可視回折格子パターンを有する耐久性洗濯可能ラベル
【課題】耐久性、高強度のホログラフィック回折、耐洗濯性、長期間の使用にわたる織物およびラベルに対する最小の変化および劣化、ならびに費用効果の高い量産能力を有する改善された新規で薄くかつ柔軟なホログラフィック織物ラベルを提供する。
【解決手段】複数の重合体間の境界面で高い接合が形成され、構造内では反射性の回折層が保護される。繰り返される洗濯とドライ・クリーニングのサイクルおよび機械的な摩耗に対する優れた耐久性が、長持ちする回折効果および視覚的な認証特性とともに実現される。
【解決手段】複数の重合体間の境界面で高い接合が形成され、構造内では反射性の回折層が保護される。繰り返される洗濯とドライ・クリーニングのサイクルおよび機械的な摩耗に対する優れた耐久性が、長持ちする回折効果および視覚的な認証特性とともに実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、回折効果を示す可視回折格子パターンを有するラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、衣料品ならびに個人用衣服および装具の他の品目を認証し、装飾し、ブランド・アイデンティティを構築し、またその他の方法で価値を付加するために通常使用されるホログラフィック・ラベルの改善に関する。例えば、小売販売店は、製品が「公式にライセンスを受けた」ことを消費者に保証する識別タグまたはラベルを表示するように、ブランドのライセンス許諾者から求められることが多い。そのようなブランドとは、スポーツ・チーム、著名人デザイナー、ミュージシャンなどの名称およびロゴであろう。そのようなブランド品の知覚される価値は、他の点では同一であるがブランド品でない品物より高い。より高い価値が知覚されると、より高い小売価格が支持され、したがって偽造市場が生まれる。「公式にライセンスを受けた」製品の信頼性を確保するために、ブランドの所有者は、偽造防止用の障壁を自身の商品に組み込むように強く要求することがある。1つの広く認識された偽造に対する障壁は、ホログラムである。ホログラフィック・ラベルの適用によるブランド保護の概念はよく知られており、衣服および個人用衣料品ブランドの大手製造業者によって広範囲にわたって採用されてきた。通常、この役割で使用されるホログラフィック・ラベルは、感圧ラベルまたは製品表示タグとして品物に取り付けられる。これらの技法はどちらも、効果が限られている。
【0003】
感圧ラベルは通常、例えばPETなどの重合体膜から構築され、片面に、エンボス可能な被覆が塗布される。このエンボス可能な被覆を、表面に起伏のあるホログラフィック・スタンパの面と接触させ、それによってこのホログラフィック表面起伏パターンが精密に刻印される。次いで、刻印された側面は通常、アルミニウムなどの光反射層で完全に被覆されて、最後に感圧接着被覆が塗布される。剥離ライナに嵌め合わせた重合体基板は、金型で裁断されて巻き取られ、1巻きのすぐ販売できるラベルになる。これらのラベルは通常、保護する必要のある衣料品または品目に直接取り付けられる。
【0004】
別法として、製品表示タグは一般に、中程度の重量のボード原料から構築され、ナイロン紐で衣料品に取り付けられる。製品表示タグは、感圧ホログラフィック・ラベルのベースとして働くことができ、このラベルは、設計および機能上の考慮すべき点に応じて、タグの小さなまたは大きな領域を覆う。最終的には、どちらの取付け方法も一時的なものと見なされ、通常、衣料品が購入された後、消費者によって廃棄される。さらに、ホログラフィック感圧ラベルの構造は、衣料品が受ける通常の使用および/または洗濯サイクルに耐えない。ラベルまたは製品表示タグが取り付けられたままであった場合、例えば偶然によってすぐに外れ、または他の形で破壊されるはずである。1)消費者に信頼性を伝え、2)偽造を阻止し、3)視覚的な魅力を付加し、かつ4)衣料品の最初の購入後ずっとこれらの役割を継続するホログラフィック・ラベルが必要とされている。
【0005】
布地(textile)、衣料品などのホログラフィック装飾の領域では、相当な努力がなされてきた。従来技術の簡単な概要を以下に述べる。
【0006】
米国特許第4,838,965号、第5,281,499号、第5,314,767号、および第5,455,129号は、接着スクリムを使用し、またホログラフィック基板の縁部を封止する様々な方法を利用して、事前に作製されたホログラフィック基板を織物(fabric)に取り付ける技法について記載している。一実施形態では、ホログラムを受け取る領域に塗布される熱可塑性のスクリーン印刷インクは、湿気が浸入しないようにホログラフィック基板の縁部を封止する働きをする。別の実施形態では、ホログラムの縁部は、織物への取付けとは独立して、熱および圧力を使用して封止される。さらに別の実施形態では、ホログラムの縁部は、高温の鉄の先端部またはレーザ切断デバイスを使用して封止される。しかし、取付け技法は、いくつかの形で限定的である。ホログラフィック基板の縁部を越えて膨張してこの縁部を封止するのに十分な量の接着剤(複数可)を塗布するという要件で、複数の基板層(すなわち、ホログラムベースの基板層、接着スクリム層、インク/接着層)を使用すると、最終製品の全体的な厚さが増す。これによって衣服のかさおよび局所的な剛性が増大することは望ましくない。その結果、製品の組込みが不完全になり、ホログラフィック素子は付け足しまたは補足のように見える。第2に、織物の剛性が増大することによって、織物の手触りが著しく変わる。これは、消費者の着用体験にとって好ましくないと見なされる。第3に、そのような構造は不自然であり、量産技法に拡大するには効果的でない。
【0007】
米国特許第4,956,040号および第5,073,222号は、多層アセンブリを織物の裏打ちに取り付ける前に、ポリエステルのカバー・シートとポリエステルの接着スクリムの裏打ちとの間に事前に作製されたホログラフィック・ラベルを積層する技法について記載している。そのようなアセンブリでは、透明のポリエステル・カバーおよび接着性のポリエステル・スクリムの裏打ちによって提供される耐久性は乏しい。さらに、そのような構成の全体的な厚さは、織物の手触りに、前述の場合と同じ悪影響を与える。
【0008】
米国特許第5,945,201号および第6,036,810号は、衣服に付けて使用するためのホログラフィック識別タグについて記載している。具体的には、ホログラムの裏面と織物の前面の両方に塗布された熱溶融接着剤を利用してホログラフィック箔を取り付ける技法について、詳しく記載されている。そのような構造は、特にホログラフィック箔構成要素の周辺部で、完全性に欠ける。そのように構築された識別タグは、構築工程の結果としてさらなる耐久性をもたらさないため、ホログラフィック箔の完全性だけに依拠する。ホログラフィック箔は、標準的な洗濯および着用試験に合格しないことが実証されている。さらなる保護手段を講じなければ、衣服に取り付けるために使用される技法にかかわらず、ホログラフィック箔は劣化するであろう。
【0009】
米国特許第5,407,729号は、熱活性型接着樹脂を上塗りする前に、選択的パターンの硬化性接着樹脂/可塑剤ベース(例えば、International Coatings社製のプラスチゾル)を塗布することによって、光回折材料を選択的パターンで織物に塗布する多重転写方法について記載している。このときこのベースは、確定していない構造の光回折層に付着する働きをする。剥離層、織物、および上層の間の複数の位置合わせされた転写工程は、確かに量産技法に向いていない。さらに、光を回折させる上部要素の構成要素を指定しなければ、所与の仕様に従って耐久性のある製品をうまく作製するのは困難なはずである。
【0010】
米国特許第5,510,911号および第5,626,702号は、米国特許第5,407,729号の記載に類似しているがより単刀直入の技法について記載している。この場合も、プラスチゾル状の接着剤を、パターンをつけて塗布することが指定されている。この接着剤に、(好ましくは)PVCベースの接着剤で被覆されたホログラフィック箔が、熱および圧力で取り付けられる。パターンをつけたプラスチゾル領域の外側に位置する残りの箔は除去され、所望のパターンの箔を後に残す。この場合も、ホログラフィック箔は、当該の衣服に典型的な通常の着用および洗濯サイクルに対する耐性に乏しいことが実証されている。さらなる保護手段がなければ、ホログラフィック微細構造およびホログラフィック箔基板自体が劣化し、それに伴って回折効率も低減する。
【0011】
米国特許第5,636,385号は、ホログラフィック画像表面の十分な(恐らく過度の)保護を提供する技法について記載している。ホログラフィック素子を収容し、それによって前面と、光学的に透明の窓と、様々な方法で衣服に取り付けることができる後部部分との間にホログラフィック素子を封止する働きをするフレーム部材が記載されている。そのような構造の3つの欠点は、その複雑さ、コスト、およびその存在が衣服上で非常に目立つことである。衣服の外見および感触が完全に変わるので、そのような目立つ印の適用分野は限られる。
【0012】
米国特許第5,882,770号および第6,120,710号は、熱可塑性の有機重合体織物の直接エンボス加工について記載している。これらの明細書では、回折を強化する金属化処理について記載されておらず、また、織物に与えられた後、ホログラフィック微細構造の「位置ずれ」を防止するはずの上部の保護被覆または保護層について考慮されていない。したがって、かえって効率の低いホログラフィック画像が実現される。毎日の汚染物質で微細構造が汚染されるにつれて、また保護されていない回折溝が通常の着用で歪みかつ摩耗するにつれて、回折効率はさらに低くなるであろう。
【0013】
米国特許第6,156,412号は、一般的な誘電体回折格子の記述とほとんど変わらない織物について記載している。この織物の性能は、織物の面にエッチングされた溝の幅および深さによって制御される。同特許の明細書では、微細構造の材料、構築技法、または保護について言及されていない。
【0014】
米国特許第6,764,744号は、第1の布地織物層の後ろに回折層を含む複合織物について記載している。第1の布地織物層は、織物の糸同士の間の天然の空隙を介して、またはパターンをつけた孔などの他の手段によって、ある程度の透過率を示す。そのような構造を使用して、ホログラフィック織物ラベルを作製できるが、耐久性には疑問の余地があり、また第1の織物層と下にあるホログラフィック層との視覚的な干渉は、鮮明さおよび明瞭さが重要な大部分のラベル付け適用分野では望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,838,965号
【特許文献2】米国特許第5,281,499号
【特許文献3】米国特許第5,314,767号
【特許文献4】米国特許第5,455,129号
【特許文献5】米国特許第4,956,040号
【特許文献6】米国特許第5,073,222号
【特許文献7】米国特許第5,945,201号
【特許文献8】米国特許第6,036,810号
【特許文献9】米国特許第5,407,729号
【特許文献10】米国特許第5,510,911号
【特許文献11】米国特許第5,626,702号
【特許文献12】米国特許第5,636,385号
【特許文献13】米国特許第5,882,770号
【特許文献14】米国特許第6,120,710号
【特許文献15】米国特許第6,156,412号
【特許文献16】米国特許第6,764,744号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、画像の並外れた耐久性、完全性、および明るさを提供するような独自のホログラフィック・ラベル構造を使用することによって、従来技術の前述の制限を回避する。本発明は、耐久性、高強度のホログラフィック回折、耐洗濯性、織物の手触りの最小の変化、および費用効果の高い量産能力を有する改善された新規なホログラフィック・デバイスを提供する。本発明は、幅広い布地、衣料品、衣服、および他の民生品に取り付けることができる、断面が薄く、耐久性のある、本質的に複製し難く、かつ視覚的に魅力的なホログラフィック・ラベルを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、
回折構造を有する第1の層と、
ホログラムを有する第1の層の領域に直接接触し、この領域に接合され、かつこの領域と符合(conform)する熱接着性の第2の層とを含み、
第1の層と熱接着層の境界面から回折する光から可視の回折効果が見られるように、第1の層と熱接着層が屈折率差n>0.1を有する、セキュリティ・ラベルが提供される。
【0018】
本発明によれば、通常、独自の重合体膜が提供され、この重合体膜上に直接、高品質の放射硬化性ホログラフィック・ラベルが構築される。より具体的には、例えば、米国特許第4,933,120号、第5,003,915号、第5,083,850号、第5,085,514号、および第5,116,548号(前述の特許5つすべてを参照により本明細書に組み込む)を含めていくつかの特許に概説されている現場での放射硬化性樹脂技法を使用して、ホログラフィック層を重合体膜に直接付着させる。所期のラベルの少なくとも一部分で可視性を高めるために、回折表面の起伏構造に反射層が付着される。同時に、反射層のない領域の少なくとも一部分を、織物に取り付けるための接着剤に直接接触させる。本発明の独自の態様は、優れた封じ込め(encapsulate)、ならびに複数の洗濯およびドライ・クリーニングのサイクルに耐える重合体間の高い接合が予想外に効果的なことである。ラベルの全体構造は非常に薄くかつ適合している。さらに、このラベルは、上記に引用した従来技術が一実施形態で指定または予期していない費用効果の高い形で生成することができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、
回折格子パターンを有する第1の層と、
回折格子パターンを有する第1の層の領域に直接接触し、この領域に接合され、かつこの領域と符合する熱接着性の第2の層と、
回折格子パターンの少なくとも一部分と符合するように、また第1および第2の層によって封じ込められるように、第1および第2の層間に挟まれて第1および第2の層に接触する反射層とを含むセキュリティ・ラベルが提供される。
【0020】
キャリアおよび構造の底部の織物接着層には、様々な材料および材料の組合せを使用することができる。以下により詳細に説明するように、熱可塑性材料を使用すると、構造の製造および構造の織物への接着の両方で利点が提供されることがわかった。したがって、熱可塑性材料は、相溶性があり、また織物を大幅に分解することなく上層および底層を織物に接着できるような軟化点または融点を有する。
【0021】
キャリア材料もまた、紫外(UV)光に対して実質上透過性を有する。ほとんどすべての有機化合物は、UV領域、すなわち約400ナノメートルから約190ナノメートルの領域内の光を吸収するが、好ましい重合体の吸収は、この範囲の全体または一部分で低くまたは最小になる。
【0022】
実質上UV透過性重合体である非アモルファス膜、セミアモルファス膜からアモルファス膜の範囲の使用できる様々な重合体キャリアが知られており、例えば、特定のポリ(メチル・メタクリレート)(PMMA)、ポリ(ブチル・メタクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)などのシリコーン、ポリアミド、ポリ(メチルペンテン)、ノルボルネン−エチレン共重合体(商品名TOPAS(登録商標)8007でTicona社から市販)などのオレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン(TPU)(商品名Desmopan(登録商標)、例えばDP 9650DU、DP 9659DU、DP 9662DU、およびDP 9665DUでBayer MaterialScience AG社から市販)、ポリ(スチレン)、水素化ポリ(スチレン)、ポリ(パラキシリレン)(商品名PARYLENE Cで市販)、ポリプロピレン(PP)および高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエステル共重合体、ならびにポリ(ブチレン)テレフタレートおよびポリ(エチレン)テレフタレート(商品名MYLAR(登録商標)でDuPont社から市販)などのポリエステルが含まれる。
【0023】
底部の重合体接着膜層は、通常厚さ約0.5から約7.0ミル(mil)の範囲内のポリアミド、ポリウレタン接着膜などの熱接着剤であることが好ましい。膜ゲージの選択は、少なくとも、1)ベース織物の密度、繊維の直径、および繊維の化学構造、2)最終ラベル構造の所期の適用分野、ならびに3)接合動作全体にわたる温度、滞留、および圧力値を含む接合処理パラメータ、に依存する。本発明で有用な熱接着膜の一例には、マサチューセッツ州Bemis Associates of Shirley社から入手可能なポリアミド、ポリウレタンなどの接着膜がある。
【0024】
好ましいポリアミド接着膜は、幅広い範囲の天然および合成の織物ベースに対して優れた接着性を提供することが実証されている。ポリアミド膜は、加熱すると部分的に織物ベース層に浸透して、ホログラフィック素子の裏面を効果的に封止し、また高度の耐加水分解性を提供する。さらに、ポリアミド接着膜は、放射硬化性ホログラフィック素子に並外れてよく付着する。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、優れた接着品質を提供して多層ホログラフィック・ラベルの少なくとも1つの層として働く耐加水分解性のポリアミド膜層が利用される。ポリアミド、ポリウレタンに加えて、ポリエステルもまた、織物および適用分野に応じて優れた選択肢になる。
【0025】
放射硬化性ホログラフィック素子は、例えばアルミニウムなどの回折強化層で被覆されることが好ましい。製品の外観をさらに変えるために、例えば米国特許第5,044,707号、第5,128,779号、第5,142,383号、第5,145,212号、および第5,411,296号(前述の特許4つすべてを参照により本明細書に組み込む)に記載の通り、本発明の機能に悪影響を与えることなく、アルミニウム回折強化層にパターンをつけて金属化することもできる。
【0026】
回折強化層はアルミニウムに限定されるものではなく、二酸化チタンまたは硫化亜鉛などの他の金属酸化物または屈折性の無機化合物を含めて、当技術分野で使用される他の一般的な材料の形をとることもできる。
【0027】
金属化などの回折強化処理の後、透過性の放射硬化性保護膜(例えば、紫外線硬化性保護膜)、または他のタイプの保護層でホログラフィック素子の前面を被覆して、その機能上の性能、耐久性を改善し、また光沢および滑りなどの他の品質に影響を与えることができる。
【0028】
以下の詳細な説明は、添付の図面と組み合わせると最も良く理解されるであろう。この説明は例示を目的とし、本発明をその説明だけに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】典型的なホログラフィック素子の構造の断面図である。
【図2】微細構造側に付着させた回折強化アルミニウム層を有する同じホログラフィック素子の図である。
【図3】図3は回折強化層に付着させた反射層で部分的に覆われた回折構造を示す図である。図3Aは脱金属方法を使用して、所望の領域を保護するために金属上にレジスト印刷してから腐食性の洗濯を行って、レジスト印刷によって腐食性の洗濯から保護されていない領域内の反射層を除去することによって金属パターン成形を実現するときに導出される構造の1つを示す断面図である。
【図4】図4は熱接着層およびベース織物上に配置されたホログラフィック素子の図である。図4Aはホログラム・ラベルと特定のベース織物または材料の間の最善の接合性能のために、複数の接着層上に配置されたホログラフィック素子の図である。図4Bはキャリアが除去された図4Aに示す図である。図4Cは封じ込められる反射層が存在せず、ホログラムと符合する2つの層の回折率の差から回折が生じる一実施形態の図である。
【図5】印刷要素を内部に含む図4の図である。
【図6】RFIDタグが内部に追加された図5の構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照されたい。図面では、類似または同一の要素には、様々な図全体にわたって一貫した識別番号を与えた。
【0031】
図1は、本発明に典型的なホログラフィック素子10の断面図を示す。接着膜ベース基板100には、本質的に透過性のオリゴマー樹脂層110が上部に配置される。オリゴマー樹脂層110は、ホログラフィック・スタンピング工具130に密接に接触させながら硬化させる。層100は、1つまたは複数の重合体膜から構成される。ホログラフィック複写工具130は、ホログラフィック微細構造パターン120をオリゴマー樹脂に与えて、樹脂の表面にネガパターン120を作製する。樹脂層110が硬化してホログラフィック・スタンピング工具130が取り外された後、パターン120は、前記樹脂の上部表面に固定されたままである。
【0032】
図2は、微細構造パターンにアルミニウムなどの薄い反射材料層121が取り付けられたホログラフィック素子120を示す。反射材料層121は、前記微細構造の反射特性、したがって回折特性を大きく増大させる働きをする。アルミニウムは、後述のように、全体にまたは部分的に脱金属化することができる。
【0033】
図3は、反射層121で部分的に覆われたホログラフィック層110を示す。反射層は、選択的領域に配置される。この選択的領域は、1つのより大きな領域とすることができ、または多くのより小さな領域を含むこともできる。反射層121は、ブランド付けもしくはバッチ(batch)の目的で図形パターン、ロゴ、または文字の形とすることができ、あるいは他の印の形とすることができる。図3Aは、脱金属処理後に金属表面121上に残ったレジスト160を示す。
【0034】
図4は、熱接着層170およびベース織物200上に配置されたホログラフィック素子110を示す。ホログラム層110のうち反射層121がない部分は、熱可塑性接着剤170に直接接触している。熱および圧力をかけると、キャリア100、ホログラム層110、および接着剤170がともに強く接合し、したがって、視覚的に強化する反射層121が封止されて十分に保護される。熱可塑性膜のベース基板170を十分に加熱しながら、同時に下方へ圧力をかけて、軟化させた重合体をベース織物200内に押し込んだ結果、ポリアミドまたは他の熱接着膜170とベース織物200の上部表面がかみ合っていることが理解されるであろう。図4Aでは、基板に応じて優れた接合を実現するのに必要な熱可塑性接着剤180を追加することが可能である。放射硬化性層110およびキャリア層100は、熱可塑性材料ではないので、熱および圧力をかけることによる影響を受けず、したがって、そのような条件下では流動しない。したがって、ホログラフィック微細構造は影響を受けず、明るくかつ回折性の高いままである。また、ホログラフィック微細構造は、複数の洗濯およびドライ・クリーニングに耐える。図4Bは、ホログラム層110からキャリア100が除去された図である。キャリア100を除去すると、図4および4Aの場合より薄い構造が得られる。
【0035】
本発明の代替実施形態を図4Cに示す。このあまり好ましくない実施形態では、反射層は必要とされない。ホログラフィック層からの可視の回折は、ホログラム層110と接着層170の屈折率の差が十分大きいことから生じる。屈折率差Δn=N110−N170>|0.1|は、ある程度の可視の回折には十分であるが、層110および層170に対して選択される材料の屈折率の差が、相当な可視の回折を生じさせるのに十分大きいことが好ましい。
【0036】
ホログラム層110に対する例示的な材料には、633nmでn=1.641の、ポリ(α−ナフチル・メタクリレート)、n=1.71のポリ(ペンタブロモフェニル・メタクリレート)、およびn=2.1のポリフェニレンビニレンがある。重合体の屈折率は、重合体に適切にドープすることによって増減できることにも留意されたい。
【0037】
接着層170に対する例示的な材料の値nは、1.45と1.55の間であることが好ましい。例えば、典型的なプラスチックの値nは、1.46から1.55の範囲内である。ポリアミドの屈折率は1.53である。ポリウレタンの値はn=1.6である。
【0038】
図4Cの実施形態では、層100を存在させる必要はない。
【0039】
本発明のホログラフィック織物ラベルは、第1の織物片または織物シートの上に作製することができる。次いでこの織物は、個別のホログラフィック・ラベルに切断されて、その後別々の衣服または衣料品に取り付けられる。別法として、本発明のホログラフィック織物ラベルは、熱および圧力を使用して、完成した衣服、衣料品、またはそれらの一部分に直接付着させて、恒久的に接合された自律的なラベルを作製することができる。
【0040】
図5は、ホログラフィック・ラベルを示し、さらなるブランド付け、バッチング(batching)、番号付けのために、上部の中または上に印刷190を組み込む。印刷インクは、確実にかつ費用効果を高くするために、非常に限定的な領域で染色、着色、および/またはタグ付けすることができる。
【0041】
図6は、図5に開示したタイプに電波による個体識別(radio frequency identification:RFID)タグ400を加えたホログラフィック・ラベル300を示す。RFIDタグ400は、アンテナおよびCMOS集積回路を含む周知の受動タグであることが好ましい。ホログラフィック・ラベル300内にRFIDタグを挿入すると、さらに別の程度のセキュリティがラベルに追加される。
【0042】
一実施形態では、ホログラムの形成は、UV硬化性樹脂をキャリア上に堆積させてから光学反射層を微細構造表面上に堆積させることに限定されるものではない。ホログラムの形成はまた、透明のまたは金属化されたラッカー層をエンボス加工することでも行われる。完全に金属化された表面が脱金属化され、またはパターン金属化がホログラフィック・ラベルに組み込まれる。金属化層または脱金属化層は、次のように生成される。まず、ホログラム上に金属層が配置される。一実施形態では、金属層は、ホログラムの表面に堆積させた連続する層とすることができ、またホログラフィック・ラベルの可撓特性を低減させないように十分薄い。他方では、金属層は通常、裸眼で見えるように十分厚いことが望ましい。金属化層または脱金属化層は、次のように生成される。
【0043】
金属層は、厚さ約20から約2,000オングストローム(Å)であり、具体的には厚さ約50から約1,000Åであり、より具体的には厚さ約100から約500Åであり、より具体的には厚さ約150から約300Åである。金属層は、化学気相成長(CVD)、膨張熱プラズマ(ETP)、イオンめっき、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)、金属有機化学気相成長(MOCVD)(有機金属化学気相成長(OMCVD)とも呼ばれる)、金属有機気相エピタキシ(MOVPE)、スパッタリングなどの物理気相成長法、反応性電子ビーム(eビーム)蒸着、およびプラズマ溶射によって堆積させることができる。例示的な方法はCVDおよびPECVDである。
【0044】
金属層内で使用する金属の例には、銅、アルミニウム、クロムなど、または前述の金属の少なくとも1つを含む組合せがある。
【0045】
ホログラム上に金属を堆積させた後、金属層のうちホログラムに接触している表面に対向する表面にマスクが配置される。前述のように、マスクは、多層デバイス上で望まれる画像のポジ画像を有することが望ましい。一実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐える塗料、インク、またはワニスを含むことができる。塗料、インク、またはワニスは、印刷デバイスによって金属表面に塗布することができる。
【0046】
別の実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐える有機重合体を含むことができる。この実施形態では、まず、2つ以上の不混和性の重合体相によって生成されたパターン(ブロック共重合体によって生成されるものなど)をエッチングまたは分解にかけて、重合体相の1つを除去する。残りの相はパターンのポジ画像を形成し、次いでマスクとして使用することができる。そのようなパターンの例には、交互ブロック共重合体、ランダム・ブロック共重合体、星型ブロック共重合体などで利用可能なパターンがある。金属層内に、20から200Å程度のフィーチャが生成される。これらのフィーチャは、周期性であっても非周期性であってもよい。
【0047】
さらに別の実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐えるセラミックまたは金属を含むことができる。好ましい実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐えるインクを含む。
【0048】
エッチング工程では、化学エッチング剤または放射ベースのエッチング剤を使用することができる。適切な化学エッチング剤の例には、pHが約8から約14の塩基性溶液がある。適切な塩基性溶液の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどを含む溶液、または前述の塩基性溶液の少なくとも1つを含む組合せがある。
【0049】
pHが7未満の酸性の溶液をエッチング剤として使用することもできる。例示的な実施形態では、酸でアルミニウム金属をエッチングすることができる。弱い硫酸を使用して、基板上に堆積させた銅層をエッチングすることができる。
【0050】
別の実施形態では、放射ベースのエッチング剤を使用することができる。例えば、イオン・ビームを使用して、金属層のうちマスクによって覆われていない部分を選択的にエッチングすることができる。エッチング工程によって金属層を部分的にまたは完全に除去して、非ホログラフィック画像を作製することができる。
【0051】
一実施形態では、金属化または脱金属化セキュリティ・デバイスを生成する一方法で、ホログラムは、アルミニウム金属で被覆される。この金属のうちホログラムに接触している表面に対向する表面に、所望の非ホログラフィック画像のポジ画像を含むマスクが配置される。マスクの堆積後、ホログラフィック・ラベルは、水酸化ナトリウムなどの塩基性溶液を含むトレイ内に配置される。
【0052】
塩基性溶液が金属化表面に塗布されると、実際には直ちにエッチング作用が現れるが、溶液に接触するこれらの領域で化学反応が完了するように、特定の時間、溶液を金属化表面に接触させたままにすることが望ましいであろう。
【0053】
溶液の酸化作用を止めるために、金属化表面を弱い酸および/または水(好ましくは、再利用されていないもの)で洗うことができる。例えば、金属化表面(事前に印刷済み)を洗浄領域に通すことができる。この洗浄領域では、弱い酸で洗うことによって、残りの水酸化ナトリウムおよび酸化金属(すなわち、酸化アルミニウム)を除去することができる。例示的な実施形態では、金属化表面の印刷された領域全体を水で濡らす。例えば、微細な散水器を使用して、印刷された領域全体をカバーすることができる。洗浄工程をより効率的なものとするために、そして化学工程の残留物を完全に除去するために、毎回清水を使用して、洗浄を1回または複数回繰り返すことができる。
【0054】
多層デバイスが乾燥ステーションに入る前に、残っている残留水の蒸発を容易にするために、金属化表面から余分な水を除去することが望ましいであろう。水を除去するために、1対のローラ(例えば、1つがゴム製であり、もう1つが金属製である)、空気清浄器、スポンジ、および/または空気散布器を使用することが勧められる。最後に、金属化デバイスを乾燥ユニットに通して、熱乾燥(例えば、電気抵抗加熱を使用する)を行い、水を材料から完全に除去する。
【0055】
一実施形態では、光学的に透過性の保護層(図示せず)がホログラム上に配置される。光学的に透過性の保護層は通常、有機重合体を含む。光学的に透過性の保護層内で使用される有機重合体は、多種多様な熱可塑性重合体、熱可塑性重合体の混合物、熱硬化性重合体、または熱可塑性重合体と熱硬化性重合体の混合物から選択することができる。有機重合体はまた、重合体、共重合体、3元重合体、または前述の有機重合体の少なくとも1つを含む組合せの混合物とすることができる。有機重合体はまた、オリゴマー、単独重合体、共重合体、ブロック共重合体、交互ブロック共重合体、ランダム重合体、ランダム共重合体、ランダム・ブロック共重合体、グラフト共重合体、星型ブロック共重合体、デンドリマーなど、または前述の有機重合体の少なくとも1つを含む組合せとすることができる。一実施形態では、通常、光学的に透過性の保護層内で使用される有機重合体が、紫外放射に対して透過性を有することが望ましい。別の実施形態では、光学的に透過性の保護層内で使用される有機重合体が、紫外光に対して透過性をもたないことが望ましい。
【0056】
有機重合体の例には、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリアクリル酸(polyacrylics)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン・サルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテル・ケトン・ケトン、ポリアセタール、ポリビニル・エーテル、ポリビニル・チオエーテル、ポリビニル・アルコール、ポリビニル・ケトン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニル・ニトリル、ポリビニル・エステル、ポリスルホネート、ポリサルファイド、ポリチオエステル、ポリスルホン、ポリスルホンアミド、ポリエチレン・テレフタレート、ポリブチレン・テレフタレート、ポリウレタン、エチレン・プロピレン・ジエン・ゴム(EPR)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン・プロピレン、フルオロアルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど、または前述の有機重合体の少なくとも1つを含む組合せがある。
【0057】
熱硬化性重合体の例には、ポリウレタン、天然ゴム、フェノール、ポリエステル、ポリアミド、シリコーンなど、または前述の熱硬化性重合体の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。熱硬化性重合体の混合物、ならびに熱可塑性重合体と熱硬化性重合体の混合物を利用することができる。光学的に透過性の保護層として使用できる例示的な有機重合体には、紫外放射に対して透過性のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、またはポリエステルがある。
【0058】
光学的に透過性の保護層は、約30%以上、具体的には約50%以上、より具体的には約70%以上、さらに具体的には約90%以上の光学透過率を有することが望ましい。
【0059】
したがって本発明は、衣料品に恒久的に取り付けることができる耐久性のあるホログラフィック織物ラベルを提供する。そのような改善されたホログラフィック・ラベルを作製することによって、いくつかのレベルで価値が実現される。すなわちこのラベルは、耐久性があり、本質的に複製し難く、かつ視覚的に魅力的である。本発明は、独立型のホログラフィック・デバイスとして衣料品に適用することができ、または、普通なら実利的な製造業者の仕様ラベルに使用される空間を使用することができる。この後者の実施形態では、耐久性のあるホログラフィック・ラベルはさらに、情報を伝達するデバイスとして働く。したがって本発明は、並外れた耐久性のホログラフィック・ラベルを作製して価値のある品物に恒久的に取り付ける改善された新規な方法を提供する。本発明はさらに、衣料品に直接取り付けるのに特に適した改善されたホログラフィック・ラベルを提供し、またそのようなラベルを費用効果の高い形で複製しかつ取り付ける製造方法を提供する。さらに、本発明は、構成要素膜の層の厚さを慎重に選択することによって幅広い範囲の光沢値を可能にするラベル表面を提供する。
【0060】
ホログラフィック・ラベルを単にラベルとして使用する必要はない。ホログラフィック・ラベルは、幅広い織物、すなわち衣服、ハンドバッグ、特製品などで使用できる大きく平らな形にすることができる。ホログラフィック・ラベルはまた、広告材料または装飾材料として使用することもできる。
【0061】
本発明および本発明の利点について詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲に規定の本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換え、および改変を加えることができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書中に記載の工程、機械、製造、ならびに組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されるものではない。本発明の開示から当業者には容易に理解されるように、本発明によれば、本明細書に記載の対応する実施形態と実質上同じ機能を実行しまたは実質上同じ結果を実現する、現在存在しまたは将来開発される工程、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのような工程、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを含むものとする。
【符号の説明】
【0062】
10 ホログラフィック素子
100 接着膜ベース基板、層、キャリア、キャリア層
110 透過性のオリゴマー樹脂層、ホログラフィック層、ホログラム層、放射硬化性層
120 ホログラフィック微細構造パターン、ネガパターン、ホログラフィック素子
121 反射材料層、金属表面
130 ホログラフィック・スタンピング工具、ホログラフィック複写工具
160 レジスト
170 熱接着層、熱可塑性接着剤、熱可塑性膜のベース基板
180 熱可塑性接着剤
190 印刷
200 ベース織物
300 ホログラフィック・ラベル
400 電波による個体識別(RFID)タグ
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、回折効果を示す可視回折格子パターンを有するラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、衣料品ならびに個人用衣服および装具の他の品目を認証し、装飾し、ブランド・アイデンティティを構築し、またその他の方法で価値を付加するために通常使用されるホログラフィック・ラベルの改善に関する。例えば、小売販売店は、製品が「公式にライセンスを受けた」ことを消費者に保証する識別タグまたはラベルを表示するように、ブランドのライセンス許諾者から求められることが多い。そのようなブランドとは、スポーツ・チーム、著名人デザイナー、ミュージシャンなどの名称およびロゴであろう。そのようなブランド品の知覚される価値は、他の点では同一であるがブランド品でない品物より高い。より高い価値が知覚されると、より高い小売価格が支持され、したがって偽造市場が生まれる。「公式にライセンスを受けた」製品の信頼性を確保するために、ブランドの所有者は、偽造防止用の障壁を自身の商品に組み込むように強く要求することがある。1つの広く認識された偽造に対する障壁は、ホログラムである。ホログラフィック・ラベルの適用によるブランド保護の概念はよく知られており、衣服および個人用衣料品ブランドの大手製造業者によって広範囲にわたって採用されてきた。通常、この役割で使用されるホログラフィック・ラベルは、感圧ラベルまたは製品表示タグとして品物に取り付けられる。これらの技法はどちらも、効果が限られている。
【0003】
感圧ラベルは通常、例えばPETなどの重合体膜から構築され、片面に、エンボス可能な被覆が塗布される。このエンボス可能な被覆を、表面に起伏のあるホログラフィック・スタンパの面と接触させ、それによってこのホログラフィック表面起伏パターンが精密に刻印される。次いで、刻印された側面は通常、アルミニウムなどの光反射層で完全に被覆されて、最後に感圧接着被覆が塗布される。剥離ライナに嵌め合わせた重合体基板は、金型で裁断されて巻き取られ、1巻きのすぐ販売できるラベルになる。これらのラベルは通常、保護する必要のある衣料品または品目に直接取り付けられる。
【0004】
別法として、製品表示タグは一般に、中程度の重量のボード原料から構築され、ナイロン紐で衣料品に取り付けられる。製品表示タグは、感圧ホログラフィック・ラベルのベースとして働くことができ、このラベルは、設計および機能上の考慮すべき点に応じて、タグの小さなまたは大きな領域を覆う。最終的には、どちらの取付け方法も一時的なものと見なされ、通常、衣料品が購入された後、消費者によって廃棄される。さらに、ホログラフィック感圧ラベルの構造は、衣料品が受ける通常の使用および/または洗濯サイクルに耐えない。ラベルまたは製品表示タグが取り付けられたままであった場合、例えば偶然によってすぐに外れ、または他の形で破壊されるはずである。1)消費者に信頼性を伝え、2)偽造を阻止し、3)視覚的な魅力を付加し、かつ4)衣料品の最初の購入後ずっとこれらの役割を継続するホログラフィック・ラベルが必要とされている。
【0005】
布地(textile)、衣料品などのホログラフィック装飾の領域では、相当な努力がなされてきた。従来技術の簡単な概要を以下に述べる。
【0006】
米国特許第4,838,965号、第5,281,499号、第5,314,767号、および第5,455,129号は、接着スクリムを使用し、またホログラフィック基板の縁部を封止する様々な方法を利用して、事前に作製されたホログラフィック基板を織物(fabric)に取り付ける技法について記載している。一実施形態では、ホログラムを受け取る領域に塗布される熱可塑性のスクリーン印刷インクは、湿気が浸入しないようにホログラフィック基板の縁部を封止する働きをする。別の実施形態では、ホログラムの縁部は、織物への取付けとは独立して、熱および圧力を使用して封止される。さらに別の実施形態では、ホログラムの縁部は、高温の鉄の先端部またはレーザ切断デバイスを使用して封止される。しかし、取付け技法は、いくつかの形で限定的である。ホログラフィック基板の縁部を越えて膨張してこの縁部を封止するのに十分な量の接着剤(複数可)を塗布するという要件で、複数の基板層(すなわち、ホログラムベースの基板層、接着スクリム層、インク/接着層)を使用すると、最終製品の全体的な厚さが増す。これによって衣服のかさおよび局所的な剛性が増大することは望ましくない。その結果、製品の組込みが不完全になり、ホログラフィック素子は付け足しまたは補足のように見える。第2に、織物の剛性が増大することによって、織物の手触りが著しく変わる。これは、消費者の着用体験にとって好ましくないと見なされる。第3に、そのような構造は不自然であり、量産技法に拡大するには効果的でない。
【0007】
米国特許第4,956,040号および第5,073,222号は、多層アセンブリを織物の裏打ちに取り付ける前に、ポリエステルのカバー・シートとポリエステルの接着スクリムの裏打ちとの間に事前に作製されたホログラフィック・ラベルを積層する技法について記載している。そのようなアセンブリでは、透明のポリエステル・カバーおよび接着性のポリエステル・スクリムの裏打ちによって提供される耐久性は乏しい。さらに、そのような構成の全体的な厚さは、織物の手触りに、前述の場合と同じ悪影響を与える。
【0008】
米国特許第5,945,201号および第6,036,810号は、衣服に付けて使用するためのホログラフィック識別タグについて記載している。具体的には、ホログラムの裏面と織物の前面の両方に塗布された熱溶融接着剤を利用してホログラフィック箔を取り付ける技法について、詳しく記載されている。そのような構造は、特にホログラフィック箔構成要素の周辺部で、完全性に欠ける。そのように構築された識別タグは、構築工程の結果としてさらなる耐久性をもたらさないため、ホログラフィック箔の完全性だけに依拠する。ホログラフィック箔は、標準的な洗濯および着用試験に合格しないことが実証されている。さらなる保護手段を講じなければ、衣服に取り付けるために使用される技法にかかわらず、ホログラフィック箔は劣化するであろう。
【0009】
米国特許第5,407,729号は、熱活性型接着樹脂を上塗りする前に、選択的パターンの硬化性接着樹脂/可塑剤ベース(例えば、International Coatings社製のプラスチゾル)を塗布することによって、光回折材料を選択的パターンで織物に塗布する多重転写方法について記載している。このときこのベースは、確定していない構造の光回折層に付着する働きをする。剥離層、織物、および上層の間の複数の位置合わせされた転写工程は、確かに量産技法に向いていない。さらに、光を回折させる上部要素の構成要素を指定しなければ、所与の仕様に従って耐久性のある製品をうまく作製するのは困難なはずである。
【0010】
米国特許第5,510,911号および第5,626,702号は、米国特許第5,407,729号の記載に類似しているがより単刀直入の技法について記載している。この場合も、プラスチゾル状の接着剤を、パターンをつけて塗布することが指定されている。この接着剤に、(好ましくは)PVCベースの接着剤で被覆されたホログラフィック箔が、熱および圧力で取り付けられる。パターンをつけたプラスチゾル領域の外側に位置する残りの箔は除去され、所望のパターンの箔を後に残す。この場合も、ホログラフィック箔は、当該の衣服に典型的な通常の着用および洗濯サイクルに対する耐性に乏しいことが実証されている。さらなる保護手段がなければ、ホログラフィック微細構造およびホログラフィック箔基板自体が劣化し、それに伴って回折効率も低減する。
【0011】
米国特許第5,636,385号は、ホログラフィック画像表面の十分な(恐らく過度の)保護を提供する技法について記載している。ホログラフィック素子を収容し、それによって前面と、光学的に透明の窓と、様々な方法で衣服に取り付けることができる後部部分との間にホログラフィック素子を封止する働きをするフレーム部材が記載されている。そのような構造の3つの欠点は、その複雑さ、コスト、およびその存在が衣服上で非常に目立つことである。衣服の外見および感触が完全に変わるので、そのような目立つ印の適用分野は限られる。
【0012】
米国特許第5,882,770号および第6,120,710号は、熱可塑性の有機重合体織物の直接エンボス加工について記載している。これらの明細書では、回折を強化する金属化処理について記載されておらず、また、織物に与えられた後、ホログラフィック微細構造の「位置ずれ」を防止するはずの上部の保護被覆または保護層について考慮されていない。したがって、かえって効率の低いホログラフィック画像が実現される。毎日の汚染物質で微細構造が汚染されるにつれて、また保護されていない回折溝が通常の着用で歪みかつ摩耗するにつれて、回折効率はさらに低くなるであろう。
【0013】
米国特許第6,156,412号は、一般的な誘電体回折格子の記述とほとんど変わらない織物について記載している。この織物の性能は、織物の面にエッチングされた溝の幅および深さによって制御される。同特許の明細書では、微細構造の材料、構築技法、または保護について言及されていない。
【0014】
米国特許第6,764,744号は、第1の布地織物層の後ろに回折層を含む複合織物について記載している。第1の布地織物層は、織物の糸同士の間の天然の空隙を介して、またはパターンをつけた孔などの他の手段によって、ある程度の透過率を示す。そのような構造を使用して、ホログラフィック織物ラベルを作製できるが、耐久性には疑問の余地があり、また第1の織物層と下にあるホログラフィック層との視覚的な干渉は、鮮明さおよび明瞭さが重要な大部分のラベル付け適用分野では望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,838,965号
【特許文献2】米国特許第5,281,499号
【特許文献3】米国特許第5,314,767号
【特許文献4】米国特許第5,455,129号
【特許文献5】米国特許第4,956,040号
【特許文献6】米国特許第5,073,222号
【特許文献7】米国特許第5,945,201号
【特許文献8】米国特許第6,036,810号
【特許文献9】米国特許第5,407,729号
【特許文献10】米国特許第5,510,911号
【特許文献11】米国特許第5,626,702号
【特許文献12】米国特許第5,636,385号
【特許文献13】米国特許第5,882,770号
【特許文献14】米国特許第6,120,710号
【特許文献15】米国特許第6,156,412号
【特許文献16】米国特許第6,764,744号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、画像の並外れた耐久性、完全性、および明るさを提供するような独自のホログラフィック・ラベル構造を使用することによって、従来技術の前述の制限を回避する。本発明は、耐久性、高強度のホログラフィック回折、耐洗濯性、織物の手触りの最小の変化、および費用効果の高い量産能力を有する改善された新規なホログラフィック・デバイスを提供する。本発明は、幅広い布地、衣料品、衣服、および他の民生品に取り付けることができる、断面が薄く、耐久性のある、本質的に複製し難く、かつ視覚的に魅力的なホログラフィック・ラベルを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、
回折構造を有する第1の層と、
ホログラムを有する第1の層の領域に直接接触し、この領域に接合され、かつこの領域と符合(conform)する熱接着性の第2の層とを含み、
第1の層と熱接着層の境界面から回折する光から可視の回折効果が見られるように、第1の層と熱接着層が屈折率差n>0.1を有する、セキュリティ・ラベルが提供される。
【0018】
本発明によれば、通常、独自の重合体膜が提供され、この重合体膜上に直接、高品質の放射硬化性ホログラフィック・ラベルが構築される。より具体的には、例えば、米国特許第4,933,120号、第5,003,915号、第5,083,850号、第5,085,514号、および第5,116,548号(前述の特許5つすべてを参照により本明細書に組み込む)を含めていくつかの特許に概説されている現場での放射硬化性樹脂技法を使用して、ホログラフィック層を重合体膜に直接付着させる。所期のラベルの少なくとも一部分で可視性を高めるために、回折表面の起伏構造に反射層が付着される。同時に、反射層のない領域の少なくとも一部分を、織物に取り付けるための接着剤に直接接触させる。本発明の独自の態様は、優れた封じ込め(encapsulate)、ならびに複数の洗濯およびドライ・クリーニングのサイクルに耐える重合体間の高い接合が予想外に効果的なことである。ラベルの全体構造は非常に薄くかつ適合している。さらに、このラベルは、上記に引用した従来技術が一実施形態で指定または予期していない費用効果の高い形で生成することができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、
回折格子パターンを有する第1の層と、
回折格子パターンを有する第1の層の領域に直接接触し、この領域に接合され、かつこの領域と符合する熱接着性の第2の層と、
回折格子パターンの少なくとも一部分と符合するように、また第1および第2の層によって封じ込められるように、第1および第2の層間に挟まれて第1および第2の層に接触する反射層とを含むセキュリティ・ラベルが提供される。
【0020】
キャリアおよび構造の底部の織物接着層には、様々な材料および材料の組合せを使用することができる。以下により詳細に説明するように、熱可塑性材料を使用すると、構造の製造および構造の織物への接着の両方で利点が提供されることがわかった。したがって、熱可塑性材料は、相溶性があり、また織物を大幅に分解することなく上層および底層を織物に接着できるような軟化点または融点を有する。
【0021】
キャリア材料もまた、紫外(UV)光に対して実質上透過性を有する。ほとんどすべての有機化合物は、UV領域、すなわち約400ナノメートルから約190ナノメートルの領域内の光を吸収するが、好ましい重合体の吸収は、この範囲の全体または一部分で低くまたは最小になる。
【0022】
実質上UV透過性重合体である非アモルファス膜、セミアモルファス膜からアモルファス膜の範囲の使用できる様々な重合体キャリアが知られており、例えば、特定のポリ(メチル・メタクリレート)(PMMA)、ポリ(ブチル・メタクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)などのシリコーン、ポリアミド、ポリ(メチルペンテン)、ノルボルネン−エチレン共重合体(商品名TOPAS(登録商標)8007でTicona社から市販)などのオレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン(TPU)(商品名Desmopan(登録商標)、例えばDP 9650DU、DP 9659DU、DP 9662DU、およびDP 9665DUでBayer MaterialScience AG社から市販)、ポリ(スチレン)、水素化ポリ(スチレン)、ポリ(パラキシリレン)(商品名PARYLENE Cで市販)、ポリプロピレン(PP)および高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエステル共重合体、ならびにポリ(ブチレン)テレフタレートおよびポリ(エチレン)テレフタレート(商品名MYLAR(登録商標)でDuPont社から市販)などのポリエステルが含まれる。
【0023】
底部の重合体接着膜層は、通常厚さ約0.5から約7.0ミル(mil)の範囲内のポリアミド、ポリウレタン接着膜などの熱接着剤であることが好ましい。膜ゲージの選択は、少なくとも、1)ベース織物の密度、繊維の直径、および繊維の化学構造、2)最終ラベル構造の所期の適用分野、ならびに3)接合動作全体にわたる温度、滞留、および圧力値を含む接合処理パラメータ、に依存する。本発明で有用な熱接着膜の一例には、マサチューセッツ州Bemis Associates of Shirley社から入手可能なポリアミド、ポリウレタンなどの接着膜がある。
【0024】
好ましいポリアミド接着膜は、幅広い範囲の天然および合成の織物ベースに対して優れた接着性を提供することが実証されている。ポリアミド膜は、加熱すると部分的に織物ベース層に浸透して、ホログラフィック素子の裏面を効果的に封止し、また高度の耐加水分解性を提供する。さらに、ポリアミド接着膜は、放射硬化性ホログラフィック素子に並外れてよく付着する。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、優れた接着品質を提供して多層ホログラフィック・ラベルの少なくとも1つの層として働く耐加水分解性のポリアミド膜層が利用される。ポリアミド、ポリウレタンに加えて、ポリエステルもまた、織物および適用分野に応じて優れた選択肢になる。
【0025】
放射硬化性ホログラフィック素子は、例えばアルミニウムなどの回折強化層で被覆されることが好ましい。製品の外観をさらに変えるために、例えば米国特許第5,044,707号、第5,128,779号、第5,142,383号、第5,145,212号、および第5,411,296号(前述の特許4つすべてを参照により本明細書に組み込む)に記載の通り、本発明の機能に悪影響を与えることなく、アルミニウム回折強化層にパターンをつけて金属化することもできる。
【0026】
回折強化層はアルミニウムに限定されるものではなく、二酸化チタンまたは硫化亜鉛などの他の金属酸化物または屈折性の無機化合物を含めて、当技術分野で使用される他の一般的な材料の形をとることもできる。
【0027】
金属化などの回折強化処理の後、透過性の放射硬化性保護膜(例えば、紫外線硬化性保護膜)、または他のタイプの保護層でホログラフィック素子の前面を被覆して、その機能上の性能、耐久性を改善し、また光沢および滑りなどの他の品質に影響を与えることができる。
【0028】
以下の詳細な説明は、添付の図面と組み合わせると最も良く理解されるであろう。この説明は例示を目的とし、本発明をその説明だけに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】典型的なホログラフィック素子の構造の断面図である。
【図2】微細構造側に付着させた回折強化アルミニウム層を有する同じホログラフィック素子の図である。
【図3】図3は回折強化層に付着させた反射層で部分的に覆われた回折構造を示す図である。図3Aは脱金属方法を使用して、所望の領域を保護するために金属上にレジスト印刷してから腐食性の洗濯を行って、レジスト印刷によって腐食性の洗濯から保護されていない領域内の反射層を除去することによって金属パターン成形を実現するときに導出される構造の1つを示す断面図である。
【図4】図4は熱接着層およびベース織物上に配置されたホログラフィック素子の図である。図4Aはホログラム・ラベルと特定のベース織物または材料の間の最善の接合性能のために、複数の接着層上に配置されたホログラフィック素子の図である。図4Bはキャリアが除去された図4Aに示す図である。図4Cは封じ込められる反射層が存在せず、ホログラムと符合する2つの層の回折率の差から回折が生じる一実施形態の図である。
【図5】印刷要素を内部に含む図4の図である。
【図6】RFIDタグが内部に追加された図5の構造の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照されたい。図面では、類似または同一の要素には、様々な図全体にわたって一貫した識別番号を与えた。
【0031】
図1は、本発明に典型的なホログラフィック素子10の断面図を示す。接着膜ベース基板100には、本質的に透過性のオリゴマー樹脂層110が上部に配置される。オリゴマー樹脂層110は、ホログラフィック・スタンピング工具130に密接に接触させながら硬化させる。層100は、1つまたは複数の重合体膜から構成される。ホログラフィック複写工具130は、ホログラフィック微細構造パターン120をオリゴマー樹脂に与えて、樹脂の表面にネガパターン120を作製する。樹脂層110が硬化してホログラフィック・スタンピング工具130が取り外された後、パターン120は、前記樹脂の上部表面に固定されたままである。
【0032】
図2は、微細構造パターンにアルミニウムなどの薄い反射材料層121が取り付けられたホログラフィック素子120を示す。反射材料層121は、前記微細構造の反射特性、したがって回折特性を大きく増大させる働きをする。アルミニウムは、後述のように、全体にまたは部分的に脱金属化することができる。
【0033】
図3は、反射層121で部分的に覆われたホログラフィック層110を示す。反射層は、選択的領域に配置される。この選択的領域は、1つのより大きな領域とすることができ、または多くのより小さな領域を含むこともできる。反射層121は、ブランド付けもしくはバッチ(batch)の目的で図形パターン、ロゴ、または文字の形とすることができ、あるいは他の印の形とすることができる。図3Aは、脱金属処理後に金属表面121上に残ったレジスト160を示す。
【0034】
図4は、熱接着層170およびベース織物200上に配置されたホログラフィック素子110を示す。ホログラム層110のうち反射層121がない部分は、熱可塑性接着剤170に直接接触している。熱および圧力をかけると、キャリア100、ホログラム層110、および接着剤170がともに強く接合し、したがって、視覚的に強化する反射層121が封止されて十分に保護される。熱可塑性膜のベース基板170を十分に加熱しながら、同時に下方へ圧力をかけて、軟化させた重合体をベース織物200内に押し込んだ結果、ポリアミドまたは他の熱接着膜170とベース織物200の上部表面がかみ合っていることが理解されるであろう。図4Aでは、基板に応じて優れた接合を実現するのに必要な熱可塑性接着剤180を追加することが可能である。放射硬化性層110およびキャリア層100は、熱可塑性材料ではないので、熱および圧力をかけることによる影響を受けず、したがって、そのような条件下では流動しない。したがって、ホログラフィック微細構造は影響を受けず、明るくかつ回折性の高いままである。また、ホログラフィック微細構造は、複数の洗濯およびドライ・クリーニングに耐える。図4Bは、ホログラム層110からキャリア100が除去された図である。キャリア100を除去すると、図4および4Aの場合より薄い構造が得られる。
【0035】
本発明の代替実施形態を図4Cに示す。このあまり好ましくない実施形態では、反射層は必要とされない。ホログラフィック層からの可視の回折は、ホログラム層110と接着層170の屈折率の差が十分大きいことから生じる。屈折率差Δn=N110−N170>|0.1|は、ある程度の可視の回折には十分であるが、層110および層170に対して選択される材料の屈折率の差が、相当な可視の回折を生じさせるのに十分大きいことが好ましい。
【0036】
ホログラム層110に対する例示的な材料には、633nmでn=1.641の、ポリ(α−ナフチル・メタクリレート)、n=1.71のポリ(ペンタブロモフェニル・メタクリレート)、およびn=2.1のポリフェニレンビニレンがある。重合体の屈折率は、重合体に適切にドープすることによって増減できることにも留意されたい。
【0037】
接着層170に対する例示的な材料の値nは、1.45と1.55の間であることが好ましい。例えば、典型的なプラスチックの値nは、1.46から1.55の範囲内である。ポリアミドの屈折率は1.53である。ポリウレタンの値はn=1.6である。
【0038】
図4Cの実施形態では、層100を存在させる必要はない。
【0039】
本発明のホログラフィック織物ラベルは、第1の織物片または織物シートの上に作製することができる。次いでこの織物は、個別のホログラフィック・ラベルに切断されて、その後別々の衣服または衣料品に取り付けられる。別法として、本発明のホログラフィック織物ラベルは、熱および圧力を使用して、完成した衣服、衣料品、またはそれらの一部分に直接付着させて、恒久的に接合された自律的なラベルを作製することができる。
【0040】
図5は、ホログラフィック・ラベルを示し、さらなるブランド付け、バッチング(batching)、番号付けのために、上部の中または上に印刷190を組み込む。印刷インクは、確実にかつ費用効果を高くするために、非常に限定的な領域で染色、着色、および/またはタグ付けすることができる。
【0041】
図6は、図5に開示したタイプに電波による個体識別(radio frequency identification:RFID)タグ400を加えたホログラフィック・ラベル300を示す。RFIDタグ400は、アンテナおよびCMOS集積回路を含む周知の受動タグであることが好ましい。ホログラフィック・ラベル300内にRFIDタグを挿入すると、さらに別の程度のセキュリティがラベルに追加される。
【0042】
一実施形態では、ホログラムの形成は、UV硬化性樹脂をキャリア上に堆積させてから光学反射層を微細構造表面上に堆積させることに限定されるものではない。ホログラムの形成はまた、透明のまたは金属化されたラッカー層をエンボス加工することでも行われる。完全に金属化された表面が脱金属化され、またはパターン金属化がホログラフィック・ラベルに組み込まれる。金属化層または脱金属化層は、次のように生成される。まず、ホログラム上に金属層が配置される。一実施形態では、金属層は、ホログラムの表面に堆積させた連続する層とすることができ、またホログラフィック・ラベルの可撓特性を低減させないように十分薄い。他方では、金属層は通常、裸眼で見えるように十分厚いことが望ましい。金属化層または脱金属化層は、次のように生成される。
【0043】
金属層は、厚さ約20から約2,000オングストローム(Å)であり、具体的には厚さ約50から約1,000Åであり、より具体的には厚さ約100から約500Åであり、より具体的には厚さ約150から約300Åである。金属層は、化学気相成長(CVD)、膨張熱プラズマ(ETP)、イオンめっき、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)、金属有機化学気相成長(MOCVD)(有機金属化学気相成長(OMCVD)とも呼ばれる)、金属有機気相エピタキシ(MOVPE)、スパッタリングなどの物理気相成長法、反応性電子ビーム(eビーム)蒸着、およびプラズマ溶射によって堆積させることができる。例示的な方法はCVDおよびPECVDである。
【0044】
金属層内で使用する金属の例には、銅、アルミニウム、クロムなど、または前述の金属の少なくとも1つを含む組合せがある。
【0045】
ホログラム上に金属を堆積させた後、金属層のうちホログラムに接触している表面に対向する表面にマスクが配置される。前述のように、マスクは、多層デバイス上で望まれる画像のポジ画像を有することが望ましい。一実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐える塗料、インク、またはワニスを含むことができる。塗料、インク、またはワニスは、印刷デバイスによって金属表面に塗布することができる。
【0046】
別の実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐える有機重合体を含むことができる。この実施形態では、まず、2つ以上の不混和性の重合体相によって生成されたパターン(ブロック共重合体によって生成されるものなど)をエッチングまたは分解にかけて、重合体相の1つを除去する。残りの相はパターンのポジ画像を形成し、次いでマスクとして使用することができる。そのようなパターンの例には、交互ブロック共重合体、ランダム・ブロック共重合体、星型ブロック共重合体などで利用可能なパターンがある。金属層内に、20から200Å程度のフィーチャが生成される。これらのフィーチャは、周期性であっても非周期性であってもよい。
【0047】
さらに別の実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐えるセラミックまたは金属を含むことができる。好ましい実施形態では、マスクは、エッチング工程に耐えるインクを含む。
【0048】
エッチング工程では、化学エッチング剤または放射ベースのエッチング剤を使用することができる。適切な化学エッチング剤の例には、pHが約8から約14の塩基性溶液がある。適切な塩基性溶液の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどを含む溶液、または前述の塩基性溶液の少なくとも1つを含む組合せがある。
【0049】
pHが7未満の酸性の溶液をエッチング剤として使用することもできる。例示的な実施形態では、酸でアルミニウム金属をエッチングすることができる。弱い硫酸を使用して、基板上に堆積させた銅層をエッチングすることができる。
【0050】
別の実施形態では、放射ベースのエッチング剤を使用することができる。例えば、イオン・ビームを使用して、金属層のうちマスクによって覆われていない部分を選択的にエッチングすることができる。エッチング工程によって金属層を部分的にまたは完全に除去して、非ホログラフィック画像を作製することができる。
【0051】
一実施形態では、金属化または脱金属化セキュリティ・デバイスを生成する一方法で、ホログラムは、アルミニウム金属で被覆される。この金属のうちホログラムに接触している表面に対向する表面に、所望の非ホログラフィック画像のポジ画像を含むマスクが配置される。マスクの堆積後、ホログラフィック・ラベルは、水酸化ナトリウムなどの塩基性溶液を含むトレイ内に配置される。
【0052】
塩基性溶液が金属化表面に塗布されると、実際には直ちにエッチング作用が現れるが、溶液に接触するこれらの領域で化学反応が完了するように、特定の時間、溶液を金属化表面に接触させたままにすることが望ましいであろう。
【0053】
溶液の酸化作用を止めるために、金属化表面を弱い酸および/または水(好ましくは、再利用されていないもの)で洗うことができる。例えば、金属化表面(事前に印刷済み)を洗浄領域に通すことができる。この洗浄領域では、弱い酸で洗うことによって、残りの水酸化ナトリウムおよび酸化金属(すなわち、酸化アルミニウム)を除去することができる。例示的な実施形態では、金属化表面の印刷された領域全体を水で濡らす。例えば、微細な散水器を使用して、印刷された領域全体をカバーすることができる。洗浄工程をより効率的なものとするために、そして化学工程の残留物を完全に除去するために、毎回清水を使用して、洗浄を1回または複数回繰り返すことができる。
【0054】
多層デバイスが乾燥ステーションに入る前に、残っている残留水の蒸発を容易にするために、金属化表面から余分な水を除去することが望ましいであろう。水を除去するために、1対のローラ(例えば、1つがゴム製であり、もう1つが金属製である)、空気清浄器、スポンジ、および/または空気散布器を使用することが勧められる。最後に、金属化デバイスを乾燥ユニットに通して、熱乾燥(例えば、電気抵抗加熱を使用する)を行い、水を材料から完全に除去する。
【0055】
一実施形態では、光学的に透過性の保護層(図示せず)がホログラム上に配置される。光学的に透過性の保護層は通常、有機重合体を含む。光学的に透過性の保護層内で使用される有機重合体は、多種多様な熱可塑性重合体、熱可塑性重合体の混合物、熱硬化性重合体、または熱可塑性重合体と熱硬化性重合体の混合物から選択することができる。有機重合体はまた、重合体、共重合体、3元重合体、または前述の有機重合体の少なくとも1つを含む組合せの混合物とすることができる。有機重合体はまた、オリゴマー、単独重合体、共重合体、ブロック共重合体、交互ブロック共重合体、ランダム重合体、ランダム共重合体、ランダム・ブロック共重合体、グラフト共重合体、星型ブロック共重合体、デンドリマーなど、または前述の有機重合体の少なくとも1つを含む組合せとすることができる。一実施形態では、通常、光学的に透過性の保護層内で使用される有機重合体が、紫外放射に対して透過性を有することが望ましい。別の実施形態では、光学的に透過性の保護層内で使用される有機重合体が、紫外光に対して透過性をもたないことが望ましい。
【0056】
有機重合体の例には、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリアクリル酸(polyacrylics)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン・サルファイド、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテル・ケトン・ケトン、ポリアセタール、ポリビニル・エーテル、ポリビニル・チオエーテル、ポリビニル・アルコール、ポリビニル・ケトン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニル・ニトリル、ポリビニル・エステル、ポリスルホネート、ポリサルファイド、ポリチオエステル、ポリスルホン、ポリスルホンアミド、ポリエチレン・テレフタレート、ポリブチレン・テレフタレート、ポリウレタン、エチレン・プロピレン・ジエン・ゴム(EPR)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン・プロピレン、フルオロアルコキシエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど、または前述の有機重合体の少なくとも1つを含む組合せがある。
【0057】
熱硬化性重合体の例には、ポリウレタン、天然ゴム、フェノール、ポリエステル、ポリアミド、シリコーンなど、または前述の熱硬化性重合体の少なくとも1つを含む組合せが含まれる。熱硬化性重合体の混合物、ならびに熱可塑性重合体と熱硬化性重合体の混合物を利用することができる。光学的に透過性の保護層として使用できる例示的な有機重合体には、紫外放射に対して透過性のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、またはポリエステルがある。
【0058】
光学的に透過性の保護層は、約30%以上、具体的には約50%以上、より具体的には約70%以上、さらに具体的には約90%以上の光学透過率を有することが望ましい。
【0059】
したがって本発明は、衣料品に恒久的に取り付けることができる耐久性のあるホログラフィック織物ラベルを提供する。そのような改善されたホログラフィック・ラベルを作製することによって、いくつかのレベルで価値が実現される。すなわちこのラベルは、耐久性があり、本質的に複製し難く、かつ視覚的に魅力的である。本発明は、独立型のホログラフィック・デバイスとして衣料品に適用することができ、または、普通なら実利的な製造業者の仕様ラベルに使用される空間を使用することができる。この後者の実施形態では、耐久性のあるホログラフィック・ラベルはさらに、情報を伝達するデバイスとして働く。したがって本発明は、並外れた耐久性のホログラフィック・ラベルを作製して価値のある品物に恒久的に取り付ける改善された新規な方法を提供する。本発明はさらに、衣料品に直接取り付けるのに特に適した改善されたホログラフィック・ラベルを提供し、またそのようなラベルを費用効果の高い形で複製しかつ取り付ける製造方法を提供する。さらに、本発明は、構成要素膜の層の厚さを慎重に選択することによって幅広い範囲の光沢値を可能にするラベル表面を提供する。
【0060】
ホログラフィック・ラベルを単にラベルとして使用する必要はない。ホログラフィック・ラベルは、幅広い織物、すなわち衣服、ハンドバッグ、特製品などで使用できる大きく平らな形にすることができる。ホログラフィック・ラベルはまた、広告材料または装飾材料として使用することもできる。
【0061】
本発明および本発明の利点について詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲に規定の本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換え、および改変を加えることができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書中に記載の工程、機械、製造、ならびに組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されるものではない。本発明の開示から当業者には容易に理解されるように、本発明によれば、本明細書に記載の対応する実施形態と実質上同じ機能を実行しまたは実質上同じ結果を実現する、現在存在しまたは将来開発される工程、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのような工程、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを含むものとする。
【符号の説明】
【0062】
10 ホログラフィック素子
100 接着膜ベース基板、層、キャリア、キャリア層
110 透過性のオリゴマー樹脂層、ホログラフィック層、ホログラム層、放射硬化性層
120 ホログラフィック微細構造パターン、ネガパターン、ホログラフィック素子
121 反射材料層、金属表面
130 ホログラフィック・スタンピング工具、ホログラフィック複写工具
160 レジスト
170 熱接着層、熱可塑性接着剤、熱可塑性膜のベース基板
180 熱可塑性接着剤
190 印刷
200 ベース織物
300 ホログラフィック・ラベル
400 電波による個体識別(RFID)タグ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折格子パターンを有する第1の層と、
前記回折格子パターンを有する前記第1の層の領域に直接接触し、前記領域と符合し、かつ前記領域に接合される熱接着性の第2の層と、
前記回折格子パターンの少なくとも一部分と符合するように、また前記第1および第2の層によって封じ込められるように、前記第1および第2の層間に挟まれて前記第1および第2の層に接触する反射層と
を含む、セキュリティ・ラベル。
【請求項2】
前記第1および第2の層間の前記接合が、前記反射層と前記第1および第2の層のいずれかとの間の接合より強い、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項3】
前記第1の層が放射硬化性材料である、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項4】
前記回折格子パターンがホログラムであり、また前記第1の層が実質上光透過性である、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項5】
前記反射層が、前記第1および第2の層によって封じ込められる反射材料の領域を有するパターン層であり、また前記第1の層の外側を向いている面が平面であり、前記第2の層の外側を向いている面が平面であり、また前記第1および第2の層の内側を向いている面の少なくともある領域が、平面ではなく前記回折格子パターンの形をとる、請求項3に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項6】
前記第1の層を支持するために、UV光に対して実質上透過性の重合体ベースのキャリアを含み、また前記熱接着性の第2の層が、織物に取り付けるのに適した熱可塑性の層である、請求項5に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項7】
前記回折格子パターンを有する第1の層が、オリゴマー樹脂からなる、請求項5に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項8】
前記反射性のパターン層が文字またはロゴの形である、請求項5に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項9】
前記重合体ベースのキャリアが、ポリ(メチル・メタクリレート)、ポリ(ブチル・メタクリレート)、シリコーン、ポリ(メチルペンテン)、オレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリ(スチレン)、水素化ポリ(スチレン)、ポリ(パラキシリレン)、ポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエステル共重合体、およびポリエステル、ならびにこれらの混合物のうちの1つからなる層である、請求項6に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項10】
前記熱可塑性の接着層が、ポリアミド、ポリウレタン、またはポリエステルを含む、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項11】
前記熱可塑性の接着層の厚さが、約0.5〜7.0ミル間である、請求項10に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項12】
前記ラベルが布地層内に部分的に埋め込まれるように、前記熱可塑性の接着層が、熱および圧力の下で前記布地層に接合される、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項13】
前記層のうちの1つの中または上に変色性顔料を含む、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項14】
隠れたタゲント(taggent)を含む、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項15】
前記ラベルの中または上にRFIDを含む、請求項16に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項16】
衣服、ハンドバッグ、セキュリティ密閉容器、衣類、靴、または特製品に取り付ける、請求項1に記載のセキュリティ・ラベルの使用。
【請求項17】
前記ホログラムが前記第1の層内にエンボス加工される、請求項4に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項18】
回折構造を有する第1の層と、
ホログラムを有する前記第1の層の領域に直接接触し、前記領域に接合され、かつ前記領域と符合する熱接着性の第2の層とを含み、
前記第1の層と前記熱接着層の境界面から回折する光から可視の回折効果が見られるように、前記第1の層と前記熱接着層が屈折率差n>0.1を有する、セキュリティ・ラベル。
【請求項19】
前記第1の層と前記第2の層の間に配置されて前記第1の層および前記第2の層によって封じ込められる反射層をさらに含む、請求項18に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項1】
回折格子パターンを有する第1の層と、
前記回折格子パターンを有する前記第1の層の領域に直接接触し、前記領域と符合し、かつ前記領域に接合される熱接着性の第2の層と、
前記回折格子パターンの少なくとも一部分と符合するように、また前記第1および第2の層によって封じ込められるように、前記第1および第2の層間に挟まれて前記第1および第2の層に接触する反射層と
を含む、セキュリティ・ラベル。
【請求項2】
前記第1および第2の層間の前記接合が、前記反射層と前記第1および第2の層のいずれかとの間の接合より強い、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項3】
前記第1の層が放射硬化性材料である、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項4】
前記回折格子パターンがホログラムであり、また前記第1の層が実質上光透過性である、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項5】
前記反射層が、前記第1および第2の層によって封じ込められる反射材料の領域を有するパターン層であり、また前記第1の層の外側を向いている面が平面であり、前記第2の層の外側を向いている面が平面であり、また前記第1および第2の層の内側を向いている面の少なくともある領域が、平面ではなく前記回折格子パターンの形をとる、請求項3に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項6】
前記第1の層を支持するために、UV光に対して実質上透過性の重合体ベースのキャリアを含み、また前記熱接着性の第2の層が、織物に取り付けるのに適した熱可塑性の層である、請求項5に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項7】
前記回折格子パターンを有する第1の層が、オリゴマー樹脂からなる、請求項5に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項8】
前記反射性のパターン層が文字またはロゴの形である、請求項5に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項9】
前記重合体ベースのキャリアが、ポリ(メチル・メタクリレート)、ポリ(ブチル・メタクリレート)、シリコーン、ポリ(メチルペンテン)、オレフィン共重合体、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリ(スチレン)、水素化ポリ(スチレン)、ポリ(パラキシリレン)、ポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエステル共重合体、およびポリエステル、ならびにこれらの混合物のうちの1つからなる層である、請求項6に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項10】
前記熱可塑性の接着層が、ポリアミド、ポリウレタン、またはポリエステルを含む、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項11】
前記熱可塑性の接着層の厚さが、約0.5〜7.0ミル間である、請求項10に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項12】
前記ラベルが布地層内に部分的に埋め込まれるように、前記熱可塑性の接着層が、熱および圧力の下で前記布地層に接合される、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項13】
前記層のうちの1つの中または上に変色性顔料を含む、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項14】
隠れたタゲント(taggent)を含む、請求項1に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項15】
前記ラベルの中または上にRFIDを含む、請求項16に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項16】
衣服、ハンドバッグ、セキュリティ密閉容器、衣類、靴、または特製品に取り付ける、請求項1に記載のセキュリティ・ラベルの使用。
【請求項17】
前記ホログラムが前記第1の層内にエンボス加工される、請求項4に記載のセキュリティ・ラベル。
【請求項18】
回折構造を有する第1の層と、
ホログラムを有する前記第1の層の領域に直接接触し、前記領域に接合され、かつ前記領域と符合する熱接着性の第2の層とを含み、
前記第1の層と前記熱接着層の境界面から回折する光から可視の回折効果が見られるように、前記第1の層と前記熱接着層が屈折率差n>0.1を有する、セキュリティ・ラベル。
【請求項19】
前記第1の層と前記第2の層の間に配置されて前記第1の層および前記第2の層によって封じ込められる反射層をさらに含む、請求項18に記載のセキュリティ・ラベル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−191428(P2010−191428A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31421(P2010−31421)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】430 N. McCarthy Boulevard, Milpitas, California, 95035, USA
【Fターム(参考)】
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