説明

可撓性繊維性材料、汚染防止装置、及びそれらを作製する方法

可撓性繊維性材料が、無機繊維と結合剤とを含み、及びそれを作製する方法。結合剤は、アニオン性基を有する第1の有機ポリマーとカチオン性基を有する第2の有機ポリマーを含む凝集剤;又は第1の有機ポリマーと凝集剤との反応生成物;の少なくとも1種を含む。本発明による可撓性繊維性材料は、特定の汚染防止装置の中の構成要素として使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
汚染防止装置は、大気汚染を抑制するために自動車に使用されている。こうした装置の2つの種類、触媒コンバータ及びディーゼル微粒子フィルタ又はトラップが、現在広範に使用されている。触媒コンバータは触媒を含有し、触媒は典型的には、コンバータ中に取り付けられたモノリシック構造体の上にコーティングされている。金属モノリスが使用されてきているが、モノリシック構造体は典型的にはセラミックである。触媒は一酸化炭素及び炭化水素を酸化し、自動車排気ガス中の窒素酸化物を還元して大気汚染を抑制する。ディーゼル微粒子フィルタ又はトラップは一般に壁流フィルタであり、これは典型的には多孔質結晶性セラミック材料から作製された蜂の巣状モノリシック構造体を有する。
【0002】
構築されるとき、典型的には、これらの装置の各種類は金属ハウジングを有し、金属ハウジングは、金属又はセラミックであってもよく、最も一般的にはセラミックであるモノリシック構造体又は要素をその中に保持する。セラミックモノリスは、一般に、多量の表面積を提供する非常に薄い壁を有し、壊れやすく及び破損を受けやすい。それはまた、それが中に収容される金属(通常はステンレススチール)ハウジングよりほぼ1桁小さい熱膨張係数を有する。道路の衝撃及び振動によるセラミックモノリスへの損傷を避け、熱膨張の差を補い、モノリスと金属ハウジングとの間を排気ガスが通過することを防ぐために、多くの場合、セラミックモノリスと金属ハウジングとの間にセラミックマット又は膨張シート材料が配置される。セラミックモノリスを定置する又は挿入する及び金属ハウジング内に材料を取り付けるプロセスはまたキャニングと称され、膨張シート又はセラミックマットをモノリスの周りに巻き、巻かれたモノリスをハウジングの中に挿入するようなプロセスを包含する。
【0003】
セラミックマット及び膨張シート材料は、一般的にウェットレイドプロセスにより(例えば、一般に抄紙プロセスによる)、及びエアレイドプロセスにより作られ、それは例えば、ニードルタッキング、スティッチボンディング、水流絡合、又は結合剤含浸などの補強工程を任意に包含してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、本発明は、可撓性繊維性材料であって、
総重量を有しかつ結合剤により共に結合された無機繊維を含み、結合剤は、
(a)第1の有機ポリマー及び凝集剤、又は、前記凝集剤は、カチオン性基を有する第2の有機ポリマーを含む、
(b)前記第1の有機ポリマーと前記凝集剤との反応生成物、の少なくとも1種を含み、
前記可撓性繊維性材料が、無機繊維の総重量の9パーセント以下である総有機成分重量を有し、そして前記可撓性繊維性材料が、400〜15000グラム/平方メートルの乾燥坪量を有する、可撓性繊維性材料を提供する。
【0005】
本発明による可撓性繊維性材料は、特定の汚染防止装置に使用するために動作可能なように適合され得る(例えば、寸法を合わせる、設計されるなど)。
【0006】
それ故に、別の態様では、本発明は、汚染防止装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された汚染防止要素と、
前記ハウジングに隣接して、又は前記ハウジング中に配置された請求項1〜14のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料と、を含む、汚染防止装置を提供する。
【0007】
特定の実施形態では、可撓性繊維性材料は、汚染防止要素とハウジングとの間に配置される。
【0008】
別の態様では、本発明は、可撓性繊維性材料を形成する方法であって、
(a)水溶液中で、
総重量を有する無機繊維と
有機成分とを含む成分を混合することによって、スラリーを形成する工程と前記有機成分は、乳化された第1の有機ポリマーと凝集剤とを含み、前記凝集剤は、カチオン性基を有する第2の有機ポリマーを含む、
(b)前記乳化された第1の有機ポリマーの少なくとも一部分を、無機繊維の少なくとも一部分の上に凝集させて、凝集したスラリーを提供する工程と、
(c)前記凝集したスラリーを脱水させて、脱水したスラリーを提供する工程と、
(d)前記脱水したスラリーを更に乾燥させて、可撓性繊維性材料を形成させる工程と、
の各ステップを含んでなり、可撓性繊維性材料が、無機繊維の総重量の9パーセント以下である総有機成分重量を有する、可撓性繊維性材料を形成する方法を提供する。
【0009】
特定の実施形態では、ステップ(c)が、スラリーを、ウェットレイドプロセスにより作製されるシート材料(又は、例えば、及びエンドコーンのような3次元に成形された物品)に形成する工程を含み、そしてステップ(d)が、前記シート材料から前記可撓性繊維性材料を形成する工程を含む。シート又は3次元に成形された物品は、加圧成形される、コーティングされる、エンボス加工される、非平滑化される、又は他の手段により変更されてもよい。シート又は3次元に成形された物品は、他の材料の上に形成される若しくはラミネートされてもよいし、又は他の材料をその上に形成させる若しくはラミネートさせてもよい。特定の実施形態では、方法は、ステップ(d)の前に、前記脱水したスラリーを圧搾する工程を更に含む。特定の実施形態では、ステップ(b)及び(c)は同時に起こる。特定の実施形態では、成分は、未膨張の膨張性材料を更に含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、方法は、未膨張の膨張性材料を膨張させる工程を更に含む。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、上記の方法により作製された可撓性繊維性材料に関する。
【0011】
更に別の態様では、本発明は、水中に分散された又は溶解された、水を含むスラリーであって、
総重量を有する無機繊維と、
(a)乳化された第1の有機ポリマーと凝集剤、又は、前記凝集剤は、カチオン性基を有する第2の有機ポリマーを含む、
(b)乳化された第1の有機ポリマーと凝集剤との反応生成物、の少なくとも1種を含む有機成分、
を有し、
前記スラリーが、無機繊維の総重量の9パーセント以下である総有機成分重量を有する、スラリーを提供する。
【0012】
次の実施形態は、単独で又はいずれかの組み合わせにおいて、本発明のすべての態様及び以上に説明された具体的な実施形態に適用されてもよい。
【0013】
特定の実施形態では、乾燥重量基準で、可撓性繊維性材料は、91〜99.5重量パーセントの無機繊維を含み、可撓性繊維性材料は、無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する。
【0014】
特定の実施形態では、可撓性繊維性材料は、未膨張の膨張性材料を更に含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、乾燥重量基準で、可撓性繊維性材料は、40〜99.5重量パーセントの無機繊維、0より多く60重量パーセントまでの膨張性材料を含み、可撓性繊維性材料は、無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、膨張性材料は、バーミキュライト、グラファイト、又はこれらの組み合わせを含む。
【0015】
特定の実施形態では、第1の有機ポリマーはアニオン性基を有する。特定の実施形態では、第1の有機ポリマーはアニオン性基を含まない。特定の実施形態では、第1の有機ポリマーは、アクリルポリマー及びビニルポリマーからなる群から選択される。特定の実施形態では、第1の有機ポリマーは、エチレン及びビニルアセテートを含むモノマーのコポリマーを含む。特定の実施形態では、凝集剤は、金属カチオン(例えば、アルミニウムカチオン)を更に含む。特定の実施形態では、無機繊維はガラス繊維を含む。特定の実施形態では、無機繊維はセラミック繊維を含む。特定の実施形態では、乾燥重量基準で、可撓性繊維性材料は、50重量パーセント未満のショットを含む。特定の実施形態では、凝集剤は、凝集剤1〜凝集剤30、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
有利なことに、本発明の教示により調製された可撓性繊維性材料は、対応するウェットレイド技術において実施されたものより著しく低い、総有機成分重量の無機繊維重量に対する比を有しながら、多くの場合、同等の機械的特性、例えば引張強度及び可撓性を達成する。それ故に、汚染防止装置中に使用される場合、それらは初期使用時に低度の結合剤燃焼を有する(低い臭気及び環境汚染を伴う)。更に、使用中に起こる結合剤の変化(例えば、硬化又は弾力性の低減)は、こうした可撓性繊維性材料の物理的特性にとって、典型的には有害であるため、比較的低温用途(例えば、ディーゼル微粒子フィルタ)における、総有機成分含有量の低減は、典型的には性能の増加を結果として生じる。
【0017】
本発明による可撓性繊維性材料は、ウェットレイドプロセス技術によって作られてもよく、その結果、それは、ウェットレイドプロセス技術において実施される濃度と同等の、又はより典型的には実質的により低い結合剤含有量を有しながら、汚染防止装置中に使用するために好適な機械的特性を有する。
【0018】
本明細書で使用されるとき、
用語「実質的に乾燥した」は、乾燥した手触りであることを意味し、
用語「エマルション」及び「乳化された」は、ポリマーエマルション及びポリマーラテックスを包含し、
用語「可撓性」は、表面的な又は取るに足りない損傷を超える被害なしに湾曲する又は曲げることができることを意味し、及び
用語「無機繊維」は、特に指定のない限り、無機繊維及び関連したショットの両方を包含し、
用語「有機」は、少なくとも1つの炭素−水素結合を有することを意味し、
用語「組み合わされた有機成分重量」は、すべての有機成分の組み合わされた総重量を指す。
【0019】
本出願では、明細書及び請求項の中のすべての数値範囲は、特に指定のない限り、それらの端点を包含すると見なされる。更に、特に断りのない限り、明細書及び請求項の中のすべての部、パーセンテージ、及び比は、重量基準である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の1つの代表的な実施形態による汚染防止装置の断面図。
【0021】
本発明は様々な変更例及び代替形態が可能であるが、その具体例を一例として図面に示すと共に詳細に説明する。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することにはないことを理解するべきである。逆にその意図は、本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての変更例、等価物、及び代替物を網羅することにある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、代表的な汚染防止装置を示す。図1を参照すると、汚染防止装置10は、ハウジング12を包含し、ほぼ円錘の入口14及び出口16(即ち、エンドコーンと一般的に称される)を有する。ハウジング12は、これはカン又はケーシングと一般的に称されるが、金属(例えば、ステンレススチール)から通常作製される。ハウジング12内に配置されるのは、セラミック又は金属材料により作製されたモノリシック構造体18であり、またこれは触媒を包含してもよい。絶縁体22は、モノリシック構造体18を取り囲む。モノリシック構造体18は、例えば、触媒コンバータ要素又はディーゼル微粒子フィルタ要素であってもよい。本発明による可撓性繊維性材料は、絶縁体22として使用されてもよい。
【0023】
金属ハウジングの入口14及び出口16領域は、内部エンドコーンハウジング28及び外部エンドコーンハウジング26を包含する。絶縁材30は、内部エンドコーンハウジング28と外部エンドコーンハウジング26との間に位置付けられる。本発明による可撓性繊維性材料は、絶縁材30として使用されてもよい。
【0024】
多くの汚染防止装置は、当該技術分野において周知であり、例えば、触媒コンバータ、エンドコーンサブアセンブリ、並びにディーゼル微粒子トラップ及びフィルタが挙げられる。こうした装置に関する更なる詳細は、例えば米国特許第5,882,608号明細書(サノクら(Sanocki e al.))及び米国特許出願公開(U.S. Publ. Pat. Appln. No.)第2006/0154040 A1号公報(メリー(Merry))の中に見出される場合がある。
【0025】
本発明による可撓性繊維性材料は、触媒コンバータ又はディーゼル微粒子フィルタと同様な様式で、モノリスとハウジングとの間に配置されてもよい。これは、例えば、モノリスを可撓性繊維性材料で包み、及び包まれたモノリスをハウジングの中に挿入することによるか、又は内部エンドコーンハウジングを可撓性繊維性材料で包み次いで外部エンドコーンハウジングを内部エンドコーンハウジングに溶接することにより、実行され得る。
【0026】
本発明による可撓性繊維性材料は、いずれの寸法及び/又は厚さを有してもよい。しかしながら、汚染防止装置の中に使用するために、キャリパー測定の一般手順(以下)による可撓性繊維性材料の厚さは、典型的には0.3cm(0.1インチ)、0.38cm(0.15インチ)、又は0.5cm(0.2インチ)から0.8cm(0.3)、1.3cm(0.5)、0.7(1.8cm)又は2.5cm(1インチ)まで、又はそれを超える範囲である。
【0027】
汚染防止装置中に使用するために、本発明による可撓性繊維性材料は、典型的には、400、700、1000、1500、又は2000グラム/平方メートル(gsm)から5000、10000、又は15000gsmまでの乾燥坪量を有する。例えば、非膨張性可撓性繊維性材料は、典型的には、400〜2500gsm、より典型的には1000〜1500gsmの乾燥坪量を有する。膨張性可撓性繊維性材料は、典型的には、1200〜15000gsm、より典型的には2400〜8000gsmの乾燥坪量を有する。
【0028】
有用な無機繊維には、例えば、繊維ガラス、セラミック繊維、非酸化物無機繊維、例えば、グラファイト繊維又はホウ素繊維、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
有用なセラミック繊維には、例えば、アルミノボロシリケート繊維、アルミノシリケート繊維、アルミナ繊維、それらの熱処理された種類、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なアルミノボロシリケート繊維の例には、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)から取引表記「ネクステル312セラミック繊維(NEXTEL 312 CERAMIC FIBERS)」、「ネクステル440セラミック繊維(NEXTEL 440 CERAMIC FIBERS)」、及び「ネクステル550セラミック繊維(NEXTEL 550 CERAMIC FIBERS)」として市販されているものが挙げられる。好適なアルミノシリケート繊維の例には、ニューヨーク州ナイアガラフォールズ(Niagara Falls)のユニフラックス社(Unifrax Corp.)から取引表記「ファイバーフラックス(FIBERFRAX)」7000Mとして、ジョージア州オーガスタ(Augusta)のサーマル・セラミックス(Thermal Ceramics)から取引表記「セラファイバー(CERAFIBER)」として、及び日本、東京の新日鐵化学株式会社(Nippon Steel Chemical Company)から取引表記「SNSC タイプ 1260 D1(SNSC Type 1260 D1)」として入手可能なものが挙げられる。好適な市販のアルミナ繊維の例には、英国ウィドネス(Widnes)のサフィル(Saffil)から取引表記「サフィル(SAFFIL)」として入手可能な多結晶アルミナ繊維が挙げられる。
【0030】
他の好適な無機繊維には:石英繊維、高シリカ含有量の非晶質及び結晶性繊維、アルミナ繊維及び高アルミナ繊維、非晶質及び結晶性アルミナ−シリカ繊維、酸化物及び非酸化物繊維、金属繊維、溶融物からの吹き込み、紡績、牽引により形成された繊維、ゾル−ゲル形成繊維、有機前駆体から形成された繊維、ガラス繊維、溶出ガラス繊維、及び実質的に無機組成物の他の繊維が挙げられる。好適な無機繊維はまた、有機及び無機材料の表面コーティング又はサイジングを含んでもよい。好適な無機繊維は、言うまでもなく、単独で又は他の好適な無機繊維との組み合わせにおいて使用されてもよい。
【0031】
一般的に言えば、ショットの相当量を含有する無機繊維は、ショットを含まない、又は部分的に浄化された無機繊維より安価である。しかしながら、ショットを含まない無機繊維は、一般に、より弾力的な物品(例えば、ウェブ、シート、マット)を提供し、これは室温への復帰を包含するすべての温度において、保持力をより良好に維持する。それ故に、本発明による可撓性繊維性材料は、可撓性繊維性材料の総乾燥重量に基づいて、75、70、65、60、55、50、45重量パーセント未満、又は更には40重量パーセント未満、又はそれより少ないショットを含有してもよい。
【0032】
有用な第1の有機ポリマーには、例えば、それらのアクリルポリマー、ビニルポリマー(例えば、エチレン及びビニルアセテートを含むモノマーのコポリマー)、ポリウレタン、及びアニオン性基(例えば、末端基及び/又はペンダント側鎖基)を有するシリコーンポリマーが挙げられるが、それらの多くは必須ではない。任意に、追加的有機ポリマー(単数又は複数)が、第1の有機ポリマーとの組み合わせにより使用されてもよい。第1の有機ポリマーは、水性のアニオン安定化ポリマーエマルション(例えば、ラテックス)として、典型的には使用されるが、ただし、溶媒系ポリマー、又は100パーセント固形分のポリマーが時には有用である場合もある。
【0033】
典型的には、第1の有機ポリマーは、30摂氏温度(℃)、0℃、−10℃、−20℃、−30℃未満、又は更には−40℃未満のガラス転移温度を有するが、これは必須ではない。更に、第1の有機ポリマーは、エラストマーを含んでもよい。
【0034】
有用な水性ポリマーエマルション(ラテックスエマルションを包含する)には、例えば、可撓性繊維性材料に強度及び可撓性を提供するために好適な、アクリルポリマーエマルション、ポリウレタンエマルション、シリコーンポリマーエマルション、エポキシポリマーエマルション、ブチルゴムエマルション、ビニルポリマーエマルション、ビニルアセテートポリマーエマルション、及びこれらの組み合わせが挙げられる。有用な市販の水性ポリマーエマルションの例には、例えば、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のローム・アンド・ハース(Rohm and Haas)により市販される取引表記「ロプレックス(RHOPLEX)HA−8」(アクリルコポリマーの44.5重量%固形分の水性エマルション)、及びペンシルベニア州アレンタウン(Allentown)のエアープロダクツ(Air Products)により市販される取引表記「エアーフレックス(AIRFLEX)600BP」(55%固形分のエチレンビニルアセテートコポリマー)として入手可能なもの、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
有用な凝集剤には、カチオン性基を有する有機ポリマーが挙げられる。典型的には、有機ポリマーは、水膨張性又は水溶性であるが、しかしながらこれは必要条件ではない。例えば、ポリマーは単に水分散性であってもよい。好適な凝集剤の例には、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(以後、PDADMAC)及びジメチルアミンとエピクロロヒドリンとのコポリマーの溶液(典型的には水性)又は分散体が挙げられる。任意に、凝集剤は金属カチオン(例えば、アルミニウム)を更に含んでもよく、これは解離した錯体において(例えば、ハイドレート、クロライド、又はクロロハイドレート)、又はポリマー形態において(例えば、ポリ(メタルオキサイド)又はオキシクロライドとして)存在してもよい。
【0036】
好適な市販の凝集剤の例には、カリフォルニア州バーリントン(Burlington)のギャラット・キャラハン(Garratt Callahan)から取引表記「フォーミュラ(FORMULA)7644」(PDADMACの水溶液)、「フォーミュラ(FORMULA)7643」、「フォーミュラ(FORMULA)7642」、「フォーミュラ(FORMULA)AH−423」、「フォーミュラ(FORMULA)7602」、「フォーミュラ(FORMULA)7603」、「フォーミュラ(FORMULA)7552」、「フォーミュラ(FORMULA)7622」、「フォーミュラ(FORMULA)7655」、又は「フォーミュラ(FORMULA)7658」として;ルイジアナ州リンゴールド(Ringold)のミッドサウスケミカル(Mid-South Chemical)から取引表記「MP 9307」(ジメチルアミンとエピクロロヒドリンとのコポリマーの水溶液であると考えられている)として;ニューヨーク州タリタウン(Tarrytown)のチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から取引表記「ZETAG 7125」(PDADMACの水溶液)、「ZETAG 7127」(PDADMACの水溶液)として;及びミネソタ州セントポール(St. Paul)のホーキンズ(Hawkins)から取引表記「アークティックフロック(ARCTICFLOC)AF12104」(PDADMACの水溶液)、「アクア・ホーク(AQUA HAWK)2987」(ポリアルミニウムヒドロキシクロライド及びカチオン性有機ポリマーの水溶液)、「アクア・ホーク(AQUA HAWK)101」(ポリアルミニウムヒドロキシクロライド及びポリ(四級アミン)の水溶液)、「アクア・ホーク(AQUA HAWK)427」(ポリアルミニウムヒドロキシクロライド及びポリ(四級アミン)の水溶液)、及び「アクア・ホーク(AQUA HAWK)2757」(アルミニウム系ポリ無機物及びカチオン性有機ポリマーの水溶液)として入手可能な水処理剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
ポリアミンは、プロトン化した(即ち、カチオン性及びポリカチオン性の)形態と平衡して水性媒体中に存在することが認められることになる。
【0038】
一般に、凝集剤は、乳化された第1の有機ポリマーの凝集を生じるのに有効な量で使用されるが、ただし、他の量もまた使用されてもよい。例えば、凝集剤は(固形分基準で)、第1の有機ポリマーの重量の少なくとも1、5、10、15、20、又は更には少なくとも100パーセントの量で存在してもよい。
【0039】
結合剤は、少なくとも1つの可塑剤を包含してもよい。可塑剤は、ポリマーマトリックスを柔らかくする傾向があり、それによって可撓性繊維性材料の可撓性及び成形性に寄与する。結合剤はまた、1つ以上の粘着付与剤又は粘着付与樹脂を、例えば可撓性繊維性材料を共に保持するのを助けるために包含してもよい。好適な粘着付与剤の例は、カナダ、トロントのエカ・ノーベル社(Eka Nobel, Inc.)から取引表記「スノウタック(SNOWTACK)810A」として市販されている。
【0040】
任意に、本発明による可撓性繊維性材料は、典型的には、所望の最終用途に依存して、1つ以上の膨張性材料(これは、未膨張であっても、部分的に膨張していても、又はこれらの混合物であってもよい)を含んでもよい。例えば、約500℃を超える温度で使用するために、未膨張のバーミキュライト材料が、それらが約300℃〜約340℃の範囲の温度で膨張し始めるために好適である。これは、触媒コンバータ中の膨張する金属ハウジングとモノリスとの間の膨張する隙間を充填するために有用である場合がある。ディーゼルモノリス又は微粒子フィルタの中などで約500℃未満の温度で使用するために、膨張可能なグラファイト、又は膨張可能なグラファイトと未膨張のバーミキュライト材料との混合物が所望される場合があるが、これは膨張可能なグラファイトは、約210℃で膨張(expand)又は膨張(inturesce)し始めるためである。処理したバーミキュライトもまた有用であり、典型的には、約290℃の温度で膨張させる。
【0041】
有用な膨張性材料の例には、未膨張のバーミキュライトフレーク又は原鉱、処理した未膨張バーミキュライトフレーク又は原鉱、部分的脱水バーミキュライト原鉱、膨張可能なグラファイト、膨張可能なグラファイトと、処理した又は未処理の未膨張バーミキュライト原鉱との混合物、ハイドロバイオタイト、米国特許第3,001,571号明細書(ハッチ(Hatch))に記載された水膨張性合成フッ素四ケイ素雲母(tetrasilicic fluorine type mica)、米国特許第4,521,333号明細書(グラハム(Graham)ら)に記載されたアルカリ金属シリケート粒剤、加工した膨張可能ケイ酸ナトリウム(例えば、3M社(3M Company)から取引表記「エクスパントロール(EXPANTROL)」として市販されている不溶性のケイ酸ナトリウム)、及びこれらの混合物が挙げられる。市販の膨張可能なグラファイト材料の例は、オハイオ州クリーブランド(Cleveland)のUCARカーボン社(UCAR Carbon Co.)から取引表記「グラフォイル等級(GRAFOIL Grade)338〜50」膨張可能グラファイトフレークとして入手可能なものである。処理した未膨張バーミキュライトフレーク又は原鉱には、イオン交換塩、例えば、リン酸二水素アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、又は当該技術分野において既知であるような他の好適な化合物によりイオン交換されるなどのプロセスによって処理された未膨張のバーミキュライトが挙げられる。
【0042】
典型的には、本発明による可撓性繊維性材料は、乾燥重量基準で、30〜99.5重量パーセント(例えば、40〜98.5重量パーセント、50〜97重量パーセント、又は60〜97重量パーセント)の無機繊維、0.5〜9重量パーセント(例えば、0.5、1.0、又は1.5から3、4、5、6、7、又は8重量パーセントまで)の結合剤、及び任意に60重量パーセントまでの膨張性材料を含むが、ただしこの範囲外に入る組成もまた使用されてもよい。膨張性材料が包含されない実施形態では、乾燥重量基準で、無機繊維の割合は、典型的には少なくとも85(例えば、少なくとも90、91、92、93、94,95重量パーセント、又はそれを超える)であるが、ただしより低い重量の割合もまた使用されてもよい。
【0043】
本発明の可撓性繊維材料は任意に1つ以上の無機充填剤、無機結合剤、有機繊維、及びこれらの混合物を含有してもよい。
【0044】
充填剤の例には、層剥離バーミキュライト、中空のガラスミクロスフェア、パーライト、アルミナ三水和物、リン酸マグネシウム六水和物、炭酸カルシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。充填剤は、可撓性繊維性材料中に、可撓性繊維性材料の乾燥重量により、10パーセントまで、望ましくは25パーセントまで、及びより望ましくは50パーセントまでの濃度で存在してもよい。
【0045】
無機結合剤の例には、雲母粒子、カオリン粘土、ベントナイト粘土、及び他の粘土様鉱物が挙げられる。無機結合剤は、可撓性繊維性材料中に、可撓性繊維性材料の乾燥重量で、5パーセントまで、望ましくは25パーセントまで、及びより望ましくは50パーセントまでの濃度で存在してもよい。
【0046】
任意に、有機繊維(例えば、短繊維又はフィブリル化繊維)は、例えば、加工中に湿潤強度を、並びに被覆(canning)前に乾燥強度及び弾力性をマット及びシート取り付け材料に提供するために、本発明の可撓性繊維性材料中に包含されてもよい。しかしながら、一般に、こうした繊維は好ましくない燃焼に寄与するために、それらの含有量を最小にすることが望ましい。
【0047】
本発明による可撓性繊維性材料中に包含されてもよい、他の添加物又は加工助剤には、消泡剤、界面活性剤、分散剤、湿潤剤、沈殿を助ける塩、殺真菌剤、及び殺菌剤が挙げられる。
【0048】
本発明による可撓性繊維性材料は、典型的には、汚染防止装置において好適な物理的特性を有するように配合されるが、ただし所望であれば、異なる物理的特性を有して配合されてもよい。例えば、可撓性繊維性材料は、15.24cm(6インチ)、12.70cm(5インチ)、10.16cm(4インチ)、7.62cm(3インチ)、5.08cm(2インチ)、2.54cm(1インチ)、1.91cm(3/4インチ)、又は更には1.27cm(1/2インチ)の直径を有するマンドレルを使用する可撓性試験(以下)に合格するために十分な可撓性を有してもよい。
【0049】
更に、可撓性繊維性材料は、少なくとも50kPa(7.3ポンド/平方インチ(psi))、75kPa(10.7psi)、100kPa(14.5psi)の引張強度試験(以下)による引張強度を有してもよい。
【0050】
本発明による可撓性繊維性材料は、例えば、エアレイド及びウェットレイド方法を包含する、いずれかの好適な技術によって形成されてもよい。
【0051】
1つの代表的な有用な方法では、無機繊維、第1の有機ポリマーの水中スラリー(例えば、典型的には、水の重量の95重量パーセントを超える)が調製され、凝集剤と共に組み合わされる。任意成分(例えば、消泡剤、膨張性材料、又は充填剤)が次に添加され(使用される場合)、そしてスラリーは次に伝統的なウェットレイド不織布抄紙技術によって可撓性繊維性材料に形成される。つまり、このプロセスは、成分を混合し、スラリーをワイヤーメッシュ又はスクリーン上に注いで水の大部分を取り除くことを包含する。形成されたシートは次に乾燥されて可撓性繊維性材料を形成する。可撓性繊維性材料は次に、シート及びマットのような所望の形態に変換されてもよい。プロセスは、段階的に、バッチで、及び/又は連続方式で行われてもよい。
【0052】
スラリーを作製するとき、任意の膨張性材料及びより高密度の充填剤(使用される場合)のようなより高密度の材料が、より小さい混合容器中のスラリーに、付着工程の直前に、一定速度で添加されてもよい。充填剤及び膨張性材料を含有するスラリーは、これらの粒子が、スラリーをメッシュ上に注ぐ前に、混合タンク中に沈殿するのを防ぐために十分に攪拌される。こうしたスラリーは、より高密度の粒子の望ましくない沈殿を防ぐために、典型的には、メッシュ上に付着されたほとんど直後に部分的に脱水されるべきである。スラリーの真空脱水が望ましい。有用な乾燥方法は、脱水されたスラリーを圧縮又は加圧ローラーを通してウェットプレスし、続いて材料に加熱されたローラーを通過させ、そして当該技術分野において既知のような強制熱風乾燥をすることを包含する。
【0053】
本発明による可撓性繊維性材料は、更に、エッジ保護材料を包含してもよい。好適な材料の例には、米国特許第5,008,086号明細書(メリー(Merry))に記載されるような、エッジを包み込んだステンレススチールワイヤースクリーン、及び米国特許第4,156,533号明細書(クローズ(Close)ら)に記載されるような編んだ又はロープ様のセラミック繊維編み材料又は金属ワイヤー材料が挙げられる。エッジ保護材料はまた、例えば欧州特許第639 701 A1号明細書(ホワース(Howorth)ら)、同第639 702 A1号明細書(ホワース(Howorth)ら)、及び同第639 700 A1号明細書(ストローム(Stroom)ら)に記載されるようなガラス粒子を有する組成から形成されてもよい。
【0054】
本発明の目的及び利点を以下の非限定的な実施例により更に例示するが、これらの実施例の中で挙げた特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0055】
キャリパー測定の一般手順
デジタルマイクロメータは、滑らかな金属ベースプレート上に定置される円筒形重荷の真上に定置されたときに0cm(ゼロインチ)を示すように較正される。円筒形重荷は、6.35cm(2.5インチ)のベース直径を有し、4.9kPa(0.712psi)の圧力を適用するために十分な重量を有する。円筒形重荷は次に、測定される標本(例えば、シート)の真上に定置され、較正されたデジタルマイクロメータを重荷の上に定置することにより、標本のキャリパーが決定される。
【0056】
引張強度試験
試験される標本は、キャリパーがキャリパー測定手順(上記)によって測定された後、2.5cm(1インチ)幅、18cm(7インチ)長さのストリップに切られる。1つのストリップの各末端部は、試料の破断点におけるピーク引張荷重を記録できる好適な荷重フレーム中の2.54cm(1インチ)平方の空気式グリップの中に、グリップの各末端部間にストリップの15cm(6インチ)が存在するように固定される。ストリップは次に、2.54cm(1インチ)毎分の速度で引き離され、破断する前に試料が支持したピーク荷重が記録される。引張強度は、分裂した試料の幅とキャリパーを乗じることによって計算された断面積で除したピーク荷重として定義される。
【0057】
可撓性試験
試験される標本を僅かに曲げることにより両側に既に亀裂がないことを、目視検査することにより確認する。亀裂のある標本は使用されるべきではない。試験される標本の2.54cm(1インチ)幅ストリップ(単数又は複数)を最小10cm(4インチ)長さに、ステンレススチールルールダイを使用して切断する。ストリップの1つの面を、15.24cm(6インチ)直径の円筒形マンドレル(長さが少なくとも5.1cm(2インチ))の周りに180°(半分)まで、ストリップがマンドレルの周りにあることを確実にするのに必要な最小の力を使用してそっと巻き、ストリップを少なくとも30秒間保持する。繊維分離又は亀裂についてストリップを目視検査する。繊維分離又は亀裂のいずれかが観察されるまで、12.70cm、10.16cm、7.62cm、5.08cm、2.54cm、1.91cm、1.27cm)(5インチ、4インチ、3インチ、2インチ、1インチ、0.75インチ、0.5インチ)の直径を有する次第により小さくなる直径のマンドレルを使用して繰り返す。亀裂が目視観察されるまで継続する。取るに足りない又は表面的な亀裂以外のいずれの繊維分離又は亀裂も目視観察されない場合、標本は可撓性試験に合格する。
【0058】
繊維性シートを調製するための一般手順
水道水(3リットル、18℃)及び無機繊維(ジョージア州オーガスタ(Augusta)のサーマル・セラミックス(Thermal Ceramics)から取引表記「HAバルクファイバー(HA BULK FIBER)」として得られ、50重量パーセント未満のショット含有量に浄化されている)の60グラム(g)がブレンダーに添加される。ブレンダーは、低速度で5秒間操作される。得られたスラリーは、1リットルの水道水(18℃)を使用して、パドルミキサー装備混合コンテナの中にすすぎ落とされる。スラリーは追加の1リットルの水道水(18℃)を用いて希釈される。希釈されたスラリーは、固形分を懸濁し続けるように中速度で混合される。消泡剤(ニュージャージー州エジソン(Edison)のヘンケル(Henkel)から取引表記「フォーマスター(FOAMASTER)111」(0.3g)として得られる)及びエチレンビニルアセテートターポリマーラテックス(エアープロダクツ(Air Products)から取引表記「エアーフレックス(AIRFLEX)600BP」(6.0g、55重量パーセント固形分)として得られる)が添加される。凝集剤が、表2に示されるような量で滴下される。20〜50メッシュの粒径を有する未膨張のバーミキュライト(43g)が次に添加される。ミキサー速度が増加され、混合は1〜5分間継続される。パドルミキサーが取り除かれ、スラリーは、20cm×20cm(8インチ×8インチ)シートフォーマーの中に注入され、水抜きされる。水抜きされたシートの表面は、のし棒を用いて伸ばされて、過剰の水を取り除かれる。次にシートは、90〜97kPa(13〜14psi)の表面圧力において、吸取紙の間で5分間圧搾される。シートは次に、150℃で強制空気オーブン中で10〜15分間乾燥され、試験前に雰囲気に曝されながら一晩平衡化される。
【0059】
実施例で使用される材料
表1(以下)は、実施例で使用される凝集剤を一覧にする。
【0060】
【表1−1】

【0061】
【表1−2】

【0062】
実施例1〜31及び比較例A
繊維性材料のシートが、繊維性シートを調製するための一般手順(上記)によって、表2に示される凝集剤を使用して調製された。繊維性シートの試験結果がまた表2(以下)に提示されている。
【0063】
【表2】

【0064】
実施例32
2つの容器は12〜14℃に調節された水道水の1000ミリリットルで充填された。エアープロダクツ(Air Products)から取引表記「エアーフレックス(AIRFLEX)600BP」として入手可能なエチレンビニルアセテートターポリマーラテックス(1.8グラム)、及びヘンケル(Henkel)から取引表記「フォーマスター(FOAMASTER)111」として入手可能な消泡剤の0.1グラムが各容器に添加され、並びにラテックスを分散させるためにそっと混合された。更に、サーマル・セラミックス(Thermal Ceramics)から取引表記「HA−バルク(HA-BULK)」として入手可能な無機繊維の10グラム(それらが50重量%未満のショットを含有するように部分的に浄化された)が容器の1つに添加され及び繊維を分散させるために混合された。水中でのラテックスの分散の結果として生じた乳様の外観が両容器中で観察された。ミッドサウスケミカル(Mid South Chemical)から取引表記「7307C」として入手可能な凝集剤(0.1グラム)が各容器に緩やかに混合しながら添加された。ラテックス及び無機繊維の両方を保持する容器中では、液体の際立った清澄が1分未満で観察された。ラテックスを含有するが無機繊維のない容器中では、遅いアグロメレーション及び混合の清澄のみが5分を超える期間にわたって観察された。
【0065】
本発明の様々な変更例及び代替物は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者により行われてもよいが、本発明は、本明細書で説明された具体的実施形態に不当に限定されないことを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性繊維性材料であって、
総重量を有しかつ結合剤により共に結合された無機繊維を含み、
前記結合剤は、
(a)第1の有機ポリマー及び凝集剤、又は、
前記凝集剤は、カチオン性基を有する第2の有機ポリマーを含む、
(b)前記第1の有機ポリマーと前記凝集剤との反応生成物、
の少なくとも1種を含み、
前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の総重量の9パーセント以下である総有機成分重量を有し、そして前記可撓性繊維性材料が、400〜15000グラム/平方メートルの乾燥坪量を有する、可撓性繊維性材料。
【請求項2】
前記第1の有機ポリマーがアニオン性基を有する、請求項1に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項3】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、91〜99.5重量パーセントの前記無機繊維を含み、そして前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する、請求項1又は2に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項4】
未膨張の膨張性材料を更に含む、請求項1又は2に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項5】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、40〜99.5重量パーセントの前記無機繊維、0より多く60重量パーセントまでの膨張性材料を含み、そして前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する、請求項4に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項6】
前記膨張性材料が、バーミキュライト、グラファイト、又はこれらの組み合わせを含む、請求項4又は5に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項7】
前記第1の有機ポリマーが、アクリルポリマー及びビニルポリマーからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項8】
前記第1の有機ポリマーが、エチレン及びビニルアセテートを含むモノマーのコポリマーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項9】
前記凝集剤が、金属カチオンを更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項10】
前記金属カチオンが、アルミニウムである、請求項9に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項11】
前記無機繊維が、ガラス繊維を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項12】
前記無機繊維が、セラミック繊維を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項13】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、50重量パーセント未満のショットを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項14】
前記凝集剤が、凝集剤1〜凝集剤30、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料。
【請求項15】
汚染防止装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された汚染防止要素と、
前記ハウジングに隣接して、又は前記ハウジング中に配置された請求項1〜14のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料と、
を含む、汚染防止装置。
【請求項16】
前記可撓性繊維性材料が、前記汚染防止要素と前記ハウジングとの間に配置された、請求項15に記載の汚染防止装置。
【請求項17】
可撓性繊維性材料を形成する方法であって、
(a)水溶液中で、総重量を有する無機繊維と有機成分とを含む成分を混合することによって、スラリーを形成する工程と、
前記有機成分は、乳化された第1の有機ポリマーと凝集剤とを含み、前記凝集剤は、
カチオン性基を有する第2の有機ポリマーを含む、
(b)前記乳化された第1の有機ポリマーの少なくとも一部分を、前記無機繊維の少なくとも一部分の上に凝集させて、凝集したスラリーを提供する工程と、
(c)前記凝集したスラリーを脱水させて、脱水したスラリーを提供する工程と、
(d)前記脱水したスラリーを更に乾燥させて、前記可撓性繊維性材料を形成させる工程と、
の各ステップを含んでなり、前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の総重量の9パーセント以下の総有機成分重量を有する、可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項18】
前記第1の有機ポリマーが、アニオン性基を含む、請求項17に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項19】
ステップ(d)の前に、前記脱水したスラリーを圧搾する工程を更に含む、請求項17又は18に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項20】
ステップ(c)が、前記スラリーを、ウェットレイドプロセスにより作製されるシート材料に形成する工程を含み、そしてステップ(d)が、前記シート材料から前記可撓性繊維性材料を形成する工程を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項21】
ステップ(b)及び(c)が同時に起こる、請求項17〜20のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項22】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、91〜99.5重量パーセントの前記無機繊維を含み、そして前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する、請求項17〜21のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項23】
前記成分が、未膨張の膨張性材料を更に含む、請求項17〜21のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項24】
前記未膨張の膨張性材料を膨張させる工程を更に含む、請求項23に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項25】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、40〜99.5重量パーセントの前記無機繊維と、0より多く60重量パーセントまでの膨張性材料とを含み、そして前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する、請求項23又は24に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項26】
前記膨張性材料が、バーミキュライト、グラファイト、又はこれらの組み合わせを含む、請求項23〜25のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項27】
前記第1の有機ポリマーが、アクリルポリマー及びビニルポリマーからなる群から選択される、請求項17〜26のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項28】
前記第1の有機ポリマーが、エチレン及びビニルアセテートを含むモノマーのコポリマーを含む、請求項17〜27のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項29】
前記凝集剤が、金属カチオンを更に含む、請求項17〜28のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項30】
前記金属カチオンが、アルミニウムである、請求項29に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項31】
前記無機繊維が、ガラス繊維を含む、請求項17〜30のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項32】
前記無機繊維が、セラミック繊維を含む、請求項17〜31のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項33】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、50重量パーセント未満のショットを含む、請求項17〜32のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項34】
前記凝集剤が、凝集剤1〜凝集剤30、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17〜33のいずれか一項に記載の可撓性繊維性材料を形成する方法。
【請求項35】
17〜34のいずれか1つの方法により作製された可撓性繊維性材料。
【請求項36】
水中に分散された又は溶解された、水を含むスラリーであって、
総重量を有する無機繊維と、
(a)乳化された第1の有機ポリマーと凝集剤、又は、
前記凝集剤は、カチオン性基を有する第2の有機ポリマーを含む
(b)前記乳化された第1の有機ポリマーと前記凝集剤との反応生成物
のうちの少なくとも1種を含む有機成分と、
を有し、
前記スラリーが、前記無機繊維の総重量の9パーセント以下である総有機成分重量を有する、スラリー。
【請求項37】
前記第1の有機ポリマーが、アニオン性基を有する、請求項36に記載のスラリー。
【請求項38】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、91〜99.5重量パーセントの前記無機繊維を含み、そして前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する、請求項36又は37に記載のスラリー。
【請求項39】
未膨張の膨張性材料を更に含む、請求項36又は37に記載のスラリー繊維性材料。
【請求項40】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、40〜99.5重量パーセントの前記無機繊維、0より多く60重量パーセントまでの膨張性材料を含み、そして前記可撓性繊維性材料が、前記無機繊維の0.5〜9重量パーセントである総有機成分重量を有する、請求項39に記載のスラリー。
【請求項41】
前記膨張性材料が、バーミキュライト、グラファイト、又はこれらの組み合わせを含む、請求項40に記載のスラリー。
【請求項42】
前記第1の有機ポリマーが、アクリルポリマー及びビニルポリマーからなる群から選択される、請求項36〜41のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項43】
前記第1の有機ポリマーが、エチレン及びビニルアセテートを含むモノマーのコポリマーを含む、請求項36〜42のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項44】
前記凝集剤が、金属カチオンを更に含む、請求項36〜43のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項45】
前記金属カチオンが、アルミニウムである、請求項44に記載のスラリー。
【請求項46】
前記無機繊維が、ガラス繊維を含む、請求項36〜45のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項47】
前記無機繊維が、セラミック繊維を含む、請求項36〜46のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項48】
乾燥重量基準で、前記可撓性繊維性材料が、50重量パーセント未満のショットを含む、請求項36〜47のいずれか一項に記載のスラリー。
【請求項49】
前記凝集剤が、凝集剤1〜凝集剤30、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項36〜48のいずれか一項に記載のスラリー。

【図1】
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【公表番号】特表2010−519419(P2010−519419A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549657(P2009−549657)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/052241
【国際公開番号】WO2008/103525
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】