説明

合成樹脂製リサイクルキャップ

【課題】最初の開放時に摘持片が誤って引っ張られれるのを防止するとともに、打線時にスリットや弱化線が破損しないようにする。
【解決手段】上蓋5の外周壁22下端部23が、空間部25を介して対向する内筒26と外筒27とを備えた二重壁Wであり、該内筒26が嵌合上壁7上面に当接している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、分別回収されるキャップに関するものであり、更に述べると、上蓋の外周壁下端部が二重壁構造となっている合成樹脂製リサイクルキャップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】容器口部には、キャップ本体と上蓋からなる合成樹脂製キャップが装着されている。最近、資源の再利用、ゴミの廃棄処理などとの関係上、容器とキャップとの分離が要求されている。ところが、このキャップは、打栓によりキャップ本体の嵌合側壁の係合凸部を容器口部の係止凹部に嵌合固定しているので、両者を簡単に分離することが困難である。
【0003】そこで、この問題を解決するため、次のようなキャップが用いられている。即ち、容器口部に嵌着されるキャップ本体と、該キャップ本体に螺着された上蓋とからなリ、前記キャップ本体は、内容物注出用開口を形成しうる遮断壁と、該遮断壁の外側に設けられた嵌合上壁と、該嵌合上壁の外周縁から下方に伸びる嵌合側壁と、該嵌合側壁に設けられ、前記容器口部の係合凹部に係止する係合凸部と、該嵌合上壁に設けたスリットと、該スリットに連続する弱化線と、該嵌合側壁の上面に設けた摘持片と、を備えた合成樹脂製キャップ。
【0004】このキャップは、分別回収時に前記摘持片を摘んで引っ張ると、弱化線が破れて係合凸部の一部が破損する。そのため、容器口部に対する締め付け力が解除されるので、キャップを容易に取り外すことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来例には、次のような問題がある。
(1)摘持片を嵌合側壁の外周面に突設した例では、消費者が最初の開放の際、誤って摘持片を摘んで引っ張ってしまうことがある。
(2)嵌合上壁にスリットや弱化線を形成し、嵌合上壁上面を上蓋で覆った例では、打栓時に嵌合上壁の周縁部、即ち、嵌合側壁の上面に上蓋の応圧力が作用するため、スリットが広がったり、弱化線が切れたりして破損することがある。
【0006】この発明は、上記事情に鑑み、最初の開放時に摘持片が誤って引っ張られるのを防止することを目的とする。 他の目的は、打栓時にスリットや弱化線が破損しないようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、容器口部に嵌着されるキャップ本体と、該キャップ本体に開閉自在に設けられた上蓋と、前記キャップ本体と該上蓋を固定する手段と、からなリ、 前記キャップ本体は、内容物注出用開口を形成しうる遮断壁と、該遮断壁の外側に設けられた嵌合上壁と、該嵌合上壁の外周縁から下方に伸びる嵌合側壁と、該嵌合側壁に設けられ、前記容器口部の係合凹部に係止する係合凸部と、該嵌合上壁に設けられた引き裂き開始部と、を備えたキャップであって;前記上蓋の外周壁の少なくとも下端部が、空間部を介して対向する内筒と外筒とを備えた二重壁であり、該内筒が嵌合上壁上面に当接していることを特徴とする。
【0008】この発明は、容器口部に嵌着されるキャップ本体と、該キャップ本体に開閉自在に設けられた上蓋とからなリ、前記キャップ本体は、内容物注出用開口を形成しうる遮断壁と、該遮断壁の外側に設けられた嵌合上壁と、該嵌合上壁の外周縁から下方に伸びる嵌合側壁と、該嵌合側壁に設けられ、前記容器口部の係合凹部に係止する係合凸部と、該嵌合上壁に設けられた引き裂き開始部と、該引き裂き開始部の近傍の嵌合側壁上面に設けた摘持片と、該嵌合上壁の内周縁に立設された筒状ねじ部と、を備え、前記上蓋の外周壁内側には、該筒状ねじ部に螺合するねじ部が設けられているキャップであって;前記上蓋の外周壁の少なくとも下端部が、空間部を介して対向する内筒と外筒とを備えた二重壁であり、該内筒が嵌合上壁上面に当接しており、前記摘持片が該空間部に収納されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、キャップ本体に螺合又は係合固定される上蓋の外周壁の少なくとも下端部を二重壁にする。この二重壁の内筒を嵌合上壁上面に当接させ、打栓時の押圧力を嵌合上壁上面で受け止めることによりスリットや弱化線の破断を防止する。又、摘持片を二重壁の空間部内に収納し、該摘持片を外筒により隠すことにより、誤って摘持片を引っ張らないようにする。
【0010】
【実施例】本発明の実施例を図1〜図4により説明する。リサイクルキャップ1は、合成樹脂、例えば、ポレエチレンにより形成され、容器口部2に嵌着されるキャップ本体3と該キャップ本体3に螺合される上蓋5と、から構成されている。
【0011】前記キャップ本体3は、遮断壁6と、該遮断壁6の外側に形成された嵌合上壁7とを備えている。該遮断壁6の上面には、スコア8に囲まれたプルリング9と、注出筒10とが立設されている。
【0012】嵌合上壁7の下面内周縁には、嵌合内壁11が立設され、その外周縁から嵌合側壁12が下方に伸びている。この嵌合側壁12の内面には、係合凸部13が設けられ、この係合凸部13は容器口部2の係止凹部15に係止している。また、嵌合側壁12の上面内周縁には、断面円弧状の摘持片16が外方に傾斜して立設されているが、この摘持片16の形状、大きさなどは必要に応じて適宜選択される。
【0013】嵌合上壁7の外周縁側には、摘持片16の内面に沿って引き裂き開始部、例えば、スリット17が形成されている。該スリット17の一端は、半円形状の周方向弱化線18に連続しているが、該周方向弱化線18は嵌合側壁12に沿って伸びている。このスリット17は弱化線でも良く、又、周方向弱化線18の長さは必要に応じて適宜選択される。該スリット17の他端は縦方向弱化線19に連続している。前記嵌合上壁7の上面内周縁側には、筒状ねじ部20が設けられ、このねじ部20の下端側は嵌合内壁11に連続し、その上端は注出筒10に連続している。
【0014】上蓋5の天板には、注出筒10の上端に当接するシール筒21が設けられ、その外周壁22の下端部23は空間部25を介して対向する内筒26と外筒27とにより二重壁W構造となっている。この内筒26は嵌合上壁7の上面に当接し、また、外筒27は嵌合側壁12の上面に当接している。この二重壁Wの空間部25に摘持片16が収納されている。上蓋5の内周面には、前記筒状ねじ部20と螺合するねじ部30が設けられている。
【0015】次に、本実施例の作動について説明する。上蓋5のねじ部30をキャップ本体3の筒状ねじ部20に螺合し、内筒26の下端面を嵌合上壁7の上面に当接させ、外筒27の下端面を嵌合側壁12の上面に当接させる。その後、該キャップ1を容器口部2に打栓し、係止凹部15に係合凸部13を係止させる。この時、上蓋の押圧力の大部分は内筒26が当接する嵌合上壁7に作用し、外筒27に作用する嵌合側壁上面への押圧力は低減する。そのため、スリット17や周方向弱化線18が破損することはない。
【0016】又、摘持片16は二重壁Wの空間部25に収納されているので、外部から見えない。そのため、上蓋5を外さなければ摘持片16は露出しないので、消費者が初めて開蓋する前に、誤って摘持片16を引っ張ることもない。
【0017】なお、分別回収時には、上蓋5を外して摘持片16を摘んで引っ張ると、弱化線18、19が切れると共に係合凸部13の一部も切れる。そのため、容器口部2の締めつけが緩むので、容易にキャップ1を容器口部2から外すことができる。
【0018】この発明の実施例は、上記に限定されるものではなく、例えば、次のようにしても良い。
(1)周方向弱化線18を嵌合上壁7に形成する代わりに、スリット17の一端に連続させて嵌合側壁12の係合凸部13の上方又は下部に沿って設ける。又、縦方向弱化線19の代わりに、スリットの他端から嵌合側壁12の下端まで斜め方向に伸びる傾斜弱化線にする。
【0019】(2)摘持片16近傍にスリット17を設ける代わりに、切り込みなどにより形成した溝状の弱化線を設ける。
(3)摘持片16を断面円弧状にする代わりに、水平状の頭部と垂直な連結部とからなる正面T字状にする。
【0020】(4)摘持片16を1個設ける代わりに、円周方向に間隔をおいて複数個設ける。
(5)上蓋5とキャップ本体3とをねじ結合する代わりに、係合結合、即ち、いずれか一方に係止凹部を形成し、他方に係合凸部を形成し、前記係止凹部を前記係合凸部に係止させる。
(5)上蓋5の外周壁22の下端部23のみを二重壁構造にする代わりに、外周壁22全体を二重壁構造にする。
【0021】
【発明の効果】この発明は、上蓋の外周壁の下端部を二重壁構造にしたので、摘持片は二重壁内の空間部に収容することができる。そのため、従来例と異なり、消費者が最初の開放の際、誤って摘持片を引っ張ることがない。又、嵌合上壁上面は二重壁の内筒に当接しているので、打栓時に上蓋に加えられる押圧力の大部分は内筒が当接する嵌合上壁に作用し、外筒に作用する嵌合側壁上面への押圧力は低減する。そのため、従来例と異なり、スリットや弱化線が破損したりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す一部断面正面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】キャップ本体の一部断面正面図である。
【図4】キャップ本体の平面図である。
【符号の説明】
1 リサイクルキャップ
2 容器口部
3 キャップ本体
5 上蓋
7 嵌合上壁
12 嵌合側壁
13 係合凸部
15 係合凹部
17 スリット
22 外周壁
23 外周壁の下端部
25 空間部
26 内筒
27 外筒
W 二重壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】容器口部に嵌着されるキャップ本体と、該キャップ本体に開閉自在に設けられた上蓋と、前記キャップ本体と該上蓋とを固定する手段と、からなリ、前記キャップ本体は、内容物注出用開口を形成しうる遮断壁と、該遮断壁の外側に設けられた嵌合上壁と、該嵌合上壁の外周縁から下方に伸びる嵌合側壁と、該嵌合側壁に設けられ、前記容器口部の係合凹部に係止する係合凸部と、該嵌合上壁に設けられた引き裂き開始部と、を備えたキャップであって;前記上蓋の外周壁の少なくとも下端部が、空間部を介して対向する内筒と外筒とを備えた二重壁であり、該内筒が嵌合上壁上面に当接していることを特徴とする合成樹脂製リサイクルキャップ。
【請求項2】前記キャップ本体と該上蓋を固定する手段が、ねじ結合であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製リサイクルキャップ。
【請求項3】前記キャップ本体と該上蓋を固定する手段が、係合結合であることを特徴とする請求項1記載の合成樹脂製リサイクルキャップ。
【請求項4】容器口部に嵌着されるキャップ本体と、該キャップ本体に開閉自在に設けられた上蓋とからなリ、前記キャップ本体は、内容物注出用開口を形成しうる遮断壁と、該遮断壁の外側に設けられた嵌合上壁と、該嵌合上壁の外周縁から下方に伸びる嵌合側壁と、該嵌合側壁に設けられ、前記容器口部の係合凹部に係止する係合凸部と、該嵌合上壁に設けられた引き裂き開始部と、該引き裂き開始部の近傍の嵌合側壁上面に設けた摘持片と、該嵌合上壁の上面内周縁に立設された筒状ねじ部と、を備え、前記上蓋の外周壁内側には、該筒状ねじ部に螺合するねじ部が設けられているキャップであって;前記上蓋の外周壁の少なくとも下端部が、空間部を介して対向する内筒と外筒とを備えた二重壁であり、該内筒が嵌合上壁上面に当接しており、前記摘持片が該空間部に収納されていることを特徴とする合成樹脂製リサイクルキャップ。
【請求項5】引き裂き開始部が、空間部内に位置していることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の合成樹脂製リサイクルキャップ。
【請求項6】引き裂き開始部が、スリット又は弱化部であることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の合成樹脂製リサイクルキャップ。
【請求項7】外筒が、嵌合側壁上面に当接していることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の合成樹脂製リサイクルキャップ。
【請求項8】嵌合上壁が、前記引き裂き開始部に連続する周方向弱化線及び/又は縦方向弱化線を備えていることを特徴とする請求項1、又は、4記載の合成樹脂製リサイクルキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−58663(P2001−58663A)
【公開日】平成13年3月6日(2001.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−237304
【出願日】平成11年8月24日(1999.8.24)
【出願人】(000175397)三笠産業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】