説明

吊下げ式トロリコンベア

【課題】駆動ドッグが被駆動ドッグに追突する際等の衝撃を吸収緩和することができる構成でありながらストレージピッチを一定に保つ。
【解決手段】パワーアンドフリー式オーバーヘッドコンベアにおいて、前後の吊下げ部材21,22の上下端部と前後のロードトロリ11,12及びキャリア25の上部フレーム26の前後とを左右方向ピン21A,21B,22A,22Bを介して相対的に前後揺動可能に連結し、連結杆15の前後端部と前ロードトロリ11の後部及び後ロードトロリ12の前部とを左右方向ピン及び上下方向ピン11B,15A及び12A,15Bを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結し、連結杆16に伸縮部16を設けて長手方向に伸縮可能とし、キャリア25が直線経路Sに沿って搬送されている状態又は直線経路S上に停止している状態において伸縮部16の短縮を阻止する短縮阻止手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーレールに係合する前後のロードトロリにそれぞれ連結された前後の吊り下げ部材によりキャリアを吊り下げ、キャリアのハンガにより支持された被搬送物を搬送経路に沿って搬送する吊下げ式トロリコンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の大型製品の生産ラインに用いられるトロリコンベアとして、搬送経路に沿って上下にパワーレール及びフリーレールを設置し、フリーレールに支持案内されたフリートロリの前ロードトロリ及び後ロードトロリにそれぞれ連結された前吊下げ部材及び後吊下げ部材によりキャリアを吊り下げた状態とし、パワーレールに支持案内されたパワーチェーンの駆動力をフリートロリへ伝達する状態と伝達しない状態とを切り換えることができる、いわゆるパワーアンドフリー式の吊下げ式トロリコンベアがある。
このような吊下げ式トロリコンベアとして、前吊下げ部材の上下端と前ロードトロリ及びキャリアとを左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結することにより、駆動ドッグが被駆動ドッグに追突する際等の衝撃を吸収緩和するように構成したものがあり(例えば、特許文献1参照。)、近年、被搬送物の重量が大きくなってきていること等から、トロリ、キャリア及びストッパ等に過剰な負担を掛けないために、このような衝撃吸収機構を備える必要性が高くなっている。
【0003】
【特許文献1】特開昭54−129672号公報(第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような吊下げ式トロリコンベアは、前記衝撃を吸収緩和することができるという効果を奏する反面、前後のロードトロリ間の距離が一定とはならず、特にストレージ部において前後方向に間隔を詰めて集積されるキャリア間のピッチ(以下において、「ストレージピッチ」という。)が一定に保たれないことから、ストレージ部のリミットスイッチの検出位置がずれる等の不具合が発生する場合があるため、コンベアの信頼性が低下している。
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、駆動ドッグが被駆動ドッグに追突する際等の衝撃を吸収緩和することができる構成でありながら、ストレージピッチを一定に保つことができるためコンベアの信頼性を向上することができる吊下げ式トロリコンベアを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る吊下げ式トロリコンベアは、前記課題解決のために、搬送経路に沿って上下にパワーレール及びフリーレールを設置し、該フリーレールに支持案内されたフリートロリの前後のロードトロリにそれぞれ連結された前後の吊下げ部材によりキャリアを吊り下げた状態とし、前記パワーレールに支持案内されたパワーチェーンの駆動力を前記フリートロリへ伝達する状態と伝達しない状態とを切り換えることができる吊下げ式トロリコンベアであって、前記前後の吊下げ部材の上端部と前記前後のロードトロリとをそれぞれ左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結するとともに、前記前後の吊下げ部材の下端部と前記キャリアの上部フレームの前後の少なくとも一方とを左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結し、前後方向に延びる連結杆の前端部及び後端部と前記前ロードトロリの後部及び前記後ロードトロリの前部とをそれぞれ左右方向ピン及び上下方向ピンを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結し、前記連結杆の長手方向の中間部分に伸縮部を設けて長手方向に伸縮可能とするとともに、前記キャリアが直線経路に沿って搬送されている状態又は直線経路上に停止している状態において前記伸縮部の短縮を阻止する短縮阻止手段を設けてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る吊下げ式トロリコンベアは、搬送経路に沿って上下にパワーレール及びフリーレールを設置し、該フリーレールに支持案内されたフリートロリの前後のロードトロリにそれぞれ連結された前後の吊下げ部材によりキャリアを吊り下げた状態とし、前記パワーレールに支持案内されたパワーチェーンの駆動力を前記フリートロリへ伝達する状態と伝達しない状態とを切り換えることができる吊下げ式トロリコンベアであって、前記前後の吊下げ部材の上端部と前記前後のロードトロリとをそれぞれ左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結するとともに、前記前後の吊下げ部材の下端部と前記キャリアの上部フレームの前後の少なくとも一方とを左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結し、前後方向に延びる連結杆の前端部及び後端部と前記前ロードトロリの後部及び前記後ロードトロリの前部とをそれぞれ左右方向ピン及び上下方向ピンを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結し、前記連結杆の長手方向の中間部分に伸縮部を設けて長手方向に伸縮可能とするとともに、前記キャリアが直線経路に沿って搬送されている状態又は直線経路上に停止している状態において前記伸縮部の短縮を阻止する短縮阻止手段を設けてなるので、前後の吊下げ部材の少なくともどちらかの上下端部がロードトロリ及びキャリアの上部フレームと左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結されているため、パワーチェーンの駆動力がフリートロリへ伝達されている状態(駆動ドッグにより被駆動ドッグが牽引されている状態)で所定停止箇所の揺動カム等を上昇させて駆動ドッグを外してフリートロリ(キャリア)を停止させる際の衝撃力、先行フリートロリのリアトロリのカムプレート等により後続フリートロリのフロントトロリの被駆動ドッグに係合して牽引している駆動ドッグを外して順次ストレージする際の衝撃力、並びに、パワーチェーンの駆動力がフリートロリへ伝達されていない状態(駆動ドッグにより被駆動ドッグが牽引されてない状態)で所定停止箇所の揺動カム等を下降させて駆動ドッグにより被駆動ドッグを牽引してフリートロリを搬送状態に復帰させる際の衝撃力を、吊下げ部材及びキャリアの揺動により吸収緩和することができる。
【0008】
また、前後方向に延びる連結杆の前部及び後部と前記前ロードトロリの後部及び前記後ロードトロリの前部とをそれぞれ左右方向ピン及び上下方向ピンを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結し、連結杆の長手方向の中間部分に伸縮部を設けて長手方向に伸縮可能とするとともに、キャリアが直線経路に沿って搬送されている状態において連結杆の伸縮部の短縮を阻止する短縮阻止手段を設けているため、短縮阻止手段により連結杆の伸縮部の短縮が阻止された状態で前後のロードトロリ間の距離が一定に保たれる。
よって、ストレージピッチが一定に保たれることから、搬送経路におけるストレージ部のリミットスイッチの検出位置がずれる等の不具合を無くすことができるため、コンベアの信頼性を向上することができる。
その上、前後のロードトロリを連結する連結杆に伸縮部があるため、直線経路のみならず水平カーブ状経路も安定かつ確実に走行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
なお、本明細書においては、被搬送物Wの搬送方向を前(図中矢印A方向参照。)とし、左右は前方に向かっていうものとする。また、右方から見た図を正面図とする。
【0010】
図1〜図5は本発明の実施の形態に係る吊下げ式トロリコンベアの概略図であり、図1は正面図、図2は前方から見た図、図3は連結杆である中間連結ロッド15まわりを拡大して示す正面図、図4は中間連結ロッド15の構成説明図であり、図4(a)は平面図、図4(b)及び(c)は正面図、図5は直線経路S及び水平カーブ状経路Cにおける前後のロードトロリ11,12とこれらを連結する中間連結ロッド15の状態を示す平面図である。また、図4(a)及び(b)は中間連結ロッド15が最も縮んだ状態を、図4(c)は中間連結ロッド15が最も伸びた状態を示している。
【0011】
図1及び図2に示す吊下げ式トロリコンベアは、いわゆるパワーアンドフリー式オーバーヘッドコンベアであり、前後に設置されたヨーク28,…により上下のパワーレール1及びフリーレール5,5が支持されて搬送経路が形成され、フリーレール5,5に係合する前後のロードトロリ11,12にそれぞれ連結された前後の吊り下げ部材21,22によりキャリア25を吊り下げ、キャリア25のハンガ27により支持された被搬送物Wを搬送経路に沿って搬送するものである。
【0012】
パワートロリ3は、I字状断面のパワーレール1に左右のローラ3A,3Aを係合させることにより、パワーレール1に支持案内されてパワーチェーン2により搬送方向(図1中の矢印A参照。)に駆動され、パワートロリ3の下側には水平支軸4Aまわりに揺動する駆動ドッグ4が取り付けられる。
また、フリートロリ6は、開口を対向させたコ字状断面の左右のフリーレール5,5に左右のローラ6A,6A,…を係合させるとともに、フレーレール5,5の内側面に振止めローラ6B,…を当接させることにより、左右のフリーレール5,5に支持案内され、パワートロリ3の駆動ドッグ4とフリートロリ6のフロントトロリ7の被駆動ドッグ8とが係合し、パワーチェーン2により牽引されることにより搬送経路に沿って移動する。
【0013】
ここで、フリートロリ6は、上側に被駆動ドッグ8が設けられた前端のフロントトロリ7及び上側にカムプレート10が設けられた後端のリアトロリ9、並びに、これらの中間に位置し、荷重を支持する前ロードトロリ11及び後ロードトロリ12からなり、フロントトロリ7及び前ロードトロリ11は前連結ロッド13により、後ロードトロリ12及びリアトロリ9は後連結ロッド14により、前後のロードトロリ11,12は連結杆である中間連結ロッド15により連結される。
なお、フリートロリ6の構成は。このような構成に限定されるものではなく、その構成は搬送経路並びに被搬送物の大きさ及びキャリアの構成等に応じて適宜選択され、少なくとも前後のロードトロリ11,12を有するものである。
【0014】
搬送経路の所定箇所には、フリートロリ6(キャリア25)を停止させるためにパワートロリ3の駆動ドッグ4とフロントトロリ7の被駆動ドッグ8との係合を解除する図示しないカムストップ機構があり、例えばエアーシリンダ等のアクチュエータにより揺動カムを駆動して上昇させ、駆動ドッグ4を水平支軸4Aまわりに揺動させて上昇させることにより、駆動ドッグ4と被駆動ドッグ8との係合状態を解除することができる。
また、このように停止し位置決めされた先行フリートロリ6(先行キャリア25)に対して、この先行フリートロリ6のリアトロリ9のカムプレート10により、後続フリートロリ6(後続キャリア25)のフロントトロリ7の被駆動ドッグ8に係合して牽引している駆動ドッグ4が水平支軸4Aまわりに揺動して上昇し、前記被駆動ドッグ8との係合状態が解除されるため、前後のキャリア25,…間の間隔を狭めた状態で順次停止し、被搬送物W,…が順次ストレージされる。
さらに、このように停止しているフリートロリ6に対して、前記アクチュエータにより揺動カムを駆動して下降させることにより、被駆動ドッグ8に駆動ドッグ4が係合可能となるため、ストレージされている被搬送物W,…がフリートロリ6(キャリア25)とともに順次搬送される。
【0015】
図1及び図3に示すように、フロントトロリ7の後部と前連結ロッド13の前端部とは、左右方向ピン7A及び上下方向ピン13Aを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結され、前連結ロッド13の後端部と前ロードトロリ11の前部とは、左右方向ピン11A及び上下方向ピン13Bを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結される。
また、前ロードトロリ11の後部と中間連結ロッド15の前端部とは、左右方向ピン11B及び上下方向ピン15Aを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結され、中間連結ロッド15の後端部と後ロードトロリ12の前部とは、左右方向ピン12A及び上下方向ピン15Bを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結される。
さらに、後ロードトロリ12の後部と後連結ロッド14の前端部とは、左右方向ピン12B及び上下方向ピン14Aを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結され、後連結ロッド14の後端部とリアトロリ9の前部とは、左右方向ピン9A及び上下方向ピン14Bを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結される。
【0016】
図3に示すように、前吊り下げ部材21は、垂下状態で前ロードトロリ11の垂直軸心V1まわりに相対的に回転可能に連結された懸垂ピン23Aと連結部材24Aとにより構成され、前吊り下げ部材21(懸垂ピン23A)の上端部と前ロードトロリ11とは、左右方向ピン21Aを介して相対的に前後揺動可能に連結され、前吊り下げ部材21(連結部材24A)の下端部とキャリア25の上部フレーム26の前部とは、左右方向ピン21Bを介して相対的に前後揺動可能に連結される。
また、後吊り下げ部材22は、垂下状態で後ロードトロリ12の垂直軸心V2まわりに相対的に回転可能に連結された懸垂ピン23Bと連結部材24Bとにより構成され、後吊り下げ部材22(懸垂ピン23B)の上端部と後ロードトロリ12とは、左右方向ピン22Aを介して相対的に前後揺動可能に連結され、後吊り下げ部材22(連結部材24B)の下端部とキャリア25の上部フレーム26の後部とは、左右方向ピン22Bを介して相対的に前後揺動可能に連結される。
【0017】
よって、前後の吊下げ部材21,22の上下端部が前後のロードトロリ11,12及びキャリア25の上部フレーム26の前後部と左右方向ピン21A,21B、22A,22Bを介して相対的に前後揺動可能に連結されているため、パワーチェーン2の駆動力がフリートロリ6へ伝達されている状態(駆動ドッグ4により被駆動ドッグ8が牽引されている状態)で所定停止箇所の揺動カム等を上昇させて駆動ドッグ4を外してフリートロリ6(キャリア25)を停止させる際の衝撃力、先行フリートロリ6のリアトロリ9のカムプレート10等により後続フリートロリ6のフロントトロリ7の被駆動ドッグ8に係合して牽引している駆動ドッグ4を外して順次ストレージする際の衝撃力、並びに、パワーチェーン2の駆動力がフリートロリ6へ伝達されていない状態(駆動ドッグ4により被駆動ドッグ8が牽引されてない状態)で所定停止箇所の揺動カム等を下降させて駆動ドッグ4により被駆動ドッグ8を牽引してフリートロリ6(キャリア25)を搬送状態に復帰させる際の衝撃力を、吊下げ部材21,22及びキャリア25の揺動により吸収緩和することができる。
【0018】
次に、連結杆である中間連結ロッド15の構成について説明する。
図3及び図4に示すように、中間連結ロッド15は、その長手方向の中間部分に伸縮部16が設けられており、よって長手方向に伸縮可能に構成されている。
すなわち、中間連結ロッド15の後端側(前端側又は中央であってもよい。)には、上下方向ピン15Bの前側に、上下の連結板17A,17Bに連結体18が挟持され固定されており、連結体18に形成された前後方向の通孔18Aにシャフト19が挿通され、連結体18とシャフト19とが前後方向にスライド可能であるため、中間連結ロッド15はその長手方向に伸縮する。
【0019】
図4(a)及び(b)に示す前後の上下方向ピン15A,15B間の距離がL3である中間連結ロッド15が最も縮んだ状態では、段部19Aと端面18Bとが当接し、これ以上の伸縮部16の短縮が阻止されるため、本実施の形態では段部19Aと端面18Bが伸縮部16の短縮を阻止する短縮阻止手段を構成する。
また、図4(c)に示す前後の上下方向ピン15A,15B間の距離がL3+Gmaxである中間連結ロッド15が最も伸びた状態では、ボルト20Bによりシャフト19の左端面に固定された抜止め板20Aと連結体18の後面とが当接し、これ以上の伸縮部16の伸張が阻止される。
【0020】
次に、直線経路及び水平カーブ状経路における中間連結ロッド15まわりの状態について説明する。
図3及び図5の直線経路Sにおいて、前後の吊下げ部材21,22の下端部とキャリア25の上部フレーム26の前後部とを連結する左右方向ピン21A,21B間の距離Lは一定であり、前後の吊下げ部材21,22が垂下した定常状態で、前後のロードトロリ11,12の垂直軸心V1,V2間の距離もLで一定であり、垂直軸心V1及び上下方向ピン15A間の距離L1並びに垂直軸心V2及び上下方向ピン15B間の距離L2も一定である。そして、直線経路Sでは中間連結ロッド15が最も縮んだ前後の上下方向ピン15A,15B間の距離がL3であり、したがってL=L1+L2+L3の関係となっており、この状態では前述のとおり短縮阻止手段(段部19A及び端面18B)により、これ以上の伸縮部16の短縮が阻止されている。
よって、ストレージピッチが一定に保たれることから、搬送経路におけるストレージ部のリミットスイッチの検出位置がずれる等の不具合を無くすことができるため、コンベアの信頼性を向上することができる。
【0021】
また、図5の水平カーブ状経路Cにおいて、前後の吊下げ部材21,22が垂下した定常状態で、前記のとおり垂直軸心V1,V2間の距離がLで一定であり、垂直軸心V1及び上下方向ピン15A間の距離L1並びに垂直軸心V2及び上下方向ピン15B間の距離L2が一定であり、中間連結ロッド15はその伸縮部16が伸びて上下方向ピン15A,15B間の距離がL3+Gとなっている。
なお、伸縮部16の伸縮ストローク(図4(c)の最大伸び量Gmax)は、フリートロリ6を走行させる水平カーブ状経路Cの曲率半径に応じて、該水平カーブ状経路Cを走行する際に必要な伸び(例えば図5のG)よりも大きくしておく必要がある。
このように中間連結ロッド15に伸縮部16があるため、上述のとおり直線経路Sにおいて中間連結ロッド15及びその短縮阻止手段によりストレージピッチが一定に保たれる構成でありながら、フリートロリ6は直線経路Sだけでなく水平カーブ状経路Cも安定かつ確実に走行することができる。
【0022】
以上の説明においては、前後の吊下げ部材21,22の上下端部をともに前後のロードトロリ11,12及びキャリア25の上部フレーム26の前後部と左右方向ピン21A,21B,22A,22Bを介して相対的に前後揺動可能に連結する構成について説明したが、前後の吊下げ部材21,22のどちらかは、その上端部のみをロードトロリ11又は12と相対的に前後揺動可能に連結し、その下端部はキャリア25の上部フレーム26の前部又は後部と相対的に前後揺動可能に連結しない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る吊下げ式トロリコンベアの正面図である。
【図2】同じく前方から見た図である。
【図3】連結杆まわりを拡大して示す正面図である。
【図4】(a)は連結杆が最も縮んだ状態の平面図、(b)は同じく正面図、(c)は連結杆が最も伸びた状態の正面図である。
【図5】直線経路及び水平カーブ状経路における前後のロードトロリとこれらを連結する連結杆の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0024】
A 搬送方向
C 水平カーブ状経路
S 直線経路
W 被搬送物
1 パワーレール
2 パワーチェーン
3 パワートロリ
4 駆動ドッグ
5 フリーレール
6 フリートロリ
7 フロントトロリ
8 被駆動ドッグ
9 リアトロリ
10 カムプレート
11 前ロードトロリ
11A,11B 左右方向ピン
12 後ロードトロリ
12A,12B 左右方向ピン
15 中間連結ロッド(連結杆)
15A,15B 上下方向ピン
16 伸縮部
18 連結体
18A 通孔
18B 端面(短縮阻止手段)
19 シャフト
19A 段部(短縮阻止手段)
21 前吊下げ部材
21A,21B 左右方向ピン
22 後吊下げ部材
22A,22B 左右方向ピン
25 キャリア
26 上部フレーム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って上下にパワーレール及びフリーレールを設置し、該フリーレールに支持案内されたフリートロリの前後のロードトロリにそれぞれ連結された前後の吊下げ部材によりキャリアを吊り下げた状態とし、前記パワーレールに支持案内されたパワーチェーンの駆動力を前記フリートロリへ伝達する状態と伝達しない状態とを切り換えることができる吊下げ式トロリコンベアであって、
前記前後の吊下げ部材の上端部と前記前後のロードトロリとをそれぞれ左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結するとともに、前記前後の吊下げ部材の下端部と前記キャリアの上部フレームの前後の少なくとも一方とを左右方向ピンを介して相対的に前後揺動可能に連結し、
前後方向に延びる連結杆の前端部及び後端部と前記前ロードトロリの後部及び前記後ロードトロリの前部とをそれぞれ左右方向ピン及び上下方向ピンを介して相対的に上下及び左右揺動可能に連結し、前記連結杆の長手方向の中間部分に伸縮部を設けて長手方向に伸縮可能とするとともに、前記キャリアが直線経路に沿って搬送されている状態又は直線経路上に停止している状態において前記伸縮部の短縮を阻止する短縮阻止手段を設けてなることを特徴とする吊下げ式トロリコンベア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−208906(P2009−208906A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54529(P2008−54529)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】