説明

可逆圧電ロータリーモータに基づくバルブ

栓を備えたバルブ本体と、そのバルブ本体と連結して、回転軸の周囲にその回転可能な栓を回転させる様に作動する駆動部本体を備えた圧電バルブが提供される。その回転軸に沿って配置され、前記栓と静的に連結すると共に、前記駆動部本体と回転可能に連結するシャフトを前記駆動部本体は備える。前記軸の周囲に配置され、前記駆動部本体に回転可能に連結するロータアセンブリもまた前記駆動部本体は備える。前記軸の周囲に配置されて前記駆動部本体に静的に連結しており、前記ロータアセンブリの内表面に摩擦係合する様に構成された第1の圧電アクチュエータを前記駆動部本体はさらに備える。加えて、前記軸の周囲に配置されて前記シャフトに静的に連結しており、前記ロータアセンブリの内表面に摩擦係合する様に構成された第2の圧電アクチュエータを前記駆動部本体はさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年12月16日に「高トルクの圧電モータ」という表題で出願された米国出願第12/639,232号の利益と、2009年2月6日に「可逆圧電ロータリーモータに基づくバルブ」という表題で出願された米国出願第61/150,703号の利益を請求する出願である。
【0002】
本発明は、モータ作動式バルブに関し、特に可逆圧電ロータリーモータに基づくモータ作動式バルブに関する。
【背景技術】
【0003】
圧電アクチュエータを備えたバルブが提案されている。例えば、いくつかの設計では増幅機構付き圧電アクチュエータ(APA)を含む。APAを基にしたバルブでは、圧電素子の動作を機械的に増幅させるために、弾力性のある増幅素子がその圧電素子と連結している。これらの種類のバルブのデメリットは、一般的にその増幅機構を用いても数百ミクロンのオーダーの動作範囲にそれらが制限されることにある。したがって流量の調節は制限され、そのためバルブは正確には調節できない。結果として従来のAPAバルブは、一般的に2つの位置である、開位置と閉位置しか提供しない。他の従来の設計では、流体の流れを管理するための圧電素子を含む。この様な設計では、バルブ本体を通った液体の流れを管理するための2つの開口部から選択するために、圧電素子は直接的または間接的に使用される。作動中では電圧が印加されたとき、圧電素子により供給される動作が1つのポートを塞ぎ他方を開放する。この様なバルブは制御可能だが、圧電素子で利用できる動作は小さい範囲であるため、ポートを通って流れる流体の量を直接制御することに利用することができない。むしろ一般的に、この様な圧電素子で制御されたバルブは、空気圧のアクチュエータと併用して使用され、その空気のアクチュエータが選択されたポートを通って流れる流体の量を制御する。
【0004】
他の従来の圧電バルブの設計では、一方向性の圧電モータにより制御されたバルブのステム(stem)を含む。この様なバルブの設計は、様々な流体の流れを直接調整し、もしくは排出した領域(evacuated area)を分離することができる。さらにこの様なバルブの設計は、流量制御の広い制御範囲、高い精度と分解能(resolution)、そして線形制御特性を提供する。しかしながらバルブの一方向性の特質が、バルブの機能的な制御特性を制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の形態は可逆圧電バルブを説明する。本発明の第1形態では、可逆圧電バルブが提供される。その圧電バルブは、回転可能な栓を備えたバルブ本体と、そのバルブ本体に連結し、回転軸の周囲に前記回転可能な栓を回転させる様に作動する駆動部本体を備える。その回転軸に沿って配置され、前記栓と静的に連結すると共に、前記駆動部本体と回転可能に連結するシャフトを前記駆動部本体は備える。前記回転軸の周囲に配置され、前記駆動部本体に回転可能に連結するロータアセンブリもまた前記駆動部本体は備える。前記回転軸の周囲に配置されて前記駆動部本体に静的に連結しており、前記ロータアセンブリの内表面に摩擦係合する様に構成された第1の環状圧電アクチュエータを前記駆動部本体はさらに備える。加えて、前記回転軸の周囲に配置され、前記シャフトに静的に連結しており、前記ロータアセンブリの内表面に摩擦係合する様に構成された第2の環状の圧電アクチュエータを前記駆動部本体はさらに備える。
【0006】
本発明の第2形態では、可逆圧電バルブが提供される。少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口、そして回転栓を備えたバルブ本体をそのバルブは備える。シャフトを介して前記回転栓に運動学的に接続され、可逆圧電モータを備える回転駆動部もまたそのバルブは備える。前記本体に対して固定された第1の環状の圧電共振子と、音響的に前記第1の圧電共振子と連結しており1つ以上の第1の可撓性のプッシャーを備える第1の相補的なジェネレータと、そして前記第1の圧電共振子に対して同軸に取り付けられ、前記第1の可撓性のプッシャーと摩擦接触して取り付けられる第1のロータと、を前記可逆圧電モータは備える。前記シャフトを介して前記回転栓と静的に連結する第2の環状の圧電共振子と、第2の圧電共振子と音響的に連結しており1つ以上の第2の可撓性のプッシャーを備える第2の相補的なジェネレータと、前記第2の圧電共振子に対して同軸に取り付けられ、前記第2の可撓性のプッシャーと摩擦接触して取り付けられ、防音ガスケットを介して前記第1のロータと静的に連結する第2のロータと、を前記駆動部本体はまた備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一具体例に従う、バルブ栓体の方向を変えるための可逆圧電モータを含んだ、典型的なボール型の圧電バルブである。
【図2】本発明の一具体例に従う、可逆圧電モータを含んだ、第1の典型的なつまみ型(pinch-type)の圧電バルブである。
【図3】本発明の一具体例に従う、可逆圧電モータを含んだ、第2の典型的なつまみ型の圧電バルブである。
【図4A】本発明の一具体例に従う環状の圧電モータの上からの見下ろし図である。
【図4B】本発明の一具体例に従う環状の圧電モータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付した図に関連して本発明は説明され、ここで同様の引用された数字は、等価又は同等の要素を指定するために図中に用いられる。この図は寸法通りには描かれておらず、単にこの発明を説明するためだけに提供される。説明のための各実施例に関連して、本発明のいくつかの態様が以下に説明する。数々の具体的な詳細、関係、方法は、本発明の十分な理解を提供するために説明されることを理解されるべきである。関連する当業者は、しかしながら、この発明が具体的な詳細の一つもしくはいくつかを用いることなく、または他の方法を用いて実施され得るとすぐに分かるだろう。他の例で、本発明を分かりにくくすることを避けるため、よく知られた構造または作用は詳細には示されていない。本願発明は作用や事象の説明された順序付けに制限されず、作用の中には異なる順序及び/又は他の作用や事象と共に発生するものがあるかもしれない。さらに、すべての説明された作用や事象が、本願発明に従った手順で実施されなければならないとは限らない。
【0009】
本発明の様々な具体例は、圧電モータ作動式バルブを提供する。特に、本発明の様々な具体例に従ったバルブは、そのバルブのステムの可逆回転を提供するために構成される。この新しいバルブの設計は、図1から図4に関して以下に説明されるだろう。
【0010】
図1は本発明の一具体例に従う、バルブ栓体の方向を変えるための可逆圧電モータを含んだ圧電バルブの一例を示している。図1の圧電バルブ100は、バルブ100をパイプラインシステム(図示せず)に接続するための少なくとも1つの入口2、少なくとも1つの出口3、及び流体の流れを調節するための回転可能な回転栓4を有する本体1を備える。またバルブ1は回転駆動部本体6を含んでおり、この回転駆動部本体6は運動学的に回転栓4を回転駆動部本体6に接続し回転軸24を定義するシャフト5を含んでいる。
【0011】
本発明の様々な具体例では、回転駆動部本体6は可逆の圧電モータである。回転駆動部本体6は、放射状の音響定常波をその場所に励起させる構成の第1の環状圧電共振子7を含む。第1の共振子7はバルブ100の本体1に対して固定され、回転軸24の周囲に配置される。さらに、第1の共振子7を外部コントローラ/電気的励起源28に接続するための1つ以上の電極と配線(図示せず)を第1の共振子7は備えることができる。回転駆動部本体6もまた、音響学的に第1の共振子7と連結している機械的振動の第1の相補的なジェネレータ(complementary generator)8を含む。例えば図1に示される様に、第1の相補的なジェネレータは第1の共振子7の外周縁の周囲で、弾性波シェル(elastic wave shell)もしくはリング状の形態とすることができる。他の具体例では、第1の相補的なジェネレータ8は、第1の圧電共振子7の平坦面と音響学的に連結しているディスク(図1に図示せず)の形態とすることができる。図1に示される様に第1の相補的なジェネレータ8は、回転軸24に対して少なくても放射状に外側に向かって伸びている1つ以上の可撓性のプッシャー9と適合されることができる。その結果、構成要素7,8,及び9は第1の放射状の圧電アクチュエータ25を提供する。回転駆動部本体6はさらに、第1のロータ10を含むことができる。第1のロータ10は第1の圧電共振子7に対して同軸上に取り付けられ(すなわち回転軸24の周囲で、第1の共振子7の外周縁を取り囲んでいる)、可撓性のプッシャー9と摩擦接触する。
【0012】
回転駆動部本体6はさらに、放射状の音響定常波をその中に励起させる構成の第2の環状圧電共振子13を含む。第2の共振子13はシャフト5を通して、回転栓4と静的にリンクすることができる。さらに、第2の共振子13を外部コントローラ/電気的励起源28に接続するための1つ以上の電極と配線(図示せず)を第2の共振子13は備えることができる。第1の共振子7と同様に、第2の共振子13は弾性的なリングもしくはディスクの形態の機械的振動の第2の相補的なジェネレータ14を連結させて備えることができる。第2の補助的なジェネレータ14もまた、音響学的に第2の共振子13と連結することができ、1つ以上のプッシャー15と適合されることができる。その結果、構成要素13,14,及び15は第2の放射状の圧電アクチュエータ26を提供する。回転駆動部本体6はさらに第2のロータ11を含むことができる。第2のロータ10は第2の圧電共振子13に対して同軸上に取り付けられ、可撓性のプッシャー15と摩擦接触する。ロータ10,11は防音ガスケット12を通して静的に接続され、回転可能なロータアセンブリ27を提供する。
【0013】
図1では、共振子7と共振子13は単独のコントローラ28により励起される様に説明される。しかしながら、本発明の様々な具体例はこの点において制限されない。それどころか、共振子7や共振子13を個々に励起させることが可能な1つ以上の構成要素からなるあらゆるシステムを、本発明の様々な具体例に用いることができる。
【0014】
本発明のいくつかの具体例では、圧電チタン酸ジルゴン酸鉛ストロンチウム(lead-zirconate-titanate-strontium)セラミック(PZT)材料から選択された圧電セラミックから、共振子7や共振子13を構成することができる。しかしながら、本発明はPZT材質の使用に制限されない。本発明の他の具体例では、圧電の材料の他の種類を利用できる。
【0015】
図1に示す典型的な具体例では、各弾性プッシャー9,15はお互いに等しい公称の角距離で、共振子7,13の外周に沿ってそれぞれ配置されるように相補的なジェネレータ8,14は構成される。いくつかの具体例では、相補的なジェネレータ8,14は、圧電共振子7,13の外周の周囲にそれぞれしっかり適合されたリングのシェル(ring shells)状であることができる。そのとき、各リングシェルのそれぞれの外部表面に、弾性プッシャー9,15が取り付けられる。相補的なジェネレータが可撓性のディスクを含む具体例では、この様なディスクは、その平面を横切って圧電共振子7,13と音響的に連結する、偏平な円形ディスク形状とすることができる。その後で、弾性的なプッシャー9,15をディスクの外部円筒表面に取り付けることができる。
【0016】
本発明のいくつかの具体例では、第2の圧電共振子13もしくはシャフト5は角度位置16のマーカーを少なくとも1つ備えられることができる。この様な具体例では、そのときバルブの位置は、バルブの本体に取り付けられる少なくとも1つのセンサ17を使用して検知されることができる。センサ17はさらに、コントローラ28もしくは、シャフト5または他の制御バルブ100の位置を制御するための他の制御素子と連結されていることができる。図1のバルブでそれぞれの特定されたマーカーは光ディスクのラスター(raster)からなる光回折格子の形態とすることができ、それぞれの特定されたセンサは光と電気の対(opto-electrical pair)として作成される。しかしながら、本発明の様々な具体例はこの点において制限されず、マーキングやバルブの位置の検知の別の方法を使用できる。
【0017】
図1に示す様に、回転栓4は球体として形成されることができる。しかしながら、本発明の様々な具体例はこの点において制限されず、入口2と出口3の間のバルブ本体1の対応する鞍状部18内に載置するために、貫通口を備え円錐状またはシリンダー状に形成された栓を構成することもできる。
【0018】
圧電アクチュエータ25と圧電アクチュエータ26は、環状あるいはリング型の圧電共振子の内部で放射状に超音波定常波が励起する励起する根幹に作用する。前に説明した様に、振動するシェルもしくは他の相補的なジェネレータ8,14を介して、プッシャー9,15は圧電共振子7,13にそれぞれ取り付けられる。プッシャー9やプッシャー15は、回転軸から通常の半径方向に最初に伸び、ロータアセンブリ27の一部に物理的に接触して配置される。さらにプッシャー9やプッシャー15はまた、回転軸27の周囲の回転方向に少なくとも一部分が伸びて配置される。例えば図1に示す様に、ロータ10の方へ半径方向に伸び、回転軸24の周囲の回転方向に伸びるカンチレバー型のばねをプッシャー9は含む。同様に、ロータ11の方へ半径方向に伸び、回転軸24の周囲の回転方向に伸びるカンチレバー型のばねをプッシャー10は含む。
【0019】
その結果、バルブ100を軸24の周囲で反時計方向に操作するために、コントローラ28は第1の圧電共振子7を単独で励起する様に設定される。第2の共振子13が励起していない結果として、プッシャー15はロータアセンブリ27に対して一定の摩擦力を印加し、ロータアセンブリ27に対して固定された第2の共振子13が保持するだろう。したがって、ロータアセンブリ27、第2の共振子13、及びシャフト5は単一ユニットとして回転するだろう。しかしながら、第1の共振子7の励起は、ロータアセンブリ27のロータ10の方へ向かう放射状の動作を、プッシャー9にもたらすだろう。その結果、プッシャー9は変形し、ロータ10に対して摩擦接触を通して復元力を印加し始める。プッシャー9の一部もまた回転方向に沿って伸びるので、プッシャー9の復元力は軸24の周囲で反時計方向に優先的に印加される。プッシャー9の十分な変形が発生すると、変形したプッシャー9の集まった復元力が十分に大きくなってロータアセンブリ27、第2の共振子13、そしてシャフト5の所定の位置に保持しているあらゆる摩擦力を乗り越えると、ロータアセンブリ27、第2の共振子13、そしてシャフト5は軸27の周囲で反時計回りに回転し始めるだろう。プッシャー9がロータ10から離れて放射状に動くとき、プッシャー9は変形しないでロータ10に対して力を印加するのを止める。その後、この処理はロータアセンブリ27、第2の共振子13、そしてシャフト5の反時計回りの回転を持続させるために繰り返されることができる。
【0020】
バルブ100を時計方向に操作するために、コントローラ28は第2の圧電共振子13を単独で励起する様に設定される。第1の共振子7が励起していない結果として、プッシャー9はロータアセンブリ27に対して一定の摩擦力を印加し、固定位置に保持するだろう。したがって、ロータアセンブリ27は回転することを防がれるだろう。しかしながら、第2の共振子13の励起は、ロータアセンブリ27のロータ11の方へ向かう放射状の動作を、プッシャー15にもたらすだろう。その結果、プッシャー15は変形し、ロータ11に対して摩擦接触を通して復元力を印加し始める。プッシャー15の一部もまた軸27の周囲で反時計回りに沿って伸びるので、プッシャー15の復元力は軸24の周囲で反時計方向に優先的に印加される。プッシャー15の十分な変形が発生し、変形したプッシャー15の集まった復元力が十分に大きくなって第2の共振子13、そしてシャフト5の所定の位置に保持しているあらゆる摩擦力を乗り越えると、第2の共振子13、そしてシャフト5は軸27の周囲で時計回りに回転し始めるだろう。プッシャー15がロータ11から離れて放射状に動くとき、プッシャー13は変形しないでロータ11に対して力を印加するのを止める。その後、この処理は第2の共振子13及びシャフト5の時計回りの回転を持続させるために繰り返されることができる。
【0021】
前に説明した様に本発明の様々な具体例は、単にボール状の栓を含んだバルブに制限されない。それどころか、2〜3例を挙げるとゲートバルブ、球体弁、ピンチ弁、ダイヤフラム弁、ニードル弁、プラグ弁、ボールバルブ、バタフライ弁を含んだあらゆる型のバルブを利用できる。例えば、どの様に図1の圧電モータを本発明の具体例に従うピンチ型のバルブの操作に利用できるかを、図2と図3が示す。
【0022】
図2は本発明の一具体例に従う可逆圧電モータを含んでいる、第1の典型的なピンチ型の圧電バルブ200を示す。図2のシャフト5に対する可逆モータは、図1で説明されたものと実質的に同じである。したがって、その場所の説明は図2の操作を説明するためには十分であるだろう。図2の圧電バルブ200で、回転栓はシャフト5の終端に堅く取り付けられる一方で、シリンダー19の曲線状の表面は弾性チューブ20に接触している、偏心回転可能なシリンダー19の形態とすることができる。例えば、チューブ20はシリコーン製あるいはゴム製のチューブを含むことができる。しかしながら、本発明の様々な具体例はこの点において制限されず、弾力性のある材料の他の種類もまた利用できる。図2に示す様に、弾性チューブ20の両端はバルブ200の入口2と出口3に接続され、チューブ20はバルブ本体1の鞍状部18に載置する。動作時にシャフト5を回転させると、シリンダー19が弾性チューブ20を押圧し、弾性チューブ20の内径開口の寸法を調節することで、そのバルブを通る流量を調節する。
【0023】
図3は本発明の一具体例に従ったバルブつまみを回転させるための可逆圧電モータを含んでいる、第2の典型的なピンチ型の圧電バルブ300を示す。図3のシャフト5に対する可逆モータは、図1で説明されたものと実質的に同じである。したがって、その場所の説明は図3の操作を説明するためには十分であるだろう。図3の圧電バルブで、回転栓は直線状のガイド22を備えたピストンの形状に作成されることができ、シャフト5は「ボルトとねじ穴」の一対("bolt-threaded hole” pair)を介してピストン21につなげられる。バルブ300でピストン21の平坦な側は、バルブ本体1の鞍上部18に載置し入口2と出口3に取り付けられた弾性チューブ20に接触してある。
【0024】
図3の圧電バルブはスクリュー式の駆動部を含むことができる。この様な構成で、図3のシャフト5の終端はねじ穴を備え、そのねじ穴はピストン21の終端で対応するねじ23と連結している。本体1内でのピストン21の回転を防ぐためにピストン21と機械的に連結している保持装置22により、ピストン21の回転は防がれる。作動中では、図1に関して前に説明した様に、回転駆動部本体6を使用してシャフト5は回転される。シャフト5の回転はねじ23の線形位置をシャフト5内で移動させ、その結果生じた線形移動がピストン21を移動させ、回転方向に応じてピストン21を上下に移動させる。代わりに、ピストン21の終端はねじ穴を備えることもできる。この様な具体例では、シャフト5の回転はねじ23の線形位置をピストン21内で移動させ、その結果生じた線形移動がピストン21を移動させ、回転方向に応じてピストン21を上下に移動させる。
【0025】
本発明のいくつかの具体例では、高速なバルブの開閉を提供するために、可逆圧電モータは高トルクを必要とする可能性がある。増加されたトルクを備えた圧電モータは、モータ設計のパラメータを改善し、同時にQ値(Q factor)のあらゆる減少の望ましくない影響を除外することで提供されることができる。これは、ロータ及びそれに関連付けられた環状の圧電ジェネレータの直径を増加させ、さらに異なる励起振動数に切り替えて環状の圧電共振子の環幅を横切る第1次の縦振動モードを励起することで達成される。すなわち、圧電共振子の環幅を半径方向に横切った第1次の縦モードの振動を励起するために、印加電圧の動作周波数が選択される。特に、励起電圧の動作周波数(F)が以下の方程式により記述できることを、本願発明者は見出している:
【0026】
【数1】

【0027】
ここでcpは環状の圧電共振子材料における音波の伝播速度、hは環状の圧電共振子の環幅である(すなわち図4Aや図4Bに示される様に、h=Rp−rpである。ここでRpは圧電共振子の外面半径、rpは圧電共振子の内面半径である)。
【0028】
本発明の様々な具体例では、少なくとも内面半径(rp)の2倍の外面半径(Rp)を備え(すなわち、Rp>2rp)、そして少なくとも圧電共振子の厚さ(H)の2倍の環幅(h)を備える(すなわち、h>2H)様に圧電バルブの圧電共振子を構成することにより、第1次振動の縦モードの励起を得ることができる。したがって、cp/2(Rp−rp)と等しい周波数(FrP)を備えた交流電圧を利用して励起されたとき、ウェーブシェル(wave shell)は操作可能になり、圧電共振子の半径方向の振動をプッシャーへ効率よく伝達し、環状の圧電素子を含む従来の圧電モータに見られるトルク量より著しく高いトルク量を備えて回転軸の周囲で対応したロータの回転動作をもたらす。その上、その圧電共振子はその平坦な終端の表面に垂直に分極される(polarized)ことができ、さらにその電極はこれらの平坦な終端の表面に取り付けられることができる。したがって、圧電共振子と(cpを特定する)圧電材料の、Rp>2rpとh>2Hという関係に基づいて、特定の励起電圧振動数での環状の圧電共振子の寸法が選択される。
【0029】
本発明の様々な具体例が前に説明されている間、それらは単に例として提示されているだけで、それに制限されないことを理解されるべきである。本発明の精神や範囲から逸脱することなくここの開示に従って、開示された具体例の数々の変形が作成され得る。したがって、本発明の広さや範囲は、前に説明したいかなる具体例によっても制限されないこととすべきである。むしろ本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲やそれに相当するものに従って定義されるべきである。
【0030】
1つまたはそれ以上の実施に関して解説及び説明しているが、この明細書や付属する図面を読んで理解できる他の当業者は相当する変更や修正箇所に気がつくだろう。さらに、本発明の特定の特性が単にいくつかの実施の一つに関してだけ説明されているかもしれない一方で、あらゆる所定の又は特定の応用のために要求される様に及び好都合な様に、他の実施の他の一つ又はそれ以上の特性にこのような特性が組み合わされるかもしれない。
【0031】
ここで使用された技術は特定の具体例のみで説明する目的であり、本発明を制限する意図はない。次の用語、単数形の“a”、“an”、及び“the”は、特に文脈で明確な指示がない場合は複数形も同様に含むことを意図する。さらに、用語“including”、“includes”、“having”、“has”、“with”又はそれに関した色々なものが詳細な説明及び/又は特許請求の範囲で使用されるという点で、この様な用語は用語“comprising”と同様の方法を含めたことを意図する。
【0032】
特に指示がない場合、ここで使用される全ての用語(技術的、科学的用語も含む)は、この発明が属する当業者によって一般に理解されている様に同じ意味を持っている。例えば一般に辞書を使用して定義される様な用語は、技術に関係のある文脈のこれらの意味と一致する意味を持っていることとして解釈されるべきであり、ここで明確に定義されない場合は理想的もしくは過度に正式な意味で解釈される意志はない。
【符号の説明】
【0033】
1 本体
4 回転栓
5 シャフト
6 回転駆動部本体
24 回転軸
25 第1の圧電アクチュエータ
26 第2の圧電アクチュエータ
27 ロータアセンブリ
100 圧電バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な栓を備えたバルブ本体と、
前記バルブ本体に連結し、回転軸の周囲に前記回転可能な栓を回転させる様に作動する駆動部本体と、を備え、
前記駆動部本体は、
前記回転軸に沿って配置され、前記栓と静的に連結すると共に、前記駆動部本体と回転可能に連結するシャフトと、
前記回転軸の周囲に配置され、前記駆動部本体に回転可能に連結するロータアセンブリと、
前記回転軸の周囲に配置されて前記駆動部本体に静的に連結しており、前記ロータアセンブリの内表面に摩擦係合する様に構成された第1の放射状圧電アクチュエータと、
前記回転軸の周囲に配置されて前記シャフトに静的に連結していて、前記ロータアセンブリの内表面に摩擦係合する様に構成された第2の放射状圧電アクチュエータと、をさらに備えることを特徴とする圧電バルブ。
【請求項2】
前記第1あるいは前記第2の放射状圧電アクチュエータの1つに放射状の音響定常波を単独で励起する様に構成された制御システムをさらに備え、
前記第1の放射状圧電アクチュエータにおける前記音響定常波の前記励起が前記栓を第1の方向に回転させ、
前記第2の放射状圧電アクチュエータにおける前記音響定常波の前記励起が前記栓を前記第1の方向とは反対方向の第2の方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載の圧電バルブ。
【請求項3】
前記第1の放射状圧電アクチュエータと前記第2の放射状圧電アクチュエータのそれぞれは、
環状の圧電共振子と、
前記圧電共振子と音響的に連結する相補的なジェネレータと、
前記相補的なジェネレータから機械的に延伸し、前記回転軸に関して少なくとも放射状に延伸し、前記ロータアセンブリの前記内表面に摩擦接触している1つ以上の第1の可撓性プッシャーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電バルブ。
【請求項4】
前記環状の圧電共振子の外周縁(Rp)の半径は前記環状の圧電共振子の内周縁(rp)の半径の少なくとも2倍であり、前記環状の圧電共振子の環状の幅(Rp−rp)はその厚さの少なくとも2倍であることを特徴とする請求項3に記載の圧電バルブ。
【請求項5】
cpを前記圧電共振子の圧電材料における音響波の伝播速度とすると、前記環状の圧電共振子を励起するための交流電圧はcp/2(Rp−rp)と等しい周波数を有することを特徴とする請求項4に記載の圧電バルブ。
【請求項6】
前記環状の圧電共振子の圧電材料は、前記環状の圧電共振子の半径方向に垂直な方向に分極されることを特徴とする請求項3に記載の圧電バルブ。
【請求項7】
前記ロータアセンブリはさらに、
前記第1の圧電アクチュエータに関して同軸に取り付けられ、前記第1の圧電アクチュエータと摩擦接触して取り付けられた第1のロータと、
前記第2の圧電アクチュエータに関して同軸に取り付けられ、前記第2の圧電アクチュエータに摩擦接触して取り付けられ、前記第1のロータに静的に連結する第2のロータと、
前記第1のロータと前記第2のロータの間に配置された防音ガスケットと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電バルブ。
【請求項8】
前記第2の圧電アクチュエータと前記シャフトの内の少なくとも1つが角度位置のマーカーを少なくとも1つ備え、前記マーカーを検知するためのセンサを少なくとも1つ前記駆動部本体がさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電バルブ。
【請求項9】
前記マーカーは光ディスクのラスターからなる光回折格子を備え、前記センサは光-電気のセンサを備えることを特徴とする請求項8に記載の圧電バルブ。
【請求項10】
前記バルブ本体の入口と出口に接続された各終端を備えた弾性チューブをさらに備え、
前記回転栓は前記弾性チューブに接触する曲線状の表面を備えた偏心回転可能なシリンダーをさらに備え、
前記栓に応答して回転させている前記曲線状の表面が、前記弾性チューブの内径開口の寸法を調節する様に作動することを特徴とする請求項1に記載の圧電バルブ。
【請求項11】
前記バルブ本体の入口と出口に接続された終端を備えた弾性チューブをさらに備え、
前記回転栓は前記弾性チューブに接触する表面を備えたピストンをさらに備え、
前記栓に応答して回転させている前記ピストンの表面が、前記弾性チューブの内径開口の寸法を調節する様に作動することを特徴とする請求項1に記載の圧電バルブ。
【請求項12】
前記シャフトの終端にねじ穴を備え、前記シャフトは前記ピストンの終端の対応するねじと連結することを特徴とする請求項11に記載の圧電バルブ。
【請求項13】
前記ピストンの終端にねじ穴を備え、前記ピストンは前記シャフトの終端の対応するねじと連結することを特徴とする請求項11に記載の圧電バルブ。
【請求項14】
前記第1の放射状圧電アクチュエータと前記第2の放射状圧電アクチュエータのそれぞれは、
前記回転軸に対して放射状の方向に縦振動を発生させるために構成された圧電素子と、
それぞれが前記圧電素子に機械的に連結する第1の終端と、放射状方向に延伸して前記ロータアセンブリの前記表面に接触する第2の終端を備えた1つ以上の可撓性プッシャーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧電バルブ。
【請求項15】
少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口、そして回転栓を備えたバルブ本体と、
シャフトを介して前記回転栓に運動学的に接続され、可逆圧電モータを備える回転駆動部と、を備え、
前記可逆圧電モータは、
前記本体に対して固定された第1の環状の圧電共振子と、
音響的に前記第1の圧電共振子と連結しており、1つ以上の第1の可撓性プッシャーを備える第1の相補的なジェネレータと、
前記第1の圧電共振子に対して同軸に取り付けられ、前記第1の可撓性プッシャーと摩擦接触して取り付けられる第1のロータと、
シャフトを介して前記回転栓と静的に連結する第2の環状の圧電共振子と、
第2の圧電共振子と音響的に連結すると共に、1つ以上の第2の可撓性のプッシャーを備える第2の相補的なジェネレータと、
前記第2の圧電共振子に対して同軸に取り付けられ、前記第2の可撓性のプッシャーと摩擦接触して取り付けられ、さらに防音ガスケットを介して前記第1のロータと静的に連結する第2のロータと、を備えることを特徴とする圧電バルブ。
【請求項16】
前記第1のプッシャーは、実質上はお互いに等しい角距離で前記第1の圧電共振子の外周に沿って配置され、前記第2のプッシャーは、実質上はお互いに等しい角距離で前記第2の圧電共振子の外周に沿って配置されることを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。
【請求項17】
リングシェルを前記第1の相補的な共振子と前記第2の相補的な共振子がそれぞれ備えることを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。
【請求項18】
前記第1の相補的な共振子と前記第2の相補的な共振子のそれぞれが、前記第1の圧電共振子と前記第2の圧電共振子の平面を横切って、個別に前記第1の圧電共振子や前記第2の圧電共振子と音響的に連結する平坦な円形のディスクをそれぞれ備えることを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。
【請求項19】
前記第2の圧電共振子と前記シャフトの少なくとも1つが角度位置のマーカーを少なくとも1つ備え、前記マーカーを検知するためのセンサを少なくとも1つ備えることを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。
【請求項20】
前記マーカーは光ディスクのラスターからなる光回折格子を備え、前記センサは光-電気のセンサを備えることを特徴とする請求項19に記載の圧電バルブ。
【請求項21】
前記バルブ本体の入口と出口に接続された各終端を備えた弾性チューブをさらに備え、
前記回転栓は前記弾性チューブに接触する曲線状の表面を備えた偏心回転可能なシリンダーをさらに備え、
前記栓に応答して回転させている前記曲線状の表面が、前記弾性チューブの内径開口の寸法を調節する様に作動することを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。
【請求項22】
前記バルブ本体の入口と出口に接続された各終端を備えた弾性チューブをさらに備え、
前記回転栓は前記弾性チューブに接触する表面を備えたピストンをさらに備え、
前記栓に応答して回転させている前記ピストンの表面が、前記弾性チューブの内径開口の寸法を調節する様に作動することを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。
【請求項23】
前記シャフトの終端にねじ穴を備え、前記シャフトは前記ピストンの終端の対応するねじと連結することを特徴とする請求項22に記載の圧電バルブ。
【請求項24】
前記ピストンの終端にねじ穴を備え、前記ピストンは前記シャフトの終端の対応するねじと連結することを特徴とする請求項22に記載の圧電バルブ。
【請求項25】
前記外部の電気制御システムは、少なくとも1つの前記第1の環状の圧電共振子及び前記第2の環状の圧電共振子と連結する電力供給装置を少なくとも1つさらに備え、
前記電力供給装置は、第1の環状の圧電共振子及び前記第2の環状の圧電共振子の環状の幅を横切る第1次の縦振動モードを誘導するための交流電圧を供給することを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。
【請求項26】
前記外周縁(Rp)の半径は前記内周縁(rp)の半径の少なくとも2倍であり、前記環状の圧電共振子の1つの環幅(Rp−rp)はその厚さの少なくとも2倍であることを特徴とする請求項25に記載の圧電バルブ。
【請求項27】
cpを前記環状の圧電共振子の1つの圧電材料における音響波の伝播速度とすると、前記交流電圧はcp/2(Rp−rp)と等しい周波数を持っていることを特徴とする請求項26に記載の圧電バルブ。
【請求項28】
前記第1の環状の圧電共振子及び前記第2の環状の圧電共振子の圧電材料は、前記シャフトに平行な方向に分極されることを特徴とする請求項15に記載の圧電バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−517569(P2012−517569A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549307(P2011−549307)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/023470
【国際公開番号】WO2010/091343
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(511148042)ディスカバリー テクノロジー インターナショナル,インク. (5)
【Fターム(参考)】