み込まれている可搬物体(C)を搬送する装置(1)と、可搬物体(C)1つ分の大きさの間隔だけ離され、駆動および位置決め手段によって、前記可搬物体(C)の主平面に垂直方向に、案内支持機構(25)上で順次平行移動する少なくとも2つの加工処理リフト(2、2’)から構成される加工処理手段とを備える機械であり、各リフト(2、2’)が、少なくとも2つの加工処理装置を備える平行六面体板構造物(22)を用いて形成され、両リフトが所定の異なる役割を有する機械を提供する。方法は、加工処理すべき各可搬物体を第1のリフトおよび第2のリフトの加工処理ステーションに順次載置するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬物体を加工処理するための線形機械に関し、より詳細には、線形多重ステーション加工処理機械に関する。
【背景技術】
【0002】
可搬物体を加工処理するための線形機械は、従来技術に於いて既に知られている。これら線形加工処理機械は、可搬物体の入口ステーションまたは積下ろし装置と、可搬物体の出口ステーションまたは積上げ装置と、可搬物体を搬送するための水平線形ステッパ駆動装置と、線形装置上に配置された少なくとも1つの作業ステーションと、加工処理ステーションが空の場合、可搬物体が順々に移動している間に、その加工処理ステーションに向かって各可搬物体を垂直方向に変位させるための少なくとも1つの装置と、計算機システムとから構成される。計算機システムは、加工処理ステーション、線形駆動装置、垂直方向変位装置、可搬物体積下ろし装置、および可搬物体積上げ装置をチェックし制御するのに使用される。
【0003】
これは、同一出願人による特許文献1に記載のタイプの線形機械である。したがって、この特許は、可搬物体を個別仕様化するための複数の装置を備えた平行六面体板構造物を用いて形成された個別仕様化リフトとも呼ばれる垂直方向変位装置を備える線形個別仕様化機械を記載している。したがって、作業ステーションを形成する個別仕様化装置は、リフトに一体化されている。搬送装置では、それによって可搬物体を個別仕様化リフトへ運ぶことが可能である。可搬物体が個別仕様化リフトに到着すると、個別仕様化リフトは、n個の個別仕様化ステーションの1つによってそれら可搬物体を加工処理することができるように可搬物体を取り扱う。
【0004】
この個別仕様化機械の利点は、他の物体を搬送する間に、n重積層個別仕様化ステーションを用いて多数の可搬物体を同時に加工処理することができることである。
【0005】
しかし、この個別仕様化機械は、n個のステーションを重ね合わせることから生じる欠点を有する。当然、n個の重ね合わされたステーションが存在することにより、可搬物体を搭載し、それらが加工処理されたとき線形搬送ライン上にそれらを取り卸すために、多数の上下の垂直方向変位が必要になる。これら多数の変位は、時間の損失を引き起こす。さらに、n個のステーションを重ね合わせると、機械が、高さにおいて大きなスペースを占領するようになり、大型化する。
【0006】
特許文献2および特許文献3はそれぞれ、カード、とりわけチップカードを加工処理する線形機械を記載することによって、高さにおいてスペースが不足する問題に対する解決法を提案し、また、この線形加工処理機械でカードを取扱い加工処理する方法を提案している。この加工処理機械は、搬送装置に沿って単一の列に互いに並んで配置されたn個の加工処理ステーションと連携するn個の垂直方向変位装置を備えることにおいて、以前のものとは異なる。各変位装置は加工処理ステーションに対向して配置され、上側の加工処理部分と下側の移送部分とから構成される2層の構成を有する。そして、カードは、線形移送装置上のそれぞれの位置に応じた単一の加工処理ステーションによって次々に加工処理される。複数のカードが、異なる加工処理ステーションを用いて同時に加工処理され、その結果、時間が節約され、高さがより小型な機械を得ることができる。
【0007】
このタイプの加工処理機械の欠点は、複数の加工処理ステーションを並べて有することにより、それら加工処理機械が幅で大型になることである。当然、加工処理ステーションの高さ方向の数の削減を相殺し、可搬物体の加工処理速度を効果的に増加させるために、多数の加工処理ステーションを並べる必要がある。さらに、各垂直方向変位装置が、単一の加工処理ステーションだけとしか連携しないことにより、機械が最大限の速度を得ることが妨げられる。
【特許文献1】仏国特許第2 775 098号明細書
【特許文献2】仏国特許第2 822 989号明細書
【特許文献3】仏国特許第2 822 987号明細書
【特許文献4】仏国特許出願第2 746 531号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、高さおよび幅の両方でそれほど大型ではなく、複数の可搬物体を同時に加工処理することができ、極めて高速な可搬物体の加工処理を実現する可搬物体加工処理用の線形機械を提案することによって、従来技術の1つまたは複数の欠点を排除することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、可搬物体を加工するための加工処理手段と、集積回路が組み込まれている可搬物体を搬送する装置とを備える線形加工処理機械において、加工処理手段が、可搬物体少なくとも1つ分の大きさの間隔だけ搬送経路上で離されている少なくとも2つの加工処理リフトから構成され、リフトが、駆動および位置決め手段によって、可搬物体の主平面に垂直方向に、案内支持機構上で順次平行移動し、各リフトが、少なくとも2つの加工処理装置を備える平行六面体板構造物を用いて形成され、両リフトが異なる役割を有し、第1のリフトは、その搬送経路上の序数が奇数に対応する可搬物体の加工処理を可能にし、第2のリフトは、その搬送経路上の序数が偶数に対応する可搬物体の加工処理を可能にし、制御およびチェック手段が、各リフト上の各可搬物体の加工処理の追跡を行うことを特徴とする線形加工処理機械によって達成される。
【0010】
別の特徴によれば、両加工処理装置は、可搬物体を移送するのに使用される載置台によって隔てられ、リフトは、全体として少なくとも3つの載置台を用いて形成されている。
【0011】
別の特徴によれば、各加工処理リフトの3つの載置台の1つでは、可搬物体が、搬送経路に関して中央位置を占有したとき、その可搬物体を搬送するように受け取ることが可能であり、一方、他の2つの載置台は加工処理用に使用される。
【0012】
別の特徴によれば、案内支持機構は、可搬物体の主平面に垂直なスロットを備える、加工処理リフトの長さの2倍に等しい長さを有する平行六面体板構造物と、スロットに平行な2本のレールと、アクチュエータに連結されたシステムとから構成される。
【0013】
別の特徴によれば、制御およびチェック手段は、リフトの奇偶性に一致する序数を搬送経路中で有する可搬物体が、同一奇偶性のリフトの両端の載置台の1つの中で可搬物体の主平面に垂直な4つの変位を行うように、可搬物体がリフト中に占める位置を追跡し、可搬物体の搭載および/または取卸しの制御を行う。
【0014】
別の特徴によれば、可搬物体の搭載および/または取卸しを制御およびチェックする手段は、序数の奇偶性がリフトの奇偶性と異なる可搬物体が、その異なる奇偶性のリフトの中央の載置台の中で、可搬物体の主平面に垂直な2つの変位のみを行うように形成されている。
【0015】
別の特徴によれば、各リフトの加工処理装置が、可搬物体に情報を伝達し、または作用を及ぼすために、電気接点またはアンテナに対向する所定位置に可搬物体を保持する手段を備え、加工処理装置が、搬送経路中のその序数によって識別される可搬物体に適用される加工処理情報を受け取る。
【0016】
別の特徴によれば、駆動および位置決め手段は、リフトを案内支持機構のレール中で保持し摺動させる手段と、リフトを案内支持機構のアクチュエータに固定する駆動ファスナと、可搬物体の主平面に垂直で、リフトの駆動ファスナの行程を形成する、案内支持機構のスロットとから構成され、駆動および位置決め手段によって、各載置台が、可搬物体の高さで、可搬物体を搬送する装置に整合して停止することが可能になる。
【0017】
本発明の別の目的は、
(a)搬送装置の各直線移動刻みごとに、加工処理すべき可搬物体を分配装置を用いて線形搬送装置に供給するステップと、
(b)第1のリフトの3つの載置台を満杯にするために、可搬物体を漸次順々に移動させながら、加工処理すべき各可搬物体を第1のリフトの空の加工処理ステーションに順次載置するステップと、
(c)各可搬物体が加工処理された後に、定められた順序に従って搬送ライン上にそれを戻すステップであって、加工処理すべき新しい可搬物体を、事前の操作で開放された加工処理ステーションに載置するステップと、
(d)搬送ライン上に戻された可搬物体を第2のリフトに向かって移動させるステップであって、第2のリフトの3つの載置台を満杯にするために、可搬物体を漸次順々に移動させながら、搬送ライン上に戻された可搬物体を第2のリフトの空の加工処理ステーションに載置するステップと
から構成され、
全ての可搬物体が両リフトによって加工処理されるまで、全ステップが繰り返されることを特徴とする、本発明による加工処理機械を使用して可搬物体を加工処理する方法を提案することである。
【0018】
別の特徴によれば、ステップb)によって、搬送装置上の奇数位置の可搬物体の加工処理が行われ、ステップd)によって、搬送装置上の偶数位置の可搬物体の加工処理が行われる。
【0019】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照して行われる以下の説明を読むことによって、より明確に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明が図1〜5を参照して説明される。
【0021】
図1は、本発明に従って可搬物体を加工処理するための機械の前面図を示す。可搬物体の加工処理は、たとえば可搬物体を使用または作動させるために必要な、個別仕様化、熱間プレス、または他の加工処理作業などであり得る。
【0022】
本発明に関する可搬物体は、たとえば、集積回路カードであり得るが、他のいかなるタイプの物体でもよい。
【0023】
加工処理機械は、可搬物体(C)がそれらの加工処理前に積み重ねられて貯蔵される積下ろしステーション(5)、少なくとも2つの加工処理リフト(2、2’)、可搬物体を検査して不良可搬物体を加工処理ラインから排除する廃棄ステーション(6)、加工処理済み可搬物体の積上げ装置(7)、および搬送装置(1)を備える。加工処理機械を作り上げている構成要素の全体は、計算機制御モジュール(8)によって制御されチェックされる。
【0024】
搬送装置(1)によって、可搬物体(C)を一方のリフトから多方のリフトへ駆動することができる。搬送装置(1)は、モータによって駆動されて2つのプーリ(12、13)間を移動し、搬送経路(14)を形成する連続歯付きベルトによって形成される。このエンドレスベルト上には、可搬物体(C)をその移動中は保持し、リフトの加工処理装置(21)のそれぞれが可搬物体を抜き出し取り外すことを可能にするドグが取り付けられている。
【0025】
加工処理機械の両加工処理リフト(2、2’)は、駆動および位置決め手段によって、案内支持機構(25)上で、可搬物体(C)の主平面に垂直方向に平行移動する。両方のこれらリフトは、可搬物体(C)の大きさの間隔だけ離されている。
【0026】
図2に示されるように、加工処理リフト(2、2’)は、加工処理ステーションを形成する少なくとも2つの加工処理装置(21)をその面の1つに備える平行六面体板構造物(22)を用いて形成されている。加工処理装置(21)を備える面とは反対側の面は、駆動ファスナ(23)と、図3に示されるレール(252)中を摺動する案内手段(24)とを備える。
【0027】
リフトの各加工処理装置(21)は、板構造物(22)に一体の固定台(211)と、機能ヘッド(212)とを備える。
【0028】
機能ヘッド(212)の役割は、可搬物体(C)を加工処理することであり、加工処理が個別仕様化から構成されているときには、機能ヘッド(212)の役割は、個別仕様化される可搬物体(C)へ個別仕様化情報を送ることである。
【0029】
両加工処理装置(21)は、加工処理リフトの両端に配置されている。両装置の間に、固定台(211)によって形成された載置台(9)があり、その役割は、可搬物体が移送されることを可能にすることである。したがって、リフトは少なくとも3つの載置台を備え、それらの2つは加工処理に使用され、1つは可搬物体の移送に使用される。
【0030】
案内支持機構(25)は、加工処理リフト(2、2’)の長さの約2倍に等しい長さを有する平行六面体板構造物(250)から構成される。この板構造物(250)は、その中心に、可搬物体(C)の主平面に垂直であり、リフト(2、2’)の駆動ファスナ(23)がその中を貫通することができるように十分に幅のあるスロット(251)を備える。スロット(251)の長さは加工処理リフト(2、2’)の長さにほぼ等しく、その結果、リフト(2、2’)は、案内支持機構(25)の面全体の上を下方に摺動することができる。スロット(251)に平行な2本のレール(252)が、板構造物(250)の1つの面上に配置されている。両レール(252)を備える面とは反対の面上に、2つのプーリが配置され、アクチュエータ(253)に連結されたシステム(254)を形成する。
【0031】
作動時には、加工処理リフト(2、2’)が、案内支持機構(25)上で、可搬物体(C)の主平面に垂直方向に平行移動する。このために、リフト(2、2’)の駆動ファスナ(23)は、案内支持機構(25)のスロット(251)に導き入れられ、次いで、アクチュエータ(253)に固く固定される。最後に、案内支持機構(25)のアクチュエータ(253)は、電気モータまたは別の動力手段によって動くように設定される。アクチュエータ(253)がその変位中、駆動ファスナ(23)を駆動し、スロット(251)が駆動ファスナ(23)の行程を形成する。したがって、アクチュエータ(253)および駆動ファスナ(23)を介して、リフトが、案内支持機構に沿って駆動される。モータの電源は、機能装置(21)の、空または個々に占有されている固定台(211)のいずれかが、搬送装置(1)上に配置された可搬物体(C)の高さに来たときに、それら可搬物体を加工処理リフト(2、2’)に搭載し、またはそこから個々に取り卸すことができるように、周期的に切断される。
【0032】
計算機モジュールは、加工処理機械をチェックし制御する手段を備え、様々な加工処理装置からの情報、ならびにそれぞれの可搬物体(C)の位置に関する情報を受け取る。したがって、これら制御およびチェック手段は、可搬物体(C)がリフト中に占める位置の追跡を行う。それら制御およびチェック手段は、搬送経路内でリフトの奇偶性に対応する序数を有する可搬物体が、その同じ奇偶性のリフトの両端の載置台の1つにおいて、可搬物体(C)の主平面に垂直な4つの変位を行うように、可搬物体(C)の搭載および取卸しを制御する。序数の奇偶性がリフトの奇偶性とは異なる可搬物体(C)は、その異なる奇偶性のリフトの中央の載置台において、可搬物体(C)の主平面に垂直な2つだけの変位を行う。すなわち、奇数位置の可搬物体(C)は、奇数位置のリフト内で、その可搬物体の主平面に垂直な4つの変位を行い、逆に、偶数位置の可搬物体(C)と偶数位置のリフトに関しても同様であり、他方、奇数位置の可搬物体(C)は、偶数位置のリフト内で、その可搬物体(C)の主平面に垂直な2つの変位を行い、逆に、偶数位置の可搬物体(C)と奇数位置のリフトに関しても同様である。
【0033】
計算機制御モジュール(8)の記憶装置にロードされた加工処理プログラムは、可搬物体のタイプを認識しており、搬送経路(14)内での可搬物体の序数によって識別される可搬物体のタイプに対応する情報を加工処理装置(21)に送出するために必要なアルゴリズムおよび命令を有する。加工処理プログラムはまた、可搬物体(C)を加工処理するために、加工処理装置のいずれに関する情報でも選択的に送出する手段を備える。このために、各リフトの加工処理装置は、可搬物体(C)に情報を伝達し、またはそれに作用を及ぼすために、電気接点またはアンテナに対向する所定位置に可搬物体(C)を保持する手段を備える。
【0034】
個別仕様化装置の作動は、同一出願人からの特許文献1に記載されたものと同一であり、より多くの情報については、同出願を参照することができる。
【0035】
次に、図5に示されるこの個別仕様化機械の作動が、詳細に説明される。
【0036】
可搬物体(C)が、加工処理リフト(2、2’)の前に運ばれるように、搬送装置(1)によって取り上げられる(100)。
【0037】
可搬物体(C)が、既知のカード搭載および取卸し装置を用いて搬送装置(1)から加工処理装置の固定台(211)上へ搭載される。この装置は、たとえばシリンダを用いて、各可搬物体を加工処理装置(21)の固定部分(211)上に適切に配置することができる。このカード搭載および取卸し装置についてのより詳細に関しては、同一出願人からの特許文献4を参照することができる。
【0038】
両リフトの上下移動は同期され、すなわち、両リフトは上方および下方へ同時に移動し(101)、それらの3つの載置台のそれぞれは常に同じ高さにある。
【0039】
搬送装置上の奇数位置、たとえば位置1にある可搬物体(C1)が、第1のリフト(2)の連結装置(21)の第3の固定台(211)によって形成される第3の載置台上に搭載されたとき(102)、第1のリフト(2)は、2つの隣接する載置台を隔てる距離に対応する一段だけ上方へ移動する(103)。搬送装置上の偶数位置にある第2の可搬物体(C2)が、次いで、第2の載置台の固定台(211)上に搭載される(104)。リフトが再び1段上方へ移動し(105)、第3の可搬物体(C3)が、リフトの第1の載置台上に搭載される(106)。それで、第1のリフトは一杯になる。次いで、リフトは下方に移動し(107)、そこで第2の可搬物体(C2)が搬送装置によって取り上げられ(108)て、第2のリフト(2’)に向かって運ばれ、第4の可搬物体(C4)が、第1のリフト(2)の第2の載置台に搭載される。第1のリフトが再び一段下方へ移動し(109)、リフトの作動は相関しているので、第2のリフトも一段下方へ移動する。次いで、第2の可搬物体(C2)を、第2のリフト(2’)の第3の載置台上に搭載することができる(110)。この間に、第1の可搬物体(C1)が搬送装置(1)によって取り上げられ、第5の可搬物体(C5)が、第1のリフト(2)の第3の載置台に搭載される。両リフトそれぞれが、一段上方へ移動する(111)。第1の可搬物体(C1)が第2のリフトの第2の載置台に搭載され(112)、第4の可搬物体(C4)が搬送装置(1)によって取り扱われ、第6の可搬物体(C6)が、第1のリフト(2)の第2の載置台に搭載される。
【0040】
両リフトが一段上方へ移動し(113)、可搬物体が1刻み前方へ移動し(114)、第4の可搬物体(C4)が第2のリフトの第1の載置台に搭載される。リフトが一段下方へ移動し(115)、可搬物体が1刻み前方へ移動する(116)。リフトが再び一段下方へ移動し(117)、可搬物体が1刻み前方へ移動する(118)。このようにして、可搬物体は、第1のリフト(2)に入った順序で、第2のリフトから出て来る。
【0041】
2刻み前方へ移動し、次いで再び2刻み前方へ移動するステップが、全ての可搬物体が加工処理されるまで繰り返される(119〜132)。このように、この作動モードによって、各可搬物体(C)を両リフト(2、2’)によって加工処理することが可能になる。
【0042】
本発明の別の実施形態によれば、加工処理リフトの加工処理装置は、可搬物体が固定台(211)に到達した時点でその可搬物体を検査する電気検査装置を備える。搭載された可搬物体が不良である場合には、その可搬物体はリフト(2、2’)から直ちに搬送装置(1)へ取り卸され、次いで、廃棄ステーション(6)によって除去される。可搬物体が合格であれば、新しい可搬物体を次の固定台上に搭載することができるように、リフトは上下に移動する。
【0043】
本発明が、特許請求の範囲に記載された本発明の適用分野から逸脱することなく、他の多くの特定の形での実施形態を提供できることは当業者にとって明白であるべきである。したがって、現時点の実施形態は、例示的と考えられるべきであり、添付特許請求の範囲によって定義される分野内で変形させることができ、本発明は、上記の細部によって限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による加工処理機械の概略図である。
【図2】本発明による加工処理リフトの側面図である。
【図3】本発明による加工処理リフトの案内支持機構の前面図である。
【図4】本発明による加工処理リフトの側面図である。
【図5】本発明による方法を図式化した図である。
【符号の説明】
【0045】
1 搬送装置
2、2’ 加工処理リフト
5 積下ろしステーション
6 廃棄ステーション
7 積上げ装置
8 制御およびチェック手段
9 載置台
12 プーリ
13 プーリ
14 搬送経路
21 加工処理装置
22 平行六面体板構造物
23 駆動ファスナ
24 案内手段
25 案内支持機構
211 固定台
212 機能ヘッド
250 平行六面体板構造物
251 スロット
252 レール
253 アクチュエータ
254 システム
C 可搬物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬物体を加工するための線形機械であって、加工処理手段と、集積回路が組み込まれている可搬物体(C)を搬送する装置(1)とを備える線形機械において、前記加工処理手段が、可搬物体(C)の少なくとも1つ分の大きさの間隔だけ搬送経路(14)上で離されている少なくとも2つの加工処理リフト(2、2’)から構成され、前記リフトが、駆動および位置決め手段によって、前記可搬物体(C)の主平面に垂直方向に、案内支持機構(25)上で順次平行移動し、各リフト(2、2’)が、少なくとも2つの加工処理装置(21)を備える平行六面体板構造物(22)を用いて形成され、両リフトが異なる役割を有し、第1のリフト(2)は、その前記搬送経路上の位置が奇数に対応する可搬物体(C)の加工処理を可能にし、第2のリフト(2’)は、その前記搬送経路(14)上の位置が偶数に対応する可搬物体の加工処理を可能にし、制御およびチェック手段(8)が、各リフト(2、2’)上の各可搬物体の加工処理の追跡を行うことを特徴とする線形機械。
【請求項2】
両加工処理装置(21)が、可搬物体(C)を移送するのに使用される載置台によって隔てられ、前記リフト(2、2’)が全体として少なくとも3つの載置台を用いて形成されることを特徴とする、請求項1に記載の可搬物体加工処理用の線形機械。
【請求項3】
各加工処理リフト(2、2’)の前記3つの載置台の1つでは、可搬物体(C)が、前記搬送経路に関して中央位置を占有したとき、その可搬物体(C)を搬送するように受け取ることが可能であり、一方、他の2つの載置台(21)は加工処理用に使用されることを特徴とする、請求項2に記載の可搬物体加工処理用の線形機械。
【請求項4】
前記案内支持機構(25)が、前記可搬物体(C)の主平面に垂直なスロット(251)と、前記スロット(251)に平行な2本のレール(252)と、アクチュエータ(253)に連結されたシステム(254)とを備える、前記加工処理リフト(2、2’)の長さの2倍にほぼ等しい長さを有する平行六面体板構造物(250)から構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の可搬物体加工処理用の線形機械。
【請求項5】
前記制御およびチェック手段(8)は、前記リフト(2、2’)の奇偶性に一致する序数を前記搬送経路中で有する前記可搬物体(C)が、前記同一奇偶性のリフト(2、2’)の両端の載置台の1つの中で、前記可搬物体(C)の主平面に垂直な4つの変位を行うように、前記可搬物体(C)がリフト(2、2’)中に占める位置を追跡し、前記可搬物体(C)の搭載および/または取卸しを制御することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の可搬物体加工処理用の線形機械。
【請求項6】
前記可搬物体(C)の搭載および/または取卸しを制御およびチェックする前記手段(8)は、序数の奇偶性が前記リフト(2、2’)の奇偶性と異なる前記可搬物体(C)が、前記異なる奇偶性のリフト(2、2’)の中央の載置台(9)の中で、前記可搬物体(C)の主平面に垂直な2つの変位のみを行うように、形成されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の可搬物体加工処理用の線形機械。
【請求項7】
各リフト(2、2’)の前記加工処理装置が、前記可搬物体(C)に情報を伝達し、または作用を及ぼすために、電気接点またはアンテナに対向する所定位置に前記可搬物体を保持する手段を備え、前記加工処理装置が、前記搬送経路中のその序数によって識別される前記可搬物体(C)に適用される加工処理情報を受け取ることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の可搬物体加工処理用の線形機械。
【請求項8】
前記駆動および位置決め手段が、前記リフトを前記案内支持機構(25)の前記レール(252)中で保持し摺動させる手段(24)と、前記リフトを前記案内支持機構(25)の前記アクチュエータ(253)に固定する駆動ファスナ(23)と、前記可搬物体(C)の主平面に垂直で、前記リフト(2、2’)の前記駆動ファスナ(23)の行程を形成する、前記案内支持機構(25)の前記スロット(251)とから構成され、前記駆動および位置決め手段によって、各載置台が、前記可搬物体(C)の高さで、可搬物体(C)を搬送する前記装置(1)に位置合わせされた状態で停止することが可能になることを特徴とする、請求項4に記載の可搬物体加工処理用の線形機械。
【請求項9】
(a)前記搬送装置の各直線移動刻みごとに、加工処理すべき可搬物体(C)を分配装置(5)を用いて前記線形搬送装置(1)に供給するステップと、
(b)前記第1のリフトの前記3つの載置台を満杯にするために、前記可搬物体を漸次順々に移動させながら、加工処理すべき各可搬物体を前記第1のリフトの空の加工処理ステーションに順次載置するステップと、
(c)各可搬物体が加工処理された後に、定められた順序に従って前記搬送ライン上にそれを戻すステップであって、加工処理すべき新しい可搬物体を、事前の操作で開放された前記加工処理ステーションに載置するステップと、
(d)前記搬送ライン上に戻された前記可搬物体を前記第2のリフトに向かって移動させるステップであって、前記第2のリフトの前記3つの載置台を満杯にするために、可搬物体を漸次順々に移動させながら、前記搬送ライン上に戻された前記可搬物体を前記第2のリフトの空の加工処理ステーションに載置するステップと
から構成され、
全ての可搬物体が両リフトによって加工処理されるまで、全ステップが繰り返されることを特徴とする、請求項1に記載の可搬物体加工処理用の機械を使用して可搬物体を加工処理する方法。
【請求項10】
ステップb)によって、前記搬送装置上の奇数位置の可搬物体を加工処理することができ、ステップd)によって、前記搬送装置上の偶数位置の可搬物体を加工処理することができることを特徴とする、請求項9に記載の加工処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−530212(P2009−530212A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500949(P2009−500949)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際出願番号】PCT/IB2007/000568
【国際公開番号】WO2007/107823
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(398003739)データカード コーポレーション (2)
【氏名又は名称原語表記】DATACARD CORPORATION
【住所又は居所原語表記】11111 Bren Road West,Minnetonka,Minnesota 55343−9015,United States of America
【Fターム(参考)】