説明

可撓性基板、および回路基板

【課題】信頼性が向上する可撓性基板、および回路基板を提供する。
【解決手段】電子部品2が実装される実装領域311、実装領域311の反対側に位置する背面領域312、および実装領域311側に折り曲げられ実装領域311と空間S1を介して対向する対向領域313を有した可撓性基板3であって、対向領域313から延びて設けられており、一部が背面領域312に折り曲げられており、かつ実装領域311と対向領域313との間隔を調整するための調整領域314を有した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が実装される実装領域を有した可撓性基板、および回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フレキシブル基板等の可撓性基板の実装領域に、IC(Integrated Circuit)、抵抗、コンデンサ等の電子部品を実装して回路基板を形成することが行われている。この電子部品は、衝撃に弱く、例えば、落下等により外部から衝撃が加わった場合、壊れる可能性があった。また、このような可撓性基板は電子機器に備えられることから、可撓性基板の実装領域に実装された電子部品が、電子機器に搭載された他の電子部品と接触することにより、実装領域から外れる可能性があった。また、電子部品が損傷を受ける可能性があった。このため、従来では、可撓性基板に、実装領域に折り曲げられ実装領域と対向する対向領域を設けることにより、外部の衝撃や干渉から電子部品を保護していた(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−48499号公報
【特許文献2】特開平11−112115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の可撓性基板では、実装領域に実装された電子部品を取り替えた場合、取り替えた電子部品を、対向領域によって十分に保護することができない可能性があった。例えば、抵抗値の小さい抵抗から抵抗値の大きい抵抗に電子部品を取り替えた場合、電子部品の外観の部品高さも大きくなる。このため、対向領域から電子部品が露出し当該電子部品を十分に保護することができない可能性があった。そのため、可撓性基板および回路基板の信頼性が低下する。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性が向上する可撓性基板、および回路基板に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の可撓性基板における一態様は、電子部品が実装される実装領域、該実装領域の反対側に位置する背面領域、および該実装領域側に折り曲げられ該実装領域と空間を介して対向する対向領域を有した可撓性基板であって、前記対向領域から延びて設けられており、一部が前記背面領域に折り曲げられており、かつ前記実装領域と前記対向領域との間隔を調整するための調整領域を有した。
【発明の効果】
【0007】
本発明の可撓性基板、および回路基板は、信頼性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る回路基板の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1中に示した切断線I−Iに沿って切断した断面図である。
【図3】本実施形態に係る回路基板を展開した展開図である。
【図4】図3に示す回路基板を斜めから見た場合の斜視図である。
【図5】図3に示す調整領域を拡大して表した図である。
【図6】変形例1に係る回路基板を展開した展開図である。
【図7】変形例2に係る回路基板を展開した展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材を簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る可撓性基板、および回路基板は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
【0010】
図1〜図4に示すように、本実施形態に係る回路基板X1は、電子部品2、および可撓性基板3を備えている。電子部品2は、例えば、IC、抵抗、コンデンサ等である。可撓性基板3は、フレキシブル基板、リジッドフレキシブル基板等である。なお、可撓性基板3は、例えば、ベースフィルムと、ベースフィルム上に形成された配線導体と、ベースフィルム上に設けられておりかつ配線導体を保護するカバーレイとを備えている。なお、可撓性基板3の機械的強度を向上させるために、ベースフィルムの背面に、部分的に、補強板を設けておいてもよい。
【0011】
本実施形態では、タッチパネルと、タッチパネルに対向して配置された表示パネルとを含んだ電子機器に、回路基板X1を組み込む例について説明するが、これに限定されない。すなわち、産業用途で使用されるプログラマブル表示器、電子手帳、パーソナルコンピュータ、複写機、ゲーム用の端末装置、テレビ、デジタルカメラ等の種々の電子機器に、回路基板X1を組み込んでもよい。
【0012】
可撓性基板3は、図3および図4に示すように、本体部31と、本体部31から第1方向に突出する第1突出部32と、本体部31から第2方向に突出する第2突出部33とを備えている。なお、本実施形態では、第1方向は、第2方向とは反対側の方向である。
【0013】
本体部31は、実装領域311、背面領域312、対向領域313、調整領域314、および接着領域315を有している。
【0014】
実装領域311は、電子部品2が実装される領域である。本実施形態では、実装領域311には、IC2aと、抵抗2bとが実装されている。カバーレイを切り取り、配線導体を露出することにより可撓性基板3に接続端子を形成し、この接続端子と電子部品2とを導電部材を介して接続することにより、実装領域311に電子部品2が実装される。なお、本実施形態では、IC2aは、タッチパネルを制御するためのドライバICである。
【0015】
背面領域312は、実装領域311の反対側に位置する領域である。本実施形態では、背面領域312は、ベースフィルムの背面の所定の領域である。
【0016】
対向領域313は、実装領域311と空間S1を介して対向する領域である。このため、対向領域313は、実装領域311から第3方向に延びて設けられており、屈曲線L1に沿って実装領域311側に折り曲げられている。なお、本実施形態では、第3方向は、第1方向および第2方向に対して垂直な方向である。対向領域313が実装領域311に折り曲げられることにより、外部の衝撃や干渉から電子部品2を保護することが可能となる。なお、本実施形態では、対向領域313が実装領域311に折り曲げ易くなるように、屈曲線L1の両端部における可撓性基板3には、平面視して半円弧状の切欠部C1が形成されている。なお、切欠部C1は、半円弧状には限定されない。また、切欠部C1は形成しなくともよい。
【0017】
調整領域314は、実装領域311と対向領域313との間隔を調整するための領域である。このため、調整領域314は、対向領域313から第3方向に延びて設けられており、一部が背面領域312に折り曲げられる。
【0018】
図5は、図3に示す調整領域314を拡大して表した図である。図5に示すように、調整領域314は、第1基材4a、第2基材4b、第3基材4c、第4基材4d、および第5基材4eが設けられている。具体的には、可撓性基板3を構成するカバーレイ上に、第1基材4a、第2基材4b、第3基材4c、第4基材4d、および第5基材4eが設けられている。これらの基材4a〜4eは、互いに間隔を空けて略平行に設けられている。なお、本明細書において「略」とは「実質的」と同じ意味である。基材4a〜4eの構成材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエステル、エポキシ等の樹脂である。
【0019】
本実施形態では、基材4a〜4e間に位置する各部位で背面領域312に折り曲げ可能である。具体的には、第1基材4aと第2基材4bとの間の部位41、第2基材4bと第3基材4cとの間の部位42、第3基材4cと第4基材4dとの間の部位43、および第4基材4dと第5基材4eとの間の部位44で背面領域312に折り曲げ可能である。このように、複数の部位41〜44を設けることで、調整領域314によって実装領域311と対向領域313との間隔を調整することが可能となる。
【0020】
なお、上記では、調整領域314に5つの基材4a〜4eが設けられている例について説明したが、これに限定されない。すなわち、調整領域314に少なくとも3つの基材が互いに間隔を空けて略平行に設けられていればよい。調整領域314に3つの基材が設けられている場合、基材間に位置する2つの部位で背面領域312に折り曲げ可能となる。
【0021】
また、基材4a〜4eを設ける代わりに、調整領域312に複数のスリットを形成してもよい。このようにしても、各々のスリットで背面領域312側に折り曲げ可能となる。
【0022】
接着領域315は、接着部材5を介して背面領域312に接着される領域である。このため、接着領域315は、調整領域314から第3方向に延びて設けられており、接着部材5が配置されている。接着部材5は、例えば、両面テープ、接着剤、はんだ等である。接着領域315が接着部材5を介して背面領域312に接着されることにより、実装領域311に対する対向領域313のズレを抑制することができる。
【0023】
第1突出部32は、図3に示すように、平面視してL字状をなしている。第1突出部32は、第1端子32a、および第2端子32bを有している。第1端子32aおよび第2端子32bは、カバーレイを切り取り、配線導体を露出することにより形成される。第1端子32aおよび第2端子32bは、例えば、タッチパネルにおける配線導体に電気的に接続される。
【0024】
第2突出部33は、図3に示すように、平面視して矩形状をなしている。第2突出部33は、第3端子33aを有している。第3端子33aは、カバーレイを切り取り、配線導体を露出することにより形成される。第3端子33aは、例えば、表示パネルの基板に設けられた端子に電気的に接続される。
【0025】
以上のように、本実施形態に係る可撓性基板3は、実装領域311と対向領域313との間隔を調整するための調整領域314を有している。このため、実装領域311に実装された電子部品2を取り替えることにより、電子部品2の部品高さが大きくなっても、調整領域314によって実装領域311と対向領域313との間隔を大きくすることが可能となる。そのため、対向領域313から電子部品2が露出し電子部品2を十分に保護する
ことができない可能性を低減できる。この結果、可撓性基板3および回路基板X1は、信頼性が向上する。
【0026】
なお、上述した実施形態は、本発明の実施形態の一具体例を示すものであり、種々の変形が可能である。以下、いくつかの主な変形例を示す。
【0027】
[変形例1]
図6は、変形例1に係る回路基板X2を展開した展開図である。図6において、図3と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0028】
回路基板X2では、可撓性基板3の対向領域313にシールド層6が設けられている。対向領域313にシールド層6が設けられているので、外部からの外来ノイズがシールド層6によって遮蔽される。外来ノイズがシールド層6によって遮蔽されるので、実装領域311に実装された電子部品2が誤動作を起こす可能性を低減できる。また、これとは逆に、電子部品2から発生する放射ノイズもシールド層6によって遮蔽される。放射ノイズがシールド層6によって遮蔽されるので、電子機器に搭載された他の電子部品が誤動作を起こす可能性を低減できる。
【0029】
なお、遮蔽効果をより高めるために、シールド層6は、グランド電位に設定されていることが好ましい。
【0030】
[変形例2]
図7は、変形例2に係る回路基板X3を展開した展開図である。図7において、図3と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
回路基板X3では、可撓性基板3の対向領域313に複数の貫通孔7が設けられている。対向領域313に複数の貫通孔7が設けられているので、実装領域311に実装された電子部品2から発する熱を、複数の貫通孔7から外部へ逃がすことができる。本実施形態では、対向領域313のうちIC2aに対向する領域に集中して複数の貫通孔7を設けている。IC2aは、抵抗2bと比べて、熱をより発生するからである。
【符号の説明】
【0032】
X1〜X3 回路基板
2 電子部品
3 可撓性基板
311 実装領域
312 背面領域
313 対向領域
314 調整領域
315 接着領域
4a〜4e 基材
5 接着部材
6 シールド層
7 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される実装領域、該実装領域の反対側に位置する背面領域、および該実装領域側に折り曲げられ該実装領域と空間を介して対向する対向領域を有した可撓性基板であって、
前記対向領域から延びて設けられており、一部が前記背面領域に折り曲げられており、かつ前記実装領域と前記対向領域との間隔を調整するための調整領域を有したことを特徴とする可撓性基板。
【請求項2】
前記調整領域から延びて設けられており、かつ接着部材を介して前記背面領域に接着される接着領域をさらに有した、請求項1に記載の可撓性基板。
【請求項3】
前記調整領域は、少なくとも3つの基材が互いに間隔を空けて略平行に設けられており、
前記基材間に位置する少なくとも2つの部位で前記背面領域に折り曲げ可能である、請求項1または2に記載の可撓性基板。
【請求項4】
前記対向領域にシールド層が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の可撓性基板。
【請求項5】
前記対向領域に複数の貫通孔が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の可撓性基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記実装領域に実装された電子部品と、を備える、回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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