説明

可溶化組成物

【課題】可溶化力に優れ少量の使用で香料や脂溶性ビタミン等が可溶化出来ると共に、調製した可溶化水溶液(化粧水や美容液等の化粧料)の温度安定性、及びノビやべたつき面等の使用性が良好な可溶化組成物を提供する。
【解決手段】水酸基価から算出した平均重合度nが10〜20のポリグリセリン1.0モルと、リシノレイン酸0.9〜1.0モルを酸価1.0以下までエステル化反応したリシノレイン酸ポリグリセリルと、酸価1.0以下までエステル化反応したポリグリセリン飽和脂肪酸エステルから成る可溶化組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶化組成物に関するものであり、化粧水や美容液等の化粧品に配合する香料や脂溶性ビタミン等を可溶化する可溶化組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料の内、化粧水や美容液等の様に、一般に透明であることが前提となる化粧料では、配合される香料や脂溶性ビタミン等の様な、水に対して難溶性の成分は、通常は可溶化剤によって可溶化される。この可溶化剤として、従来からHLBが12以上の親水性界面活性剤が、その可溶化力の強さ故に一般的に使用されている。例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン誘導体が挙げられる。しかしながら、これらのポリオキシエチレン誘導体中には、配合量によって皮膚刺激性や眼粘膜刺激性が認められたり、感作性が認められたりする問題点があった。更には、親水基としてエチレンオキシド鎖を有している為、エチレンオキシド鎖の分解によるホルマリンの溶出等の問題があった。
【0003】
皮膚等に対する刺激の面から、より安全性を高める目的で、ポリグリセリン脂肪酸エステルの使用が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、これら報告に用いられているポリグリセリン脂肪酸エステルは、可溶化力が弱く、可溶化水溶液(化粧水や美容液等の化粧料)を調製するには、かなり多量に配合する必要があり、得られる可溶化化粧料はノビが重くなる、塗布後べたつく、等の官能面上の問題があった。また、低温から高温までの温度安定性が弱く、外観が濁ったりし安定性面上の問題もあった。
【0004】
その他、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した方法が提案されている(特許文献3)。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとポリグリセリンラウリン酸エステルとの混合物を用いるものであり、微細エマルション(調製物の外観が半透明)を得る方法としては良好な方法であるが、この方法では、透明な外観を必要とする可溶化までは、不十分であった。つまり、化粧水等に香料や脂溶性ビタミン等を可溶化する為には、多量のポリグリセリン脂肪酸エステルが必要であり、使用面上の問題があった事、及び温度安定性面においても、不十分なものであった。
【0005】
以上の事から、安全性の高い界面活性剤として幅広い分野で使用されているポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた、可溶化力と温度安定性、及びノビやべたつき面等の使用性に優れた可溶化の開発が求められていた。
【特許文献1】特開平6−219923号公報
【特許文献2】特開平11−71256号公報
【特許文献3】特許第3534199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解決した可溶化組成物を提供するものである。即ち、可溶化力に優れ少量の使用で香料や脂溶性ビタミン等が可溶化出来ると共に、調製した可溶化水溶液(化粧水や美容液等の化粧料)の温度安定性、及びノビやべたつき面等の使用性が良好な可溶化水溶液(化粧水や美容液等の化粧料)を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のポリグリセリンとリシノレイン酸を特定の反応条件でエステル化反応したリシノレイン酸ポリグリセリルと、特定のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルとを混合し、これらの混合比率が特定の重量比である可溶化組成物が、上記課題を解決し得る事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、水酸基価から算出した平均重合度nが10〜20のポリグリセリン1.0モルと、リシノレイン酸0.9〜1.0モルを酸価1.0以下までエステル化反応したリシノレイン酸ポリグリセリルと、酸価1.0以下までエステル化反応したポリグリセリン飽和脂肪酸エステルから成る可溶化組成物(請求項1)を提供する。
【0009】
更には、請求項1のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルが、水酸基価から算出した平均重合度nが10〜20のポリグリセリン1.0モルと、ラウリン酸0.9〜1.0モルを酸価1.0以下までエステル化反応した、ラウリン酸ポリグリセリル(請求項2)であり、上記リシノレイン酸ポリグリセリルとポリグリセリン飽和脂肪酸エステルの重量比が15〜35:65〜85である(請求項3)、可溶化組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の可溶化組成物は、可溶化力に優れ少量の使用で香料や脂溶性ビタミン等が可溶化出来ると共に、調製した可溶化水溶液(化粧水や美容液等の化粧料)の温度安定性、及びノビやべたつき面等の使用性が良好な可溶化水溶液(化粧水や美容液等の化粧料)を開発する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明に用いる、水酸基価から算出した平均重合度nが10〜20のポリグリセリンとしては、グリセリンを原料とし、脱水縮合反応し得たポリグリセリン等が挙げられ、好ましくは平均重合度10〜15のポリグリセリンである。例えばデガグリセリン、ウンデカグリセリン、ドデカグリセリン、ペンタデカグリセリンが挙げられ、これらの一種又は二種以上が用いられる。平均重合度が10未満のポリグリセリンを用いた場合は、可溶化性能が不十分となり、好ましくない。逆に、平均重合度が20を超えるとエステル化反応が困難となり好ましくない。また、入手も困難で有る為好ましくない。
【0013】
ここで言うポリグリセリンの平均重合度とは、水酸基価から算出したものであり、以下の(i)式により算出する。また、(i)式中の水酸基価は「基準油脂物性試験法」(日本油化学協会制定)に準拠し測定する。具体的には、試料1gを無水酢酸・ピリジン溶液によりアセチル化する時、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のmg数で表され、以下の(ii)式で求められる。
【0014】
平均重合度=(112.2×103−18×水酸基価)/
(74×水酸基価−56.1×103) (i)
水酸基価=(a−b)×28.05/試料の採取量(g) (ii)
a:空試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:本試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
【0015】
本発明に用いるリシノレイン酸としては、中和価が170〜190のものを用いるのが良い。この範囲外の中和価を示すリシノレイン酸を用いると、本発明の目的である可溶化力を十分に発揮するリシノレイン酸ポリグリセリルを合成する事が出来ない。
【0016】
本発明のリシノレイン酸ポリグリセリルは、ポリグリセリン1.0モルに対しリシノレイン酸を0.9〜1.0モルエステル化反応させる。リシノレイン酸が0.9モル未満の場合は、反応物に未反応のポリグリセリンが含まれ、可溶化力を十分に発揮するリシノレイン酸ポリグリセリルを合成する事が出来ない。逆に、リシノレイン酸が1.0モルを超える場合は、得られるエステルの親油性が高くなり、可溶化力を十分に発揮するリシノレイン酸ポリグリセリルを合成する事が出来ない。
【0017】
本発明に用いる、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルとしては、好ましくは飽和脂肪酸の炭素数10〜14、更に好ましくは、飽和脂肪酸の炭素数12のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルである。例えば、カプリン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリル、ミリスチン酸ポリグリセリル、イソミリスチン酸ポリグリセリル等が挙げられ、前記の通り、ラウリン酸ポリグリセリルが好ましい。炭素数10未満のポリグリセリン飽和脂肪酸エステルは、皮膚刺激の懸念があり、化粧品原料としては好ましくない。また、炭素数14を超えるポリグリセリン飽和脂肪酸エステルは、可溶化水溶液中に経時で沈殿物が発生するため、安定性面において、好ましくない。
【0018】
上記、リシノレイン酸ポリグリセリル及びポリグリセリン飽和脂肪酸エステルのエステル化反応は、酸価1.0以下までエステル化反応を行う。酸価1.0を超えたところで反応を終了すると、得られるエステル中に未反応の脂肪酸が多く残り過ぎ、本発明の目的である可溶化力を十分に発揮する事が出来ず好ましくない。また、得られるポリグリセリン脂肪酸エステルの臭気も悪く、また未反応脂肪酸により、皮膚刺激を誘発する可能性が有り好ましくない。
【0019】
ここで言う酸価とは、試料(ポリグリセリン脂肪酸エステル)1g中に含まれている遊離脂肪酸(未反応脂肪酸)を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数であり、「基準油脂物性試験法」(日本油化学協会制定)に準拠し測定する。以下の式により算出する。
酸価=(5.611×A×F)/B
A:0.1モル/L水酸化カリウム標準液使用量(ml)
F:0.1モル/L水酸化カリウム標準液のファクター
B:試料採取量(g)
【0020】
本発明では、上記リシノレイン酸ポリグリセリルと、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルで、本発明に対し好ましいラウリン酸ポリグリセリルとを混合した可溶化組成物を用いる。ラウリン酸ポリグリセリルに用いるラウリン酸としては、中和価が270〜290のものを用いるのが良い。この範囲外の中和価を示すラウリン酸を用いると、本発明の目的である可溶化力を十分に発揮するラウリン酸ポリグリセリルを合成する事が出来ない。
【0021】
上記、ラウリン酸ポリグリセリルは、ポリグリセリン1.0モルに対しラウリン酸を0.9〜1.0モルエステル化反応させる。ラウリン酸が0.9モル未満の場合は、反応物に未反応のポリグリセリンが含まれ、可溶化力を十分に発揮するラウリン酸ポリグリセリルを合成する事が出来ない。逆に、ラウリン酸が1.0モルを超える場合は、得られるエステルの親油性が高くなり、可溶化力を十分に発揮するラウリン酸ポリグリセリルを合成する事が出来ない。
【0022】
上記、ラウリン酸ポリグリセリルのエステル化反応は、酸価1.0以下までエステル化反応を行う。酸価1.0を超えたところで反応を終了すると、得られるエステル中に未反応の脂肪酸が多く残り過ぎ、本発明の目的である可溶化力を十分に発揮する事が出来ず好ましくない。また、得られるポリグリセリン脂肪酸エステルの臭気も悪く、また未反応脂肪酸により、皮膚刺激を誘発する可能性が有り好ましくない。
【0023】
本発明の可溶化組成物は、リシノレイン酸ポリグリセリルと、飽和脂肪酸ポリグリセリルを混合して用いることであり、その飽和脂肪酸ポリグリセリルとしてラウリン酸ポリグリセリルを用いる事が好ましく、その重量比が15〜35:65〜85であり、更に好ましくは、20〜30:70〜80の重量比である。この範囲で混合した場合、本発明の目的である可溶化力が更に高まり好ましい。
【0024】
本発明の可溶化組成物を構成する、リシノレイン酸ポリグリセリル及びポリグリセリン飽和脂肪酸エステルの内、好ましいラウリン酸ポリグリセリルは、上記の各成分を、上記条件を満たす様に仕込み、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒を加えた後、常圧もしくは減圧下において、常法に従ってエステル化反応を行う方法で製造することが出来る。アルカリ触媒量としては、得られるポリグリセリン脂肪酸エステルの重量に対し、500〜3500ppmの範囲で用いる。500ppm未満のアルカリ触媒量では、反応が進みにくく好ましくない。逆に3500ppmを超えると、これを用いた可溶化水溶液(化粧水や美容液等の化粧料)は、pH値が高くなり過ぎ、化粧料として用いる事が好ましくない。
【0025】
本発明の可溶化組成物により、可溶化できる被可溶化物質としては、ローズ油、ジャスミン油、ペパーミント油、アニス油、ラベンダー油、ベルガモット油等の植物性香料、ジャコウ、レイビョウコウ、カイリュウ、リュウゼンコウ等の動物性香料、合成香料では、リモネン等の炭化水素系、リナロール、ゲラニオール、メントール等のアルコール系、シトラール等のアルデヒド系、β−イオノン等のケトン系、オイゲノール等のフェノール系等が挙げられる。その他、植物性香料や動物性香料及び合成香料を目的に応じて調合した調合香料等の香料や、酢酸トコフェロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トリコエノール、β−トリコエノール、γ−トリコエノール、δ−トリコエノール等のビタミンE、レチノールとβ-カロテン(β-カロチン)等のビタミンA等の脂溶性ビタミンが挙げられる。これら以外、化粧料に使用される香料や脂溶性ビタミンも使用できる。
【0026】
可溶化する方法は特に限定されず、本発明の可溶化組成物と香料や脂溶性ビタミン等の被可溶化物質を、室温にて混合する。その後、その混合物を精製水にて溶解する事で容易に可溶化水溶液を調製する事が出来る。
【0027】
本発明の可溶化組成物と、香料や脂溶性ビタミン等の被可溶化物質との量関係は、特に限定はないが、好ましくは重量比で可溶化物質の3〜4倍量の可溶化組成物を用いる。
【0028】
また、本発明の効果を損なわない範囲で通常、化粧水や美容液等の化粧料に配合される成分である、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類、ヒアルロン酸、マルチトール等の糖類、アルギン酸塩、セルロース誘導体、クインスシードガム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸系ポリマー等の増粘剤類、パラベン類、フェノキシエタノール、サリチル酸、ソルビン酸、イソプロピルメチルフェノール等の防腐剤類、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、アスコルビン酸塩誘導体等の美白剤、収斂剤類、紫外線吸収剤類、アミノ酸類、グリチルリチン酸誘導体類、植物エキス類、pH調整剤等を配合する事ができる。
【実施例】
【0029】
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0030】
<合成実施例1>
リシノレイン酸39.3gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.41gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において200℃、3時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物であるリシノレイン酸ポリグリセリル130.1gを得た。このものの酸価は0.4であった。
【0031】
<合成実施例2>
リシノレイン酸23.8gとペンタデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約15のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.37gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において200℃、3時間の条件下で反応を行い、ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸0.9モルとのエステル化反応生成物であるリシノレイン酸ポリグリセリル117.5gを得た。このものの酸価は0.4であった。
【0032】
<合成実施例3>
ラウリン酸26.4gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.12gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとラウリン酸1.0モルとのエステル化反応生成物であるラウリン酸ポリグリセリル118.8gを得た。このものの酸価は0.4であった。
【0033】
<合成実施例4>
ラウリン酸23.7gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.12gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物であるラウリン酸ポリグリセリル118.0gを得た。このものの酸価は0.5であった。
【0034】
<合成実施例5>
ラウリン酸22.1gとドデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約12のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.13gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、ドデカグリセリン1.0モルとラウリン酸1.0モルとのエステル化反応生成物であるラウリン酸ポリグリセリル115.8gを得た。このものの酸価は1.0であった。
【0035】
<合成実施例6>
ミリスチン酸30.1gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.13gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとミリスチン酸1.0モルとのエステル化反応生成物であるミリスチン酸ポリグリセリル124.8gを得た。このものの酸価は1.0であった。
【0036】
<実施例1>
合成実施例1(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例3(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0037】
<実施例2>
合成実施例1(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例4(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比35:65で混合した。
【0038】
<実施例3>
合成実施例1(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例5(ドデカグリセリン1.0モルとラウリン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比15:85で混合した。
【0039】
<実施例4>
合成実施例2(ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例4(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0040】
<実施例5>
合成実施例2(ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例4(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比35:65で混合した。
【0041】
<実施例6>
合成実施例2(ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例4(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比10:90で混合した。
【0042】
<実施例7>
合成実施例2(ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例6(デカグリセリン1.0モルとミリスチン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比15:85で混合した。
【0043】
<実施例8>
合成実施例2(ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例3(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比15:85で混合した。
【0044】
<合成比較例1>
リシノレイン酸64.5gとヘキサグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約6のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.48gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において200℃、3時間の条件下で反応を行い、ヘキサグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物であるリシノレイン酸ポリグリセリル151.6gを得た。このものの酸価は0.4であった。
【0045】
<合成比較例2>
ラウリン酸29.5gとオクタグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約8のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.18gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、オクタグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物であるラウリン酸ポリグリセリル120.9gを得た。このものの酸価は0.4であった。
【0046】
<合成比較例3>
リシノレイン酸78.6gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.52gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において200℃、3時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸2.0モルとのエステル化反応生成物であるリシノレイン酸ポリグリセリル170.0gを得た。このものの酸価は0.3であった。
【0047】
<合成比較例4>
ラウリン酸14.2gとペンタグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約5のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.11gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、ペンタグリセリン1.0モルとラウリン酸0.8モルとのエステル化反応生成物であるラウリン酸ポリグリセリル108.7gを得た。このものの酸価は0.5であった。
【0048】
<合成比較例5>
ラウリン酸23.7gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.12gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、0.3時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物であるラウリン酸ポリグリセリル118.0gを得た。このものの酸価は1.5であった。
【0049】
<合成比較例6>
イソパルミチン酸33.8gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.13gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとイソパルミチン酸0.9モルとのエステル化反応生成物であるイソパルミチン酸ポリグリセリル131.5を得た。このものの酸価は0.5であった。
【0050】
<合成比較例7>
パルミトレイン酸33.8gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.14gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、1時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとパルミトレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物であるパルミトレイン酸ポリグリセリル131.5gを得た。このものの酸価は0.4であった。
【0051】
<合成比較例8>
エルカ酸44.7gとデカグリセリン(水酸基価から算出した平均重合度が約10のポリグリセリン)100.0gを反応容器に入れ、0.14gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、2時間の条件下で反応を行い、デカグリセリン1.0モルとエルカ酸1.0モルとのエステル化反応生成物であるエルカ酸ポリグリセリル140.1gを得た。このものの酸価は0.4であった。
【0052】
<比較例1>
合成比較例1(ヘキサグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例3(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0053】
<比較例2>
合成比較例3(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸2.0モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例3(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0054】
<比較例3>
合成比較例2(オクタグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例1(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0055】
<比較例4>
合成比較例4(ペンタグリセリン1.0モルとラウリン酸0.8モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例1(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0056】
<比較例5>
合成比較例5(デカグリセリン1.0モルとラウリン酸0.9モルとのエステル化反応生成物、酸価は1.5)と合成実施例1(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0057】
<比較例6>
合成比較例6(デカグリセリン1.0モルとイソパルミチン酸0.9モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例1(デカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0058】
<比較例7>
合成比較例7(デカグリセリン1.0モルとパルミトレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例2(ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0059】
<比較例8>
合成比較例8(デカグリセリン1.0モルとエルカ酸1.0モルとのエステル化反応生成物)と合成実施例2(ペンタデカグリセリン1.0モルとリシノレイン酸1.0モルとのエステル化反応生成物)とを、重量比25:75で混合した。
【0060】
<比較例9>
参考文献3に記載の、SY−グリスターCRS−75(縮合リシノレイン酸ポリグリセリル:阪本薬品工業(株)製)と、ML−750(モノラウリン酸デカグリセリル:阪本薬品工業(株)製)とを、重量比50:50で混合した界面活性剤。
【0061】
<比較例10>
POE(15)セチルエーテル。
【0062】
[可溶化評価]
実施例、比較例で得た可溶化組成物又は、その他界面活性剤を0.15gと、酢酸トコフェロール0.05gを室温にて良く混合し、その後、精製水100gを添加し、撹拌溶解させ水溶液を調製した。その水溶液を分光光度計(日立製作所製:U−2900)にて、660nmの波長にて透過率を測定した。これらの結果を表1に示す。
(基準)
◎:98.0%以上
○:97.0%以上98.0%未満
△:96.0%以上97.0%未満
×:96.0%未満
【0063】
[温度安定性評価]
上記水溶液を50℃及び0℃×1ヶ月暴露し、上記同様の条件にて透過率を測定し、以下に示す評価基準で評価した。これらの結果を表1に示す。
(基準)
◎:98.0%以上
○:97.0%以上98.0%未満
△:96.0%以上97.0%未満
×:96.0%未満
【0064】
[使用性評価]
上記、水溶液を健常女性パネラー20名に使用させ、その際のノビ、馴染み後のべたつき感、臭気について官能評価を行った。評価項目毎に、1:非常に悪い、2:悪い、3:やや悪い、4:良好、5:非常に良好、の評価基準で評価し、20名の平均点を算出した。その結果を、以下の基準に基づき表1に示す。
(評点)
◎:4.5点以上
○:4.0点以上4.5点未満
△:3.0点以上4.0点未満
×:3.0点未満
【0065】
【表1】

【0066】
実施例の可溶化組成物は、可溶化力及び可溶化水溶液の温度安定性が良好なものであった。また、その可溶化水溶液の使用性(ノビ、ベタツキ感、臭気)も良好であった。一方、比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む界面活性剤は、可溶化力、温度安定性及び使用性が悪いものであった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の可溶化組成物は、少量でありながら、香料や脂溶性ビタミン等の難溶性の被可溶化物質を容易に可溶化出来るものである。また、その可溶化水溶液は、温度安定性及び使用性が良好であり、化粧水や美容液等の化粧料に利用可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基価から算出した平均重合度nが10〜20のポリグリセリン1.0モルと、リシノレイン酸0.9〜1.0モルを酸価1.0以下までエステル化反応したリシノレイン酸ポリグリセリルと、酸価1.0以下までエステル化反応したポリグリセリン飽和脂肪酸エステルを含有する可溶化組成物。
【請求項2】
ポリグリセリン飽和脂肪酸エステルが、水酸基価から算出した平均重合度nが10〜20のポリグリセリン1.0モルと、ラウリン酸0.9〜1.0モルを酸価1.0以下までエステル化反応した、ラウリン酸ポリグリセリルである請求項1記載の可溶化組成物。
【請求項3】
水酸基価から算出した平均重合度nが10〜20のポリグリセリン1.0モルと、リシノレイン酸0.9〜1.0モルを酸価1.0以下までエステル化反応したリシノレイン酸ポリグリセリルと、酸価1.0以下までエステル化反応したポリグリセリン飽和脂肪酸エステルの重量比が15〜35:65〜85である、請求項1又は2記載の可溶化組成物。

【公開番号】特開2009−268950(P2009−268950A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119924(P2008−119924)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願人】(390028897)阪本薬品工業株式会社 (140)
【Fターム(参考)】