説明

可逆性感熱記録材料

【課題】本発明の課題は明瞭なコントラストを持つ画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能で、安定的に繰り返し形成消去可能であり、帯電を防ぐことにより、塵・静電気の障害に対して安定な取り扱いおよび製造性を持ち、且つ形成画像の視認性に優れ、無線IC等に対して悪影響を及ぼさない可逆性感熱記録材料を提供することである。
【解決手段】支持体上に、可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、該記録層に対して反対側の面にイオン性液体を含有する熱接着層を設けることを特徴とする可逆性感熱記録材料であり、可逆性感熱記録層が通常無色ないし淡色の染料前駆体および、加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤を含有する場合より好ましい結果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを制御する事により画像形成及び消去が可能な可逆性感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂中に長鎖脂肪族炭化水素基を持つ有機リン酸化合物および脂肪族カルボン酸の組み合わせにより透明度が変化する材料(例えば、特許文献1参照)もしくは、通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体および電子受容性化合物(可逆性顕色剤)の組み合わせにより色調が変化する材料(例えば、特許文献2参照)を用いることで、熱エネルギーを制御する事によって可逆的に画像形成及び消去が可能な可逆性感熱記録材料が知られている。
【0003】
このような可逆性感熱記録材料は、磁気記録層を設けたポリエチレンテレフタレート等の反対面に設けられ、ポイントカード、プリペイドカード等で繰り返し表示内容を書き換えることができる表示部材として広く使用されている。さらに近年ではポイントカード、プリペイドカード等の範囲を超えた用途として、工程管理カード、ラベル、看板、一般文書記録といったものが拡大しており、より可逆性感熱記録材料の大判化が進んでいる。
【0004】
さらに、可逆性感熱記録材料において、記録層に対して反対面に加熱プレス等の手法により別な基材に張り合わせて、場合によっては接触式、非接触式のICチップを間に封入するなどして、ポイントカード等として使用する用途も拡大している。このような加熱プレス等を前提とした可逆性感熱記録材料は記録層に対して反対面最表層に熱接着層を設けるが、このことは可逆性感熱記録材料シートの取り扱い、とりわけ製造・加工工程において、シート摩擦による帯電を引き起こしやすくなり、シート同士の張り付きによる装置搬送不良、折り割れ・シワ等の製品不良が起こりやすくなる一方、埃や塵等を吸い寄せることにより、印字不良を誘発する等の原因となる。
【0005】
この対策として、帯電防止効果を得るための方法が報告されている。例えば特許文献3では、可逆性感熱記録層もしくはオーバーコート層に高分子カチオン系導電剤を含有させる方法が示されているが、高分子カチオン系導電剤は塗工層中での相溶性が低く、結果的に十分な帯電防止効果を得ることが難しかった。また特許文献4では、いずれかの層に導電性の金属酸化物半導体粉末を添加する方法、特許文献5では針状導電性フィラーを含む層を設けることを提案されている。しかしいずれの場合も当該の層は不透明度が上昇し、形成された印字画像の視認性が低下したり、地肌部においては意図しない色調になるという問題があった。また、基材間に無線ICが封入されている場合、金属酸化物半導体粉末もしくは導電性フィラーにより無線信号の遮蔽効果が発生し、読み取り精度が落ちる場合があり、好ましくなかった。
【特許文献1】特開平5−124360号公報
【特許文献2】特開平6−210954号公報
【特許文献3】特開平5−96853号公報
【特許文献4】特開平11−91243号公報
【特許文献5】特開2005−193564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は明瞭なコントラストを持つ画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能で、安定的に繰り返し形成消去可能であり、帯電を防ぐことにより、塵・静電気の障害に対して安定な取り扱いおよび製造性を持ち、且つ形成画像の視認性に優れ、無線IC等に対して悪影響を及ぼさない可逆性感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らはこれらの課題を解決すべく検討した結果、下記の発明により上記の課題が解決されることを見いだした。
【0008】
支持体上に、可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、該記録層に対して反対側の面にイオン性液体を含有する熱接着層を設けることを特徴とする可逆性感熱記録材料であり、可逆性感熱記録層が通常無色ないし淡色の染料前駆体および、加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤を含有する場合より好ましい結果が得られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は明瞭なコントラストを持つ画像の形成・消去が可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能で、安定的に繰り返し形成消去可能であり、帯電を防ぐことにより、塵・静電気の障害に対して安定な取り扱いおよび製造性を持ち、且つ形成画像の視認性に優れ、無線IC等に対して悪影響を及ぼさない可逆性感熱記録材料を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の可逆性感熱記録材料は少なくとも支持体と可逆性感熱記録層から構成されており、支持体に対して、可逆性感熱記録層と反対の面に一層以上のイオン性液体を含有する熱接着層を持つ。
【0011】
本発明におけるイオン性液体は、構造的特徴として、ヘテロ原子を含む有機化合物からなるカチオンと、無機酸、有機酸などが解離してなるアニオンとからなる構造を有するが、特に限定するものではなく、従来知られた各種イオン性液体を用いることができる。本発明におけるイオン性液体は常温または常温付近において液体の状態であり、安定であるものが好ましく用いられる。また、下記一般式(1)、(2)および(3)で表されるカチオンと対アニオンの組み合わせからなるイオン性液体が特に好ましい。
【0012】
本発明においては上記の定義を満たす溶融塩であれば特に限定することなく用いることができるが、イミダゾリウム塩、ピラゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピリミジニウム塩、ピラジニウム塩、チアゾリウム塩、オキサゾリウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、およびテトラアルキルホスホニウム塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、中でもイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩がさらに好ましく、テトラアルキルアンモニウム塩が特に好ましい。
【0013】
【化1】

【0014】
一般式(1)中、R1およびR3は、それぞれ独立して総炭素数1〜30のアルキル基、総炭素数7〜40のアラルキル基を表す。R1およびR3のいずれか一方が総炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R1およびR3のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソペンチル基、n−ペンチル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、ヘキサデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられ、メチル基、n―オクチル基が好ましい。
【0015】
一般式(1)においてR1およびR3で表される総炭素数7〜40アラルキル基は、更に、総炭素数7〜25のアラルキル基であることが好ましい。上記アラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、2−フェニルビニル基、(2−ピリジニル)メチル基等が挙げられる。
【0016】
一般式(1)中、R2、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、総炭素数1〜10のアルキル基を表す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。総炭素数1〜10アルキル基は、更に、総炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソペンチル基、n−ペンチル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、n−ドデシル基、ヘキサデシル基等が挙げられる。
【0017】
上記R1〜R5で表されるアルキル基およびアラルキル基は、置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基が好ましい。
【0018】
【化2】

【0019】
一般式(2)中、R6は総炭素数1〜30のアルキル基または総炭素数7〜40のアラルキル基を表す。R6で表される総炭素数1〜30のアルキル基および総炭素数7〜40のアラルキル基は、一般式(1)におけるR1またはR3で表されるアルキル基およびアラルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0020】
一般式(2)中、R7〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、総炭素数1〜10のアルキル基を表す。R7〜R11で表されるハロゲン原子および総炭素数1〜10のアルキル基は、一般式(1)におけるR2、R4およびR5で表されるハロゲン原子およびアルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0021】
上記R6〜R11で表されるアルキル基およびアラルキル基は、置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基が好ましい。
【0022】
【化3】

【0023】
一般式(3)中、R12〜R15は総炭素数1〜30のアルキル基または総炭素数7〜40のアラルキル基を表す。R12〜R15で表される総炭素数1〜30のアルキル基および総炭素数7〜40のアラルキル基は、一般式(1)におけるR1またはR3で表されるアルキル基およびアラルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0024】
上記R12〜R15で表されるアルキル基およびアラルキル基は、置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、またはアシルオキシ基が好ましい。
【0025】
本発明におけるイオン性液体において、上記カチオンと組み合わせる対アニオンは、無機アニオン、有機アニオンのいずれでもあってもよい。無機アニオンとしては、例えば、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、テトラフルオロボレートイオン、トリフルオロメタンスルホネートイオン、またはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオン等が好ましく挙げられ、ヘキサフルオロホスフェイトイオン、またはビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドイオンが特に好ましい。また有機アニオンとしては、ポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、アリールカルボン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、または特開2003−300953号公報に記載のイオンが好ましく、中でもポリフルオロアルキルカルボン酸イオン、ポリフルオロアルキルスルホン酸イオン、または特開2003−300953公報記載のイオンが特に好ましい。これらは1種類のみ用いても良いし、複数の対アニオンを用いても良い。
【0026】
本発明において、熱接着層に含有させるイオン性液体はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用してもよく、添加量は熱接着層を構成する総固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0027】
本発明における熱接着層は常温では接着性を発現せず、加熱温度によって接着性を発現するため、カード等の基材に熱接着面を接触させた状態で、加熱もしくは加熱および加圧を行うことにより接着が可能となる。本発明における熱接着層を構成する材料としては、一般に知られている、ヒートシール剤、ホットプレス剤、ウェットラミ、ドライラミ等の接着剤から選択して使用可能である。具体的には酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂等を挙げることができる。熱接着剤は1種または2種以上の混合で使用することができ、必要に応じて適宜添加剤を加えても良い。熱接着層の塗布量は、0.1〜100g/m、より好ましくは0.5〜70g/m、さらに好ましくは1〜50g/mである。
【0028】
本発明に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるし、更に、透明、半透明或いは不透明のいずれであっても良く、密実、空洞含有のいずれであっても良い。合成樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムが耐熱性の点で好ましい。
【0029】
本発明に用いられるポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリキシリレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のフィルムがあげられる。好ましいポリエステルフィルムとしては、強靱性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、透明性、電気絶縁性に優れるPETフィルムまたはPENフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂フィルム内に空洞を含有しても良く、表面にコロナ処理等により易接着加工が施されていても良い。
【0030】
本発明に関わる可逆性感熱記録層は、熱により色調又は透明度が変化する材料を用いることができる。例えば、樹脂母材中に有機低分子を分散したもので、熱により透明状態と白濁状態を与える可逆性感熱材料や通常無色ないし淡色のロイコ染料に加熱により可逆的な色調変化を与える可逆性顕色剤を用いて、熱エネルギーを制御する事により画像形成及び消去が可能な可逆性感熱記録材料等が挙げられる。視認性の点では、ロイコ染料を用いた可逆性感熱記録材料が優れている。また、可逆性感熱記録層は、色調の異なる可逆性感熱記録層を複数層重ねても良い。加熱により染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤としては、公知のものを使用することができる。中でも下記一般式(4)で表されるものが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
【化4】

【0032】
一般式(4)において、XおよびXはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。ここで−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基の具体例としては、アミド(−CONH−、−NHCO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−NHCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−CONHCO−)、ジアシルヒドラジン(−CONHNHCO−)、しゅう酸ジアミド(−NHCOCONH−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCONHCO−)、セミカルバジド(−NHCONHNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNHCO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCHNHCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン(−CONHCHNHCONH−、−NHCONHCHNHCO−)、マロンアミド(−NHCOCHCONH−)等の基が挙げられる。R16は単結合または炭素数1から12の二価の炭化水素基を表す。R17は炭素数1から18の二価の炭化水素基を表す。好ましくは炭素数1から4の二価の炭化水素基である。R18は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表し、好ましくは炭素数6から24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数8から24の炭化水素基である。更に、R16、R17およびR18の炭素数の和が11以上35以下である場合が特に好ましい。R16、R17およびR18は主として、各々アルキレン基およびアルキル基を表す。R16の場合は、芳香環を含んでいてもよい。nは0から4の整数を表し、nが2以上のとき繰り返されるR17およびXは同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
本発明に用いられる一般式(4)で示される可逆性顕色剤において、nが0で、Xが両末端に炭化水素原子団を含まない−CONH−結合を最小構成単位とする二価の基であるものが特に好ましい。
【0034】
以下に一般式(4)で表される具体的化合物および本発明に用いることができる可逆性顕色剤の例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]カルバミン酸−n−オクタデシル、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキシル]カルバミン酸−n−テトラデシル、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]カルバミン酸−n−ドデシル、N−n−オクタデシルカルバミン酸−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]、N−n−デシルカルバミン酸−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]、N−n−テトラデシルカルバミン酸−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]、N−[2−(p−ヒドロキシフェノキシ)エチル]カルバミン酸−n−オクタデシル、N−[p−(p−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]カルバミン酸−n−ドデシル、N−n−オクタデシルカルバミン酸−[2−(p−ヒドロキシフェノキシ)エチル]、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノイル]−N−n−オクタデカノイルアミン、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N−(p−n−オクチルベンゾイル)アミン等。
【0036】
N−(p−ヒドロキシベンゾイル)−N′−n−ドコシルヒドラジン、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェノキシ)アセト]−N′−n−ドデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェノキシ)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェノキシ)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェノキシ)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオノ]−N′−n−ドコサノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデカノ]−N′−n−ドデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデカノ]−N′−10−ウンデセノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデカノ]−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデカノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N′−(6−フェニル)ヘキサノヒドラジド、N−[11−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ウンデカノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサノ]−N′−(p−n−オクチルベンゾ)ヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサノ]−N′−n−テトラデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサノ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[6−(p−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサノ]−N′−(p−n−オクチルベンゾ)ヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニルメチル)ベンゾ]−N′−n−オクタデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパノ]−N′−4−オキサヘキサデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパノ]−N′−4−チアヘキサデカノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパノ]−N′−12−オキサドコサノヒドラジド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパノ]−N′−12−チアドコサノヒドラジド等。
【0037】
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−テトラデシルオキサミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N´−n−テトラデシルオキサミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェノキシ)エチル]−N′−n−テトラデシルオキサミド、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェノキシ)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[3−(p−ヒドロキシフェノキシ)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ]−N′−4−チアヘキサデカノオキサミド、N−[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ]−N′−12−オキサドコサノオキサミド、N−[3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノ]−N′−12−チアドコサノオキサミド、N−[3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロピル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカニル]−N′−n−デシルオキサミド、N−[11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデシル]−N′−n−デシルオキサミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−p−ヒドロキシフェニルエチル−N′−12−チアドコシルオキサミド、N−p−ヒドロキシフェニル−N´−n−オクタデシルオキサミド等。
【0038】
N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−チアドコシル尿素、N−p−ヒドロキシベンジル−N′−12−オキサドコシル尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N′−n−ドデシル尿素、N−(p−ヒドロキシフェニル)−N′−n−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−ドデカノイル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[2−(p−ヒドロキシフェノキシ)エチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデカノイル尿素、N−[2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[2−(3,4−ジヒドロキシフェノキシ)エチル]−N′−n−オクタデシル尿素、N−[6−(p−ヒドロキシフェノキシ)ヘキシル]−N′−n−デシル尿素、N−[10−(p−ヒドロキシフェノキシ)デシル]−N′−n−デシル尿素等。
【0039】
4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセチル]−4−n−テトラデシルセミカルバジド、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカノイル]−4−n−デシルセミカルバジド、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンゾイル]−4−n−オクタデシルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−テトラデカノイルセミカルバジド、4−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−1−n−オクタデデカノイルセミカルバジド、4−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−1−n−オクタデカノイルセミカルバジド、1−(p−ヒドロキシフェニルエチル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド、1−(p−ヒドロキシベンジル)−4−(12−チアドコシル)セミカルバジド等。
【0040】
1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−ドデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−n−デカノイルアミノメタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−ドデシルウレイド)メタン、1−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−[11−(p−ヒドロキシフェニル)ウンデカンアミド]−1−(3−n−デシルウレイド)メタン、1−[p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド]−1−(3−n−オクタデシルウレイド)メタン、1−{3−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン、1−{3−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]ウレイド}−1−n−オクタデカノイルアミノメタン等。
【0041】
N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェニル)フェニル]−N′−n−オクタデシルマロンアミド、N−4−チアヘキサデカノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−12−チアドコサノイル−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイルアミド、N−n−オクタデシル−(p−ヒドロキシ)ベンズアミド、N−n−オクタデシル−2−(p−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、N−n−オクタデシル−3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、N−n−オクタデシル−6−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサンアミド、N−n−オクタデシル−p−(p−ヒドロキシフェニル)ベンズアミド、p−ヒドロキシ−n−オクタデカンアニリド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−n−オクタデカンアミド、p−(p′−ヒドロキシ)フェニル−n−オクタデカンアニリド、N−n−オクタデシル−2−(p−ヒドロキシフェノキシ)アセトアミド、N−n−オクタデシル−3−(p−ヒドロキシフェノキシ)プロパンアミド、N−n−オクタデシル−6−(p−ヒドロキシフェノキシ)ヘキサンアミド、N−n−デシル−11−(p−ヒドロキシフェノキシ)ウンデカンアミド、N−n−オクタデシル−p−(p−ヒドロキシフェノキシ)ベンズアミド、N−(p−ヒドロキシフェノキシ)メチル−n−オクタデカンアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェノキシ)エチル]−n−オクタデカンアミド、N−[p−(p−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]−n−オクタデカンアミド、(N−n−オクタデカノイル)グリシン−2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアミド、(N−n−テトラデカノイル)グリシン−2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアミド等。
【0042】
N−(p′−ヒドロキシベンジリデン)−N′−オクタデシルアミノカルボニルエチレンジアミン、N−(p′−ヒドロキシベンジリデン)−N′−オクタデシルアミノカルボニルテトラメチレンジアミン、N−(p′−ヒドロキシベンジリデン)−N′−オクタデカノイルエチレンジアミン、1−(p′−ヒドロキシベンジリデン)−4−オクタデシルセミカルバジド、1−(p′−ヒドロキシベンジリデン)−4−オクタデカノイルヒドラジド、(N−n−オクタデカノイル)−β−アラニン−2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアミド、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]−6−(n−オクタデカノイルアミノ)−n−ヘキサン酸アミド、[N−(p−ヒドロキシフェニル)−6−(N−n−オクタデシルカルバモイル)アミノ]ヘキサンアミド、[N−(p−ヒドロキシフェニル)−12−(N−n−テトラデシルカルバモイル)アミノ]ドデカンアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)−3−(n−オクタデカノイルアミノ)プロパンアミド、N−[5−(p−ヒドロキシフェニル)カルバモイル]ペンタノ−N′−(n−オクタデカノ)ヒドラジド、N−{5−[N−(4−ヒドロキシフェニル)カルバモイル]ペンチル}−N′−n−オクタデシルオキサミド、N−(n−オクタデシル)−N′−(p−ヒドロキシフェニル)ヘキサン−1,6−ジアミド等。
【0043】
ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラデシルホスホン酸、α−ヒドロキシルヘキサデシルホスホン酸、α−ヒドロキシオクタデシルホスホン酸、α−ヒドロキシエイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラコシルホスホン酸等。
【0044】
本発明に用いられる、可逆性顕色剤はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよく、通常無色ないし淡色の染料前駆体に対する使用量は、5〜5000質量%、好ましくは10〜3000質量%である。
【0045】
本発明に用いられる、通常無色ないし淡色の染料前駆体としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられるものがよく知られている。具体的な例としては、例えば下記に挙げるもの等があるが、本発明はこれに限定されるものではない。またこれら染料前駆体は、それぞれ1種または2種以上を混合して使用してもよい。
【0046】
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−n−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられる。
【0047】
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
【0048】
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)トリルアミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)イソアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル)シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル)テトラヒドロフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
【0049】
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
【0050】
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等が挙げられる。
【0051】
本発明で用いられる可逆性感熱記録層を得るために使用されるバインダーとしては例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、ゼラチン、カゼイン、澱粉、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル類、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス類、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等およびこれらの水酸基、カルボキシル基がイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ類等の架橋剤と反応し、硬化するポリウレタン等の熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂が挙げられる。これらの中で、特開平10−230680号公報や同11−58963号公報に記載の、ポリオール樹脂をイソシアネート化合物で架橋して得られる熱硬化性樹脂が好ましい。
【0052】
可逆性感熱記録層におけるバインダーの使用量としては、該可逆性感熱記録層全質量に対する該バインダー成分の質量百分率が35%以上65%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲より大きくなると著しく発色濃度が低下し、逆にこの範囲より小さくなると、可逆性感熱記録層の耐熱性や機械的強度が低下し、層の変形や発色濃度の低下が起きる。可逆性感熱記録層における該バインダー成分の質量百分率は、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下がなお一層好ましい。
【0053】
また、可逆性感熱記録層の発色感度および消色温度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記録層中に含有させることができる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。例えば、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等のワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等を併用して添加することができる。
【0054】
本発明の可逆性感熱記録層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、3〜15μmがより好ましい。
【0055】
本発明の可逆性感熱記録材料の層構成は、少なくとも可逆性感熱記録層からなるが、必要に応じて、保護層、各層の間に中間層を設けることや、支持体と可逆性感熱記録層の間に下引き層を設けることもできる。さらに、可逆性感熱記録層が設けられている面および/または反対側の面に、電気的、磁気的、光学的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、可逆性感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
【0056】
可逆性感熱記録層、保護層、必要に応じて用いる中間層や下引き層のいずれの層においてブロッキング防止のために、ケイソウ土、クレー、焼成クレー、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、水酸化アルミニウム、澱粉粒子、尿素−ホルマリン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン粒子等の顔料や、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、単独もしくは2種以上含有させることができる。また、レベリング剤、分散剤、界面活性剤、蛍光染料等を1種以上含有させることもできる。
【0057】
本発明に係わる保護層としては、硬化性樹脂を主成分とし、顔料含有しても良い。硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等の水酸基、カルボキシル基が架橋剤と反応し、硬化するものが挙げられる。この際の架橋剤としては、例えば、イソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ類等が挙げられる。
【0058】
電子線及び紫外線硬化樹脂に用いられるモノマーとしては、アクリル系に代表される単官能性モノマー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられるが、特に紫外線架橋の際には光重合開始剤、光重合促進剤を用いても良い。
【0059】
アクリル系モノマーの例としては、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート等が挙げられる。
【0060】
保護層の厚みは0.5〜10μmが好ましい。これより薄いと記録画像の形成と消去を多数回にわたって繰り返すことができず、また厚いと記録感度が低下する。保護層は複数の構成であってもよい。
【0061】
また、可逆性感熱記録層、保護層、必要に応じて用いる中間層や下引き層のいずれの層においても紫外線吸収剤や酸化防止剤を含有させることができる。
【0062】
紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシ)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート等のアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
【0063】
酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−P−クレゾール、2,6−ジ−ブチルフェノール、2,4−ジ−メチル−6−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−P−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N′−ジフェニル−P−フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ、β′−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等の硫黄系酸化防止剤、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド等のりん系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
【0064】
本発明に用いられる可逆性感熱記録材料の発色を行うには、加熱に引き続き急速な冷却が起これば良く、例えばサーマルヘッド、レーザー光等による加熱により可能である。また、加熱後ゆっくり冷却すれば消色し、例えば熱ロール、熱スタンプ、サーマルヘッド、高周波加熱、熱風、電熱ヒーター或いはハロゲンランプ等の光源からの輻射熱等を用いることにより行える。
【0065】
加熱に使用するレーザーとしては半導体レーザーやYAGレーザーを挙げることができるが、これらに限定されない。これらのレーザー光による加熱を効率よく行うためには、可逆性感熱記録層中に近赤外部に吸収を有する光熱変換材料を含有させるか、あるいは、該光熱変換材料を含有する光熱変換層を可逆性感熱記録層に直接隣接して設けることが好ましい。近赤外部に吸収を有する光熱変換材料としては、たとえば白金、チタン、シリコン、クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属または半金属の層、日本化薬製のIRG002(商品名)やIRG022(商品名)等のインモニウム化合物、金属錯体化合物、シアニン色素、スクワリリウム色素、ナフトキノン色素、フタロシアニン化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましい光熱変換材料としては、光熱変換効率、溶剤への溶解性、樹脂への分散性の点でフタロシアニン化合物および金属錯体化合物が挙げられる。光熱変換材料は単独使用はもとより、2種類以上を混合して用いることができる。その添加量は1mg/mから200mg/mが適当であり、5mg/mから50mg/mが好ましい。この量より少ないと画像消去に必要なエネルギーを十分に低減できず、印字消去の繰り返し特性が劣化する。またこの量より多いと、光熱変換材料が若干なりとも有している可視部の吸収が大きくなりすぎて画像の視認性が低下する。
【0066】
本発明の可逆性感熱記録材料を構成する各層を支持体上に形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平板、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。さらに通常の乾燥工程の他、UV照射・EB照射により各層を保持させることができる。これらの方法により、1層ずつあるいは多層同時に塗工、印刷することができる。
【0067】
実施例
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数は質量基準である。
【0068】
<可逆性感熱層塗液1の作製>
染料前駆体である3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部、N−[2−(p−ヒドロキシフェニル)アセト]−N′−n−オクタデカノヒドラジド100部をポリエステルポリオール50部(武田薬品工業製タケラックU−21、水酸基価500(ソリッド)、不揮発分70%)、メチルエチルケトン950部の混合物を、ガラスビーズと共にペイントシェーカーで12時間分散し、分散液を得た。次いでイソシアネート化合物119部(日本ポリウレタン工業製コロネートL、NCO含有量13.2%、不揮発分75%)およびメチルエチルケトン62部を加え、よく混合し、可逆性感熱層塗液1を作製した。
【0069】
<可逆性感熱層塗液2の作製>
ステアリン酸6部、エイコサン2酸4部、フタル酸ジイソデシル2部、塩化ビニル/酢酸ビニル/リンエステル共重合体(電気化学工業(株)製、デンカビジール#1000P)20部、テトラヒドロフラン150部、トルエン15部の混合物をガラスビーズと共にペイントシェーカーで12時間分散し、可逆性感熱層塗液2を作製した。
【0070】
<保護層塗液1の作製>
ポリエステルポリオール100部(大日本インキ化学工業製バーノック11−408)、イソシアネート化合物140部(日本ポリウレタン工業製コロネートL)、メチルエチルケトン500部を加え良く混合し、保護層塗液1を作製した。
【0071】
<保護層塗液2の作製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂100部(大日本インキ化学工業製ユニディックV−4205)、平均粒径1.2μmのシリカ粒子10部(東ソー・シリカ製ニップシールSS−50F)、メチルエチルケトン500部をよく混合し、保護層塗液2を作製した。
【0072】
<熱接着層塗液1の作製>
ポリウレタン樹脂系ホットメルト接着剤220部(大日本インキ化学工業製タイフォースNT810;固形分濃度45%)、化合物(I−1)に示したイオン性液体5部、メチルエチルケトン275部をよく混合し、熱接着層塗液1を作製した。
【0073】
<熱接着層塗液2の作製>
ポリエステル樹脂系ホットメルト接着剤330部(東亜合成製アロンメルトPES−360S30;固形分濃度30%)、化合物(I−1)に示したイオン性液体5部、メチルエチルケトン165部をよく混合し、熱接着層塗液2を作製した。
【0074】
<熱接着層塗液3の作製>
ポリウレタン樹脂系ホットメルト接着剤220部(大日本インキ化学工業製タイフォースNT810;固形分濃度45%)、メチルエチルケトン280部をよく混合し、熱接着層塗液3を作製した。
【0075】
<熱接着層塗液4の作製>
ポリウレタン樹脂系ホットメルト接着剤220部(大日本インキ化学工業製タイフォースNT810;固形分濃度45%)、高分子カチオン導電剤5部(綜研化学株式会社製エレコンド)、メチルエチルケトン275部をよく混合し、熱接着層塗液4を作製した。
【0076】
<熱接着層塗液5の作製>
ポリウレタン樹脂系ホットメルト接着剤220部(大日本インキ化学工業製タイフォースNT810;固形分濃度45%)、針状導電性フィラー5部(石原産業株式会社製FT−3000)、メチルエチルケトン275部をよく混合し、熱接着層塗液5を作製した。
【0077】
【化5】

【実施例1】
【0078】
可逆性感熱層塗液1を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/mとなる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、保護層塗液1を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温した。その上に、保護層塗液2を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成した。可逆性感熱層に対して反対面に熱接着層塗液1を固形分塗工量5.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥し、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例2】
【0079】
可逆性感熱層塗液1を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/mとなる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、保護層塗液1を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温した。その上に、保護層塗液2を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成した。可逆性感熱層に対して反対面に熱接着層塗液2を固形分塗工量5.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥し、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例3】
【0080】
可逆性感熱層塗液2を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/mとなる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、保護層塗液1を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温した。その上に、保護層塗液2を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成した。可逆性感熱層に対して反対面に熱接着層塗液1を固形分塗工量5.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥し、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例4】
【0081】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の添加量を0.05部とした以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例5】
【0082】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の添加量を0.5部とした以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例6】
【0083】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の添加量を12部とした以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例7】
【0084】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の添加量を20部とした以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例8】
【0085】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の代わりに、イオン性液体(I−2)を添加した以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例9】
【0086】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の代わりに、イオン性液体(I−3)を添加した以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例10】
【0087】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の代わりに、イオン性液体(I−4)を添加した以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【実施例11】
【0088】
実施例1で用いた熱接着層塗液1において、イオン性液体(I−1)の代わりに、イオン性液体(I−5)を添加した以外は、実施例1と同様にして、可逆性感熱記録材料を作製した。
【0089】
(比較例1)
可逆性感熱層塗液1を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/mとなる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、保護層塗液1を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温した。その上に、保護層塗液2を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成した。可逆性感熱層に対して反対面に熱接着層塗液3を固形分塗工量5.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥し、可逆性感熱記録材料を作製した。
【0090】
(比較例2)
可逆性感熱層塗液1を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/mとなる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、保護層塗液1を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温した。その上に、保護層塗液2を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成した。可逆性感熱層に対して反対面に熱接着層塗液4を固形分塗工量5.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥し、可逆性感熱記録材料を作製した。
【0091】
(比較例3)
可逆性感熱層塗液1を厚さ250μmの白色ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(パナック製ルミラー250−E22)に、固形分塗工量7.7g/mとなる様に塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温し、可逆性感熱記録層を形成した。その上に、保護層塗液1を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、さらに50℃にて48時間加温した。その上に、保護層塗液2を固形分塗工量4.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化させ、保護層を形成した。可逆性感熱層に対して反対面に熱接着層塗液5を固形分塗工量5.0g/mとなるように塗工し、100℃で1分乾燥し、可逆性感熱記録材料を作製した。
【0092】
以上のように作製した可逆性感熱記録材料について評価試験を行った。結果は表1に示すとおりとなった。実施例および比較例で得た可逆性感熱記録材料を使用して、20℃・相対湿度60%の条件下で、横河ヒューレットパッカード社製の高抵抗計を用いて熱接着層面の表面抵抗を測定した。この表面抵抗が小さいほど導電性が大きく、本発明における効果が高い。また、表面電位として、川口電気社製のペーパーアナライザーで6kVを15秒間チャージしたときの表面電位V0と、10秒後の表面電位V10を測定した。表面電位は、チャージ直後と経時で測定することによって、可逆性感熱記録材料の帯電とその減衰を測定しており、いずれも値の低い方が帯電していないことを表しており、発明の効果が大きい。さらに、同一の可逆性感熱記録材料シート10枚を同じ方向に密着するように重ねあわせ、100時間静置後、シート間の張り付き、ブロッキングによる塗層の剥離を観察した。表1において、○は張り付き・剥離のいずれも観察されず、△は引き離す際にやや抵抗感があり、×は静電気による張り付きに加え塗層の剥離を生じたものをそれぞれ示した。いずれの評価においても本発明における実施例サンプルは優れた帯電防止性能を示した。
【0093】
また、実施例および比較例で得た可逆性感熱記録材料を京セラ製8dot/mmのサーマルヘッドによって印加パルス幅2.0ミリ秒、印加電圧21ボルトの条件で印字し、得られた発色画像を、濃度計マクベスRD918を用いて発色濃度として測定した。さらに、印字面を観察して、埃等の異物付着による印字欠けの有無を評価した。これらの結果を表1に示した。これらの評価において本発明における実施例サンプルは優れた発色性を持ち、且つ帯電による印字不良が認められないことを示した。
【0094】
さらに、実施例および比較例で得た可逆性感熱記録材料の可逆性感熱記録面に対して裏面にISO15693に準拠したICタグを接着し、マーステクノサイエンス社製無線ICリーダーICR−200Fを用いて可逆性感熱記録面側からのICタグ信号の読み取り性能を評価した。1サンプルに付き50回の最短読み取り距離を測定し、その平均値を表1に示した。距離がより長くても読み取れるサンプルが無線に対する遮蔽性が低く、発明の効果が大きい。これらの評価において本発明における実施例サンプルは優れた透明性を示し、かつ無線ICタグ読み取り時の遮蔽が少なく、優れた性質を示した。
【0095】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、可逆性感熱記録層を設けた可逆性感熱記録材料において、該記録層に対して反対側の面にイオン性液体を含有する熱接着層を設けることを特徴とする可逆性感熱記録材料。
【請求項2】
可逆性感熱記録層が通常無色ないし淡色の染料前駆体および、加熱により該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤を含有する請求項1記載の可逆性感熱記録材料。

【公開番号】特開2007−223114(P2007−223114A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45387(P2006−45387)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】