説明

合成糸のバンドル化方法及びバンドル化装置

【課題】 糸へのダメージをなくし、歩留りを高める。
【解決手段】 紡糸した合成糸11の先端部分を挟持し、横方向に繰り出す糸繰り出し機構12と、繰り出した合成糸の途中を、所定長さで切断する繰り出し糸切断機構13と、繰り出し糸切断機構により切断された合成糸が降下する位置に配置され、集積溝40内に、切断された合成糸を複数回受け入れて集積する糸集積部材14と、集積された合成糸を保護シート15で巻き包むシート巻き機構16と、保護シートの側縁部分同士を止着するシート止着機構17と、保護シートで巻き包んだ糸束を所定の長さに切断する糸切断機構18と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸などの合成糸を保護シートでラッピングして糸束(バンドル)にする合成糸のバンドル化方法及びバンドル化装置に関するもので、特に血液浄化器等に使用される中空糸束の製造に適する。
【背景技術】
【0002】
中空糸型血液浄化器は、濾過膜として、一般的に5000〜12000本の中空糸を筒状ケーシング内に充填して構成されている。
合成糸である中空糸を製造するには、溶剤等により溶解した高分子材料を口金から押し出すことにより行われるが、一つの口金から紡糸される中空糸の数は、最大100〜200本である。したがって、何等かの方法で所定本数5000〜12000本の束にする必要が有る。
【0003】
紡糸された中空糸を束にする従来の一般的な方法は、図3に示すように、六角形など多角形のカセ1に紡糸された中空糸2を所定本数になるまで数回巻き取り、この巻き取った中空糸のストレート部分に保護シートを巻いてからその両端部分(図4中一点鎖線で示す部分)を切断して糸束にする。
【特許文献1】特公昭58−30057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多角形のカセ1に数回巻き取ってからストレート部分だけを切断して使用する従来の方法では、残った隅角部分3の糸が無駄になる。したがって、歩留りを高めることができない。
【0005】
また、カセ1に巻き取る際に、乱れることなく巻き取るためには糸にある程度の張力を掛けながら巻き取ることが必要である。このため、弱い糸ではこの張力によって糸が細くなったり微細クラックが発生するなどのダメージを受けたり、巻き取り圧力によってカセ1の内側の糸が潰れることがある。
【0006】
さらに、多角形のカセ1に糸を一旦巻き取ってから保護シートを被せて両端部分を切断する作業は繊細且つ煩雑であり、機械による自動化が困難である。したがって、省力化、合理化を図ることができない。
【0007】
そこで本発明は、糸へのダメージをなくすことができ、自動化することができ、歩留りを高めることができる合成糸のバンドル化方法及びバンドル化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のバンドル化方法は、用途に応じた長さの糸束を保護シートで包んだ様態で作製する合成糸のバンドル化方法であって、
紡糸した合成糸の先端部分を挟持し、合成糸の紡糸速度に応じて横方向に繰り出す糸繰り出し工程と、
繰り出した合成糸の途中を、先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断工程と、
上面が開放した断面溝状の糸集積部材に、繰り出し糸切断工程で切断された合成糸を複数回降下せしめて合成糸を集積する糸集積工程と、
集積した合成糸を保護シートで巻き包むシート巻き工程と、
巻いた保護シートの側縁部分同士を止着して合成糸を長尺な糸束にするシート止着工程と、
保護シートで巻き包んだ長尺な糸束を用途に応じた長さに切断する糸束切断工程と、からなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のバンドル化装置は、
紡糸した合成糸の先端部分を挟持し、合成糸の紡糸速度に応じて横方向に繰り出す糸繰り出し機構と、
繰り出した合成糸の途中を、先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断機構と、
上面が開放した集積溝を有し、繰り出し糸切断機構により切断された合成糸が降下する位置に配置され、集積溝内に、切断された合成糸を複数回受け入れて合成糸を集積する糸集積部材と、
集積された合成糸を保護シートで巻き包むシート巻き機構と、
保護シートの側縁部分同士を止着するシート止着機構と、
保護シートで巻き包んだ長尺な糸束を用途に応じた長さに切断する糸束切断機構と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、いずれも多角形のカセに巻き取る必要がなく、紡糸装置から紡糸された合成糸を屈曲させることなく所定本数集積することができるので、捨てる部分を著しく減少させることができる。したがって、従来に比較して歩留りを高めることができる。
【0011】
また、カセに巻き取らないので、合成糸に巻取張力を掛ける必要がない。したがって、弱い合成糸をバンドル化する場合にも糸にダメージを受けることが殆どなくなり、バンドル化した合成糸の品質を向上することができる。
【0012】
さらに、合成糸を保護シートで巻き包む際にも機械化し易くなり、自動化による合理化、省力化に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、代表的な合成糸である中空糸のバンドル化装置の概略構成を示す斜視図、図2はその概略正面図である。
【0014】
このバンドル化装置は、図1及び図2に示すように、紡糸装置(図示しないが図2中の左側にある)の隣りに設置され、紡糸装置により紡糸された中空糸11の先端部分を挟持して横方向に繰り出す糸繰り出し機構12と、繰り出した中空糸11の途中を先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断機構13と、この所定長さに切断した中空糸11を集積する糸集積部材14と、集積した中空糸11を保護シート15で巻き包むシート巻き機構16と、保護シート15の側縁部分同士を止着するシート止着機構17と、保護シート15で巻き包んだ長尺な中空糸束を用途に応じた長さに切断する糸束切断機構18などが主要な構成機構であり、これらの各機構は床面に設置する下フレーム19又は下フレーム19の上方に水平方向に架設した上フレーム20に直接或は架台やブラケット等の部材を介して設置されている。
【0015】
糸繰り出し機構12は、紡糸された中空糸11の先端部分を挟持して横方向に走行する挟持部材21と、該挟持部材21を横方向に案内する案内部材と、挟持部材21を案内部材に沿って走行させる駆動機構などから構成されており、連続して紡出する中空糸11を交互に挟持して連続的に繰り出せる様に、上記機構は2セット設けてある。
【0016】
図2に示すように、案内部材は、角パイプからなる上フレーム20の左右側面にそれぞれ固定した長尺な案内レール22により構成されており、挟持部材21のスライダ23をそれぞれ摺動自在に支持している。
【0017】
挟持部材21は、案内レール22に沿って走行するスライダ23と、このスライダ23に基部を固定して先端部分に、ソレノイド等の駆動源24の駆動により開閉する挟み爪片状のクランプ部25を有する。そして、本実施形態では、上フレーム20の下方に合成糸のパスラインを設定してあるので、上フレーム20の左右両側をそれぞれ走行する挟持部材21,21は、クランプ部25,25がそれぞれパスライン側に向くように向い合わせにして取り付けられている。
【0018】
また、挟持部材21は、合成糸を挟持してパスラインに沿って搬送しても相互に干渉しないように、エアシリンダやソレノイド等の駆動源26により、クランプ部25がパスラインに対して前後動できるように構成されている。
【0019】
この様な構成からなる挟持部材21を案内レール22に沿って走行させる駆動機構は、図2に示すように、上フレーム20上に、その長手方向に沿って雄ネジ杆27を軸受28,28により回転自在に支持した状態で設け、この雄ネジ杆27に挟持部材21上部のボールスプライン29を螺合し、サーボモータ,パルスモータなどの回転方向と回転角度と回転速度を制御可能なモータ30を雄ネジ杆27の端部に接続して構成される。したがって、モータ30の駆動により雄ネジ杆27を回転すると、これにより挟持部材21が案内レール22に沿って水平方向に移動し、モータ30の回転方向及び回転角度を制御することにより挟持部材21の移動範囲(図1中矢印で示すストローク、即ち糸繰り出し長さ)や停止位置等を制御することができる。
【0020】
なお、この駆動機構は、挟持部材21ごとに設け、各挟持部材21が所定のタイミングで独立して走行できるように構成する。また、この駆動機構は、紡糸装置側に近い挟持位置から反対側の停止位置(落下位置)に向けて挟持部材21を前進走行させる際には、紡糸速度と同じような速度で前進し、停止位置から挟持位置に向けて後退させる際には、前進速度よりも速い速度で後退させることが望ましい。但し、後述するように、挟持部材21が後退して挟持位置で中空糸11を挟持する際に一時的に糸繰り出しを停止し、この停止中に紡糸されてくる中空糸11を昇降ローラ31の下降により弛ませて保留し、挟持部材21が再度前進走行する間に保留分の中空糸11を加えて繰り出すので、この保留分を繰り出すに過不足のない前進速度(紡糸装置の紡出速度よりも少し速い速度)に設定する。
【0021】
繰り出し糸切断機構13は、本実施形態では、上フレーム20に駆動源としてエアシリンダ35を下向きに設け、このエアシリンダ35のロッドの先端にカッター36を取り付けてある。したがって、エアシリンダ35の駆動によりカッター36を下降すると、パスラインを通っている中空糸11を切断することができる。
【0022】
なお、この繰り出し糸切断機構13は、中空糸を切断することができればどのような構成でもよく、例えば回転式カッターでもよい。
【0023】
上記した構成からなる糸繰り出し機構12においては、図2中左側に示すように、一方の挟持部材21がクランプ部25を開いた状態で挟持位置まで後退し、この挟持位置まで後退すると、クランプ部25がパスライン側に前進して閉じる。したがって、図2中左側に配置された紡糸装置から紡糸された中空糸11の先端部分は挟持部材21により挟持され、挟持部材21の前進走行により紡糸速度に応じた速度で停止位置に向かって横方向に繰り出される(糸繰り出し工程)。
【0024】
そして、上記挟持部材21が停止位置に到達する頃には、他方の挟持部材21が挟持位置まで後退しており、前記と同様に、クランプ部25が前進して閉じて中空糸11の途中を挟持する。
【0025】
この様にして、他方の挟持部材21が中空糸11の途中を挟持すると、一方の挟持部材21も停止位置で停止して繰り出しを一時停止し、この間に糸切断機構13が中空糸11の途中を切断する。なお、停止位置は、糸切断機構13が中空糸11の途中を切断する位置から所定の距離だけ離れている。したがって、切断された中空糸11は、先端から所定の長さで切断される(繰り出し糸切断工程)。
【0026】
繰り出し糸切断工程が終了すると、一方の挟持部材21はクランプ部25を開いて中空糸11の先端部分を放す。したがって、所定の長さに切断された中空糸11は、自重により糸集積部材14の集積溝に向かって降下する。
【0027】
また、上記糸切断位置は、挟持位置よりも前方(繰り出し方向に進んだ位置)に設定してあるので、他方の挟持部材21は、切断された中空糸11の切断後端部分が離れても、紡糸装置から送り出される中空糸11の先端部分を挟持し続けることができる。したがって、繰り出し糸切断工程が終了した後に、この他方の挟持部材21が前進走行すると、紡糸装置から送り出される中空糸11の先端部分を停止位置に向かって繰り出すことができる。
【0028】
この様にして、両挟持部材21が交互に往復すると、紡糸装置から送り出されてくる中空糸11を所定回数繰り返して繰り出すことができ、しかも繰り出した中空糸11を糸切断機構によって所定の長さに切断することができる。
【0029】
次に、所定長さに切断した中空糸11を集積する糸集積部材14及び糸集積工程について説明する。
【0030】
本実施形態における糸集積部材14は、上面が開放した断面略U字状の集積溝40を形成した雨樋状のトレーであり、繰り出し糸切断機構13により切断された中空糸が降下する位置に配置される。そして、集積溝40内に集積した中空糸11を次のシート巻き工程に移すために、本実施形態では、図2に示すように、所定角度(120度)ずつ回転するタレット41の外周に等間隔(120度間隔)に取り付け、集積溝40が上を向いた集積位置と、120度位相を変えて集積溝40を斜め下方に向けた集積糸排出位置と、さらに120度位相を変えた待機位置とに停止できるように構成してある。なお、タレット41は、両端を軸受によって支持され、サーボモータ42の駆動により、所定のタイミングで所定回転角度(120度)ずつ間歇的に回転する。
【0031】
また、集積位置における糸集積部材14の上方には、落下してくる中空糸11を集積溝40内に案内する倒ハ字状の糸下降ガイド43を配設してある。
【0032】
したがって、糸繰り出し機構12が紡糸装置から中空糸11を繰り出し、この中空糸11を糸切断機構13が所定の長さに切断すると、切断された中空糸11は糸下降ガイド43に案内されながら下降して、糸集積部材14の集積溝40内に収納される。この様にして、糸集積部材14が切断された糸を複数回受け入れると、その受け入れ回数を適宜に設定することにより、中空糸11を所定本数になるまで集積することができる(糸集積工程)。例えば、200本の中空糸11を紡糸する口金を備えた紡糸装置により紡糸し、10000本の糸束にする場合には、50回受け入れる。
【0033】
集積溝40内に所定本数の中空糸11を集積すると、タレット41が回転するので、糸集積工程が終了した糸集積部材14は集積糸排出位置に移動し、集積溝40内の中空糸11を保護シート15上に落下させ、待機位置で待機していた空の糸集積部材14が集積位置に移動して停止する。
【0034】
次にシート巻き機構16及びシート巻き工程について説明する。
シート巻き機構16は、シートコイル15′を支持するスタンド45と、集積糸排出位置の斜め下方に糸集積部材14の長手方向に沿って配設され、コイル15′から巻き解いた保護シート15を敷くテーブル46と、テーブル46の先端部分に配設されたシート巻成筒材47と、このシート巻成筒材47の出口側に配設された送り装置48などから構成されている。
【0035】
シート巻成筒材47は、入口側の内径が大きく、出口側に次第に縮径するテーパー部を形成した筒材であり、大きな入口から小さな出口に向かって保護シート15を通すと、テーパー部の内周面により、平らな保護シート15の左右側縁部分を徐々に円弧状に巻いて浅い樋状から順次深い樋状に巻成して、最終的には出口の内径と同じ直径の筒状に巻成することができる。なお、保護シート15の両側縁部分を重なり合わせるために、両側縁部分が当接する近傍においては、一方の内周面の曲率を他方の曲率よりも大きくして、一方の側端縁部分が下に、他方の側端縁部分がその上に重なるようにすることが望ましい。
【0036】
送り装置48は、シート巻成筒材47から保護シート15を間歇的に掴んで引き出すもので、エアシリンダやソレノイドなどの駆動源の駆動によって左右に開閉するチャック51,51と、このチャック51を送り方向に沿って往復移動させるレール52及び駆動源53とからなる。左右のチャック51,51は、シート巻成筒材47の出口近傍で閉じて中空糸束をクランプし、このクランプ状態のまま前進して中空糸束を保護シート15と共にシート巻成筒材47から引き抜き、所定のストロークだけ前進すると開いて中空糸束をその位置で放す。そして、開いた状態で後退してから閉じて1サイクルを終了する。したがって、このサイクルを繰り返すと、中空糸束を保護シート15と共にストローク長さずつ間歇的に送ることができる。
【0037】
本実施形態では、上記シート巻成筒材47の出口近傍にシート止着機構17を設けてある。このシート止着機構17は、シート巻き機構16により中空糸束を巻き包んだ保護シート15の側縁部分同士を止着するものであり、図面に示す実施形態ではエアシリンダやソレノイドなどの駆動源55の駆動により昇降する棒状ヒーターヘッド56をシート巻成筒材47の出口近傍に配設して構成されている。なお、ヒーターヘッド56は、保護シート15の両側縁部分が重なり合った部分のほぼ中央に接触するように下向きに配置してある。
【0038】
上記した構成からなるシート巻き機構16においては、糸集積部材14が集積位置から集積糸排出位置に移動した際に、集積溝40内の中空糸11が保護シート15上に排出されるので、この中空糸11は、送り装置48が保護シート15の前方部分を掴んで送る度に、保護シート15上に載った状態で保護シート15と共に前進する。そして、保護シート15が前進すると、前方部分からシート巻成筒材47の内部を通過するので、中空糸束は次第に筒状に成形される保護シート15によって巻き包まれ、シート巻成筒材47を通過すると両側から確実に巻き包まれる(シート巻き工程)。
【0039】
保護シート15に巻き包まれた中空糸11がシート巻成筒材47の出口から引き出されると、ヒーターヘッド56が下降して、保護シート15の側縁同士が重なり合った部分を点溶着して止着する(シート止着工程)。したがって、中空糸束は保護シート15に巻き包まれた長尺な中空糸束となる。なお、保護シート15の止着は、中空糸束を血液浄化器のケース内に充填した後に保護シート15を取り外し易くするために、必要最小限の点溶着であることが望ましい。
【0040】
所定長さの中空糸11を保護シート15で巻き包んだ中空糸束にしたならば、本実施形態では切断し、一本の長尺な中空糸束にする。このため、送り装置48の下流側に切断装置60を配置してある。この切断装置60は、モーター61により回転するカッター62を昇降可能に設けたものである。したがって、所定長さの中空糸11の後端が切断位置に到来すると、この切断装置60が作動して、保護シート15を、先の中空糸束の後端と後の中空糸束の先端との間の空の部分で切断する。なお、この切断位置は、中空糸11の設定長さと送り装置48の送り量の設定により算出して、予め設定することができる。
【0041】
切断装置60によって切断された中空糸束は、シュートや搬送ロボットなどの搬送機構により次の糸束切断工程に送られて、用途に応じた所定の長さに切断される。
【0042】
次に、糸束切断機構18及び糸束切断工程について説明する。
糸束切断機構18は、中空糸束を送る送り装置と、エアシリンダやソレノイドなどの駆動源66によって切断作動する刃67と、送り装置(図示せず)とを備えている。なお、送り装置は、前記送り装置と同様の構成である。
【0043】
一本の長尺な中空糸束がシート止着工程から搬送機構によって搬送されると、この中空糸束の先端部分をチャックが掴んで、最初は、糸繰り出し機構12の挟持部材21で挟持した先端部分を切断位置(刃の位置)まで送り出し、ここで刃67を下降させて切断し、切断した先端の不揃い部分を切り捨てる。次に、送り装置の作動により中空糸束を所定の長さ(最終バンドルの長さであり、例えば、200mm〜400mm)だけ切断位置よりも前方に送り出し、ここで刃67を下降させて切断する(糸束切断工程)。
【0044】
この様にして、所定の長さに切断された中空糸束(バンドル)は、下方に配設したシュート(図示せず)上を転動し、コンテナ内に収納される。そして、上記した切断を繰り返すと、一本の長尺な中空糸束は、用途に適した所定長さのバンドルに切り分けられる。なお、長尺な中空糸束の後端不揃い部分も、挟持部材21により挟持されているので、切断して切り捨てることが望ましい。
【0045】
なお、本発明における糸繰り出し機構12は、紡糸した中空糸11の先端部分を挟持し横方向に繰り出すことができればどのような構成でも良い。そして、中空糸11を挟持する挟持部材21も、前記実施形態に限定されるものではない。
【0046】
また、繰り出した中空糸の途中を、先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断機構13は、中空糸11を切断することができれば、刃で押切するものでも、刃を揺動するもの、また回転するもの、或はレーザー光線を照射したりヒーターで加熱して溶断するものであってもよい。さらに、糸切断機構13の取付位置は、フレームに限らず、糸繰り出し機構12の挟持部材21に取り付けてもよい。
同様に、糸束切断機構18も糸束を用途に応じた長さに切断することができれば、回転カッター式などの機械的切断機構であってもレーザー光線照射式などの溶断的切断機構であってもよい。
【0047】
さらにまた、糸集積部材14は、下降してくる中空糸11を集積する集積溝40を有していればどのような構成でもよく、集積溝40は、中空糸11を受け入れて所定本数集積できる空部であればよく、溝内面が不連続であってもよい。
【0048】
また、この糸集積部材14を中空糸降下位置に移動する機構は、前記実施形態の回動式に限らない。そして、この糸集積部材14の集積溝40内に合成糸を複数回受け入れて所定本数集積できればよく、前記実施形態で示したように中空糸11を自由落下によって降下させてもよいし、或は機械的に制御しながら降下させてもよい。
【0049】
なお、前記の実施形態ではいずれも合成糸として中空糸11について説明したが、本発明はこの中空糸11の限定されるものでなく、釣糸やその他の中実な合成糸にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】中空糸のバンドル化装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】バンドル化装置の概略正面図である。
【図3】所定本数になるまで中空糸を巻き取る従来の六角形カセの正面図である。
【図4】六角形カセで巻き取った中空糸の切断位置を示す中空糸束の一部欠截正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 六角形カセ
2 中空糸
3 隅角部分
11 中空糸
12 糸繰り出し機構
13 繰り出し糸切断機構
14 糸集積部材
15 保護シート
16 シート巻き機構
17 シート止着機構
18 糸束切断機構
19 下フレーム
20 上フレーム
21 挟持部材
22 案内レール
23 スライダ
24 クランプ部の駆動源
25 クランプ部
26 駆動源
27 雄ネジ杆
28 軸受
30 モータ
31 昇降ローラ
35 エアシリンダ
36 カッター
40 集積溝
41 タレット
42 サーボモータ
43 糸下降ガイド
45 スタンド
46 テーブル
47 シート巻成筒材
48 送り装置
51 チャック
52 レール
53 駆動源
55 ヒーターヘッド上下用の駆動源
56 ヒーターヘッド
60 切断装置
61 モーター
62 カッター
66 駆動源
67 刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用途に応じた長さの糸束を保護シートで包んだ様態で作製する合成糸のバンドル化方法であって、
紡糸した合成糸の先端部分を挟持し、合成糸の紡糸速度に応じて横方向に繰り出す糸繰り出し工程と、
繰り出した合成糸の途中を、先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断工程と、
上面が開放した断面溝状の糸集積部材に、繰り出し糸切断工程で切断された合成糸を複数回降下せしめて合成糸を集積する糸集積工程と、
集積した合成糸を保護シートで巻き包むシート巻き工程と、
巻いた保護シートの側縁部分同士を止着して合成糸を長尺な糸束にするシート止着工程と、
保護シートで巻き包んだ長尺な糸束を用途に応じた長さに切断する糸束切断工程と、からなることを特徴とする合成糸のバンドル化方法。
【請求項2】
紡糸した合成糸の先端部分を挟持し、合成糸の紡糸速度に応じて横方向に繰り出す糸繰り出し機構と、
繰り出した合成糸の途中を、先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断機構と、
上面が開放した集積溝を有し、繰り出し糸切断機構により切断された合成糸が降下する位置に配置され、集積溝内に、切断された合成糸を複数回受け入れて合成糸を集積する糸集積部材と、
集積された合成糸を保護シートで巻き包むシート巻き機構と、
保護シートの側縁部分同士を止着するシート止着機構と、
保護シートで巻き包んだ長尺な糸束を用途に応じた長さに切断する糸束切断機構と、
を備えたことを特徴とする合成糸のバンドル化装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用途に応じた長さの糸束を保護シートで包んだ様態で作製する合成糸のバンドル化方法であって、
紡糸した合成糸の先端部分を挟持し、合成糸の紡糸速度に応じて横方向に繰り出す糸繰り出し工程と、
繰り出した合成糸の途中を、先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断工程と、
上面が開放した断面溝状の糸集積部材に、繰り出し糸切断工程で切断された合成糸を複数回降下せしめて合成糸を集積する糸集積工程と、
集積した合成糸を保護シート上に載せ、この状態で入口側から出口側へ次第に縮径するシート巻成筒材の内部を通過させて、合成糸を保護シートで巻き包むシート巻き工程と、
シート巻成筒材の出口近傍で、合成糸を巻き包んだ保護シートの側縁部分同士を止着して合成糸を長尺な糸束にするシート止着工程と、
保護シートで巻き包んだ長尺な糸束を用途に応じた長さに切断する糸束切断工程と、からなることを特徴とする合成糸のバンドル化方法。
【請求項2】
紡糸した合成糸の先端部分を挟持し、合成糸の紡糸速度に応じて横方向に繰り出す糸繰り出し機構と、
繰り出した合成糸の途中を、先端から所定の長さで切断する繰り出し糸切断機構と、
上面が開放した集積溝を有し、繰り出し糸切断機構により切断された合成糸が降下する位置に配置され、集積溝内に、切断された合成糸を複数回受け入れて合成糸を集積する糸集積部材と、
入口側から出口側へ次第に縮径するシート巻成筒材を備え、糸集積部材により集積された合成糸を保護シート上に載せた状態でシート巻成筒材の内部を通過させて保護シートで巻き包むシート巻き機構と、
シート巻成筒材の出口近傍に配置され、シート巻き機構により合成糸を巻き包んだ保護シートの側縁部分同士を止着するシート止着機構と、
保護シートで巻き包んだ長尺な糸束を用途に応じた長さに切断する糸束切断機構と、
を備えたことを特徴とする合成糸のバンドル化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−87922(P2006−87922A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268782(P2005−268782)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【分割の表示】特願平8−147829の分割
【原出願日】平成8年5月20日(1996.5.20)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】