説明

可食性攪拌ツールの製造方法およびこの方法により製作されるツール

長尺形態で小さなサイズの本体(1)を可食性食品生地から形成することと、最適焼成温度に達するのに充分な湿度を本体(1)が失うまで本体に熱作用を印加することと、甘味料および/または香味料(4)を本体(1)に添加することと、これにより後でユーザが消費するため、飲み物、例えばコーヒーを攪拌するためのツールを製造することとを包含する、可食性攪拌ツールを製造するための方法およびこの方法により製作されるツール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第一の態様は、可食性攪拌ツールを得るための方法に関連し、本発明の第二の態様は、この方法によって得ることができる可食性攪拌ツールに関連しており、食品産業への適用が可能であり、飲み物、クリーム、ピューレ、パン粥に甘味を与える、および/または香味を加えることのできるツールを低コストの効果的な方法で得ることができ、後でユーザが消費できるようにツールを利用して結果的にユーザに感謝され、こうしてツールの廃棄に関連するすべての作業を回避することで、結果的に付随する費用を節約する。
【背景技術】
【0002】
通常は小型スプーンで運ばれるコーヒーや紅茶などの飲み物に、特に、例えば砂糖などの甘味料を溶かすために飲み物を攪拌することのできる様々な用具およびツールが現在知られている。
【0003】
通常は香味物質をハウジングに入れて香味物質を液体に浸すことにより実施されて飲み物に香味を付与できる一方で、同時に完全な混合が防止される、つまり、通常は粉末状の葉などの固体成分を包含する香味物質をハウジングに残留させることで、液体と混ざるという不快な状態を回避する用具も知られている。
【0004】
ケータリングの分野では、飲み物を攪拌または混合するのに使用されるスプーンは、通常は金属製であり、ゆえにユーザによる使用の後で、担当者がツールの回収および洗浄の作業を行う必要があり、結果的に付随のコストを伴う。
【0005】
他方、空港での料理またはケータリングサービスなどの運搬分野では特に、スプーンはプラスチック製でなければならず、フライト中に少なくとも片付けおよび保管を必要とする結果、このタイプの運搬に必要とされる積荷およびスペースに関する要件を考慮すると特に、不都合である。
【0006】
以下に提示する様々な発明は、これらの欠点を解決する、つまり甘味料とこれを飲み物中で攪拌して溶かすためのツールとを一つの同じ用品に統合するという目的のために考案された。
【0007】
特許文献1は、ユーザがコーヒーや紅茶などの飲み物を攪拌する時に徐々に溶ける可食性の甘味付けスプーンに関連する。このスプーンは二つの部分、つまり楕円形で甘味料から作られた機能部分と、チョコレートまたはクッキーなど、やはり可食性であるが必ずしも可溶性の製品ではないハンドルとで形成される。
【0008】
同様に特許文献2は、飲み物を甘くするか香味を与えて、後で飲み物を攪拌することができ、それから攪拌具をユーザが消費できるように形成された可食性の甘味および/または香味付与攪拌具に関連している。
【0009】
この攪拌具は、両端部が密閉された管形であって中に甘味料を収容する、クッキー、チョコレート、またはキャンディーである外側容器本体を具備する。
【0010】
特許文献3は、前述のものと同じ目的および用途を有し、形態に関して違いを持つ、飲み物用の可食性甘味および/または香味付与スプーン攪拌具に関連する。
【0011】
このスプーン攪拌具は、甘味料の入った凹部を端部の一方に有する長尺形のプレートの形態を有する、可食性材料のための保持本体によって製作されている。スプーンは、タブレット形の甘味料または他の可溶性製品を入れることのできる凹部または中空部を有する可食性のハンドルを具備する。保持本体の組成は、かなりの密度で軟化が容易でなく、液体の攪拌を可能にするとともに摂食が容易かつ快適な、可食性の材料によるものである。
【0012】
上述の用具を得るために、保持本体にスロットまたは開口部を形成する必要を伴う一連の作業の実施が必要とされ、結果的に、時間の無駄とこのような本体の破損の危険とが生じる。
【0013】
他方、カフェテリア、レストラン、飛行機内での使用箇所への運搬作業中には、これらの用具は甘味料を残留させるための手段を何も有していないため、本体での配置を考えると、通常は甘味料の剥離が発生する。
【0014】
最後に、飲み物の液体が存在する状態にある時に温度とともに増加する作用である、保持本体の軟化を効果的に防止する手段も、これらの用具は具備しておらず、このプロセスは飲み物が高温である時に加速され、こうして、飲み物を攪拌するという機能をツールが失ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】スペイン実用新案公報番号第ES−1059718−U号明細書
【特許文献2】スペイン実用新案公報番号第ES−1061351−U号明細書
【特許文献3】スペイン実用新案公報番号第ES−1063369−U号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第一の態様は、可食性攪拌ツールを得るための方法に関連し、本発明の第二の態様は、この方法により得ることができる可食性攪拌ツールに関連し、香味および/または甘味を付与するのと同時に、低コストの一連のステップにより飲み物、クリーム、ピューレ、パン粥すべての攪拌を可能にする有効なツールを得ることができ、ユーザにより後で消費されるようにツールが利用され、結果的にユーザに歓迎されて、このツールの廃棄に関連する作業すべてを回避し、結果的に、特にケータリング分野で付随する経済的な節約を可能にする。
【0017】
本発明により提案される可食性攪拌ツールを得るための方法は、以下のステップを包含する。
a)少なくとも一種類の食品を包含する可食性の生地から長尺形態の本体を形成し、製造が迅速となるように本体が単体の形態を有することが好ましい、ステップと、
b)最適調理温度に達するのに充分な湿度を本体が失うまで、好ましくはオーブンで実行される効果的制御による熱作用を本体に印加するステップと、
c)例えば砂糖またはショ糖などの少なくとも一種類の甘味料および/または香味料を、被覆、挿入、埋設のいずれかにより本体に付着させるステップ。
【0018】
この説明において、最適調理温度は、本体を得るための生地が堅い固体の形態を維持するのに充分なほど堅く頑丈で耐性を持ち、この方法によって得られるツールが飲み物の攪拌に使用される時に液体の存在下で堅さを維持するのに充分な耐性を有する状態または条件であると理解される。
【0019】
記載の方法により得られる可食性ツールの好適な用途は、コーヒーまたは紅茶などの飲み物を攪拌して砂糖などの甘味料を溶かすことであるが、ユーザが消費するための例えばアイスクリームなど他の食品を少量含有するように、スプーンのようにしてツールを使用する可能性も考えられる。
【0020】
こうして得られるツールは、スプーンおよび/または攪拌具として使用されるように形成されて、上述のステップa)でいかなるサイズおよび形を取ることが可能な、可食性、ゆえに生物分解性の材料による単一の本体により作られる。
【0021】
例えば、チョコレート、バニラ、バターなどが何らかの種類の小麦粉またはナッツとともに充填された様々な混合物から得ることができる、例えばチョコレート、キャンディー、クッキー生地など、何らかの種類の食品またはその混合物を製品生地が包含するのに対して、例えばチョコレート、オレンジ、ミント、レモンなど何らかの種類の香味を香味料が包含するという可能性も考えられる。
【0022】
ステップb)で調理が実行されるが、その特性により、液体の存在下での、つまり液体との接触による軟化に対する充分な耐性が塊体に与えられる。
【0023】
ステップb)の後で、不浸透性膜を包含する光沢のあるまたはつや消しの表面仕上げを本体に施すことを本発明の方法が包含するという可能性が考えられる。こうすると、クッキーに液体がすぐに含浸されることを防止する目的で外側輪郭全体に不浸透性の層を本体が有することで、軟化に対する耐性が強められ、より長時間にわたってツールとしての機能を果たし続けることが可能になる。
【0024】
前の段落で説明された不透過性膜は、より高い不浸透性の能力を付与する親水コロイド溶液の脱水によって得ることが好ましい。
【0025】
甘味料および/または香味料を包含するゼラチン状物質で本体の基端部を被覆することを、ステップc)が包含するという可能性も考えられる。このゼラチン状物質が次に、凝固するまで乾燥されることで、このすでに凝固したゼラチン状物質が最終的に、液体の存在下で溶解するように構成される。
【0026】
こうして可食性材料の本体は、必要量の甘味料を混合物に含有するとともに何らかの液体との接触時に溶解する固体状態のゼラチン状物質により、端部の一方が覆われる。
【0027】
ゼラチン状物質は、炭水化物、繊維、親水コロイドの溶液を、甘味料および/または香味料とともに包含することが好ましい。
【0028】
甘味料または可能な香味料による様々な混合物を含有する炭水化物、繊維、親水コロイドの溶液をゲル化することにより、本体の端部の一方、好ましくはツールを把持または保持するための端部と反対の端部が覆われる。
【0029】
ゲル化とは、液体の粘度、甘味料のレベル、そして乾燥時間に応じて、冷却時の液体または略液状ペーストの凝固である。いったん凝固すると、低温と高温のいずれかの液体が存在する時に、ゼラチン状物質は後で再溶解する、つまり液状に戻って、所望の程度の甘味または香味を飲み物に与える。
【0030】
本体の基端部は、甘味料および/または香味料を収納するように形成された少なくとも一つの空洞またはオリフィスを有するという可能性が考えられる。
【0031】
こうして、一つまたは複数の空洞または穴に含有されるゼラチンによって覆われる本体のエリアにより、空洞の数に応じて、高濃度の甘味料と、そのためツールが提供できる甘味度の調整とが可能になる。
【0032】
さらに、紅茶、コーヒー、カモミールティー、ミルクなど予定される様々な製品に応じて、例えばチョコレート、オレンジ、ミント、レモンなど、香味料が有する様々な香味を、ゼラチン状物質によって混合物に含めることができる。
【0033】
本発明の方法によりこのツールを得る時、単一の物品により常に作業が行われるので製造プロセスのコストを低下させ、例えば一杯のコーヒーを消費する動作に付加価値を与える四つの機能を単一の製品で得ることができ、スプーン、クッキー、チョコレート、砂糖を単一の製品に含めることができる。
【0034】
こうしてゼラチンを含有することで、当該技術の用具での顕著な欠点である輸送中の甘味料の剥離を防止する。
【0035】
本発明の変形実施形態によれば、ステップb)の前に、本体に空洞を設けることと、少なくとも一種類の甘味料および/または香味料をこの空洞に挿入することとを包含するステップb1)が方法に包含されることが考えられる。
【0036】
同様に、ステップb1)の後で、密封要素によって空洞を閉鎖することを包含するステップb2)が方法に包含されてもよい。この密封要素は本体と同じ可食性生地から得ることが好ましいが、他の物質であってもよい。例えば、本体がクッキー生地で密封要素がチョコレートであってもよい。
【0037】
好適な実施形態によれば、ステップa)の本体の形状は、本体のサイズおよび得られた形がグラスおよび/またはカップに収容される飲み物の攪拌を可能にする、つまり、得ることができるツールが小さなサイズであるようなものである。
【0038】
本発明の第二の態様は、形の点でいかなる形態をも有することができ、好ましくは長尺で楕円形、矩形、屈曲、または管形の平面形状を持つ平面状である、前述した方法のいずれかによって得ることができる可食性攪拌ツールに関連する。
【0039】
本発明により提案されるツールの好適な実施形態によれば、本体は平面状で楕円形の平面形状を有し、尖鋭でない形状の基端部および末端部を有し、末端部はユーザによるツールの保持のために形成されている。
【0040】
これから行う説明を補うため、そして好適な実用的実施形態による発明の特徴の充分な理解を助けるため、説明の一体的部分として一組の図面が添付され、例示的かつ非限定的な性格を持つものとして以下が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明により提案される方法により得ることができる攪拌ツールの好適な実施形態について、長手方向断面を立面図により示す。
【図2】本発明の方法により得ることができるツールの変形実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
提示される図から、発明の第一の態様の可能な実施形態の一つにおいて、可食性攪拌ツールを得るための方法が以下のステップをどのように包含するかが理解できる。
a)少なくとも一種類の食品を包含する可食性生地から長尺形態の本体(1)を形成するステップ。
b)最適調理温度に達するのに十分な湿度を本体(1)が失うまで、オーブンにおいて効果的制御による熱作用を本体(1)に印加するステップ。
c)少なくとも一種類の甘味料および/または香味料(4)を本体(1)に付着するステップ。
【0043】
製品生地は小麦粉に加えてクッキー生地を包含するのに対して、甘味料(4)は砂糖である。
【0044】
ステップb)の後で、より高い浸透性能力を付与する親水コロイド溶液の脱水により得られる不浸透性膜を包含する光沢のある表面仕上げを本体(1)に施すことが、本発明の方法に包含される。
【0045】
同様に、ステップc)は、図1に見られるように、甘味料および/または香味料(4)に加えて炭水化物、繊維、親水コロイドの溶液を包含するゼラチン状物質を、本体(1)の基端部(2)に被覆することを包含する。このゼラチン状物質は次に、凝固するまで乾燥されることにより、この固化されたゼラチン状物質が最終的に液体の存在下で溶解するように構成されている。
【0046】
本発明の変形実施形態によれば、図2に示されたツールを得るため、ステップb)の前に、本体(1)に空洞(3)を設けることと、少なくとも一種類の甘味料および/または香味料(4)をこの空洞(3)に挿入することとを包含するステップb1)が、方法に包含される。ステップb1)の後で、本体と同じ可食性生地から得られる密封要素により空洞(3)を閉鎖することを包含するステップb2)が、この方法に包含される。
【0047】
本発明の第二の態様は、前述の方法のいずれかにより得られる可食性攪拌ツールに関連する。
【0048】
図1に見られるように、可食性攪拌ツールは、楕円形平面形状を有し、尖鋭でない形態の基端部(2)および末端部(2’)を有し、末端部(2’)がユーザによりツールを保持するように形成されるという平面状の本体(1)を包含する。図1に見られるように、基端部(2)が甘味料(4)で被覆されている。
【0049】
図2は、本発明の方法により得られるツールの変形実施形態を示し、本体(1)が基端部(2)に有する空洞(3)に配置された甘味料(4)を見ることができる。
【0050】
この説明および一組の図から、説明してきた本発明の実施形態を発明の目的の中で多くの方法で組み合わせられることを当該技術の熟練者は理解するだろう。いくつかの好適な実施形態により本発明を説明したが、クレームに記載された発明の目的を逸脱することなく多数の変形を好適な実施形態に導入できることが、当該技術の熟練者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ、
a)少なくとも一種類の食品を包含する可食性生地から長尺形態の本体(1)を形成するステップと、
b)最適調理温度に達するのに充分な湿度を前記本体(1)が失うまで、効果的制御による熱作用を前記本体(1)に印加するステップと、
c)少なくとも一種類の甘味料および/または香味料(4)を前記本体(1)に付着するステップと、
を包含することを特徴とする、可食性攪拌ツールを得るための方法。
【請求項2】
ステップb)の後で、不浸透性膜を包含する表面仕上げを前記本体(1)に塗布することを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面仕上げが光沢を持つ、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面仕上げがつや消しである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
親水コロイド溶液の脱水によって前記不浸透性膜が得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ステップc)が、少なくとも一種類の甘味料および/または香味料(4)を包含するゼラチン状物質で前記本体(1)の基端部(2)を被覆することと、凝固までゼラチン状物質を乾燥させ、前記凝固ゼラチン状物質が液体の存在下で溶解するように形成されることとを包含する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記ゼラチン状物質が、炭水化物、繊維、親水コロイド、前記少なくとも一種類の甘味料および/または香味料(4)を包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基端部(2)が、前記少なくとも一種類の甘味料および/または香味料(4)を収納するように構成された少なくとも一つの空洞(3)を有する、請求項6または7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ステップb)の前に、前記本体(1)に空洞(3)を形成することと、前記少なくとも一種類の甘味料および/または香味料(4)を前記空洞(3)へ挿入することとを包含するステップb1)を包含する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
ステップb1)の後で、密封要素により前記空洞(3)を閉鎖することを包含するステップb2)を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記本体(1)と同じ可食性生地から前記密封要素が得られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップa)での前記本体(1)の形状が、前記本体(1)のサイズおよび得られた形により、グラスおよび/またはコップに入れられた飲み物の攪拌が可能であるようなものである、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つにより得ることができる可食性攪拌ツール。
【請求項14】
前記本体(1)が平面状であり、尖鋭でない形態の基端部(2)および末端部(2’)を有する楕円形の平面形状を有し、前記末端部(2’)がユーザによる前記ツールの保持のために構成される、請求項13に記載のツール。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−536362(P2010−536362A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521451(P2010−521451)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/ES2007/000490
【国際公開番号】WO2009/024624
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510048794)サックスプーンワークショップ,ソシエダッド リミターダ (1)
【Fターム(参考)】