可撓管の立上り部保持具
【課題】
設置面に立上り部保持具を固定した後において、当該立上り部保持具に対して可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持可能にすることである。
【解決手段】
給水管(可撓管)P1 のわん曲した立上り部P1aを嵌入して保持するための保持具本体10と、当該保持具本体10を設置面Eに固定するための固定座40とを備えた可撓管の立上り部保持具A1 であって、前記保持具本体10は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、給水管P1 の前記立上り部P1aを嵌入可能な嵌入開口部14を備え、前記嵌入開口部14は、前記保持具本体10のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座40と干渉しない方向から給水管P1 を嵌入可能なように、当該保持具本体10の全長に亘って形成された構成とする。
設置面に立上り部保持具を固定した後において、当該立上り部保持具に対して可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持可能にすることである。
【解決手段】
給水管(可撓管)P1 のわん曲した立上り部P1aを嵌入して保持するための保持具本体10と、当該保持具本体10を設置面Eに固定するための固定座40とを備えた可撓管の立上り部保持具A1 であって、前記保持具本体10は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、給水管P1 の前記立上り部P1aを嵌入可能な嵌入開口部14を備え、前記嵌入開口部14は、前記保持具本体10のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座40と干渉しない方向から給水管P1 を嵌入可能なように、当該保持具本体10の全長に亘って形成された構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓管を立ち上げて配管する際に、わん曲した立上り部を嵌入保持するのに使用される可撓管の立上り部保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記用途の従来の可撓管の立上り部保持具としては、特許文献1,2に開示のものが知られている。各特許文献1,2に開示の立上り部保持具に共通の構成は、保持具本体に対して可撓管を保持するのに別体の部品を不要として、当該保持具本体のみで保持可能にするための可撓管の挿通部を備えていることである。
【0003】
このため、保持具を設置面に固定する前に、当該保持具の挿通部に可撓管を挿通して、保持具本体のわん曲形状に倣って可撓管をわん曲させながら、保持具を設置面に固定していた。給水・給湯管等の可撓管は、必要な曲げ剛性と曲げ癖とを有しているため、保持具のわん曲形状に倣って可撓管をわん曲させること自体が大きな力を必要とする。そして、可撓管を立上げ配管するには、可撓管の曲げ剛性、曲げ癖等に抗して当該可撓管をわん曲させながら保持具を設置面に固定せざるを得ないので、可撓管の立上げ配管の作業は、多くの手間を必要とした。特に、いわゆる「鞘管工法」において、給水・給湯管を鞘管に挿通した状態で、即ち二重管状態で立上げ配管する際に、全体を曲げる作業は特に大変であった。
【0004】
一方、施工順序の面から見ると、可撓管の配管と保持具の固定とを同時に行なう必要があるので、例えば、保持具のみを先に設置して、その後に可撓管を立上げ配管することができない等の配管面からの制約もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−1965号公報
【特許文献2】特開平11−336952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設置面に立上り部保持具を固定した後において、当該立上り部保持具に対して可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持するための保持具本体と、当該保持具本体を設置面に固定するための固定座とを備えた可撓管の立上り部保持具であって、前記保持具本体は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、可撓管の前記立上り部を嵌入可能な嵌入開口部を備え、前記嵌入開口部は、前記保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、保持具本体に形成された嵌入開口部は、当該保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されているので、固定座を介して保持具を設置面に固定した後に、保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向から、当該保持具本体の嵌入開口部に可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させることが可能となる。よって、作業者は、設置面に保持具を固定した後に、設置面に固定された保持具本体に対して可撓管の立上り部をわん曲させて、保持具本体に形成された嵌入開口部から前記立上り部を嵌入させる作業のみに専念できるので、可撓管の立上り部の立上げ配管の作業が容易となる。このように、保持具の設置固定作業と可撓管の立上げ配管作業とを別々に行えるので、可撓管を立上げ配管する際の配管上の制約も解消される。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、可撓管の立上り部のわん曲形状の全体が現れる側を側面と定めた場合に、前記嵌入開口部は、断面視で可撓管の立上り部のほぼ半分である一方の側面部が保持具本体に嵌入して保持されるように、当該保持具本体の側面に開口して形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させるために保持具本体に形成された嵌入開口部が、当該保持具本体の側方に開口していて、当該保持具本体に可撓管のわん曲した立上り部が嵌入保持された状態において、わん曲した当該立上り部は、わん曲状態の内側において全長に亘って保持具本体で保持されるので、復元力により可撓管のわん曲した立上り部が当該保持具本体から外れようとする力を効果的に阻止できる。この結果、保持具本体の側面に開口した嵌入開口部から可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させるのみで、他の部品を用いることなく、保持具本体に対して可撓管の立上り部を保持できる。また、可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させるために保持具本体に形成された嵌入開口部は、当該保持具本体の側方に開口しているために、保持具本体に対する前記立上り部の嵌入作業も容易となる。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、保持具本体の軸心に沿った方向の中央部には、前記可撓管を曲げながら前記保持具本体に嵌入させる際に、当該可撓管の曲げ支点として作用する曲げ支点片が、可撓管の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、可撓管をわん曲させながら保持具本体に嵌入させるには、当該保持具本体の軸心に沿った方向の中央部に設けられた曲げ支点片の裏面側で可撓管の一部を支持した状態で、当該可撓管を保持具本体の曲率と同一となるまでわん曲させ、その時点で、わん曲された可撓管の立上り部を保持具本体の内部に押し込むと、保持具本体に可撓管が嵌入される。このため、可撓管をわん曲させた立上り部を保持具本体に嵌入させる作業が容易となる。一方、保持具本体に可撓管が嵌入された後には、前記曲げ支点片は、保持具本体にわん曲して嵌入された可撓管の立上り部が自身の弾性復元力により抜け出るのを効果的に防止できると共に、当該曲げ支点片は、保持具本体に対して可撓管の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されているため、曲げ支点片が可撓管の立上り部の嵌入に際して障害とならない。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記保持具本体の軸心に沿った両端部には、断面視で180°を超える角度で前記立上り部の外周を保持可能とすべく、周方向延設部が設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明によれば、保持具本体に保持された可撓管のわん曲した立上り部の軸心方向に沿った両端部は、周方向延設部により断面視で180°を超える角度で可撓管の立上り部の外周を保持できるので、当該保持具本体で可撓管の立上り部を保持するのみで、当該立上り部は抜け出なくなる。特に、保持具本体の軸心に沿った方向の中央部に曲げ支点片が可撓管の嵌入方向に延設された構成との併用により、可撓管の抜出し防止を一層効果的に行える。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記固定座には、設置面に罫書かれた罫書き線に対して位置合せ可能な位置合せ部を備え、当該位置合せ部は、保持具本体の垂直側の端面の軸心と同一位置に形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明によれば、立上り配管された可撓管の垂直配管部の配管位置を予め定めて、立上り部保持具を設置面に固定できるので、可撓管の立上り配管位置を定める作業が容易となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、可撓管の立上り部保持具において、保持具本体は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、可撓管の前記立上り部を嵌入可能な嵌入開口部を備え、当該嵌入開口部は、前記保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されているので、設置面に立上り部保持具を固定した後において、当該立上り部保持具に対して可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持できる。よって、作業者は、設置面に対する保持具の設置固定作業と、可撓管の立上げ配管作業とを別々に行えて、大きな曲げ剛性と曲げ癖とを有している可撓管の立上げ配管の作業に専念できるので、可撓管の立上げ配管作業が容易になると共に、保持具の設置固定作業と可撓管の立上げ配管作業とを別々に行えるので、可撓管の配管上の制約も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る可撓管の立上り部保持具A1 の側面図、及び軸心方向に沿った各部分の横断面図である。
【図2】立上り部保持具A1 の正面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】立上り部保持具A1 を設置面Eに設置固定する状態を示す斜視図である。
【図5】鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 を曲げ支点片18を支点にしてわん曲させながら、立上り部保持具A1 の保持具本体10に嵌入させる状態を示す斜視図である。
【図6】立上り部保持具A1 の保持具本体10に、鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 の立上り部P1aが嵌入された状態を示す斜視図である。
【図7】鞘管P2 に挿通された給水管P1 の立上り配管の完了後の斜視図である。
【図8】同じく側面図である。
【図9】鞘管P2 に挿通された給水管P1 の立上り配管の完了後の状態を異なる側から見た斜視図である。
【図10】(a),(b)は、保持具本体10に対して給水管P1 の立上り部P1aが結束バンド1,1’を介して結束された部分の横断面図である。
【図11】自立スリーブSの斜視図である。
【図12】(a),(b)は、それぞれ保持具本体10の一対の係合突起体22と、自立スリーブSの一対の係合孔33との係合前後の横断面図である。
【図13】内面側に嵌入開口部14’が形成された保持具本体10’を有する可撓管の立上り部保持具A2 の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る立上り部保持具A1 の側面図及び軸心方向に沿った各部分の横断面図であり、図2は、立上り部保持具A1 の正面図であり、図3は、同じく平面図である。図4〜図9は、施工順序を示す図であって、図4は、立上り部保持具A1 を設置面Eに設置固定する状態を示す斜視図であり、図5は、 鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 を曲げ支点片18を支点にしてわん曲させながら、立上り部保持具A1 の保持具本体10に嵌入させる状態を示す斜視図であり、図6は、立上り部保持具A1 の保持具本体10に、鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 の立上り部P1aが嵌入された状態を示す斜視図であり、図7及び図8は、それぞれ鞘管P2 に挿通された給水管P1 の立上り配管の完了後の斜視図、及び側面図であり、図9は、同様の状態を異なる側から見た斜視図である。
【0020】
図1〜図4及び図9において、立上り部保持具A1 は、給水管P1 が挿通された鞘管P2 を嵌入可能な保持具本体10と、当該保持具本体10を設置面Eに設置固定するための固定座40とから成る。なお、以下において、単に「給水管P1 を保持具本体10に嵌入する」とは、鞘管P2 に給水管P1 を挿通した状態で当該給水管P1 を嵌入することを意味する。保持具本体10は、上下面のいずれか一方に開口した断面半円状のリング半円筒体を、四分円弧状(中心角がほぼ90°)となるように切断した形状であって、内部空間を含めて前記保持具本体10のほぼ全体が、給水管P1 のわん曲した立上り部P1aを嵌入保持する部分となっている。保持具本体10は、嵌入保持された給水管P1 の立上り部P1aの全体形状が現れる側を側面と定めた場合において、断面視で給水管P1 の立上り部P1aのほぼ半分である一方の側面部が、当該保持具本体10に嵌入されるように、側面に開口した形態で配置される。保持具本体10における軸心方向に沿った中央部から水平配置される側に至る部分には、開口側連結部12及び反開口側連結部13を介して板状をした固定座40が一体に設けられている。保持具本体10の軸心方向(長手方向)に沿った開口は、当該軸心方向に沿った全長に亘って設けられ、側面視で四分円弧状をした保持具本体10の開口は、側面を向いて形成されて、鞘管P2 に挿通された給水管P1 を側方から保持具本体10に嵌入させるための嵌入開口部14となっている。保持具本体10の軸心方向に沿った両端部は、中心角90°の四分円弧の両端がそれぞれ接線方向に所定長だけ延長された直線部となっている。
【0021】
保持具本体10の嵌入開口部14を形成していて、側面視で四分円弧状をなす各開口端面15a,15bのうち固定座40の側の開口端面15aにおける軸心方向に沿った中央部には、所定の中心角だけ広幅の溝状に欠落されて、干渉回避溝部16が形成されている。干渉回避溝部16は、鞘管P2 に挿通された給水管P1 を保持具本体10に嵌入させる際に、前記開口側連結部12との干渉を回避して前記嵌入を確実にさせるために設けられる。一方、固定座40と反対側の開口端面15bにおける前記干渉回避溝部16の斜上端部に対応する部分には、保持具本体10に嵌入された給水管P1 を当該保持具本体10に対して部分的に結束させるための結束バンド1を引っ掛けるための引掛け溝部17が形成されている。前記干渉回避溝部16の斜上端部は、結束バンド1を引っ掛けるための引掛け溝としての機能を果す。このため、開口側連結部12は、給水管P1 を保持具本体10に嵌入させる際の当該保持具本体10との干渉を回避するように配置せざるを得ないという制約があるために、保持具本体10の軸心方向に沿った長さ、及び高さの双方において、前記制約のない反開口側連結部13よりも短くなっている。
【0022】
また、保持具本体10における開口端面15aを形成する部分であって、しかも当該保持具本体10の両端から中央部に向けて所定長の部分には、断面視で180°を超える角度θ1 ,θ5 で給水管P1 を保持可能なように周長が長く形成された周方向延設部10aが設けられている。周方向延設部10aは、両端のやや内側の部分で周長が最も長くなって、軸心方向に沿った周長は、当該軸心方向の中央部に向けて徐々に短くなっている。図1においてθ1 ,θ5 は、ほぼ270°であり、θ2 ,θ3 は、ほぼ90°であり、θ4 は、ほぼ220°である。ここで、保持具本体10の嵌入開口部14から内部に給水管P1 を嵌入させる場合には、保持具本体10における当該嵌入開口部14に臨む部分は、当該嵌入開口部14が僅かに拡開するように弾性変形する〔図1のX1 −X1 線断面図参照〕と共に、給水管P1 を挿通している鞘管P2 も非円形に変形する。この構成により、保持具本体10の嵌入開口部14の中心角は、軸心方向に沿ったほぼ全ての部分において180°よりも小さくても、保持具本体10の嵌入開口部14から内部に給水管P1 を嵌入することが可能となる。なお、保持具本体10における各開口端面15a,15bの軸心方向に沿った両端部には、給水管P1 の嵌入時における引っ掛かりを避けるために、それぞれ側面視及び正面視で面取り状に切り欠かれている。
【0023】
また、保持具本体10における開口端面15bの側(保持具本体10にわん曲して嵌入された給水管P1 の内面側)であって、軸心方向の中央部には、給水管P1 をわん曲させて保持具本体10に嵌入させる際に、当該給水管P1 の曲げと保持具本体10内への給水管P1 の嵌入の双方を助けるための曲げ支点片18が、保持具本体10に対する給水管P1 の嵌入方向Q(図4及び図5参照)と逆の方向である接線方向に延設されている。このため、保持具本体10の嵌入開口部14から内部に給水管P1 を嵌入させる場合に、前記曲げ支点片18は、障害とならない。保持具本体10内に給水管P1 が嵌入された後には、前記曲げ支点片18は、給水管P1 の立上り部P1aが自身の弾性復元力により抜け出るのを防止する抜止め片としての機能を果す。
【0024】
また、図1のX2 −X2 線断面図、及び図9に示されるように、保持具本体10における嵌入開口部14の反対側の部分であって、当該保持具本体10の軸心方向に沿って引掛け溝部17に対応する部分には、前記軸心方向に沿って突条19が形成され、当該突条19における軸心方向に沿って前記引掛け溝部17に対応する位置には、同様の別の引掛け溝部21が形成されている。図7〜図10に示されるように、保持具本体10に給水管P1 が嵌入された状態において、当該保持具本体10に形成された干渉回避溝部16及び各引掛け溝部17,21に結束バンド1を入り込ませて引っ掛けることにより、保持具本体10に嵌入された給水管P1 が抜け出るのを補助的に防止している。
【0025】
また、保持具A1 の高さH1 (図2参照)は、約100mm程度であって、設置面Eから床板2の裏面までの高さH2 (図8参照)よりも、遥かに小さい。よって、立上げ配管された給水管P1 の保持具A1 と床板2までの露出部分は、自立スリーブS内に挿通されて、給水管P1 の垂直露出配管部を自立し易くしてある。自立スリーブSは、図11及び図12に示されるように、円筒状のスリーブ本体31の下端部に当該スリーブ本体31よりも僅かに外径の大きな外嵌部32が一体に形成され、当該外嵌部32の周方向に沿って対向する部分には、一対の係合孔33が周方向に沿って形成され、外嵌部32の内周面には、各係合孔33の長手方向の端部に接続する突起体挿通溝部34が形成されている。一対の突起体挿通溝部34は、開口端から内部に向けて幅が狭くなっている。前記一対の突起体挿通溝部34は、保持具A1 の保持具本体10の上端部の外周面の対向部に設けられた一対の係合突起体22に対応している。スリーブ本体31は、保持具本体10の高さH1 及び設置面Eから床板2の裏面までの高さH2 に対応した長さであることが必要であり、前記各高さH1 ,H2 に対応して切断し易いように、外周面に長さ方向に沿って目盛り35が施されている。
【0026】
また、図3に示されるように、固定座40の平面形状は六角形状であって、保持具本体10の軸心方向の一端部を構成する垂直部が配置された側の2辺の交点41は、保持具本体10の垂直側の不完全リング状をした端面23aの軸心(中心)C1 と一致している。従って、給水管P1 を立上げ配管するための保持具A1 を設置面Eに設置固定する際に、当該設置面Eに、立上げ配管される給水管P1 の垂直部の軸心位置を罫書いておき、当該軸心位置4(図3参照)に固定座40の交点41を合致させた状態で、当該固定座40を複数本のビス3を介して設置面Eに固定すると、設置面Eに固定座40を固定するのみで、立上げ配管される給水管P1 の垂直配管部の軸心C1 の位置が正確に定められる。従って、給水管P1 を立上げ配管する際の立上げ配管部の中心位置を誤ることなく配管できる。なお、図2において、C2 は、保持具本体10の水平側の端面23bの軸心(中心)を示し、図3において、42は、固定座40を設置面Eに固定するビス3の挿通孔を示す。
【0027】
そして、上記した立上り部保持具A1 を使用して、鞘管P2 に挿通された給水管P1 を立上り配管するには、以下のようにして行う。まず、立上り配管される給水管P1 の垂直配管部の位置は、当該給水管P1 が接続される洗面台等の設置位置により予め分かっているので、設置面Eにおける立上り配管される給水管P1 の垂直配管部の軸心位置4を罫書いておく。そして、保持具A1 の固定座40の前記交点41を設置面Eの罫書かれた軸心位置4に合致させた状態で、当該設置面Eに複数本のビス3を用いて固定座40を固定する(図3参照)。
【0028】
その後に、給水管P1 をわん曲させながら保持具本体10に嵌入させるには、図5に示されるように、当該保持具本体10の軸心に沿った方向の中央部に設けられた曲げ支点片18の裏面側で給水管P1 の一部を支持した状態で、当該給水管P1 を保持具本体10の曲率と同一となるまでわん曲させ、その時点で、わん曲された給水管P1 の立上り部P1aを保持具本体10の内部に押し込むと、保持具本体10に給水管P1 が嵌入される(図6参照)。ここで、保持具本体10の曲げ支点片18が設けられている軸心の方向に沿った中央部の横断面の中心角は、ほぼ90°であって嵌入が容易になっている。また、図1のX1 −X1 線〜X5 −X5 線の各断面図に示されるように、保持具本体10の嵌入開口部14に臨む周方向延設部10aの部分は、嵌入開口部14が拡開するように弾性変形されると共に、給水管P1 を挿通している鞘管P2 が嵌入され易い非円形に変形され、保持具本体10の内部に給水管P1 及び鞘管P2 の各立上り部P1a, P2aが嵌入された後に、保持具本体10が原形状に復元することにより、断面視で給水管P1 及び鞘管P2 の半分を超える一方の側面部が保持具本体10の軸心方向の全長に亘って当該保持具本体10に嵌入される。保持具本体10に形成された嵌入開口部14は、一方の側面に開口しているので、当該保持具本体10に給水管P1 が嵌入された状態では、給水管P1 及び鞘管P2 のわん曲された立上り部P1a, P2aの内面側は、保持具本体10の軸心方向の全長に亘って保持されるので、わん曲された給水管P1 の原形状に戻ろうとする弾性復元力が作用しても、当該弾性復元力に抗して、保持具本体10に対する嵌入状態を維持できる。このように、曲げ支点片18を利用することにより、給水管P1 をわん曲させた立上り部P1aを保持具本体10に嵌入させる作業が容易となる。また、保持具本体10に給水管P1 が嵌入された後には、前記曲げ支点片18は、保持具本体10にわん曲して嵌入された給水管P1 の立上り部P1aが自身の弾性復元力により抜け出るのを効果的に防止できると共に、当該曲げ支点片18は、保持具本体10に対して給水管P1 の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されているため、曲げ支点片18が給水管P1 の立上り部P1aの嵌入に際して障害とならない。なお、給水管P1 は、床板2よりも上方に配管される部分を除いて鞘管P2 内に挿通されているが、図5〜図9においては、鞘管P2 は、一部のみを図示してある。
【0029】
また、曲げ支点片18を利用して、支持具本体10に給水管P1 の立上り部P1aを嵌入させる別の方法として、支持具本体10を長手方向に沿って前記曲げ支点片18で二分した一方の部分に、前記立上り部P1aのほぼ半分を嵌入した後に、前記曲げ支点片18により未嵌入の残りの立上り部P1aを支持することにより、当該曲げ支点片18を支点にして未嵌入の残りの立上り部P1aを更にわん曲させた後に、前記支持具本体10の長手方向に沿って二分した他方の部分に嵌入させることも可能である。この嵌入方法は、給水管P1 の立上り部P1aを2回に分けて嵌入するので、当該給水管P1 を曲げるのに要する力が小さくて済むと共に、嵌入長が短いために、嵌入作業自体も容易である。
【0030】
しかも、保持具本体10の軸心方向に沿った両端部には、断面視で周方向に延設された周方向延設部10aが形成されているのに加えて、保持具本体10の横断面は、軸心方向のほぼ全長に亘って180°を超える中心角を有しており、更に保持具本体10の軸心方向(長手方向)の中央部には、曲げ支点片18が給水管P1 の立上り部P1aの嵌入方向と逆の方向に向いて延設されており、上記した各構成が相乗して、保持具本体10に嵌入された給水管P1 及び鞘管P2 の各立上り部P1a, P2aは、その弾性復元力によっても抜け出なくなる。このため、保持具本体10の側面に形成された嵌入開口部14から、当該保持具本体10の内部に給水管P1 の立上り部P1aを嵌入させるのみで、他の部品を一切使用せずに、保持具本体10に対して給水管P1 の立上り部P1aを保持できる。なお、図7〜図10に示されるように、保持具本体10に形成された各引掛け溝部17,21及び干渉回避溝部16の部分に結束バンド1を配置して、保持具本体10に嵌入された給水管P1 のわん曲部を当該保持具本体10に対して結束バンド1により結束すると、保持具本体10からの給水管P1 のわん曲部の抜け出しを確実に防止できる。
【0031】
そして、必要に応じて、保持具本体10の上端部の垂直部に、必要長さに切断された自立スリーブSを外嵌して、給水管P1 の垂直配管部の自立を助ける。即ち、自立スリーブSの下端部の外嵌部32に形成された一対の突起体挿通溝部34と、保持具本体10の上端部の垂直部に形成された一対の係合突起体22とをそれぞれ合致させて、保持具本体10の上端部の垂直部の外側に自立スリーブSの外嵌部32を外嵌した後に、保持具本体10に対して自立スリーブSを係合孔33の形成方向に所定角度だけ回すと、保持具本体10の一対の係合突起体22と、自立スリーブSの一対の係合孔33とが係合して、自立スリーブSは、保持具本体10に対して垂直に配置されて、保持具本体10から自立スリーブSが抜け出なくなる〔図12(a),(b)参照〕。これにより、垂直配置された自立スリーブS内に挿通された給水管P1 の垂直配管部は、垂直を維持する。なお、図8において、5は、床板2に形成された給水管P1 の挿通孔を示す。
【0032】
また、本発明は、可撓管の立上り部保持具の設置面への固定作業と、当該保持具に対する可撓管の立上り部の嵌入作業とを個別に行えることに特徴を有するので、可撓管を嵌入させるために保持具本体に形成される嵌入開口部は、上記実施例のように、保持具本体の側面に開口したものに限定されない。例えば、図13に示される可撓管の立上り部保持具A2 は、保持具本体10’の内面側に嵌入開口部14’が形成された構成である。この立上り部保持具A2 では、給水管P1 のわん曲した立上り部P1aを保持具本体10’の正面側から嵌入させることになる。保持具本体10’の軸心方向の両端部には、上記した立上り部保持具A1 と同様に、周方向延設部10'aが設けられている。
【0033】
更に、保持具本体に形成される嵌入開口部は、当該保持具本体の側面に形成された形態、正面に形成された形態の他に、保持具本体の側面と正面との間に形成された形態、即ち斜側面に開口した形態であってもよい。嵌入開口部は、保持具本体の側面に形成される形態を除いて、可撓管のわん曲した立上り部を単に嵌入させるのみでは、当該可撓管の弾性復元力により抜け出る恐れがあり、この場合には、リング体等の別体の部品を用いて、保持具本体から可撓管が抜け出るのを防止すればよい。別体の部品を用いて、保持具本体から可撓管の立上り部が抜け出るのを防止する構成であっても、設置面に対する保持具の固定作業と、当該保持具に対する可撓管の立上り部の嵌入作業とを別々に行える。
【0034】
また、上記した配管例は、設置面に保持具を固定した後に、当該保持具に対して可撓管の立上り部を嵌入させているが、この逆であってもよい。即ち、可撓管の立上り部を保持具に嵌入させた後に、可撓管の立上り部が嵌入された保持具を設置面に固定することも可能である。
【0035】
また、本発明に係る立上り部保持具の保持対象である可撓管としては、鞘管に挿通された給水管に限られず、外周が断熱材で被覆された給水管、同様の給湯管、電線管、単独の鞘管等が挙げられる。単独の鞘管の場合には、保持具により立上り部が保持された状態で配管された後に、当該鞘管内に給水管又は給湯管が挿通配管される。
【符号の説明】
【0036】
A1,A2 :立上り部保持具
C1 :保持具本体の上端部の端面の軸心(中心)
E:立上り部保持具の設置面
P1 :給水管(可撓管)
P1a:給水管の立上り部
P2 :鞘管(可撓管)
10,10’:保持具本体
10a:周方向延設部
14,14’:嵌入開口部
18:曲げ支点片
23a:保持具本体の上端垂直側の端面
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓管を立ち上げて配管する際に、わん曲した立上り部を嵌入保持するのに使用される可撓管の立上り部保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記用途の従来の可撓管の立上り部保持具としては、特許文献1,2に開示のものが知られている。各特許文献1,2に開示の立上り部保持具に共通の構成は、保持具本体に対して可撓管を保持するのに別体の部品を不要として、当該保持具本体のみで保持可能にするための可撓管の挿通部を備えていることである。
【0003】
このため、保持具を設置面に固定する前に、当該保持具の挿通部に可撓管を挿通して、保持具本体のわん曲形状に倣って可撓管をわん曲させながら、保持具を設置面に固定していた。給水・給湯管等の可撓管は、必要な曲げ剛性と曲げ癖とを有しているため、保持具のわん曲形状に倣って可撓管をわん曲させること自体が大きな力を必要とする。そして、可撓管を立上げ配管するには、可撓管の曲げ剛性、曲げ癖等に抗して当該可撓管をわん曲させながら保持具を設置面に固定せざるを得ないので、可撓管の立上げ配管の作業は、多くの手間を必要とした。特に、いわゆる「鞘管工法」において、給水・給湯管を鞘管に挿通した状態で、即ち二重管状態で立上げ配管する際に、全体を曲げる作業は特に大変であった。
【0004】
一方、施工順序の面から見ると、可撓管の配管と保持具の固定とを同時に行なう必要があるので、例えば、保持具のみを先に設置して、その後に可撓管を立上げ配管することができない等の配管面からの制約もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−1965号公報
【特許文献2】特開平11−336952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設置面に立上り部保持具を固定した後において、当該立上り部保持具に対して可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持するための保持具本体と、当該保持具本体を設置面に固定するための固定座とを備えた可撓管の立上り部保持具であって、前記保持具本体は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、可撓管の前記立上り部を嵌入可能な嵌入開口部を備え、前記嵌入開口部は、前記保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、保持具本体に形成された嵌入開口部は、当該保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されているので、固定座を介して保持具を設置面に固定した後に、保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向から、当該保持具本体の嵌入開口部に可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させることが可能となる。よって、作業者は、設置面に保持具を固定した後に、設置面に固定された保持具本体に対して可撓管の立上り部をわん曲させて、保持具本体に形成された嵌入開口部から前記立上り部を嵌入させる作業のみに専念できるので、可撓管の立上り部の立上げ配管の作業が容易となる。このように、保持具の設置固定作業と可撓管の立上げ配管作業とを別々に行えるので、可撓管を立上げ配管する際の配管上の制約も解消される。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、可撓管の立上り部のわん曲形状の全体が現れる側を側面と定めた場合に、前記嵌入開口部は、断面視で可撓管の立上り部のほぼ半分である一方の側面部が保持具本体に嵌入して保持されるように、当該保持具本体の側面に開口して形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させるために保持具本体に形成された嵌入開口部が、当該保持具本体の側方に開口していて、当該保持具本体に可撓管のわん曲した立上り部が嵌入保持された状態において、わん曲した当該立上り部は、わん曲状態の内側において全長に亘って保持具本体で保持されるので、復元力により可撓管のわん曲した立上り部が当該保持具本体から外れようとする力を効果的に阻止できる。この結果、保持具本体の側面に開口した嵌入開口部から可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させるのみで、他の部品を用いることなく、保持具本体に対して可撓管の立上り部を保持できる。また、可撓管のわん曲した立上り部を嵌入させるために保持具本体に形成された嵌入開口部は、当該保持具本体の側方に開口しているために、保持具本体に対する前記立上り部の嵌入作業も容易となる。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明において、保持具本体の軸心に沿った方向の中央部には、前記可撓管を曲げながら前記保持具本体に嵌入させる際に、当該可撓管の曲げ支点として作用する曲げ支点片が、可撓管の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、可撓管をわん曲させながら保持具本体に嵌入させるには、当該保持具本体の軸心に沿った方向の中央部に設けられた曲げ支点片の裏面側で可撓管の一部を支持した状態で、当該可撓管を保持具本体の曲率と同一となるまでわん曲させ、その時点で、わん曲された可撓管の立上り部を保持具本体の内部に押し込むと、保持具本体に可撓管が嵌入される。このため、可撓管をわん曲させた立上り部を保持具本体に嵌入させる作業が容易となる。一方、保持具本体に可撓管が嵌入された後には、前記曲げ支点片は、保持具本体にわん曲して嵌入された可撓管の立上り部が自身の弾性復元力により抜け出るのを効果的に防止できると共に、当該曲げ支点片は、保持具本体に対して可撓管の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されているため、曲げ支点片が可撓管の立上り部の嵌入に際して障害とならない。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記保持具本体の軸心に沿った両端部には、断面視で180°を超える角度で前記立上り部の外周を保持可能とすべく、周方向延設部が設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明によれば、保持具本体に保持された可撓管のわん曲した立上り部の軸心方向に沿った両端部は、周方向延設部により断面視で180°を超える角度で可撓管の立上り部の外周を保持できるので、当該保持具本体で可撓管の立上り部を保持するのみで、当該立上り部は抜け出なくなる。特に、保持具本体の軸心に沿った方向の中央部に曲げ支点片が可撓管の嵌入方向に延設された構成との併用により、可撓管の抜出し防止を一層効果的に行える。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記固定座には、設置面に罫書かれた罫書き線に対して位置合せ可能な位置合せ部を備え、当該位置合せ部は、保持具本体の垂直側の端面の軸心と同一位置に形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明によれば、立上り配管された可撓管の垂直配管部の配管位置を予め定めて、立上り部保持具を設置面に固定できるので、可撓管の立上り配管位置を定める作業が容易となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、可撓管の立上り部保持具において、保持具本体は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、可撓管の前記立上り部を嵌入可能な嵌入開口部を備え、当該嵌入開口部は、前記保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されているので、設置面に立上り部保持具を固定した後において、当該立上り部保持具に対して可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持できる。よって、作業者は、設置面に対する保持具の設置固定作業と、可撓管の立上げ配管作業とを別々に行えて、大きな曲げ剛性と曲げ癖とを有している可撓管の立上げ配管の作業に専念できるので、可撓管の立上げ配管作業が容易になると共に、保持具の設置固定作業と可撓管の立上げ配管作業とを別々に行えるので、可撓管の配管上の制約も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る可撓管の立上り部保持具A1 の側面図、及び軸心方向に沿った各部分の横断面図である。
【図2】立上り部保持具A1 の正面図である。
【図3】同じく平面図である。
【図4】立上り部保持具A1 を設置面Eに設置固定する状態を示す斜視図である。
【図5】鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 を曲げ支点片18を支点にしてわん曲させながら、立上り部保持具A1 の保持具本体10に嵌入させる状態を示す斜視図である。
【図6】立上り部保持具A1 の保持具本体10に、鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 の立上り部P1aが嵌入された状態を示す斜視図である。
【図7】鞘管P2 に挿通された給水管P1 の立上り配管の完了後の斜視図である。
【図8】同じく側面図である。
【図9】鞘管P2 に挿通された給水管P1 の立上り配管の完了後の状態を異なる側から見た斜視図である。
【図10】(a),(b)は、保持具本体10に対して給水管P1 の立上り部P1aが結束バンド1,1’を介して結束された部分の横断面図である。
【図11】自立スリーブSの斜視図である。
【図12】(a),(b)は、それぞれ保持具本体10の一対の係合突起体22と、自立スリーブSの一対の係合孔33との係合前後の横断面図である。
【図13】内面側に嵌入開口部14’が形成された保持具本体10’を有する可撓管の立上り部保持具A2 の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、最良の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。図1は、本発明に係る立上り部保持具A1 の側面図及び軸心方向に沿った各部分の横断面図であり、図2は、立上り部保持具A1 の正面図であり、図3は、同じく平面図である。図4〜図9は、施工順序を示す図であって、図4は、立上り部保持具A1 を設置面Eに設置固定する状態を示す斜視図であり、図5は、 鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 を曲げ支点片18を支点にしてわん曲させながら、立上り部保持具A1 の保持具本体10に嵌入させる状態を示す斜視図であり、図6は、立上り部保持具A1 の保持具本体10に、鞘管P2 に挿通された状態で給水管P1 の立上り部P1aが嵌入された状態を示す斜視図であり、図7及び図8は、それぞれ鞘管P2 に挿通された給水管P1 の立上り配管の完了後の斜視図、及び側面図であり、図9は、同様の状態を異なる側から見た斜視図である。
【0020】
図1〜図4及び図9において、立上り部保持具A1 は、給水管P1 が挿通された鞘管P2 を嵌入可能な保持具本体10と、当該保持具本体10を設置面Eに設置固定するための固定座40とから成る。なお、以下において、単に「給水管P1 を保持具本体10に嵌入する」とは、鞘管P2 に給水管P1 を挿通した状態で当該給水管P1 を嵌入することを意味する。保持具本体10は、上下面のいずれか一方に開口した断面半円状のリング半円筒体を、四分円弧状(中心角がほぼ90°)となるように切断した形状であって、内部空間を含めて前記保持具本体10のほぼ全体が、給水管P1 のわん曲した立上り部P1aを嵌入保持する部分となっている。保持具本体10は、嵌入保持された給水管P1 の立上り部P1aの全体形状が現れる側を側面と定めた場合において、断面視で給水管P1 の立上り部P1aのほぼ半分である一方の側面部が、当該保持具本体10に嵌入されるように、側面に開口した形態で配置される。保持具本体10における軸心方向に沿った中央部から水平配置される側に至る部分には、開口側連結部12及び反開口側連結部13を介して板状をした固定座40が一体に設けられている。保持具本体10の軸心方向(長手方向)に沿った開口は、当該軸心方向に沿った全長に亘って設けられ、側面視で四分円弧状をした保持具本体10の開口は、側面を向いて形成されて、鞘管P2 に挿通された給水管P1 を側方から保持具本体10に嵌入させるための嵌入開口部14となっている。保持具本体10の軸心方向に沿った両端部は、中心角90°の四分円弧の両端がそれぞれ接線方向に所定長だけ延長された直線部となっている。
【0021】
保持具本体10の嵌入開口部14を形成していて、側面視で四分円弧状をなす各開口端面15a,15bのうち固定座40の側の開口端面15aにおける軸心方向に沿った中央部には、所定の中心角だけ広幅の溝状に欠落されて、干渉回避溝部16が形成されている。干渉回避溝部16は、鞘管P2 に挿通された給水管P1 を保持具本体10に嵌入させる際に、前記開口側連結部12との干渉を回避して前記嵌入を確実にさせるために設けられる。一方、固定座40と反対側の開口端面15bにおける前記干渉回避溝部16の斜上端部に対応する部分には、保持具本体10に嵌入された給水管P1 を当該保持具本体10に対して部分的に結束させるための結束バンド1を引っ掛けるための引掛け溝部17が形成されている。前記干渉回避溝部16の斜上端部は、結束バンド1を引っ掛けるための引掛け溝としての機能を果す。このため、開口側連結部12は、給水管P1 を保持具本体10に嵌入させる際の当該保持具本体10との干渉を回避するように配置せざるを得ないという制約があるために、保持具本体10の軸心方向に沿った長さ、及び高さの双方において、前記制約のない反開口側連結部13よりも短くなっている。
【0022】
また、保持具本体10における開口端面15aを形成する部分であって、しかも当該保持具本体10の両端から中央部に向けて所定長の部分には、断面視で180°を超える角度θ1 ,θ5 で給水管P1 を保持可能なように周長が長く形成された周方向延設部10aが設けられている。周方向延設部10aは、両端のやや内側の部分で周長が最も長くなって、軸心方向に沿った周長は、当該軸心方向の中央部に向けて徐々に短くなっている。図1においてθ1 ,θ5 は、ほぼ270°であり、θ2 ,θ3 は、ほぼ90°であり、θ4 は、ほぼ220°である。ここで、保持具本体10の嵌入開口部14から内部に給水管P1 を嵌入させる場合には、保持具本体10における当該嵌入開口部14に臨む部分は、当該嵌入開口部14が僅かに拡開するように弾性変形する〔図1のX1 −X1 線断面図参照〕と共に、給水管P1 を挿通している鞘管P2 も非円形に変形する。この構成により、保持具本体10の嵌入開口部14の中心角は、軸心方向に沿ったほぼ全ての部分において180°よりも小さくても、保持具本体10の嵌入開口部14から内部に給水管P1 を嵌入することが可能となる。なお、保持具本体10における各開口端面15a,15bの軸心方向に沿った両端部には、給水管P1 の嵌入時における引っ掛かりを避けるために、それぞれ側面視及び正面視で面取り状に切り欠かれている。
【0023】
また、保持具本体10における開口端面15bの側(保持具本体10にわん曲して嵌入された給水管P1 の内面側)であって、軸心方向の中央部には、給水管P1 をわん曲させて保持具本体10に嵌入させる際に、当該給水管P1 の曲げと保持具本体10内への給水管P1 の嵌入の双方を助けるための曲げ支点片18が、保持具本体10に対する給水管P1 の嵌入方向Q(図4及び図5参照)と逆の方向である接線方向に延設されている。このため、保持具本体10の嵌入開口部14から内部に給水管P1 を嵌入させる場合に、前記曲げ支点片18は、障害とならない。保持具本体10内に給水管P1 が嵌入された後には、前記曲げ支点片18は、給水管P1 の立上り部P1aが自身の弾性復元力により抜け出るのを防止する抜止め片としての機能を果す。
【0024】
また、図1のX2 −X2 線断面図、及び図9に示されるように、保持具本体10における嵌入開口部14の反対側の部分であって、当該保持具本体10の軸心方向に沿って引掛け溝部17に対応する部分には、前記軸心方向に沿って突条19が形成され、当該突条19における軸心方向に沿って前記引掛け溝部17に対応する位置には、同様の別の引掛け溝部21が形成されている。図7〜図10に示されるように、保持具本体10に給水管P1 が嵌入された状態において、当該保持具本体10に形成された干渉回避溝部16及び各引掛け溝部17,21に結束バンド1を入り込ませて引っ掛けることにより、保持具本体10に嵌入された給水管P1 が抜け出るのを補助的に防止している。
【0025】
また、保持具A1 の高さH1 (図2参照)は、約100mm程度であって、設置面Eから床板2の裏面までの高さH2 (図8参照)よりも、遥かに小さい。よって、立上げ配管された給水管P1 の保持具A1 と床板2までの露出部分は、自立スリーブS内に挿通されて、給水管P1 の垂直露出配管部を自立し易くしてある。自立スリーブSは、図11及び図12に示されるように、円筒状のスリーブ本体31の下端部に当該スリーブ本体31よりも僅かに外径の大きな外嵌部32が一体に形成され、当該外嵌部32の周方向に沿って対向する部分には、一対の係合孔33が周方向に沿って形成され、外嵌部32の内周面には、各係合孔33の長手方向の端部に接続する突起体挿通溝部34が形成されている。一対の突起体挿通溝部34は、開口端から内部に向けて幅が狭くなっている。前記一対の突起体挿通溝部34は、保持具A1 の保持具本体10の上端部の外周面の対向部に設けられた一対の係合突起体22に対応している。スリーブ本体31は、保持具本体10の高さH1 及び設置面Eから床板2の裏面までの高さH2 に対応した長さであることが必要であり、前記各高さH1 ,H2 に対応して切断し易いように、外周面に長さ方向に沿って目盛り35が施されている。
【0026】
また、図3に示されるように、固定座40の平面形状は六角形状であって、保持具本体10の軸心方向の一端部を構成する垂直部が配置された側の2辺の交点41は、保持具本体10の垂直側の不完全リング状をした端面23aの軸心(中心)C1 と一致している。従って、給水管P1 を立上げ配管するための保持具A1 を設置面Eに設置固定する際に、当該設置面Eに、立上げ配管される給水管P1 の垂直部の軸心位置を罫書いておき、当該軸心位置4(図3参照)に固定座40の交点41を合致させた状態で、当該固定座40を複数本のビス3を介して設置面Eに固定すると、設置面Eに固定座40を固定するのみで、立上げ配管される給水管P1 の垂直配管部の軸心C1 の位置が正確に定められる。従って、給水管P1 を立上げ配管する際の立上げ配管部の中心位置を誤ることなく配管できる。なお、図2において、C2 は、保持具本体10の水平側の端面23bの軸心(中心)を示し、図3において、42は、固定座40を設置面Eに固定するビス3の挿通孔を示す。
【0027】
そして、上記した立上り部保持具A1 を使用して、鞘管P2 に挿通された給水管P1 を立上り配管するには、以下のようにして行う。まず、立上り配管される給水管P1 の垂直配管部の位置は、当該給水管P1 が接続される洗面台等の設置位置により予め分かっているので、設置面Eにおける立上り配管される給水管P1 の垂直配管部の軸心位置4を罫書いておく。そして、保持具A1 の固定座40の前記交点41を設置面Eの罫書かれた軸心位置4に合致させた状態で、当該設置面Eに複数本のビス3を用いて固定座40を固定する(図3参照)。
【0028】
その後に、給水管P1 をわん曲させながら保持具本体10に嵌入させるには、図5に示されるように、当該保持具本体10の軸心に沿った方向の中央部に設けられた曲げ支点片18の裏面側で給水管P1 の一部を支持した状態で、当該給水管P1 を保持具本体10の曲率と同一となるまでわん曲させ、その時点で、わん曲された給水管P1 の立上り部P1aを保持具本体10の内部に押し込むと、保持具本体10に給水管P1 が嵌入される(図6参照)。ここで、保持具本体10の曲げ支点片18が設けられている軸心の方向に沿った中央部の横断面の中心角は、ほぼ90°であって嵌入が容易になっている。また、図1のX1 −X1 線〜X5 −X5 線の各断面図に示されるように、保持具本体10の嵌入開口部14に臨む周方向延設部10aの部分は、嵌入開口部14が拡開するように弾性変形されると共に、給水管P1 を挿通している鞘管P2 が嵌入され易い非円形に変形され、保持具本体10の内部に給水管P1 及び鞘管P2 の各立上り部P1a, P2aが嵌入された後に、保持具本体10が原形状に復元することにより、断面視で給水管P1 及び鞘管P2 の半分を超える一方の側面部が保持具本体10の軸心方向の全長に亘って当該保持具本体10に嵌入される。保持具本体10に形成された嵌入開口部14は、一方の側面に開口しているので、当該保持具本体10に給水管P1 が嵌入された状態では、給水管P1 及び鞘管P2 のわん曲された立上り部P1a, P2aの内面側は、保持具本体10の軸心方向の全長に亘って保持されるので、わん曲された給水管P1 の原形状に戻ろうとする弾性復元力が作用しても、当該弾性復元力に抗して、保持具本体10に対する嵌入状態を維持できる。このように、曲げ支点片18を利用することにより、給水管P1 をわん曲させた立上り部P1aを保持具本体10に嵌入させる作業が容易となる。また、保持具本体10に給水管P1 が嵌入された後には、前記曲げ支点片18は、保持具本体10にわん曲して嵌入された給水管P1 の立上り部P1aが自身の弾性復元力により抜け出るのを効果的に防止できると共に、当該曲げ支点片18は、保持具本体10に対して給水管P1 の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されているため、曲げ支点片18が給水管P1 の立上り部P1aの嵌入に際して障害とならない。なお、給水管P1 は、床板2よりも上方に配管される部分を除いて鞘管P2 内に挿通されているが、図5〜図9においては、鞘管P2 は、一部のみを図示してある。
【0029】
また、曲げ支点片18を利用して、支持具本体10に給水管P1 の立上り部P1aを嵌入させる別の方法として、支持具本体10を長手方向に沿って前記曲げ支点片18で二分した一方の部分に、前記立上り部P1aのほぼ半分を嵌入した後に、前記曲げ支点片18により未嵌入の残りの立上り部P1aを支持することにより、当該曲げ支点片18を支点にして未嵌入の残りの立上り部P1aを更にわん曲させた後に、前記支持具本体10の長手方向に沿って二分した他方の部分に嵌入させることも可能である。この嵌入方法は、給水管P1 の立上り部P1aを2回に分けて嵌入するので、当該給水管P1 を曲げるのに要する力が小さくて済むと共に、嵌入長が短いために、嵌入作業自体も容易である。
【0030】
しかも、保持具本体10の軸心方向に沿った両端部には、断面視で周方向に延設された周方向延設部10aが形成されているのに加えて、保持具本体10の横断面は、軸心方向のほぼ全長に亘って180°を超える中心角を有しており、更に保持具本体10の軸心方向(長手方向)の中央部には、曲げ支点片18が給水管P1 の立上り部P1aの嵌入方向と逆の方向に向いて延設されており、上記した各構成が相乗して、保持具本体10に嵌入された給水管P1 及び鞘管P2 の各立上り部P1a, P2aは、その弾性復元力によっても抜け出なくなる。このため、保持具本体10の側面に形成された嵌入開口部14から、当該保持具本体10の内部に給水管P1 の立上り部P1aを嵌入させるのみで、他の部品を一切使用せずに、保持具本体10に対して給水管P1 の立上り部P1aを保持できる。なお、図7〜図10に示されるように、保持具本体10に形成された各引掛け溝部17,21及び干渉回避溝部16の部分に結束バンド1を配置して、保持具本体10に嵌入された給水管P1 のわん曲部を当該保持具本体10に対して結束バンド1により結束すると、保持具本体10からの給水管P1 のわん曲部の抜け出しを確実に防止できる。
【0031】
そして、必要に応じて、保持具本体10の上端部の垂直部に、必要長さに切断された自立スリーブSを外嵌して、給水管P1 の垂直配管部の自立を助ける。即ち、自立スリーブSの下端部の外嵌部32に形成された一対の突起体挿通溝部34と、保持具本体10の上端部の垂直部に形成された一対の係合突起体22とをそれぞれ合致させて、保持具本体10の上端部の垂直部の外側に自立スリーブSの外嵌部32を外嵌した後に、保持具本体10に対して自立スリーブSを係合孔33の形成方向に所定角度だけ回すと、保持具本体10の一対の係合突起体22と、自立スリーブSの一対の係合孔33とが係合して、自立スリーブSは、保持具本体10に対して垂直に配置されて、保持具本体10から自立スリーブSが抜け出なくなる〔図12(a),(b)参照〕。これにより、垂直配置された自立スリーブS内に挿通された給水管P1 の垂直配管部は、垂直を維持する。なお、図8において、5は、床板2に形成された給水管P1 の挿通孔を示す。
【0032】
また、本発明は、可撓管の立上り部保持具の設置面への固定作業と、当該保持具に対する可撓管の立上り部の嵌入作業とを個別に行えることに特徴を有するので、可撓管を嵌入させるために保持具本体に形成される嵌入開口部は、上記実施例のように、保持具本体の側面に開口したものに限定されない。例えば、図13に示される可撓管の立上り部保持具A2 は、保持具本体10’の内面側に嵌入開口部14’が形成された構成である。この立上り部保持具A2 では、給水管P1 のわん曲した立上り部P1aを保持具本体10’の正面側から嵌入させることになる。保持具本体10’の軸心方向の両端部には、上記した立上り部保持具A1 と同様に、周方向延設部10'aが設けられている。
【0033】
更に、保持具本体に形成される嵌入開口部は、当該保持具本体の側面に形成された形態、正面に形成された形態の他に、保持具本体の側面と正面との間に形成された形態、即ち斜側面に開口した形態であってもよい。嵌入開口部は、保持具本体の側面に形成される形態を除いて、可撓管のわん曲した立上り部を単に嵌入させるのみでは、当該可撓管の弾性復元力により抜け出る恐れがあり、この場合には、リング体等の別体の部品を用いて、保持具本体から可撓管が抜け出るのを防止すればよい。別体の部品を用いて、保持具本体から可撓管の立上り部が抜け出るのを防止する構成であっても、設置面に対する保持具の固定作業と、当該保持具に対する可撓管の立上り部の嵌入作業とを別々に行える。
【0034】
また、上記した配管例は、設置面に保持具を固定した後に、当該保持具に対して可撓管の立上り部を嵌入させているが、この逆であってもよい。即ち、可撓管の立上り部を保持具に嵌入させた後に、可撓管の立上り部が嵌入された保持具を設置面に固定することも可能である。
【0035】
また、本発明に係る立上り部保持具の保持対象である可撓管としては、鞘管に挿通された給水管に限られず、外周が断熱材で被覆された給水管、同様の給湯管、電線管、単独の鞘管等が挙げられる。単独の鞘管の場合には、保持具により立上り部が保持された状態で配管された後に、当該鞘管内に給水管又は給湯管が挿通配管される。
【符号の説明】
【0036】
A1,A2 :立上り部保持具
C1 :保持具本体の上端部の端面の軸心(中心)
E:立上り部保持具の設置面
P1 :給水管(可撓管)
P1a:給水管の立上り部
P2 :鞘管(可撓管)
10,10’:保持具本体
10a:周方向延設部
14,14’:嵌入開口部
18:曲げ支点片
23a:保持具本体の上端垂直側の端面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持するための保持具本体と、当該保持具本体を設置面に固定するための固定座とを備えた可撓管の立上り部保持具であって、
前記保持具本体は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、可撓管の前記立上り部を嵌入可能な嵌入開口部を備え、
前記嵌入開口部は、前記保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されていることを特徴とする可撓管の立上り部保持具。
【請求項2】
可撓管の立上り部のわん曲形状の全体が現れる側を側面と定めた場合に、前記嵌入開口部は、断面視で可撓管の立上り部のほぼ半分である一方の側面部が、前記保持具本体に嵌入して保持されるように、当該保持具本体の側面に開口して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可撓管の立上り部保持具。
【請求項3】
前記保持具本体の軸心に沿った方向の中央部には、前記可撓管を曲げながら前記保持具本体に嵌入させる際に、当該可撓管の曲げ支点として作用する曲げ支点片が、可撓管の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されていることを特徴とする請求項2に記載の可撓管の立上り部保持具。
【請求項4】
前記保持具本体の軸心に沿った両端部には、断面視で180°を超える角度で可撓管の立上り部の外周を保持可能とすべく、弾性変形可能な周方向延設部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可撓管の立上り部保持具。
【請求項5】
前記固定座には、設置面に罫書かれた罫書き線に対して位置合せ可能な位置合せ部を備え、当該位置合せ部は、保持具本体の垂直側の端面の軸心と同一位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の可撓管の立上り部保持具。
【請求項1】
可撓管のわん曲した立上り部を嵌入して保持するための保持具本体と、当該保持具本体を設置面に固定するための固定座とを備えた可撓管の立上り部保持具であって、
前記保持具本体は、長手方向に沿った一端から他端に向けて円弧状にわん曲した形状をなし、可撓管の前記立上り部を嵌入可能な嵌入開口部を備え、
前記嵌入開口部は、前記保持具本体のわん曲した軸心に対して直交する方向であって、しかも前記固定座と干渉しない方向から可撓管を嵌入可能なように、当該保持具本体の全長に亘って形成されていることを特徴とする可撓管の立上り部保持具。
【請求項2】
可撓管の立上り部のわん曲形状の全体が現れる側を側面と定めた場合に、前記嵌入開口部は、断面視で可撓管の立上り部のほぼ半分である一方の側面部が、前記保持具本体に嵌入して保持されるように、当該保持具本体の側面に開口して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可撓管の立上り部保持具。
【請求項3】
前記保持具本体の軸心に沿った方向の中央部には、前記可撓管を曲げながら前記保持具本体に嵌入させる際に、当該可撓管の曲げ支点として作用する曲げ支点片が、可撓管の嵌入方向と逆の方向である接線方向に延設されていることを特徴とする請求項2に記載の可撓管の立上り部保持具。
【請求項4】
前記保持具本体の軸心に沿った両端部には、断面視で180°を超える角度で可撓管の立上り部の外周を保持可能とすべく、弾性変形可能な周方向延設部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可撓管の立上り部保持具。
【請求項5】
前記固定座には、設置面に罫書かれた罫書き線に対して位置合せ可能な位置合せ部を備え、当該位置合せ部は、保持具本体の垂直側の端面の軸心と同一位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の可撓管の立上り部保持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−242769(P2010−242769A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88761(P2009−88761)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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