説明

可燃廃棄物の熱分解処理装置

【課題】有機廃棄物などの可燃廃棄物を熱分解させる可燃廃棄物熱分解処理装置で、可燃廃棄物の熱分解処理むらを無くし、処理効率の向上を図るとともに、灰や熱分解後の残渣の逆流を防ぎ、かつ可燃廃棄物の一部を最初に点火させるだけで後は熱分解用熱源から熱供給を一切加えることなく順次可燃廃棄物を順次熱分解させ、熱分解時において可燃廃棄物が常時、炎を生起しない状態で熱分解処理がされ、臭いと煙を同時に消すことが出来る。
【解決手段】縦型筒体の中間部空間部位に位置する熱分解処理室と、該縦型筒体の上部空間部位に設けた乾燥・熱分解処理待ち室と、該乾燥・熱分解処理待ち室と内部遮壁を介して隣接する他方の部屋は天井壁上の同一高さ位置に形成した螺旋状煙道を通過させ、該螺旋状煙道に連通する上方位置に煙を再熱分解化させながら排気する加熱ハニカム構造煙道配管群の一体型消臭消煙装置を備える可燃廃棄物熱分解処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属、ガラス及びセラミックスのような無機物を除く廃プラスチック類や古紙類、一般家庭等から発生する生ゴミあるいは家屋解体現場から発生する廃木材などの有機廃棄物、その他一般廃棄物、産業廃棄物等の可燃廃棄物を熱分解させて有害物質の排出を抑制する可燃廃棄物の熱分解処理装置に関する。特に本発明では、前記可燃廃棄物が略固形物状態で灰化ないし熱分解前と略同様の形状維持状態で灰化されるように最初の着火時のみで爾後の該可燃廃棄物に熱分解用熱源から熱供給を加えることがなく、かつ熱分解時に燃焼炎が出ないように熱分解せしめるとともに熱分解時に発生する白煙化されたガス中の有害物質の排出を抑制することができる可燃廃棄物の熱分解処理装置である。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭等から発生する廃棄物や産業廃棄物等の廃棄物を各種熱分解炉で焼却するに際してダイオキシン等の有害物質の発生が問題視されるようになり、その問題解決のための提案が種々行われている。

【0003】
特許文献1の請求項1には、外部空間から略遮断された焼却処理室を形成する耐熱容器と、該耐熱容器の壁部に設けられて熱分解用空気を前記焼却処理室に自然吸気で取り入れる熱分解用空気の取入口と、該空気取入口を絞ることにより、前記焼却処理室への空気の流入量を制限する流入空気制限手段と、前記空気取り入れ口から前記焼却処理室に熱分解用空気を導く空気通路上に磁場を形成して、該熱分解用空気を磁気処理する磁石手段と、前記焼却処理室の壁部に設けられた熱分解ガスの排出口とを有する焼却炉であって、前記熱分解ガスの排出口が接続されて略水平方向に延びる煙道を形成すると共に、該煙道の底部に水を収容せしめて、前記熱分解ガスが該水に接触せしめられるように構成された焼却炉が記載されている。
【0004】
該特許文献1には、廃棄物の焼却炉において、熱分解用空気すなわち導入空気が磁界内を通過することによって励起され、この励起された導入空気を焼却炉内に吹込むことによってダイオキシンの発生を抑制できることが開示されている。
この特許文献1には、燃焼用空気の流入量を制限すると共に、空気通路上において、燃焼用空気に磁界を及ぼすことにより、焼却処理室内の僅かな空気を利用して、焼却処理物を継続的に燃焼せしめ得たのであり、結果的に、燃焼によるダイオキシン類の生成を有利に抑制し得たと共に、優れたコスト性を達成した旨の記載がされている。
【0005】
また、特許文献1には、微生物による生ゴミの処理において、導入空気を磁化させることによって微生物による処理効率を挙げ得ることが開示され、さらに処理時間を短縮するために、導入空気を加熱するための手段とともに、収容された被処理物を攪拌する攪拌手段を設けたものが提案されている。
【0006】
一般家庭から発生する生ゴミや古紙類あるいは家屋解体現場から発生する廃木材などの有機廃棄物は、従来、焼却処理されているが、これらの有機廃棄物は年々増大する傾向にある。このため、各自治体などにおいては、焼却処分場の増設などの対策が講じられているが、有機廃棄物の増大に追いつかず、抜本的な解決が図られていないのが実状である。

【0007】
良く知られているように、産廃処分場やごみ処理場等において、一般廃棄物,産業廃棄物等の廃棄物には、収集されてから最終処分に至るまでの中間処理として、焼却処理が一般的に行われている。
【0008】
廃棄物の焼却は、何れの場合でも、廃棄物を焼却炉内で熱分解させることによって実施されるが、熱分解に伴う炭化水素やダイオキシン類等の有害物質の発生や、焼却に伴う悪臭の発生が、大きな環境問題となっている。そこで、このような問題に対処するための一つの方策として、廃棄物を高温で熱分解させることによってダイオキシン類の生成を抑制することも提案されている。
【0009】
廃棄物、特に、廃プラスチック類等を含む産業廃棄物をダイオキシン類の生成を抑える程度の高温で焼却する際には、焼却炉内が著しく高温化することから、耐熱性に優れた特別な素材や構造からなる焼却炉が必要とされるのであり、焼却炉設備のために多大なコストが必要になるという問題があった。しかも、焼却に伴う悪臭の発生には、未だ、有効な対策が実現されていないのが現状である。
【0010】
従来の焼却炉は、可燃物の廃棄物の選別が必要であり、選別のため多大の労力を要し、焼却施設が高額かつ大規模のため、場所が限定され、またその搬入に広範囲の土地確保が要求され、種々の問題が生じていた。
【0011】
また、石油バーナ使用等の場合は、高温で焼却処理するため、過大なランニングコスト及び最終埋め立て処分の土地を必要としてきた。同時に、地球資源、CO環境負荷等の問題及び熱分解残留灰も多量に発生し、その処理問題も生じていた。
【0012】
従来から廃棄された可燃物を焼却して処理する可燃物焼却炉が知られている。ここで、可燃物とは、金属、ガラス及びセラミックスのような不燃物を除いた生ゴミを含む燃焼可能な物質である。従来の可燃物焼却炉は、焼却前に可燃物を分別する必要があり手間がかかる。また、運転には、燃料の供給や運転・監視作業が必要であり、燃料費や人件費のようなランニングコストがかかる。加えて、焼却に伴って生成される気体や固体残渣には、有害物質が含まれていることが多い。その場合、生成物が再利用されることは無く、更に処理が必要になることもある。
【0013】
上記特許文献1には、有害物質の生成を抑制した廃棄物の焼却処理方法の技術が開示されている。この技術の廃棄物の焼却処理方法は、焼却炉内の廃棄物に燃焼用空気を供給して該廃棄物を燃焼させて焼却する。その際、燃焼用空気を焼却炉内の廃棄物に導く過程において、該燃焼用空気に磁場を作用させる。
【0014】
特許文献1に記載された燃焼性改善用磁気装置は、帯状の金属薄膜の片面側に、棒状磁石を長手方向に間隔をおいて複数箇所に配置している。エンジンや燃焼炉等の空気供給炉等に巻きつけて使用する。
【0015】
【特許文献1】特許第4008181号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、有機廃棄物などの可燃廃棄物を熱分解させる可燃廃棄物熱分解処理装置全体の外観を縦型多角形筒体形状もしくは縦型筒体形状又は縦型角筒体形状にすることで可燃廃棄物の熱分解処理むらを無くし、処理効率の向上を図るとともに、灰掻い出し装置によって、灰の飛散防止と、灰掻い出しの簡易化を実現し、さらに熱分解処理室内に略均一に分散させて設置した給気パイプの先端を下方側に向けた傾斜パイプ形状に形成するとともに該給気パイプの先端部位の開口部を上側から下側に向かって斜め下方に向けて傾斜するように形成することによって、灰や熱分解後の残渣の逆流を防ぎ、かつ乾燥・熱分解処理待ち室を設けることによって可燃廃棄物の一部を最初に点火させるだけで後は熱分解用熱源から熱供給を一切加えることなく順次可燃廃棄物を順次熱分解させ、熱分解時において可燃廃棄物が常時、炎を生起しない状態で熱分解処理がされるように強制供給ではなく自然供給される磁化給気の供給量を制御することができ、可燃廃棄物を熱分解処理中でも熱分解処理室で発生する白煙等のガスが外部に発散することなく可燃廃棄物の連続的又は間歇的投入が可能であり、廃液気化システムによって、可燃廃棄物の熱分解中に発生する廃液を処理することが出来、ハニカム構造パイプ群の一体型消臭消煙装置によって臭いと煙を同時に消すことが出来る可燃廃棄物の熱分解処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
縦型角筒体又は縦型円筒体(以下、縦型筒体という)の底部空間部位に給気口及び排気口を備えたマグネットボックスを設けるとともに該縦型筒体の底部空間部位の上部中央部分を横断する如く配設した灰掻い出し装置を該底部空間部位に備え、該灰掻い出し装置の手前側に位置する直下に灰収集ボックスを備え、かつ前記縦型筒体の中間部空間部位に位置する熱分解処理室底壁は前記灰掻い出し装置に沿った開口部に向かって傾斜する傾斜面を左右両側に形成し、該左右両側の傾斜面の中間部位に渡設する棒状の熱源供給装置を設け、さらに可燃廃棄物が熱分解処理過程で炎を生起させない状態で熱分解できるように、前記傾斜面には、前記マグネットボックスの排気口から給気調整バルブを介して磁化された給気が自然供給し得る給気パイプがロストルを挟んだ上下位置に斜め下方に向けて略均一に分散させて取付け、かつ前記熱分解処理室の側壁を二重側壁とし、該熱分解処理室の天井壁の一部に第二次投入口を設け、該第二次投入口を開閉する開閉扉を設け、前記第二次投入口と対応する位置の上方で上記縦型筒体の上部空間部位に乾燥・熱分解処理待ち室を設け、該乾燥・熱分解処理待ち室と内部遮壁を介して隣接する他方の部屋は天井壁上の同一高さ位置に形成した螺旋状煙道を通過させ、該螺旋状煙道に連通する上方位置に煙を再熱分解化させながら排気する加熱ハニカム構造煙道配管群の一体型消臭消煙装置を備え、該煙道の途中に廃液気化システムを設置し、さらに上記縦型筒体の天面には可燃廃棄物を投入する第一次投入口及び該第一次投入口を開閉する蓋を備えたことを特徴とする可燃廃棄物の熱分解処理装置である。
【0018】
上記加熱ハニカム構造煙道配管群の一体型消臭消煙装置は、鉛直方向に煙道配管群をハニカム状に配列し、該煙道配管群の外周面を円筒状のセラミックヒーターで温度制御可能に被覆することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る可燃廃棄物熱分解処理装置は、上記熱分解処理室内に熱分解処理室内処理物総量カウンターを設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る可燃廃棄物の熱分解処理装置は、可燃廃棄物の一部を最初に点火させるだけで後は熱分解用熱源から熱供給を一切加えることなく順次可燃廃棄物を順次熱分解させ、熱分解時において可燃廃棄物が常時、炎を生起しない状態で熱分解処理がされるように、強制供給ではなく自然供給される磁化給気の供給量を制御することができ、可燃廃棄物の熱分解処理後は処理前の可燃廃棄物と略同様の形状を維持した灰化処理がされる。このため、本発明の装置では、熱分解処理室において熱分解処理中に燃焼用の燃料の供給が一切不要であり、大幅な熱分解用熱源からの熱供給量の削減が可能となる。また、本発明は本体を縦型筒体に形成することで可燃廃棄物の熱分解処理むらを無くすことが出来、可燃廃棄物の熱分解処理効率の向上を図ることができる。また、給気調整バルブによって、熱分解処理室に供給される磁化された給気は熱分解処理中において炎が発生しない程度の微量の自然給気で足り、強制的な給気供給手段を要せず、経済的である。さらに、熱分解処理室で生ずる白煙は一体型消臭消煙装置で法定基準値以内に無害化処理がされる。また、灰掻い出し装置によって、灰の飛散防止と、灰掻い出しの簡易化が図れる。
【0021】
本発明に係る可燃廃棄物の熱分解処理装置は、熱分解処理室底壁の傾斜面に略均一に給気パイプを分散させて配置することによって、可燃廃棄物を熱分解処理するときの処理むらを無くし、処理効率の向上を図ることができる。また、給気パイプの先端部位の開口部を上側から下側に向かって斜め下方に向けて傾斜するように形成することにより灰や熱分解後の残渣の逆流を防ぐことができる。さらに、外壁と内壁の二重壁構造にすることによって、断熱効果・保温効果または熱分解処理室の対流を効果的に促し、熱分解中に発生する結露から被処理物を濡らさない為に有効である。
【0022】
本発明に係る可燃廃棄物の熱分解処理装置は、二重底をタップ溶接することによって分解中に発生する結露を二重底に流すことによって被処理物を濡らさない為に有効である。また、熱源供給装置によって、可燃廃棄物に対する点火のスムーズな稼動立ち上がりと、面倒な手間を解消することができる。さらに、乾燥・熱分解処理待ち室で可燃廃棄物が保有する余分な水分を熱分解処理室に投入する前に予め飛ばすことが出来、熱分解処理室に投入時に一層、可燃廃棄物の熱分解処理効率を向上させることができる。
【0023】
本発明に係る可燃廃棄物の熱分解処理装置は、乾燥・熱分解処理待ち室を設けることによって可燃廃棄物の熱分解処理中でも連続投入又は間歇投入が可能である。また、熱分解処理室内処理物総量カウンターによって、可燃廃棄物の熱分解処理状況の確認と、連続投入時又は間歇投入時の目安を確認できる。さらに、廃液気化システムによって、分解中に発生する廃液を気化処理することが出来る。さらにまた、還流ガス抜きパイプによって、熱分解処理室に溜まった還流ガスを抜きバックファイヤーを回避することが出来る。
【0024】
本発明に係る可燃廃棄物の熱分解処理装置は、一体型消臭消煙装置によって臭いと煙を消すことが出来る。また、一体型消臭消煙装置によって、排気ガスを法定基準値以内にすることが出来る。さらに、一体型消臭消煙装置の上部に設置された温度計で、排ガスの温度を測定することができる。さらにまた、外部に設けたコントロールボックス(制御装置)によって、給気調節の自動制御、一体型消臭消煙装置と熱源供給装置の温調を自動制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す可燃廃棄物の熱分解処理装置の一部切断斜視図である。
1は縦型筒体(本例では縦型八角筒体の場合を示したが、これに限定されることなく、縦型多角筒体等の縦型角筒体又は縦型円筒体形状であっても良い。)で、金属板その他の耐熱素材で形成される。縦型筒体1の内部は底部空間部位1aと中間部空間部位1bと上部空間部位1cで構成される。底部空間部位1aには給気口3及び排気口4を備えたマグネットボックス2が設けられている。マグネットボックス2は磁気シールドされた素材で形成され、そのマグネットボックス2内には所定間隔をおいて磁化された一対のマグネットブロックが給気通路を挟んで互いに対向する如くして複数(本例では3つ)設けられている(図2(a)、(b)参照)。
【0026】
永久磁石で形成された対向するマグネットブロック34間の給気通路には4500ガウス以上の強力な磁界が発生し、通過する給気に磁化を与える。マグネットボックス2の排気口4に接続する給気管6の途中に給気量を調整するための給気調整バルブ5が設けられている。磁化された給気が給気調整バルブ5を介して流量コントロールされて熱分解処理室9に供給される。熱分解処理室9に供給される給気量は、可燃廃棄物が熱分解処理時に炎を発生させない程度の自然給気量とする。給気管6は後述する灰掻い出し装置11を挟んで左右に分割された縦断面構造が略三角形状の貯気室7に接続される。貯気室7は縦型筒体1の側壁1dと、熱分解処理室9の底部が斜め下方に向かって傾斜する熱分解処理室底壁9aと、縦型筒体1の底部空間部位1aの天井部位に相当する水平に形成される上部壁10で断面三角形状の閉空間となるように左右に分割された状態で形成される。
【0027】
また、縦型筒体1の底部空間部位1aには、外部に突出した灰掻い出しハンドル11aと、縦型筒体1の底部空間部位1aの上部中央部分を横断する如く配設した灰掻い出し装置11を備える。灰掻い出し装置11は底部空間部位1aの中央部を横断する溝1e内に収納されている。外部に位置する灰掻い出しハンドル11aの回動操作により連続する螺旋形状の羽根11bが回動して灰掻い出し装置11の灰掻い出しハンドル11a側の直下(手前側)に位置する灰収集ボックス12に熱分解処理後の灰が回収されて落下収納される。
【0028】
灰掻い出し装置11を挟んで左右に形成される熱分解処理室底壁9aには貯気室7と連通する給気パイプ13が均一状に分散されるように斜め下方に向けて取付けられている。左右の熱分解処理室底壁9aに渡設したロストル31を挟んだ上下位置には給気パイプ13が配設されており、可燃廃棄物がロストル31の上で効率良く熱分解できるようにしている。給気パイプ13の先端部位は下方側に向けた傾斜パイプ形状に形成するとともに給気パイプ13の先端部位の開口部を上側から下側に向かって斜め下方に向けて傾斜するように形成する。また、ロストル31と並行し、該ロストル31よりも若干高い位置の中央部位に棒状の熱源供給装置8を設ける。
【0029】
前記熱分解処理室9の側壁9bは熱効率等を考慮して二重側壁に形成する。熱分解処理室9の天井壁9cの一部には第二次投入口9dを設ける。そして、第二次投入口9dと対応する位置の上方に乾燥・熱分解処理待ち室14を設ける。乾燥・熱分解処理待ち室14と隣接する他方の部屋は天井壁9cの上に同一高さ位置に螺旋状煙道15を形成する。螺旋煙道に形成した理由は限られた空間内で煙道距離を長く確保し、排出する煙の無害化に寄与させるためである。螺旋状煙道15に連通する上方位置に煙を再熱分解化させながら排気する加熱ハニカム構造煙道配管群16aの一体型消臭消煙装置16を設ける。一体型消臭消煙装置16は鉛直方向にハニカム構造煙道配管群16aを配列し、そのハニカム構造煙道配管群16aの外周面を円筒状のセラミックヒーター16bで1000℃以上の高温に温度制御が可能となるように被覆する(図8〜図11参照)。
【0030】
螺旋状煙道15の途中には廃液気化システム17を設置する。この廃液気化システム17により廃液の一部は蒸発し、残部は熱分解して灰化する。
【0031】
さらに縦型筒体1の天面1fには可燃廃棄物を投入する第一次投入口18及びその第一次投入口18を開閉する蓋19を形成する。
【0032】
図5に示すように熱分解処理室9の天井壁9cの中央近傍位置に熱分解処理室内処理物総量カウンター20を設置し、熱分解処理室9内にどれだけの可燃廃棄物が堆積しているかが判る。
【0033】
図中、21は雨除け傘、22は点検口、23はコントロールボックス、24は灰収集ボックス用取手、25はドレーン排出バルブ、26は煙誘導壁、27は内部遮壁、28は内部扉用回転軸、29は投入ガイド板、30は還流ガス抜きパイプ、32は廃液滴下装置、33は廃液ドレーンをそれぞれ示す。
【0034】
図4(a)〜(c)に示すように、可燃廃棄物は第一次投入口18から投入し、投入後蓋19を閉める(図4(d)参照)。図4(e)は可燃廃棄物が乾燥・熱分解処理待ち室14に一時的に堆積された状態を示し、ここで可燃廃棄物の乾燥が行われる。最初の投入時には、図4(g)のように第二次投入口9dも開放して、直接、熱分解処理室9の熱分解処理室底壁10に落下させてもよい。熱分解処理室9で可燃廃棄物を熱に分解させている間でも、第一次投入口18を開放しても、熱分解処理室9の煙は第二次投入口9dが内部扉9eによって閉じられているので煙が第一次投入口18から放出されることはない。しかも熱分解処理室9で熱分解中に乾燥・熱分解処理待ち室14に投入された可燃廃棄物はここで水分が除去され、乾燥状態が進んだ良好な可燃廃棄物が得られ、熱分解処理室9に投入時には一層効率良く熱分解させることが出来る。
【0035】
図4(h)〜(i)に示すように熱分解処理室9に投入された可燃廃棄物は棒状の熱源供給装置8に接している箇所およびその近傍に熱源が供給される。一度、可燃廃棄物の一部に熱源が供給されたら、熱源供給装置8からの熱の供給は停止させる。可燃廃棄物はその全体が一度に熱源供給点火されるのではなく、特定箇所だけが熱源供給され、その熱源供給された箇所の可燃廃棄物が熱分解処理されながら徐々に時間をかけて隣接する部位の可燃廃棄物に熱分解が移動する。熱分解処理中は、可燃廃棄物からは炎が発生しない状態を保つために、磁化された給気の供給量は出来るだけ少なくするが、熱分解処理が継続的に行われる量の給気の供給は行う。
このようにすることにより、熱分解処理時に要する熱源エネルギーの大幅な削減となり、経済的である。
【0036】
熱分解処理室9で可燃廃棄物が持続的に熱分解する過程で生起する白煙は、熱分解処理室9から螺旋状煙道15を通過し、さらに一体型消臭消煙装置16に導入される。一体型消臭消煙装置16では例えば1000℃以上に加熱されたハニカム構造煙道配管16a中を分散して通過する過程で臭いや有害物質が殆ど除去された状態で外部に排出される。また、熱分解時に発生した廃液は廃液気化システム17に還流させ、螺旋状煙道15を通過させることにより有害な廃液が外部に流出するのが阻止され、環境に配慮した可燃廃棄物の熱分解処理装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例を示す可燃廃棄物の熱分解処理装置の一部切断斜視図である。
【図2】(a)(b)はマグネットボックスの概略斜視図である。
【図3】縦型筒体の底部空間部位を示す平面図である。
【図4】(a)〜(i)は可燃廃棄物の乾燥・熱分解処理待ち室及び熱分解処理室への投入工程を示す斜視図である。
【図5】熱分解後の煙の経路を示す概略説明図である。
【図6】熱分解後の煙の経路を示す概略説明図である。
【図7】熱分解後の煙の経路を示す概略説明図である。
【図8】一体型消臭消煙装置の内部構造を示す斜視図である。
【図9】一体型消臭消煙装置の内部構造を示す斜視図である。
【図10】一体型消臭消煙装置の内部構造を示す斜視図である。
【図11】一体型消臭消煙装置の内部構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施例を示す可燃廃棄物の熱分解処理装置の正面外観斜視図である。
【図13】本発明の一実施例を示す可燃廃棄物の熱分解処理装置の裏面外観斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 縦型筒体
1a 底部空間部位
1b 中間部空間部位
1c 上部空間部位
1d 側壁
1e 溝
1f 天面
2 マグネットボックス
3 給気口
4 排気口
5 給気調整バルブ
6 給気管
7 貯気室

8 熱源供給装置
9 熱分解処理室
9a 熱分解処理室底壁
9b 側壁
9c 天井壁
9d 第二次投入口
9e 内部扉
10 上部壁
11 灰掻い出し装置
11a 灰掻い出しハンドル
11b 羽根
12 灰収集ボックス
13 給気パイプ
14 乾燥・熱分解処理待ち室
15 螺旋状煙道
16 一体型消臭硝煙装置
16a ハニカム構造煙道配管
16b セラミックヒーター
17 廃液気化システム
18 第一次投入口
19 蓋
20 熱分解処理室内処理物総量カウンター
21 雨除け傘、
22 点検口
23 コントロールボックス
24 灰収集ボックス用取手
25 ドレーン排出バルブ
26 煙誘導壁
27 内部遮壁
28 内部扉用回転軸
29 投入ガイド板
30 還流ガス抜きパイプ
31 ロストル
32 廃液滴下装置
33 廃液ドレーン
34 マグネットブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦型角筒体又は縦型円筒体(以下、縦型筒体という)の底部空間部位に給気口及び排気口を備えたマグネットボックスを設けるとともに該縦型筒体の底部空間部位の上部中央部分を横断する如く配設した灰掻い出し装置を該底部空間部位に備え、該灰掻い出し装置の手前側に位置する直下に灰収集ボックスを備え、かつ前記縦型筒体の中間部空間部位に位置する熱分解処理室底壁は前記灰掻い出し装置に沿った開口部に向かって傾斜する傾斜面を左右両側に形成し、該左右両側の傾斜面の中間部位に渡設する棒状の熱源供給装置を設け、さらに可燃廃棄物が熱分解処理過程で炎を生起させない状態で熱分解できるように、前記傾斜面には、前記マグネットボックスの排気口から給気調整バルブを介して磁化された給気が自然供給し得る給気パイプがロストルを挟んだ上下位置に斜め下方に向けて略均一に分散させて取付け、かつ前記熱分解処理室の側壁を二重側壁とし、該熱分解処理室の天井壁の一部に第二次投入口を設け、該第二次投入口を開閉する開閉扉を設け、前記第二次投入口と対応する位置の上方で上記縦型筒体の上部空間部位に乾燥・熱分解処理待ち室を設け、該乾燥・熱分解処理待ち室と内部遮壁を介して隣接する他方の部屋は天井壁上の同一高さ位置に形成した螺旋状煙道を通過させ、該螺旋状煙道に連通する上方位置に煙を再熱分解化させながら排気する加熱ハニカム構造煙道配管群の一体型消臭消煙装置を備え、該煙道の途中に廃液気化システムを設置し、さらに上記縦型筒体の天面には可燃廃棄物を投入する第一次投入口及び該第一次投入口を開閉する蓋を備えたことを特徴とする可燃廃棄物の熱分解処理装置。
【請求項2】
上記加熱ハニカム構造煙道配管群の一体型消臭消煙装置は、鉛直方向に煙道配管群をハニカム状に配列し、該煙道配管群の外周面を円筒状のセラミックヒーターで温度制御可能に被覆することを特徴とする請求項1記載の可燃廃棄物の熱分解処理装置。
【請求項3】
上記熱分解処理室内に熱分解処理室内処理物総量カウンターを設置したことを特徴とする請求項1又は2記載の可燃廃棄物の熱分解処理装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図4h】
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【図4i】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−7888(P2010−7888A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164592(P2008−164592)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(508190403)株式会社フォーザグッド (1)
【Fターム(参考)】