説明

合成フィターゼ変異体

本発明は、増加した熱安定性を有する合成フィターゼ、および合成フィターゼをコードする単離された核酸配列、および肥料中のリン酸含量を減少させるための、動物飼料中でのフィターゼの使用、ならびに合成フィターゼを含む動物飼料添加物および動物飼料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィターゼ、フィターゼ酵素をコードするアミノ酸配列およびフィターゼをコードするヌクレオチド配列ならびにフィターゼの製造および使用方法、ならびに前記フィターゼを含む動物飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
リンは、生物の成長に必須の元素である。家畜生産では、一般に、良好な成長能力を達成するために飼料に無機リンを補充しなければならない。穀類およびマメ科植物では、リンは主にフィチン酸エステルの形式で保存される。しかし、単胃動物、例えばブタ、家禽および魚はフィチン酸エステルまたはフィチン酸を直接吸収することができず、したがって、これはフィチン酸エステルの排泄を招き、それは集中的な家畜生産が行われる地域でリンが過度に富栄養化されることを意味する。さらに、フィチン酸は、カルシウム、銅または亜鉛などの金属と結合することによって、単胃動物の代謝に悪影響を与える組成物として作用する。前記動物のリン酸不足を補うためおよび適切な成長および適切な健康を確保するために、無機リン酸が動物飼料に加えられている。この無機リン酸添加は高価であり、また、さらなる環境汚染をもたらす。動物飼料中でフィターゼを使用することによって、フィチン酸エステルは加水分解され、肥料中に低いイノシトールリン酸および無機リン酸含量しか生じさせない。動物飼料へのフィターゼ添加は、有機リンの有効性を改善し、かつフィチン酸エステルに結合している排泄リン酸に起因する環境汚染を減少させる。文献では、真菌だけでなく細菌にも由来する多数の天然フィターゼが記載されている。
【0003】
ミオ-イノシトール6リン酸ホスホヒロドラーゼとも称されるフィターゼは、フィチン酸エステルから少なくとも1個のリン酸基を放出できるホスファターゼのクラスである。
【0004】
EP 420 358は、一般に、微生物フィターゼのクローニングおよび発現を記載し、WO 2006/38062は、動物飼料の添加物として、Citrobacter freundiiに由来する微生物フィターゼを記載し、WO 2007/112739は、Citrobacter braakii由来の天然フィターゼに基づくフィターゼ、およびその製造方法および動物飼料中でのその使用を記載する。
【0005】
Haefner et al. (Haefner S., Knietsch A., Scholten E., Braun J., Lohscheidt M. and Zelder O. (2005) Biotechnological production and application of phytases. Appl Microbiol Biotechnol 68:588-597)では、ヒトまたは動物栄養の分野での、多数の公知のフィターゼ使用が記載される。フィターゼのさらなる使用、例えば、バイオエタノール生産でのバイオマスまたはデンプンを加水分解するための使用がWO2008/097620に記載される。
【0006】
WO 2008/116878は、Hafnia alvei由来のフィターゼおよびそのタンパク質配列を記載する。Zinin et al. (FEMS Microbiology Letters (2004) 236:283-290)は、Obesumbacterium proteus由来のフィターゼを開示する。その配列はUNIPROTデータベースに寄託され、アクセッション番号Q6U677を有する。特許出願WO 2006/043178、WO 2008/097619およびWO 2008/092901は、種々のブティアウクセラ属種(Buttiauxella sp.)由来のフィターゼを記載する。現在最高の比活性を有する天然フィターゼには、Yersinia intermedia (WO2007/128160)およびYersinia pestis (WO02/048332)由来の天然フィターゼが含まれる。
【0007】
しかし、これらの現在利用可能なフィターゼはいずれも、動物飼料添加物の生産に必要な特性を示さない。現在利用可能なフィターゼは、その活性の大きな損失を伴わずに動物飼料ペレットの生産で使用するために十分な熱安定性を示さない。動物飼料ペレットの生産中に、フィターゼは、まとめて家畜に与えるために、別の慣用の動物飼料成分とともに高温および水分条件下で圧縮される。この高温で湿った圧縮の際に、フィターゼ活性のかなりの損失が生じる。この活性の損失を防ぐ可能性は、それらが熱の作用から保護されるようなフィターゼ粒子の複合コーティングである。フィターゼ添加物のこのコーティングは、コーティングに使用される脂肪またはポリマー使用のせいで、かなりの追加コストを生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、コーティングなどの追加の保護手段を用いずに飼料ペレットの生産に使用できるような十分な熱安定性を有するフィターゼを提供することであった。さらなる本発明の目的は、飼料生産中に使用されるフィターゼの総量ができるだけ少ないように十分に高い比活性を有するフィターゼを提供することであった。さらなる本発明の目的は、種々の動物種の消化管の種々のpH範囲で使用可能であるためおよび飼料成分の変動に起因する種々のpH範囲のイベントでさえその活性を保持するために、広いpH範囲にわたって使用できるフィターゼを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有する合成フィターゼによって達成される。本発明の前記フィターゼは少なくとも63℃の最適温度および少なくとも65℃の熱安定性を有し、したがって、飼料ペレットの生産での使用に好適であり、ペレット化中の熱く湿った条件に起因してその活性のかなりの損失を被ることがない。さらに、それらは、少なくとも50%の相対活性を保持する3 pH単位を上回る広いpH範囲を有し、したがって多数の動物で種々の飼料成分とともに使用することができ、その活性の損失およびそれによる動物のリン酸排泄の増加は生じない。好ましくは、本発明の合成フィターゼは、配列番号18のアミノ酸配列と、少なくとも75%、好ましくは80%、特に好ましくは85%、および好ましくは90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の同一性を有する。
【0010】
2つのタンパク質配列または核酸配列間の同一性は、2009年10月に利用可能なバージョンのプログラムneedleによって算出されるものとして定義される。needleは、ウェブサイトhttp://emboss.sourceforge.net/からダウンロードできる無料で利用可能なEMBOSSプログラムパッケージの部分である。以下の標準パラメータを使用する: ギャップオープン10.0 ("ギャップオープンペナルティー")、ギャップ伸長0.5 ("ギャップ伸長ペナルティー")、タンパク質の場合のデータファイルEBLOSUM62 (マトリックス)およびDNAの場合のデータファイルEDNAFULL (マトリックス)。
【0011】
特定の実施形態では、合成フィターゼは、配列番号18に記載の位置に基づいて1、6、12、17、84、89、92、109、137、138、140、142、143、149、156、202、205、207、208、209、228、234、243、247、248、251、255、256、261、270、304、314、320、349、356、373、382、399、402および413位からなる群から選択される位置の少なくとも1個でのアミノ酸の変化を有する。本発明の関連で、前記変化は、配列表の配列番号18で指定される元のアミノ酸を別のアミノ酸によって置換することを意味するために使用される。この場合のアミノ酸は慣用の1文字コードによって指定される。1個以上のアミノ酸を変化させることによって、合成フィターゼの熱安定性をさらに増加させるか、または最適pH範囲を広くするか、または比活性を増加させることが可能である。
【0012】
好都合には、合成フィターゼは、配列番号18に基づくアミノ酸配列中に少なくとも5個の変化を有し、特にそれは、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、および非常に特に好ましくは少なくとも20個の変化を有する。
【0013】
好ましくは、配列番号18の位置に基づいて1、6、12、17、84、89、92、109、137、138、140、142、143、149、156、202、205、207、208、209、228、234、243、247、248、251、255、256、261、270、304、314、320、349、356、373、382、399、402および413位から選択される位置の1個での少なくとも1個のアミノ酸を、以下のアミノ酸のうちの1個によって置換するが、ここで、好都合には、新しく導入されるアミノ酸は、1位のN、D、Q、H、6位のV、I、L、T、S、12位のN、D、Q、H、S、17位のN、D、Q、H、84位のV、I、L、T、S、89位のT、S、V、92位のE、Q、K、R、N、P、A、S、G、H、109位のK、R、E、D、137位のL、I、V、138位のN、Q、H、S、140位のP、A、N、142位のT、S、V、143位のY、F、W、149位のH、N、S、156位のR、K、E、D、202位のS、T、A、V、205位のR、K、E、D、207位のE、Q、D、R、N、T、S、V、A、I、L、M、208位のM、L、I、209位のS、T、228位のY、F、W、234位のN、D、Q、H、S、I、V、L、M、243位のK、R、D、247位のK、R、E、248位のL、I、M、V、251位のN、D、Q、H、S、I、V、L、M、255位のV、I、L、T、S、256位のY、F、W、H、N、S、261位のE、Q、D、K、R、N、270位のK、R、E、D、304位のV、I、L、T、S、314位のG、A、320位のL、I、M、V、349位のR、K、E、D、356位のL、I、M、V、373位のI、V、L、M、382位のG、A、399位のI、V、L、M、402位のN、D、Q、H、Sおよび413位のL、I、M、V、Q、E、N、K、Rである。
【0014】
好ましい実施形態では、合成フィターゼは配列番号18のアミノ酸配列に関する以下の変化: S1N; A6V; K12N; S17N; A84V; A89T; D92E; D92P; D92A; D92N; Q109K; M137L; D138N; S140P; A142T; H143Y; Q149H; T156R; N202S; N202T; G205R; K207E; K207T; K207I; V208M; A209S; H228Y; K234N; K234I; E243K; D247K; S248L; K251N; K251I; A255V; Q256Y; Q256H; S261E; N270K; A304V; S314G; T320L; Q349R; F356L; S373I; E382G; T399I; K402N; H413L; H413Qのうちの少なくとも1個を有する。
【0015】
このリストでは、該当する位置番号の前に記載される配列番号18中のアミノ酸が、位置番号の後に記載されるアミノ酸の1個によって置換される。ここで、残りの変化のいずれかを伴う任意の考えられる上記アミノ酸置換を、組み合わせることが可能である。
【0016】
好都合には、本発明の合成フィターゼは、少なくとも5個の前記変化を含み、特に少なくとも10、12、14、16、17、18、19、および特に好ましくは20個の前記変化を含む。
【0017】
合成フィターゼの非常に特に好ましい実施形態は、配列番号18に関する変化の以下の累積合計のうちの1つを有する:
(a) A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / H413Q
(b) A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F356L / H413Q
(c) A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H413Qまたは
(d) A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H413Q。
【0018】
それぞれの個別のまたは累積の突然変異は、位置および置換されるアミノ酸に応じて、合成フィターゼの熱安定性について1〜11℃の増加を生じさせることができ、したがって、対応する数およびタイプの突然変異を選択することによって、それぞれの用途に対応するフィターゼの所望の熱安定性を選択することができる。
【0019】
番号A-518、A-521、A-534およびA-519 (定義に関して表1を参照のこと)を有する合成フィターゼの、これらの特に好ましい累積突然変異は、いずれの場合も、配列番号18の合成フィターゼ(Fus5#2)より少なくとも10℃の熱安定性の増加を生じさせる。これらの特に好ましい実施形態では、熱安定性は、フィターゼFus5#2 (配列番号18)に関してすでに達成されている65℃を少なくとも10℃上回る結果になる。配列番号18のフィターゼの温度プロファイル、pHプロファイルおよび熱安定性は、それぞれ、図1、2および3に示される。
【0020】
一実施形態では、合成フィターゼは、配列番号18に基づいて上記フィターゼの少なくとも1つに対して以下の記載の位置:
S1N; A6V; K12N; S17N; A84V; A89T; D92E; D92P; D92A D92N; Q109K; M137L; D138N; S140P; A142T; H143Y; Q149H; T156R; N202S; N202T; G205R; K207E; K207T; K207I; V208M; A209S; H228Y; K234N; K234I; E243K; D247K; S248L; K251N; K251I; A255V; Q256Y; Q256H; S261E; N270K; A304V; S314G; T320L; Q349R; F356L; S373I; E382G; T399I; K402N; H413L; H413Q;
A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / H413Q;
A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F356L / H413Q;
A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H413Qおよび
A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H413Q
の少なくとも1個の保存的アミノ酸置換を有し、
ここで、合成フィターゼは少なくとも1個の個別に記載される変化または該変化群のうちの1個を有することができる。本発明の目的で保存的とは、アミノ酸AによるGの置換; G、SによるAの置換; I、L、A、T、SによるVの置換; V、L、MによるIの置換; I、M、VによるLの置換; L、I、VによるMの置換; A、S、NによるPの置換; Y、W、HによるFの置換; F、W、HによるYの置換; Y、F、HによるWの置換; K、E、DによるRの置換; R、E、DによるKの置換; Q、N、SによるHの置換; N、E、K、R、QによるDの置換; Q、D、K、R、NによるEの置換; T、AによるSの置換; S、V、AによるTの置換; S、T、AによるCの置換; D、Q、H、SによるNの置換; E、N、H、K、RによるQの置換を意味する。この場合、アミノ酸の任意の保存的置換を別のアミノ酸の任意の保存的置換と組み合わせることが可能である。
【0021】
好都合には、合成フィターゼは単離されたフィターゼである。また、合成フィターゼは、精製された単離されたフィターゼではなく発酵ブロスとして存在し、ここで、バイオマスを、完全に、部分的に除去するかまたはまったく除去しないことが想定される。この場合、液体除去によってブロスを濃縮するかまたは完全に乾燥させることができる。前記未精製または部分精製フィターゼ溶液または固体を種々の生成物の添加物として使用することが可能である。
【0022】
本発明の合成フィターゼは、好都合には、生物Yersinia mollaretiiおよびハフニア属種(Hafnia sp.)由来の2種の野生型フィターゼと比べて、増加した熱安定性および/または増加した比活性を有し、該野生型フィターゼは、配列番号18に記載の合成フィターゼ構築物の構築の基礎となるものであった。
【0023】
本発明は、さらに、単一位置または複数の位置で変化の候補を有する上の記載のような本発明のフィターゼの1つ、特に配列番号18に基づいて以下のアミノ酸位置の変化:
(a) A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / H413Qまたは
(b) A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F356L / H413Qまたは
(c) A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H413Qまたは
(d) A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H413Q
を有するフィターゼ、をコードする単離された核酸配列を含む。
【0024】
本発明は、同様に、フィターゼ活性を有する酵素をコードする、単離された核酸配列を含み、ここで、核酸配列は、配列番号19の核酸配列と少なくとも70%の同一性を有し、または高度にストリンジェントな条件下で配列番号19の核酸配列と少なくとも70%の同一性を有する上記配列の1つの相補鎖とハイブリダイズする核酸配列である。特定の実施形態では、単離された核酸配列は、配列番号19と70%を超える同一性を有し、特に75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%を超える同一性を有する。
【0025】
本発明は、さらに、本発明の核酸配列の1つを含む組み換え発現ベクターを含む。
【0026】
本発明は、同様に、本発明の核酸配列の1つを含むかまたは本発明の組み換え発現ベクターを含む、組み換え宿主細胞を含む。
【0027】
さらに、本目的は、本発明の核酸配列の1つを含むかまたは本発明の組み換え発現ベクターを含む非ヒト産生生物である組み換え産生生物によって達成される。特に好ましくは、組み換え産生生物は、アスペルギルス属(Aspergillus)、ピキア属(Pichia)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、バシラス属(Bacillus)、エシェリキア属(Escherischia)、クルイベロミセス属(Kluyveromyces)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)のうちの1つである。
【0028】
さらに、本目的は、本発明のフィターゼの少なくとも1つおよびさらに例えばウシ、家禽またはブタ用の慣用の飼料添加物、例えばビタミン、ミネラルまたは他の添加物をも含む、動物飼料添加物によって達成される。
【0029】
さらに、本目的は、本発明の上記合成フィターゼの少なくとも1つを慣用の動物飼料成分とともに含む動物飼料によって達成される。この場合、すべての飼料成分は、ウシ、乳牛、家禽またはブタを成長させるための飼料ペレットで慣用的に使用されると想定される。
【0030】
本発明は、さらに、本発明の上記合成フィターゼの1つ、または動物飼料中に本発明の合成フィターゼの少なくとも1つを含む本発明の動物飼料添加物、を使用することによって達成される。該使用は、ペレット化前に、残りの飼料成分に本発明のフィターゼまたは本発明の動物飼料添加物を加える形式であってよい。また、飼料ペレットの生産後にフィターゼを特に液体形式でこれらのペレットに適用できることが想定される。
【0031】
本発明は、さらに、家畜の肥料中のリン酸含量を減少させるための、本発明の上記合成フィターゼの1つ、本発明の合成フィターゼの少なくとも1つを含む本発明の動物飼料添加物、または上記合成フィターゼの少なくとも1つを含む動物飼料の、使用によって達成される。
【0032】
記載される実施形態は本発明の説明および良好な理解のために役立ち、いかなる意味においても限定として解釈されるべきではない。本発明のさらなる特徴は、下位クレームとともに以下の好ましい実施形態の説明からもたらされる。この場合、本発明の個別の特徴は、単独の各事例の実施形態または複数の実施形態で実現することができ、いかなる意味においても、記載される実施形態に本発明を限定するものではない。ここに特許請求の範囲の表現は明示的に本明細書の対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1はフィターゼFus5#2の温度プロファイルを示す。フィターゼ活性は各事例で指定される温度で測定される。相対活性値の決定では、測定活性の最高値を100%に設定する。
【図2】図2はフィターゼFus5#2のpHプロファイルを示す。フィターゼ活性は各事例で指定されるpHで測定される。相対活性値の決定では、測定活性の最高値を100%に設定する。
【図3】図3はフィターゼFus5#2の温度安定性を示す。フィターゼを、pH 5.5で20分、指定の温度に加熱する。冷却後、残存活性をpH 5.5および37℃で測定する。相対残存活性の決定には、室温で20分インキュベートされた参照サンプルの活性を100%に設定する。
【図4】図4は発現プラスミドpFus5#2のプラスミド地図を示す。
【図5】図5は発現プラスミドpH6-Fus5#2のプラスミド地図を示す。
【図6】図6は発現プラスミドpGLA53-Fus5#2のプラスミド地図を示す。
【実施例】
【0034】
実施例
ハフニア属種LU11047由来のフィターゼのクローニング
刊行物Huang et al. (2006) A novel phytase with preferable characteristics from Yersinia intermedia. Biochem Biophys Res Commun 350: 884-889, Shi et al. (2008) A novel phytase gene appA from Buttiauxella sp. GC21 isolated from grass carp intestine. Aquaculture 275:70-75およびWO2008116878 (example 1)と同様にして、40℃〜50℃の範囲のアニーリング温度で縮重オリゴHaf1090 5'-GAYCCNYTNTTYCAYCC-3' (配列番号1)およびHaf1092 5'-GGNGTRTTRTCNGGYTG-3' (配列番号2)を使用して、いくつかの腸内細菌でPCRによってフィターゼを探索した。形成されたPCR産物を同じアニーリング条件下でオリゴHaf1090 5'-GAYCCNYTNTTYCAYCC-3' (配列番号1)およびHaf1091 5'-GCDATRTTNGTRTCRTG-3' (配列番号3)を使用するセミネスティッド(semi-nested) PCRの鋳型として使用する。ハフニア属の菌株(ハフニア属種(Hafnia sp.)LU11047)からフラグメントを単離することができる。単離されたフラグメントを、「TOPO TA クローニング(登録商標)キット」(Invitrogen)を製造元の使用説明書にしたがって使用してサブクローニングし、次いでシークエンシングする。この部分配列から出発し、TAIL-PCR法と称される方法によってフィターゼの完全長配列を増幅する(Yao-Guang Liu and Robert F. Whittier (1995) Thermal asymmetric interlaced PCR: automatable amplification and sequencing of insert end fragments from P1 and YAC clones for chromosome walking. Genomics 25, 674-681)。この目的で以下のオリゴヌクレオチドを使用する。
【0035】
3'末端の増幅:
1. Haf1165 (5'-WCAGNTGWTNGTNCTG-3', 配列番号4)および
Haf1167 (5'-CTTCGAGAGCCACTTTATTACCGTCG-3', 配列番号5)
2. Haf1165 (5'-WCAGNTGWTNGTNCTG-3', 配列番号4)および
Haf1168 (5'-CCAATGTTGTGCTGCTGACAATAGG-3', 配列番号6)
3. Haf1165 (5'-WCAGNTGWTNGTNCTG-3', 配列番号4)および
Haf1169 (5'-CCGAACTCATCAGCGCTAAAGATGC-3', 配列番号7)。
【0036】
5'末端の増幅:
1. Haf1077 (5'- CAWCGWCNGASASGAA-3', 配列番号8)および
Haf1170 (5'- CGCAGTTTGACTTGATGTCGCGCACG-3', 配列番号9)
2. Haf1077 (5'- CAWCGWCNGASASGAA-3', 配列番号8)および
Haf1171 (5'- GTCGCGCACGCCCTATATCGCCAAGC-3', 配列番号10)
3. Haf1077 (5'- CAWCGWCNGASASGAA-3', 配列番号8)および
Haf1172 (5'- CTGCAAACCATCGCACACGCACTGG-3', 配列番号11)。
【0037】
得られたDNAフラグメントを、「TOPO TAクローニング(登録商標)キット」(Invitrogen)を使用してクローニングし、シークエンシングする。ヌクレオチド配列は、ハフニア属種LU11047由来のフィターゼをコードする配列番号12の遺伝子をもたらす。それから得られた配列番号13のアミノ酸配列は、Hafnia alveiフィターゼのWO200811678由来のフィターゼ配列と98%同一である。
【0038】
ソフトウェアSignalP 2.0を使用して、アミノ酸1〜33がシグナルペプチドであると予測する。したがって成熟酵素は34位のセリンで始まる。
【0039】
1. 合成フィターゼFus5#2
フィターゼFus5#2のクローニング
ハフニア属種LU11047の染色体DNAから出発し、フィターゼの塩基1〜1074のフラグメントをPCRによって増幅する(配列番号14)。Yersinia mollaretii ATCC43969のフィターゼ候補(すなわち酸性ホスファターゼ)のDNA配列、NCBI sequence ID ZP_00824387から、ヌクレオチド1057〜1323を増幅するためのオリゴヌクレオチドを導き出す。Yersinia mollaretii ATCC 43969の染色体DNA由来の第2のフィターゼフラグメントをそれによって増幅する(配列番号15)。2つのフィターゼフラグメントの増幅で、ハフニアフラグメントの3'末端およびエルシニアフラグメントの5'末端の両末端で、使用されるオリゴの助けにより、それぞれ他方のフィターゼフラグメントとの20 bpのオーバーラップが生じる。このようにして、両フラグメントをPCR融合によって組み合わせて、合成フィターゼFus5#2をコードする配列番号16のフィターゼ配列を得ることができる。それから得られた配列番号17のアミノ酸配列について、ソフトウェアSignalP 2.0によって、アミノ酸1〜33がシグナルペプチドであると予測される。成熟フィターゼFus5#2 (配列番号18)は配列番号19のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0040】
E. coli用の発現プラスミドのクローニングでは、配列番号16のフィターゼDNAフラグメントの5'末端でNdeI制限部位を確立し、3'末端で終止コドンおよびHindIII制限部位を確立する。このためにさらに必要とされる配列をPCR反応によって、配列番号16のフィターゼを鋳型として使用して、使用されるプライマーを介して導入する。これらの部位を使用して、フィターゼをコードする遺伝子をE. coli発現ベクターpET22b (Novagen)にクローニングする。NdeI制限部位を使用することによって、かつ終止コドンを導入することによって、pelBシグナル配列をベクターから除去し、プラスミドに存在する6xHisタグ内へのリードスルーを防ぐ。このように生産されたプラスミドpFus5#2 (配列番号20)をE. coli株BL21(DE3) (Invitrogen)に形質転換する。
【0041】
フィターゼタンパク質の精製を向上させるために、N末端6xHisタグを有するフィターゼ変異体をクローニングする。6xHisタグおよびBamHI部位の両者を導入するセンス-オリゴプライマーH6: 5'-ctatggatccgcatcatcatcatcatcacagtgataccgcccctgc-3' (配列番号21)、および成熟フィターゼタンパク質をコードする配列番号19の配列を鋳型として使用して、PCR産物を増幅する。PCR産物の3'末端で、以前と同一のアンチセンスオリゴを使用して、やはり終止コドンおよびNdeI制限部位を導入する。このように生産されたフラグメントをBamHI/NdeIを介してベクターpET22bにクローニングし、プラスミドpH6-Fus5#2 (配列番号22)を取得し、それを、同様に、E. coli BL21(DE3)に形質転換する。この構築物の場合、pET22b中に存在するpelBシグナル配列がペリプラズム(periplasma)内への輸送に使用される。
【0042】
Escherichia coliでのフィターゼFus5#2の発現
フィターゼ発現カセットを有するプラスミドを保持するE. coli BL21(DE3)株を、アンピシリン(100 mg/l)を含むLB培地で37℃で培養する。0.6のOD (600 nm)で1 mM IPTGを加えることによってフィターゼ発現を誘導する。4時間の誘導後、10% (v/v)の10x BugBuster溶液(Novogen)を加え、混合物を室温で15分インキュベートする。遠心分離後、フィターゼ活性の測定に上清を使用する。
【0043】
Ni-アフィニティークロマトグラフィーによる精製
6xHis標識フィターゼ変異体の精製には、誘導された、フィターゼ発現E. coli培養ブロスを300 mM NaCl、EDTAを含まないCompleteTM Protease Inhibitor (製造元Roche Applied Scienceの情報に基づく)と混合し、10% (v/v)の10x BugBuster溶液(Novogen)と混合し、室温で15分インキュベートする。遠心分離後、製造元の使用説明書にしたがって上清をNi-NTAカラム/KIT (Qiagen)に結合させる。冷却溶出バッファー(50 mM酢酸Naバッファー、300 mM NaCl、500 mMイミダゾール、1 mM CaCl2)を使用して、洗浄ステップ後の溶出を実施する。タンパク質含量を測定する前に、透析によってサンプルバッファーを2 mMクエン酸ナトリウムpH 5.5に交換する。
【0044】
Aspergillus nigerでのフィターゼFus5#2の発現
Aspergillus nigerでのフィターゼFus5#2の発現のためには、まず、非コード3' glaA領域に隣接するA. nigerグルコアミラーゼ(glaA)プロモーターの制御下にフィターゼ遺伝子を含む発現構築物を確立する。このようにして、A. nigerの3' glaA領域への組み込みに関して該構築物を判定する。細胞外タンパク質分泌のシグナル配列として、A. ficuumフィターゼのシグナル配列を使用する。発現構築物のベースとして、EP0635574B1に詳細に記載されるプラスミドpGBGLA-53 (WO9846772ではpGBTOPFYT-1とも称される)を使用する。当業者に公知のPCRに基づくクローニング法を使用して、pGBGLA-53中の、アミノ酸配列ASRNQSSで始まる成熟フィターゼタンパク質をコードするA. ficuumフィターゼの遺伝子部分を、成熟Fus5#2フィターゼをコードする配列番号19の遺伝子部分によって置換する。その結果、プラスミドpGLA53-Fus5#2 (配列番号23)が形成される。HindIIIによって、得られたプラスミドから単離された線状発現カセットを、プラスミドpGBLA50 (EP0635574B1)/pGBAAS-1 (WO9846772での同プラスミドの名称)から単離されたamdSマーカーカセットとともにglaA欠失A. niger発現株に同時形質転換し、振とうフラスコ中でフィターゼを発現させることを、2つの引用特許文献に記載されるように進める。細胞を遠心分離によって除去した後、培養上清中のフィターゼ活性を毎日測定する。最大活性は3日目〜6日目の間に達成される。
【0045】
比活性の測定
フィターゼ活性をマイクロタイタープレートで測定する。精製された酵素サンプルを反応バッファー(250 mM酢酸Na、1 mM CaCl2、0.01% Tween 20、pH 5.5)で希釈する。10μlの酵素溶液を60℃で20分110μlの基質溶液(反応バッファー中の6 mMフィチン酸Na(Sigma P3168))とインキュベートする。80μlのトリクロロ酢酸溶液(15% w/w)を加えることによって反応を停止させる。20μlの停止された反応溶液を、放出されたリン酸の検出のために、280μlの新たに作製された染色試薬(60 mM L-アスコルビン酸(Sigma A7506)、2.2 mMモリブデン酸アンモニウム四水和物、325 mM H2SO4)と混合し、50℃で25分インキュベートし、次いで820 nmで吸光度を測定する。ブランク値として、基質バッファーのみを37℃でインキュベートし、トリクロロ酢酸で停止した後にのみ10μlの酵素サンプルを加える。染色反応を同様の方法で実施する。既知の濃度のリン酸溶液を使用する染色反応の検量線によって、放出されたリン酸の量を決定する。前記条件下で1分あたり1μmolのリン酸を放出する酵素活性を1 Uと称する。使用されたフィターゼ溶液のタンパク質濃度を280 nmの吸光度から決定する。この目的で、「Vector NTI」ソフトウェア(Invitrogen、バージョン10.3.0)を使用してフィターゼの分子吸光係数を決定する。
【0046】
Fus5#2フィターゼの比活性は2300 +/-200 U/mgである。
【0047】
フィターゼアッセイ
フィターゼ活性をマイクロタイタープレートで測定する。酵素サンプルを反応バッファー(250 mM酢酸Na、1 mM CaCl2、0.01% Tween 20、pH 5.5)で希釈する。10μlの酵素溶液を37℃で1時間140μlの基質溶液(反応バッファー中の6 mMフィチン酸Na(Sigma P3168))とインキュベートする。150μlのトリクロロ酢酸溶液(15% w/w)を加えることによって反応を停止させる。20μlの停止された反応溶液を、放出されたリン酸の検出のために、280μlの新たに作製された染色試薬(60 mM L-アスコルビン酸(Sigma A7506)、2.2 mMモリブデン酸アンモニウム四水和物、325 mM H2SO4)と混合し、50℃で25分インキュベートし、次いで820 nmで吸光度を測定する。ブランク値として、基質バッファーのみを37℃でインキュベートし、トリクロロ酢酸で停止した後にのみ10μlの酵素サンプルを加える。残りの計測値と同様の方法で染色反応を進める。既知の濃度のリン酸溶液を使用する染色反応の検量線によって、放出されたリン酸の量を決定する。
【0048】
最適温度の決定
最適温度の測定のためには、酵素サンプルを反応バッファー(250 mM酢酸Na、1 mM CaCl2、0.01% Tween 20、pH 5.5)で希釈する。10μlの予熱された(5分、それぞれの反応温度)酵素溶液を110μlの予熱された基質溶液(反応バッファー中の6 mMフィチン酸Na(Sigma P3168))と30分インキュベートする。温度勾配ヒートブロック(gradient heating block)で種々の温度でインキュベーションを進める。80μlのトリクロロ酢酸溶液(15% w/w)を加えることによって反応を停止させる。20μlの停止された反応溶液を、放出されたリン酸の検出のために、280μlの新たに作製された染色試薬(60 mM L-アスコルビン酸(Sigma A7506)、2.2 mMモリブデン酸アンモニウム四水和物、325 mM H2SO4)と混合し、50℃で25分インキュベートし、次いで820 nmで吸光度を測定する。ブランク値として、基質バッファーのみを指定の温度でインキュベートし、トリクロロ酢酸で停止した後にのみ10μlの酵素サンプルを加える。他の計測値と同様の方法で染色反応を進める。相対活性の決定では、最高の測定活性を100%に設定する。結果を図1に示す。
【0049】

Fus5#2フィターゼの最適温度は約63℃である。
【0050】
最適pHの決定
最適pHの決定のためには、修飾反応バッファー(100 mM酢酸Na、100 mMグリシン、100 mMイミダゾール、1 mM CaCl2、0.01% Tween 20)をフィターゼアッセイに使用する。希塩酸を使用して該修飾反応バッファーをpH 1.5〜7の範囲にpHを調整する。相対活性の決定では、最高の測定活性を100%に設定する。結果を図2に示す。
【0051】

Fus5#2フィターゼの最適pHはpH 4.5である。
【0052】
熱安定性(T50)の決定
熱失活曲線の記録のためには、反応バッファー(250 mM酢酸Na、1 mM CaCl2、0.01% Tween 20、pH 5.5)中の希釈酵素サンプルを該当する温度に20分加熱し、次いで4℃に冷却する。非熱処理参照サンプルを20分室温に置き、その後、同様に4℃に冷却する。熱での前処理の後、サンプルの酵素活性をフィターゼアッセイによって測定する。参照サンプルの活性を100%に標準化する。種々のフィターゼ変異体の熱安定性をT50値によって特徴付ける。T50値は、熱失活後に、熱処理されない参照サンプルと比較して、50%の残存活性が依然として存在する温度を提供する。2種のフィターゼ変異体の熱安定性の変化(℃単位で表現される)は、それぞれのT50値の差異のせいで生じる。結果を図3に示す。
【0053】

その結果、Fus5#2フィターゼのT50値65℃が得られる。
【0054】
2. フィターゼFus5#2のフィターゼ変異体
配列番号19の遺伝子配列のPCRによる突然変異によってフィターゼの変異体を作製した。標的化突然変異誘発では、「Quickchange Site-directed Mutagenesis Kit」(Stratagene)を使用する。配列番号19のコード配列の全体または部分のみのランダム突然変異誘発は「GeneMorph II Random Mutagenesis Kit」(Stratagene)を使用して行う。突然変異誘発率を、使用される鋳型DNAの量により1〜5個の突然変異の所望の程度に設定する。単一の突然変異の標的化された組み合わせによって、または複数の突然変異誘発ラウンドを連続して行うことによって多重突然変異を作製する。
【0055】
このようにして作製されたフィターゼ遺伝子の変異体を、元のフィターゼFus5#2と同様の方法でE. coli発現ベクターpET22b (Novagen)にクローニングし、次いでE. coli株BL21(DE3)を使用して発現させる。
【0056】
少数の事例では、選択されたフィターゼ変異体を、出発フィターゼFus5#2と同様の方法で、Aspergillus nigerにおいて対応する発現構築物を使用して発現させる。
【0057】
作製されたフィターゼ変異体のフィターゼ活性および温度安定性をハイスループット試験で試験する。この目的で、pET22bに基づく発現構築物での形質転換後に得られたE. coli BL21(DE3)クローンを96ウェルマイクロタイタープレートでLB培地(2%グルコース、100 mg/lアンピシリン)中でインキュベートする(30℃、900 rpm、シェーカーの振れ2 mm)。約0.5のOD (600 nm)で、1 mM IPTGで4時間誘導を実施する。次いで、10% (v/v)の10x BugBuster溶液(Novogen)を加え、混合物を室温で15分インキュベートする。フィターゼ活性および20分の熱ストレス後の残存活性を測定する。高い相対残存活性を有する変異体で、熱安定性(T50)を測定する。一部の選択フィターゼ変異体で、追加の特徴的パラメータ(例えば最適温度、比活性、最適pH)を測定する。
【0058】
熱安定性
個別のフィターゼ変異体の熱安定性の増加をΔTによって表現し、ここに、ΔTは、フィターゼFus5#2と比較したT50値の℃単位での増加を示す。突然変異の詳細は出発分子Fus5#2に関する。
【表1】


【0059】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性を有するフィターゼ。
【請求項2】
配列番号18に記載の位置に基づいて1、6、12、17、84、89、92、109、137、138、140、142、143、149、156、202、205、207、208、209、228、234、243、247、248、251、255、256、261、270、304、314、320、349、356、373、382、399、402および413位からなる群から選択される位置の少なくとも1個でのアミノ酸の変化を有する、請求項1に記載のフィターゼ。
【請求項3】
少なくとも5個の前記変化を有する、請求項2に記載のフィターゼ。
【請求項4】
配列番号18に記載の位置に基づいて1、6、12、17、84、89、92、109、137、138、140、142、143、149、156、202、205、207、208、209、228、234、243、247、248、251、255、256、261、270、304、314、320、349、356、373、382、399、402および413位の少なくとも1個のアミノ酸が、いずれの場合も、以下のアミノ酸:1 N, D, Q, H; 6 V, I, L, T, S; 12 N, D, Q, H, S; 17 N, D, Q, H; 84 V, I, L, T, S; 89 T, S, V; 92 E, Q, K, R, N, P, A, S, G, H; 109 K, R, E, D; 137 L, I, V; 138 N, Q, H, S; 140 P, A, N; 142 T, S, V; 143 Y, F, W; 149 H, N, S; 156 R, K, E, D; 202 S, T, A, V; 205 R, K, E, D; 207 E, Q, D, R, N, T, S, V, A, I, L, M; 208 M, L, I; 209 S, T; 228 Y, F, W; 234 N, D, Q, H, S, I, V, L, M; 243 K, R, D; 247 K, R, E; 248 L, I, M, V; 251 N, D, Q, H, S, I, V, L, M; 255 V, I, L, T, S; 256 Y, F, W, H, N, S; 261 E, Q, D, K, R, N; 270 K, R, E, D; 304 V, I, L, T, S; 314 G, A; 320 L, I, M, V; 349 R, K, E, D; 356 L, I, M, V; 373 I, V, L, M; 382 G, A; 399 I, V, L, M; 402 N, D, Q, H, S; 413 L, I, M, V, Q, E, N, K, Rのうちの1個によって置換されている、請求項1に記載のフィターゼ。
【請求項5】
配列番号18のアミノ酸配列に対して、S1N; A6V; K12N; S17N; A84V; A89T; D92E; D92P; D92A; D92N; Q109K; M137L; D138N; S140P; A142T; H143Y; Q149H; T156R; N202S; N202T; G205R; K207E; K207T; K207I; V208M; A209S; H228Y; K234N; K234I; E243K; D247K; S248L; K251N; K251I; A255V; Q256Y; Q256H; S261E; N270K; A304V; S314G; T320L; Q349R; F356L; S373I; E382G; T399I; K402N; H413LおよびH413Qからなる群から選択される少なくとも1個の変化を有する、請求項1に記載のフィターゼ。
【請求項6】
少なくとも5個の前記変化を有する、請求項5に記載のフィターゼ。
【請求項7】
以下の変化:
[A89T / D92A / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / H413Q]、
[A89T / D92N / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / F356L / H413Q]、
[A89T / D92A / H143Y / T156R / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / K251N / Q256H / S314G / H413Q]および
[A89T / D92A / A142T / H143Y / N202S / K207E / A209S / H228Y / K234I / D247K / K251N / Q256H / H413Q]
からなる群から選択される少なくとも1つの変化を有する、請求項1に記載のフィターゼ。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載のフィターゼの1つに対して、少なくとも1個の位置で少なくとも1個の保存的アミノ酸置換を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のフィターゼ。
【請求項9】
単離されたフィターゼである、先行する請求項のいずれか一項に記載のフィターゼ。
【請求項10】
Yersinia mollaretiiおよびハフニア属種由来の2つの野生型フィターゼと比べて増加した熱安定性および/または増加した比活性を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載のフィターゼ。
【請求項11】
請求項1〜10に記載のフィターゼの1つをコードする、フィターゼをコードする単離された核酸配列。
【請求項12】
フィターゼをコードする単離された核酸配列であって、
(a) 配列番号19の核酸配列と少なくとも70%の同一性を有する、
(b) 高度にストリンジェントな条件下で(a)の配列の1つの相補鎖とハイブリダイズする
単離された核酸配列。
【請求項13】
請求項11または12に記載の核酸配列を含む組み換え発現ベクター。
【請求項14】
請求項11もしくは12に記載の核酸配列または請求項13に記載のベクターを含む組み換え宿主細胞。
【請求項15】
請求項11もしくは12に記載の核酸配列または請求項13に記載のベクターを含む組み換え産生生物。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィターゼの少なくとも1つおよびさらなる飼料添加物をも含む動物飼料添加物。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィターゼの少なくとも1つを含む動物飼料。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィターゼまたは請求項16に記載の動物飼料添加物の、動物飼料中での使用。
【請求項19】
家畜の肥料中のリン酸含量を減少させるための、請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィターゼ、請求項16に記載の動物飼料添加物、または請求項17に記載の動物飼料の、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−507939(P2013−507939A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534648(P2012−534648)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065624
【国際公開番号】WO2011/048046
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】