説明

合成樹脂製蓋付き容器

【課題】密封性を高めることのできる合成樹脂製蓋付き容器を提供する。
【解決手段】合成樹脂製蓋付き容器は、共に合成樹脂製の容器本体10と蓋20とからなる。容器本体10は、円筒状の本体周壁12、その下端を塞ぐ底壁11、本体周壁12の上端に開口部10e、その外縁にフランジ部13、及びフランジ部13の下方であって本体周壁12の外周面12bに環状リブ14を備える。蓋20は、円板状の蓋本体21、その外周部の全周に沿う蓋内周壁22、及び蓋内周壁22から離間しつつその全周を囲むスカート状の蓋外周壁23を備える。環状リブ14は、断面視における蓋外周壁23の下端位置より上方であって蓋20が容器本体10に装着された状態で本体周壁12と蓋内周壁22とが重なり合う領域内に全周にわたって、蓋外周壁23の内周面23aに対して周方向の全体にわたっては接触せず、かつ内周面23aによって掛止されないように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な蓋を備える合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の合成樹脂製容器としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。図9は、合成樹脂製蓋付き容器の断面構造を示す断面図であって、領域Fに示す蓋と容器本体との嵌合構造を拡大して示す図である。
【0003】
図9に示されるように、容器本体60の底壁61には、容器本体60の開口部60eに向けて徐々に径大となる略円筒状の本体周壁62が連結されている。本体周壁62の外周面には、該外周面の全周にわたり径方向の外側に突出するフランジ状の第1環状被掛止条63a、第2環状被掛止条63b、及び第3環状被掛止条63cが、開口部60eから順に略等間隔に形成されている。
【0004】
一方、開口部60eに装着される円盤状の蓋70の外周部には、該外周部の全周にわたり底壁61に向けて突出する筒状の蓋内周壁72と蓋外周壁73とが、蓋70の中心から順に形成されている。また、蓋外周壁73の内周面には、該内周面の全周にわたり径方向の内側に突出する第1環状掛止条74a、第2環状掛止条74b、及び第3環状掛止条74cが、蓋70の天面側から順に略等間隔に形成されている。
【0005】
そして、蓋70が容器本体60に装着される際には、容器本体60の開口部60e近傍における本体周壁62が、蓋70の蓋内周壁72と蓋外周壁73との間に挿入される。これにより、第1環状被掛止条63aが第1環状掛止条74aによって下から持ち上げるように掛止され、同じく第2環状被掛止条63b及び第3環状被掛止条63cも第2環状掛止条74b及び第3環状掛止条74cによって各々下から持ち上げられるように掛止される。その結果、開口部60e及び該開口部60eの近傍における本体周壁62は、蓋外周壁73の全域によって万遍なく掛止されるようになる。これにより、容器本体60の開口部60eが、蓋70とシール材RG(例えば、ガスケットやオーリングなど)を介して密着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−321904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記合成樹脂製蓋付き容器は通常、液体や固体等の種々の物品を内部に梱包して運搬するために使用されるが、運搬時に粗略に扱われる場合など、予期せぬ場所に様々な方向から衝撃力がかかることになる。特に上記合成樹脂製蓋付き容器が例えばトラックの荷台から荷降ろしされるときには、蓋70を下にしつつ蓋本体71の面が水平面から傾いた状態で落下して地面と衝突することもある。この際、各環状掛止条74a〜74cが各環状被掛止状63a〜63cに掛止されて蓋外周壁73の全域が硬直化しているために、上述した衝突による衝撃力は、蓋70の蓋外周壁73の全域に緩衝されることなく及ぶ。その結果、蓋70による容器本体60の密封性が損なわれる虞がある。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、密封性を高めることのできる合成樹脂製蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
合成樹脂製蓋付き容器が上述のように粗略に扱われた場合に密封性が損なわれるか否か、具体的には、蓋が容器本体から外れるか否かは、落下後の同蓋付き容器の状態を目視によって確認することができる。しかしながら、蓋が容器本体から外れるメカニズムについては、目視によって認識することができない。そこで本発明者らは、液体を内容物として密封した合成樹脂製蓋付き容器が最も粗略に扱われた場合を想定して、蓋を下にしつつ蓋の面を水平面から傾けた状態で落下させる試験(以下、倒立カド落下試験という)を行った。その際に、蓋及び容器本体が変形していく過程を高速度カメラで撮影した。そして、撮影した映像を鋭意解析した結果、蓋のスカート状の蓋の蓋外周壁には、径方向の内側に撓むように肉寄せされる部位と、径方向の外側に撓むように肉寄せされる部位とが混在することを見出した。それとともに、蓋外周壁が径方向の外側に撓むように肉寄せされる部位と対向する容器本体の本体周壁の部位が、径方向の内側に撓むことを見出した。また、蓋外周壁が径方向の外側に撓むように肉寄せされる部位から蓋が容器本体から外れ始めることを見出した。
【0010】
すなわち本発明は、上述した知見に基づき、容器本体の本体周壁の外周面に、断面視したときの前記蓋外周壁の下端の位置より上方であって前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記本体周壁と前記蓋内周壁とが重なり合う領域内に全周にわたって環状リブを設け、かつ、前記環状リブが前記蓋外周壁の内周面に対して周方向の全体にわたっては接触しないように設けられているとともに前記蓋外周壁の内周面によって掛止されない構成とすることを要旨とする。
【0011】
そして、本発明による合成樹脂製蓋付き容器は、合成樹脂製の容器本体と合成樹脂製の蓋とからなり、
(1)前記容器本体は、円筒状の本体周壁と、前記本体周壁の下端を塞ぐ底壁と、前記本体周壁の上端に開口部と、前記開口部の外縁にフランジ部と、前記フランジ部の下方であって前記本体周壁の外周面に環状リブとを備え、
(2)前記蓋は、円板状の蓋本体と、前記蓋本体の外周部の全周に沿う蓋内周壁と、前記蓋内周壁から離間しつつ前記蓋内周壁の全周を囲繞するスカート状の蓋外周壁とを備え、
(3)前記環状リブは、断面視したときの前記蓋外周壁の下端の位置より上方であって前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記本体周壁と前記蓋内周壁とが重なり合う領域内に全周にわたって設けられ、かつ、前記蓋外周壁の内周面に対して周方向の全体にわたっては接触しないように設けられているとともに前記蓋外周壁の内周面によって掛止されない構成とされている。
【0012】
本発明において、前記環状リブは、断面視したときの前記フランジ部の位置と前記蓋外周壁の下端の位置との垂直方向における中央位置よりも下方に設けられていることが好ましい。
【0013】
前記環状リブをこのように設けることによって、蓋外周壁が径方向の内側に撓むように肉寄せされる量をより効果的に抑制することができるようになる。さらに、前記蓋外周壁の下端との垂直方向における距離を短くとって余分な空間を生じないようにするためには、前記蓋外周壁の下端近傍の位置に設けることが、より好ましい。
【0014】
本発明において、前記蓋内周壁は、第1蓋内周壁と第2蓋内周壁とからなり、第1蓋内周壁と第2蓋内周壁とは、前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記容器本体の内部となる空間に突出する折り返し部を構成し、前記第2蓋内周壁が前記容器本体の内周面と当接するようにされていることも好ましい。
【0015】
折り返し部を設けることによって、蓋の蓋内周壁に容器本体の本体周壁を内側から拡開するように支持する弾性力を付与することができるとともに、落下による衝撃力を緩衝することもできる。
【0016】
本発明において、前記折り返し部は、その突端の全周にわたって、前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記容器本体の内部となる空間に突出する筒状リブを有することも好ましい。
【0017】
筒状リブを有することによって、折り返し部の応力集中を緩和し、かつ補強することができるようになる。
【0018】
本発明において、前記本体周壁の外周面には、前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記蓋外周壁によって囲繞される領域となる領域よりも前記底壁寄りの領域に、その全周にわたって前記環状リブよりも径方向の外側に突出する補助環状リブがさらに設けられていることも好ましい。
【0019】
補助環状リブを設けることによって、合成樹脂製蓋付き容器が横倒しの状態で地面と衝突した場合であっても、補助環状リブが一種のストッパーとなって、衝撃が緩衝されるとともに蓋外周壁の下端が過度に径方向の内側に押し込まれることを抑制することができ、ひいては蓋外周壁を折れ難くすることができるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、倒立カド落下試験において、スカート状の蓋外周壁が径方向の内側に撓むように肉寄せされる量が環状リブによって抑制される。その結果、蓋外周壁が径方向の外側に撓むように肉寄せされる量が抑制されるようになる。また、容器本体の開口部近傍における本体周壁は、内側から蓋内周壁によって支持されている。その結果、容器本体の開口部近傍における本体周壁の変形が抑制されるようになる。このため、蓋の蓋外周壁に柔軟性を持たせることによって落下による衝撃力を緩衝するとともに、蓋が容器本体から外れ難くすることができるようになる。
【0021】
また、環状リブは、蓋外周壁の内周面に対して周方向の全体にわたっては接触しないように設けられているとともに蓋外周壁の内周面によって掛止されない構成とされている。そのため、蓋を容器本体に対して抵抗なく装着することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる合成樹脂製蓋付き容器の一実施の形態について、その断面構造を部分的に示す部分断面図であって、蓋と容器本体との嵌合構造を拡大して示す図。
【図2】同実施の形態の合成樹脂製蓋付き容器の倒立カド落下試験時の落下姿勢を模式的に示す部分断面図。
【図3】(a)は、同実施の形態の合成樹脂製蓋付き容器を倒立カド落下試験した場合に地面と衝突した影響が伝播する過程を模式的に示す部分側面図。(b)は、(a)に示す合成樹脂製蓋付き容器を正面方向から見た状態を部分的に示す部分正面図。
【図4】(a)は、図3(b)の領域Bにおける断面を拡大して示す拡大断面図。(b)は、図3(b)の領域Cにおける断面を拡大して示す拡大断面図。
【図5】(a)は、同実施の形態の合成樹脂製蓋付き容器を倒立カド落下試験した場合に地面と衝突した影響が伝播する次の過程を模式的に示す部分側面図。(b)は、(a)に示す合成樹脂製蓋付き容器を正面方向から見た状態を部分的に示す部分正面図。
【図6】(a)は、図5(b)の領域Dにおける断面を拡大して示す拡大断面図。(b)は、図5(b)の領域Eにおける断面を拡大して示す拡大断面図。
【図7】補助環状リブが設けられている合成樹脂製蓋付き容器の一例を示す拡大断面図。
【図8】補助環状リブが設けられている合成樹脂製蓋付き容器が側面から地面に衝突した状態を模式的に示す拡大断面図。
【図9】従来の合成樹脂製蓋付き容器の断面構造を部分的に示す部分断面図であって、蓋と容器本体との嵌合構造を拡大して示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明にかかる合成樹脂製蓋付き容器の一実施形態について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態の合成樹脂製蓋付き容器の構成について説明する。
【0024】
図1に示されるように、容器本体10の底壁11には、容器本体10の開口部10eに向けて徐々に径大となる円筒状の本体周壁12が連結されている。領域Aに示されるように、容器本体10の開口部10eには、開口部10eの全周にわたり径方向の外側に広がる環状のフランジ部13が形成されている。そして、本体周壁12の外周面12bには、外周面12bの全周にわたり径方向の外側に突出する環状リブ14が、フランジ部13に対して底壁11側に形成されている。
【0025】
開口部10eに装着される蓋20では、その外周部を除く部分である蓋本体21が、開口部10eよりも小径の円板状に形成されている。蓋20の外周部のうち開口部10eの径方向内側に位置する部分には、蓋本体21の外縁から底壁11側に延びる筒状の蓋内周壁22が、蓋20の全周にわたり形成されている。蓋内周壁22は、蓋本体21の外縁から底壁11側に延びる第1蓋内周壁22aと、該第1蓋内周壁22aの下側に形成された折り返し部22jと、該折り返し部22jから開口部10e側に延びる第2蓋内周壁22bとから構成されている。
【0026】
そして、蓋20が容器本体10に装着された状態で、第1蓋内周壁22aが蓋内周壁22に板バネとしての機能を発現させ、第2蓋内周壁22bが本体周壁12の内周面12aに当接している。なお、折り返し部22jには、蓋20の全周にわたる筒状リブ22rが、底壁11側に延びるように突設されている。この筒状リブ22rは、折り返し部22jの応力集中を緩和するとともに強度を高める。
【0027】
蓋20の外周部のうち開口部10e径方向外側に位置する部分には、第2蓋内周壁22bの上端側から下方に延びるスカート状の蓋外周壁23が、蓋20の全周にわたり形成されている。蓋外周壁23は、スカートの裾となる下端と反対側の上端においてのみ蓋内周壁22の第2蓋内周壁22bに接続されている。そして、蓋外周壁23の上端近傍における内周面23aには、蓋20の中心に向けて突出する環状掛止条24が形成されている。
【0028】
そして、蓋20が容器本体10に装着される際には、開口部10eの全体が、第2蓋内周壁22bと蓋外周壁23との間に挿入され、フランジ部13のみが環状掛止条24によって下から持ち上げるように掛止される。その結果、開口部10eが、蓋20とシール材RGを介して密着するようになる。
【0029】
なお、容器本体10及び蓋20は、共に一体成形された合成樹脂製成形品である。また、蓋内周壁22の上端における第1蓋内周壁22aと第2蓋内周壁22bとがなす距離D1は、3mm〜20mmの範囲内であることが望ましく、特に、5mm〜15mmであることがさらに望ましい。これにより、蓋20の成形性とともに蓋内周壁22の板バネとしての機能を担保することができるようになる。
【0030】
次に、上記環状リブ14の構成について詳細に説明する。なお、図1に示されるフランジ面PL1は、蓋20が容器本体10に装着された状態で、フランジ部13のうち環状掛止条24によって掛止される部分が含まれる平面である。外周壁最下面PL2は、蓋20が容器本体10に装着された状態で、蓋外周壁23の下端が含まれる平面である。リブ最上面PL3は、フランジ面PL1と平行であって、容器本体10の垂直方向において、フランジ面PL1と外周壁最下面PL2とから等距離となる平面である。リブ最下面PL4は、第2蓋内周壁22bが本体周壁12の内周面12aと当接して密着する部分のうち最も底壁11側の点である最下点P4が含まれる平面である。
【0031】
環状リブ14は、本体周壁12の外周面12b上のリブ最上面PL3とリブ最下面PL4とによって挟まれる領域にて、径方向の外側に突出するように形成されている。また、環状リブ14は、蓋20が容器本体10に装着された状態で、蓋外周壁23の内周面23aと対向するようにも形成されている。そして、環状リブ14の突端は、蓋20が容器本体10に装着された状態で、スカート状の蓋外周壁23の内周面23aから離間するように形成されている。
【0032】
なお、環状リブ14の突端と蓋外周壁23の内周面23aと距離D2は、蓋外周壁23が径方向の内側に撓むように肉寄せされる量を抑制するとともに成形性を考慮した場合、0mm<D2≦2mmとすることが好ましく、成形性を重視した場合には0.5mm≦D2≦1.5mmとすることが特に好ましい。また、蓋20が容器本体10に装着された状態で、外周壁最下面PL2は、リブ最下面PL4よりも下側、すなわち底壁11寄りに位置するように配設されている。
【0033】
次に、上記構成を有する合成樹脂製蓋付き容器の作用について、図2〜図6を参照して説明する。
【0034】
まず、合成樹脂製蓋付き容器の倒立カド落下試験における試験条件について説明する。
【0035】
この試験に供される合成樹脂製蓋付き容器は、容量が20リットルのプラスチック成形品である。また、この試験は、いわゆる国連規格に準拠して実施されるものであり、具体的な試験条件を以下に列挙する。
【0036】
・試験に先立って、内容物を密封した状態の合成樹脂製蓋付き容器を40℃に保たれた恒温槽内で35日間放置して、該内容物による容器の構成材料であるプラスチック材料への影響を安定させ、いわゆる調質を実施する。その際、蓋と容器本体とを機械的に嵌合させず、アルミテープ等を用いてこれらの境界部分を仮に密封する。なお、試験によっては蓋と容器本体とを機械的に嵌合させる場合もある。
【0037】
・密封される内容物は、上記国連規格にて危険物度合いが中程度とされている液体であり、例えばn−プロパノール等である。
【0038】
・上記調質の終了後、合成樹脂製蓋付き容器を開封して内容物を例えばエチレングリコール等の不凍液に入れ換えるとともに、蓋と容器本体とを機械的に係合させて本格的に密封する。
【0039】
・不凍液を密封した合成樹脂製蓋付き容器を−18℃に保たれた恒温槽内で一晩放置して、各試験の実施直前に恒温室内から取り出す。
【0040】
・本来の内容物と密封されている上記不凍液との比重の違いを考慮した高さから、所定の姿勢に基づいて未開封の合成樹脂製蓋付き容器を自由落下させる。その際、地面と衝突した際の衝撃力によって同蓋付き容器が変形する過程を高速度カメラにて撮影する。
【0041】
次に、衝撃力による多大な影響が合成樹脂製蓋付き容器に及ぶ倒立カド落下試験の内容、及び該試験における同蓋付き容器の変形過程を高速度カメラで撮影した映像に基づく解析内容について説明する。
【0042】
本試験では、図2に示されるように、蓋本体21の上面を水平面HZから角度θ傾けた姿勢で蓋20を下にして合成樹脂製蓋付き容器を矢印で示すように自由落下させる。具体的には、例えば、合成樹脂製蓋付き容器の断面構造における対角線DLが水平面HZと略直交するように自由落下させる。これにより、蓋20を容器本体10に対して装着する機構が耐衝撃性を備えているか否か、ひいては合成樹脂製蓋付き容器の密封性が維持されているか否かを確認することができる。
【0043】
このような姿勢で落下した合成樹脂製蓋付き容器が地面GDと衝突すると、同蓋付き容器の右側面から見た状態は、図3(a)に示されるように、合成樹脂製蓋付き容器が着地した箇所は、衝突による衝撃力によって大きく弾性変形して、拉げたような形状となる。それとともに、蓋20には、合成樹脂製蓋付き容器に密封されている液体によるウォーターハンマーの作用による衝撃力(以下、水撃力という)が矢印PRの方向に作用する。その結果、蓋20において円板状の蓋本体21はあたかも弾性膜のように機能して、蓋本体21の中心領域CLは、上記水撃力によって矢印PRの方向、すなわち合成樹脂製蓋付き容器の外部に向けて突出するように変形する。なお、点CTは、蓋20が上記弾性変形する前の中心点である。また、蓋20には、着地点と対極に位置する部分にて合成樹脂製蓋付き容器を開封させようとする回転力が、上記水撃力によって、着地点を中心とする矢印RTの方向に作用する。
【0044】
また、図3(b)に示される状態は、上述した衝突の態様を合成樹脂製蓋付き容器の正面から見た状態である。
【0045】
蓋20にて変形が顕著な箇所について説明する。点Laは、蓋外周壁23が蓋内周壁22に接続される接続部のうち最も左側に位置する点であり、点Raは、前記接続部のうち最も右側に位置する点、すなわち点Laの対極に位置する点である。点Lbは、スカートの裾に当たる上記蓋外周壁23の突端、換言すると、底壁11よりも垂直方向上側に蓋20が位置する正立状態における下端のうち最も左側に位置する点であり、点Rbは、該突端のうち最も右側に位置する点、すなわち点Lbの対極に位置する点である。点Taは、前記接続部のうち地面GDから最も離れた点である。点Tbは、スカートの裾に当たる上記蓋外周壁23の突端のうち地面GDから最も離れた点である。
【0046】
合成樹脂製蓋付き容器が変形する過程の撮影結果では、点Lbは、点Laを支点として径方向の内側、すなわち点Laに対して矢印SHLの方向に変位していた。同様に、点Rbは、点Raを支点として径方向の内側、すなわち点Raに対して矢印SHRの方向に変位していた。なお、点Lb及び点Rbにおける変位量は、合成樹脂製蓋付き容器が円筒状であるために、同等であった。また、点La及び点Ra近傍における本体周壁12は、共に径方向の外側に変位していた。そして、点La及び点Raも、共に径方向の外側に向けて本体周壁12と同程度変位していた。
【0047】
また、同じく合成樹脂製蓋付き容器が変形する過程の撮影結果では、点Tbは、点Taを支点として径方向の外側、すなわち点Taに対して矢印EX1の方向に変位していた。そして、点Taの近傍の本体周壁12は、径方向の内側、すなわち矢印EX1と反対方向に変形していた。なお、点Taには変形がほとんど見受けられなかった。
【0048】
次に、上記撮影結果を解析することによって得られた点La及び点Lb周り(領域B)の合成樹脂製蓋付き容器の変形メカニズムについて詳細に説明する。なお、点Rb周りの合成樹脂製蓋付き容器の変形メカニズムは、点Lb周り(領域B)の同蓋付き容器の変形メカニズムと同じであるために割愛する。
【0049】
図4(a)に示されるように、水撃力によって蓋本体21が矢印PRの方向に変形する。そして、このような蓋本体21の変形に伴って、点Wbは、矢印SHCの方向、すなわち径方向の内側に変位する。なお、点Wbは、蓋内周壁22の折り返し部22jの応力集中を緩和するとともに補強する筒状リブ22rの突端(正立状態における下端)の点である。このような点Wbの変位によって、第2蓋内周壁22bが点Laを中心として回転するために、蓋外周壁23も蓋内周壁22と同じ方向に回転する。これにより、点Lbは、点Laに対して矢印SHLの方向、すなわち径方向の内側に変位する。しかしながら、環状リブ14が蓋外周壁23の内周面23aから離間するように形成されているために、上述のような点Lbの径方向の内側への変位量は抑制される。
【0050】
一方、着地による衝撃力によって、合成樹脂製蓋付き容器は拉げるように弾性変形するために、開口部10e近傍の本体周壁12は地面に対して平行方向に拡開する。そのため、点La近傍の本体周壁12は、矢印EXBの方向、すなわち径方向の外側に変位する。そして、点La近傍の蓋外周壁23は、このように拡開する本体周壁12によって直接押し出されるために、本体周壁12の変位に追随して矢印EXBの方向、すなわち径方向の外側に変位する。
【0051】
次に、点Ta及び点Tb周り(領域C)の合成樹脂製蓋付き容器の変形メカニズムについて詳細に説明する。
【0052】
図4(b)に示されるように、ここでもまた水撃力によって蓋本体21が矢印PRの方向に変形する。そして、このような蓋本体21の変形に伴って、点Wbは、矢印SHCの方向、すなわち径方向の内側に変位する。このような点Wbの変形、並びに上述した変形メカニズムと同じメカニズムによって、点Tbは、点Taに対して矢印SHTの方向、すなわち径方向の内側に変位する。
【0053】
ところで、点Tbに対極する箇所は、着地点である。そのために、当該箇所では、着地の衝撃力による弾性変形以外は生じ得ない。このため、点Lb及び点Rb、並びに点Tbが、上述のように、水撃力によっていずれも各々の支点に対して径方向の内側に変位するものの、点Lb及び点Rbの変位が点Tbの変位よりも支配的となる。その結果、点Lb及び点Rbの径方向の内側への変位量が、蓋外周壁23にて肉寄せされるように点Tbに伝播され、点Tbは、矢印EXTの方向、すなわち径方向の外側に押し出される。それゆえに、点Tbでは、矢印EX1の方向、すなわち径方向の外側に向けて、矢印EXTで示される変位量から矢印SHTで示される変位量を減じた量だけ変位するようになる。ただし、上述のような環状リブ14の機能により、上記矢印EXTで示される変位量が抑制されるために、すなわち点Tbに伝播する肉寄せ量が抑制されるために、上記矢印EX1で示される変位量も抑制されることになる。
【0054】
一方、開口部10e近傍の本体周壁12は、着地による衝撃力によって拉げるように弾性変形するために、上記地面に対して平行方向と垂直な方向に狭められる。そのため、点Tb(点Ta)周りの本体周壁12は、矢印SHBの方向、すなわち径方向の内側に変位する。ただし、このように径方向の内側に変位する本体周壁12は第2蓋内周壁22bによって内周面12aを支持されている。そして、本体周壁12は、第1蓋内周壁22aが生じさせる板バネ力によって、さらに径方向の内側に変位し難くされている。なお、本体周壁12は点Ta近傍の蓋外周壁23から離間する方向に変位するために、点Ta近傍の蓋外周壁23は本体周壁12の変位に影響され難い。
【0055】
以上説明したように、合成樹脂製蓋付き容器が着地した際の衝撃力によって、点Ta及び点Tb周り(領域C)における本体周壁12は、径方向の内側に変位する、すなわち環状掛止条24によるフランジ部13の掛止を解除する方向へ変位する。しかしながら、第2蓋内周壁22bが、開口部10e近傍の本体周壁12を、内周面12aから支持している。さらに、その支持は、第1蓋内周壁22aが生じさせる板バネ力によって補強されている。そのため、衝撃力による開口部10e近傍の本体周壁12の変形は抑制される。
【0056】
また、上述のように、水撃力によって蓋本体21が合成樹脂製蓋付き容器の外部に突出するように変形するとともに、点La及び点Lbの径方向の内側への変位量がすべて点Tbに肉寄せされることに起因して、点Tbが径方向の外側に、すなわちこれもまた環状掛止条24によるフランジ部13の掛止を解除する方向へ変位する。しかしながら、環状リブ14によって点La及び点Lbの径方向の内側への変位量、すなわち上記肉寄せ量が抑制されるために、掛止を解除する方向への蓋外周壁23の変位量は抑制される。
【0057】
そして、図3(a)に示される状態の次の瞬間の変形過程を撮影した結果では、図5(a)に示されるように、弾性膜として機能する蓋本体21が振動することによって、中心領域CLは、矢印DTの方向、すなわち合成樹脂製蓋付き容器の内部に向けて変位していた。なお、蓋本体21には引き続き水撃力が矢印DTと反対の方向に作用するために、上記合成樹脂製蓋付き容器の内部に向けて戻る量は、同蓋付き容器の外部に突出した量よりも少ない量となっていた。したがって実際は、蓋本体21は、図5(a)に示されるように、合成樹脂製蓋付き容器の内部に突出するまで振動せず、最も突出した位置から僅かに戻る程度であった。
【0058】
図5(b)に示される状態は、図5(a)に示される合成樹脂製蓋付き容器を正面から見た状態である。
【0059】
上記撮影した結果によると、点Lbは、点Laを支点として径方向の外側、すなわち点Laに対して矢印EXLの方向に若干変位したように見受けられた。同様に、点Rbは、点Raを支点として径方向の外側、すなわち点Raに対して矢印EXRの方向に若干変位したように見受けられた。また、点Lb及び点Rbの近傍における本体周壁12は、共に径方向の外側に変位し続けていた。そして、点La及び点Raも、共に径方向の外側に向けて本体周壁12と同程度変位し続けていた。
【0060】
また、点Tbは、点Taを支点として径方向の外側、すなわち点Taに対して矢印EX2の方向に若干変位したように見受けられた。そして、点Taの近傍の本体周壁12は、径方向の内側、すなわち矢印EX2と反対方向に引き続き変形していた。なお、点Taには変形がほとんど見受けられなかった。
【0061】
次に、上記撮影した結果を解析することによって得られた点La及び点Lb周り(領域D)の合成樹脂製蓋付き容器の変形メカニズムについて詳細に説明する。なお、点Rb周りの合成樹脂製蓋付き容器の変形メカニズムは、点Lb周り(領域D)の同蓋付き容器の変形メカニズムと同じであるために割愛する。
【0062】
図6(a)に示されるように、蓋本体21が振動することによって矢印DTの方向に僅かに戻る。そして、このような蓋本体21の変形に伴って、点Wbは、矢印EXCの方向、すなわち径方向の外側に変位する。このような点Wbの変位によって、第2蓋内周壁22bが点Laを中心として回転するために、蓋外周壁23も蓋内周壁22と同じ方向に回転する。これにより、点Lbは、点Laに対して矢印EXLの方向、すなわち径方向の外側に変位する。しかしながら、その変位量は、上述のように中心領域CLの戻り量が少ないために、微量である。
【0063】
一方、着地による衝撃力によって、合成樹脂製蓋付き容器は拉げるように引き続き弾性変形するために、開口部10e近傍の本体周壁12は地面に対して平行方向に拡開し続ける。そのため、点La近傍の本体周壁12は、矢印EXBの方向、すなわち径方向の外側に引き続き変位する。そして、点La近傍の蓋外周壁23は、このように拡開する本体周壁12によって直接押し出されるために、本体周壁12の変位に追随して矢印EXBの方向、すなわち径方向の外側に変位する。
【0064】
次に、点Ta及び点Tb周り(領域E)の合成樹脂製蓋付き容器の変形メカニズムについて詳細に説明する。
【0065】
図6(b)に示されるように、ここでもまた蓋本体21が振動することによって矢印DTの方向に僅かに戻る。そして、このような蓋本体21の変形に伴って、点Wbは、矢印EXCの方向、すなわち径方向の外側に変位する。このような点Wbの変形、並びに上述した変形メカニズムと同じメカニズムによって、点Tbは、点Taに対して矢印EX2の方向、すなわち径方向の外側に変位する。
【0066】
一方、開口部10e近傍の本体周壁12は、着地による衝撃力によって拉げるように弾性変形し続けるために、上記地面に対して平行方向と垂直な方向に狭められる。そのため、点Tb(点Ta)周りの本体周壁12は、矢印SHBの方向、すなわち径方向の内側に変位し続ける。ただし、このように径方向の内側に変位する本体周壁12は第2蓋内周壁22bによって内周面12aを支持されている。そして、本体周壁12は、第1蓋内周壁22aが生じさせる板バネ力によって、さらに径方向の内側に変位し難くされている。なお、本体周壁12は点Ta近傍の蓋外周壁23から離間する方向に変位するために、点Ta近傍の蓋外周壁23は本体周壁12の変位に影響され難い。
【0067】
以上説明したように、合成樹脂製蓋付き容器が着地した際の衝撃力によって、点Ta及び点Tb周り(領域E)における本体周壁12は、径方向の内側に変位する、すなわち環状掛止条24によるフランジ部13の掛止を解除する方向へ変位し続ける。しかしながら、第2蓋内周壁22bが、開口部10e近傍の本体周壁12を、内側から支持している。さらに、その支持は、第1蓋内周壁22aが生じさせる板バネ力によって補強されている。そのため、衝撃力による本体周壁12の変形は抑制される。
【0068】
また、上述のように、蓋本体21が戻ることに起因して、点Tbが径方向の外側に変位する、すなわちこれもまた環状掛止条24によるフランジ部13の掛止を解除する方向へ変位する。しかしながら、上述のように、蓋本体21の戻り量は僅かであるために、点Tbが径方向の外側に変位する量は僅かとなる。
【0069】
ところで、点Tbに対極する箇所は着地点であるために、当該箇所では、着地の衝撃力による弾性変形以外は生じ得ない。このため、点Lb及び点Rb、並びに点Tbが、上述のように、蓋本体21が振動することによっていずれも各々の支点に対して径方向の外側に変位するものの、点Lb及び点Rbの変位が点Tbの変位よりも支配的となる。その結果、点Lb及び点Rbの径方向の外側への変位量が、蓋外周壁23にて肉寄せされるように点Tbに伝播され、点Tbは、矢印SHTの方向、すなわち径方向の内側に押し戻される。それゆえに、環状掛止条24によるフランジ部13の掛止は、さらに解除され難くなる。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態にかかる合成樹脂製蓋付き容器によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0071】
(1)スカート状の蓋外周壁23は、水撃力によって、径方向の内側に撓むものの、撓み量は環状リブ14によって抑制される。そのため、上記撓みの影響が蓋外周壁23にて肉寄せされたとしても、蓋外周壁23が径方向の外側に撓む量も抑制される。また、容器本体10の開口部10e近傍における本体周壁12は、内側から蓋内周壁22によって支持されている。そのため、開口部10e近傍における本体周壁12の径方向の内側への変形が特に抑制される。このため、蓋外周壁23に上記肉寄せを許容する程度の柔軟性を持たせるとともに、蓋外周壁23及び開口部10e近傍の本体周壁12の変位量を抑制することが可能になる。そして、耐衝撃性を高めるとともに密封性を確保した合成樹脂製蓋付き容器を提供することが可能になる。
【0072】
(2)環状リブ14は、蓋外周壁23の内周面23aから離間するように設けられるとともに、該内周面23aによって掛止されない。このため、蓋20を容器本体10に対して抵抗なく装着することも可能になる。
【0073】
(3)環状リブ14は、容器本体10の高さ方向において、外周壁最下面PL2とフランジ面PL1とから等距離のリブ最上面PL3よりも底壁11側に設けられている。また、環状リブ14は、リブ最下面PL4よりも開口部10e側に設けられている。これにより、環状リブ14が、蓋外周壁23が径方向の内側に撓むように肉寄せされる量を効果的に抑制し、ひいては蓋外周壁23が肉寄せされることによって、蓋外周壁23が径方向の外側に撓み難くすることが可能になる。
【0074】
(4)蓋内周壁22は、蓋20の内側から、第1蓋内周壁22a,折り返し部22j,第2蓋内周壁22bがこの順で配設された、断面がV字あるいはU字の形状となるように形成されている。また、折り返し部22jは、蓋20が容器本体10に装着された状態で、合成樹脂製蓋付き容器の内部空間に突出するように形成されている。その結果、折り返し部22jを介して第1蓋内周壁22aの板バネ力が第2蓋内周壁22bに作用する。それゆえに、蓋内周壁22に本体周壁12を内側から拡開するように支持する弾性力を付与することが可能になる。そして、開口部10e近傍の本体周壁12の変位量をさらに抑制することが可能になる。
【0075】
(5)折り返し部22jには、その突端(正立状態における下端)の全周にわたって、蓋20が容器本体10に装着された状態で、合成樹脂製蓋付き容器の内部空間に突出する筒状リブ22rが付加されている。それゆえに、折り返し部22jの応力集中を緩和し、かつ補強することが可能になる。
(変形例)
なお、上記実施の形態は、以下のような態様をもって実施することもできる。
【0076】
・図7に示されるように、本体周壁12の外周面12bには、外周壁最下面PL2よりも底壁11寄りの領域に、その全周にわたって環状リブ14よりも径方向の外側に距離D3だけ突出する補助環状リブ15をさらに設けるようにしてもよい。また、補助環状リブ15は、一重だけでなく、二重三重に設けるようにしてもよい。
【0077】
このようにしても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることはできる。それとともに、図8に示されるように、合成樹脂製蓋付き容器が横倒しとなった状態で地面GDと衝突した場合であっても、補助環状リブ15が一種のストッパーとなって、衝撃が緩衝されるとともに蓋外周壁23の下端が過度に径方向の内側に押し込まれ難くすることが可能になり、ひいては蓋外周壁23を折れ難くすることが可能になる。
【0078】
・上記実施の形態において、筒状リブ22rを設けることによって折り返し部22jを補強するようにしたが、これに限らず、筒状リブ22rを設けない構成であってもよい。すなわち、例えば、折り返し部22jの肉厚を第1蓋内周壁22a及び第2蓋内周壁22bの肉厚よりも厚くすることによって、折り返し部22jの剛性を確保するようにしてもよい。要は、折り返し部22jの剛性を確保することのできる構造であればよい。
【0079】
・上記実施の形態において、蓋内周壁22は、蓋20の内側から、第1蓋内周壁22a,折り返し部22j,第2蓋内周壁22bがこの順で配設された、断面がV字あるいはU字の形状となるように形成されるようにしたがこれに限られず、第2蓋内周壁22bのみが配設された一重の円筒状に形成されているとしてもよい。
【0080】
・上記実施の形態において、環状リブ14は、蓋20が容器本体10に装着された状態で、スカート状の蓋外周壁23の内周面23aのうち、リブ最上面PL3よりも底壁11寄りに設けられている。しかしこれに限られず、環状リブ14が、リブ最上面PL3よりも開口部10e寄りの領域で内周面23aと対向するように設けられていてもよい。このようにしても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることはできる。
【0081】
・上記実施の形態において、蓋20が容器本体10に装着された状態で、外周壁最下面PL2は、リブ最下面PL4よりも下側に位置するように配設されているとしたが、これに限られず、外周壁最下面PL2が、リブ最下面PL4よりも上側に位置するように配設されていてもよい。
【0082】
・上記実施の形態において、蓋20が容器本体10に装着された状態で、内周面23aの全周にわたって、距離D2が0mm<D2≦2mmとすることが好ましいとしたが、これに限られない。内周面23aの一部分にて距離D2がなくなって、環状リブ14の突端と接触していてもよい。要は、蓋外周壁23を脈動し得るようにして着地時に蓋外周壁23の柔軟性を確保し、かつ上記肉寄せが過大とならないようにして蓋20が容器本体10から外れることを抑制することができればよい。
【0083】
このようにしても、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることはできる。また、環状リブ14の突出量並びに内周面23aの径の大きさを厳密に寸法管理する必要がなくなるために、製造工程の簡略化を図ること、ひいては製造コストの削減を図ることができるようになる。
【0084】
・容器本体10は、蓋20と複数個所にて掛止されるとしてもよい。また、環状リブ14は一重だけではなく、二重以上設けられていてもよい。
【0085】
・上記実施の形態において、合成樹脂製蓋付き容器では、開口部10eが蓋20とシール材RGを介して密着するようにしたが、これに限られない。開口部10eが蓋20と直接密着することによって合成樹脂製蓋付き容器が密閉されるのであれば、シール材RGが割愛されるようにしてもよい。
【0086】
・上記実施の形態では、合成樹脂製蓋付き容器に密封される内容物は液体であるとしたが、これに限らず、砂のような流動性を有する粒体等であってもよい。要は、合成樹脂製容器に密封することができるものであれば何でもよい。
【0087】
・上記実施の形態において、蓋本体21には、蓋20を容器本体10から取り外すことなく合成樹脂製蓋付き容器に密封された内容物の取り出しを可能にする取り出し口が備えられていてもよいし、備えられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
容器本体と蓋とは、それぞれ一体成形により成形され、密封性を高めることのできる合成樹脂製蓋付き容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0089】
10,60…容器本体、10e,60e…開口部、11,61…底壁、12,62…本体周壁、12a,23a…内周面、12b…外周面、13…フランジ部、14…環状リブ、15…補助環状リブ、20,70…蓋、21,71…蓋本体、22,72…蓋内周壁、22a…第1蓋内周壁、22b…第2蓋内周壁、22j…折り返し部、22r…筒状リブ、23,73…蓋外周壁、24…環状掛止条、63a…第1環状被掛止条、63b…第2環状被掛止条、63c…第3環状被掛止条、74a…第1環状掛止条、74b…第2環状掛止条、74c…第3環状掛止条、CL…中心領域、DL…対角線、D1,D2,D3…距離、GD…地面、HZ…水平面、PL1…フランジ面、PL2…外周壁最下面、PL3…リブ最上面、PL4…リブ最下面、La,Lb,Ra,Rb,Ta,Tb,Wb…点、P4…最下点,RG…シール材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の容器本体と合成樹脂製の蓋とからなる合成樹脂製蓋付き容器において、
(1)前記容器本体は、円筒状の本体周壁と、前記本体周壁の下端を塞ぐ底壁と、前記本体周壁の上端に開口部と、前記開口部の外縁にフランジ部と、前記フランジ部の下方であって前記本体周壁の外周面に環状リブとを備え、
(2)前記蓋は、円板状の蓋本体と、前記蓋本体の外周部の全周に沿う蓋内周壁と、前記蓋内周壁から離間しつつ前記蓋内周壁の全周を囲繞するスカート状の蓋外周壁とを備え、
(3)前記環状リブは、断面視したときの前記蓋外周壁の下端の位置より上方であって前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記本体周壁と前記蓋内周壁とが重なり合う領域内に全周にわたって設けられ、かつ、前記蓋外周壁の内周面に対して周方向の全体にわたっては接触しないように設けられているとともに前記蓋外周壁の内周面によって掛止されない
ことを特徴とする合成樹脂製蓋付き容器。
【請求項2】
前記環状リブは、断面視したときの前記フランジ部の位置と前記蓋外周壁の下端の位置との垂直方向における中央位置よりも下方に設けられている
請求項1に記載の合成樹脂製蓋付き容器。
【請求項3】
前記蓋内周壁は、第1蓋内周壁と第2蓋内周壁とからなり、
第1蓋内周壁と第2蓋内周壁とは、前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記容器本体の内部となる空間に突出する折り返し部を構成し、
前記第2蓋内周壁が前記容器本体の内周面と当接するようにされている
請求項1または2に記載の合成樹脂製蓋付き容器。
【請求項4】
前記折り返し部は、その突端の全周にわたって、前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記容器本体の内部となる空間に突出する筒状リブを有する
請求項3に記載の合成樹脂製蓋付き容器。
【請求項5】
前記本体周壁の外周面には、前記蓋が前記容器本体に装着された状態で前記蓋外周壁によって囲繞される領域となる領域よりも前記底壁寄りの領域に、その全周にわたって前記環状リブよりも径方向の外側に突出する補助環状リブがさらに設けられている
請求項1〜4のいずれか一項に記載の合成樹脂製蓋付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−218806(P2012−218806A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89941(P2011−89941)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(500272347)DICプラスチック株式会社 (27)
【Fターム(参考)】