説明

可染性ポリプロピレン系繊維を用いた多色性繊維製品

【課題】立毛感、嵩高感およびソフトな風合いと、意匠性を有し、高級感のある多色性繊維製品、殊にカーペットを提供する。
【解決手段】下記の(1)、(2)を満たす、分散染料可染性繊維と分散染料不染性繊維からなる多色性繊維製品。
(1)分散染料可染性繊維が、糸条の長さ方向に部分的に2色以上の異なる色に染色され、かつ、多色性繊維製品の表面において、同一色の染色長が1〜50cm。
(2)分散染料可染性繊維の混率が3〜50質量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記の(1)、(2)を満たす、分散染料可染性繊維と分散染料不染性繊維からなる多色性繊維製品に関する。
(1)分散染料可染性繊維が、糸条の長さ方向に部分的に2色以上の異なる色で染色されており、かつ、多色性繊維製品の表面において、同一色の染色長が1〜50cm。
(2)分散染料可染性繊維の混率が3〜50質量%。
【背景技術】
【0002】
これまで、異色混繊捲縮糸を用いたカーペットは数多く提案されており、例えば特許文献1には、2種以上の互いに異色性を示す捲縮糸に交絡を施し、混繊糸とし、これを用いた多色柄カーペットが記載されている。しかしながら、異色性を示す捲縮糸の交絡混繊糸であるため、色彩の変化が僅かで、色彩の変化を強調することはできなかった。また、特許文献2には、ケミカルリサイクル可能な杢調を示す、多色性カーペットが記載されている。しかしながら、ポリテトラメチレンテレフタレート繊維を用いているため、耐毛倒れ性、発色に劣るものであり、とりわけ色彩の変化に乏しいものであった。
【特許文献1】特開2001−226843
【特許文献2】特開2002−88663
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述のような従来技術における問題点を解決するものであり、後加工での染色により多色染色が可能で、かつ、紡糸安定性に優れたポリプロピレン系繊維よりなる繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下記の(1)、(2)を満たす、分散染料可染性繊維と分散染料不染性繊維からなる多色性繊維製品にある。
(1)分散染料可染性繊維が、糸条の長さ方向に部分的に2色以上の異なる色で染色され、かつ、多色性繊維製品の表面において、同一色の染色長が1〜50cm。
(2)分散染料可染性繊維の混率が3〜50質量%。
更に本発明は、上記多色性繊維製品がカーペットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の分散染料に染色される分散染料可染性ポリプロピレン系繊維と、分散染料不染性繊維からなる繊維製品は、立毛感、嵩高感が高く、なおかつ好適な風合いを有し、さらに、混織することで高級感のある多色性繊維製品になる。混織しての柄だし方法として、分散染料不染性繊維の繊維製品のタフト工程で、分散染料に染色される可染性ポリプロピレン系繊維の先染め(チーズ染、カセ染め、ローラー捺染、スペースダイ等)繊維を、組み合わせて柄を描けば意匠性に優れ、高級感のある繊維製品が得られる。また、後染め(生機染、スクリーン捺染、転写捺染、紙型捺染等)を行えば高級感のある多色性繊維製品を得ることができる。本発明において分散染料不染性繊維としては、原着ポリプロピレン系繊維または、ナイロン繊維等が挙げられる。
【0006】
本発明の多色染色が可能な繊維製品は、ソフトな風合いで、立毛感、嵩高感、意匠性、多色性に優れることから、車両用オプションマットやラグ・ピースカーペット等に好適に用いる事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用する分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の先染め(チーズ染、カセ染め、ローラー捺染、スペースダイ等)繊維は、多色性繊維製品の表面において、同一染色域の長さ(以下、同一染色長という。)が1〜50cmであることが必要である。同一染色長が2〜15cmであることがより好ましい。同一染色長が1cm未満であると、スペースダイ染色を実施しても、染色糸の特徴が出ず、杢感(コントラスト)の乏しい繊維製品となる。また、50cmを超えると、先染め繊維が多色であっても、色の切り替え頻度が低くなってしまうため好ましくない。
【0008】
また、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の混率が3〜50質量%であることが必要である。分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の混率は、5〜25質量%であることがより好ましい。分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の混率が3質量%未満であると杢感(コントラスト)が乏しく、意匠性も乏しい。また、混率が50質量%を超えるとケバケバしく意匠性が低くなり好ましくない。
斯くして本発明は、タフト工程で分散染料に染色されない繊維と、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維で柄を描けば意匠性に優れ、高級感のある多色性繊維製品が得られる。本発明の多色性繊維製品としては、代表的にはカーペットが挙げられる。カーペットとしては、カットパイルカーペットまたは一部にカットパイル部が混在したカットパイルカーペット、あるいは一部にループパイル部が混在したカットアンドループパイルカーペットとしてもよい。
【0009】
本発明に用いる分散染料可染性繊維は、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維が好ましい。分散染料可染性ポリプロピレン系繊維は、捲縮を付与し、捲縮繊維とすることも可能であり、また、捲縮付与に続いて得られた可染性ポリプロピレン系捲縮繊維に撚りをかけてもよい。さらに、繊維の強伸度物性を損なわない範囲で、着色顔料、分散剤、蛍光増白剤、艶消剤、滑剤、帯電防止剤、消臭剤、抗菌剤、難燃剤等の添加剤が配合されていてもよく、また、これら添加剤の種類、量は異なっていてもよい。
【0010】
一方、本発明に用いる分散染料不染性繊維としては、ポリプロピレン系繊維が好ましい。一般に、分散染料不染性繊維としては、ポリプロピレン系繊維や、ナイロン繊維等が挙げられるが、有害物質を含まないことや、易リサイクル性の観点から環境に優しい樹脂として、ポリプロピレン系繊維が注目されており、また、環境負荷の軽減の観点からもポリプロピレン系繊維がより好ましい。分散染料に染色されないポリプロピレン系繊維は、捲縮を付与し、捲縮繊維とすることも可能であり、また、捲縮付与に続いて、得られた可染性ポリプロピレン系捲縮繊維に撚りをかけてもよい。また、繊維の強伸度物性を損なわない範囲で、着色顔料、分散剤、蛍光増白剤、艶消剤、滑剤、帯電防止剤、消臭剤、抗菌剤、難燃剤等の添加剤が配合されていてもよく、またこれら添加剤の種類、量は異なっていてもよい。
【0011】
本発明の一部を構成する、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維がポリブチレンテレフタレート系樹脂を5〜15質量%含むことが好ましい。分散染料可染性ポリプロピレン系繊維に含まれるポリブチレンテレフタレート系樹脂は、分散染料可染性の成分である。ポリブチレンテレフタレート系樹脂の混合率は5〜15質量%が必要であり、5〜10質量%が好ましい。5質量%未満では、望ましい染色性が得られず、15質量%を超えると、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の紡糸安定性が低下するおそれがある。
【0012】
また、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維に含まれるポリブチレンテレフタレート系樹脂の融点は、ポリプロピレン系樹脂の融点との差が30℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがさらに好ましい。融点差が30℃を超える場合は、ポリプロピレン系繊維の溶融紡糸における温度では、ポリブチレンテレフタレート系樹脂が十分に溶融せずに、溶融したポリプロピレン系樹脂中に固形異物として残り、溶融紡糸の際に紡糸安定性を低下させるおそれがある。また、ポリブチレンテレフタレート系樹脂の溶融紡糸における温度では、ポリプロピレン系樹脂の溶融粘度が低下し、紡糸安定性を低下させるおそれがある。
【0013】
本発明における、多色性繊維製品の一部を構成する分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の捲縮率は、5〜20%が好ましく、10%以上がより好ましい。10%以上とすると、嵩高でありながら、より立毛感の高い繊維製品(カーペット)とすることができる。捲縮率が5%未満であると、嵩高性や、立毛感が劣るものとなるため好ましくない。
【0014】
さらに、本発明の多色性繊維製品の一部を構成する、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の断面形状は、円形、三角、扁平、中空や多芯中空断面、Y型断面もしくは十字型断面等の葉(リブ)数3〜6の多葉型断面等いずれでもよい。特に、可染性ポリプロピレン系繊維が高い嵩高性を得られやすい多葉型断面であると、嵩高感のあるカーペットが得られより好ましい。
【0015】
次に、本発明の多色性繊維製品の製造方法の一例を説明する。
本発明の多色性繊維製品の一部を構成する分散染料可染性ポリプロピレン系繊維は、ポリプロピレン繊維の公知の溶融紡糸方法で得ることができる。溶融紡糸においては、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維は、前記成分にポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂組成物が少なくとも繊維表面に配される限り、芯鞘構造或いは貼合わせ構造等の複合繊維であってもよく、溶融紡糸において複合紡糸することもできる。
次に、溶融押出機により溶融した樹脂を紡糸ノズルから押し出し、紡出糸の表面に紡糸油剤を付与し、糸条を巻き取り未延伸糸とする。未延伸糸は、引き続き連続工程で延伸を行ってもよいし、一旦、巻き取った後延伸してもよい。延伸は、1段或いは2段以上の多段で行ってもよく、多段延伸における延伸倍率比の設定も特に限定されない。
【0016】
さらに、ホットエアー捲縮加工を施し捲縮を付与することも可能である。この際、溶融紡糸された未延伸糸を巻き取ることなく、連続して延伸同時ホットエアー捲縮加工、エアー交絡する直接紡糸延伸捲縮方式、或いは未延伸糸を一旦巻取った後、延伸同時ホットエアー捲縮加工、エアー交絡する方式などを用いることができる。
【0017】
また、延伸工程では熱源が接触型或いは非接触型であってもよい。延伸倍率は、2〜7倍とすることが好ましく、延伸倍率が2倍未満では、得られるフィラメント糸の繊維強度が低くなり、7倍を超えると、糸切れ等発生の危険性が高くなる。また、延伸温度は、50〜130℃の範囲であることが好ましく、延伸温度が50℃未満では、延伸倍率が上げられず、その結果、得られるフィラメント糸の繊維強度が低くなり、一方、130℃を超えると、糸切れが発生する。
【0018】
続いて、多色性繊維製品の製造方法においては、予め、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維の捲縮糸は公知の染色方法で得ることができる。例えば、多色にスペースダイ染色して得られた染色糸と、分散染色に染色されない捲縮糸からなる繊維製品中に、一部分に上記の染色糸を配置し、タフトを行えば、意匠性の高い多色性の繊維製品が得られる。配置方法は任意に選択できる。
また、多色性繊維製品を後染め(生機染め、スクリーン捺染、転写捺染、紙型捺染等)することも可能である。さらに、他染料に染色される繊維との混織した繊維製品を多色染めすれば、多色感のある繊維製品が得られる。
【0019】
次いで、得られた意匠性の高い多色性の繊維製品は、カットパイルカーペットまたは一部にカットパイル部が混在したカットパイルカーペット、あるいは一部にループパイル部が混在したカットアンドループパイルカーペットとしてもよい。
この繊維製品のカーペットを形成した後、接着剤を裏面に塗布し、この接着剤を乾燥・硬化してパイルを固定することで本発明の可染性ポリプロピレン系繊維からなるカーペットが得られる。このとき、この接着剤を介して基材の裏面に、その用途に応じた裏地、例えば、合成ゴムまたは塩化ビニル樹脂からなるシートや麻布などを貼り付けてもよい。用いる接着剤は、その用途や裏地の材質に応じて任意の接着剤を用いることができる。例えば、アクリル系ラテックスまたはウレタン系接着剤などその基布の種類に合わせて適宜選択することができる。
【0020】
なお、繊維製品の評価方法については、下記の通り行った。
(捲縮率)
・試料を束ねカセ状のサンプル糸を作成する。
・サンプル糸を80℃で10分間熱処理をする。
・熱処理後10分以上放置する。
・サンプル糸の一端に測定荷重Aを掛け1分後に糸長(L1)を測定する。
測定荷重A=dtex×(1/10)×(2×巻き回数)
・測定荷重Aを除き2分間放置する。
・サンプル糸の一端に測定荷重Bを掛け1分後に糸長(L2)を測定する。
測定荷重B=dtex×(1/10)×(2×巻き回数)
捲縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100により算出した数値を捲縮率とした。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
本発明の一部を構成する分散染料可染性ポリプロピレン系繊維を公知の溶融紡糸法で、樹脂(ジカルボン酸またはその低級アルキルエステル、酸ハライド若しくは酸無水物誘導体と、ジヒドロキシ化合物との重縮合によって得られる飽和ポリエステル樹脂、10質量%混合品)を溶融押出機にて、押出温度を210℃、紡糸温度215℃で、孔形状がY形状の紡糸口金(孔数60)を用いて吐出させ、紡糸速度900m/分で紡糸した。
【0022】
引き続いて、一旦巻き取ること無く、得られた未延伸マルチフィラメント糸を延伸倍率2.0倍、延伸温度110℃、熱風温度180℃で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、緩和率17%で巻き取り、1780dtex/60フィラメント(以下、fと記す)の分散染料可染性ポリプロピレン系捲縮糸A(以下、捲縮糸Aと称す)を得た。得られた捲縮糸Aの物性を表1に示す
【0023】
さらに、捲縮糸Aに対してスペースダイ染色を実施し、染色糸Aを得た。染色条件は、以下の条件にて行った。すなわち、速度=80m/分で走行している繊維を、各染料が付着したローラーに接触させ染色し、固着、精錬を実施した。
得られた染色糸Aは、25cm毎に各色に染色されていた。
機 台 BELMONT TEXTILE (ローラープリント機)
染 料 分散染料
前処理工程 100℃プレスチーム×1回
染色工程 速度=80m/分 接触時間=0.2秒
染 料 ピンク、ブルー、グリーン、オレンジ、グリーン、バイオレットの順
熱固定工程 100℃プレスチーム×3回
精錬工程 水 洗
乾燥工程 130℃×1.63m/分×4個
【0024】
もう片方の分散染料不染性ポリプロピレン系繊維も公知の溶融紡糸法で得られる。
ポリプロピレンホモポリマー(日本ポリケム社製、製品名:SA03(MFR=31g/10分、融点=164℃))にグリーン色顔料を0.54質量%の割合でブレンドしたものを用いた。
溶融押出機にて、押出温度を210℃、紡糸温度210℃で、孔形状がY形状の紡糸口金(孔数60)を用いて吐出させ紡糸速度900m/分で紡糸した。
引き続いて、一旦巻き取ること無く、得られた未延伸マルチフィラメント糸を延伸倍率2.0倍、延伸温度100℃、熱風温度160℃で同時延伸ホットエアー捲縮加工を行い、緩和率17%で巻き取り、1780dtex/60fの分散染料不染性ポリプロピレン系繊維の捲縮糸B(以下、捲縮糸Bと称す)を得た。得られた捲縮糸Bの物性を表1に示す。
【0025】
得られた染色糸A1本に対して、捲縮糸Bを3本の割合で1/8ゲージのタフティングマシンを用い、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトしてパイルとした。さらに基布の裏面にラテックス系接着剤を塗布したのち、乾燥機で140℃の条件で3分間乾燥してカットパイルを固定することにより、本発明の多色性繊維製品(カーペット)を得た。
得られたパイルカーペットは、多色性繊維製品の表面において、同一染色長は5cm間隔で6色が配置されていて、捲縮糸B3本の色の中に、6色染めがなされた染色糸A1本があり、色彩の変化に富み、高級感がある。この時の混率は、染色糸Aが25質量%と捲縮糸Bが75質量%である。
【0026】
(実施例2)
実施例1で用いた捲縮糸Aを使用し染色工程を速度=80m/分、接触時間=0.5秒に変更した外は、実施例1と同条件でスペースダイ染色行い、染色糸Cを得た。得られた染色糸Cは、75cm毎に各色に染色されている。
得られた、染色糸C1本に対して、捲縮糸Bを3本の割合で1/8ゲージのタフティングマシンを用い、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトしてパイルとした。さらに基布の裏面にラテックス系接着剤を塗布したのち、乾燥機で140℃の条件で3分間乾燥してパイルを固定することにより、本発明の多色性カーペットを得た。
得られた多色性カーペットは、捲縮糸Bの色の中に、6色染めがなされた染色糸C1本があり、色彩の変化に富み、高級感があり、実施例1より染色長が長く異なった色調になった。この時の混率は、染色糸Aが25質量%と捲縮糸Bが75質量%である。
【0027】
(実施例3)
実施例1で使用した捲縮糸Bを50本続けて配置し、染色糸A1本に対して、捲縮糸Bを2本の割合で5回繰りかえす配置に変更した外は、実施例1と同規格で多色性カーペットを得た。
得られた多色性繊維製品であるカーペットは、タフティング下方向に垂直な方向に捲縮糸Bのグリーン色部が12cm、染色糸Aと捲縮糸Bの混合部が4cm交互に配置された、高級感のあるカーペットであった。染色糸Aの混率は7.7質量%であった。
【0028】
(比較例1)
実施例1と同条件で、実施例1に使用したポリプロピレンホモポリマー(日本ポリケム社製、製品名:SA03(MFR=31g/10分、融点=164℃))に、実施例1と異なるピンク色顔料が0.30質量%の割合でブレンドした分散染料不染性ポリプロピレン系繊維の捲縮糸C(以下、捲縮糸Cと称す)を得た。捲縮糸Cの物性を表1に示した。
実施例1に用いた捲縮糸Bを3本に対して、捲縮糸Cを1本の割合で1/8ゲージのタフティングマシンを用い、パイル打ち込み密度12/インチ、パイル高さ:8mmでタフトしてパイルとした。さらに基布の裏面にラテックス系接着剤を塗布したのち、乾燥機で140℃の条件で3分間乾燥してカットパイルを固定することにより、カーペットを得た。
得られたカーペットは、捲縮糸Bの色の中に、捲縮糸Cが、経方向に1/4本混在されているだけで長さ方法に色彩変化の無いカーペットであり意匠性、高級感が乏しいカーペットとなった。
【0029】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)、(2)を満たす、分散染料可染性繊維と分散染料不染性繊維からなる多色性繊維製品。
(1)分散染料可染性繊維が、糸条の長さ方向に部分的に2色以上の異なる色で染色されており、かつ、多色性繊維製品の表面において、同一染色長が1〜50cm。
(2)分散染料可染性繊維の混率が3〜50質量%。
【請求項2】
分散染料可染性繊維が、分散染料可染性ポリプロピレン系繊維である請求項1に記載の多色性繊維製品。
【請求項3】
分散染料に染色されない繊維が、ポリプロピレン系繊維からなる請求項1に記載の多色性繊維製品。
【請求項4】
分散染料可染性ポリプロピレン系繊維が、ポリブチレンテレフタレート系樹脂を5〜15質量%含有したポリプロピレン系樹脂からなる可染性ポリプロピレン系繊維である請求項2または3に記載の多色性繊維製品。
【請求項5】
分散染料可染性ポリプロピレン系繊維に含有するポリブチレンテレフタレート系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂との融点差が30℃以下である請求項4に記載の可染性ポリプロピレン系繊維を用いた多色性繊維製品。
【請求項6】
多色性繊維製品がカーペットである請求項1〜5のいずれか1項に記載の多色性繊維製品。

【公開番号】特開2008−95216(P2008−95216A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275516(P2006−275516)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【出願人】(506300464)MRCパイレン株式会社 (6)
【Fターム(参考)】