説明

可撓性が改善されたステント

ステントは、複数の連結された蛇行周囲バンド(20)を含む。隣接する蛇行周囲バンドは、1つの蛇行周囲バンドの山(16)とこのバンドに隣接する蛇行周囲バンドの谷(18)との間に延びる複数の長手方向コネクタ(24)を介して連結されている。蛇行バンドのストラット(14)は、ステントが拡張すると、隣接する蛇行周囲バンドの互いにほぼ周方向に整列しているが相互に連結されてはいない山と谷が互いから周方向に変位するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は可撓性が改善されたステントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントは、冠動脈、腎動脈、腸骨動脈を含む末梢動脈、頚動脈、大脳動脈、静脈、胆管、尿道、卵管、気管支、気管、食道および前立腺を含めたさまざまな体内管内に配置または挿入される。
【0003】
ステントは、多岐にわたるデザインで利用可能である。一般に用いられている1つのステントデザインは、交番する山(peak)と谷(trough)とを有する複数の蛇行(serpentine)リングを有する。隣接リングは連結要素を介して相互に連結されている。しかし、隣接リング間の間隔が狭過ぎると、向い合う山と谷が互いに近づいて接触してしまうために、カーブの内側で隣接リング間に結合、重なり、または干渉が生じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
隣接リング間の干渉が実質的に起こらないように設計された革新的な可撓性ステントが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の範囲を限定することなく、請求される本発明のいくつかの実施形態を以下に要約して述べる。要約された本発明の実施形態のさらなる詳細および/または本発明の追加実施形態は、以下の本発明の詳細な説明を読めば分るであろう。
【0006】
37C.F.R.1.72の要件を満たすために、本明細書には技術開示内容の簡単な要約も記載されている。
本願に記載されているすべての米国特許および出願ならびにすべての他の刊行物はその全容が本明細書に文献援用される。
【0007】
1つの実施形態において、本発明は、第1蛇行周囲バンドと第2蛇行周囲バンドを含む少なくと2つの蛇行周囲バンド(serpentine circumferential band)を有するステントに関する。各蛇行周囲バンドは交番する山と谷とを有する。複数の連結されていない山−谷の対が存在し、各連結されていない山−谷の対は、第1蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のとき、望ましくはステントがカテーテル上における送出形状のときには、第1蛇行周囲バンドの山とほぼ周方向に整列している第2蛇行周囲バンドの谷とからなる。谷は山に連結されていない。また、複数の連結されている山−谷の対も存在し、各連結されている山−谷の対は、第1蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のとき、望ましくはステントがカテーテル上の送出形状のときには、第1蛇行周囲バンドの山とほぼ周方向に整列している第2蛇行周囲バンドの谷とからなる。谷は山に連結されている。第1蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の各山と隣接する連結されている山−谷の対の山との間の距離は、第2蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の谷と隣接する連結されていない山−谷の対の谷との間の距離と異なり、隣接する山は隣接する谷と実質的に対向している。ステントが拡張すると、連結されていない山−谷の対の山と谷は、ステントの円周の周りに互いに関して変位する。
【0008】
第1蛇行周囲バンドと第2蛇行周囲バンドは複数の長手方向コネクタを介して相互に連結されていることが望ましい。
通常、本発明のステントは、隣接する蛇行周囲バンドが相互に連結されている3つ以上の蛇行周囲バンドを有するであろう。隣接する蛇行周囲バンドに沿って複数の連結されていない山−谷の対が存在し、各連結されていない山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状、望ましくはカテーテル上の送出形状のときには上記山とほぼ周方向に整列している隣接する蛇行周囲バンドの谷とからなり、谷は山に連結されていない。また、隣接する蛇行周囲バンドに沿って複数の連結されている山−谷の対も存在し、各連結されている山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状、望ましくはカテーテル上の送出形状のときには上記山とほぼ周方向に整列している谷とからなり、谷は山に連結されている。蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の各山と隣接する連結されていない山−谷の対の山との間の距離は、隣接する蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の谷と隣接する連結されていない山−谷の対の谷との間の距離と異なり、隣接する山は隣接する谷と実質的に対向している。
【0009】
本発明は、さらに、交番する山と谷とを含む複数の蛇行周囲バンドを有するステントに関する。隣接する蛇行周囲バンドは相互に連結されている。蛇行周囲バンドは、第1蛇行周囲バンドと、第2蛇行周囲バンドと、第3蛇行周囲バンドとを含む。第1蛇行周囲バンドは高い山と低い山を有する。第2蛇行周囲バンドは高い山と低い山、高い谷と低い谷を有する。第3蛇行周囲バンドは高い谷と低い谷を有する。第1蛇行周囲バンドの高い山は第2蛇行周囲バンドの低い谷とほぼ周方向に整列しており、第1蛇行周囲バンドの低い山は第2蛇行周囲バンドの高い谷とほぼ周方向に整列している。また、第2蛇行周囲バンドの高い山は第3蛇行周囲バンドの低い谷とほぼ周方向に整列しており、第2蛇行周囲バンドの低い山は第3蛇行周囲バンドの高い谷とほぼ周方向に整列している。第1蛇行周囲バンドは第2蛇行周囲バンドと交錯し、第2蛇行周囲バンドは第3蛇行周囲バンドと交錯していることが望ましい。
【0010】
隣接する蛇行周囲バンドは、ほぼ周方向に整列している山と谷の間に延びる複数の長手方向コネクタを介して相互に連結されていることが望ましい。
通常、複数の連結されていない山−谷の対が存在し、各連結されていない山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状、望ましくはカテーテル上の送出形状のときには上記山にほぼ周方向に整列している隣接する蛇行周囲バンドの谷とからなり、谷は山に連結されていない。また、複数の連結されている山−谷の対も存在し、各連結されている山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状、望ましくはカテーテル上の送出形状のときには上記山にほぼ周方向に整列している隣接する蛇行周囲バンドの谷とからなり、谷は山に連結されている。蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の各山と隣接する連結されていない山−谷の対の山との間の距離は、隣接する蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の谷と隣接する連結されていない山−谷の対の谷との間の距離と異なり、隣接する山は隣接する谷と実質的に対向している。
【0011】
ステントが拡張すると、連結されていない山−谷の対の山と谷は、ステントの円周の周りに互いに関して変位する。
本発明はさらに、複数の連結蛇行周囲バンドを含む基端部と先端部とを有するステントに関する。各蛇行バンドは、山と谷が交互に配置された複数のストラットを有する。隣接する蛇行周囲バンドは、1つの蛇行周囲バンドの山とそれに隣接する蛇行周囲バンドの谷との間に延びる複数の長手方向コネクタを介して連結されている。蛇行バンドのストラットは、ステントが拡張すると、隣接する蛇行周囲バンドの互いにほぼ周方向に整列しているが相互に連結されてはいない山と谷が、互いから周方向に変位するように配置されている。通常、各バンドは、長さが異なる3つ以上のストラットの反復パターンを含む。長さ
が異なるストラットは、通常、幅も異なる。ステントは自己拡張するように構成かつ配置されていることが望ましい。
【0012】
さらに、本発明は、長手方向軸線の周りに配置されている少なくとも1つの周蛇行バンドを有するステントに関し、この蛇行バンドは、隣接するストラットが相互に連結されている複数のストラットを含み、交番する山と谷とを有し、互いから周方向かつ長手方向にずれた少なくとも3つの山を含む。通常、このステントは、隣接蛇行バンドが相互に連結されている複数の周蛇行バンドを含むであろう。隣接する周蛇行バンドは2つ以上の長手方向コネクタを介して連結されていることが望ましい。ステントは、ステント拡張前にはほぼ周方向に整列している連結されていない山と谷がステント拡張時には互いから周方向に変位するのがなお望ましい。
【0013】
本発明はさらに、長さが異なる3つ以上のストラットの反復パターンで構成されている少なくとも1つの蛇行周囲バンドを有するステントに関する。このステントは、隣接するバンドが相互に連結されている複数の蛇行バンドを含むことが望ましい。ストラットは交番する山および谷のパターンで配置されている。
【0014】
さらに、本発明は、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドを含む少なくとも2つの蛇行バンドを有するステントに関し、各蛇行バンドは交番する山と谷とを有し、第1蛇行バンドは、連結山と非連結山を有し、第2蛇行バンドは、連結谷と非連結谷を有する。第1蛇行バンドの山は、ステントが非拡張状態、望ましくはカテーテル上の送出形状のときには第2蛇行バンドの山とほぼ長手方向に整列している。連結山はコネクタで連結谷に連結されており、コネクタはそれぞれ、非拡張状態、望ましくはカテーテル上の送出形状のときには互いにほぼ周方向に整列している2つの端部を有する。ステントが拡張すると、各バンドの非連結山は隣接する蛇行周囲バンドの非連結谷から周方向に変位するようになり、各蛇行周囲バンドの非連結谷は、各蛇行周囲バンドの非連結山から周方向に変位するようになる。
【0015】
さらに、本発明は、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドを含む少なくとも2つの蛇行バンドを有するステントに関する。各蛇行バンドは交番する山と谷とを有する。第1蛇行バンドは連結山と非連結山を有し、第2蛇行バンドは連結谷と非連結谷を有する。第1蛇行バンドと第2蛇行バンドは同数の山を有する。第1蛇行バンドの山は、ステントが非拡張状態にあるときには第2蛇行周囲バンドの谷とほぼ長手方向に整列している。連結山は連結谷に連結されている。ステントが拡張すると、各バンドの非連結山は隣接するバンドの非連結谷から周方向に変位するようになり、各バンドの非連結谷は隣接するバンドの非連結山から周方向に変位するようになる。
【0016】
本発明のステントは、交番する山と谷とを有する第3蛇行バンドを含んでいることが望ましい。第1、第2、第3蛇行バンドは、ステントに沿って順次配置されており、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドは相互に連結されて、その間で複数のセルを規定し、第2蛇行バンドと第3蛇行バンドは相互に連結されて、その間で複数のセルを規定している。第1、第2、第3蛇行バンドは同数の山を有する。
【0017】
本発明のステントは、第1末端領域および第2末端領域と、その間に延びる第3領域とを有するのがなお望ましく、ステントの第1末端領域と第2末端領域のうち少なくとも一方はステントの残りの部分とは異なるセル構造を有する。場合により、第1末端領域と第2末端領域は、それぞれ異なるセル構造を有し得る。
【0018】
本発明のさらなる詳細および/または実施形態を以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、多くの異なる形態で具体化し得る。この説明は、本発明の原理を例示するものであって、本発明を例示されている特定の実施形態に限定するものではない。
この開示の目的で、特に断りのない限り、異なる図面に用いられている同一参照数字は同じ構成要素を指す。
【0020】
また、本明細書に用いられている限りにおいて、用語「ほぼ周方向に整列している」とは、完全に周方向に整列している必要はない。より正確に言えば、山の少なくとも一部が隣接する蛇行周囲バンドの谷の一部と周方向に整列していることが必要である。ほぼ周方向に整列している山と谷の例としては、図1a、図2および図3に示されている、長手方向コネクタ24で連結されている対向する山16′と谷18′、および図5に示されている、長手方向コネクタ24で連結されている対向する山16b′と谷18b′、ならびに図1〜図3の取り囲まれた領域に示されている対向する山16″と谷18″が挙げられるが、それらには限定されない。
【0021】
さらに、蛇行周囲バンド内の山と谷に関連して用いられている用語「長手方向にずれた」とは、ステントの長さに沿って長手方向に異なる位置まで延びるバンドの山または谷を表す。蛇行周囲バンド内の長手方向にずれた山の例には、図1〜図3に示されているバンド内の山16′と16″が含まれるが、それらには限定されない。蛇行周囲バンド内の長手方向にずれた谷の例には、図1〜図3に示されているバンド内の谷18′と18″が含まれるが、それらには限定されない。長手方向に整列している山または谷は、ステントに沿って長手方向に同じ位置まで延びている。長手方向に整列している山または谷の例は、図2の基端部と先端部に示されている。他の例には、蛇行バンド内のすべての山16′が含まれる。
【0022】
ステントの先端部に関連して本明細書に用いられている限りにおいて、用語「先端」とは、体内に最初に挿入されるステント端部を表す。ステントの基端部に関連して本明細書に用いられている限りにおいて、用語「基端」とは、体内に最後に挿入されるステント端部を表す。本明細書に開示されている本発明ステントの配向を、どちらの端部を最初に体内に送出してもよいように入れ換えることも本発明の範囲内である。
【0023】
図1aには、本発明のステントの平面図が示されている。このステントは、先端部10と基端部12とを有し、複数の蛇行周囲バンド20を含んでいる。各バンドは、複数の相互連結ストラットを含み、ストラットは3種の異なる長さを有する。図示されているように、第1ストラット14aは、第2ストラット14bおよび第3ストラット14cより短くかつ幅が狭い。第3ストラット14cは、第1ストラット14aおよび第2ストラット14bより長くかつ幅が広い。ストラット14a〜14cは、各バンド20内の周方向に隣接する山16がステントに沿って異なる長手方向地点で終端し、各バンド20内の周方向に隣接する谷がステントに沿って異なる長手方向地点で終端するような反復パターンで配置されている。
【0024】
隣接する蛇行周囲バンドは、少なくとも1つ、望ましくは、図1aに示されているように複数の位置で相互に連結される。図1aのステントの場合、隣接する蛇行周囲バンド間の連結は、1つのバンドの山16と隣接するバンドのほぼ周方向に整列している谷18との間に延びる長手方向コネクタ24の形態にある。
【0025】
周方向に隣接するコネクタ20同士は、1つの蛇行周囲バンドに沿ってその蛇行周囲バンドの少なくとも2つの山を越える経路と、隣接する蛇行周囲バンドに沿ってその隣接する蛇行周囲バンドの少なくとも2つの谷を越える経路とによって隔てられていることが望ましい。本発明は、本明細書に開示されている任意の実施形態の隣接コネクタ間において
、より多数または小数の山および/またはより多数もしくは少数の谷も考慮に入れている。
【0026】
本発明のステントは、さらに、非拡張形状、望ましくは送出形状において、1つの蛇行周囲バンドの山が、隣接する蛇行周囲バンドの谷とほぼ周方向に整列するように構成される。
【0027】
隣接する蛇行周囲バンドの互いに対向するストラットの対の長さが同じでないために、ステントが拡張すると、ほぼ周方向に互いに整列していた連結されていない山と谷とが、互いに関して周方向に変位するであろう。
【0028】
図1bに平面図で示されている本発明の別の実施形態において、隣接する蛇行周囲バンド20は、第1端部および第2端部が周方向かつ長手方向において互いから偏倚した複数のコネクタ24を介して相互に連結されている。図1bに示されているように、コネクタ24は実質的に線形であることが望ましい。空間がある場合には、湾曲コネクタ、湾曲部分を有するコネクタ、および傾斜部分を有するコネクタを含めむ非線形コネクタを用いてもよい。コネクタ24は、図1bのステントの一部の拡大図である図1cでより詳細に分るであろう。図1cにおいて、コネクタはハッチマークで示されている。コネクタ24は、ステントの長手方向軸線に対して斜角をなすが、それにもかかわらず、コネクタ24はステントの長手方向軸線とほぼ平行である。コネクタ24がステントの長手方向軸線とほぼ平行ではないようにステントの長手方向軸線に対してより大きい角度をなして配置された実施形態を提供することは本発明の範囲内である。また、図1bのコネクタは、隣接する蛇行周囲バンド間の隔たりによっては、もっと長くてもよい。
【0029】
図1bおよび図1cのステントは、他の点では図1aのステントと類似している。両ステントとも、長さと幅が増大する3つのタイプのストラット14a〜14cを有する。両ステントとも、連結されている山16′および谷18′の対と、ほぼ周方向に整列し、かつ連結されていない山16″および谷18″の対を有する。どちらのステントにおいても、ストラットは、ステント拡張時には、ほぼ周方向に整列しているが連結されていない山および谷がステントの周方向に互いに関して変位するように配置されている。
【0030】
図2に平面図で示されている本発明の別の実施形態において、各蛇行周囲バンドは、長さが異なる3つのタイプのストラット、ストラット14a〜14cを有する。
蛇行周囲バンドのうち最先端の蛇行周囲バンドを除いて、山は、長手方向に整列している2つの隣接した山と、その2つの整列した山に隣接する1つのより短い山との反復パターンで周方向に配置されている。また、蛇行周囲バンドのうち最基端の蛇行周囲バンドを除いて、谷は、長手方向に整列している2つの隣接した谷と、その2つの整列した谷に隣接する1つのより長い谷との反復パターンで周方向に配置されている。
【0031】
図1aのステントの場合、蛇行周囲バンド内のストラットは、ステントが非拡張状態にあるときには、1つのバンドの山が隣接する実質的に周のバンドの谷とほぼ周方向に整列するように配置されている。ステントが拡張すると、互いにほぼ周方向に整列していた山と谷は、周方向に互いに関して変位するであろう。
【0032】
図2のステントの最基端と最先端の蛇行周囲バンドは、図1aのステントとは違って、最基端の蛇行周囲バンドの谷が互いに整列し、最先端の蛇行周囲バンドの山が互いに整列しているという点で図1aのステントと異なっている。さらに、最基端の蛇行周囲バンドの山は、2つの長い山とそれに続く1つの短い山の反復パターンで配置されており、最先端の蛇行周囲バンドの谷は、1つの長い谷と2つの短い谷との反復パターンで配置されている。
【0033】
図2のステントは、隣接する蛇行周囲バンド間の連結の数がステントの全長に沿って一定であるという点では図1aのステントと類似している。また、隣接する蛇行周囲バンド間の連結の周期は、ステントの周に沿った連結間隔が一定であるのと同様に、ステントの長さに沿って一定である。
【0034】
別の本発明ステントが図3に示されている。図3のステントは、図2のステントに似ているが、最基端の蛇行周囲バンドの谷が長手方向において互いに整列していないという点で異なっている。また、最先端の蛇行周囲バンドの山も長手方向において互いに整列していない。正確に言えば、ステントの最基端と最先端の蛇行周囲バンドは、ステントの蛇行周囲バンドの残りの部分と同じ構造を有する。
【0035】
図4は、非拡張形状の本発明ステントの平面図である。この図では、最先端バンドの近位にある各バンドの連結されていない山(以下、「非連結山」と称する)16″は隣接するバンド20の連結されていない谷(以下、「非連結谷」と称する)18″とほぼ周方向に整列している。ストラット14a〜14cは3種の長さと幅とを有する。図4のステントは、図5に拡張形状で示されている。拡張形状では、それまで互いにほぼ周方向に整列していた非連結山16″と非連結谷18″は、周方向に互いに関して変位する。本明細書に開示されている他のステントでも、連結されていないがほぼ周方向に整列していた山と谷との間で同様な周方向の変位が生じる。
【0036】
特殊な端部を有する本発明ステントが図6aおよび図6bに平面図で示されている。図6aおよび図6bのステントは、図1〜図5のステントとは違って、ステント端部で隣接する蛇行周囲バンド間に延びるコネクタが増大している。具体的に言えば、最基端蛇行周囲バンドの各山は隣接する蛇行周囲バンドの谷と連結され、最先端蛇行周囲バンドの各谷は隣接する蛇行周囲バンドの山と連結されている。連結の結果として、大小のほぼダイヤモンド形の複数のセル25a,25b(ハッチングで表示)が生じ、これらのセルは、ステント端部を安定させる役目を果す。
【0037】
図6aおよび図6bのステントは多くの方法で変更され得る。1つの変更形態において、ステントの一方の端部だけが図6aおよび図6bに示されている大小のセル構造を有するように、ステントの一方の端部のみにコネクタを追加する。別の変更形態では、ステントの一方の端部または両端部で、3つ以上の隣接する蛇行周囲バンドを、ステントの残りのバンドより多いまたは少ないコネクタで相互に連結させる。このようにすると、得られたステントは、ステントの一方の端部または両端部で大小のダイヤモンド形セルの複数の隣接する列を有する。また、コネクタと山の比率は、図6aのステントの端部に示されている1:1の比率や図1aに示されている1:3の比率以外であってもよい。
【0038】
図1aのステントは、ステントが基端部から先端部に向かって展開される場合であっても、その逆の場合であっても、拡張が一様に進行するように設計されている。一方、図2〜図6のステントは、ステントを基端部から先端部に向けて展開するか、またはその逆にするかによって、拡張の進行が異なる。
【0039】
図2のステントの中間蛇行周囲バンドでは、ステントをその先端部10から展開すると、各蛇行周囲バンド20の非連結山16″が展開されてから、連結された山(以下、「連結山」と称する)16′が展開される。ステントをその基端部12から展開すると、各バンド20の連結谷(以下、「連結谷」と称する)18′が展開されてから非連結谷18″が展開される。
【0040】
本明細書に開示されている本発明ステントにおいて、各蛇行周囲バンドは、ステント外
周周囲の経路長によって特徴付けられる。この経路長は、蛇行周囲バンドを切り開き、1本の線に伸ばしたときに有するであろう長さに相当する。図1〜図6に示されているように、各蛇行周囲バンドは同じ総経路長を有することが望ましい。本発明はさらに、蛇行バンドが同じ経路長のものばかりではない実施形態も可能にする。ステントが異なる長さの経路長を有する場合には、異なる長さの経路は、ステントの一方の端部または両端部でのみ用いられることが望ましい。
【0041】
図1〜図6に開示されている本発明ステントでは、蛇行周囲バンドはすべて同数の山と同数の谷とを有する。本発明はさらに山と谷との数が異なるバンドを含む実施形態も可能にするが、そのようなバンドが存在する場合には、そのようなバンドはステントの一方の端部または両端部にのみ存在することが望ましい。
【0042】
図1〜図6のステントがそれぞれ複数の相互連結ストラットを有する蛇行周囲バンドを含むように考慮されている場合には、そのようなバンドはすべて同数のストラットを有することに留意されたい。本発明はさらに、いくつかの蛇行周囲バンドが他の蛇行周囲バンドよりストラットが多いか、または少ない実施形態も考慮にいれている。しかし、ストラット数が異なるバンドはステントの一方の端部または両端部でのみ用いられることが望ましい。
【0043】
本発明のステントはさらに、複数の相互連結セルを含むことも考慮に入れ得る。図1aに示されているように、ステントは、複数列の相互連結セル27′および27″を含む。セル27′および27″は、面積および形状は同じであるが、ステントの長手方向軸線を中心として反対の螺旋方向に延びている。各セルは、コネクタで相互に連結された第1経路と第2経路とで規定されている。例えば、セル27′は、コネクタ24で連結された第1経路31′と第2経路33′とを有する。第1経路は、1つの蛇行周囲バンドの一部を構成し、第2経路はもう一つの蛇行周囲バンドの一部を構成している。図1〜図6の実施形態において、セルの端部の第1経路と第2経路は同じ経路長を有する。また、セルの第1経路と第2経路は同数のストラットを有する。しかし、第1経路と第2経路のストラット配置はそれぞれ異なっているので、セル内の山−谷の対は、非拡張状態、望ましくはカテーテル上の送出形状ではほぼ周方向に整列しているが、ステントが拡張すると、周方向に互いに関して変位する。
【0044】
図1bの実施形態において、セル27′,27″は、ステントの長手方向軸線を中心として反対らせん方向に配向されている。図2の実施形態では、ステントの一方の端部の山と他方の端部の谷とが整列しているために、3種類のセル27′,27″,27′″が存在する。図3および図4の実施形態においては、1タイプのセル27′のみが存在する。図6aおよび図6bの実施形態では、ステント端部のセル25aと25bは実質的にダイヤモンド形であるのに対し、残りのセル27′は実質的にダイヤモンド形ではない。
【0045】
図1〜図6の本発明ステントは、非拡張状態、望ましくは送出形状では、隣接するバンドの連結されていない山および谷の対を実質的に整列させ、ステント拡張時には、連結されていない山と谷とを互いに関して周方向に変位させる。これは、同じ経路長および/または同数の山を有する蛇行周囲バンドを用い、ステントのストラットを、第1蛇行バンドの連結山と周方向に隣り合う連結山との間の経路長が隣接蛇行バンドに沿った対応する連結谷と対応する非連結谷との間の経路長と異なるように配置することにより達成される。言い換えると、連結山に周方向に直接隣接する2つのストラットの合計長は、ステントの円周を所定方向に横切ったときの対応する連結谷に直接隣接する2つのストラットの合計長とは異なる。同数の山を有するバンドを用いてステント拡張時の変位を達成することにより、長手方向軸線に対して実質的に傾斜したコネクタの使用を回避し得る。さらに、山の数が異なるバンドを有するステントに比べてより均一な血管被覆を達成し得る。
【0046】
本発明はさらに、複数の連結蛇行周囲バンドを含む基端部と先端部を有するステントに関する。各蛇行バンドは、山と谷とが交互に配置されている複数のストラットを有する。隣接する蛇行周囲バンドは、1つの蛇行周囲バンドの山とそれに隣接する蛇行周囲バンドの谷との間に延びる複数の長手方向コネクタを介して連結されている。蛇行バンドのストラットは、ステントが拡張すると、隣接する蛇行周囲バンドの互いにほぼ周方向に整列しているが相互に連結されてはいない山と谷とが互いから周方向に変位するように配置されている。通常、各バンドは、長さが異なる3つ以上のストラットの反復パターンを含む。長さが異なるストラットは、通常、幅も異なる。ステントは自己拡張するように構成かつ配置されることが望ましい。
【0047】
本発明はさらに、長手方向軸線の周りに配置された少なくとも1つの周蛇行バンドを含むステントに関し、この蛇行バンドは、隣接するストラットが相互に連結されている複数のストラットを含み、交番する山と谷とを有し、互いから周方向かつ長手方向にずれた少なくとも3つの山を有する。通常、このステントは隣接蛇行バンドが相互に連結されている複数の周蛇行バンドを含むであろう。隣接する周蛇行バンドは、2つ以上の長手方向コネクタを介して相互に連結されることが望ましい。このステントは、ステント拡張前にはほぼ周方向に整列している連結されていない山と谷とが、ステントが拡張すると、互いから周方向に変位するように構成するのがなお望ましい。
【0048】
本発明はさらに、長さが異なる3つ以上のストラットの反復パターンを有する少なくとも1つの蛇行周囲バンドを含むステントに関する。このステントは、隣接するバンドが相互に連結されている複数の蛇行バンドを含むことが望ましい。ストラットは交番する山および谷のパターンで配置されている。
【0049】
さらに、本発明は、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドとを含む少なくとも2つの蛇行バンドを含むステントに関する。各蛇行バンドは交番する山と谷とを有し、第1蛇行バンドは連結山と非連結山とを有し、第2蛇行バンドは連結谷と非連結谷とを有する。ステントが非拡張状態にあるとき、第1蛇行バンドの山は第2蛇行バンドの谷とほぼ長手方向に整列している。連結山は、コネクタによって、連結谷と連結されており、コネクタはそれぞれ、少なくとも非拡張状態では互いにほぼ長手方向に整列している2つの端部を有する。ステントが拡張すると、各バンドの非連結山は、隣接する蛇行周囲バンドの非連結谷から周方向に変位し、各蛇行周囲バンドの非連結谷は各蛇行周囲バンドの非連結山から周方向に変位する。
【0050】
本発明はさらに、図6aおよび図6bに非限定的例として示されているような第1蛇行バンドと第2蛇行バンドを含む少なくとも2つの蛇行バンドを有するステントに関する。各蛇行バンドは交番する山と谷とを有する。第1蛇行バンドは連結山と非連結山とを有し、第2蛇行バンドは連結谷と非連結谷とを有する。第1蛇行バンドと第2蛇行バンドは同数の山を有する。ステントが非拡張状態にあるとき、第1蛇行バンドの山は第2蛇行バンドの谷とほぼ長手方向に整列している。連結山は連結谷に連結されている。ステントが拡張すると、各バンドの非連結山は隣接するバンドの非連結谷から周方向に変位するようになり、各バンドの非連結谷は隣接するバンドの非連結山から周方向に変位するようになる。場合により、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドとは、ステント周囲の総経路長が異なるものであってよい。
【0051】
本発明のステントは、図6aに示されているように、交番する山と谷とを有する第3蛇行バンドを含むことが望ましい。第1蛇行バンド、第2蛇行バンド、および第3蛇行バンドは、ステントに沿って順次配置され、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドとが相互に連結されて、その間に複数のセルを規定し、第2蛇行バンドと第3蛇行バンドとが相互に連結
されて、その間に複数のセルを規定している。第1、第2、第3蛇行バンドは同数の山を有する。
【0052】
本発明のステントは、図6aおよび図6bに示されているように、第1端部領域および第2端部領域と、その間に延びる中間領域とを有し、ステントの第1端部領域と第2端部領域の少なくとも一方はステントの残りの領域とは異なるセル構造を有することがより望ましい。場合により、第1端部領域および第2端部領域はそれぞれ異なるセル構造を有し得る。
【0053】
さらに、本発明はらせんステントに関する。このステントは1つ以上のらせんバンドを有し得、らせんバンドの山と谷は、いくつかの山がらせんバンドの隣接カーブまたは隣接するらせんバンドのいくつかの谷とほぼ周方向に整列かつ連結し、他のほぼ周方向に整列している隣接するバンドまたはバンドの隣接カーブの山と谷は相互連結しないように配置されている。ステントが拡張すると、連結されていないほぼ周方向に整列している山と谷は、互いから周方向に変位する。これは、適切なストラット配置により達成され得る。
【0054】
本明細書に開示されている本発明ステントはいずれも「ジェリー・ロール」(jelly−roll)形状でも提供され得る。例えば、図1の平面パターンは、長手方向の縁同士を固定せずに円筒形に巻回してもよい。そのようなステントは、ステントの長手方向軸線の周りに延びるセルまたはバンドを展開・拡張することにより展開されるであろう。そのようなステントの1例が国際公開公報第WO0132099号に開示されている。
【0055】
本明細書に開示されている本発明ステントは、長手方向コネクタが図1aまたは本明細書に開示されている他の図面に示されているものより短いか長い実施形態でも提供され得る。例えば、隣接するバンドが同数の山を有する1つの実施形態において、相互に連結されている対向する山と谷とを突き合せてもよいし、コネクタは対向する山と谷との間の小さい溶接または重複領域の形態であってもよい。また、湾曲コネクタを用いて対向する山と谷とを連結させてもよい。コネクタは山と谷からずらして配置してもよい。
【0056】
本発明はさらに、本明細書に開示されているものなどに側枝アクセスを設けたステントに関する。そのようなステントは、ステントの1つ以上の所望領域で1つ以上のストラットを省くことにより得られる。側枝アクセスは、第1蛇行バンドを省き、結果として生じた隣接第2蛇行バンドの全部ではなくいくつかの山と谷の間にコネクタを設けることによっても得られる。さらに、側枝アクセスは、本明細書に開示されているいずれの本発明ステントにおいても、隣接蛇行バンド間のコネクタの配置を交互にすることによって達成し得る。例えば、側枝アクセスを設けることが望ましいところで、隣接するバンド間の連結を少なくし得る。また、側枝アクセスは、総経路長が異なる隣接蛇行バンドを組み込むことによっても得られる。そのような場合、隣接蛇行バンドが同数の山を有することが望ましいが、必須ではない。
【0057】
本明細書に開示されている本発明ステントは、分岐ステント形態で用いることもできる。本明細書に開示されている新規デザインを有するステントに幹および/または任意の枝を設けてもよい。
【0058】
上記に開示されている本発明ステントはいずれも、均一な直径にしてもよいし、ステントの複数の部位または全長に沿ってテーパー状にしてもよい。また、本発明ステントのさまざまな部位の幅および/または厚さをステントの所定部位に沿って増減させ得る。例えば、ストラット、蛇行バンドおよび/または長手方向コネクタの幅および/または厚さをステントの複数の部位またはステントの全長に沿って増減させ得る。いくつかの連続する第1蛇行バンドの幅および/または厚さが減少しても、その連続する第1蛇行バンドの振
幅および/または波長は一定に保たれ得る。同様に、いくつかの連続する第2蛇行バンドの幅および/または厚さが減少しても、その連続第2蛇行バンドの振幅および/または波長は一定に保たれ得る。本明細書に開示されている本発明ステントの他の実施形態において、いくつかの連続する第1蛇行バンドの幅および/または厚さは一定のままであっても、その連続する第1蛇行バンドの振幅および/波長は増減し得る。同様に、いくつかの連続する第2蛇行バンドの幅および/または厚さは一定のままであっても、その連続する第2蛇行バンドの振幅および/波長は増減し得る。ステントの振幅もステントの厚さおよび/または幅に従って増減し得る。
【0059】
本発明のステントは、公知ステント製造技術を用いて製造され得る。本発明のステントの適切な製造法には、チューブのレーザー切断、化学的エッチングまたはスタンピングが含まれる。本発明のステントは、平坦なシートのレーザー切断、化学エッチング、スタンピング、フラットシートのローリングおよび平坦なシートの溶接によるか、電極放電加工によるか、またはステントを所望のデザインに成形することによって製造することもできる。
【0060】
本発明のステントの製造には任意の適当なステント材料を用い得る。そのような材料の例としては、高分子材料、金属、セラミックスおよび複合材料などがある。適当な高分子材料には、サーモトロピック液晶高分子(LCP)が含まれる。ステントが金属製の場合、金属は、ステンレススチール、エルジロイなどのコバルトクロム合金、タンタルまたは他の変形可能な可塑性金属であり得る。他の適当な金属としては、形状記憶金属、例えば、一般に「ニチノール」として知られているニッケルチタン合金、白金/タングステン合金およびチタン合金などがある。さらに、本発明は、本発明ステントに2種以上の材料を使用することも考慮に入れている。例えば、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドを異なる材料で製造し得る。場合により、コネクタは、第1および/または第2蛇行バンドとは異なる材料で製造され得る。
【0061】
本発明のステントは自己拡張形式で提供されることが望ましい。そのためには、ステントはニチノールを含めむ形状記憶材料から構成され得る。本発明の自己拡張式の実施形態は、以下に説明するようなステントの制御された拡張を可能にする。通常、自己拡張式ステントは、シースによって非拡張形状でカテーテル上に保持されている。シースを引くと、新たに解放されたステント部分が自己拡張するであろう。蛇行円筒バンド内の山は異なる長手方向範囲に拡張するので、各蛇行周囲バンドはいくつかの波においてシースから解放される。先ず最も長い山に対応する第1の山の波が拡張し、次いで、それより短い山の波が、蛇行バンドが拡張するまで拡張するであろう。
【0062】
また、本発明のステントは、膨らませ得るバルーン形式でも提供し得るし、自己拡張性とバルーン拡張性とを有するハイブリッドとしても提供され得る。
本発明のステントは、適当な放射線不透過性コーティングを有し得る。例えば、ステントを、金もしくは他の貴金属でコーティングするか、またはタンタルもしくは他の金属でスパッターしてもよい。ステントは、放射線不透過性コーティングを必要としないように放射線不透過性材料から直接製造してもよいし、放射線不透過性内核を有する材料で製造してもよい。使用し得る他の放射線不透過性金属には、白金・タングステン、パラジウム、パラジウム・イリジウム、ロジウム、タンタル、またはこれらの金属の合金もしくは複合材料が含まれる。
【0063】
本発明のステントには、ステントの種々の特性を高めるために種々の生体適合性コーティングを施し得る。例えば、本発明のステントに潤滑コーティングを施し得る。また、本発明のステントに、経時的に薬剤を放出する薬剤含有コーティングを施してもよい。
【0064】
本発明のステントには、目的体内位置への送出時にステントをバルーン上に維持するために、砂糖またはより一般的には炭水化物および/もしくはゼラチンを施してもよい。ステントを処理するのに適した他の化合物には、生分解性ポリマーや体液に溶けるポリマーが含まれる。
【0065】
ステントの内側および/または外側部分に、化合物をコーティングまたは含浸させてもよい。送出時にステントをバルーン上に維持するために機械的保持装置を用いてもよい。
本発明のステントは、グラフト用の足場として用いてもよいし、ステント内にライナーを配置してもよい。適当なカバーおよびライナーには、ナイロン、コラーゲン、PTFEおよび発泡PTFE、ポリエチレン・テレフタレートならびにKEVLAR、または米国特許第5,824,046号および同第5,755,770号に開示されている材料が含まれる。より一般的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、それらの混合物、ブレンド、コポリマー、混合物、ブレンド、およびコポリマーなどの合成ポリマーを含めむ任意の公知グラフト材料を用い得る。
【0066】
本発明のステントは、冠動脈、腎動脈、腸骨動脈を含めた末梢動脈、頚動脈および大脳動脈に使用し得る。しかし、本発明のステントは、脈管系での使用には制限されず、動脈、静脈、胆管、尿道、卵管、気管支、気管、食道および前立腺を含むがそれらには限定されない他の身体構造においても有利に使用し得る。
【0067】
さらに、本発明はステント送出カテーテルに関し、このカテーテルの一部位の周囲には本明細書に開示されているものなどのステントが配置されている。
本発明はさらに、本明細書に開示されているステントの送出法に関する。これらの方法は、本明細書に開示されている本発明ステントが周りに配置されたカテーテルを目的の身体位置に送出するステップと、ステントを拡張させるステップまたはステントを拡張させたままにするステップを含む。後者の場合、ステントは自己拡張式であり、ステントを拘束するシースはステントの周りから除去される。シースを除去すると、所定の蛇行周囲バンドの山波が解放されて、自己拡張する。ステントを展開したら、カテーテルを身体から抜出する。
【0068】
上記開示は例示的であって包括的ではないものとする。この説明は、当業者に多くの変形形態および代替案を示唆するであろう。これらの代替案および変形形態はすべて請求の範囲内に包含されるものとし、請求の範囲中、用語「含んでなる(comprising)」は「〜を含むが、〜には限定されない(including,but not limited to)」ことを意味する。当業に精通している人は、本明細書に記載されている特定の実施形態の他の均等物を認識し得るであろうが、それらの均等物も請求の範囲内に包含されるものとする。
【0069】
以下に請求されている特定の実施形態に加えて、本発明はさらに、以下に請求されている従属特徴の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態に関する。そのようなものとして、従属請求の範囲に呈示されている特定の特徴は、本発明が特に従属請求の範囲の特徴の他の可能な組み合わせを有する他の実施形態にも関すると見なされるように本発明の範囲内の他の方法で互いに組み合わせ得る。例えば、請求の範囲を公開するために、次ぎに続く従属請求の範囲は、多数従属形式が管轄区域内で許容される形式であれば、従属請求の範囲に引用されたすべての先行詞を有するすべての前請求の範囲から択一的に多数従属形式で記述されたものと見なすべきである(例えば、請求の範囲1に直接従属する各請求の範囲は択一的にすべての前請求の範囲に従属するものと見なすべきである)。多数従属請求の範囲形式が禁止されている管轄区域においては、後に続く従属請求の範囲もそれぞれ、下位の従属請求の範囲にリストされている特定請求の範囲以外の前の先行詞所有請求
の範囲から従属関係を生じるそれぞれ個々の従属請求の範囲形式で択一的に記述されたものと見なすべきである(例えば、請求の範囲3は択一的に請求の範囲2に従属し、請求の範囲4は択一的に請求の範囲1に従属し、請求の範囲5は択一的に請求の範囲1〜4に従属し、請求の範囲6は択一的に請求の範囲1〜5に従属するなどと見なし得る)。
【0070】
上記実施例および開示は、例示的であって包括的ではないものとする。これらの実施例および本説明は、当業者に多くの変形形態や代替案を示唆するであろう。これらの代替案および変形形態はすべて添付特許請求の範囲内に包含されるものとする。当業に精通している人は本明細書に開示されている特定の実施形態の他の均等物を認識するであろうが、これらの均等物も本明細書に添付されている特許請求の範囲内に包含されるものとする。
【0071】
本PCT出願は、2002年10月9日に出願された米国出願番号10/269,111号に基いて優先権を主張するものであり、この出願の全内容は本明細書に文献援用される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1a】本発明のステントの平面図。
【図1b】本発明のステントの平面図。
【図1c】図1bの本発明ステントの一部の拡大図。
【図2】本発明のステントの平面図。
【図3】本発明のステントの平面図。
【図4】非拡張形状の本発明ステントの平面図。
【図5】拡張形状の図4のステントの平面図。
【図6a】別の本発明ステントの平面図。
【図6b】図6aのステントの拡大端部の図。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、
第1蛇行周囲バンドと第2蛇行周囲バンドとを含み、各蛇行周囲バンドが交番する山と谷とを有する、少なくとも2つの蛇行周囲バンドを備え、
複数の連結されていない山−谷の対が存在し、各連結されていない山−谷の対は、第1蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のときには前記山とほぼ周方向に整列している第2蛇行周囲バンドの谷とを備え、前記谷は前記山に連結されておらず、
複数の連結されている山−谷の対が存在し、各連結されている山−谷の対は、第1蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のときには前記山とほぼ周方向に整列している第2蛇行周囲バンドの谷とを備え、前記谷は前記山に連結されており、
第1蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の各山と隣接する連結されていない山−谷の対の山との間の距離は、第2蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の谷と隣接する連結されていない山−谷の対の谷との間の距離と異なっており、前記隣接する山は前記隣接する谷と実質的に対向している、ステント。
【請求項2】
第1蛇行周囲バンドと第2蛇行周囲バンドとが複数の長手方向コネクタを介して相互に連結されている、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
隣接する蛇行周囲バンドが相互に連結されている3つ以上の蛇行周囲バンドを備え、
隣接する蛇行周囲バンドに沿って複数の連結されていない山−谷の対が存在し、各連結されていない山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のときには前記山とほぼ周方向に整列している隣接する蛇行周囲バンドの谷とを備え、前記谷は前記山に連結されておらず、
隣接する蛇行周囲バンドに沿って複数の連結されている山−谷の対が存在し、各連結されている山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のときには前記山とほぼ周方向に整列している隣接する蛇行周囲バンドの谷とを備え、前記谷は前記山に連結されており、
1つの蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の各山と、隣接する連結されていない山−谷の対の山との間の距離は、隣接する蛇行周囲バンドに沿った連結されている山−谷の対の谷と、隣接する連結されていない山−谷の対の谷との間の距離と異なっており、前記隣接する山は前記隣接する谷と実質的に対向している、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
隣接する蛇行周囲バンドが複数の長手方向コネクタを介して相互に連結されている、請求項3に記載のステント。
【請求項5】
周方向に隣り合う連結されている山−谷の対が、少なくとも2つのほぼ周方向に整列している山と谷で隔てられている、請求項4に記載のステント。
【請求項6】
周方向に隣り合う連結されている山−谷の対が、少なくとも2つのほぼ周方向に整列している山と谷で隔てられている、請求項1に記載のステント。
【請求項7】
蛇行周囲バンドがそれぞれ少なくとも3種の長さが異なるストラットの反復パターンで構成されている、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
最長ストラットは他のストラットより幅が広い、請求項7に記載のステント。
【請求項9】
最短ストラットは他のストラットより幅が狭い、請求項8に記載のステント。
【請求項10】
蛇行周囲バンドの山は、短い山と、中間の山と、長い山とを含み、蛇行周囲バンド中で、長い山は、先端方向に中間の山および短い山を越えて延びており、蛇行周囲バンドの谷は、短い谷と、中間の谷と、長い谷とを含み、蛇行周囲バンド中で、長い谷は、基端方向に中間の谷および短い谷を越えて延びている、請求項1に記載のステント。
【請求項11】
蛇行周囲バンドの山は短い山と長い山とを含み、蛇行周囲バンド中で、長い山は先端方向に短い山を越えて延びており、蛇行周囲バンドの谷は短い谷と長い谷とを含み、蛇行周囲バンド中で、長い谷は基端方向に短い谷を越えて延びており、蛇行周囲バンドの長い山と短い山は、2つの長い山と1つの短い山の反復パターンで配置されている、請求項1に記載のステント。
【請求項12】
蛇行周囲バンドの長い谷と短い谷が、2つの短い谷と1つの長い谷の反復パターンで配置されている、請求項11に記載のステント。
【請求項13】
少なくとも1つの末端バンドをさらに含み、末端バンドは蛇行バンドの形であり、末端蛇行バンドの山または谷はすべて長手方向に互いに整列している、請求項1に記載のステント。
【請求項14】
2つの末端バンド、基端バンド、および先端バンドをさらに含み、基端バンドは、交番する山と谷とを有し、その谷はすべて長手方向において互いに整列している蛇行バンドの形であり、先端バンドは、交番する山と谷とを有し、その山はすべて長手方向において互いに整列している蛇行バンドの形である、請求項1に記載のステント。
【請求項15】
自己拡張するように構成かつ配置されている、請求項1に記載のステント。
【請求項16】
ステントであって、
交番する山と谷とを有する複数の蛇行周囲バンドを備え、該蛇行周囲バンドは、第1蛇行周囲バンドと、第2蛇行周囲バンドと、第3蛇行周囲バンドとを含み、隣接する蛇行周囲バンドは相互に連結されており、
第1蛇行周囲バンドは高い山と低い山を有し、
第2蛇行周囲バンドは、高い山と低い山、高い谷と低い谷を有し、
第3蛇行周囲バンドは、高い谷と低い谷を有し、
第1蛇行周囲バンドの高い山は第2蛇行周囲バンドの低い谷とほぼ周方向に整列しており、第1蛇行周囲バンドの低い山は第2蛇行周囲バンドの高い谷とほぼ周方向に整列しており、
第2蛇行周囲バンドの高い山は第3蛇行周囲バンドの低い谷とほぼ周方向に整列しており、第2蛇行周囲バンドの低い山は第3蛇行周囲バンドの高い谷とほぼ周方向に整列しており、
第1蛇行周囲バンドは第2蛇行周囲バンドと組み合わされており、第2蛇行周囲バンドは第3蛇行周囲バンドと組み合わされている、ステント。
【請求項17】
自己拡張するように構成かつ配置されている、請求項16に記載のステント。
【請求項18】
少なくとも1つの末端バンドをさらに含み、末端バンドは、その山または谷がすべて長手方向において互いに整列している蛇行バンドの形である、請求項16に記載のステント。
【請求項19】
2つの末端バンド、基端バンド、および先端バンドをさらに含み、基端バンドは、交番する山と谷とを有し、かつその谷がすべて長手方向において互いに整列している蛇行バンドの形であり、先端バンドは、交番する山と谷とを有し、かつその山がすべて長手方向に
おいて互いに整列している蛇行バンドの形である、請求項16に記載のステント。
【請求項20】
隣接する蛇行周囲バンドが、ほぼ周方向に整列している山と谷との間に延びる複数の長手方向コネクタを介して相互に連結されている、請求項16に記載のステント。
【請求項21】
複数の連結されていない山−谷の対が存在し、各連結されていない山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のときには前記山とほぼ周方向に整列している隣接する蛇行周囲バンドの谷とを備え、前記谷は前記山に連結されておらず、
複数の連結されている山−谷の対が存在し、各連結されている山−谷の対は、1つの蛇行周囲バンドの山と、ステントが非拡張形状のときには前記山とほぼ周方向に整列している隣接する蛇行周囲バンドの谷とを備え、前記谷は前記山に連結されており、
1つの蛇行周囲バンドに沿った、連結されている山−谷の対の各山と、隣接する連結されていない山−谷の対の山との間の距離は、隣接する蛇行周囲バンドに沿った、連結されている山−谷の対の谷と、隣接する連結されていない山−谷の対の谷との間の距離と異なっており、前記隣接する山は前記隣接する谷と実質的に対向している、請求項16に記載のステント。
【請求項22】
蛇行周囲バンドがそれぞれ、少なくとも3種の異なる長さのストラットの反復パターンで構成されている、請求項16に記載のステント。
【請求項23】
最長ストラットは他のストラットより幅が広い、請求項22に記載のステント。
【請求項24】
最短ストラットは他のストラットより幅が狭い、請求項23に記載のステント。
【請求項25】
連結されている複数の蛇行周囲バンドを含む、基端部と先端部とを有するステントであって、各蛇行バンドは、山と谷が交互に配置された複数のストラッとを備え、隣接する蛇行周囲バンドは、1つの蛇行周囲バンドの山と、隣接する蛇行周囲バンドの谷との間に延びる複数の長手方向コネクタを介して連結されており、蛇行バンドのストラットは、ステントが拡張すると、互いにほぼ周方向に整列しているが相互に連結されてはいない山と谷とが、互いから周方向に変位するように配置されている、ステント。
【請求項26】
各バンドが異なる長さの3つ以上のストラットの反復パターンを含んでなる、請求項25に記載のステント。
【請求項27】
長さが異なるストラットは幅も異なる、請求項26に記載のステント。
【請求項28】
自己拡張するように構成かつ配置されている、請求項25に記載のステント。
【請求項29】
ステントであって、
長手方向軸線の周りに配置された少なくとも1つの周囲蛇行バンドを備え、該蛇行バンドは複数のストラットを含み、隣接するストラットは相互に連結されており、前記蛇行バンドは、交番する山と谷とを有し、互いから周方向かつ長手方向にずれた少なくとも3つの山を含むステント。
【請求項30】
複数の周囲蛇行バンドを備え、隣接する周囲蛇行バンドが相互に連結されている、請求項29に記載のステント。
【請求項31】
隣接する周囲蛇行バンドが2つ以上の長手方向コネクタを介して相互に連結されている、請求項29に記載のステント。
【請求項32】
ステント拡張前にはほぼ周方向に整列している相互に連結されていない山と谷とが、ステントが拡張すると、互いから周方向に変位する、請求項31に記載のステント。
【請求項33】
少なくとも1つの蛇行周囲バンドを備え、該蛇行周囲バンドは、交番する山および谷のパターンで配置された、長さが異なる3つ以上のストラットの反復パターンを含む、ステント。
【請求項34】
複数の蛇行バンドを備え、隣接するバンドが相互に連結されている、請求項33に記載のステント。
【請求項35】
ステントであって、
第1蛇行バンドおよび第2蛇行バンドを含み、各蛇行バンドが交番する山と谷とを有し、第1蛇行バンドが連結山と非連結山とを有し、第2蛇行バンドが連結谷と非連結谷を有する少なくとも2つの蛇行バンドを備え、
第1蛇行バンドの山は、ステントが非拡張状態にあるときには第2蛇行バンドの谷とほぼ長手方向に整列しており、
連結山はコネクタで連結谷に連結されており、コネクタはそれぞれ、互いにほぼ周方向に整列している2つの端部を有し、
各バンドの非連結山は、隣接するバンドの非連結谷から周方向に変位するようになり、各バンドの非連結谷は、隣接するバンドの非連結山から周方向に変位するようになる、ステント。
【請求項36】
各バンドが異なる長さの少なくとも3つのタイプのストラットで構成されている、請求項35に記載のステント。
【請求項37】
3つ以上の蛇行バンドが存在する、請求項35に記載のステント。
【請求項38】
ステントであって、
第1蛇行バンドと第2蛇行バンドとを含み、各蛇行バンドが交番する山と谷とを有し、第1蛇行バンドは連結山と非連結山とを有し、第2蛇行バンドは連結谷と非連結谷とを有する、少なくとも2つの蛇行バンドを備え、
第1蛇行バンドと第2蛇行バンドとは同数の山を有し、
ステントが非拡張状態にあるとき、第1蛇行バンドの山は第2蛇行周囲バンドの谷とほぼ長手方向に整列しており、前記連結山は前記連結谷に連結されており、
ステントが拡張すると、各バンドの非連結山は隣接するバンドの非連結谷から周方向に変位するようになり、各バンドの非連結谷は隣接するバンドの非連結山から周方向に変位するようになる、ステント。
【請求項39】
交番する山と谷とを有する第3蛇行バンドを備え、第1蛇行バンド、第2蛇行バンドおよび第3蛇行バンドは、ステントに沿って順次配置されており、第1蛇行バンドと第2蛇行バンドとは相互に連結されて、その間で複数のセルを規定しており、第2蛇行バンドと第3蛇行バンドとは相互に連結されて、その間で複数のセルを規定しており、第1蛇行バンド、第2蛇行バンドおよび第3蛇行バンドは同数の山を有する、請求項38に記載のステント。
【請求項40】
第1末端領域および第2末端領域と、その間に延びる中間領域とを有し、ステントの第1末端領域および第2末端領域の少なくとも一方はステントの残りの部分とは異なるセル構造を有する、請求項39に記載のステント。
【請求項41】
第1末端領域と第2末端領域がそれぞれ異なるセル構造を有する、請求項40に記載の
ステント。
【請求項42】
第1蛇行バンドと第2蛇行バンドがステントの周囲において異なる総経路長を有する、請求項38に記載のステント。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−501942(P2006−501942A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543316(P2004−543316)
【出願日】平成15年9月17日(2003.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/029434
【国際公開番号】WO2004/032802
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】