説明

合成樹脂製容器蓋

【課題】天面壁(8)及び筒状スカート壁(10)を有する本体(4)と、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断可能橋絡部を介して本体のスカート壁に接続された筒状タンパーエビデント裾部(6)とを含み、本体のスカート壁には下方に突出する突出片(30)が配設されており、突出片の周方向両側には非破断接続片(32a、32b)が配設されている合成樹脂製容器蓋を改良して、容器蓋の全高を比較的低く設定することが必要であり、突出片の下端とタンパーエビデント裾部との間隔が著しく小さくなる場合でも、突出片に座屈が生成される等の問題の発生が回避乃至抑制される合成樹脂製容器蓋を提供する。
【解決手段】周方向において突出片と非破断接続片の各々との間に、スカート壁から下方に突出するスカート壁側台座片(40a、40b)とタンパーエビデント裾部から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片(42a、42b)との少なくとも一方を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口頸部を開封した後においても容器蓋の全体が容器から分離されることがない型のタンパーエビデント特性を備えた合成樹脂製容器蓋、更に詳しくは本体と周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断可能橋絡部を介して本体に接続されたタンパーエビデント裾部とを含み、橋絡部が破断されて本体が容器の口頸部から離脱されても、容器の口頸部に装着され続けるタンパーエビデント裾部に非破断接続片を介して本体が接続され続ける型の合成樹脂製容器蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
口頸部の外周面には雄螺条及びこの雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される、タンパーエビデント特性を備えた合成樹脂製容器蓋として、下記特許文献1及び2には、天面壁及びこの天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁を有し、スカート壁の内周面には雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断可能橋絡部を介して本体のスカート壁に接続され、内周面には係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されている筒状タンパーエビデント裾部とを含み、本体のスカート壁には下方に突出する突出片が配設されており、この突出片の周方向両側には、本体のスカート壁とタンパーエビデント裾部とを接続し且つタンパーエビデント裾部に対して本体が上方に移動せしめられると鉛直線に対する傾斜角度が漸次変動せしめられる傾動部を有する非破断接続片が配設されている合成樹脂製容器蓋が開示されている。
【0003】
上記のとおりの容器蓋を容器の口頸部に装着して口頸部を密封する際には口頸部に容器蓋を被嵌して閉方向に回転し、容器蓋の雌螺条を口頸部の雄螺条に螺合せしめる。螺合の進行に応じて口頸部に対して容器蓋が下降され、タンパーエビデント裾部に形成されている係止手段は口頸部の係止あご部を弾性的に乗り越えてその下方に係止せしめられる。口頸部を開封する際には、容器蓋を開方向に回転せしめて口頸部の雄螺条と容器蓋の雌螺条との螺合を解除する。螺合の解除と共に容器蓋の本体は口頸部に対して上昇されるが、タンパーエビデント裾部は係止手段が口頸部の係止あご部に係止されている故に上昇が阻止され、従って破断可能橋絡部に応力が生成されて破断可能橋絡部が破断される。破断可能橋絡部が破断され本体が上昇を続け、タンパーエビデント裾部から本体が上方に離隔されると、これに応じて非破断接続片の傾動部は鉛直線に対する傾斜が漸次変動される。本体が口頸部から離脱された後においても、本体は非破断接続片の所要部位を旋回中心として旋回されて容器の口頸部から片側に変位せしめられるが、タンパーエビデント裾部は口頸部に装着され続け、本体は非破断接続片を介してタンパーエビデント裾部に接続され続け、従って容器から分離されることはない。容器の内容物を全部ではなくて部分的に消費した時点で消費を中断した場合には、本体を非破断接続片の所要部位を旋回中心として開封の際の旋回方向に対して反対方向に旋回せしめて容器の口頸部に被嵌し、次いで容器蓋を閉方向に回転せしめて容器蓋の雌螺条を口頸部の雄螺条に再び螺合せしめ、かくして口頸部を仮密封することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−56246号公報
【特許文献2】特開2010−18290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然るに、本発明者の経験によれば、特に容器蓋の全高を比較的低く設定することが必要な場合に、突出片の下端とタンパーエビデント裾部との間隔が著しく小さくなり、或いは前記間隔をある程度確保せんとするとタンパーエビデント裾部の、突出片に対向して位置する部位の軸線方向幅が著しく小さくなり、かかる事実に起因して、(イ)成形型から容器蓋を取り出す離型操作の際に、所謂無理抜きに起因して突出片の下端がタンパーエビデント裾部の上端に押圧されて突出片に相当大きな力が加えられ、突出片に座屈が発生してタンパーエビデント裾部の外周面側或いは内周面側に変位してしまい、容器蓋の本体が容器の口頸部から離脱された後、本体の突出片を口頸部の係止あご部に保持することができなくなってしまう、(ロ)容器蓋を容器の口頸部に装着する際にタンパーエビデント裾部、特に突出片に対向する部位が過剰に変形され、スカート壁とタンパーエビデント裾部とを接続している破断可能橋絡部が破断されてしまう、(ハ)容器の口頸部を開封する際にタンパーエビデント裾部、特に突出片に対向する部位が過剰に変形されて、タンパーエビデント裾部の係止手段と容器の口頸部の係止あご部との係止が解除され、タンパーエビデント裾部も容器の口頸部から離脱されてしまう、傾向があることが判明した。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器蓋の全高を比較的低く設定することが必要であり、突出片の下端とタンパーエビデント裾部との間隔が著しく小さくなる場合でも、上述したとおりの問題の発生が回避乃至抑制される、新規且つ改良された合成樹脂製容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討及び実験の結果、周方向において突出片と非破断接続片の各々との間に、スカート壁から下方に突出するスカート壁側台座片とタンパーエビデント裾部から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片との少なくとも一方を形成することによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成することができる容器蓋として、口頸部の外周面には雄螺条及び該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される合成樹脂製容器蓋であって、天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断可能橋絡部を介して該本体の該スカート壁に接続され、内周面には該係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されている筒状タンパーエビデント裾部とを含み、該本体の該スカート壁には下方に突出する突出片が配設されており、該突出片の周方向両側には、該本体の該スカート壁と該タンパーエビデント裾部とを接続し且つ該タンパーエビデント裾部に対して該本体が上方に移動せしめられると鉛直線に対する傾斜角度が漸次変動せしめられる傾動部を有する非破断接続片が配設されている合成樹脂製容器蓋において、
周方向において該突出片と該非破断接続片の各々との間には、該スカート壁から下方に突出するスカート壁側台座片と該タンパーエビデント裾部から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片との少なくとも一方が形成されている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋が提供される。
【0009】
周方向において該突出片と該非破断接続片の各々との間には、該スカート壁から下方に突出するスカート壁側台座片と該タンパーエビデント裾部から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片との双方が形成されているのが好ましい。該突出片の下端と該タンパーエビデント裾部の上端との間隔は、該スカート壁側台座部の下端と該タンパーエビデント裾部の上端又は該タンパーエビデント裾部側台座片の上端との間隔或いは該タンパーエビデント裾部側台座片の上端と該スカート壁の下端又は該スカート壁側台座片の下端との間隔と同一乃至これより大きいのが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器蓋においては、スカート壁側台座片又はタンパーエビデント裾部側台座片がタンパーエビデント裾部の上端、スカート壁の下端或いはタンパーエビデント裾部側台座片又はスカート壁側台座片に当接し、これによってタンパーエビデント裾部の上端から突出片の下端に相当大きな力が加えられることが回避される。そしてまた、突出片の下端とタンパーエビデント裾部との間の間隙を小さくしても突出片に座屈が生成されるのを回避することができる故に、上記間隙を小さく設定して、タンパーエビデント裾部における、突出片に対向して位置する部位の軸線方向幅を比較的大きくしてかかる部位の剛性を比較的大きくすることができ、容器蓋を容器の口頸部に装着する際及び容器の口頸部を開封する際にタンパーエビデント裾部、特に突出片に対向する部位が過剰に変形されることが回避され、かくして上述したとおりの問題の発生が回避乃至抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を、一部を断面で示す正面図。
【図2】図1に示す容器蓋におけるタンパーエビデント裾部の特定領域の断面を示す部分断面図。
【図3】図1に示す容器蓋における、離型の際等の台座片の作用を説明するための、一部を断面で示す正面図。
【図4】図1に示す容器蓋を容器の口頸部に装着して口頸部を密封した状態を、一部を断面で示す正面図。
【図5】図4に示す状態から、口頸部を開封するために容器蓋を幾分開回転方向に回転せしめた状態を示す正面図。
【図6】図5に示す状態から容器蓋を更に開回転方向に回転せしめて容器蓋の本体を口頸部から離脱せしめて所要位置に保持した状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
【0013】
図1を参照して説明すると、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形又は圧縮成形によって好都合に一体成形することができる、全体を番号2で示す容器蓋は、本体4とタンパーエビデント裾部6とを含んでいる。本体4は円形天面壁8とこの天面壁8の周縁から垂下する円筒形状のスカート壁10とを有する。天面壁8の内面には2条のシール突条、即ち内側環状突条12及び外側環状突条14が形成されている。
【0014】
図示の容器蓋2においては、本体4の天面壁8の上面とスカート壁10の外周面は断面図において円弧状の境界面を介して接続されている。そして、スカート壁10の外周面は実質上鉛直に垂下せしめられている。スカート壁10の下端部には半径方向外側に幾分張り出した環状フランジ16が配設されている。環状フランジ16よりも上方においてスカート壁10の外周面には、周方向に間隔をおいて軸線方向に延びる突条部とかかる突条部間に位置する非突条部とから構成されたナール18が形成されている。スカート壁10の内周面には雌螺条、更に詳しくは等間隔に配置され且つ各々が215度の角度範囲に渡って延びる3条の雌螺条20が形成されている。20乃至50度の角度範囲に渡る特定角度領域(即ち後述する突出片に対して直径方向反対側に位置する特定角度領域)Xにおいては、軸線方向下方側に位置する雌螺条20が切り欠かれているのが好適である(その理由については後述する)。
【0015】
図1を参照して説明を続けると、タンパーエビデント裾部6は全体として円筒形状であり、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断可能橋絡部22を介して本体4のスカート壁10に接続させている。破断可能橋絡部22は特開2007−191206号公報に開示されている破断可能橋絡部と実質上同一でよく、上端部はスカート壁10の内周面下端部に接続され下端部はタンパーエビデント裾部6の内周面上端部に接続されている。タンパーエビデント裾部6の内周面には係止手段24が配設されている。図示の実施例における係止手段24は、図1に番号23で示す領域(かかる領域においてはタンパーエビデント裾部6の軸線方向寸法が局部的に低減せしめられている)を除いて、周方向に連続して延在せしめられている突起から構成されており、その断面形状は略直角三角形状である。係止手段24よりも上方に領域には、嵌合下部25と遊嵌上部27が配設されている。嵌合下部25の内径は遊嵌上部27の内径よりも幾分低減せしめられている(図示の実施形態における係合手段24、嵌合下部25及び遊嵌上部27の詳細については、本出願人の出願に係る特願2010−006784の明細書及び図面に詳細に記載されているので、かかる記載を参照されたい)。所望ならば、周方向に間隔をおいて配設されタンパーエビデント裾部6の内周面から半径方向内方に傾斜して上方に延出せしめられている複数個の係止片の如き、他の適宜の形態の係止片から係止手段24を構成することもできる。一方、上記領域23においては、係止手段24は配設されていないが、図2に図示する如く、半径方向内方に突出する補強突状29が形成されている。補強突状29の断面形状は略半円形でよい。
【0016】
図1において番号26で示す領域において、本体4のスカート壁10の下端縁は他の領域の下端縁よりも上方に変位せしめられており、またタンパーエビデント裾部6の上端縁は他の領域の上端縁よりも下方に変位せしめられ、そして更に領域26の中央部においてはタンパーエビデント裾部6の上端縁は更に幾分下方に変位せしめられており、スカート壁10とタンパーエビデント裾部6との間には正面図において略横長矩形状の開口28が生成されている。開口28の周方向中央部において、スカート壁10には下方に突出する突出片30が形成されている。図示の実施形態における突出片30は全体として略矩形状であり、下端部両側は下方に向かって周方向内側に延びる円弧形状にせしめられている。突出片30の下端縁とタンパーエビデント裾部6の上端縁との間には間隙G1が存在する。
【0017】
上記開口28内には、突出片30の両側に位置する非破断接続片32a及び32bも配設されている。図示の実施形態における非破断接続片32aは、スカート壁10の下端縁から周方向片側(図1において左側)に実質上水平に延びる第一の傾動部34a、第一の傾動部34aの延出端部から若干下方に延びる中間部36a、中間部36aに続いて周方向他側(図1において右側)に実質上水平に延びタンパーエビデント裾部6の上端部に接続されている第二の傾動部38aから構成されている。非破断接続片32bは非破断接続片32aと線対称形状であり、スカート壁10の下端縁から周方向他側(図1において右側)に実質上水平に延びる第一の傾動部34b、第一の傾動部34bの延出端部から若干下方に延びる中間部36b、中間部36bに続いて周方向片側(図1において左側)に実質上水平に延びタンパーエビデント裾部6の上端部に接続されている第二の傾動部38bから構成されている。所望ならば、非破断接続片32aにおける第一の傾動部34a及び第二の傾動部38a並びに非破断接続片32bにおける第一の傾動部34b及び第二の傾動部38bを水平ではなくて幾分傾斜して延在するようになすこともできる。
【0018】
本発明に従って構成された容器蓋2においては、上記開口28内には、更に、周方向において突出片30と非破断接続片32a及び32bの各々との間に、台座片が配設されていることが重要である。図示の実施形態においては、突出片30と非破断接続片32aとの間には、スカート壁10から下方に突出するスカート壁側台座片40aとタンパーエビデント裾部6から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片42aとが形成されている。同様に、突出片30と非破断接続片32bとの間にも、スカート壁10から下方に突出するスカート壁側台座片40bとタンパーエビデント裾部6から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片42bとが形成されている。スカート壁側台座片40a及び40bは略倒立台形状で、タンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bは略台形状である。スカート壁側台座片40a及び40bの下端縁とタンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bの上端縁との間には間隙G2が存在する。かかる間隙G2は、突出片30の下端縁とタンパーエビデント裾部6の上端縁との間の上記間隙G1と同一或いはこれより幾分小さく設定されているのが好都合である。換言すれば、突出片30の下端縁とタンパーエビデント裾部6の上端縁との間の間隙G1は、スカート壁側台座片40a及び40bの下端縁とタンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bの上端縁との間の間隙G2と同一或いはこれらよりも幾分大きく設定されているのが好都合である。
【0019】
図示の実施形態においては、突出片30と非破断接続片32aとの間及び突出片30と非破断接続片32bとの間の各々において、スカート壁10から下方に突出するスカート壁側台座片40a及び40bと共にタンパーエビデント裾部6から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bを形成しているが、所望ならば、突出片30と非破断接続片32aとの間及び突出片30と非破断接続片32bとの間の各々において、スカート壁10から下方に突出するスカート壁側台座片40a及び40bとタンパーエビデント裾部6から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bとのいずれか一方のみを配設することもできる。この場合、スカート壁側台座片40a及び40bの下端縁とタンパーエビデント裾部6の上端縁との間の間隙G2或いはタンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bの上端縁とスカート壁10の下端縁との間の間隙G2を、突出片30の下端縁とタンパーエビデント裾部6の上端縁との間の上記間隙G1と同一或いはこれより幾分小さく設定するのが好適である。
【0020】
上述したとおりの容器蓋2の射出成形或いは圧縮成形工程において、成形された容器蓋2を成形型から離脱する際には、雌螺条20の存在等の起因する所謂無理抜きに起因して、容器蓋2の本体4が図1において下方に強制される。然るに、本発明に従って構成された容器蓋2においては、図3に明確に図示する如く、容器蓋2の本体4が図1及び図3において下方に強制されると、スカート壁側台座片40a及び40bの下端縁がタンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bの上端縁に当接し、これによって本体4の図1及び図3において下方への移動が制限される。それ故に、突出片30の下端縁がタンパーエビデント裾部6の上端縁に相当大きな力で押圧されて突出片30に座屈が生成されてしまうことが回避乃至抑制される。そしてまた、スカート壁側台座片40a及び40b並びにタンパーエビデント裾部側台座片42a及び42bの存在に起因して、突出片30の下端縁とタンパーエビデント裾部6の上端縁との間の間隙G1を比較的小さくしても突出片座屈が回避される故に、突出片30の下端縁とタンパーエビデント裾部6の上端縁との間の間隙G1を比較的小さい値に設定し、タンパーエビデント裾部6における、突出片30に対向して位置する部位の軸縁方向幅を比較的大きくしてかかる部位の剛性を比較的大きくせしめることができる。
【0021】
図4を参照して説明を続けると、ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部44は全体として円筒形状であり、その上面は開口されている。口頸部44の外周面には、雄螺条、更に詳しくは154度の角度範囲に渡って延びる3条の雄螺条46と、この雄螺条46の下方に位置する係止あご部48が形成されている。
【0022】
口頸部44に容器蓋2を装着して口頸部44を密封する際には、口頸部44に容器蓋2を被嵌して閉方向(図4において上方から見て時計方向)に回転せしめ、口頸部44の雄螺条46に容器蓋2の雌螺条20を螺合せしめる。雄螺条46に対する雌螺条20の螺合の進行に応じて容器蓋2は口頸部44に対して漸次下降する。図4に図示する状態まで口頸部44に対して容器蓋2が下降せしめられると、容器蓋2の本体4における天面壁8の内面に形成されている内側環状突条12及び外側環状突条14が夫々口頸部44の内周面及び外周面に密接せしめられ、これによって口頸部44が密封される。容器蓋2のタンパーエビデント裾部6の内周面に配設されている係止手段24は口頸部44の係止あご部48を弾性的に乗り越えて、係止あご部48の下面に係止せしめられる。
【0023】
口頸部44を開封する際には、容器蓋2を開方向(図4において上方から見て反時計方向)に回転せしめ、口頸部44の雄螺条46に対する容器蓋2の雌螺条20の螺合を漸次解除する。螺合を漸次解除すると容器蓋2の本体4は開方向に回転せしめられると共に上昇せしめられるが、タンパーエビデント裾部6は係止手段24が口頸部44の係止あご部48に係止しているので上昇が阻止され、これに起因して破断可能橋絡部22に相当な応力が生成され、破断可能橋絡部22が破断される。しかる後においては、容器蓋2の本体4は開方向への回転と共に上昇し、タンパーエビデント裾部6から上方に漸次離隔せしめられる。図4と共に図5を参照することによって明確に理解される如く、タンパーエビデント裾部6から本体4が漸次上方に離隔せしめられると、非破断接続片32aの第一の傾動部34a及び非破断接続片32bの第二の傾動部38bは夫々の上端及び下端を中心として図4及び図5において時計方向に旋回、即ち時計方向に傾動され、一方非破断接続片32aの第二の傾動部38a及び非破断接続片32bの第一の傾動部34bは夫々の下端及び上端を中心として図4及び図5において反時計方向に旋回、即ち反時計方向に傾動され、これに応じて非破断接続片32a及び32bにおける第一の傾動部34a及び34b並びに第二の傾動部38a及び38bの鉛直線に対する傾斜角度が漸次変動される。図4及び図5と共に図6を参照することによって明確に理解される如く、口頸部44の雄螺条46に対する容器蓋2の雌螺条20の螺合が完全に解除されると、容器蓋2の本体4は口頸部44から離脱される。しかしながら、本体4は非破断接続片32a及び32bを介して、口頸部44に装着され続けているタンパーエビデント裾部6に接続され続けている故に、容器の口頸部44から離間されることはない。
【0024】
容器蓋2の本体4が口頸部44から離脱された後においては、本体4を口頸部44から遠ざかる方向(図6において反時計方向)に、図6に図示する状態まで旋回せしめる。かくすると、本体4に形成されている突出片30の下端部(先端部)外側面が口頸部44の係止あご部48の上面に当接し、これによって本体4は図6に図示する位置に解除自在に保持される。従って、消費者は本体4の存在によって阻害されることなく、容器内に存在する清涼飲料の如き内容物を飲食することができる。
【0025】
内容物の飲食を途中で中断した場合には、図6に図示する位置に保持されている本体4を図6において時計方向に旋回せしめて再び口頸部44に被嵌し、そして容器蓋2を閉方向に回転せしめて口頸部44の雄螺条46に容器蓋2の雌螺条20を螺合せしめ、かくして容器蓋2を再び図2に図示する状態に位置せしめて、口頸部44を仮密封することができる。本体4を図6において時計方向に旋回せしめて本体4を口頸部44に再び被嵌せしめる際に、図示の実施形態においては容器蓋2のスカート壁10の内周面に形成されている雌螺条20が、上記特定領域X(図1)において切り欠かれている故に、雌螺条22が口頸部44の雄螺条46に干渉して口頸部44に対する本体4の被嵌を阻害することが充分に回避される。
【符号の説明】
【0026】
2:容器蓋
4:本体
6:タンパーエビデント裾部
8:天面壁
10:スカート壁
20:雌螺条
22:破断可能橋絡部
24:係止手段
30:突出片
32a:非破断接続片
32b:非破断接続片
34a:第一の傾動部
34b:第一の傾動部
38a:第二の傾動部
38b:第二の傾動部
40a:スカート壁側台座片
40b:スカート壁側台座片
42a:タンパーエビデント裾部側台座片
42b:タンパーエビデント裾部側台座片
44:容器の口頸部
46:雄螺条
48:係止あご部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部の外周面には雄螺条及び該雄螺条の下方に位置する係止あご部が形成されている容器に適用される合成樹脂製容器蓋であって、天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する筒状スカート壁を有し、該スカート壁の内周面には該雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成されている本体と、周方向に間隔をおいて配設された複数個の破断可能橋絡部を介して該本体の該スカート壁に接続され、内周面には該係止あご部に係止せしめられる係止手段が配設されている筒状タンパーエビデント裾部とを含み、該本体の該スカート壁には下方に突出する突出片が配設されており、該突出片の周方向両側には、該本体の該スカート壁と該タンパーエビデント裾部とを接続し且つ該タンパーエビデント裾部に対して該本体が上方に移動せしめられると鉛直線に対する傾斜角度が漸次変動せしめられる傾動部を有する非破断接続片が配設されている合成樹脂製容器蓋において、
周方向において該突出片と該非破断接続片の各々との間には、該スカート壁から下方に突出するスカート壁側台座片と該タンパーエビデント裾部から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片との少なくとも一方が形成されている、ことを特徴とする合成樹脂製容器蓋。
【請求項2】
周方向において該突出片と該非破断接続片の各々との間には、該スカート壁から下方に突出するスカート壁側台座片と該タンパーエビデント裾部から上方に突出するタンパーエビデント裾部側台座片との双方が形成されている、請求項1記載の合成樹脂製容器蓋。
【請求項3】
該突出片の下端と該タンパーエビデント裾部の上端との間隔は、該スカート壁側台座片の下端と該タンパーエビデント裾部の上端又は該タンパーエビデント裾部側台座片の上端との間隔或いは該タンパーエビデント裾部側台座片の上端と該スカート壁の下端又は該スカート壁側台座片の下端との間隔と同一乃至これより大きい、請求項1又は2記載の合成樹脂製容器蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−201559(P2011−201559A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68598(P2010−68598)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】