説明

台車搬送機器及び台車搬送装置

【課題】製造ラインで搬送物を搬送するのに必要な動力を抑える。
【解決手段】レール111は、製造ラインに沿って配置される。駆動ローラ204A及び従動ローラ204Bは、レール111による搬送方向に沿って配置される。駆動ローラ204Aは、モータ202によって、レール111に載った台車102を搬送方向に搬送する向きに回動する。ベルト205は、駆動ローラ204Aの回動軸と、従動ローラ204Bの回動軸とに掛け渡される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに載せられた台車を動かす台車搬送機器、及び、この台車搬送機器を用いて台車を製造ラインに沿って搬送する台車搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の組立ラインに用いられるフレキシブル・ドライブ・システムがある(例えば、非特許文献1)。このフレキシブル・ドライブ・システムは、レール上にある複数の台車を連続的に密着させ、レール終端位置に配置されたブレーキローラで連続台車列を制御するものである。
【0003】
特許文献1に記載の搬送装置は、このフレキシブル・ドライブ・システムが有する種々の課題の解決を図っている。特許文献1では、この搬送装置によって、複数の駆動モータを分散配置して搬送ラインへの台車搭載タイミングを変化させることにより、単純な機構および制御で各台車集合体間の搬送ピッチを自由に設定できる組立ラインを構築することができる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−168689公報(段落番号0049、図1)
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“DAIFUKU│事業・製品│自動車生産用物流システム事業の主要製品”、[online]、平成21年3月31日、株式会社ダイフク、[平成21年5月21日検索]、インターネット<URL:http://www.daifuku.co.jp/business/afa/afa_products_index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の搬送装置では、分散配置の複数の駆動ローラ機構41の少なくとも1つが、常に、H形鋼により形成された動力伝達体18を移動させている(特許文献1の段落番号0030参照)。このため、製造ラインにおいて、駆動ローラ機構41が、製造ラインの長さを動力伝達体18で除した数だけ必要になる。しかしながら、省エネが叫ばれる中、製造ラインで消費されるエネルギーの削減が求められている。このため、駆動ローラ機構41をはじめとする搬送物を搬送するための動力源の動力を低減することが望ましい。
【0007】
本発明の目的は、製造ラインで搬送物を搬送するのに必要な動力を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の台車搬送機器は、台車を案内するレールに沿って配置され当該台車に接触して当該レールによる搬送方向に搬送する複数のローラと、モータを有し一の前記ローラを回転させる駆動部と、前記回転するローラの回転力を他の前記ローラに伝達する回転力伝達部と、を備える。
【0009】
本発明の台車搬送装置は、台車を案内するレールと、前記レールに沿って配置され当該台車に接触して当該レールによる搬送方向に搬送する複数のローラと、モータを有し一の前記ローラを回転させる駆動部と、前記回転するローラの回転力を他の前記ローラに伝達する回転力伝達部と、を備え、前記レールに沿って配置される複数の台車搬送機器と、個々の前記台車搬送機器のモータを独立に制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一つの動力源によってレールに沿って配置される複数のローラが連動して回動する。このため、一つの台車搬送機器による台車の搬送距離は、この台車搬送機器におけるローラの取付間隔分だけ長くなる。よって、台車の長さをローラの取付間隔分だけ短くし、製造ラインに沿って動く台車及び搬送物を動かすのに要する動力を少なくすることができる。また、製造ラインに配置する台車搬送機器の個数を減らすこともできる。いずれにしても、製造ラインで搬送物を搬送するのに必要な動力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】台車搬送装置の概要を示す模式図である。
【図2】台車がレールに載った状態を示す台車搬送装置の斜視図である。
【図3】図2とは異なる方向から見た台車の斜視図である。
【図4】基礎構造物に取り付けられた状態の台車搬送機器の斜視図である。
【図5】台車搬送機器の側面図である。
【図6】台車搬送機器の平面図である。
【図7】(a)及び(b)は、台車を搬送する台車搬送装置を示す側面図である。
【図8】(a)は、台車搬送機器を用いずローラによって台車を搬送する様子を示す説明図であり、(b)及び(c)は、台車搬送機器を用いて台車を搬送する様子を示す説明図である。
【図9】駆動ドライブユニットが行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態について、図1及び図9に基づいて説明する。図1は、台車搬送装置101の概要を示す模式図である。台車搬送装置101は、自動車の製造ラインの一部をなしている。この台車搬送装置101で搬送される自動車の車体106は、搬送途中で塗装用機器(図示せず)によって塗装される。
【0013】
台車搬送装置101は、レール111と、複数の台車搬送機器201と、制御部としての駆動ドライブユニット112とを備える。
【0014】
レール111は、工場内に、自動車の製造ラインに沿って配置される。このレール111は、台車102の車輪103を載せて、台車102を製造ラインに沿って、レール111による搬送方向の下流側に案内する。
【0015】
台車102は、車輪103とフレーム104と車体支持具105とを備える。車体支持具105に塗装前の車体106を支持する。台車102の詳細は、図2及び図3に基づいて後述する。
【0016】
台車搬送機器201は、レール111に載っている台車102のフレーム104に接触し、モータ202の駆動によってこの台車102を製造ラインの前方に送り出す。台車搬送機器201は、レール111に沿って等間隔に複数配置される。各台車搬送機器201は、台車搬送機器201のフレーム104の長さ分だけ、搬送方向に沿って互いに離間する。台車搬送機器201の詳細は、図4、図5、図6、図7(a)及び図7(b)に基づいて後述する。
【0017】
駆動ドライブユニット112は、情報処理を行うコンピュータ(図示せず)と、各台車搬送機器201のモータ202に対応する制御スイッチ(図示せず)とを有する。この駆動ドライブユニット112は、コンピュータ制御によって制御スイッチを切り替え、各台車搬送機器201に備わるモータ202を独立に制御する。
【0018】
台車搬送装置101は、さらに複数のセンサ113も備える。各センサ113は、台車搬送装置101の間に配置される。センサ113は、それぞれ、このセンサ113の搬送方向上流側に位置する台車搬送機器201に対応する。センサ113は、減速用センサ114と停止用センサ115とを含む。停止用センサ115は、減速用センサ114よりも搬送方向下流側に位置する。減速用センサ114及び停止用センサ115は、一例として、反射型のフォトセンサである。減速用センサ114及び停止用センサ115は、製造ラインにおける通過箇所116にある物体をセンシングし、そのセンシング結果に応じた電気信号を駆動ドライブユニット112に出力する。通過箇所116は、レール111に沿って搬送される台車102及び車体106の少なくとも一方が通過する予め定められた位置である。一例として、通過箇所116は、図1に示すように、前後に隣り合う台車搬送機器201に挟まれる領域の略中央位置である。そして、レール111に沿って搬送方向の下流側に移動する台車102の先端がこの通過箇所116に到達すると、まず減速用センサ114が台車102をセンシングし、続いて停止用センサ115が台車102をセンシングする。
【0019】
このような台車搬送装置101において、駆動ドライブユニット112は、個々の台車搬送機器201のモータ202を独立に制御する。モータ202が駆動すると、台車搬送機器201に備わるローラ204(図2参照)が回動する。そして、ローラ204は、車体106を車体支持具105に支持させた台車102をレール111による搬送方向の下流側に送り出す。また、駆動ドライブユニット112がモータ202を停止すると、ローラ204の回動が停止し、それに伴って台車102が停止する。
【0020】
図2は、台車102がレール111に載った状態を示す台車搬送装置101の斜視図である。図3は、図2とは異なる方向から見た台車102の斜視図である。台車102を構成するフレーム104は、平行に向く二本の棒状部材107を有する。棒状部材107は、二つの連結部材108によって連結される。連結部材108は、棒状部材107に対し直交する向きに配置される部材である。各連結部材108は、棒状部材107の長さ方向に異なる箇所に位置する。そして、各連結部材108は、それぞれの両端部分が溶接等によって棒状部材107に固定される。台車102には、四つの車輪103が備わる。各車輪103は、各棒状部材107において台車102の外側を向く側面で、連結部材108と棒状部材107との連結箇所の近傍に取り付けられる。台車102には、二つの車体支持具105が取り付けられる。各車体支持具105は、連結部材108の上方に位置付けられる。各車体支持具105は、四本の脚部109と接触部110とを有する。各脚部109は、U字ボルト(図示せず)を用いて脚部109を棒状部材107に固定するためのボルト孔109aを有する。また、接触部110は、車体支持具105の上面から上方に突出する。そして、接触部110には、車体106(図1参照)の内側面が接触する。なお、図2では、車体支持具105は102から取り外されている。
【0021】
レール111は、図2に示すように、台車102の車輪103の左右間隔と一致する間隔で延びる。このレール111は、工場の床面に設置される基礎構造物117によって、床面から離れた高さ位置に水平に配置される。レール111の内側には、台車搬送機器201が配置される。台車搬送機器201は、基礎構造物117に固定的に取り付けられる。
【0022】
図4は、基礎構造物117に取り付けられた状態の台車搬送機器201の斜視図である。図5は、台車搬送機器201の側面図である。図6は、台車搬送機器201の平面図である。台車搬送機器201は、基部203と、複数のローラ204と、回転力伝達部としてのベルト205と、支持部206と、離反部としてのスプリング207と、駆動部215を備える。
【0023】
基部203は、平面視において矩形形状の枠体である。基部203は、二つの直線状の平板枠材203aと、平板枠材203aに直交する方向に向く五つの平板枠材203bとを有する。平板枠材203aと平板枠材203bとは、溶接等により互いに動かないように固定される。基部203の平板枠材203aは、レール111に対し平行となる。そして、基部203のうち、最も搬送方向の上流側及び最も搬送方向の下流側にある平板枠材203bが、ボルト208によって基礎構造物117に固定される。以下、最も搬送方向の上流側に位置する平板枠材203bには符号F1を付す。そして、残りの平板枠材203bに対して、この平板枠材F1から搬送方向の下流側に、順に、符号F2、F3、F4、F5を付す。
【0024】
ローラ204は、樹脂で形成され、タイヤ形状をなしている。ローラ204の回動中心には、回動軸209が貫通する。回動軸209は、円柱部材であって、水平かつレール111に対し直角をなす向きに向けられる。回動軸209の外周面には、ギア210が形成される。このようなローラ204は、基部203よりも上方で、レール111に沿って並べて設けられる。本実施の形態では、台車搬送機器201は、搬送方向の上流寄りと下流寄りとに二つのローラ204を有する。いずれのローラ204も、その外周で回動軸209よりも上側の部分をレール111に載って移動する台車102のフレーム104に干渉させる高さ位置に配置される。以下、下流側(図6及び図7のそれぞれにおいて最も左側)に位置するローラ204を、駆動ローラ204Aと呼ぶことがある。また、駆動ローラ204A以外のローラ204を、従動ローラ204Bと呼ぶことがある。
【0025】
ベルト205は、内側面に歯列を有する環状のもので、タイミングベルトとも呼ばれる。このベルト205は、駆動ローラ204Aの回動軸209と従動ローラ204Bの回動軸209とに張力をもって掛け渡される。そして、ベルト205の歯列は、それぞれの回動軸209のギア210に噛み合う。
【0026】
支持部206は、ローラ204を基部203に対して近接離反自在に支持する。支持部206は、ローラ204のそれぞれに対応して設けられる。ここでは、駆動ローラ204Aに対応する支持部206について説明する。支持部206は、シャフト211とL部材212とボルトナット214とを備える。シャフト211は、一端側で駆動ローラ204Aの回動軸209を回動自在に支持する。シャフト211の他端側は、L部材212に連結する。このL部材212は、平板枠材F4に取り付けられ、平板枠材F4から搬送方向の上流側に向けて水平に平板枠材F3の近傍まで延び、その先端の上面にシャフト受け213を有する部材である。シャフト受け213は、コ字形を有して上方に開き、シャフト211を上方から挿入可能な形状を有する。シャフト受け213に挿入されたシャフト211は、ボルトナット214によってL部材212に回動自在に連結される。なお、従動ローラ204Bに対応する支持部206は、駆動ローラ204Aに対応する支持部206と概ね同じ形状を有しており、台車搬送機器201の側面視において概ね対称に見える。なお、従動ローラ204Bに対応する支持部206のL部材212は、平板枠材F2に取り付けられ、平板枠材F2から搬送方向の上流側に向けて水平に平板枠材F3の近傍まで延びている。
【0027】
スプリング207は、ローラ204のそれぞれに対応して設けられる。駆動ローラ204Aに対応するスプリング207は、一端が平板枠材F4に取り付けられて平板枠材F4から上方に延び、他端がシャフト211に取り付けられる。同様に、従動ローラ204Bに対応するスプリング207は、一端が平板枠材F2に取り付けられて平板枠材F2から上方に延び、他端がシャフト211に取り付けられる。スプリング207は、シャフト211を上方に押し上げて、ローラ204を基部203から離反させている。
【0028】
駆動部215は、モータ202と、動力伝達機構216とを備える。モータ202は、一例として、三相インダクションモータである。モータ202は、配線217を介して駆動ドライブユニット112に接続する。動力伝達機構216は、ギア列(図示せず)によって構成され、モータ202の動力を駆動ローラ204Aの回動軸209に伝達し、ローラ204を回転させる。
【0029】
ここで、モータ202は、台車搬送機器201において搬送方向の下流側となる端部に設けられている。これにより、台車102の下流側への搬送の際にモータ202の動力が効率的にベルト205に伝わる。なお、モータ202は、下流側からの搬送も想定される場合、台車搬送機器201において搬送方向の上流側となる端部に設けられていても良い。
【0030】
図7(a)及び図7(b)は、台車102を搬送する台車搬送装置101を示す側面図である。上記のように構成される台車搬送装置101は、レール111に乗せられた台車102を搬送方向に沿って搬送する。より詳細には、駆動ドライブユニット112(図1参照)が駆動部215のモータ202を駆動すると、駆動ローラ204Aの回動軸209が回動する。そして、回動軸209の回動によって、駆動ローラ204Aが回動し、これとともにベルト205が動く。ベルト205は、従動ローラ204Bの回動軸209を回動させ、これにより従動ローラ204Bが駆動ローラ204Aと同じ方向に回動する。
【0031】
台車102は、図7(a)に示される台車102よりも搬送方向の上流側にある台車搬送機器(図示せず)によって下流側に搬送される。そして、この台車102のフレーム104は、従動ローラ204Bに接触し、従動ローラ204Bを下方に押し下げる。台車102がさらに下流側に進むと、台車102のフレーム104は従動ローラ204Bに乗りあがる。ここで、従動ローラ204Bは、スプリング207と支持部206のシャフト211とによってフレーム104の下面に押し付けられる。このため、従動ローラ204Bが回動すると、従動ローラ204Bとフレーム104との間の摩擦によって台車102は下流側に移動する。
【0032】
図7(b)を参照する。台車102が従動ローラ204Bによって搬送されてこの台車102のフレーム104が駆動ローラ204Aに接触すると、フレーム104は、駆動ローラ204Aに乗りあがり、駆動ローラ204Aを押し下げる。ここで、駆動ローラ204Aは、スプリング207と支持部206のシャフト211とによってフレーム104の下面に押し付けられる。このため、駆動ローラ204Aが回動すると、駆動ローラ204Aとフレーム104との間の摩擦によって台車102は下流側に移動する。
【0033】
図8(a)は、台車搬送機器201を用いず駆動ローラRによって台車102を搬送する様子を示す説明図である。図8(b)及び図8(c)は、台車搬送機器201を用いて台車102を搬送する様子を示す説明図である。本実施の形態の台車搬送装置101では、台車搬送機器201に備わる複数のローラ204(駆動ローラ204A及び従動ローラ204B)がレール111に沿って配置され、これらが一つのモータ202によって連動して回動する。つまり、一つの台車搬送機器201によって台車搬送機器201の搬送距離は、この台車搬送機器におけるローラ204の取付間隔dだけ長くなる。このため、図8(b)に示すように、台車搬送装置101’の駆動ローラR(図8(a))に代えて台車搬送機器201を配置することで、台車102の長さlをローラ204の取付間隔dだけ短くすることができる。その結果、台車102が軽くなって、製造ラインに沿って動く台車102及び車体106を動かすのに要する動力を少なくすることができる。
【0034】
また、図8(c)に示すように、個々の台車搬送機器201が台車102の長さlだけ離間するようにレール111に沿って台車搬送機器201を配置することで、製造ラインに配置する台車搬送機器201の個数を減らすこともできる。その結果、製造ラインに用いられるモータ202の個数が減り、結果として、製造ラインに沿って動く台車102及び車体106を動かすのに要する動力を少なくすることができる。
【0035】
いずれにしても、本実施の形態の台車搬送装置101や台車102によれば、製造ラインで車体106を搬送するのに必要な動力を抑えることができ、省エネに貢献することができる。また、台車102を短くすることにより、台車102の清掃やメンテナンスに要する時間が減少する。さらに、台車102を短くすることにより、車体106を載せていない台車102の収納場所を小さくすることもできる。
【0036】
図9は、駆動ドライブユニット112が行う処理の流れを示すフローチャートである。また、本実施の形態の台車搬送装置101では、駆動ドライブユニット112のコンピュータは、センサ113から入力された電気信号に応じて、そのセンサ113に対応するローラ204を停止させる制御を行う。
【0037】
より詳細には、駆動ドライブユニット112のコンピュータは、所定の台車搬送機器201を搬送するための搬送命令が入力されたと判定した場合(ステップS101のY)、その搬送命令により示された台車搬送機器201のモータ202の駆動を開始する(ステップS102)。この搬送命令は、一例として、コンピュータに備わるキーボード等の入力デバイスから手入力される。また、別の一例として、搬送命令は、駆動ドライブユニット112に接続していて工場内の全てのコンピュータ機器を管理するサーバコンピュータ等の上位機器から入力されても良い。これにより、台車102は、台車搬送機器201に備わるローラ204(駆動ローラ204A及び従動ローラ204B)に接すると、製造ラインにおいて下流側に搬送される。
【0038】
また、駆動ドライブユニット112のコンピュータは、減速用センサ114からの電気信号を受けて減速用センサ114が物体をセンシングしたと判定した場合(ステップS103のY)、この減速用センサ114に対応する台車搬送機器201のモータ202の駆動を弱める(ステップS104)。
【0039】
また、駆動ドライブユニット112のコンピュータは、停止用センサ115からの電気信号を受けて停止用センサ115が物体をセンシングしたと判定した場合(ステップS105のY)、この停止用センサ115に対応する台車搬送機器201のモータ202を停止する(ステップS106)。
【0040】
図8(a)及び図8(b)を参照する。従来のフレキシブル・ドライブ・システムでは、後に位置する台車が前に位置する台車に接触して前方に押し出すことで、製造ライン上の車体106が搬送方向の下流側に搬送される。このため、台車102は、車体106同士が衝突しないよう、車体106よりも長くなっている(図8(a)参照)。ところが、本実施の形態の台車搬送装置101を用いて台車102の長さを短くし軽量化を図った場合に、車体106が台車102に対して前後に迫り出してしまう(図8(b)参照)。これでは、台車102が搬送方向の下流側に進みすぎて、車体106同士が衝突してしまうおそれが生じる。しかしながら、本実施の形態の台車搬送装置101では、駆動ドライブユニット112は上記のような制御処理を行い、台車102をセンサ113がセンシングする通過箇所116で止める。つまり、本実施の形態の台車搬送装置101では、台車102の長さを短くすることを実現でき、さらに、車体106同士を衝突させることもない。さらに、本実施の形態では、減速用センサ114が物体をセンシングすると台車102は減速し、その後に停止用センサ115が物体をセンシングすると台車102は停止する。このため、台車102が急停車し車体106が車体支持具105に対してずれるようなことはなく、製造ラインに設置された塗装を行う塗装用機器(図示せず)が正確に車体106の塗装を行うことができる。
【0041】
なお、本実施の形態の台車搬送機器201は、二つのローラ204を備えているが、別の実施の形態として、台車搬送機器201は三つ以上のローラ204をレール111に沿うように設け、ベルト205を全てのローラ204の回動軸209に掛け渡すようにしてもよい。この場合、台車搬送機器201の長さをさらに長くすることが可能になる。
【符号の説明】
【0042】
101 台車搬送装置
102 台車
111 レール
112 駆動ドライブユニット(制御部)
113 センサ
116 通過箇所
201 台車搬送機器
202 モータ
203 基部
204 ローラ
204A 駆動ローラ(一のローラ)
204B 従動ローラ(他のローラ)
205 ベルト(回転力伝達部)
206 支持部
207 スプリング(離反部)
209 回動軸
215 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車を案内するレールに沿って配置され当該台車に接触して当該レールによる搬送方向に搬送する複数のローラと、
モータを有し一の前記ローラを回転させる駆動部と、
前記回転するローラの回転力を他の前記ローラに伝達する回転力伝達部と、
を備える台車搬送機器。
【請求項2】
前記ローラは、その回動軸を水平で前記レールに対し直角に向け、当該回動軸よりも上側の部分を前記台車に干渉させる高さ位置に配置され、
前記ローラに対し下方に位置付けられる基部と、
前記複数のローラのそれぞれに対応して設けられ、当該ローラを前記基部に対して近接離反自在に支持する支持部と、
前記複数のローラのそれぞれに対応して設けられ、当該ローラを前記基部から離反させる離反部と、
を備える、請求項1記載の台車搬送機器。
【請求項3】
前記回転力伝達部は、前記回転するローラの回転軸と前記他のローラの回転軸とに掛け渡されるベルトである、
請求項1又は2記載の台車搬送機器。
【請求項4】
台車を案内するレールと、
前記レールに沿って配置され当該台車に接触して当該レールによる搬送方向に搬送する複数のローラと、モータを有し一の前記ローラを回転させる駆動部と、前記回転するローラの回転力を他の前記ローラに伝達する回転力伝達部と、を備え、前記レールに沿って配置される複数の台車搬送機器と、
個々の前記台車搬送機器のモータを独立に制御する制御部と、
を備える台車搬送装置。
【請求項5】
前記台車搬送機器のローラは、その回動軸を水平で前記レールに対し直角に向け、当該回動軸よりも上側の部分を前記台車に干渉させる高さ位置に配置され、
前記台車搬送機器は、
前記ローラに対し下方に位置付けられる基部と、
前記複数のローラのそれぞれに対応して設けられ、当該ローラを前記基部に対して近接離反自在に支持する支持部と、
前記複数のローラのそれぞれに対応して設けられ、当該ローラを前記基部から離反させる離反部と、
を備える、請求項4記載の台車搬送装置。
【請求項6】
前記回転力伝達部は、前記回転するローラの回転軸と前記他のローラの回転軸とに掛け渡されるベルトである、
請求項4又は5記載の台車搬送装置。
【請求項7】
個々の前記台車搬送機器に対応し、前記台車及び当該台車で搬送される搬送物の少なくとも一方が通過する通過箇所の物体をセンシングするセンサを備え、
前記制御部は、前記センサが前記通過箇所にある物体をセンシングした場合、当該センサに対応する前記ローラを停止させる、
請求項4ないし6のいずれか一に記載の台車搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−42452(P2011−42452A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191647(P2009−191647)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【Fターム(参考)】