説明

合成統合画像を提供する画像箔

合成統合画像25を提供する光学デバイスは、ポリマー箔スタックを備える。ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像担持構造16A〜16Cを備える。ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子1を有する。第1の方向における、第1のアレイにおける隣接するオブジェクトの距離及び第2のアレイにおける集光素子の距離の間の比は、第2の方向における、第1のアレイにおける隣接するオブジェクトの距離及び第2のアレイにおける集光素子の距離の間の比とは異なる。これにより、画像データ担持構造に対応する合成統合画像は、ポリマー箔スタックに一定の湾曲が与えられたときに要求された割合で知覚可能である。また、非常に短い距離から見られる場合にのみ合成統合画像をもたらすポリマー箔スタックについても述べている。ポリマー箔スタックを曲げているか又は移動している間の合成統合画像の外観は認証に用いられる。回転中の見かけの画像深さの変化も代りに認証に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には光学デバイスに関し、特に合成画像を提供する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
合成画像、すなわち角度が異なると外観を変化させる画像をもたらす平面光学装置が、多くの応用で使用されてきた。完全に審美的な用途以外でも、こうした装置は、たとえば紙幣又は他の価値のある文書、識別文書等のセキュリティラベルとして使用されてきた。合成画像は、通常、幾分か目立つ3次元文字と共に、たとえば2次元情報文書において複雑な形状が幾何学的により理解されるためにも使用されてきた。
【0003】
特許文献1では、セキュリティデバイスが開示されている。セキュリティデバイスはマイクロ画像のアレイを備え、それは、実質的に球形のマイクロレンズの対応するアレイを通して見られるとき、拡大画像を生成する。この結果は、長く知られているモアレ効果に従って達成され、ここでは、セキュリティラベルに3次元の外観を有する画像を提供するために適用された。アレイを、マイクロ画像のアレイに接合してもよい。
【0004】
特許文献2では、同様の基本概念に基づいている、マイクロ光学セキュリティ及び画像表示システムが開示されている。フィルム材料が、非円柱形レンズの規則正しい2次元アレイを利用して、マイクロ画像又は画像平面の画像データ担持(bearer)構造を拡大する。レンズの焦点特性を適合させることにより、レンズと画像平面との間の距離、レンズの直径、種々の倍率、視野等を変更することができる。画像平面とレンズ面との位置合せにずれがあることにより、光視差(optoparallactic)移動が達成される。
【0005】
この種の画像は、たとえばパッケージ用のシート材としても使用される。パッケージは、このように人目を引く外観を達成し、それは通常、装飾的な又は高価な製品を販売する場合に望まれる。合成画像が3次元で作成される場合、画像を、たとえば、パッケージの内側(又はさらには外側)に浮遊しているように見えるように構成することができる。しかしながら、この装置は、画像データ担持構造及びレンズの平面構造によって達成される光学効果を利用するため、こうした画像は、今まで、平面を有するパッケージに限られていた。合成画像は、通常、たとえば湾曲した瓶の表面に付与されると劣化する。
【0006】
光学装置がセキュリティデバイスとして使用される場合、知覚される画像は、簡単な手段で複製することが困難であるように挙動するが、ユーザが容易に観察することができることが重要である。従来技術では、こうした要件を満たすセキュリティデバイスは、たとえあったとしてもわずかである。検出及び検証が容易であるが改ざん又は複製が困難である一意の構造及び特性を有するセキュリティデバイスが必要とされている。
【0007】
特許文献3では、不正開封防止機能付き(tamper-evident)パッケージ用の画像シートが開示されている。シートは、フィルムの上部にガラスミクロスフェア(microsphere:微小球)のパターンが設けられており、ミクロスフェアはマイクロレンズとして機能する。シートを高エネルギー放射線に対して露出させることにより、シートにおいてミクロスフェアの背部に接触して軸方向のマーキングが形成されることになる。フィルムが湾曲形状に保持されるときにこうした軸方向マーキングを作成することにより、ミクロスフェアを通して見られる軸方向マーキングによって構成される統合(integral)画像が、湾曲が変化した場合に破壊される。こうしたフィルムが、たとえば容器の開口部の上に設けられる場合、画像の存在により、容器の中身が不正開封されていないことが保証される。こうした構成の不都合は、画像形成を、フィルムがその最終的な基材に付与されるときに行わなければならないということである。これにより、効率的な大量生産が非常に困難になる。ミクロスフェアを通して放射線照射により軸方向マーキングを作成する手法はまた、形成することができる画像の種類に関して厳密な制限を加える。さらに、軸方向マーキングの作成を、最終製品において強力な放射線照射によって行わなければならないため、この種のセキュリティデバイスを放射線の影響を受けやすい製品には使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第94/27254号
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0180020号
【特許文献3】欧州特許出願第0216626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、曲げられているか又は湾曲面を有しているときに高品質な合成画像を提供する光学デバイスを提供することである。別の目的は、検出及び検証が容易であるが改ざん又は複製が困難である一意の構造及び特性を有する、改善されたセキュリティデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、同封した特許請求の範囲によるデバイス及び方法によって達成される。概して、第1の態様によれば、合成統合画像(synthetic integral image)を提供する光学デバイスがポリマー箔(polymer foil)スタックを備える。前記ポリマー箔スタックは少なくとも1つのポリマー箔を備える。前記ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像データ担持構造を備える。前記ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子を有する。前記第2の界面は前記第1の界面から距離を空けて設けられる。前記第1のアレイの前記画像データ担持構造は、第1のオブジェクト方向において第1のオブジェクト距離で、かつ前記第1のオブジェクト方向に対して第1の角度で提供される第2のオブジェクト方向において第2のオブジェクト距離で繰り返される。前記第2のアレイにおける前記集光素子は、第1の集光素子方向において第1の集光素子距離で、かつ前記第1の集光素子方向に対して第2の角度で提供される第2の集光素子方向において第2の集光素子距離で繰り返される。第1の投影されたオブジェクト距離は、前記第1の集光素子方向上に投影された前記第1のオブジェクト距離であり、第2の投影されたオブジェクト距離は、前記第2の集光素子方向上に投影された前記第2のオブジェクト距離である。前記第1の投影されたオブジェクト距離及び前記第1の集光素子距離の対応する対の間の第1の比と、前記第2の投影されたオブジェクト距離及び前記第2の集光素子距離の対応する対の間の第2の比とのうちの少なくとも1つは、1に近いか又は1に等しく、それにより、前記画像データ担持構造に対応する前記合成統合画像は、小さい距離から見られるとき、前記ポリマー箔スタックの観察側から要求された割合で知覚可能である。
【0011】
第2の態様によれば、目的の認証のための方法が開示される。本方法は、物体の表面に設けられたポリマー箔スタックに対して実行される。前記ポリマー箔スタックは少なくとも1つのポリマー箔を備える。前記ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像データ担持構造を備える。前記ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子を有する。前記第2の界面は前記第1の界面から距離を空けて設けられる。本方法は、前記ポリマー箔スタックを、観察者に対する第1の距離と観察者に対する第2の距離との間でいずれかの方向に移動させることを含む。前記第2の距離は前記第1の距離より大幅に小さい。本方法は、前記移動中に前記画像データ担持構造に対応する第1の合成統合画像の何らかの外観を、認証のしるしとして要求された割合で観察することをさらに含む。
【0012】
第3の態様によれば、合成統合画像を提供する光学デバイスがポリマー箔スタックを備える。前記ポリマー箔スタックは少なくとも1つのポリマー箔を備える。前記ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像データ担持構造を備える。前記ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子を有する。前記第2の界面は前記第1の界面から距離を空けて設けられる。前記第1のアレイの前記画像データ担持構造は、第1のオブジェクト方向において第1のオブジェクト距離で、かつ前記第1のオブジェクト距離に対して第1の角度で提供される第2のオブジェクト方向において第2のオブジェクト距離で繰り返される。前記第1のアレイにおける前記集光素子は、第1の集光素子方向において第1の集光素子距離で、かつ前記第1の集光素子方向に対して第2の角度で提供される第2の集光素子方向において第2の集光素子距離で繰り返される。第1の投影されたオブジェクト距離は、前記第1の集光素子方向上に投影された前記第1のオブジェクト距離として定義され、第2の投影されたオブジェクト距離は、前記第2の集光素子方向上に投影された前記第2のオブジェクト距離として定義される。前記第1の投影されたオブジェクト距離及び前記第1の集光素子距離の対応する対の間の第1の比は、前記第2の投影されたオブジェクト距離及び前記第2の集光素子距離の対応する対の間の第2の比とは異なる。それにより、前記画像データ担持構造に対応する前記合成統合画像は、前記ポリマー箔スタックに一定の湾曲が与えられるとき、前記ポリマー箔スタックの観察側から要求された割合で知覚可能である。
【0013】
第4の態様によれば、表面にポリマー箔スタックが設けられた物体の認証方法が開示される。該方法は、少なくとも1つのポリマー箔を備えるポリマー箔スタックに対して実行される。前記ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像データ担持構造を備える。前記ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子を有する。前記第2の界面は前記第1の界面から距離を空けて設けられる。本方法は、前記ポリマー箔スタックを、所定の第1の方向において所定の第1の湾曲に従って曲げること、及び前記画像データ担持構造に対応する第1の合成統合画像の何らかの外観を要求された割合で認証のしるしとして観察することを含む。
【0014】
第5の態様によれば、表面にポリマー箔スタックが設けられた物体の認証方法が開示される。本方法は、少なくとも1つのポリマー箔を備える前記ポリマー箔スタックに対して実行される。前記ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像データ担持構造を備える。前記ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子を有する。前記第2の界面は前記第1の界面から距離を空けて設けられる。本方法は、前記ポリマー箔スタックを視野方向に対して平行な成分を有する軸を中心に回転させること、及び前記画像データ担持構造に対応する合成統合画像の見かけの画像深さの何らかの変化を認証のしるしとして観察することを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明による一つの利点は、種々の非平面に優れた品質の合成画像を提供することができるということである。本発明の別の利点は、容易に識別可能な特性を有するセキュリティ画像が提供され、そのセキュリティ画像は複製が困難であるということである。他の利点については、詳細な説明において種々の実施形態に関連してさらに説明する。
【0016】
本発明は、そのさらなる目的及び利点と共に、添付図面と共に以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】種々の集光素子のうちの1つを示す図である。
【図1B】種々の集光素子のうちの1つを示す図である。
【図1C】種々の集光素子のうちの1つを示す図である。
【図2A】従来技術により合成統合画像を提供する光学デバイスの概略断面図である。
【図2B】画像深さを示す光学デバイスの一実施形態の断面図である。
【図3A】従来技術による合成統合画像を提供する光学デバイスの一実施形態が、曲げられているときにいかに挙動するかの概略断面図である。
【図3B】従来技術による合成統合画像を提供する光学デバイスの一実施形態が、曲げられているときにいかに挙動するかの概略断面図である。
【図3C】本発明による光学デバイスの一実施形態が、曲げられているときにいかに挙動するかの概略断面図である。
【図3D】本発明による光学デバイスの一実施形態が、曲げられているときにいかに挙動するかの概略断面図である。
【図3E】本発明による光学デバイスの別の実施形態が、曲げられているときにいかに挙動するかの概略断面図である。
【図3F】本発明による光学デバイスの別の実施形態が、曲げられているときにいかに挙動するかの概略断面図である。
【図4A】本発明による光学デバイスの実施形態の概略上面図である。
【図4B】本発明による光学デバイスの実施形態の概略上面図である。
【図5A】円形の円筒面に沿って曲げられているときの本発明による光学デバイスの一実施形態の特性の図である。
【図5B】最大視角がいかに画定されるかの図である。
【図6A】本発明による方法の一実施形態のステップのフローチャートである。
【図6B】本発明による方法の一実施形態のステップのフローチャートである。
【図7A】2つ以上の画像を与える本発明による光学デバイスの実施形態の概略上面図である。
【図7B】2つ以上の画像を与える本発明による光学デバイスの実施形態の概略上面図である。
【図7C】2つ以上の画像を与える本発明による光学デバイスの実施形態の概略上面図である。
【図8A】本発明による高価値物品の一実施形態の概略図である。
【図8B】本発明による高価値文書の一実施形態の概略図である。
【図8C】本発明によるパッケージの一実施形態の概略図である。
【図9A】種々の角度のうちの一つでのポリマー箔スタックの焦点面の概略図である。
【図9B】種々の角度のうちの一つでのポリマー箔スタックの焦点面の概略図である。
【図9C】湾曲界面にデータ担持構造が設けられた光学デバイスの一実施形態の概略図である。
【図10A】従来技術による合成統合画像を提供する光学デバイスの一実施形態が、近距離から見られているときにいかに挙動するかの概略断面図である。
【図10B】本発明による光学デバイスの他の実施形態の概略上面図である。
【図10C】本発明による光学デバイスの他の実施形態の概略上面図である。
【図11】本発明による方法の別の実施形態のステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を通して、同じ参照符号を、類似するか又は対応する要素に使用する。
本発明による光学デバイスは、モアレ効果として知られる原理に従って動作する。本出願では、モアレ効果は、パターンの拡大を提供し、同時に、合成統合、通常3次元の画像を与える。こうした統合画像は、セキュリティラベルとして又は単に人目を引くために使用される最適な候補である。モアレ拡大原理自体は文献から既知であり、概要はたとえばM.C.ハトレイ(Hutley)他による「モアレ拡大器(The Moire magnifier)」(Pure Appl. Opt., 3, 1994, pp.133-142)又はH.カマル(Kamal)他による「モアレ拡大器の特性(Properties of moire magnifier)」(Optical Engineering 37(11), Nov.1998, pp.3007-3014)において見られる。3D画像を得るためにモアレ効果に従って動作する装置は、概して、レンズアレイ及び拡大されるオブジェクトのアレイの位置合せ(alignment:アライメント)に関して高い精度を必要とする。
【0019】
本開示では、「集光素子(focusing element)」という用語を使用する。モアレ効果に基づく大部分の装置は、種々のタイプのレンズ又は曲面鏡を利用する。しかしながら、この用語は、本開示では、小さい領域から光学情報を選択することになる種々のタイプの機器を包含するように意図されている。図1A〜図1Cは、こうした集光素子の3つの例を示す。図1Aでは、集光素子1は、ここではマイクロレンズ14の形態であり、オブジェクト面(object plane)3から距離を空けて設けられている。この距離は、マイクロレンズ14の焦点距離に等しいか又は近い。オブジェクト面3における小さい領域4からの光線5は、マイクロレンズ14で屈折して、マイクロレンズ14を離れる一束の平行光線6をもたらす。マイクロレンズを見ている観察者は、小さい領域4のみを見ることになり、それは、マイクロレンズ14の領域全体を覆うように拡大されている。
【0020】
図1Bでは、集光素子1は、ここでは曲面鏡2の形態であり、本質的に透明なオブジェクト面3から距離を空けて設けられている。この距離は、曲面鏡2の焦点距離に等しいか又は近い。オブジェクト面3における小さい領域4からの光線5は、曲面鏡2で反射し、オブジェクト面3を通過する一束の平行光線6をもたらす。オブジェクト面3を見ている観察者は、主に小さい領域4を見ることになり、それは曲面鏡2の領域全体を覆うように拡大されている。小さい領域の画像は、オブジェクト面3の通過中にたとえば小さい領域4によって幾分か影響を受ける。この実施形態では、観察者は小さい領域4の鏡像を見ることになり、それは、それが曲面鏡2を介して見られるためである。
【0021】
図1Cでは、集光素子1は、ここでは開口7の形態であり、オブジェクト面3の上方に設けられている。オブジェクト面3における小さい領域4からの光線6は、開口7の平面を所定方向に通過することができる唯一の光線である。開口の面を見ている観察者は、小さい領域4のみを見ることができるが、本実施形態ではそれは拡大されない。
【0022】
本開示の残りの部分では、集光素子を例示するためにマイクロレンズを用いる。しかしながら、対応する概念は、形状及び構造に必要な変更を行うことにより他のタイプの集光素子にも適用可能である。
【0023】
本発明の利点を理解するために、まず、小さい画像データ担持構造の拡大画像の統合に基づく従来の光学デバイスについて説明する。図2Aは、小さい画像データ担持構造の拡大画像の統合に基づく光学デバイス10の一実施形態の断面図を概略的に示す。光学デバイス10は、ポリマー箔スタック111を備えており、本実施形態では、それは厚さtの単一ポリマー箔11によって構成されている。界面12、この場合はポリマー箔11の外面において、集光素子1、この場合はマイクロレンズ14のアレイ13が設けられている。アレイ13は、通常は周期的な2次元アレイであり、したがって、図1の断面図では、図示する断面において周期性Pである1次元アレイとして示されている。アレイ13は、好ましくは、本質的に界面12全体を覆う。
【0024】
ポリマー箔11には、幾何学的構造16の別のアレイ15も設けられている。幾何学的構造16により、マイクロレンズ側から見て光学特性に差異がもたらされる。本実施形態では、幾何学的構造16は、ポリマー箔11の界面17、本実施形態では、マイクロレンズ14が設けられている面とは反対側の別の面に設けられている。それにより、界面17をオブジェクト面3として見ることができる。したがって、幾何学的構造16は、本実施形態では、ポリマー箔11の内部とポリマー箔11の後方の空間18との間の界面17となる。ポリマー箔11及び空間18の光学特性の差異により、幾何学的構造16の形状を識別することが可能になる。それにより、幾何学的構造16は、光学的に識別可能な画像データ担持構造116を構成し、それらは、マイクロレンズ14を通して見られると、合わせて画像を構成する。画像データ担持構造116に対する他の代替形態は、同様に光学特性の差異をもたらす、たとえば色が異なり、反射率又は吸収が異なる構造であり得る。
【0025】
アレイ15もまた、本実施形態では周期的な2次元アレイであり、マイクロレンズ14のアレイ13と同じ対称性をさらに有する。幾何学的構造16のアレイ15の対称軸は、マイクロレンズ14のアレイ13の対称軸に対して平行である。言い換えれば、アレイ13、15は、本質的にそれらの対称軸によって位置合せされる。たとえば両アレイが六角形パターンを呈する場合、最密方向が位置合せされる。幾何学的構造16のアレイ15は、図示する断面の平面では周期性Pを有する。ポリマー箔11は、少なくともパターン面の間において本質的に透明であるか又は着色透明である。
【0026】
従来のモアレ効果が存在するために、幾何学的構造16のアレイ15の周期性Pは、マイクロレンズ14のアレイ13の周期性Pと非整数倍異なっている。この関係により、後により詳細に説明するように拡大率が確定される。さらに、幾何学的構造16のアレイ15を、ポリマー箔11の第1の側12から、マイクロレンズ14の焦点距離fに十分に近い距離Dに設けなければならない。本実施形態では、ポリマー箔11の第2の側17に幾何学的構造16があることにより、ポリマー箔11の平均厚さは焦点距離fに本質的に等しくあるべきであるということが要求される。しかしながら、アレイ13、15間の距離は、焦点距離fに厳密に等しい必要はない。
【0027】
画像の倍率は、周期性P及びPの相対的なサイズによって決まる。図2Aでは、画像データ担持構造116のアレイの周期性Pは、マイクロレンズ14のアレイの周期性Pよりわずかに小さく、すなわちP<Pである。幾何学的構造16のうちの1つにおける特定のスポット20は、図示する実施形態では、マイクロレンズ14のうちの1つのマイクロレンズ22の真下に、さらにその焦点に正確に配置されている。これは、スポット20から発生している光が、理想的にはポリマー箔11内を移動し、上方のマイクロレンズで屈折して光線21の平行ビームになることができることを意味する。ポリマー箔11の第1の側12を見ている観察者は、マイクロレンズ22全体にわたって広がるスポット20の周囲の領域の光学的特徴を見ることになり、すなわち拡大した部分画像29が見られることになる。マイクロレンズ23は、同様に、幾何学的構造16のうちの別のもののスポット24の周囲の領域の別の拡大した部分画像29を提供する。周期性にわずかな不一致があるため、スポット24の周囲の領域は、スポット20の周囲の領域に正確には対応せず、代りにわずかに外れた領域に対応する。多数のマイクロレンズ14及び幾何学的構造16があることにより、画像形成される領域は、理想的には、幾何学的構造16のすべての領域から発生する。したがって、観察者は、それぞれのマイクロレンズ14に対応する小さい部分画像29によって構成された合成統合画像25を見ることになる。部分画像29は合わせて、目によって、幾何学的構造16の拡大した合成統合画像25として見られる。
【0028】
単純な幾何学的推論から、倍率は以下のようになることが分かる。
【0029】
【数1】

【0030】
この関係は、平行光線に対して、すなわち箔が無限遠によって近似され得る距離から見られる場合に有効である。係数Fが1に近づくとき、倍率は非常に大きくなることに気付くことができる。係数が1に等しい場合、倍率は無限大になり、それは従来のモアレ画像では非常に有用というわけではなく、それは、そのために幾何学的構造における1つの単一スポットしか見えなくなるためである。したがって、有用な画像を得るために、従来、係数Fは1とは異なり、かつ係数Fはいかなる整数値とも異なることが必要であり、すなわち、Fは非整数係数でなければならない。
【0031】
しかしながら、大きい倍率を達成するために、係数は好ましくは1に近くあるべきである。図2Aの実施形態では、P<Pであるため係数は1未満である。したがって、倍率は正の値を有する。P>Pである場合、係数は1未満であり、倍率は負になり、すなわち画像は反転画像として再現される。
【0032】
ポリマー箔11の設計パラメーターは、光学特性にさらに影響を与える。幾何学的構造を拡大する特性とは別に、ポリマー箔11は、合成3次元体験も提供する。
マイクロレンズの焦点距離は以下の式によって与えられる。
【0033】
【数2】

【0034】
ここで、Rはマイクロレンズ半径であり、nはマイクロレンズに対する耐火係数であり、nはマイクロレンズ14を覆う媒体、すなわち通常は空気に対する耐火係数である。
【0035】
ポリマー箔11の設計パラメーターは、さらに、光学特性に影響を与える。幾何学的構造を拡大する特性に加えて、ポリマー箔11は、合成3次元体験も提供する。図2Bは、画像の体験される深さを示す。この実施形態では、係数Fは1未満であり、球形マイクロレンズが想定されている。観察者の目26L、26Rは、仮想画像25上の1つのスポット28に焦点が合わせられている。簡単のために、スポット28は、目26Lと目26Rとの中間に位置している。目への近軸光線27は、異なるマイクロレンズ14を直角で通過するが、幾何学的構造16において対応するスポットから来る。しかしながら、仮想画像はdの深さで生成される。光線27の角度βは、種々の設計パラメーターにより、図の種々の部分において種々の方法で容易に画定される。図の下部分において、以下のことが分かる。
【0036】
【数3】

【0037】
ここでδは、球形マイクロレンズ14の中心と、同じ平面における光線27がレンズ表面を交差する点との間の距離であり、nは整数である。同様に、図2Bの左上部分に示すように、角度βを以下のように画定することも可能である。
【0038】
【数4】

【0039】
ここで、Rは球形マイクロレンズ14の曲率半径である。最後に、図2Bの右上部分に示すように、角度βを以下のように画定することも可能である。
【0040】
【数5】

【0041】
式(6)〜(8)を結合することにより、画像深さd
【0042】
【数6】

【0043】
となり、又は係数Fに関して
【0044】
【数7】

【0045】
となることが分かる。ここで、第2項は概してわずかであり、係数Fが1に近いことにより大きい深さが得られることも容易に分かる。焦点距離とレンズ半径との関係は、材料の選択によって決まるが、通常、Fが1に近い場合、大きさに関して係数Fより重要ではない。整数n及び距離δは消滅し、それにより、観察者までの距離とは無関係に、深さdが一定であることが分かる。(しかしながら、図示する統合画像25は、距離によって影響され、ここでは、有限の視距離に対して示されている。)
1より大きい係数Fが用いられる場合、深さdは負になり、すなわち、合成画像は、観察者が見ると、レンズ表面の正面に位置しているように現れる。
【0046】
上記関係は、平面ポリマー箔11の場合に有効である。しかしながら、ポリマー箔が曲げられると、状態は変化する。図3Aは、平面状態での3つのレンズ系の概略図を示す。オブジェクト面3における幾何学的構造16が、マイクロレンズ14のアレイ13を通して見られる。上述したように、合成統合画像25は、それぞれのマイクロレンズ14に対応する小さい部分画像29から構成されている。部分画像29A〜29Cは合わせて、目により、幾何学構造16A〜16Cの拡大された合成統合画像25として見られる。
【0047】
図3Bでは、ポリマー箔11が曲げられている。観察者は、依然として図3Aと同じ位置からポリマー箔11を観察している。湾曲は、観察者から見ると凸状である。中央のマイクロレンズ14Bと対応する幾何学的構造16Bとの関係は本質的に変化せず、中央のマイクロレンズ14Bは、幾何学的構造16Bの一部の拡大画像29Bを与える。しかしながら、他のマイクロレンズ14A、14Cの場合、状況は同じではない。マイクロレンズ14Aを考慮すると、マイクロレンズ14Aは、マイクロレンズ14Bの中心光線に対して平行な光線に関して角度が変えられる。正面方向から見た場合、マイクロレンズ14Aの焦点は、画像平面にはもはや発生せず、対応する幾何学的構造16Aに比較して横方向にさらに変位する。このわずかに誇張された図では、幾何学的構造16Aはもはやマイクロレンズ14Aの焦点内にはない。マイクロレンズ14C及び幾何学的構造16Cに対して類似の状態が当てはまる。この最終的な合成統合画像は、この場合、中央の幾何学的構造16Bの部分画像29Bのみを含むことになる。言い換えれば、合成統合画像が破壊される。実際の場合、多数のマイクロレンズにより、合成統合画像は、最初に、画像比を曲げの方向に変化させ1つの次元において圧縮又は拡張された画像がもたらされることによって、また最後に、画像に筋を呈することによって劣化し、同時に、あらゆる3次元外観の鮮鋭度が低減する。
【0048】
図3Cに、平面状態における別の3つのレンズ系の概略図を示す。ここでは、個々の幾何学的構造16A〜16Cは、前述と同じであるが、図面の面の方向において異なるピッチが提供されている。言い換えれば、2つの隣接する幾何学的構造16A〜16Cの距離が変化している。しかしながら、図面に対して垂直な方向におけるピッチは、依然として図3Aと同じであることに留意されたい。図示するように、合成統合画像は、通常のように幾何学的構造16A〜16Cの形状を再現しない。代りに、図示する方向における合成統合画像は、完全に異なる倍率及び仮想画像深さを達成し、これにより、実際には、画像に図3Bの場合に得られたものと同様の筋がもたらされる。結果は、実用性のない合成画像である。
【0049】
図3Dでは、このとき、図3Cの3つのレンズ系は曲げられている。適当な曲げ曲率により、マイクロレンズ14は、幾何学的構造16A〜16Cのそれぞれの適当な部分の上に配置され、合成統合画像25が構成される。したがって、図3C及び図3Dと比較して図3A及び図3Bでは、一方の方向における2つの最も近くに隣接している幾何学的構造の距離は異なるが、曲げ軸に対して平行な他方の方向における最も近くに隣接している幾何学的構造の距離は同じである。
【0050】
図3Eに、平面状態での別の3つのレンズ系の概略図を示す。ここでは、個々の幾何学的構造16A〜16Cは前述と同じであるが、ここではマイクロレンズと同じピッチが提供されている。言い換えれば、2つの隣接する幾何学的構造16A〜16Cの距離は、2つの隣接するマイクロレンズ14A〜14Cの距離と一致するように変更される。しかしながら、図面に対して垂直な方向のピッチは、依然として図3Aと同じであることを留意されたい。部分画像29A〜29Cは、このとき、幾何学的構造16A〜16Cの同じ部分の同一の複製であり、合成統合画像は、いかなる知覚できる構造もまったく与えない。図3Eに示す方向における合成統合画像は、無限大の倍率及び仮想画像深さを有し、それによって実際には無意味な画像がもたらされる。したがって、結果は、同様に実用性のない合成画像である。
【0051】
図3Fにおいて、図3Eの3つのレンズ系はこのとき曲げられている。図3Eにおいて必要なものより小さい、適当な曲げ曲率により、マイクロレンズ14は、幾何学的構造16A〜16Cのそれぞれの適切な部分の上方に配置され、合成統合画像25が構成される。
【0052】
ポリマー箔11が反対方向に、すなわち観察者から見ると凹状に曲げられるとき、類似する状況が発生する。マイクロレンズの位置と幾何学的構造との間の関係は、同様に、ただしこの場合は反対方向に影響を受ける。
【0053】
さらに、上述した図示的な例では、簡単のために同一の幾何学的構造を用いた。しかしながら、より複雑か又は不規則な幾何学的構造アレイを用いて同様の結果を得ることができる。
【0054】
図4Aは、箔又は箔スタックの法線に対する法線に対して平行な方向で見た、本発明による光学デバイスの一実施形態の一部を示す。この実施形態では「T」で示す幾何学的構造16のアレイ15は、集光素子1、この実施形態では円で示すマイクロレンズ14のアレイ13の下に配置され、それを通して見られる。本実施形態では、アレイ13、15は矩形アレイであるが、たとえば六角形、平行六面体等、他のタイプのアレイも使用が可能である。また、本実施形態では、アレイ13、15は、2つの次元において周期的アレイである。言い換えれば、アレイ13を、第1の集光素子方向91及び第2の集光素子方向92それぞれにおける2つのマイクロレンズ14間の最も近い集光素子距離Pl1、Pl2を表わす2つの集光素子単位ベクトルvl1及びvl2によって特徴付けることができる。アレイ15を、第1のオブジェクト方向及び第2のオブジェクト方向それぞれにおける2つの幾何学的構造16間の最も近いオブジェクト距離Po1、Po2を表わす2つのオブジェクト単位ベクトルvo1及びvo2によって同様に特徴付けることができる。本実施形態では、第1のオブジェクト方向は第1の集光素子方向91に一致し、第2のオブジェクト方向は第2の集光素子方向92に一致する。第1の集光素子方向91において、オブジェクト距離Po1は、集光素子距離Pl1よりわずかに小さく、それは、上記式(1)に従って、一定の正の倍率を示す。しかしながら、第2の集光素子方向92において、オブジェクト距離Po2は集光素子距離Pl2よりわずかに大きく、それは、上記(1)に従って、代りに一定の負の倍率を示す。また、異なる方向における単位ベクトルを比較した場合、正又は負の見かけの画像深さも異なる。したがって、箔のスタック111が平面であるとき、観察者により、幾分か伸張した画像が知覚されることになる。しかしながら、図3A〜図3Dに関連して説明したように、箔のスタック111が、適切な曲げ形状で、たとえば第1の集光素子方向91に対して平行な軸を中心に曲げられる場合、画像は現れる。
【0055】
したがって、オブジェクト距離Po2と集光素子距離Pl2との比は、オブジェクト距離Po1と集光素子距離Pl1との比とは異なる値を有し、すなわち本実施形態のアレイが周期的アレイであるため、オブジェクト単位ベクトルvo2の長さと集光素子単位ベクトルvl2の長さとの比は、オブジェクト単位ベクトルvo1の長さと集光素子単位ベクトルvl1の長さとの比とは異なるということに、注目すべきである。従来技術による同様の種類の光学デバイスでは、これらの比は常に同じである。
【0056】
この論証から、ポリマー箔スタック111を、第2の集光素子方向92に対して平行な軸を中心に適切な曲げ形状で曲げ、ただしこのときは反対方向に曲げることによってもまた、画像を形成することができることも明らかである。こうした画像の倍率は、通常、第1の集光素子方向91に対して平行な軸に沿って曲げることによって得られる画像とは異なる。
【0057】
比の差異は、本発明の結果を達成するために重要であるため、こうした差異を、隣接するマイクロレンズの距離を同様に変化させることによってももたらすことができる。図4Bはこうした状況を示す。ここで、オブジェクト単位ベクトルvo1及びvo2は長さが等しく、すなわち、Po1及びPo2は同じ値を有している。代りに、集光素子単位ベクトルvl1およびvl2は長さが異なり、すなわちPl1及びPl2は異なる値を有している。またこの場合、箔のスタック111が平面であるとき、伸張するか又は他の方法で劣化した画像が存在するが、特定の曲げ状態では、観察者により適切に挙動した(well-behaved)画像が知覚される。
【0058】
当然ながら、図4A及び図4Bの状況を、両単位ベクトルを第2の方向において、ただし異なる程度で変化させることにより結合することも可能である。
これらの状態を、より数学的な手法で説明することができる。まず、図5Aに関連して、軸94を中心として一定半径Rで曲げられる箔のスタック111を想定する。したがって、箔のスタック111は、軸94を中心とする円形円筒の表面をたどる。簡単のために無限距離に存在するものと想定される観察者93は、角度αによって画定される、箔のスタック111における点95を見る。角度は、視野方向に対して垂直な方向xに対して画定される。箔のスタック111の頂点112は、x=0であるスポットを確定して画定される。それにより、この頂点は、意図された好ましい視野方向も画定する。負の視野方向を、この図ではyで示す。円の式は以下の通りである。
【0059】
【数8】

【0060】
図5Aから、以下も留意される。
【0061】
【数9】

【0062】
そして、図5Aの右側部分に示すように、箔スタック111を、見るスポットを中心により詳細に調べることにより、マイクロレンズ14を直角に通過する光線をたどることが最も容易である。マイクロレンズの半径はRによって示され、箔スタック111の厚さはtである。マイクロレンズ14を直角に通過する光線は、光軸とオブジェクト面3との間の交差部分において位置96から距離dにあるオブジェクト面3から、ポリマー箔スタック111に対して垂直な方向で出る。言い換えれば、dは、オブジェクト面3における公称再現点96とαの視角によって再現される点97との間の距離である。これから、以下のことが分かる。
【0063】
【数10】

【0064】
これを(9)と結合することにより、
【0065】
【数11】

【0066】
が得られ、(8)と結合することにより、
【0067】
【数12】

【0068】
が得られる。
したがって、この公式は、画像が円形に曲げられた箔スタック111から見られる場合に、距離dが変数xによりいかに変化するかを記述している。距離dは、xにより線形には増大しない。これは、したがって、曲げ軸に対して垂直な周期的なアレイにより、観察面全体にわたって見ると一定でない倍率が与えられることを意味する。言い換えれば、より大きい円形曲げ部分にわたる一定の倍率を、2つの隣接する幾何学的構造の距離を変化させることによってしか達成することができない。しかしながら、箔スタック111の中心部分に対し、dはxに対しておよそ線形であり、したがって、倍率を、一定の周期を用いることによっておよそ同じにすることができる。円形に曲げられた箔スタックでは、xがRに近づくとdがより迅速に増大するため、合成画像が縁に向かって変化することが示されている。しかしながら、円形曲げ面による近似は、多くの場合十分であり、それは、倍率の最大の差が大きい角度で発生し、その差は通常、箔スタックの最大視野の外側であるか、又は画像構造がレンズの焦点距離からはるかに外側であるためにぼけた画像を与えるためである。
【0069】
視野は、主に、マイクロレンズの幾何学的寸法によって制限される。図5Bは、基準平面半径αを有するマイクレンズ14を示す。この場合、最大視角αmaxは、最大角度によって与えられ、そこには、マイクロレンズ表面に垂直角度で到達することができ、すなわち、以下の通りである。
【0070】
【数13】

【0071】
最大角度を超過すると、画像は迅速に劣化する。
円形曲げが要求される場合、たとえば箔スタックが、円形対称を有する瓶の上に置かれるように意図されている場合、円形体のより広い領域にわたって要求された倍率を達成するために、幾何学的構造のアレイ及び/又は集光素子のアレイを適合させる可能性がある。言い換えれば、オブジェクト周期及び/又は集光素子周期を、動的にすることができる。円形曲げを補償し均一に拡大された画像を生成するようにオブジェクトを配置するために、オブジェクト周期のみを動的とするものと想定する。ここでもまた式(12)を考慮する。動的周期Pdo2又は2つの隣接する幾何学的構造の距離は、以下のように公称周期Po2及び距離dの和となる。
【0072】
【数14】

【0073】
そして、頂点xからの距離は、以下の式に従って、n番目の対応する円弧Sの長さに対して調整される。
【0074】
【数15】

【0075】
は、非曲げ状態、すなわち、箔スタックが平面であるときの箔スタックの距離でもある。したがって、動的周期を、(12)、(14)及び(15)を結合して以下のように表わすことによって得ることができる。
【0076】
【数16】

【0077】
当然ながら、規則的な周期で箔スタックを用い、代りに、所与の規則的な周期に対して適当な曲げプロファイルを提供することも可能である。
曲げ形状の別の例は放物線である。放物線は以下の関係で記述される。
【0078】
【数17】

【0079】
ここで、pは放物線の焦点までの距離である。式の微分の後、関係は以下を示す。
【0080】
【数18】

【0081】
逆数、すなわち導関数dx/dyは、以下のように、視線が放物線と交差する箔の勾配に対応する。
【0082】
【数19】

【0083】
そして、式(19)及び(11)から以下が得られる。
【0084】
【数20】

【0085】
ここで、距離dはxにより線形に増大し、pの異なる値が、倍率の異なる湾曲形状を与える。
これらの概念を、箔スタックの動的周期が、画像が見られるように意図される任意の曲げプロファイルに適合するように、さらに描くことができる。概して、ポリマー箔スタックを備える、合成統合画像を提供する光学デバイス。ポリマー箔スタックは、少なくとも1つのポリマー箔を含む。ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像データ担持構造を有している。ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子を有している。第2の界面は、好ましくは集光素子の焦点距離の近くで、第1の界面から距離を空けて設けられる。
【0086】
最も全般的な場合、アレイは周期的である必要はなく、矩形又は六角形である必要はなく、完全に位置合せされる必要はない。図5Cは、こうした全般的な場合の一実施形態を示す。光学的に識別可能な画像データ担持構造16の第1のアレイ15は、第1のオブジェクト方向91’において第1のオブジェクト距離Po1で、かつ第1のオブジェクト方向91’に対して第1の角度γで提供される第2のオブジェクト方向92’において第2のオブジェクト距離Po2で繰り返される、画像データ担持構造16を備えている。1次元周期アレイでは、第1のオブジェクト距離Po1又は第2のオブジェクト距離Po2は、ポリマー箔スタック領域にわたって一定である。2次元周期アレイでは、第1のオブジェクト距離Po1及び第2のオブジェクト距離Po2は共に、ポリマー箔スタック領域にわたって一定である。周期的である場合、第1のアレイ15は、第1のオブジェクト単位ベクトルvo1及び第2のオブジェクト単位ベクトルvo2それぞれによって画定され、第1のオブジェクト距離Po1は、一定であると共に第1のオブジェクト単位ベクトルvo1の長さに等しく、第2のオブジェクト距離Po2は、一定であると共に第2のオブジェクト単位ベクトルvo2の長さに等しい。
【0087】
集光素子1の第2のアレイ13は、この実施形態では、第1の集光素子方向91において第1の集光素子距離Pl1で、かつ第1の集光素子方向91に対して第2の角度γで提供される第2の集光素子方向92において第2の集光素子距離Pl2で繰り返される、マイクロレンズ14を備えている。集光素子が、本質的に第2の界面全体を、通常は六角形構造を用いることによって覆うことが一般的であり、そこでは、第2の角度γは60度に等しくなる。1次元周期アレイでは、第1の集光素子距離Pl1又は第2の集光素子距離Pl2は、ポリマー箔スタック領域にわたって一定である。2次元周期アレイでは、第1の集光素子距離Pl1及び第2の集光素子距離Pl2は共に、ポリマー箔スタック領域にわたって一定である。周期的である場合、第2のアレイ13は、第1の集光素子単位ベクトルvl1及び第2の集光素子単位ベクトルvl2それぞれによって画定され、第1の集光素子距離Pl1は一定であると共に第1の集光素子単位ベクトルvl1の長さに等しく、第2の集光素子距離Pl2は一定であると共に第2の集光素子単位ベクトルvl2の長さに等しい。
【0088】
最も全体的な手法では、特に、第2のアレイが矩形とは異なる場合、第1の集光素子方向91は第1のオブジェクト方向91’とは異なる可能性があり、第2の集光素子方向92は第2のオブジェクト方向92’とは異なる可能性がある。第1の投影されたオブジェクト距離
【0089】
【数21】

【0090】
を、第1の集光素子方向91上に投影されている第1のオブジェクト距離Po1として定義することができ、第2の投影されたオブジェクト距離
【0091】
【数22】

【0092】
を、第2の集光素子方向92上に投影されている第2のオブジェクト距離Po2として定義することができる。第1の集光素子方向91が第1のオブジェクト距離91’に一致する場合、したがって、第1の投影されたオブジェクト距離
【0093】
【数23】

【0094】
は第1のオブジェクト距離Po1に等しくなる。同様に、第2の集光素子方向92が第2のオブジェクト方向92’に一致する場合、第2の投影されたオブジェクト距離
【0095】
【数24】

【0096】
は第2のオブジェクト距離Po2に等しくなる。
さらに上述した説明に従って、第1の投影されたオブジェクト距離
【0097】
【数25】

【0098】
及び第1の集光素子距離Pl1の対応する対の間の比は、第2の投影されたオブジェクト距離
【0099】
【数26】

【0100】
及び第2の集光素子距離Pl2の対応する対の間の比と異なる。ポリマー箔スタックに一定の湾曲が与えられたときに、ポリマー箔スタックの観察側から知覚可能な画像データ担持構造に対応する要求された割合を有する合成統合画像をもたらすために、2つのアレイにおける単位ベクトル及び/又は距離の間の関係が重要である。
【0101】
さらに、比は、必要な意図された湾曲に関する何らかの指示も与える。第1の投影されたオブジェクト距離
【0102】
【数27】

【0103】
及び第1の集光素子距離Pl1の対応する対の間の比が、第2の投影されたオブジェクト距離
【0104】
【数28】

【0105】
及び第2の集光素子距離Pl2の対応する対の間の比より高い場合、意図された湾曲は、ポリマー箔スタックが第1の集光素子方向を中心に曲げられる場合は観察側から見て凹面であり、又はポリマー箔スタックが第2の集光素子方向を中心に曲げられる場合は観察側から見て凸面である。同様に、第1の投影されたオブジェクト距離
【0106】
【数29】

【0107】
及び第1の集光素子距離Pl1の対応する対の間の比が、第2の投影されたオブジェクト距離
【0108】
【数30】

【0109】
及び第2の集光素子距離Pl2の対応する対の間の比より低い場合、意図された湾曲は、ポリマー箔スタックが第1の集光素子方向を中心に曲げられる場合は観察側から見て凸面であり、又はポリマー箔スタックが第2の集光素子方向を中心に曲げられる場合は観察側から見て凹面である。上記の例示する実施形態の中で、第1の距離及び第2の距離の対応する対の間の比が、ポリマー箔スタックの少なくとも一部にわたって同じである例がある。一実施形態では、およその湾曲は、円形円筒表面の一部に対応する。別の実施形態では、意図された湾曲は、非円形円筒面の一部に対応する。
【0110】
他の実施形態では、第1の距離及び第2距離の対応する対の間の比は、ポリマー箔スタックの少なくとも一部にわたって変化し、その部分の意図された湾曲は、特別な場合には円形円筒表面の一部であり得る。しかしながら、湾曲は、曲げ半径の異なる部分を呈するようなものとすることができる。このように、たとえば波形等の湾曲形状を、たとえば円錐の一部と同様に用いてもよく、この場合、曲げ半径は円錐軸に沿って変化する。
【0111】
比の差異を、関連する距離のいずれか又は両方によって達成することができる。特定の実施形態では、第2のアレイは両方向において周期的であり、すなわち第1の集光素子距離及び第2の集光素子距離は共に等しい。別の特定の実施形態では、第1のアレイは両方向において周期的であり、すなわち第1のオブジェクト距離及び第2のオブジェクト距離は共に等しい。
【0112】
再び図5Cを参照することにより、元のオブジェクトアレイがマイクロレンズアレイに完全に位置合せされる必要のないことが留意され得る。言い換えれば、第1のオブジェクト方向91’は、第1の集光素子方向91に一致する必要はなく、第2のオブジェクト方向92’は、第2の集光素子方向92に一致する必要はない。ポリマー箔スタックをたとえば第1の集光素子方向91に沿って向けられる軸を中心として曲げると、対応する集光素子に比較して、この方向に対して垂直な距離が明らかに変化する結果となる。第1の集光素子方向91に対して垂直な方向に向けられたベクトルは、長さのみが変化し、方向は変化しない。しかしながら、たとえば第2のオブジェクト距離Po2に沿ったベクトルもまた、長さが変化するが、それは垂直ベクトルの場合より小さく、ただし第2のオブジェクト距離Po2に沿ったベクトルは角度も変化する。適切な方向に曲げることにより、オブジェクトアレイと集光素子アレイとの角度差を補償することができ、適切に挙動した画像を提供することができる。
【0113】
ポリマー箔スタックの湾曲によって決まる画像外観の差異を、セキュリティラべリング又は真正証明の目的でもさらに用いることができる。モアレ効果による平面光学デバイスでも複製は困難である。しかしながら、未経験の観察者の場合、他の種類の疑似3次元画像からモアレ箔の適切に再現された3次元性を識別することが困難である可能性がある。しかしながら、本発明によれば、曲げられている合成画像の特性は、本発明者らの知る限りでは一意であり、曲げのプロセスは、いかなる人にも理解が容易な概念である。したがって、検証する画像を生成するために曲げなければならないセキュリティラベルは、直接の複製以外の手段によって提供することがはるかに困難であり、未経験の観察者にも容易に分かる。いかなる曲げが必要であるかを正確に知るために、一般的な(cliche)器具を提供することができ、それに対して、ポリマー箔スタックは強制的に支持される。
【0114】
本発明による光学デバイスにおける画像データ担持構造の生成は、光学デバイスがその最終的な用途に取り付けられる前に行われることが好ましい。こうした手法により、光学デバイスが接続することになる物品を破壊するいかなる危険もなくなる。さらに、光学デバイスの製造を、それが接続することになる物品の製造と組み合わせる必要なしに最適化することができるため、合理的な製造が容易になる。光学デバイスを、大量生産のためにより好都合であることが多い、平坦な形態で製造することも可能になる。画像データ担持構造を、その最終的な物品に接続される前に作成することができるためには、画像データ担持構造のアレイと集光素子のアレイとの適切に定義された関係がなければならない。こうした適切に定義された関係は、同一の同じポリマー箔スタックにおいてそれらの両方を具現化することによって達成される。本発明のこの好ましい実施形態によれば、1つの界面は単独で集光素子を構成するように形成され、まったく同じポリマー箔スタックの別の界面は画像データ担持構造を有する。したがって、マイクロレンズは、ポリマー箔自体の一体部分としての幾何学的構造として設けられる。このように、光学デバイスを、アレイの構造又は相対位置を危うくすることなく容易に取り扱うことができる。この場合、光学デバイスに取り付けられる別個のレンズ素子又は別個の画像構造等、任意の外部の物体の正確な位置決めに対する必要が要求されない。
【0115】
光学デバイスが、適用されることになる物品とは別個に製造されるとき、マイクロレンズの「後方」から、すなわちマイクロレンズを通さずに画像データ担持構造を形成することも可能になる。それにより、画像データ担持構造を、多種多様の方法で提供することができる。エンボス加工又は印刷が、画像データ担持構造を提供するために最も可能性の高い技法である。しかしながら、画像データ担持構造の必要なサイズ及び精度に応じて、異なる写真又はリソグラフィ法も使用することができる。
【0116】
図6Aに、本発明による方法の一実施形態のステップのフローチャートを示す。表面にポリマー箔スタックが設けられた物体の認証方法は、ステップ200で開始する。ポリマー箔スタックは、さらに上述した原理に従って作製されている。ステップ210において、ポリマー箔スタックは、所定の第1の方向において所定の第1の湾曲に従って曲げられる。この曲げを、一実施形態では、所定の第1の湾曲を呈している表面を有する一般的な器具に対してポリマー箔スタックを支持することによって行うことができる。別の実施形態では、曲げを、いかなる支援もなしに手で行うことができる。ポリマー箔スタックの適切な剛性を選択し、ポリマー箔スタックの端部同士を押し付けることにより、ポリマー箔スタックは、さらに上記において極めて有用な形状であることが分かっている放物線状に近い形状で曲がる。これを、適当な剛性の基材に取り付けられたより薄いポリマー箔スタックによって達成することも可能である。ステップ212において、第1の合成統合画像の何らかの外観が、認証のしるしとして観察される。この場合、特定の実施形態では、ステップ210及び212を、たとえば画像の何らかのさらなる外観を明らかにするためにポリマー箔スタックを別の湾曲にかつ/又は別の方向に屈曲させることにより、繰り返すことができる。
【0117】
認証の目的でポリマー箔スタックを使用するためには、平面ポリマー箔スタックにより提供された画像が、平面状態において可能な限り知覚できないことが有用であり得る。このように配置する1つの方法は、箔が平面であるとき(図3Eを参照のこと)、第2の方向における倍率を無限大にすることである。式(1)に従って、これは、第1の距離又は第2の距離の対応する対の間の比が1に等しい場合に発生する。したがって、平面の箔の状態での任意の画像を破壊するために、第1の距離又は第2の距離の対応する対の間の比は、少なくとも1に非常に近くあるべきである。
【0118】
比を1に近づけるか又は等しくすることにより、他の有用な特性も利用可能になる。箔を、軸を中心に観察者に対して凸状に曲げることにより、オブジェクト面における構造間の見かけの距離が、軸に対して垂直な方向に短くなり、最終的に、軸方向と同じ倍率もまた、軸に対して垂直な最初に1である比に関して達する可能性がある。そして、実像を見ることができる。しかしながら、代りに箔が凹状に曲げられる場合、オブジェクト面における構造間の見かけの距離はより長くなり、最終的に、式(1)に従って再び同じ倍率に達するが、この場合は反転している位置に達する。しかしながら、異なる方向から見た場合に見かけの深さが異なる、鏡像を見ることができる。平面状態を1の比に近づけることにより、実像及び鏡像の両方を、妥当な曲げ半径内で達成することができる。知覚される見かけの深さは、観察者の2つの目の連結線に対して平行な方向における見かけの深さによって決まる。これは、ポリマー箔スタックを回転させることにより、見かけの深さが向きに応じて変化する可能性があることを意味する。この効果を、認証目的に用いることもできる。
【0119】
平面又は曲げ状態において、オブジェクト距離と集光素子距離との間の見かけの比が異なる方向では異なるポリマー箔スタックは、式(6)に従って、異なる方向に見た場合に異なる見かけの画像深さをもたらす。一定方向に向けられた箔を見るとき、知覚される画像深さは、観察者の左目及び右目の軸設定に対して平行な方向における比によって決まる。ポリマー箔スタックを、視野方向に対して平行な軸を中心に回転させることにより、見かけの画像深さは変化する。オブジェクト距離と集光素子距離との見かけの比を一方の方向では1より小さく、他方の方向では1より大きくすることにより、画像は、回転時にポリマー箔スタックの正面の位置からポリマー箔スタックの後方の位置まで変化しているように見える。特定の実施形態では、比を、同じ差で1であるが反対方向であるように選択することができ、それにより、倍率は同じであるがしるしの異なる画像深さがもたらされる。
【0120】
図6Bに、本発明による方法の一実施形態のステップのフローチャートを示す。表面にポリマー箔スタックが設けられたオブジェクトの認証方法は、ステップ200で開始する。ポリマー箔スタックは、異なる方向におけるオブジェクト距離と集光素子距離との間の見かけの比が異なる。ステップ250において、ポリマー箔スタックは、それが見られている方向に成分を有する軸を中心に回転する。ステップ252において、第1の合成統合画像の見かけの画像深さの何らかの変化が、認証のしるしとして観察される。方法はステップ299で終了する。
【0121】
異なる曲げ状態での異なる画像の使用を、同じ箔スタックによって画像の2つの組を提供することによって、より明確に用いることも可能である。これは、光学デバイスの第1の界面が、上記アレイの光学的に識別可能なデータ担持構造の上に重ねられる、第3のアレイの光学的に識別可能な画像データ担持構造をさらに備えるようにすることによって、達成される。こうした配置の一実施形態を図7Aに概略的に示す。集光素子、この実施形態ではマイクロレンズ14の第2のアレイ13が設けられている。簡単のために、この第2のアレイ13は、この実施形態では、2つの垂直方向において周期的であり、同じ周期である。本実施形態では、光学的に識別可能な画像データ担持構造16(この場合は「A」)の第1のアレイ15は、集光素子のアレイ13の下方に設けられている。第1のアレイ15は、第1の集光素子方向91において第1のオブジェクト単位ベクトルvo1により、第2の集光素子方向92において第2のオブジェクト単位ベクトルvo2により画定される。第2の集光素子方向92における周期Po2は、第1の集光素子方向91における周期Po1より大きい。この第1のアレイ15の上に重なって、光学的に識別可能な画像データ担持構造86(この場合は「B」)の第3のアレイ85が設けられている。第3のアレイ85は、本実施形態では、第3のオブジェクト単位ベクトルvo3及び第4のオブジェクト単位ベクトルvo4によって画定される周期的アレイである。第3のアレイ85における画像データ担持構造86は、本質的に第2の集光素子方向92において第4のオブジェクト距離Po4で繰り返される。第1の集光素子方向91における第3のオブジェクト距離Po3は、上述したように一定であるが、第1のアレイ15とは異なり、それは、倍率が異なり見かけの深さが異なることを意味している。第2の集光素子方向92における第3のアレイ85のオブジェクト距離Po4は、第1の集光素子方向91における周期Po3より大きいが、第1のアレイ15に関する場合と比が異なる。これは、この第3のアレイ85から知覚可能な画像を得るために別の曲げ状態が必要であることを意味する。言い換えれば、平面状態では、「不良な」画像しか存在しない。第1の曲げ状態では、画像「A」が見え、第2の曲げ状態では画像「B」が見える。アレイ内の距離を変更することにより、異なる画像を達成するための湾曲の異なる半径及び形状を得ることができる。言い換えれば、第3の距離及び第2の距離の対応する対の間の比は、第3の単位ベクトルの長さ及び第2の単位ベクトルの長さのの比とは異なると共に、第1の距離及び第2の距離の対応する対の間の比と異なる。これにより、第3のアレイにおける画像データ担持構造に対応する合成統合画像は、ポリマー箔スタックに、第1のアレイにおける画像データ担持構造に対応する合成統合画像が知覚可能になるようにするものとは異なる、第1の方向に対して平行な軸を中心とする一定の湾曲が与えられた場合に、ポリマー箔スタックの観察側から知覚可能である。
【0122】
図7Bに、画像が重ねられた別の実施形態を示す。この実施形態では、箔が、第1の集光素子方向91に向けられている軸を中心に曲げられたときに、第1のアレイ15が画像を与え、箔が第2の集光素子方向92に向けられた軸を中心に曲げられたときに、第3のアレイ85が画像を与える。第2のアレイ13もまた、ここでは、第2の集光素子方向92において周期的であり、それにより、第2の距離Pl2はすべて等しい。第3のアレイ85は、少なくとも本質的に第2の集光素子方向92において周期的なアレイである。周期性は、第4のオブジェクト単位ベクトルvo4によって画定される。第3のアレイ85における画像データ担持構造86は、代りに、本質的に第1の集光素子方向91において第3の距離Po3で繰り返される。さらに、第3の距離Po3のうちの対応するものと第1のオブジェクト単位ベクトルvl1の長さとの比は、第4のオブジェクト単位ベクトルvo4の長さと上述した第3のオブジェクト距離Po3との間の比とは異なる。これにより、第3のアレイ85における画像データ担持構造86に対応する合成統合画像は、ポリマー箔スタックに、第2の集光素子方向92に対して平行な軸を中心とする一定の湾曲が与えられるとき、ポリマー箔スタックの観察側から知覚可能である。
【0123】
より全体的な説明では、追加のアレイにおける画像データ担持構造は、第3のオブジェクト方向における第3のオブジェクト距離でかつ第4のオブジェクト方向における第4のオブジェクト距離で繰り返される。第3の投影されたオブジェクト距離は、第1の集光素子方向の上に投影される第3のオブジェクト距離として定義され、第4の投影されたオブジェクト距離は、第2の集光素子方向の上に投影される第4のオブジェクト距離として定義される。第3の投影されたオブジェクト距離及び第1の集光素子距離との対応する対の間の第3の比は、第4の投影されたオブジェクト距離及び第2の集光素子距離の対応する対の間の第4の比とは異なる。第3のアレイにおける画像データ担持構造に対応する合成統合画像は、ポリマー箔スタックに、第1のアレイの画像データ担持構造に対応する合成統合画像が要求された割合で知覚可能になるようにするものとは異なる一定の湾曲が与えられた場合に、ポリマー箔スタックの観察側から要求された割合で知覚可能である。
【0124】
当然ながら、平面状態で見えるように、追加の画像を提供することも可能である。これを、図7Cの実施形態によって示す。ここでは、第4のオブジェクト距離Po4及び第2の集光素子距離Pl2の対応する対の間の比は、第3のオブジェクト距離Po3及び第2の第1の集光素子距離Pl1の対応する対の間の比に等しい。本実施形態では、画像データ担持構造のアレイと集光素子のアレイとは、両方向において周期的なアレイであり、それにより、第4のオブジェクト単位ベクトルvo4の長さと第2の集光素子単位ベクトルvl1の長さとの比が、第3のオブジェクト単位ベクトルvo3の長さと第1の集光素子単位ベクトルvl1の長さとの比に等しくなる。そして、第3のアレイ85における画像データ担持構造86に対応する合成統合画像が、ポリマー箔スタックが平面であるときにポリマー箔スタックの観察側から知覚可能である。
【0125】
より全体的な説明では、追加のアレイの画像データ担持構造は、第1の集光素子方向において第3のオブジェクト距離で、かつ第2の集光素子方向において第2のオブジェクト距離で繰り返される。第3のオブジェクト距離及び第1の集光素子距離の対応する対の間の第3の比は、第4のオブジェクト距離及び第2の集光素子距離の対応する対の間の第4の比に等しい。そして、第3のアレイにおける画像データ担持構造に対応する合成統合画像は、ポリマー箔スタックが平面であるときにポリマー箔スタックの観察側から要求された割合で知覚可能である。
【0126】
2つの異なる画像が異なる曲げ状態で現れるようにするという概念を、一方の画像が、他方の画像が知覚されるときと同じ状態では意図的に不良にし、かつその逆も可能にすることによってさらに改善することができる。言い換えれば、第1のアレイに対する最適な画像形成状態において、第3のアレイから発生する画像が、一方向において無限大の倍率を提示し、かつ/又は第3のアレイに対する最適な画像形成状態において、第1のアレイから発生する画像が、一方向において無限大の倍率を提示する。
【0127】
そして、認証の方法を、ポリマー箔の曲げが、所定の第2の湾曲に従ってポリマー箔スタックを曲げることも含むという点で、さらに精巧にすることができる。この第2の湾曲は、第1の湾曲と異なるが同じ方向の曲げであってもよく、又は第2の方向における第2の曲げであってもよい。この場合、第2の合成統合画像が現れ、真正品に対するしるしとすることができる。
【0128】
認証手段としての本発明による光学デバイスの使用は、ポリマー箔スタック又はこうしたポリマー箔スタックが取り付けられるシートの厚さが、厚すぎずかつ薄すぎないように選択される場合に容易になる。薄い箔は、制御された方法で取り扱い曲げることが困難であり、たるんだようになり、何らかの担持材料によって支持されることが好ましい。代りに、厚すぎる箔は曲げるのが困難である。排他的でない例として、250μm厚さのポリカーボネートに基づく光学デバイスに対する試験が成功している。しかしながら、他の材料及び厚さも用いることができる。
【0129】
したがって、本発明による光学デバイスには多くの用途がある。一体構造の箔を形成するように、ポリマー箔の内側に幾何学的構造を提供することにより、たとえばインプリントされた箔の裏側を追加の取外し不可能な層で覆うことにより、光学デバイスを複製する可能性が実際的に完全に除去される。これにより、同様にさらに上述したように、光学デバイスがセキュリティラベルとして非常に興味深いものとなる。図8Aにおいて、高価値物品50、この場合はクレジットカード51が、上記説明による少なくとも1つの光学デバイス10を備えたセキュリティラベル52を有している。通常の場合、光学デバイス10は、たとえば紙幣におけるセキュリティスレッドのように、高価値物品50に何らかの方法で付着している。高価値物品50が真正のものであることを証明するために、光学デバイス10を曲げることによって、特徴的な画像を容易に提供することができる。高価値物品は、必ずしも、経済的取引に直接関連する物品でなくてもよい。高価値物品はまた、偽造が一般的である、たとえば衣類、時計、電子製品等とすることができる。
【0130】
本発明による光学デバイスは、妥当なコストのものであると考えられるため、上記説明による少なくとも1つの光学デバイス10を備えるセキュリティラベル52は、図8Bに示すように、文書53の真正を証明するためにも興味深いものであり得る。文書53は、たとえば紙幣又は保証誓約書(guarantee commitment)のように、それ自体価値があるものとすることができる。しかしながら、文書53は、必ずしもそれ自体の何らかの価値がなくてもよく、その文書の情報が真正であることを保証するためにセキュリティラベル52を設けることができる。
【0131】
光学デバイスの大量生産コストは小さいことが期待されるため、セキュリティラベルのサイズは必ずしも小さくなくてもよい。セキュリティが、真正性を立証するために物品の表面の広い部分を占め得ることもさらに実施可能である。図8Cは、かなりの程度まで本発明による広い面積の光学デバイス10から構成されるパッケージ54を示す。本発明による光学デバイスの特定の特性により、パッケージは好ましくは湾曲表面を有するか又は曲げることが可能である。非透明な外観が好ましい場合、光学デバイス10は好ましくは、通常は何らかの紙製品に基づいて、何らかの裏当て材料に付着している。光学デバイス10の光学的外観を、観察者が見るのに魅力的であるように設計することができるため、光学デバイス10は、真正性を保証すると共に、人目を引くパッケージ材料を提供するという組み合わせた機能を有することができる。たとえば香水を、曲げられるポリマー箔に非常に適している光学デバイス10によってパッケージ又はさらには香水の瓶自体を提供することにより、認証することが可能である。したがって、本発明は、種々のタイプの瓶及び缶に適用するのに非常に適している。
【0132】
本発明による光学デバイスの用途は膨大である。大部分の用途は、シート材料に基づいており、その場合、光学デバイスをシート材料の一部又は全体として提供することができる。応用の分野は、たとえば通貨、文書、金融商品、製品及び商標保護、製品のマーキング及びラべリング、包装、チケット、ブックカバー、電子機器、衣類、履物、バッグ、壁紙から玩具まで非常にさまざまである。光学デバイスを、仮想3次元画像の外観が有益であり得るいかなる状況にも適用することができる。
【0133】
上記概念に従って光学デバイスを使用するとき、光学デバイスの少なくとも一部を非垂直方向から見ることが意図されている。言い変えれば、見られるデータ担持構造の多くは、光学デバイスの全体的な表面に対して垂直ではない角度で見られる。図9Aは、垂直視野が用いられる場合の状況を示す。ポリマー箔スタック111の法線Nは、一束の光線として示される視野方向21と一致する。マイクロレンズ14の焦点距離は、箔の厚さとおよそ等しく、焦点30はオブジェクト面3のスポットに一致する。代りに、図9Bは、非垂直視野が用いられる状況を示す。この状況は、ポリマー箔スタック111が曲げられる場合に一般的である。ポリマー箔スタック111の法線Nはもはや視野方向21と一致しない。その結果、焦点30は、オブジェクト面3の前の距離δで発生する。これはまた、光線によって覆われるオブジェクト面3の領域が鏡のように想定されることを意味する。したがって、画像を明確にするために、故意に反転画像を与える画像構造のこうしたアレイを使用することが有利である。
【0134】
別の可能性を図9Cに示す。平坦な関係で提供される画像データ担持構造を有する代わりに、画像データ担持構造116は、代りに湾曲界面部分117のアレイ115によって画定される概略形状を有する界面上に重ねられる。湾曲界面部分117のアレイ115は、マイクロレンズ14のアレイ13と位置合せされている。さらに、マイクロレンズ14の界面12と湾曲界面部分117の界面17との間の距離は、マイクロレンズ14の焦点距離に近い。両界面が湾曲しているため、こうした距離は、本開示では、主表面法線Nの方向において界面の任意の部分の間の最大距離として定義される。好ましくは、湾曲界面部分117の各々が、それぞれのマイクロレンズ14の全画像の最適な外観面31に対応する。全画像の最適な外観面31は、画像データ担持構造116が、所定基準に従って定義された最適な方法でマイクロレンズ14を通るように描かれる面である。こうした配置では、画像形成は、常に正確な焦点距離で行われる。しかしながら、感知可能な画像が知覚されることが可能な最大角度が代りに制限される可能性がある。
【0135】
図9Cの湾曲界面実施形態の代替形態は、より広い角度で見られるように意図されるマイクロレンズの焦点距離を変更するというものである。ポリマー箔スタックの中間部分を画定することにより、マイクロレンズの両側に、箔スタックを通るより長い光路に対応するように、連続的なより長い焦点距離を設けることができる。
【0136】
ここで図3Eに戻ると、図示する状況は、合成統合画像デバイスが、合成統合画像デバイスの表面から或る距離を空けて見られる場合に、観察者が知覚するものに対応することに気が付く。図示する光線は、一束の平行光線として合成統合画像デバイスから出る。これは、視距離が無限遠であるときの実際の状況である。しかしながら、合成統合画像デバイスが通常の距離から見られる大部分の場合に対しても良好な近似である。通常の視距離は、概して、15cmより長く、通常は約30cm〜40cmである。こうした距離では、異なる集光素子を通過する光線の角度発散はわずかであり、平行光線を良好な近似として用いることができる。さらに上述したように、図3Eに示す方向における合成統合画像は、無限大の倍率及び仮想画像深さを有し、それにより実際には意味のない画像となる。したがって、この結果は、即時に使用できない合成画像でもある。しかしながら、観察者が合成統合画像デバイスを目の非常に近くまで移動させた場合、角度のずれが著しくなり始め、状況が変化する。
【0137】
図10Aに、図3Eのデバイスを再び示す。しかしながら、この図では、近い視距離に対応する光線が示されている。中間の集光素子からの光線が、合成統合画像デバイスの主面から垂直に出るように示されている。左の集光素子及び右の集光素子からの光線は、合成統合画像デバイスの主面から垂直方向に対して小さい角度γで出るように示されている。それにより、異なる光線が距離Aで交わり、そこに観察者の目が存在する。左の集光素子及び右の集光素子からの光は、中間の集光素子から出る光線と比較して幾何学的構造16A〜16Cの異なる部分から発する。それにより、観察者によって統合画像を構成することができる。画像を知覚することができる通常の距離は、およそ数センチメートル、たとえば1cm〜3cmであり、好ましくは観察者の両目の距離の少なくとも2倍未満である。一実施形態では、合成統合画像デバイスは、顔面に対して保持され、それにより、およそ1cmの視距離が与えられる。
【0138】
小さい視距離におけるこうした画像外観の特性は、本発明者らの知る限りではこの種の配置に関して一意であり、他の技法が容易に似ることはできない。この種の配置を複製することも非常に困難であり、それは、特性を真正の配置に関連付けることができ、それによりセキュリティラベルとして使用することができることを意味する。適当な配置は、「通常の」距離で見られるときに、意味のない画像をもたらすことが好ましいものとする。これは、集光素子アレイ及びオブジェクトアレイの単位ベクトルを、図3Eに示すように少なくとも一方向において等しくすることにより最も容易に達成される。箔又は箔スタックの法線に対する法線に対し平行な方向に見る、本発明の本態様による光学デバイスの一実施形態の一例を図10Bに示す。この実施形態では「T」で示す幾何学的構造16のアレイ15は、図4Aと同様に、集光素子1、この実施形態では、円によって示すマイクロレンズ14のアレイ13の下に配置されると共に、それを通して見られる。この実施形態では、最も近い集光素子距離Pl1は、最も近いオブジェクト距離Po1に等しい。この実施形態は周期的アレイを含むため、集光素子単位ベクトルvl1はオブジェクト単位ベクトルvo1に等しい。この実施形態では、他の方向における単位ベクトルは一致しない。
【0139】
図10Cに示す別の実施形態では、同様に最も近い集光素子距離Pl2は最も近いオブジェクト距離Po2に等しく、それは周期的配置であるため、集光素子単位ベクトルvl2はオブジェクト単位ベクトルvo2に等しい。言い換えれば、最も一般的な場合、第1の投影されたオブジェクト距離
【0140】
【数31】

【0141】
(先の定義と類似する)及び第1の集光素子距離Pl1の対応する対の間の第1の比と、第2の投影されたオブジェクト距離
【0142】
【数32】

【0143】
(先の定義と類似する)及び第2の集光素子距離Pl2の対応する対の間の第2の比とのうちの少なくとも1つは、1に非常に近いか又は等しい。それにより、画像データ担持構造に対応する合成統合画像は、非常に小さい距離から見られる場合にのみポリマー箔スタックの観察側から知覚可能である。
【0144】
この手法を、図7A〜図7Cに関連して提示した概念と類似して大きい視距離から可視である重ねられた画像と有利に組み合わせることも可能である。
図10Aの説明から分かるように、非常に近い距離から合成統合画像デバイスを見ることにより、合成統合画像デバイスの仮想の周期距離が影響を受ける。これは、合成統合画像デバイスの表面から発して合成統合画像デバイスの非常に近くに配置された目に突き当たる光線の角度が著しく異なるという事実の結果である。それにより、オブジェクトの仮想周期は、実際のレンズ周期とは比較されず、異なる角度の方向に投影されるマイクロレンズの周期と比較される。したがって、実際のマイクロレンズ周期に等しい実際のオブジェクト周期を有するオブジェクトアレイは、異なる仮想周期を取得し、画像を形成することができる。仮想オブジェクト周期を変更するというこの効果は、2つの次元において発生し、それは、図10Cによる合成統合画像デバイスが最も好ましい理由であり、それは、同じ周期が常に水平方向及び垂直方向の両方で現れるためである。図10Bの場合、垂直方向(図による)における周期は、常に水平方向より小さい。しかしながら、この周期性の差は、小さい距離で、知覚可能な画像を、それが完全に鮮鋭にならず又は正確に意図された比を有していない場合であっても、いかなる方法でも生じさせるために十分に小さくなる。言い換えれば、マイクロレンズパターンと同じ周期性を有するオブジェクトパターンの無限の倍率は、有限の倍率を有するオブジェクトパターンと比較して視距離の変化によってはるかに多く変化する。
【0145】
さらに、この種の用途に対して大きい見かけの深さを有する画像を用いることが好ましい。その理由は、目が一定の最も近い焦点距離を有するためであり、目と合成統合画像デバイスとの間の距離がこの最小焦点距離より小さい場合、画像深さは焦点画像を知覚する能力に寄与する。
【0146】
視距離を変化させるときに画像の出現及び消失を可能にする光学デバイスの特性を、物体の認証方法において利用することも可能である。図11において、本発明による方法の一実施形態のステップのフローチャートを示す。物体の認証方法はステップ200で開始する。物体の表面にはポリマー箔スタックが設けられている。ポリマー箔スタックは、少なくとも1つのポリマー箔を含む。ポリマー箔スタックの第1の界面は、第1のアレイにおいて光学的に識別可能な画像データ担持構造を備えている。ポリマー箔スタックの第2の界面は、第2のアレイにおいて集光素子を有している。第2の界面は、上記第1の界面から距離を空けて設けられている。ステップ270において、ポリマー箔スタックは、観察者に対する第1の距離と観察者に対する第2の距離との間においていずれかの方向に移動する。第2の距離は、第1の距離より大幅に小さい。ステップ272において、移動中に、第1の合成統合画像の何らかの外観が認証のしるしとして観察される。第1の合成統合画像は、画像データ担持構造に対応する。手順はステップ299で終了する。
【0147】
小さい距離から合成統合画像デバイスを見る態様により、仮想オブジェクト周期が2つの次元ににおいて変化する結果となる。合成統合画像デバイスを曲げる態様により、仮想オブジェクト周期が一次元において変化する結果となる。したがって、これらの両態様において、観察者の目と合成統合画像デバイスとの間の観察状態の変化により、1つ又は2つの次元において仮想オブジェクト周期が変化する結果となる。観察状態のこうした変化のみが意図された画像をもたらすようにオブジェクトアレイを意図的に配置することにより、上述したようにたとえばセキュリティデバイスとして使用することが可能になる。
【0148】
当然ながら、両態様からの観察状態の変化を同時に使用することも可能である。言い換えれば、オブジェクトアレイを、合成統合画像デバイスが曲げられると共に近距離から見られるときにのみ、意図された画像が生じるように適合させることができる。あり得るこうした変形及び組合せの数は、実際には際限なく、設計者の想像力のみによって制限される。
【0149】
上述した実施形態は、本発明のいくつかの例示的な例として理解されるべきである。当業者により、本発明の範囲から逸脱することなくそれらの実施形態に対してさまざまな変更、組合せ及び変形を行ってもよいことが理解されよう。特に、異なる実施形態における異なる部分的な解決法を、技術的に可能な場合は他の構成で組み合わせることができる。しかしながら、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー箔スタック(111)を備える合成統合画像を提供する光学デバイス(10)であって、
前記ポリマー箔スタック(111)は少なくとも1つのポリマー箔(11)を備え、
前記ポリマー箔スタック(111)の第1の界面(17)は、第1のアレイ(15)において光学的に識別可能な画像データ担持構造(16、16A〜16C)を備え、
前記ポリマー箔スタック(111)の第2の界面(12)は、第2のアレイ(13)において集光素子(1)を有し、
前記第2の界面(12)は前記第1の界面(17)から距離を空けて設けられ、
前記第1のアレイ(15)の前記画像データ担持構造(16、16A〜16C)は、第1のオブジェクト方向(91’)において第1のオブジェクト距離(Po1)で、かつ前記第1のオブジェクト方向(91’)に対して第1の角度(γ)で提供される第2のオブジェクト方向(92’)において第2のオブジェクト距離(Po2)で繰り返され、
前記第2のアレイ(13)における前記集光素子(1)は、第1の集光素子方向(91)において第1の集光素子距離(Pl1)で、かつ前記第1の集光素子方向(91)に対して第2の角度(γ)で提供される第2の集光素子方向(92)において第2の集光素子距離(Pl2)で繰り返され、
第1の投影されたオブジェクト距離
【数1】

は、前記第1の集光素子方向(91)上に投影された前記第1のオブジェクト距離(Po1)であり、第2の投影されたオブジェクト距離
【数2】

は、前記第2の集光素子方向(92)上に投影された前記第2のオブジェクト距離(Po2)であり、
該光学デバイスは、
前記第1の投影されたオブジェクト距離
【数3】

及び前記第1の集光素子距離(Pl1)の対応する対の間の第1の比と、前記第2の投影されたオブジェクト距離
【数4】

及び前記第2の集光素子距離(Pl2)の対応する対の間の第2の比とのうちの少なくとも1つは、1に近いか又は1に等しく、
それにより、前記画像データ担持構造(16、16A〜16C)に対応する前記合成統合画像(25)は、小さい距離から見られるとき、前記ポリマー箔スタック(111)の観察側から要求された割合で知覚可能であることを特徴とする、光学デバイス。
【請求項2】
前記第1のアレイ(15)は前記第1のオブジェクト方向(91’)において周期的であり、それにより前記第1のオブジェクト距離(Po1)は第1のオブジェクト単位ベクトル(vo1)の長さに等しいことを特徴とする、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第2のアレイ(13)は前記第1のオブジェクト方向(91)において周期的であり、それにより前記第1の集光素子距離(Pl1)は第1の第1の集光素子単位ベクトル(vl1)の長さに等しいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記第1の集光素子方向(91)は前記第1のオブジェクト方向(91’)に対して平行であり、それにより前記第1の投影されたオブジェクト距離
【数5】

は前記第1のオブジェクト距離(Po1)に等しいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第2の集光素子方向(92)は前記第2のオブジェクト方向(92’)に対して平行であり、それにより前記第2の投影されたオブジェクト距離
【数6】

は前記第2のオブジェクト距離(Po2)に等しいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第1のアレイ(15)は前記第2のオブジェクト方向(92’)において周期的であり、それにより前記第2のオブジェクト距離(Po2)は第2のオブジェクト単位ベクトル(vo2)の長さに等しいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記第2のアレイ(13)は前記第2の集光素子方向(92)において周期的であり、それにより前記第2の集光素子距離(Pl2)は第2のオブジェクト単位ベクトル(vl2)の長さに等しいことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記第1の比及び前記第2の比は共に1に近いか又は1に等しいことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記第1の界面(17)は、第3のアレイ(85)に、前記第1のアレイ(15)の前記識別可能な画像データ担持構造(16、16A〜16C)の上に重ねられる光学的に識別可能な画像データ担持構造(86)を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記第3のアレイ(85)における前記画像データ担持構造は、前記第1の集光素子方向(91)における第3のオブジェクト距離(Po3)によりかつ前記第2の集光素子方向(92)における第4のオブジェクト距離(Po4)により繰り返され、前記第3のオブジェクト距離(Po3)及び前記第1の集光素子距離(Pl1)の対応する対の間の第3の比は、前記第4のオブジェクト距離(Po4)及び前記第2の集光素子距離(Pl2)の対応する対の間の第4の比に等しく、前記第3の比及び前記第4の比は1とは異なり、それにより、前記第3のアレイ(85)における前記画像データ担持構造(86)に対応する合成統合画像は、大きい距離から見られるとき、前記ポリマー箔スタック(111)の前記観察側から要求される比で知覚可能であることを特徴とする、請求項9に記載の光学デバイス。
【請求項11】
表面にポリマー箔スタック(111)が設けられた物体(50)の認証方法であって、前記ポリマー箔スタック(111)は少なくとも1つのポリマー箔(11)を備え、前記ポリマー箔スタック(111)の第1の界面(17)は、第1のアレイ(15)において光学的に識別可能な画像データ担持構造(16、16A〜16C)を備え、前記ポリマー箔スタック(111)の第2の界面(12)は、第2のアレイ(13)において集光素子(1)を有し、前記第2の界面(12)は前記第1の界面(17)から距離を空けて設けられ、該方法は、
前記ポリマー箔スタック(111)を、観察者に対する第1の距離と観察者に対する第2の距離との間でいずれかの方向に移動させるステップ(270)であって、前記第2の距離は前記第1の距離より大幅に小さい、ステップ(270)と、
前記移動中に前記画像データ担持構造(16、16A〜16C)に対応する第1の合成統合画像(25)の何らかの外観を、認証のしるしとして観察するステップ(272)と、
を含む、物体の認証方法。
【請求項12】
前記第2の距離は前記観察者の両目の距離の2倍より小さいことを特徴とする、請求項11に記載の物体の認証方法。
【請求項13】
前記第1の距離は15cmより大きいことを特徴とする、請求項11又は12に記載の物体の認証方法。
【請求項14】
ポリマー箔スタック(111)を備える合成統合画像を提供する光学デバイス(10)であって、
前記ポリマー箔スタック(111)は少なくとも1つのポリマー箔(11)を備え、
前記ポリマー箔スタック(111)の第1の界面(17)は、第1のアレイ(15)において光学的に識別可能な画像データ担持構造(16、16A〜16C)を備え、
前記ポリマー箔スタック(111)の第2の界面(12)は、第2のアレイ(13)において集光素子(1)を有し、
前記第2の界面(12)は前記第1の界面(17)から距離を空けて設けられ、
前記第1のアレイ(15)の前記画像データ担持構造(16、16A〜16C)は、第1のオブジェクト方向(91’)において第1のオブジェクト距離(Po1)で、かつ前記第1のオブジェクト距離(91’)に対して第1の角度(γ)で提供される第2のオブジェクト方向(92’)において第2のオブジェクト距離(Po2)で繰り返され、
前記第2のアレイ(13)における前記集光素子(1)は、第1の集光素子方向(91)において第1の集光素子距離(Pl1)で、かつ前記第1の集光素子方向(91)に対して第2の角度(γ)で提供される第2の集光素子方向(92)において第2の集光素子距離(Pl2)で繰り返され、
第1の投影されたオブジェクト距離
【数7】

は、前記第1の集光素子方向(91)上に投影された前記第1のオブジェクト距離(Po1)であり、第2の投影されたオブジェクト距離
【数8】

は、前記第2の集光素子方向(92)上に投影された前記第2のオブジェクト距離(Po2)であり、
該光学デバイスは、
前記第1の投影されたオブジェクト距離
【数9】

及び前記第1の集光素子距離(Pl1)の対応する対の間の第1の比は、前記第2の投影されたオブジェクト距離
【数10】

及び前記第2の集光素子距離(Pl2)の対応する対の間の第2の比とは異なり、
それにより、前記画像データ担持構造(16、16A〜16C)に対応する前記合成統合画像(25)は、前記ポリマー箔スタック(111)に一定の湾曲が与えられるとき、前記ポリマー箔スタック(111)の観察側から要求された割合で知覚可能であることを特徴とする、光学デバイス。
【請求項15】
前記第1のアレイ(15)は前記第1のオブジェクト方向(91’)において周期的であり、それにより前記第1のオブジェクト距離(Po1)は第1のオブジェクト単位ベクトル(vo1)の長さに等しいことを特徴とする、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記第2のアレイ(13)は前記第1の集光素子方向(91’)において周期的であり、それにより前記第1の集光素子距離(Pl1)は第1の集光素子単位ベクトル(vl1)の長さに等しいことを特徴とする、請求項14又は15に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記第1の集光素子方向(91)は前記第1のオブジェクト方向(91’)に対して平行であり、それにより前記第1の投影されたオブジェクト距離
【数11】

は前記第1のオブジェクト距離(Po1)に等しいことを特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記第2の集光素子方向(92)は前記第2のオブジェクト方向(92’)に対して平行であり、それにより前記第2の投影されたオブジェクト距離
【数12】

は前記第2のオブジェクト距離(Po2)に等しいことを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記第1のアレイ(15)は前記第2のオブジェクト方向(92’)において周期的であり、それにより前記第2のオブジェクト距離(Po2)は第2のオブジェクト単位ベクトル(vo2)の長さに等しいことを特徴とする、請求項14〜18のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記第2のアレイ(13)は前記第2の集光素子方向(92)において周期的であり、それにより前記第2の集光素子距離(Pl2)は第2のオブジェクト単位ベクトル(vl2)の長さに等しいことを特徴とする、請求項14〜19のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記第1の比は一定であり、前記第2の比は一定であることを特徴とする、請求項14〜20のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項22】
前記第1の比及び前記第2の比の少なくとも1つは、前記ポリマー箔スタック(111)にわたって変化することを特徴とする、請求項14〜20のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項23】
前記第1の比は前記第2の比よりも高く、それにより、前記一定の湾曲は、前記観察側から見ると前記第1の集光素子方向(91)を中心として湾曲する凹面であるか、又は前記観察側から見ると前記第2の集光素子方向(92)を中心として湾曲する凸面であることを特徴とする、請求項14〜22のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項24】
前記第1の比は前記第2の比よりも低く、それにより、前記一定の湾曲は、前記観察側から見ると前記第1の集光素子方向(91)を中心として湾曲する凹面であるか、又は前記観察側から見ると前記第2の集光素子方向(92)を中心として湾曲する凸面であることを特徴とする、請求項14〜22のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項25】
前記一定の湾曲は、円形円筒表面の一部であることを特徴とする、請求項14〜24のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項26】
前記一定の湾曲は、非円形円筒表面の一部であることを特徴とする、請求項21に記載の光学デバイス。
【請求項27】
前記一定の湾曲は、本質的に放物線形状を有することを特徴とする、請求項26に記載の光学デバイス。
【請求項28】
前記一定の湾曲は曲げ半径の異なる部分を呈することを特徴とする、請求項22に記載の光学デバイス。
【請求項29】
前記第1の比及び前記第2の比のうちの少なくとも1つは1に近いか又は1に等しいことを特徴とする、請求項14〜28のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項30】
前記第1の界面(17)は、第3のアレイ(85)に、前記第1のアレイ(15)の前記識別可能な画像データ担持構造(16、16A〜16C)の上に重ねられる光学的に識別可能な画像データ担持構造(86)をさらに備えることを特徴とする、請求項14〜29のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項31】
前記第3のアレイ(85)における前記画像データ担持構造は、前記第1の集光素子方向(91)における第3のオブジェクト距離(Po3)によりかつ前記第2の集光素子方向(92)における第4のオブジェクト距離(Po4)により繰り返され、前記第3のオブジェクト距離(Po3)及び前記第1の集光素子距離(Pl1)の対応する対の間の第3の比は、前記第4のオブジェクト距離(Po4)及び前記第2の集光素子距離(Pl2)の対応する対の間の第4の比に等しく、それにより、前記第3のアレイ(85)における前記画像データ担持構造(86)に対応する合成統合画像は、前記ポリマー箔スタック(111)が平面であるとき、前記ポリマー箔スタック(111)の前記観察側から要求される比で知覚可能であることを特徴とする、請求項30に記載の光学デバイス。
【請求項32】
前記第3のアレイ(85)における前記画像データ担持構造(86)は、前記第3のオブジェクト方向における第3のオブジェクト距離(Po3)によりかつ前記第4のオブジェクト方向における第4のオブジェクト距離(Po4)により繰り返され、前記投影されたオブジェクト距離は、前記第1の集光素子方向(91)上に投影された前記第3のオブジェクト距離(Po3)であり、第4の投影されたオブジェクト距離は、前記第2の集光素子方向(92)上に投影された前記第4のオブジェクト距離(Po4)であり、前記第3の統制されたオブジェクト距離及び前記第1の集光素子距離(Pl1)の対応する対の間の第3の比は、前記第4の投影されたオブジェクト距離及び前記第2の集光素子距離(Pl2)の対応する対の間の第4の比とは異なり、それにより、前記第3のアレイ(85)における前記画像データ担持構造(86)に対応する合成統合画像は、前記ポリマー箔スタック(111)に、前記第1のアレイ(15)における前記画像データ担持構造(図16、図16A〜図16C)に対応する前記合成統合画像(25)が要求された特性で知覚可能であるようにするものとは異なる一定の湾曲が与えられるとき、前記ポリマー箔スタック(111)の前記観察側から要求される比で知覚可能であることを特徴とする、請求項30に記載の光学デバイス。
【請求項33】
前記第1のアレイ(15)に対する最適な画僧形成状態において、前記第3のアレイ(85)から発生する画像は1つの方向において無限の倍率を提示すること、及び
前記第3のアレイ(85)に対する最適な画像形成状態において、前記第1のアレイ(15)から発生する画像は1つの方向において無限の倍率を提示すること
という条件のうちの少なくとも一方が満たされることを特徴とする、請求項31又は32に記載の光学デバイス。
【請求項34】
表面にポリマー箔スタック(111)が設けられた物体(50)の認証方法であって、前記ポリマー箔スタック(111)は少なくとも1つのポリマー箔(11)を備え、前記ポリマー箔スタック(111)の第1の界面(17)は、第1のアレイ(15)において光学的に識別可能な画像データ担持構造(16、16A〜16C)を備え、前記ポリマー箔スタック(111)の第2の界面(12)は、第2のアレイ(13)において集光素子(1)を有し、前記第2の界面(12)は前記第1の界面(17)から距離を空けて設けられ、該方法は、
前記ポリマー箔スタック(111)を、所定の第1の方向において所定の第1の湾曲に従って曲げるステップ(210)と、
前記画像データ担持構造(16、16A〜16C)に対応する第1の合成統合画像(25)の何らかの外観を要求された割合で認証のしるしとして観察するステップと、
を含む物体の認証方法。
【請求項35】
前記ポリマー箔スタック(111)を、前記所定の第1の方向において、前記所定の第1の湾曲とは異なる所定の第2の湾曲に従って曲げるステップと、
第2の合成統合画像の何らかの外観を認証のしるしとして観察するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリマー箔スタック(111)を、前記所定の第1の方向とは異なる前記所定の第2の方向において、所定の第2の湾曲に従って曲げるステップと、
第2の合成統合画像の何らかの外観を認証のしるしとして観察するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記曲げるステップは、前記ポリマー箔(111)スタックを、前記所定の第1の湾曲を呈する表面を有する一般的な(cliche)器具に対して支持することを含むことを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記所定の第1の湾曲は、半径の異なる部分を有する複雑な湾曲であることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
表面にポリマー箔スタック(111)が設けられた物体(50)の認証方法であって、前記ポリマー箔スタック(111)は少なくとも1つのポリマー箔(11)を備え、前記ポリマー箔スタック(111)の第1の界面(17)は、第1のアレイ(15)において光学的に識別可能な画像データ担持構造(16、16A〜16C)を備え、前記ポリマー箔スタック(111)の第2の界面(12)は、第2のアレイ(13)において集光素子(1)を有し、前記第2の界面(12)は前記第1の界面(17)から距離を空けて設けられ、該方法は、
前記ポリマー箔スタック(111)を視野方向に対して平行な成分を有する軸を中心に回転させるステップ(210)と、
前記画像データ担持構造(16、16A〜16C)に対応する合成統合画像(25)の見かけの画像深さの何らかの変化を認証のしるしとして観察するステップと、
を含む、物体の認証方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図3E】
image rotate

【図3F】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図9C】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2012−509499(P2012−509499A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536831(P2011−536831)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065103
【国際公開番号】WO2010/057831
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(511121632)
【Fターム(参考)】