説明

可逆性感熱記録媒体

【課題】低エネルギーでも発色することが可能であり、消去特性に優れ、かつ実用に耐えうる保存性を有する可逆性感熱記録材料の提供。
【解決手段】支持体上に電子供与性呈色性化合物としてのロイコ染料と電子受容性化合物としての顕色剤を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該顕色剤が、炭素数23以上の飽和直鎖アルキル基を水素結合性の2価の基でP位に結合したフェノール性化合物であり、前記顕色剤は、融点より15℃高温領域での毛管現象による溶融粘度が顕色剤単独時に10秒以下であり、且つ該顕色剤と前記ロイコ染料を組み合わせた時の溶融粘度と前記顕色剤単独時の前記溶融粘度との差が10秒以上となる比率(重量比)で該ロイコ染料と用いられることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されているが、環境問題、省資源、リサイクルの視点から、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれており、本発明者らは特許文献1(特許第2981558号公報)において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これらと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。その後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものの使用(例えば、特許文献2、3:特許第3380277号公報、特許第3557076号公報)が提案されており、以降様々な構造の顕色剤が開発されてきた。
【0003】
近年、京都議定書の批准やチーム・マイナス6%といった動きに見られるように、地球温暖化防止に向けた活動が活発になってきており、電器製品等においても二酸化炭素排出量削減を達成するために様々な努力が行われている。可逆性感熱記録の分野は、繰り返し利用できるという点で従来より優れているという認識があるものの、本分野においてもその動きは同様で、従来よりも低エネルギーで画像を書いたり消したりすることができる方法を探ってきた。一方で、時代の進化と共に用途が広がり、品質に対する要求も高まっている。例えば高温などの厳しい保存条件においても画像が消えない、印字スピードを向上させるといったものがこれに該当する。
【0004】
しかし、これらを同時に達成するものはなかった。省エネルギーという観点で言うと、熱効率を向上させる試みが行われている。例えば特許文献4(特開平5−124346号公報)にポリウレタンフォームや発泡性プラスチックフィラーを塗工後加熱発泡させたクッション部材をアンダー層として利用する方法が提案されている。この方法の場合、熱効率が向上するために低速印字のような静的な発色に近い領域の場合は消去、印字共にエネルギー消費を減らすことは可能であるが、一方で高速印字時には一瞬で高いエネルギーの熱を与える必要があるため、熱応答性が重要になる。発色においてはそれでもエネルギーを高く設定すれば解決するが、消去においては適正なエネルギー範囲があるため、消去不良や地肌カブリが起こりやすく、この技術のみでは実用に耐える品質は得られない。
【0005】
一方で画像保存という点でも上記で示されたような公報等で様々な試みが行われてきているものの、十分な品質が得られていないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特許第2981558号公報
【特許文献2】特許第3380277号公報
【特許文献3】特許第3557076号公報
【特許文献4】特開平5−124346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、上記従来技術に鑑みて、低エネルギーでも発色することが可能であり、消去特性に優れ、かつ実用に耐えうる保存性を有する可逆性感熱記録材料の提案である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが種々検討した結果、発色に関わる顕色剤融点付近での溶融粘度と、顕色剤とロイコ染料の混合物の溶融粘度に大きな差があると高速消去性能が高くなることが分かった。すなわち、顕色剤単独時の溶融粘度が10秒以下であり、且つ顕色剤とロイコ染料を組み合わせた時の溶融粘度との差が10秒以上となる比率であることが好ましい。
【0009】
溶融粘度差の大小と画像消去性の間の関連性については不明であるが、発色がロイコ染料と顕色剤の溶融混合、消去が顕色剤の再集合という現象に関連していることから考えると、以下のような機構であると推測している。顕色剤が一旦ロイコ染料と混合されたときに低粘度な場合、発色層内に発色体が非局在してしまうため、消去時の顕色剤分子の再集合が起こりにくくなる。一方で混合物の溶融粘度が高い場合は顕色剤分散体の表面に発色成分がとどまることを示唆しており、消去時の顕色剤再集合が起こりやすくなることが考えられる。その際に顕色剤自身の溶融粘度が低い方が移動度が高いと考えられるため、再集合が起こりやすく、溶融粘度が高いものは逆にされにくい。従来のこの種の構造の顕色剤は、水素結合を生じ得るヘテロ原子含有2価基に結合する長鎖アルキル基の長さが充分なものでなく温度変化に因る鎖状部位の緊縮−弛緩が充分でないためかも知れないが、昇温による著しい粘度低下を達成し難く、また、溶融時にロイコ染料との共融による著しい粘度低下も達成し難かった。実際、顕色剤の溶融粘度が10秒を超えるもの、溶融粘度差が10秒未満のものはどちらも消去残りが顕著になることが本発明において分かった。
【0010】
一方で、上記と同様の考え方により発色体の溶融粘度差が大きい顕色剤およびロイコ染料の組み合わせ、および比率によって耐熱画像保存性が得られると考えている。
【0011】
本発明における溶融粘度とは、以下の手法によって評価される。使用する粉体はあらかじめ乳鉢にて細かくすり潰しておく。次に、粉体を薄いガラス(カバーガラス等)に適量載せ、ホットプレート等を利用して顕色剤融点より15℃高温に加温して融解させる。同時にあらかじめ端から15mmの位置にマーキングしたガラス細管(ドラモンド社製1−000−0020)を同じ温度で加温しておく。粉体の均一な融解を確認した後、速やかにガラス細管の先端を融解液に漬けると、毛管現象によってマーキング位置まで融解液面が上昇する。漬けてからマーキング位置に液面が到達するまでに要した時間を溶融粘度として採用した。この方法は融解物の粘性を簡易的に評価できる上、再現性も良い。
【0012】
溶融粘度測定の温度は、本来であれば融点近傍を目指すべきであろうが、この条件では周囲の雰囲気によって系の状態が左右されてしまう。逆に融点をはるかに超える温度での測定は実印字環境を再現しておらず、また材料の空気酸化による変質を誘発するために好ましくなく、従って15℃高温側と統一して計測を行った。
【0013】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「支持体上に電子供与性呈色性化合物としてのロイコ染料と電子受容性化合物としての顕色剤を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該顕色剤が下記一般式(1)で表されるフェノール性化合物であり、前記顕色剤は、融点より15℃高温領域での毛管現象による溶融粘度が顕色剤単独時に10秒以下であり、且つ該顕色剤と前記ロイコ染料を組み合わせた時の溶融粘度と前記顕色剤単独時の前記溶融粘度との差が10秒以上となる比率(重量比)で該ロイコ染料と用いられることを特徴とする可逆性感熱記録媒体;
【0014】
【化1】

(式中、Xは少なくとも1つのヘテロ原子を有する2価の基を示し、Rは(CH)lで示されるメチレン基(lは0以上の整数)を示し、mは0以上の整数を示し、Yは水素結合性の2価の基を示し、Rは(CH)nCHで示されるアルキル基(nは23以上の整数)を表す)」、
(2)「一般式(1)のnが26乃至35であることを特徴とする、前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体」
(3)「該顕色剤が下記一般式(2)で表される尿素化合物であることを特徴とする、前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体;
【0015】
【化2】

(式中nは23以上の整数を表す)」、
(4)「可逆表示部が設けられた情報記憶部を有する部材であって、該可逆表示部が前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体で形成されたものであり、該情報記憶部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする情報記憶部を有する部材」、
(5)「前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を支持体上に有する可逆性感熱記録ラベルであって、該支持体の可逆性感熱記録層を有する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル」、
(6)「可逆表示部が設けられた情報記憶部を有する部材であって、該可逆表示部が前記第(5)項に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いて形成されたものであり、該情報記憶部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする情報記憶部を有する部材」、
(7)「前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体、前記第(5)項に記載の可逆性感熱記録ラベル、又は前記第(4)項、第(6)項のいずれかに記載の情報記憶部を有する部材の可逆性感熱記録媒体を用いる画像処理方法において、前記可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法」、
(8)「サーマルヘッドを用いて画像を形成することを特徴とする前記第(7)項に記載の画像処理方法」、
(9)「サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする前記第(8)項に記載の画像処理方法」により達成される。
【発明の効果】
【0016】
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明の可逆性感熱記録媒体は印画時のエネルギー消費が少なく、且つ高速印字適性と保存性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明は、フェノール化合物を用いる可逆的感熱記録媒体は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得るものである。
この基本的な発色・消色現象を説明する。
図1はこの記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。初め消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1でロイコ染料と顕色剤が溶融混合し、発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、初期と同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)を再び昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温すると初期と同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0018】
本発明の記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子同士で接触反応し得る状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0019】
本発明者らはサーマルヘッド加熱のような極めて短い加熱時間で消去を行なうためには、発色状態(C)から消色温度(T2)に加熱した際に、顕色剤の結晶化の速さが重要であると考え、種々の検討を行なった。
【0020】
可逆性感熱記録媒体に用いられる顕色剤の基本構造については、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物などの公知の顕色剤を用いることができるとされてきた。本発明における溶融粘度を有する化合物の特徴としては、上記の中でも140℃前後に融点を有し、さらには構造内に水素結合性会合基と超長鎖アルキル基を有し、一般式(1)で示されるフェノール性化合物であることが挙げられる。ここで言う超長鎖アルキル基とは、一般的に工業薬品として安価に存在するようなベヘニル基よりもさらに2つ以上炭素数が多い、テトラコシル基よりも長い直鎖アルキル基であり、種々公知の増炭反応によって得ることができる。
【0021】
【化3】

(式中、Xは少なくとも1つのヘテロ原子を有する2価の基を示し、Rは(CH)lで示されるメチレン基(lは0以上の整数)を示し、mは0以上の整数を示し、Yは水素結合性の2価の基を示し、Rは(CH)nCHで示されるアルキル基(nは23以上の整数)を表す)
【0022】
一般式(1)の構造は特許文献2の特許第3380277号公報で提案されており、その中でnが大きくなるほど好ましいが、nが22以上になると製造コストの点で好ましくなくなると記載されている。本発明者らは、nが22以上の化合物を鋭意合成し評価した結果、nが23以上特にnが27以上になると保存性が格段に向上することを発見した。更に、より好ましい範囲としてはnが26から35、特に好ましい範囲としては27から34であることを見出した。
中でも下記一般式(2)で示される尿素系化合物が特に優れる。
【0023】
【化4】


(式中nは23以上の整数を表す)
【0024】
このようなフエノール性化合物は、例えば、つぎのような合成法により得ることができる。
[合成例]
【0025】

【0026】
反応容器にトルエン50mLとメリシン酸2.0gを加え、さらに塩化チオニルを1.1g加え、さらに数滴のDMFを加え、3時間加熱還流した。それをエバポレーターにより溶媒および塩化チオニルを減圧留去した。得られた酸クロリド化合物にアセトン10mLを加え、氷冷で攪拌した。そこにアジ化ナトリウム0.43gを溶かした水溶液を温度が10℃を超えないように徐々に加え、さらに1時間半攪拌した。得られた反応溶液をトルエンで抽出し洗浄したのち、反応溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、反応溶液に移し変えたのち、内温80℃で加熱した。窒素の発生が完結しイソシアネート化合物が生成したことを確認した後、反応溶液に、p−アミノフェノール0.48gを加え、1時間加熱攪拌を行なった後、室温に戻し、析出物をろ別し、アセトンで洗浄した。乾燥後、テトラヒドロフランを用いて再結晶することにより化合物を得た。収量2.35g、収率は95%であった。
他のフエノール性化合物も、同様にして得ることができる。
【0027】
また、本発明において用いられるロイコ染料は単独又は混合して用いることができ、例えば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
本発明において用いられるロイコ染料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、等が挙げられる。
【0028】
融点(分解点)が、前記顕色剤の融点よりも10℃以上、好ましくは15℃以上高いロイコ染料が好ましく用いられ、中でも、特にロイコ染料として2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−(3−トルイジノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランおよび2−キシリジノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランのうち少なくとも1種以上を用いることで、発色濃度、消去性および画像部の保存安定性が良好で、発色色調が純黒色で鮮明な印字画像が得られる。
ここで、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
【0029】
本発明において、ロイコ染料、顕色剤とともに可逆性感熱記録層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類などがある。これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。例えば、熱、紫外線、電子線などで、バインダー樹脂を架橋させてもよい。
【0030】
本発明に用いられる架橋状態にある樹脂としては、具体的にはアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0031】
更に、本発明において好ましくは、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が含有される(当初用いられる)が、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂としては、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂などが用いられるが、特に発色の安定性が良好で、消色性が良好であることから、アクリルポリオール樹脂が好ましく用いられる。水酸基価としては70(KOHmg/g)以上であり、特に好ましくは90(KOHmg/g)以上である。水酸基価の大小は架橋密度に影響するため塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。本発明者らは、水酸基価が70(KOHmg/g)以上で耐久性、塗膜表面硬度、ワレ抵抗性が向上することを見い出した。水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が用いられた可逆性感熱記録材料であるか否かは、残存水酸基の量やエーテル結合の量を分析すること等により確認することができる。
【0032】
また、アクリルポリオール樹脂においては構成の違いによってその特性に違いがあり、水酸基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4―ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが用いられるが、特に第1級水酸基をもつモノマーを使用した方が塗膜のワレ抵抗性や耐久性が良いことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0033】
本発明に用いられる架橋剤(硬化剤)としては、ポリオールの活性水素基と反応し得る従来公知の架橋剤、例えばイソシアネート類、エポキシ化合物、ポリオールと脱水縮合可能なヒドロキシ基含有シロキサン、メチロール基含有尿素誘導体、メチロール基含有グアナミン誘導体、メチロール基含有フェノール類等が挙げられる。その中でもイソシアネート系硬化剤が好ましく用いられる。ここで用いられるイソシアネート系化合物は、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体から選択される。また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0034】
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。また、硬化剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくても良い。すなわち、未反応硬化剤が存在していても良い。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の硬化剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の硬化剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。また、本発明におけるポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。すなわち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。
【0035】
可逆性感熱記録層の乾燥・硬化方法は塗布・乾燥後、必要に応じて硬化処理を行なう。恒温槽等を用いて比較的高温で短時間でも良く、また、比較的低温で長時間かけて熱処理しても良い。架橋反応の具体的な条件としては反応性の面から30℃〜130℃程度の温度条件で1分〜150時間程度加温することが好ましい。より好ましくは40℃〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。また、製造では生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって、乾燥過程とは別に架橋工程を設けてもよい。架橋工程の条件としては40℃〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。
可逆性感熱記録層の膜厚は1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
【0036】
また、本発明の可逆性感熱記録層には、必要に応じて可逆性感熱記録層の塗布特性などを改善したりするために従来公知の添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤などがある。
【0037】
なお、本発明において、可逆性感熱記録層中の発色成分と樹脂の割合は、発色成分1に対して0.1〜10が好ましく、これより少ないと可逆性感熱記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下して問題となる。
【0038】
更に、前記の特徴を有する顕色剤と、消色促進剤として分子中に少なくとも1つ以上のN原子またはO原子を含む2価の基を有する化合物を併用することにより、消去状態を形成する過程において消色促進剤と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され消去速度が格段に速くなることがわかった。
【0039】
本発明で用いる消色促進剤としては分子中にアミド基(−NHCO−)、2級アミド基(>NCO−)、ウレタン基(−NHCOO−)、尿素基(−NHCONH−)、ケトン基(−CO−)、ジアシルヒドラジド基(−CONHNHCO−)、スルホン基(−SO2−)等を有する化合物が好ましく、中でも、アミド基、2級アミド基、ウレタン基を有する化合物が特に好ましく、例えばアミド基、ウレタン基を有する化合物としては下記一般式(3)〜(10)で表される化合物が挙げられる。
【0040】
【化5】

【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

【0046】
【化11】

【0047】
【化12】


(式中、R,R,R,R8,R9は炭素数1以上22以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を示し、R8,R9は環を形成していてもよく、形成される環はN原子、O原子またはS原子を介していてもよく、芳香族環、脂肪族環を有していてもよい。またアルキル基は水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。Rは炭素数1〜18の2価の官能基、Rは炭素数4〜18の3価の官能基を示す。またYはN原子またはO原子を含む2価の基を示し、sは0または1の整数を示す。)
、R、R、R8、R9の好ましい例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基および末端に水酸基を有する炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。またR8、R9の他の好ましい例としてはメチル基、エチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、シクロヘキシルメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられ、環状の構造を形成する場合にはブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、−C24OC24−基、−CNC−基、−COCOC−基等が挙げられる。Rの好ましい例としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、−COC−基、−COC−基、−COCOC−基等が挙げられる。またRの好ましい例として、
【0048】
【化13】


等が挙げられる。Yの好ましい例としてはアミド基、ウレタン基、尿素基、ケトン基、ジアシルヒドラジド基等が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
一般式(3)〜(10)で表される化合物の具体的な例として以下のものが挙げられる。
1123CONHC1225、C1531CONHC1633、C1735CONHC1837、C1735CONHC1835、C2141CONHC1837、C1531CONHC1837、C1735CONHCHNHCOC1735、C1123CONHCHNHCOC1123、C15CONHCNHCOC1735、C19CONHCNHCOC19、C1123CONHCNHCOC1123、C1735CONHCNHCOC1735、(CHCHC1435CONHCNHCOC1435(CH、C2143CONHCNHCOC2143、C1735CONHC12NHCOC1735、C2143CONHC12NHCOC2143、C1733CONHCHNHCOC1733、C1733CONHCNHCOC1733、C2141CONHCNHCOC2141、C1733CONHC12NHCOC1733、C17NHCOCCONHC1837、C1021NHCOCCONHC1021、C1225NHCOCCONHC1225、C1837NHCOCCONHC1837、C2143NHCOCCONHC2143、C1837NHCOC12CONHC1837、C1835NHCOCCONHC1835、C1835NHCOC16CONHC1835、 C1225OCONHC1837、C1327OCONHC1837、C1633OCONHC1837、C1837OCONHC1837、C2143OCONHC1837、1225OCONHC1633、C1327OCONHC1633、C1633OCONHC1633、C1837OCONHC1633、C2143OCONHC1633、C1225OCONHC1429、C1327OCONHC1429、C1633OCONHC1429、C1837OCONHC1429、C2245OCONHC1429、C1225OCONHC1237、C1327OCONHC1237、C1633OCONHC1237、C1837OCONHC1237、C2143OCONHC1237、C2245OCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOC12OCONHC1837、C1837NHCOOC16OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOC1224OCONHC18371837NHCOOCOCOCOCONHC1837、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOC12OCONHC1633、C1633NHCOOC16OCONHC1633、C1837OCOHNC12NHCOOC1837、C1633OCOHNC12NHCOOC1633、C1429OCOHNC12NHCOOC1429、C1225OCOHNC12NHCOOC1225、C1021OCOHNC12NHCOOC1021、C817OCOHNC12NHCOOC17
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

表中、n,n’,n'',n''',n''''は0〜21の整数を示す。ただし全てが5以下であることはない。
【0053】
また、本発明によれば、可逆性感熱記録層上に架橋状態にある樹脂を含有する保護層を設けることができる。該保護層に用いられる樹脂としては、前述の可逆性感熱記録層と同様の熱硬化樹脂、および/または従来公知の紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂を用いることができる。さらに、本発明においては保護層中に従来公知の無機/有機のフィラー、滑剤、紫外線吸収性材料などを含有して用いても良い。保護層の形成において、保護層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0054】
さらに、可逆性感熱記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による可逆性感熱記録層の変質防止、保護層に含まれる添加剤が可逆性感熱記録層へ移行する、あるいは、可逆性感熱記録層に含まれる添加剤が保護層へ移行することを防止する目的で、両者の間に中間層(第1保護層)を設けても良い。中間層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。さらに、本発明においては中間層中に従来公知の無機/有機のフィラー、滑剤、紫外線吸収性材料などを含有して用いても良い。
【0055】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては、紙、樹脂フィルム、PETフィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、可逆性感熱記録層を保持できるものであればよい。また、必要に応じた厚みのものが単独あるいは貼り合わす等して用いることができる。すなわち、好ましくは60〜150μmで、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。
【0056】
本発明において、記録時に媒体に与えられた熱を有効利用して発色感度を向上させるために、支持体と可逆性感熱記録層の間に下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層は、発泡性プラスチックフィラーを塗布後に発泡させる方法、ポリウレタンフォームを設ける方法、中空粒子を含む塗布液を塗布乾燥して設ける方法等により形成できるが、中でも有機または無機の微小中空体粒子を含有したバインダー樹脂を用いて塗布して設ける方法が特に好ましい。下塗り層には、前記の可逆性感熱記録層、保護層の樹脂と同様の樹脂を用いることができる。また、下塗り層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルクなどの無機フィラーおよび/または各種有機フィラーを含有させることができる。その他、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。更に、前記下塗り層を設ける場合、接着層を介して設けることにより、クラック発生防止やバリの発生が改善される。該接着層は、上記の各層と同様の塗工方式等で形成することができる。更に、前記微小中空粒子として、最大粒子径(D100)が5.0〜10.0μmであると同時に、50%頻度の粒子径(D50)との比率D100/D50が2.0〜3.0の条件に適合する物を用いた場合はより好ましい。下塗り層を設ける代わりに発泡性PET等の空隙を含むプラスチックシートにしても良い。
【0057】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、上述した可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の可逆性感熱記録層を形成する面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたものである。
この可逆性感熱記録ラベルには、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
【0058】
接着剤層又は粘着剤層の材料は、一般的に用いられているものが使用可能である。
例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、該可逆性感熱記録媒体を構成する少なくとも可逆性感熱層を可逆表示部として機能し、それと情報記憶機能のある部材(情報記憶部)と合わせて作製される情報表示記憶部材として用いることができる。
【0060】
次に、該情報表示記憶部材について説明する。
この情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の3つのものに大別できる。
(1)情報記憶機能のある部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として用い、そこに可逆性感熱層を直接形成したもの。
(2)情報記憶機能のある部材に、別途形成された、支持体上に可逆性感熱層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
(3)情報記憶機能のある部材に、前記可逆性感熱記録ラベルが接着剤層又は粘着剤層を介して、接着されたもの。
これら(1)、(2)、(3)の場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうでありさえすれば情報記憶部の設定位置は目的に応じて任意に選定でき、可逆性感熱記録媒体における支持体の可逆性感熱層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱層との間でも、あるいは感熱層上の一部に設けることもできる。
この情報記憶機能のある部材としては、特に限定されないが、一般的なカード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットを用いることができる。
【0061】
これらの例としては、ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等を挙げることができる。
この可逆表示機能と情報記憶機能の双方を有する情報表示記憶部材は、例えばカードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を可逆性感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
【0062】
情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものでありさえすれば特に限定されないが、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型ICあるいは光メモリが有用である。
磁気記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、または樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における可逆性感熱記録層をバーコード、2次元コード等のようなやり方で記憶部として用いることもできる。
【0063】
また、前記(3)の可逆性感熱記録ラベルを用いる例として、磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等のように、支持体として可逆性感熱記録層の塗布が困難な厚手のもの場合には、その全面又は一部に接着剤層又は粘着剤層を設けることができる。
こうすることによって、磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性を向上できる。
この接着剤層又は粘着剤層を設けた可逆性感熱記録ラベルとしては、上記の磁気付塩ビカードだけでなく、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
【0064】
また、この可逆性感熱記録ラベルは、フレキシブルディスク、MDやDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの代わりとして用いることができる。
さらに、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに可逆性感熱記録ラベルを貼ることや、直接ディスク上に可逆性感熱記録層を設けることもできる。こうすることによって、それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更する等の用途への応用が可能である。
【0065】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、CD−Rなどの追記型ディスク上に可逆性感熱記録ラベルを貼って、CD−Rに追記した記憶情報の一部を書換え表示することも可能である。
さらに、ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いてもよい。
厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては、上記の可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に可逆性感熱記録層を直接塗布する方法や、予め別の支持体上に可逆性感熱記録層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に該感熱記録層を転写する方法等がある。
転写する場合には、可逆性感熱記録層上にホットメルトタイプ等の接着層や粘着層を設けておいてもよい。
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等のように剛直なものの上に可逆性感熱記録ラベルを貼着したり、可逆性感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ、画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層又はシートを剛直な基体とラベル又は可逆性感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0066】
本発明は、さらに、上記可逆性感熱記録媒体、上記情報記憶部を有する部材又は上記ラベルを用い、加熱により画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法を提供する。
【0067】
画像の形成は、サーマルヘッド、レーザー等、該媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒーター、ヒートローラー、熱風等やサーマルヘッド、レーザー等の画像消去手段が用いられる。
この中では、セラミックヒーターが好ましく用いられる。セラミックヒーターを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。
セラミックヒーターの設定温度は、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
また、画像消去手段としてサーマルヘッドを用いることにより、さらに装置全体の小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。形成用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、さらに小型化が可能となる。
一つのサーマルヘッドで形成と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を形成してもよく、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を形成していくオーバーライト方式も可能である。
オーバーライト方式では、形成と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。可逆性感熱記録層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
【実施例】
【0068】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中、部又は%とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。
【0069】
[実施例1]
<中空粒子の調製>
塩化ナトリウム55gをイオン交換水160gに溶解し、アジピン酸−ジエタノールアミン縮合物1.0g、コロイダルシリカ20%水溶液25gを加えた後、硫酸でpHを3.8から4.2に調整し、均一に混合してこれを水相とする。アクリロニトリル45g、メタクリロニトリル16g、N−メチロールアクリルアミド5g、イソボニルメタクリレート23g、エチレングリコールジメタクリエート0.1g、アゾビスイソブチロニトリル0.3g、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル(V−40)0.1g、イソブタン15gを混合、攪拌、溶解し、これを油相とする。水相と油相を混合し、ホモミキサーで3500rpmにて1分間攪拌して懸濁液とする。これをセパラブルフラスコに移して窒素置換をしてから、攪拌しつつ70℃で6時間その後90℃で14時間反応する。反応後冷却し、濾過してカプセル粒子を得る。次にこれを加熱による発泡を行い中空粒子を形成した。この中空粒子のTgは105℃、中空率は91%、粒子径のD100は9.0μm、D100/D50は2.0であった。
【0070】
<下塗り層の作製>
中空粒子の水分散液(固形分濃度30%) 30部
ポリウレタン樹脂エマルジョン
(固形分濃度35%、第一工業製薬製スーパーフレックス150) 28部
完全ケン価ポリビニルアルコール水溶液(固形分濃度16%) 9部
水 50部
上記混合物を攪拌分散して、下塗り層塗布液を調製した。上記組成の下塗り層塗布液を厚さ約250μmの白色PETフィルム(帝人製)上にワイヤーバーを用い塗布し、80℃2分で乾燥して、膜厚約14μmの下塗り層を設けた。
【0071】
<可逆性感熱記録層の作製>
下記の構造の顕色剤(Mp142℃) 3部
【0072】
【化14】

アクリルポリオール樹脂の50%メチルエチルケトン(MEK)溶液 9部
(水酸基価:70、分子量:28000、Tg80℃)
ジオクタデシルウレタン 1部
メチルエチルケトン(MEK) 70部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。上記組成の可逆性感熱記録層塗布液を、上記中間層塗布済みPETフィルム上にワイヤーバーを用い塗布し、110℃3分で乾燥した後、60℃で24時間加熱して、膜厚約10μmの可逆性感熱記録層を設けた。
さらにこの記録層上に下記組成よりなる中間層液をワイヤーバーを用い塗布し、90℃1分で乾燥した後、60℃2時間加熱して、膜厚約1μmの中間層を設けた。更にこの中間層上に、下記組成よりなる保護層液をワイヤーバーを用いて塗工した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を12m/分の搬送速度で通して硬化して膜厚4μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0073】
〔中間層液〕
ポリエステルポリオール樹脂
(武田薬品工業社製タケラックU−21)の10%MEK溶液 100部
酸化亜鉛(住友大阪セメント社製) 10部
コロネートHL(日本ポリウレタン社製) 15部
【0074】
〔保護層液〕
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂 7部
(大日本インキ社製C7−157)
ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性アクリル酸エステル 3部
(日本化薬社製KAYARAD DPCA−120)
シリカ(水沢化学社製P−527) 1.5部
酢酸エチル 90部
【0075】
[実施例2]
実施例1において顕色剤として下記化合物(Mp137℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0076】
【化15】

【0077】
[実施例3]
実施例1において顕色剤として下記化合物(Mp140℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0078】


【0079】
[実施例4]
実施例1において顕色剤として下記化合物(Mp142℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0080】
【化16】

【0081】
[実施例5]
実施例1において顕色剤として下記化合物(Mp141℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0082】
【化17】

【0083】
[実施例6]
実施例4において使用した2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランを2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオランに変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0084】
[実施例7]
実施例5において使用した2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランを2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオランに変更した以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0085】
[比較例1]
実施例1において、顕色剤として下記化合物(Mp140℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0086】
【化18】

【0087】
[比較例2]
実施例1において顕色剤として下記化合物(Mp123℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。


【0088】
[比較例3]
実施例1において顕色剤として下記化合物(Mp125℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0089】
【化19】

【0090】
[比較例4]
実施例1において顕色剤として下記化合物(Mp120℃)を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0091】
【化20】

【0092】
[比較例5]
実施例1において顕色剤として前記化合物の量を1部から2部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0093】
[比較例6]
実施例1において顕色剤として前記化合物(Mp142℃)の量を1部から0.3部に変更した以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0094】
(評価方法)
1.溶融粘度
あらかじめ乳鉢にて対象とする粉体を細かくすり潰し、顕色剤とロイコ染料の混合粉体を乳鉢にて十分に混合した。次に、ホットプレートを顕色剤融点より15℃高温に加温し、熱電対を用いてモニタリングし、目標温度になるまで待機した。粉体を松浪硝子社製カバーグラス(ホウ珪酸ガラス製)に適量載せ、同時にあらかじめ端から15mmの位置にマーキングしたガラス細管(ドラモンド社製1−000−0020)を用意し、目標温度になった時点で双方をホットプレート上に置き、粉体の均一な融解を目視にて確認した後、速やかにガラス細管の先端を融解液に漬けた。ガラス細管はそのまま先端を融解液に漬けたまま、ホットプレート上に倒して静置した。漬けてからマーキング位置に液面が到達するまでに要した時間を3回測定して平均し、溶融粘度として採用した。
【0095】
2.印字エネルギー
感熱印字消去シミュレータ(搬送速度30mm/s)にて10〜22Vの範囲で設定電圧を0.5V刻みで変えながら階調画像を印字し、画像濃度をマクベス濃度計RD−914にて測定した。画像濃度1.0となる印字エネルギー(mJ/dot)を外挿によって求めた。
【0096】
3.高速消去適性
上記で飽和濃度となったエネルギーにてベタ画像を印字し、引き続きセラミックヒータ(ヒータ幅4mm)を搭載した感熱印字消去シミュレータ(搬送速度120mm/s)にて80〜140℃の範囲で設定温度を5℃刻みで変えながら画像の消去を行った。最も画像の消えた部分とその時の無印字部分の濃度をマクベス濃度計RD−914にて測定した。
【0097】
4.画像保存性
3と同様にベタ画像を印字し、60℃24時間保管前後の画像濃度をマクベス濃度計RD−914にて測定した。
以上の評価結果を表4に示す。
【0098】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の可逆性感熱発色組成物の発色・消色特性を示す図である。
【図2】可逆性感熱記録ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼った例を示す図である。
【図3】可逆性感熱記録ラベルをCD−RW上に貼った例を示す図である。
【図4】ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いた例を示す図である。
【図5】本発明の画像処理装置の例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
34 磁気ヘッド
38 セラミックヒーター
40 搬送ローラー
47 搬送ローラー
53 サーマルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に電子供与性呈色性化合物としてのロイコ染料と電子受容性化合物としての顕色剤を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成し得る可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該顕色剤が下記一般式(1)で表されるフェノール性化合物であり、前記顕色剤は、融点より15℃高温領域での毛管現象による溶融粘度が顕色剤単独時に10秒以下であり、且つ該顕色剤と前記ロイコ染料を組み合わせた時の溶融粘度と前記顕色剤単独時の前記溶融粘度との差が10秒以上となる比率(重量比)で該ロイコ染料と用いられることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【化1】

(式中、Xは少なくとも1つのヘテロ原子を有する2価の基を示し、Rは(CH)lで示されるメチレン基(lは0以上の整数)を示し、mは0以上の整数を示し、Yは水素結合性の2価の基を示し、Rは(CH)nCHで示されるアルキル基(nは23以上の整数)を表す)
【請求項2】
一般式(1)のnが26乃至35であることを特徴とする、請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【請求項3】
該顕色剤が下記一般式(2)で表される尿素化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
【化2】

(式中nは23以上の整数を表す)
【請求項4】
可逆表示部が設けられた情報記憶部を有する部材であって、該可逆表示部が請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体で形成されたものであり、該情報記憶部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする情報記憶部を有する部材。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を支持体上に有する可逆性感熱記録ラベルであって、該支持体の可逆性感熱記録層を有する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
【請求項6】
可逆表示部が設けられた情報記憶部を有する部材であって、該可逆表示部が請求項5に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いて形成されたものであり、該情報記憶部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする情報記憶部を有する部材。
【請求項7】
請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体、請求項5に記載の可逆性感熱記録ラベル、又は請求項4、6のいずれかに記載の情報記憶部を有する部材の可逆性感熱記録媒体を用いる画像処理方法において、前記可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
サーマルヘッドを用いて画像を形成することを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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