説明

可撓性光クロージャ及び他の可撓性光学組立体

【課題】工場又は現場で取り付けられ、次にケーブル布設法を用いて布設される可撓性クロージャ及び他の可撓性光学組立体を提供する。
【解決手段】可撓性クロージャ(22)及び光学組立体(20)は、これらの構造、これらの中に設けられた光ファイバ(32)及びスプライス(40)に対する物理的損傷を招くことなく、しかも従来の布設時応力にさらされても光ファイバにそれほど大きな減衰を生じさせないで曲げ及び撚りが可能である。可撓性クロージャは、光ネットワーク内へのあらかじめ加工されて組み立てられた配線系ケーブル(20)の布設、かかるクロージャの物理的な曲げ及び材料特性の実現を容易にすることを目的として従来の実質的に剛性のクロージャに取って代わり、また、かかるクロージャの製造及び取付け方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の参照〕
本願は、以下の米国特許出願、即ち、2004年5月24日に出願された米国特許出願第10/852,427号明細書(発明の名称:DISTRIBUTION CABLE ASSEMBLY HAVING OVERMOLDED MID-SPAN ACCESS LOCATION)、2004年11月30日出願された米国特許出願第10/999,691号明細書(発明の名称:ADJUSTABLE TETHER ASSEMBLY FOR FIBER OPTIC DISTRIBUTION CABLE)及び2004年12月29日に出願された米国特許出願第11/025、507号明細書(発明の名称:DISTRIBUTION CABLE HAVING OVERMOLDED MID-SPAN ACCESS LOCATION WITH PREFERENTLAL BENDING)の一部継続出願であり、これら米国特許出願を参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、概略的には、ケーブルアクセス場所、ケーブル組立体、及び相互光接続箇所を保護すると共に密封する融通性のある解決策に関し、詳細には、可撓性光クロージャ、光接続端子、このようなクロージャ及び端子の性能及び材料特性に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバは、音声伝送、映像伝送及びデータ伝送を含む種々の広帯域通信にますます用いられている。広帯域通信の需要の高まりの結果として、光ファイバネットワークは典型的には、多数のミッドスパンアクセス(mid-span access)点、即ち中間分岐点(「ネットワーク配線箇所」又は「成端点」とも呼ばれる)を有し、この点で、1本又は2本以上の光ファイバが配線系ケーブルから成端処理され、他の光ファイバ又はテザーケーブル或いは光ファイバドロップ(引込み)ケーブルに接続される。これら中間分岐点は、別の配線箇所に通じる配線系ケーブルからの配線箇所を提供し、又は一般に加入者と呼ばれるエンドユーザに通じる配線系ケーブルからの引込み箇所を提供し、それにより、「全光化の」通信ネットワークを加入者の近くまで延長する。この点に関し、「ファイバトーザカーブ(Fiber To The Curb )」(FTTC)、「ファイバトーザビジネス(Fiber To The Business )」(FTTB)、「ファイバトーザホーム(Fiber To The Home )」(FTTH)、又は「ファイバトーザプレミシズ(Fiber To The Premise)」(FTTP)を提供する光ファイバネットワークが開発されている(これらは一般に、“FTTx”と呼ばれる)。多数の中間分岐点、及びこれら中間分岐点における成端光ファイバの固有の要求に基づいて、配線系ケーブルの長さに沿って位置決めされたこれら多くの中間分岐場所で光ファイバ、スプライス箇所、及び光ファイバケーブルの被アクセス部分を維持すると共にこれらを保護する保護エンクロージャが必要である。保護エンクロージャは、中間分岐場所にスプライス接続され、又は違ったやり方で相互接続されると共に、FTTxネットワーク内に設置された光接続端子の光コネクタ及び光ファイバを維持すると共に保護し、幾つかの実施形態においてはこれらを密封するためにも必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現場で配線系ケーブルにアクセスし光接続部を形成するために必要となるノウハウと経験の必要性を排除するため、配線系ケーブルの布設に先立って、中間分岐点を作り、工場内でテザー又はドロップケーブルをこれら中間分岐点にスプライス接続する手法が開発されてきた。特に、いったんケーブルが布設されると、配線系ケーブルの所定位置でアクセスすることが困難なだけでなく、配線系ケーブルの特定の光ファイバにアクセスし、これがテザー又はドロップケーブルの光ファイバに光接続されていることを識別することは困難である。いったん識別されると、配線系ケーブルの光ファイバは典型的には、従来型スプライス接続法、例えば融着接続法を用いて中間分岐点でテザー又は引っ込みケーブルの光ファイバに直接、接合されるのが典型的である。他の場合においては、まず最初に、配線系ケーブルの光ファイバとドロップケーブルの光ファイバとを、他端に光コネクタが取り付けられた、一般に、当該技術分野においては「ピグテール」と呼ばれる短い光ファイバに接続する。次に、ピグテールを軸合わせ部材の互いに反対側の側部に引き回してテザー又はドロップケーブルを配線系ケーブルに正しく相互接続する。いずれの場合においても、中間分岐点を作り、あらかじめ選択された光ファイバをスプライス接続する方法は、時間がかかるだけでなく、かなり多くの費用がかかり、しかも現場の理想的とは言えない作業条件下で熟練者により行われなければならない。
【0005】
したがって、アクセス場所を作り、光ファイバを成端処理し、光ファイバをテザー又はドロップケーブルにスプライス接続する方法の実施は、現場から、あらかじめ加工が行われる解決策が導入された工場に移されており、かかる解決策では、中間分岐点を含む配線系ケーブル組立体が、うまく布設及び現場布設できるよう工場内で製作される。これらのあらかじめ加工されるケーブル組立体を、中間分岐点が適正な位置にある状態で製造する上での問題に加えて、アクセス場所を保護し、配線系ケーブルの光ファイバを中間分岐点でテザー又はドロップケーブルの光ファイバに光接続する従来型コンポーネントを用いた場合に生じる問題もある。例えば、典型的には、剛性エンクロージャが、適正な光ファイバ及びスプライスにアクセスするために露出されなければならない配線系ケーブルの部分を保護するために用いられる。従来型エンクロージャを備えた配線系ケーブルは、大型化すると共に可撓性を有さなくなる傾向があり、このため、通常の敷設上の制約、例えば、リールに巻き付ける場合の制約、比較的小さな内径又は相当きつい曲がり部を有する導管中に敷設される上での制約、又は従来型架空用係索機材、例えばシーブやローラにより敷設される上での制約に応えることができない。さらに、このようなエンクロージャは構造的に複雑であり且つ取付けが困難な場合が多い。
【0006】
このため、あらかじめ加工されたケーブル組立体の開発と共に、工場内で取り付けが不可能であり、エンクロージャ又はこの中に納められた光ファイバを損傷させることなく典型的なケーブル布設法(例えば、ドライブオフ(drive-off)法)で敷設することができない従来型の剛性エンクロージャに代わる解決策が要望されている。あらかじめ加工されたケーブル組立体に関するエンクロージャによる解決策は、従来型の剛性エンクロージャの保護特性及び密封性能特性を満たし、又はこれに優るだけでなく、エンクロージャに対する損傷を生じず、エンクロージャの密封一体性を損なわず、光ファイバ又は接続部が、業界標準により定められた布設応力により引き起こされる物理的損傷又は影響が出るほどの減衰を受けずに、典型的なケーブル布設法を用いて配線系ケーブルを布設できるようにすべきである。更に、可撓性光接続エンクロージャと同一の材料及びかかるエンクロージャの物理的性質を用い、これらの布設を助けるためのあらかじめ加工されたケーブル組立体の他のコンポーネント、例えば、アクセス場所で配線系ケーブルに相互接続され、工場で追加される光接続端子に利用することが望ましい。可撓性エンクロージャ及び他のコンポーネントは、あらかじめ加工されたケーブル組立体に、リールに巻き付けられ、比較的小さな内径又は相当大きな曲がり部を有する導管を通して布設され又は従来型架空用係索機材を用いて敷設されるのに十分に小さな内径及び可撓性を与える。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一特徴では、本発明は、従来型ケーブル布設法を用いて布設できる工場又は現場製作型光ファイバケーブル組立体の製造に利用するのに適した可撓性光学組立体の種々の実施形態を提供する。
【0008】
別の特徴では、本発明は、あらかじめ加工されたケーブル組立体の光アクセス場所と関連した少なくとも1つの複合成形部分を有する可撓性光クロージャを提供する。アクセス場所は、例えば、配線系ケーブルの1本又は2本以上の成端光ファイバへのアクセスを可能にする。好ましい実施形態では、可撓性光クロージャ及びこの中に納められた光ファイバは、可撓性クロージャが装着された光ファイバケーブルのほぼ最小曲げ半径に合わせて曲がることができる。可撓性クロージャを、ケーブルに取り付けられていない状態で曲げるのに必要な力にほぼ等しい力で曲げることができる。可撓性クロージャの曲げ範囲は、約0°〜約360°であり、これにより、可撓性クロージャを半径(アール)周りに曲げ、撚り、S字形又はU字形の弧の状態に曲げることができる。可撓性クロージャを事実上任意の方向に曲げると共に(或いは)撚ることができる。好ましい実施形態では、可撓性クロージャは、優先的な曲がり部を有するが、この可撓性クロージャは、撓み可能であって撚り可能である。可撓性クロージャは好ましくは、あらかじめ加工されたケーブル組立体を地中及び架空ネットワークにおいて導管に通し又は架空布設シーブ、プーリ及び他の布設機材又はハードウェアに掛けて布設することができるほど十分に小さな外径を有する。さらに、可撓性クロージャは、約1.0〜約5.0、好ましくは約2.0の直径比(少なくとも1つの複合成形部分の外径とケーブルの外径の比)を有する。好ましい実施形態では、このクロージャは、約10〜約30、より好ましくは約24のアスペクト比(可撓性クロージャの長さと可撓性クロージャの外径の比)を有する。少なくとも1つの成形部分それ自体の固有の材料特性は、可撓性光クロージャの可撓性に寄与し、しかもその堅牢さに寄与する。可撓性クロージャの成形部分は、例えば、硬化性流体材料をモールド内の光学コンポーネント周りに注ぎ込み、この材料を硬化させ、硬化した材料がコンポーネントの周りに可撓性を有するが、耐久性のあるクロージャを構成するようにすることにより形成される。変形実施形態では、可撓性クロージャは、種々の光ネットワークコンポーネント、例えば、1本又は2本以上の光ファイバ、スプライス、スプライスホルダ、光コネクタ、ジャンパ、ファンアウト(単心多心分離器)、バッファ又はファンアウトチューブ、抗張力部材(抗張力体ともいう)、スプリッタ、モード光コンポーネント、例えばスイッチ、レーザ及びルータ、ワイヤレスコンポーネント、アンテナ、電気/銅コネクタケーブル及び電源装置又は他の任意の光学的及び電気的ハードウェア及びケーブルコンポーネントを単独で又は組み合わせて有するのがよい。好ましい一実施形態では、本発明は、スプライスと関連した少なくとも1つの成形部分を有する可撓性スプライスクロージャの形態をしているのがよい。
【0009】
さらに別の特徴では、少なくとも1つの成形部分は、光ファイバ通信ネットワーク内のケーブルアクセス点、光接続点及び光相互接続点を保護すると共に密封する複合成形本体の形態をしているのがよい。好ましい形態では、複合成形本体は、複合成形部分が装着された光ファイバケーブル及びこの中に収容されている光ファイバのほぼ最小曲げ半径に合わせて曲がることが可能である。種々の実施形態では、複合成形本体は、約1.0〜約10.0、好ましくは約1.0〜約5.0の曲げ力比を有するのがよい。曲げ力比は、第1の力と第2の力の比として定義され、第1の力は、複合成形本体(光コンポーネントがこの中に収容された状態で)を例えばマンドレルにより画定される光ファイバケーブルのあらかじめ選択された最小曲げ半径周りに約90°曲げるのに必要な力であり、第2の力は、同じ光ファイバケーブルをクロージャがこのケーブルに取り付けられていない状態で、この同じケーブルのあらかじめ選択された最小曲げ半径周りに約90°曲げるのに必要な力である。可撓性クロージャの取付けを容易にする本発明の好ましい実施形態では、1つ又は複数の複合成形本体は、約1.0の曲げ力比を有し、このことは、複合成形本体を曲げるのに必要な力がこの複合成形本体が設けられていない同じ光ファイバケーブルを曲げるのに必要な力にほぼ等しいことを意味している。種々の実施形態では、複合成形本体は、約1インチ(2.54cm)〜約5インチ(12.7cm)の外径を有し、この場合、機能を発揮する外径は、架空用途では約4インチ(10.16cm)までの値を取り、この場合3インチ(7.62cm)未満が好ましく、地中用途では約4インチまでの値を取り、この場合、2インチ(5.08cm)未満が好ましい。約3.0以下の直径比が好ましく、約2.0以下の比がより好ましい。約10〜約30のアスペクト比が好ましい。複合成形本体を構成する材料の固有の性質は好ましくは、弾性率が最高約3.0GPaであり、好ましい弾性率の範囲は、約0.001〜約0.1GPaであり、更により好ましい弾性率は、約0.044GPaである。複合成形本体は好ましくは、約0〜約0.5、より好ましくは約0.2〜約0.5、より好ましくは約0.30〜約0.5のポアソン比を有する。
【0010】
さらに別の特徴では、本発明は、「テザー取付け箇所」として役立つ所定の中間分岐点及び配線系ケーブルの少なくとも1本の成端光ファイバへのアクセスを可能にするそれぞれのテザーを有するあらかじめ加工された光ファイバ配線系ケーブル組立体の種々の実施形態を提供する。配線系ケーブル組立体をあらかじめ加工された光ファイバ通信ネットワークを得るために工場で製造でき(即ち、工場で準備でき)、この配線系ケーブル組立体は、現場での布設のためにケーブルリールに巻き付けられ又は違ったやり方でパッケージされる。テザーは、配線箇所又は成端点を所望の場所に位置決めすることができるよう各中間分岐点に短い長さのケーブルたるみをもたらし、それにより、光ファイバネットワークの設計施工、配線系ケーブル組立体の製造及び配線系ケーブル組立体の布設における絶対精度を不要にする。各中間分岐点における成端光ファイバをテザーケーブルの光ファイバにいったん光接続すると、可撓性クロージャを中間分岐点の全て又はその一部、また幾つかの実施形態においては、更にテザーの一部の周りに作ることができる適当な成形法を用いて中間分岐点を保護でき、幾つかの実施形態においては、更に密封するのがよい。光接続と関連した成形部分の材料特性により、クロージャは、工場で製造されたケーブル組立体を従来型ケーブル布設法を用いて布設できるほど十分可撓性であるようにすることができる。可撓性クロージャは又好ましくは、これが装着された光ファイバケーブルのほぼ最小曲げ半径に合わせて曲がることが可能であり、この可撓性クロージャを好ましくは、ケーブルそれ自体を曲げるのに必要な力にほぼ等しい力で曲げることができ、この可撓性クロージャは好ましくは、地中ネットワーク及び架空ネットワークにおける布設を可能にするほど小さな外径を有する。
【0011】
さらに別の特徴では、本発明は、少なくとも1つの中間分岐点と、このアクセス場所のところでアクセスされて成端処理される1本又は2本以上の光ファイバと、アクセス場所の全て又はその一部を包封する可撓性複合成形本体と、中間分岐点のところに取り付けられた少なくとも1本のテザーと、1本又は2本以上の成端光ファイバの上流側端部に光接続されたテザーの1本又は2本以上の光ファイバとを有する工場で準備できる光ファイバ配線系ケーブル組立体を提供する。テザーの光ファイバの下流側端部は、光接続端子、1つ又は2つ以上のドロップケーブルとの相互接続に利用でき、或いは、この光ファイバは、他の任意の適当なコンポーネント、例えば光コネクタ内で終端してもよい。テザーの光ファイバは、ドロップケーブルを配線系ケーブルの成端光ファイバに相互接続する役割を果たすことができる。中間分岐点に加えて、テザーの端部周りに位置決めされた可撓性光接続端子を、光コネクタ内で終端したテザーの光ファイバ周りに1つ又は複数の複合成形本体から成る成形部分を形成できる適当な成形法で形成するのがよい。複合成形光接続端子は、任意の仕方で配置された任意の数の光コネクタを有することができる。好ましい実施形態では、複合成形接続端子の保護及び密封性能は、従来型の実質的に不撓性の接続端子の性能に等しく又はこれに優る。複合成形材料の材料特性により、接続端子は、工場で製造されたケーブル組立体を従来のケーブル布設法を用いて布設できるほど十分可撓性があって且つ小形なものにすることができる。
【0012】
さらに別の特徴では、本発明は、光アクセス場所を実質的に包囲する1つ又は2つ以上の可撓性コンポーネントを有する可撓性光クロージャを提供し、この場合、例えばアクセス場所は、光ファイバケーブルの1本又は2本以上の成端光ファイバへのアクセスを可能にする。可撓性コンポーネントは、可撓性コンポーネントが装着されている光ファイバケーブル及びこの中の光ファイバのほぼ最小曲げ半径に合わせて曲がることができる。可撓性コンポーネントを、可撓性コンポーネントが取り付けられていない状態のケーブルそれ自体を曲げるのに必要な力にほぼ等しい力で曲げることができる。また、可撓性コンポーネントを撚ることができ、この結果、事実上任意の方向における曲げ及び撚りが得られる。可撓性コンポーネントは、任意の従来型導管に通し又は架空布設用シーブ及びプーリ上に掛けて地中及び架空ネットワーク内での布設を可能にするのに十分小さい外径を有する。さらに、可撓性コンポーネントは、約1.0〜約5.0、好ましくは約2.0の直径比(コンポーネントの外径とケーブルの外径の比)を有する。好ましい実施形態では、コンポーネントは、約10〜約30、より好ましくは約24のアスペクト比(可撓性コンポーネントの長さと可撓性コンポーネントの外径の比)を有する。1つ又は2つ以上のコンポーネントの固有の材料特性は、これらの可撓性に寄与し、しかも堅牢さに寄与し、又、幾つかの実施形態では、コンポーネントの形状及びこの中の抗張力部材の位置決めも又、剛性に寄与してコンポーネントに優先的な曲げ部を生じさせることができる。
【0013】
本発明の更に別の特徴では、可撓性クロージャ成形部分を形成する方法であって、(i)少なくとも1つの光コンポーネントをキャビティ内に配置するステップと、(ii)本質的にキャビティを充満させる流体の形態で硬化性材料をキャビティ内に導入し、流体が、少なくとも1つの光コンポーネントの周りの隙間に侵入し、本質的に光コンポーネントを被覆するようにするステップと、(iii)硬化性材料を適当な硬化条件で硬化させるステップとを有する方法が提供される。本発明の別の特徴では、少なくとも1つの成形部分を有する可撓性クロージャ組立体を取り付ける方法であって、(i)少なくとも1本のケーブルへの固定的に組み付けられる取付け部として可撓性クロージャを製造し、それにより可撓性クロージャ組立体を構成するステップと、(ii)パッケージ装置で可撓性クロージャ組立体をパッケージし、可撓性クロージャ組立体が撓むようにするステップと、(iii)可撓性クロージャ組立体を布設領域でパッケージ装置から繰り出すステップとを有する方法が提供される。
【0014】
本発明の追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載されており、かかる特徴及び利点は、この説明から当業者には容易に明らかになり、或いは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付の図面を含む本願において開示したような本発明を実施することにより認識されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上述の概略的な説明と以下の詳細な説明の両方は、本発明の実施形態を提供し、本発明がクレーム請求される本発明の性質及び特性を理解するための概観又は枠組を提供するようになっていることは理解されるべきである。添付の図面は、本発明の一層深い理解をもたらすために添付されており、かかる添付の図面は、本願の一部に組み込まれてその一部を構成する。図面は、本発明の種々の実施形態を示しており、詳細な説明と共に、本発明の原理及び作用を説明するのに役立つ。更に、図面及び本明細書の説明は、例示であって本発明を限定するものではない。
【0016】
今、本発明の現時点において好ましい実施形態を詳細に参照し、かかる実施形態の例が、添付の図面に示されている。可能であればいつでも、同一の参照符号は、図中同一又は同様な部分を示すために用いられる。
【0017】
図全体にわたり且つ種々の実施形態全体を通じて、本発明は、光コンポーネントが収納された可撓性光クロージャを提供する。可撓性クロージャは好ましくは、複合成形部分の形態をしているのがよい少なくとも1つの成形部分を有する。本発明の可撓性クロージャは、布設法及び布設機材を用いた布設を可能にするよう耐久性があり、しかも十分に可撓性を示す可撓性組立体を構成するよう光ケーブルと組み合わせられる。シーブ、布設プーリ及び導管の回りに曲げることができない剛性クロージャとは対照的に、本発明の可撓性クロージャは、曲げ可能且つ撚り可能であり、構造的一体性、密封性、光学的性能及び機械的性能を維持しながら布設プーリ周りに布設したり導管内に布設することができる。好ましい実施形態では、可撓性クロージャ組立体は、工場で製作され、あらかじめ加工が施されたケーブル組立体を製造するためにケーブル組立体の製造中、工場で取り付けられる。工場で準備された組立体は、最初に光ファイバ配線系ケーブルを布設し、次に現場で中間分岐を行う必要性をなくし又は軽減することができる。変形実施形態では、本発明の可撓性組立体をケーブル及びコンポーネントの布設後、ケーブル及び他の光ネットワークコンポーネントに利用することができる。その目的は、例えば硬化プラスチック又は金属で作られた従来の剛性で実質的に不撓性のクロージャ及びエンクロージャと比較して、優れた密封及び保護作用をもたらすことにある。
【0018】
光ファイバ配線系ケーブルを含む説明のための種々の実施形態では、配線系ケーブルは、配線系ケーブルから成端処理された少なくとも1本の光ファイバ(本明細書では、少なくとも1本の「予成端された」光ファイバともいう)へのアクセスを可能にするための配線系ケーブルの長さに沿って位置決めされた少なくとも1つのアクセス場所(これは本明細書においては、「中間分岐点(mid-span access location)」という)を有する。好ましい実施形態では、配線系ケーブル組立体は、配線系ケーブルの長さに沿って互いに間隔を置いた場所に位置する複数の所定の中間分岐点を有し、この結果、テザーケーブルを配線系ケーブルに取り付けるための多数のアクセス場所又はテザー取付け箇所(これは、本明細書では「タップ箇所」ともいう)が提供される。中間分岐点は、保護作用、可撓性及び密封作用を提供するための可撓性クロージャで覆われている。可撓性クロージャ及びテザーを含む光ファイバ配線系ケーブル組立体を、輸送又は比較的小さな内径又は相当きつい曲がり部を有する導管又はダクトを通して行われ又は従来型架空用係索機材、例えばシーブやローラによって布設できるようにリールに巻き付け、又は違ったやり方でパッケージするのがよい。本発明の配線系ケーブル組立体は、通信サービスプロバイダにケーブル輸送、布設及びネットワーク布設中に保護される中間分岐点を備えた工場で準備済みの低プロフィール光ファイバ配線系ケーブルを提供する。従来型クロージャの剛性構造体を無くすことにより、比較的小径又は相当大きな曲り部を備えた導管を通り又は架空従来型係索機材を通って布設するのに十分な可撓性を維持しながら中間分岐点長さを好ましくは最高約4フィート(1.219m)まで、より好ましくは最高約3フィート(0.914m)まで増大させることができる。本発明の技術的思想は、工場環境外の製造技術にも適用できる。
【0019】
「成形部分」、「複合成形され」及び「複合成形する」という用語が、本明細書全体にわたって用いられ、光アクセス場所、例えば中間分岐点と関連した現在公知の任意の又は将来開発される可撓性成形部分を説明することを意図している。本発明に用いられる例示の成形又は複合成形法は、(i)少なくとも1つの光コンポーネントを例えば、成形ツール、ダイス又はダイカスト法により作られたキャビティ内に配置するステップと、(ii)硬化性材料を流体の形態でキャビティ内に導入し、流体がキャビティにほぼ充満し、少なくとも1つの光コンポーネントの周りの隙間に侵入し、本質的に光コンポーネントを被覆するようにするステップと、(iii)硬化性材料を適当な硬化条件で硬化させるステップとを有する。本発明の可撓性クロージャの少なくとも1つの成形部分を形成する際に用いられる例示の方法としては、注ぎ込み及び射出成形法、加圧成形法及びダイカスト法が挙げられるが、これらには限定されない。本発明の可撓性クロージャの少なくとも1つの成形部分を成形する際に用いられる別の例示の方法としては、真空法及び熱成形法が挙げられる。また、ダイスを通して組立体を引き抜きながら可撓性クロージャ材料を押し出すことにより複合成形部分を被着できる。最も好ましくは、少なくとも1つの成形部分は、継ぎ目を備えていないので水が侵入せず、この少なくとも1つの成形部分は、本質的にモノリシック(一体形)の形態である。成形材料が光コンポーネントに接触することが好ましいが、可撓性カバー材料、例えば紙、プラスチック、チューブ又はテープ材料が、成形材料の付与に先立って少なくとも1つの光コンポーネントの少なくとも一部を被覆するのがよく、従って、硬化性材料が被覆領域のコンポーネントには接触しないようになる。本発明に適した例示の材料としては、ポリウレタン、シリコーン、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、UV硬化性材料その他の材料を単独で又は組み合わせて用いたものが挙げられるが、これらには限定されない。これら材料は、適当な添加剤、例えば可塑剤、難燃添加剤及び染料又は着色剤を含むのがよい。好ましい実施形態では、かかる材料は、光相互接続部又はコンポーネントを覆う耐久性があって可撓性の被覆材である複合成形本体を形成し、下に位置するコンポーネントと外部環境との間の密封一体性を維持し、少なくとも最高約600ポンド(272kg)まで又はそれ以上の破砕力に耐えることができる。この成形法を用いると、所定領域の、例えば中間分岐点の全て又はその一部を包囲して密封する保護本体を作ることができる。被覆された領域の部分及び密封性能を特定の用途に基づいて所望に応じて増大させ又は軽減することができる。複合成形部分は、1つ又は2つ以上のあらかじめ成形された部品を更に有するのがよく、これらあらかじめ成形された部品は、ケーブル又は少なくとも1つの成形部分に追加されて互いに融着され又は違ったやり方で互いに取り付けられて一体本体を形成し、その結果、部品相互間に事実上の継ぎ目が生じる場合がある。「硬化性」という用語は、熱可塑性硬化、化学添加剤による硬化、例えば熱エネルギ又は光エネルギ及び相変化によるエネルギ硬化を含む触媒による硬化を意味している。
【0020】
図1及び図2A〜図2Cを参照すると、あらかじめ加工された配線系ケーブル組立体20が、中間分岐点24の周りに成形部分又は複合成形部分を備えた可撓性クロージャ22を有するものとして示されており、この場合、中間分岐点24は、配線系ケーブル28の1本又は2本以上の成端光ファイバ26へのアクセスを可能にする。好ましい実施形態では、可撓性クロージャ22は、本質的に任意の方向に且つ種々の曲げ半径、例えばS字形又はU字形或いは他の曲げ形状を定める単一の弧又は弧の組合せ状態で角度α(図2B)回りに曲げ可能であると共に(或いは)角度β(図2C)回りに撚り可能であるが、この可撓性クロージャが装着された配線系ケーブル28の設計中立軸線及び最小曲げ半径回りに可撓性クロージャを曲げることが最も好ましい。最小曲げ半径は、例えば光減衰と関連した機械的又は光学的性能に鑑みて光ファイバ又は光ファイバケーブルを曲げるべきではない下限の半径として定義される。最小曲げ半径は、光ファイバケーブルの取扱いにおいて特に重要なものであり、この最小曲げ半径は、種々のケーブル設計及び種々の形式の光ファイバ、例えば、従来型光ファイバ及び曲げの影響を受けない光ファイバによって様々であってよい。一般に、光関連の製造業者は、布設中及びケーブルの長期間布設のためにケーブルを安全に曲げることができる最小半径を規定している。最小曲げ半径は、例えば布設作業中にケーブルに作用する圧縮又は引張と関連した応力に起因する場合があり、例えば、ケーブルを図2に参照符号43で全体を示すシーブ、ホイール、ドラム又は他の弧状面回りに曲げる場合がある。
【0021】
可撓性クロージャ22をクロージャ22が取り付けられていない状態でケーブル28それ自体を曲げるのに必要な力にほぼ等しい力で曲げることができる。可撓性クロージャ22は、あらかじめ加工されたケーブル組立体を地中及び架空ネットワークにおいて導管又はダクトに通し又は架空布設シーブ、ホイール及びプーリに掛けて布設することができるほど十分に小さな外径を有する。成形又は複合成形材料それ自体の固有の特性は、クロージャ22の可撓性に寄与し、又、幾つかの実施形態では、クロージャ22の幾何学的形状及び可撓性クロージャ22内の抗張力部材の位置決めは、剛性の制御に寄与すると共に可撓性クロージャ22に優先的な曲げ部を生じさせることができる。
【0022】
中間分岐点24は、配線系ケーブル28の1本又は2本以上の成端光ファイバ26をテザー34の1本又は2本以上の光ファイバ32に光接続する手段を提供する。本明細書で用いる「テザー」という用語は、管状本体内に納められた1本又は2本以上の光ファイバを有するケーブルとは別個のものであって、断面形状が適当なものであってよい光ファイバケーブル又は管状本体34aを含むことが意図されている。管34aは、そのいずれか一方の端部又は両端部に、望ましくない物質の流入を阻止するための遮断器具、熱収縮器具又はプラグを有するのがよい。光ファイバ接続技術分野において知られ、理解されているように、テザー34の1本又は2本以上の光ファイバ32及び配線系ケーブル28の1本又は2本以上の光ファイバ26を任意の仕方で、例えば、融着接続又はメカニカルスプライス接続により個々に又は一括して互いにスプライス接続し又はこれとは違ったやり方で接続することができる。テザー34を最終的には、光ファイバ分岐ケーブル又は加入者施設のところの外部工場光接続終端装置、例えばネットワークインターフェイス装置(NID)に接続された1本又は2本以上の光ファイバを納めた光ファイバドロップケーブルに相互接続するのがよい。この結果、配線系ケーブル組立体20は、配線系ケーブルの光ファイバを分岐ケーブル又はドロップケーブルの光ファイバに相互接続するために光ファイバネットワーク中にテザー付き配線箇所又は成端点を提供する。
【0023】
中間分岐点24は、単一のファイバ又は光ファイバ26のサブセットがあらかじめ成端処理され、配線系ケーブル28の残りの元のままの光ファイバとは別個に引き回される配線用ケーブル28に沿う箇所である。工場で中間分岐点24をどのように準備するかの一例を説明すると、配線用ケーブル28のシース36の一部を除去してその下に位置する複数の管状本体(例えば、バッファチューブ38)を露出させる。図示のように、バッファチューブ38は、公知の仕方で螺旋に巻かれている。配線系ケーブル28及びバッファチューブ38の露出長さは、様々であってよい。しかしながら、好ましい実施形態では、この長さは、約3〜約36インチ(7.62〜91.44cm)である。バッファチューブ38の露出長さは、後で行うスプライス接続のために光ファイバの約5〜約30インチ(12.7〜76.2cm)分を引き出すことができ、それにより2回以上のスプライスを得ようとするのに十分な余裕又はたるみのあるファイバ長さが得られる。
【0024】
中間分岐点24が所与の場合、適当なバッファチューブ38にノースカロライナ州ヒッコリー所在のコーニング・ケーブル・システムズ・エルエルシー(Corning Cable Systems LLC)から入手できる標準のノースラック・オプティカル・ファイバ・アクセス・ツール(No-Slack Optical Fiber Access Tool:NOFAT)を用いて多くの場所でアクセスできる。NOFATツールは、制限された量のケーブルたるみを得ることができ、バッファチューブ38が中心部材(図示せず)に螺旋に巻き付けられたままの状態である場所に用いるのに適している。NOFATツールは、バッファチューブ38又はこの中に納められている光ファイバを完全には断ち切らないでメスでバッファチューブ38を開くことができるようにする案内となる。NOFATツールは、コーニング・ケーブル・システムズ社のALTOS(登録商標)ケーブルに利用されるバッファチューブ38の標準サイズに準拠している。図示していないが、バッファチューブの多数のアクセスポートが、適当なバッファチューブ38に切断形成される。下流側アクセスポートで始まって、所定本数の光ファイバにアクセスしてこれらを切断する。12本の光ファイバを有するバッファチューブ38では、例えば4本又は8本の光ファイバをあらかじめ成端処理するのがよい。バッファチューブ38内に入っている残りの光ファイバは、元のままであって、配線系ケーブル28を通って続き、場合によっては、別の下流側の中間分岐点であらかじめ成端処理される。次に、切断した光ファイバを同じバッファチューブ38に切断形成された上流側アクセスポートから引き出し、それにより全部で約5〜約30インチの光ファイバの長さを露出させる。変形実施形態では、幾つかの段階で所望長さの光ファイバを首尾よく引き出すために多数の上流側アクセスポートを単一のバッファチューブ38に切断形成してもよい。光ファイバの最小曲げ半径は、ファイバの引き出しプロセス中に損なわれることはない。光ファイバをバッファチューブ38から取り出した後、止水ゲル(バッファチューブ内に存在していれば)を露出状態の光ファイバの全長から除く。
【0025】
配線系ケーブル28の光ファイバ26をこれらそれぞれのバッファチューブ38からスムーズに移行させ、次に上述したようにテザー34の光ファイバ32に接続する。スプライス箇所を、1つ又は2つ以上のスプライスプロテクタ40又は熱変形性材料で保持すると共に保護するのがよい。露出状態のアクセスポートを適当な材料、例えばRTV又はエポキシで封止するのがよい。スプライス箇所は又、シールスプライスプロテクタチューブ内に保持してもよい。幾つかの実施形態では、止水パッケージ材及び(又は)保護層を複合成形に先立って中間分岐点24の周りに追加するのがよい。複合成形法では典型的には、配線系ケーブル28のシース36を例えば表面をクリーニングすると共に粗くし、火炎前処理又は化学的に前処理することにより当該技術分野において公知の仕方で準備する。組立体を複合成形ツール(図8に示す)内に配置し、液体材料を成形ツールにより画定されたキャビティ内に導入する。
【0026】
テザー34は、任意の長さを有してよいが、好ましい実施形態では、約100フィート(30.48m)以下、より好ましくは約25フィート(7.62m)以下、更により好ましくは約12〜15フィート(3.66〜4.57m)の長さを有する。テザー34は、予備成端光ファイバ26へのアクセスが布設後、中間分岐点24の配置状況とは無関係に任意の場所で行うことができるようにする。このようにして、テザー34により、配線系ケーブル組立体20を中間分岐点24の配置において絶対精度が要求されない状態であらかじめ加工して製造することができる。所望ならば、テザー34をバンド掛け42、係索、クランプ又は他のこれに類似した締結部を用いて配線系ケーブル28にその長さに沿って所定の間隔で可撓性クロージャ22内部とクロージャ22の外部の両方(図示せず)でしっかりと取り付けることができる。配線系ケーブル28とテザー34を工場で互いに係索し、リールに巻き付けて配線系ケーブル組立体20一式とする。外部クロージャ係索は、配線系ケーブル組立体20の布設中、定位置のままであるのがよく、テザーを所望の場所に位置決めすると、布設に続いて取り外すのがよい。
【0027】
図示していないが、テザー34は、例えば保護本体内に納められたいつでもスプライス接続可能な状態にある1本又は2本以上の光ファイバで終端しているのがよく、従って、光ファイバを現場で仕上げて光ファイバ分岐ケーブル又は光ファイバドロップケーブルのそれぞれの光ファイバにスプライス接続できるようにする。テザー34は又、種々の形式のコネクタ、例えばSC、LC、DC、FC、ST、SC/DC、MT−RJ、MTP、MPO及び現在知られており又は将来開発される他の同様の単心又は多心光ファイバフェルールを備えた状態で構成されるコネクタ取付け済み光ファイバで終端してもよい。保護本体は好ましくは、予想破砕力に耐えるように設計され、熱変形性材料又は複合成形材料によりテザー34に固定される。熱変形性材料又は複合成形材料は又、テザー34のシースと保護本体の種々の外径相互間のスムーズな移行をもたらすことができ、この結果、導管又は架空係索機材に通って行われる布設を助ける。
【0028】
特に図2Aを参照すると、図1の可撓性クロージャは、組み立てられていて従来型ケーブル布設法を用いていつでもケーブル布設ができるような状態で示されている。可撓性クロージャ22の固有の性質及び物理的特性は、光ファイバ通信ネットワーク内のケーブルアクセス点、光接続点及び光相互接続点を保護すると共に密封する他の複合成形本体にも適用できることは理解されるべきである。可撓性クロージャ22は、これが装着されている光ファイバケーブルのほぼ最小曲げ半径に合わせて曲げ可能であることが好ましい。可撓性クロージャ22の曲げ力の比は、約1.0〜約5.0、より好ましくは約1.3〜約3.4であり、この場合、曲げ力比は、2つの力の比、即ち、可撓性クロージャ22を光ファイバケーブルに望ましい最小曲げ半径回りに90°曲げるのに必要な第1の力を、同じ光ファイバケーブルをこのケーブルの最小曲げ半径回りに90°曲げるのに必要な力である第2の力で除算した比として定義される。最も好ましい実施形態では、可撓性クロージャ22の曲げ力比は、約1.0であり、これは、可撓性クロージャ22を曲げるのに必要な力が、クロージャ22が設けられていないこの同じ光ファイバケーブルを曲げるのに必要な力にほぼ等しいことを意味している。この比を決定する主要な要因のうちの幾つかは、ケーブル及び可撓性クロージャ22の剛性及び直径である。複合成形材料の剛性及び直径が増大すると、この比も増大する。ケーブルの剛性及び直径が増大すると、この比は減少する。
【0029】
特に図2Bを参照すると、可撓性クロージャ22は、このクロージャ及びこの中の光学的内容物に対する物理的損傷を招かないで、巻き取り、布設及び布設中曲げ可能である。好ましい実施形態では、可撓性クロージャ22は、約0°〜約30°の曲げ範囲を有し、全体がシーブ、プーリ、導管壁又は他の布設機材又は障害物を表すために用いられた弧43回りに曲げられた状態で示されている。曲げ角は、参照符号200のところで角度αとして示されている。代表的な布設では、約0°〜約180°の曲げ範囲が通常は、適正な布設を可能にするのに十分である。特に図2Cを参照すると、可撓性クロージャ22は又、クロージャ構造体又は内容物への損傷を招かず、しかも密封を損なわないで撚り可能である。可撓性クロージャ22は又、物理的損傷を招かないで、他の複雑な形状、例えばS字曲線及びループの状態に曲げることも可能である。可撓性クロージャ22は又、同時に曲げと撚りを行うことができる。
【0030】
再び図2Aを参照すると、クロージャ22は好ましくは、約0.5〜5インチ(1.27〜12.7cm)の外径D1を有し、この場合、機能を発揮する外径は、架空用途では最高約4インチまでであり、この場合3インチ未満が好ましく、又、機能を発揮する外径は、地中用途では最高約4インチまでであり、この場合、2インチ未満が好ましい。最も好ましい可撓性クロージャ22の外径は、任意の従来型の導管又は吊りブロックを介する地中ネットワーク布設と架空ネットワーク布設の両方を可能にするためには1インチ(2.54cm)未満である。可撓性クロージャ22は好ましくは、約2.0の直径比(複合成形材料の外径をケーブル外径D2で除算して得られる比)を有し、他方、約3.0の直径比も又、使用できる。好ましいクロージャ実施形態は、約10〜約30、より好ましくは約20〜約30のアスペクト比(これは、クロージャ22の長さLを外径D1で除算して得られる比である)を有する。
【0031】
複合成形材料それ自体の固有の性質も又、可撓性クロージャ22の剛性に寄与する。可撓性クロージャ22の曲げを特徴付けるために用いられる2つの材料特性は、弾性率(ヤング率)とポアソン比である。ヤング率は、引張又は圧縮の際の応力−歪曲線の最初の直線弾性部分の勾配であり、ポアソン比は、軸方向加重の際の横方向歪と一軸方向歪の比の絶対値である。複合成形材料は好ましくは、適当な材料から選択され、かかる材料としては、弾性率が最高約3.0GPaまで、好ましい弾性率範囲が約0.001〜約0.1GPa、更により好ましい弾性率が約0.044GPaのポリウレタン、シリコーン、熱可塑性樹脂及びこれらに類似した材料が挙げられるが、これらには限定されない。可撓性クロージャ22は好ましくは、約0〜約0.5、より好ましくは約0.2〜約0.5、更により好ましくは約0.30〜約0.5のポアソン比を有する。
【0032】
図1〜図4を参照すると、可撓性クロージャ22は、配線系ケーブル28から成端処理された光ファイバ26と配線系ケーブル28内に残っている光ファイバとの間の経路長差を減少させ、それにより曲げにより引き起こされる軸方向引張応力に起因する成端光ファイバの破断を阻止するための優先的な曲げ部を有するのがよい。成端光ファイバ26は、これらのそれぞれのバッファチューブからテザー34内へスムーズに移行している。成端光ファイバ26を残りの光ファイバから別々に引き回すことにより、成端光ファイバ26と残りの光ファイバとの間の経路長差が、中間分岐点を非共通軸線に沿って曲げたときに生じる。曲げにより引き起こされるこれら経路長差は、成端光ファイバ26が配線系ケーブル28からテザー34内へ移行しているときに成端光ファイバ26が中立曲げ軸線に沿って引き回されない場合に生じる。種々の実施形態では、アクセス場所24に優先的な曲げ部をもたらすために、1つ又は2つ以上の抗張力部材を複合成形に先立って各中間分岐点に追加するのがよい。他の実施形態では、中間分岐点24を幾何学的形状を備えるように複合成形し、中間分岐点24が中立軸線に沿って曲がるようにしてもよい。さらに別の実施形態では、1つ又は2つ以上の抗張力部材の両方を複合成形に先立って中間分岐点24に追加し、中間分岐点24を中立軸線に沿う曲げを促進する幾何学的形状を備えるように複合成形する。
【0033】
具体的に説明すると、可撓性クロージャの優先的な曲げ部の特性を生じさせるには、1つ又は2つ以上の抗張力部材30を全体として配線系ケーブル28に整列させるのがよい。1つ又は2つ以上の抗張力部材30は好ましくは、ロッドの形をしており、中間分岐点24の長さに沿って長さ方向に延びる。しかしながら、当業者には理解されるように、抗張力部材30は、優先的な曲げ部を備える中間分岐点24を形成するのに十分な多種多様な形状を有するものであってよい。1つ又は2つ以上の抗張力部材30は、複合成形に先立って、中間分岐点24内に位置決めされる。好ましくは、抗張力部材30は、ガラス繊維強化プラスチック(GRP)から形成される。しかしながら、当業者には理解されるように、中間分岐点24の優先的な曲げ部を形成するよう配線系ケーブルの曲げ半径と適合性のある曲げ半径を備える任意のプラスチック、ガラス繊維、複合材、ヤーン又は金属材料を使用してもよい。
【0034】
特に図3を参照すると、A−A線のところで中間分岐点24を通って取った配線系ケーブル組立体20の断面図が示されている。曲げは、参照符号100で指示した中立軸線に沿って生じる。本明細書で用いる「中立軸線」という用語は、成端光ファイバ26及び配線系ケーブル28の残りの光ファイバ44の軸方向応力が実質的にゼロに等しい場所としての軸線を意味するものであり、この結果、成端光ファイバ26と残りの光ファイバ44との経路長差が減少する。中間分岐点24を中立軸線100に沿って曲げることにより、抗張力部材30に等しく応力が加わる。力を中間分岐点24に加えた場合、抗張力部材30の軸方向整列及び引張強度は、捩りを最小限に抑えると共に中間分岐点24が中立軸線100に沿って曲がるようにする。さらに、抗張力部材30の使用により、優先的な曲げ部が中間分岐点24の複合成形材料の最も薄い又は最も弱い領域に生じる応力の大きさを減少させる軸線に沿って作られるので可撓性クロージャ22の一体性が保たれる。
【0035】
特に図4を参照すると、中間分岐点の別の例示の実施形態の断面図が示されている。先の実施形態の場合と同様、中間分岐点は、追加の抗張力部材30を有する。中間分岐点の可撓性は、主として、選択された複合成形材料及び可撓性クロージャ22の幾何学的形状で決まる。図示のように、幾何学的形状は、参照符号46で指示されたD字形切れ目を作ることにより又は所望の断面形状のツール内にクロージャ22を複合成形することにより作られる。抗張力部材30及び可撓性クロージャ22の幾何学的形状を組み込むことにより、中間分岐点は、中立軸線100に沿って優先的な曲げ部を有する。変形実施形態では、追加の抗張力部材30を省いてもよく、可撓性クロージャ22の幾何学的形状は、程度は小さくなるにしても、中立軸線100に沿って優先的な曲げ部を依然としてもたらす。
【0036】
図5を参照すると、テザー34の端部周りに位置決めされた光接続端子50を用いると、配線系ケーブル組立体の布設に続いて生じるあらかじめ施工されたスパン長さ距離と実際のスパン長さ距離の差に起因する中間分岐点34の不適当な配置に起因するスパン長さ測定上の問題を軽減することができる。光接続端子50は、中間分岐34から遠くの所望の場所を、例えば、電信柱、ハンドポール、ペデスタル(接続点保護箱)、ネットワーク接続端子等のところにドロップケーブル相互接続箇所をもたらす。光接続端子50は、配線系ケーブル28の成端光ファイバ26に光接続されたテザー34の1本又は2本以上の好ましくはあらかじめコネクタが取り付けられた光ファイバへの外部からのアクセスを可能にする1つ又は2つ以上のコネクタポート52を有する。コネクタポート52を用いると、1本又は2本以上のコネクタ取付け済み光ファイバドロップケーブル(図示せず)の光ファイバを光ファイバ通信ネットワーク内の所望の場所で光ファイバ配線系ケーブル28の成端光ファイバ26に容易に相互接続することができる。ネットワーク実施形態では、下流側の場所を、例えば加入者施設又はペデスタルから延びる複数本のドロップケーブルをコネクタポート52に光接続するのがよく、このため、現場の技術者は、ドロップケーブルを都合のよい場所で、しかも他の接続状態にあるドロップケーブルの邪魔にならないようにして容易に接続したり切り離し或いは再構成できる。
【0037】
光接続端子50は、好ましくは上述した複合成形法で作られたハウジング54を有する。ハウジング54は、配線系ケーブル28を包囲しているが、これには固定されておらず、従って、ハウジング54を配線系ケーブル28の長さに沿って滑らせ又は所望に応じて配線系ケーブル28から取り外すことができるようになっている。コネクタポート52(これらのそれぞれの光コネクタ、レセプタクル及び光ファイバを含む)、配線系ケーブル28及びテザー34の前処理端部は全て、複合成形ツール内に配置される。変形実施形態では、保護層、例えば錫又はアルミニウムで作られた箔(これには限定されない)を用いて、光接続端子50の下に位置するコンポーネントを複合成形前に保護することができる。他の材料を用いて複合成形に先立ってコンポーネントを保護することができるが、その条件として、材料が下に位置するコンポーネント及びこれらの構造に合わせて形作られ又は形成できるということが挙げられる。箔又は他の材料の層が、配線系ケーブルの周りに配置され、その目的は、複合成形ハウジング54と配線系ケーブル28との間の摩擦を減少させてこれらの付着を阻止して端子50を布設後、配線系ケーブル28の長さに沿って滑らせることができるようにすることにある。
【0038】
コンポーネントを複合成形ツール内にいったん正しく位置決めすると、ツールの第2の部分を第1の部分と共に、複合成形材料を受け入れるキャビティを形成するよう位置決めする。あらかじめ選択された複合成形材料を複合成形ツールにより画定されたキャビティ内に射出し又は注ぎ込む。複合成形ハウジング54は、保護シェルとなり、密封一体性を維持し、又、最高少なくとも約300ポンド(136kg)までの破砕力に耐えることができる。ハウジング54は、所望の個数のコネクタポート52に対応するのに十分な長さ及び幅を備え、又、このハウジングは、比較的小径の導管又は各係索機材を通って組立体を布設できるほど十分可撓性がある。可撓性の程度は、選択された材料、下に位置するコンポーネントの幾何学的形状及びハウジング54それ自体の幾何学的形状で決まる。例えば、複合成形ハウジング54は、下に位置する配線系ケーブル28の優先的な曲げと同一方向に優先的な曲げ部を有するのがよい。ハウジング54に影響を及ぼして或る特定の方向に曲がるようにするために、ボイド56を優先的な曲げ部の方向でハウジング54に成形するのがよい。ボイド56は、曲げ中に圧縮されなければならないハウジング材料の量を減少させ、この結果、その方向における曲げが容易になる。変形実施形態では、配線系ケーブル28及び端子50が共通軸線に沿って曲がるようにするために複合成形に先立って抗張力部材を光接続端子50に追加するのがよい。全ての実施形態において、複合成形ハウジング54は、任意の形状を有してよいが、好ましい形状は、低プロフィールであると共に導管又は各係索機材を通って組立体を布設する際のスナッギング(かぎ裂き)を回避するよう丸くされ又はテーパ付きの端部を有する。コネクタポート52を包囲するハウジング54の形状も又、スナッギングを回避するために丸くされている。
【0039】
図示の例は、布設の際の融通性が得られるよう直線状に配置された4個のコネクタポート52を有している。各コネクタポート52は、テザー34のコネクタ取付け済み光ファイバを導出し、光ファイバドロップケーブルのあらかじめコネクタが取り付けられたプラグを受け入れる堅牢化されると共に歪除去されたレセプタクル58、アダプタ又は軸合わせスリーブを有する。換言すると、各コネクタポート52は、コネクタポートの内側でテザー34の1本又は2本以上の予備成端光ファイバを導出し、コネクタポート52の外部であらかじめコネクタが取り付けられた光ファイバドロップケーブルを受け入れることができる光ファイバレセプタクルである。本明細書で用いる「コネクタポート」という用語は、広義には、テザー34の光ファイバ(いつでもスプライス接続できる状態の又はコネクタ取付け済みの光ファイバ)をドロップケーブルの光ファイバに光接続させる開口部を含むものである。種々の実施形態では、コネクタポート52は、つがい関係をなすコネクタを対向した物理的接触状態に軸合わせしてこれを維持するための工場で取り付けられたコネクタ軸合わせスリーブ(図示せず)を有するのがよい。好ましくは、コネクタポート52は、テザー34及びドロップケーブルの光ファイバ相互間の光接続部のところに環境シールを更に備えている。コネクタポート52は又、ドロップケーブルに加わる引張荷重をハウジング54に伝えるよう働くことができる。各コネクタポート52は、輸送及び布設中、そしてコネクタポート52が必要になるまで、保護ダストキャップ60で覆われている。保護ダストキャップ60は、水及び他の汚染要因物がコネクタポート52に入り込んでこの中に納められている光ファイバを損傷するのを阻止する。
【0040】
図6を参照すると、光接続端子50の下流側端部の側面図が示されており、複合成形ハウジング54の一部は、複合成形ハウジング54内に固定され、保護ダストキャップ60で覆われた典型的なコネクタポート52を示すために取り外されている。コネクタポート52は好ましくは、端子50の全体的直径を減少させるためにハウジング54内で配線系ケーブル28に対して角度をなして差し向けられている。テザー34の光ファイバ32(保護外側シース又はジャケット内に位置した状態で示されている)は、これらのそれぞれのコネクタポート52に引き回されている。図示のように、レセプタクル58が、複合成形ハウジング54内に固定されており、或いはこのレセプタクルを複合成形ハウジング54により画定された開口部にねじ込んでもよい。レセプタクル58をハウジング54にねじ込むことにより、光ファイバ32をクリーニングするためにレセプタクル58の裏側にアクセスするためにレセプタクル58をハウジング54から取り外すことができる。ハウジング54内に過剰ファイバ長さを管理することができる。また、分岐部を端子50の上流側端部でハウジング内に保持するのがよい。
【0041】
図7を参照すると、複合成形マルチポート光接続端子70で終端するテザー34が配線系ケーブル28に取り付けられた代表的な中間分岐点24の斜視図が示されている。この実施形態では、複合成形光接続端子70は、配線系ケーブル28の成端光ファイバ26に光接続された1本又は2本以上の光ファイバへのアクセスを可能にする。複合成形光接続端子70を用いると、1本又は2本以上のコネクタ接続処理光ファイバ分岐又はドロップケーブルの光ファイバを光ファイバ通信ネットワーク内の所望の場所で光ファイバ配線系ケーブル28の成端光ファイバ26に容易に相互接続することができる。テザー付きの複合成形光接続端子70は好ましくは、テザー34の長さに沿って間隔を置いて締結部72を用いて配線系ケーブル28に係索される。4つのコネクタポート52が示されているが、任意の個数のコネクタポート52に対応できる。端子70は、巻取り、輸送及び布設中、追加の可撓性をもたらすことができるネック部分74を備え、配線系ケーブル28を受け入れて導管又は各係索機材を通る布設のための低プロフィール形態をもたらす溝を複合成形構造体の下面に形成するのがよい。複合成形構造体は、衝撃により引き起こされる損傷からコネクタポート52を保護する凹部76を更に備えている。引きグリップと布設に続き複合成形光接続端子70を所望の場所に固定するための特徴部の両方として成形タブ78を用いるのがよい。
【0042】
図8を参照すると、配線系ケーブル28に取り付けられたテザー34の部分を含む中間分岐点24を複合成形するツールの一例が示されている。複合成形ツールは、軟質包封複合成形材料が射出されるキャビティ84を構成するよう中間分岐点24周りに互いに結合する2つの半部80,82を有する。2つの半部80,82を、適当な締結部86、例えばねじ又はボルトを用いて互いに固定するのがよい。複合成形ツールは、配線系ケーブル28及びテザー34を受け入れ、材料の射出中及び硬化中に配線系ケーブル組立体を定位置に保持する特徴部88を更に有する。配線系ケーブル組立体20を材料の射出及び硬化中適正な位置に保持してこの配線系ケーブル組立体周りにぐるりと結果的に得られる複合成形材料の厚さが、撓み中の破損を回避するのに十分なものであるようにすることが重要である。複合成形ツールは、複合成形材料を射出する少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を更に有する。複合成形材料は、中間分岐点及びコンポーネントを包囲し、コンポーネントと内部キャビティの壁との間の空間を全て満たす。
【0043】
変形実施形態では、他の光接続端子を複合成形法で形成してもよく。かかる他の光接続端子としては、任意の仕方で配置される任意の数の光コネクタが挙げられる。好ましい実施形態では、複合成形光接続端子の保護及び密封性能は、従来型の剛性接続端子の性能に等しく又はこれよりも優れている。複合成形材料の材料特性により、接続端子は、工場で製造されたケーブル組立体を従来型ケーブル布設法を用いて布設できるほど十分可撓性であって且つ小型のものにすることができる。
【0044】
本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の種々の改造例及び変形例を想到できることは当業者には明らかである。このように、本発明の改造例及び変形例が、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲及びその均等範囲に属する限り、本発明は、かかる改造例及び変形例を含むものである。例えば、他の可撓性クロージャ及び構造体を工場内で取り付けることができない従来型の剛性組立体に取って代わるためにあらかじめ加工されたケーブル組立体の製造に用い、クロージャ又はこの中のファイバに対する損傷を招かないで、従来型ケーブル布設法を用いて布設できる。複合成形材料の材料特性及び物理的性質並びに複合成形法も又、組立体が可撓性を保ち、この組立体内のファイバ及び接続部が、従来型布設の際の応力にさらされたときにそれほど減衰を生じさせない限り、設計変更できる。本発明の可撓性クロージャの可撓性の全て又は実質的に全ては好ましくは、可逆的な弾性曲げの際に応力が加えられる材料の弾性挙動で得られるが、本発明を1つ又は2つ以上のコンポーネントにその予想弾性限度を超えて応力を加えるという状況で実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】配線系ケーブルの典型的な中間分岐点を保護することができる可撓性クロージャ(断面で示されている)の斜視図であり、1本又は2本以上の光ファイバが、配線系ケーブルから成端処理され、中間分岐点でテザーに移行した状態を示す図である。
【図2A】組み立てられていて、ケーブル布設法によりいつでもケーブル布設ができるようになった状態で示された図1の可撓性クロージャの斜視図である。
【図2B】全体としてリール、シーブ、プーリ、導管の内壁又は他の布設ツール或いは障害物を表す弧の周りに曲げられた状態で示された図1の可撓性クロージャの斜視図である。
【図2C】布設を容易にするために撚られた状態で示された図1の可撓性クロージャの斜視図である。
【図3】A−A線に沿った図1の配線系ケーブル組立体の中間分岐点の断面図である。
【図4】可撓性クロージャ内に位置決めされた抗張力部材を有する中間分岐点の例示の実施形態の断面図であり、更に、優先的な曲げ部を提供するための特定の幾何学的形態を有する可撓性クロージャを示す図である。
【図5】直線状に配列された複数個のコネクタポートを有する調節可能な可撓性複合成形光接続端子の斜視図であり、コネクタポートがテザー光ファイバをコネクタ取付け済みドロップケーブルに相互接続できる状態を示す図である。
【図6】図5に示す複合成形光接続端子の斜視図であり、複合成形部分がこの中のファイバ取り扱いを示すために断面で示されている図である。
【図7】複数個のコネクタポートを有する複合成形光接続端子の別の実施形態の斜視図である。
【図8】複合成形ツールの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル布設法を用いて布設可能な少なくとも1本の光ファイバケーブルに取り付けられる可撓性クロージャであって、
該可撓性クロージャは、少なくとも1つの成形部分を有し、該成形部分は、弾性且つ軟質の材料で作られ、それにより、前記可撓性クロージャと関連した耐久性があり可撓性の本体及び保護光コンポーネントを形成し、前記光コンポーネントは、前記光ファイバケーブル内の少なくとも1本の光ファイバを含み、少なくとも1つの他の光コンポーネントは、前記少なくとも1本の光ファイバとの光接続部を形成し、
前記可撓性クロージャは、種々の方向に弾性的に曲げ可能且つ撚り可能であり、前記可撓性クロージャは、ケーブル布設機材に起因して前記可撓性クロージャに作用する応力に応答して撓んで前記可撓性クロージャの機械的一体性を維持し、前記可撓性クロージャ内に納められている前記光コンポーネントに関する性能を保護する、
ことを特徴とする可撓性クロージャ。
【請求項2】
前記可撓性クロージャは、該可撓性クロージャが装着された前記光ファイバケーブルのほぼ所定の最小曲げ半径に合わせて曲がることが可能である、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項3】
前記可撓性クロージャは、約1.0〜約5.0の曲げ力比を有する、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項4】
前記可撓性クロージャは、約4インチ(10.16cm)より小さい外径を有する、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項5】
前記可撓性クロージャは、約3インチ(7.62cm)より小さい外径を有する、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項6】
前記可撓性クロージャの外径と前記光ファイバケーブルの外径の比は、約1〜約4である、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項7】
前記可撓性クロージャは、約10〜約30のアスペクト比を有する、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項8】
前記可撓性クロージャの前記成形部分を形成するために用いられる材料は、約0.001GPa〜約3.0GPaの弾性率を有する、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項9】
前記可撓性クロージャの前記成形部分を形成するために用いられる材料は、約0.30〜約0.5のポアソン比を有する、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項10】
前記可撓性クロージャは、1本又は2本以上の成端光ファイバが前記光ファイバケーブルから別個に引き回され、テザーの1本又は2本以上の光ファイバにスプライス接続され又は違ったやり方で光接続された下に位置する中間分岐場所を保護すると共に密封する、
請求項1に記載の可撓性クロージャ。
【請求項11】
光ファイバ配線系ケーブル組立体に用いられる可撓性クロージャ組立体であって、
複数本の光ファイバを有する配線系ケーブルを有し、前記配線系ケーブルは、前記配線系ケーブルの長さに沿って位置決めされた少なくとも1つの所定の中間分岐場所を有し、
前記中間分岐場所においてアクセスされて前記配線系ケーブルから成端処理された前記配線系ケーブルの少なくとも1本の光ファイバを有し、
前記中間分岐場所で前記配線系ケーブルに取り付けられた第1の端部を有するテザーを有し、少なくとも1つの光コンポーネントが、前記配線系ケーブルの前記少なくとも1本の成端光ファイバに光接続された光ファイバであり、
前記中間分岐周りに位置決めされた可撓性クロージャを有し、前記可撓性クロージャは、ケーブル布設機材に起因して前記可撓性クロージャに作用する応力に応答して弾性的に曲げ可能であって撓むことができ、この場合、前記光接続の成形部分の実質的な破断又は亀裂発生を招かず、しかも、前記光接続の光学的性能をそれほど劣化させない、
ことを特徴とする可撓性クロージャ組立体。
【請求項12】
前記可撓性クロージャは、工場内において成形法により成形された成形部分を有し、前記可撓性クロージャは、次に、硬化され、ケーブル布設法を用いて布設される、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項13】
前記可撓性クロージャは、前記可撓性クロージャが装着された前記光ファイバケーブルのほぼ所定の最小曲げ半径に合わせて曲がることが可能であり、前記可撓性クロージャは、約1.0〜約5.0の曲げ力比及び約10〜約30のアスペクト比を有する、
請求項11に記載の可撓性クロージャ。
【請求項14】
前記可撓性クロージャは、架空用については約4インチ(10.16cm)以下の外径及び地中用については約3インチ(7.62cm)以下の外径を有する、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項15】
前記可撓性クロージャの外径と前記配線系ケーブルの外径の比は、約1〜約4である、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項16】
前記可撓性クロージャは、約0.001GPa〜約0.1GPaの弾性率を有する、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項17】
前記可撓性クロージャは、約0.30〜約0.5のポアソン比を有する、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項18】
前記可撓性クロージャ組立体は、あらかじめ製造されており、次に、ドライブオフ(drive-off)ケーブル布設法を用いて布設され、前記ドライブオフケーブル布設法では、前記ケーブルは、車両が前記ケーブル布設ラインに沿って動いているときに移動中の前記車両から繰り出される、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項19】
前記テザーは、柱間距離測定誤差を軽減し、光ネットワーク内の所望の場所で前記テザーに光学的に取り付けられた光接続端子の存在場所を突き止めるために最高約100フィート(30.48m)の長さを有する、
求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項20】
前記テザーは、前記テザーの第1の端部と反対側に位置していて、光接続端子又は1本又は2本以上の光ファイバドロップケーブルと相互接続可能な前記テザーの前記少なくとも1本の光ファイバを導出する第2の端部を更に有する、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項21】
前記成形部分の中間分岐場所は、優先的な曲げ部を備えている、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項22】
優先的な曲げ部を前記中間分岐場所にもたらす1つ又は2つ以上の抗張力部材を更に有する、
請求項11に記載の可撓性クロージャ組立体。
【請求項23】
可撓性クロージャ組立体であって、
1本又は2本以上のコネクタ取付け済み光ファイバドロップケーブルと相互に光接続可能に1本又は2本以上にコネクタ取付け済み光ファイバを導出する少なくとも1つのコネクタポートと、
可撓性複合成形ハウジングとを有する、
ことを特徴とする可撓性クロージャ組立体。
【請求項24】
可撓性クロージャ成形部分を形成する方法であって、
(i)少なくとも1つの光コンポーネントをキャビティ内に配置するステップと、
(ii)硬化性材料を流体の形態で前記キャビティ内に導入し、前記流体が本質的に前記キャビティを充満させ、前記少なくとも1つの光コンポーネントの周りの隙間に侵入し、本質的に光コンポーネントを被覆するようにするステップと、
(iii)前記硬化性材料を適当な硬化条件で硬化させるステップとを有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
硬化性材料を導入する前記ステップは、注ぎ込み及び射出成形法、加圧成形法、ダイカスト法、真空法、熱成形法、又はダイスを通って組立体を引っ張りながら前記硬化性材料を押し出す方法を含む、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化ステップの実施の結果として、本質的に成形されたモノリシック形態が得られる、
請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記硬化ステップにより、少なくとも1本の光ファイバケーブルを含む所定の光接続領域の全て又は一部を包囲してこれを密封する保護本体が形成される、
請求項24に記載の方法。
【請求項28】
光コンポーネントを配置する前記ステップは、前記光コンポーネントの少なくとも一部を被覆材料で被覆するステップを含み、それにより、前記硬化性材料は、前記被覆材料により覆われた領域中の前記光コンポーネントには接触しない、
請求項24に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの成形部分を有する可撓性クロージャ組立体を取り付ける方法であって、
(i)少なくとも1本のケーブルへの固定的に組み付けられる取付け部として可撓性クロージャを製造し、それにより可撓性クロージャ組立体を構成するステップと、
(ii)パッケージ装置で前記可撓性クロージャ組立体をパッケージし、前記可撓性クロージャ組立体が撓むようにするステップと、
(iii)前記可撓性クロージャ組立体を布設領域で前記パッケージ装置から繰り出すステップとを有する、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−133416(P2007−133416A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−328772(P2006−328772)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(501209863)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (65)
【Fターム(参考)】