説明

同期台車

【課題】本発明は、同期台車の荷台部を待機位置と使用位置間で移動させるためのアクチュエータを不要にすることを目的とする。
【解決手段】本発明に係る同期台車は、コンベヤの力で同期台車本体部22が前進する際に、その同期台車本体部22の前進により回転する転動車輪25と、同期台車本体部22に設けられ、転動車輪25の回転力を駆動源として荷台部30を待機位置から使用位置まで移動させる移動機構50と、転動車輪25の回転力を移動機構50に伝達し、あるいは回転力の伝達を解除できるクラッチ機構60と、荷台部30が待機位置から使用位置まで移動する際に、荷台部30の戻り方向の移動エネルギーを蓄え、クラッチ機構60が回転力の伝達を解除しているときに、戻り方向の移動エネルギーによって荷台部を待機位置まで戻すことが可能な戻し機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を載せて搬送するコンベヤに連結されて、そのコンベヤと共に前進可能に構成された同期台車本体部と、その同期台車本体部に対して移動可能に構成された荷台部とを備える同期台車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記同期台車に関連する技術が特許文献1に記載されている。
車両組立ラインでは、図9に示すように、スラットコンベヤ110上に車両Wを載せて搬送し、作業員が順次部品を組付けることが行なわれている。このときに、組付け作業の効率化の観点から前記コンベヤ110と同期して部品等を搬送する同期台車100を走行させることが行なわれている。
特許文献1の同期台車100には、第1補助台車102が連結されており、その第1補助台車102がエアシリンダ等の働きによりコンベヤ110の幅方向に移動できるように構成されている。また、第1補助台車102には第2補助台車103が連結されており、その第2補助台車103がエアシリンダ等の働きによりコンベヤ110の幅方向に移動できるように構成されている。
このように、同期台車100がコンベヤ110の幅方向に移動できる第1補助台車102、第2補助台車103を備えているため、それらの補助台車102,103を利用して作業者が車両Wに乗り込み易くなり、組付け作業の効率化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−285934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した同期台車100では、エアシリンダ等を利用して第1補助台車102、第2補助台車103をコンベヤ110の幅方向に移動する構成である。このため、エアシリンダ等を駆動させるための圧縮空気源が必要であり、ランニングコストが掛かるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、同期台車の荷台部を待機位置と使用位置間で移動させるためのアクチュエータを不要にすることで、アクチュエータ用の電源や空気圧源等を不要にし、ランニングコストが掛からないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、車両を載せて搬送するコンベヤに連結されて、そのコンベヤと共に前進可能に構成された同期台車本体部と、その同期台車本体部に対して移動可能に構成された荷台部とを備える同期台車であって、前記コンベヤの力で前記同期台車本体部が前進する際に、その同期台車本体部の前進により回転する転動車輪と、前記同期台車本体部に設けられ、前記転動車輪の回転力を駆動源として前記荷台部を待機位置から使用位置まで移動させる移動機構と、前記転動車輪の回転力を前記移動機構に伝達し、あるいは前記回転力の伝達を解除できるクラッチ機構と、前記荷台部が待機位置から使用位置まで移動する際に、前記荷台部の戻り方向の移動エネルギーを蓄え、前記クラッチ機構が前記回転力の伝達を解除しているときに、前記戻り方向の移動エネルギーによって前記荷台部を前記待機位置まで戻すことが可能な戻し機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によると、同期台車本体部がコンベヤに連結されて、そのコンベヤの力で前進することにより、転動車輪が回転する。そして、転動車輪の回転力がクラッチ機構によって移動機構に伝達されると、その移動機構が荷台部を待機位置から使用位置まで移動させる。
即ち、コンベヤが同期台車本体部を前進させる力が転動車輪を介して移動機構に伝えられ、荷台部を待機位置から使用位置まで移動させる。このため、荷台部を待機位置から使用位置まで移動させるためのアクチュエータが不要になる。
また、荷台部が待機位置から使用位置まで押出される際に、戻し機構が荷台部の戻り方向の移動エネルギーを蓄える。そして、クラッチ機構が回転力の伝達を解除しているときに、荷台部が前記戻り方向の移動エネルギーによって待機位置まで戻されるようになる。このため、荷台部を使用位置から待機位置まで戻すためのアクチュエータが不要になる。
したがって、前記アクチュエータ用の電源や空気圧源等が不要になり、ランニングコストが掛からなくなる。
【0008】
請求項2の発明によると、移動機構が荷台部を待機位置から使用位置まで移動させたときに、前記クラッチ機構を回転力伝達解除方向に動作させるクラッチ解除機構と、前記荷台部を前記戻し機構の移動エネルギーに抗して前記使用位置にロックするロック機構と、前記ロック機構のロック状態を解除するロック解除機構とを有することを特徴とする。
このため、荷台部が待機位置から使用位置まで移動した後は、クラッチ解除機構によりクラッチ機構が回転力の伝達解除方向に動作し、前記荷台部はロック機構の働きで使用位置にロックされる。したがって、荷台部が使用位置まで移動した後に転動車輪の回転力が移動機構に加わることがなくなる。さらに、ロック機構の働きにより、クラッチ機構が回転力伝達解除方向に動作しても、荷台部が戻し機構の移動エネルギーで待機位置まで戻ることがない。
なお、ロック解除機構によりロック機構のロック状態を解除することで、戻し機構の移動エネルギーにより荷台部を待機位置まで戻すことができる。
【0009】
請求項3の発明によると、戻り機構によって、荷台部が待機位置まで戻される動作によって前記コンベヤと同期台車本体部との連結が解除される構成であることを特徴とする。
このため、コンベヤと同期台車本体部との連結解除操作が不用になる。
【0010】
請求項4の発明によると、荷台部は、コンベヤ上をそのコンベヤの幅方向に移動可能な部品台車であり、移動機構は、前記同期台車本体部に途中位置が上下回動可能な状態で連結された第1押出アームと、その第1押出アームの先端部に一端部が上下回動可能な状態で連結されて、他端部が前記部品台車に上下回動可能な状態で連結されている第2押出アームと、前記第1押出アームの基端部に設けられた動滑車と、前記同期台車本体部に取付けられて、前記転動車輪の回転力を受けて回転可能な駆動リールと、その駆動リールと前記動滑車に掛けられて、端部が前記同期台車本体部の引き止め部に引き止め可能に構成された糸と有し、前記転動車輪の回転力により前記駆動リールが回転すると、その駆動リールと前記同期台車本体部の引き止め部間で糸が引っ張られて前記動滑車が前記駆動リールの方向に移動し、前記第1押出アームと第2押出アームが起立した折り畳み状態から水平な展開状態まで上方に回動して、前記部品台車が待機位置から使用位置まで押出される構成であることを特徴とする。
このように、糸と駆動リール、動滑車によって転動車輪の回転力を第1押出アーム、第2押出アームに伝達する構成のため、第1押出アーム等の配置の自由度が高くなる。
【0011】
請求項5の発明によると、荷台部は、同期台車本体部に対して昇降可能な構成であり、移動機構は、転動車輪の回転力により回転する回転部材と、その回転部材の回転動作を昇降動作に変換する動作変換部材とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、同期台車の荷台部を待機位置と使用位置間で移動させるためのアクチュエータが不要になるため、そのアクチュエータ用の電源や空気圧源等が不要になり、ランニングコストが掛からなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る同期台車の全体斜視図である。
【図2】前記同期台車の動作を表す全体平面図である。
【図3】前記同期台車の移動機構の動作原理を表す模式図である。
【図4】前記同期台車のクラッチ機構とクラッチ解除機構とを表す模式図である。
【図5】前記同期台車のロック機構とロック解除機構とを表す模式図(A図、B図)である。
【図6】同期台車の戻り機構を表す模式側面図である。
【図7】同期台車の動作を表すフローチャートである。
【図8】変更例に係る同期台車を表す模式正面図、模式側面図である。
【図9】従来の同期台車を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態1]
以下、図1から図8に基づいて本発明の実施形態1に係る同期台車について説明する。本実施形態に係る同期台車は、車両組立ラインにおいて車両を搬送するコンベヤと同期して走行可能な台車である。
なお、図中の前後左右及び上下は、コンベヤの前後左右及び上下に対応している。
【0015】
<車両組立ラインの概要について>
同期台車20について説明する前に、先ず、車両組立ラインの概要について簡単に説明する。
車両組立ラインには、図1、図2に示すように、スラットコンベヤ10(以下、コンベヤ10という)が設けられている。コンベヤ10は、床状の車両搬送部12を備えており、その車両搬送部12上に車両Wを載せて定速で搬送できるように構成されている。また、車両組立ラインには、コンベヤ10を挟んで両側に作業床Fが設けられている。そして、コンベヤ10の進行方向右側の作業床F上に、コンベヤ10の車両搬送部12(以下、コンベヤ10という)と共に走行(前進)可能な同期台車20が設けられている。
【0016】
<同期台車20の概要について>
同期台車20は、コンベヤ10により搬送されている車両Wに対して作業員が部品を組付ける際に使用される部品搬送用の台車であり、同期台車本体部22と部品台車30とから構成されている。
同期台車本体部22は、コンベヤ10に連結されることで、そのコンベヤ10の力を受けて作業床F上を前進する台車であり、パイプ状部材により略角形に組立られたフレーム22fを備えている。そして、前記フレーム22fの下部四隅に走行用の車輪23が設けられている。さらに、フレーム22fの左側中央下部には、コンベヤ10側に張り出す横腕部22aが設けられており、その横腕部22aの先端下側に補助輪23sが設けられている。
同期台車本体部22は、コンベヤ10と共に前進しているときに部品台車30をコンベヤ10上の待機位置(同期台車本体部22側)から使用位置(車両W側)までコンベヤ10の幅方向に移動させられるように構成されている。
同期台車本体部22には、その同期台車本体部22とコンベヤ10とを連結する連結機構40と、部品台車30を待機位置から使用位置まで移動させる移動機構50と、その移動機構50の駆動源となる転動車輪25、及びクラッチ機構60と、前記部品台車30を使用位置から待機位置まで戻す戻し機構70等とが設けられている。
即ち、部品台車30が本発明の荷台部に相当する。
【0017】
<連結機構40について>
同期台車本体部22のフレーム22fには、図1に示すように、前部左側の下部に、コンベヤ10側に張り出すように形成された角形枠部22wが設けられており、その角形枠部22wの下側に連結機構40が取付けられている。
連結機構40は、コンベヤ10の上面に円板状の面接触部材41を押し付けることで、コンベヤ10と同期台車本体部22とを連結する機構である。連結機構40は、面接触部材41をバネ力に抗してコンベヤ10の上面に押し付け、その位置にロックするペダル部43と、そのペダル部43が足踏み操作されたときの動作を後記するクラッチ機構60に伝えるクラッチ動作ぺダル43a及びワイヤ部材45と、前記ペダル部43のロック状態を解除する連結解除バー47とから構成されている。連結解除バー47は、起立状態に保持されて、下端部がペダル部43に連結されている。そして、前記連結解除バー47の上端部に対して部品台車30が使用位置から待機位置まで戻される際に当接することで、前記連結解除バー47の下端部がペダル部43に対して回動し、そのペダル部43のロック状態が解除される。これにより、連結機構40の面接触部材41がバネ力でコンベヤ10の上面から離れ、そのコンベヤ10と同期台車本体部22との連結が解除される。
【0018】
<転動車輪25について>
同期台車本体部22のフレーム22fには、四隅の走行用の車輪23に囲まれた位置に転動車輪25が設けられている。転動車輪25は走行用の車輪23と共に同期台車本体部22を支える車輪であり、その転動車輪25の外周面が作業床Fに対して滑らないように構成されている。このため、同期台車本体部22がコンベヤ10の力で前進することにより、前記転動車輪25は作業床F上を転動するようになる。
【0019】
<クラッチ機構60について>
クラッチ機構60は、転動車輪25の回転力を後記する移動機構50に伝達する機構であり、後記するクラッチ解除機構68の動作を受けて移動機構50に対する前記回転力の伝達を解除できるように構成されている。
クラッチ機構60は、図3、図4に示すように、出力ローラ62と、伝達ローラ64と、その伝達ローラ64を回転力伝達位置と回転力伝達解除位置間で前後移動させるガイド機構65、及びトグル機構66とから構成されている。
出力ローラ62は、図3に示すように、移動機構50の駆動リール51と同軸に連結されて、その駆動リール51と一体で回転可能に構成されており、転動車輪25と互いの軸心が平行な状態で、その転動車輪25の真上位置に配置されている。
伝達ローラ64は、転動車輪25の回転力を出力ローラ62に伝達するためのローラであり、前記転動車輪25、及び出力ローラ62と軸心が平行な状態で、その出力ローラ62と転動車輪25との中間高さ位置に配置されている。
【0020】
伝達ローラ64は、図4に示すように、ガイド機構65を構成する可動板部65bの前端位置に回転自在な状態で取付けられている。可動板部65bは縦向きに配置された角形の厚板であり、その上端位置に円筒部65eが前後方向に延びるように形成されている。また、同期台車本体部22のフレーム22fには、ガイド機構65を構成するガイドピン65pが前後方向に延びるように設けられており、そのガイドピン65pが前記可動板部65bの円筒部65eに挿通されている。
さらに、同期台車本体部22のフレーム22fには、可動板部65bの後方に固定板部67が取付けられており、その固定板部67と可動板部65bとの間にトグル機構66が設けられている。トグル機構66は、可動板部65bに上下回動可能な状態で連結された第1リンク661と、固定板部67に上下回動可能な状態で連結された第2リンク662から構成されている。そして、第1リンク661のほぼ中央位置に形成された貫通穴661hに、第2リンク662の先端に形成された連結ピン662pが挿通されて、第1リンク661の中央部と第2リンク662の先端部とが上下回動可能な状態で連結されている。
【0021】
また、固定板部67と可動板部65bとの間には、その可動板部65bを後方に引っ張るように付勢されたバネが設けられている。このため、クラッチ機構60に外力が加わっていない状態では、前記バネ力により可動板部65bが後方に引っ張られ、第1リンク661と第2リンク662とがV字形の状態に保持される。即ち、伝達ローラ64と可動板部65bとが後退限位置(回転力伝達解除位置)に保持されて、伝達ローラ64は出力ローラ62と転動車輪25とから離れるようになる。
トグル機構66の第1リンク661の先端部には、図4に示すように、上記した連結機構40のワイヤ部材45のワイヤ45wが連結されている。そして、連結機構40のペダル部43を足踏み操作するときに、同時にクラッチ動作ペダル43aを踏み操作することで、そのクラッチ動作ペダル43aに連結されているワイヤ45wが引っ張られ、トグル機構66の第1リンク661の先端が上方に引き上げられる。これにより、第1リンク661と共に第2リンク662が上方に回動し、可動板部65bがトグル機構66によって前記バネ力に抗して前方に押し出される。そして、第1リンク661と第2リンク662とが一直線上に並ぶ位置まで上方に回動した状態で(点線参照)、可動板部65bと伝達ローラ64が前進限位置(回転力伝達位置)に保持されて、その伝達ローラ64の外周面が転動車輪25と出力ローラ62との外周面に押し付けられる。この結果、転動車輪25の回転力が伝達ローラ64を介して出力ローラ62に伝わるようになる。
【0022】
<移動機構50について>
移動機構50は、部品台車30を同期台車本体部22に当接する待機位置から車両Wに接近する使用位置までコンベヤ10の幅方向に押出す機構である。移動機構50は、図3等に示すように、第1押出アーム55と、第2押出アーム56と、それらの押出アーム55,56を上下回動させる駆動リール51、支点滑車52、巻取滑車53、動滑車54と、駆動リール51等に掛けられる糸50w等とから構成されている。
第1押出アーム55は、図1、図3等に示すように、直線状のアーム本体55sと、そのアーム本体55sの基端部に直角に連結されたL形アーム部55xとにより略Z字形に成形されている。そして、第1押出アーム55のアーム本体55sとL形アーム部55xとの境界位置に円筒形の軸受部55cがアーム本体55s等の軸心に対して直角に設けられている。
同期台車本体部22のフレーム22fには、第1押出アーム55の回動中心となる支持軸22jがそのフレーム22fの左側上部に前後方向に延びるように設けられている。そして、フレーム22fの支持軸22jが第1押出アーム55の軸受部55cに通されている。
【0023】
第1押出アーム55のアーム本体55sの先端部55mは、直線状の第2押出アーム56の先端部56mに上下回動可能な状態で連結されており、その第2押出アーム56の基端部56cが部品台車30の端部に上下回動可能な状態で連結されている。
そして、第1押出アーム55のアーム本体55sと第2押出アーム56とが、図3に示すように、起立して折り畳まれた状態で、部品台車30は同期台車本体部22に当接する待機位置に保持されている。また、第1押出アーム55が図3に示す状態から同期台車本体部22のフレーム22fの支持軸22jを中心に左回転すると、第1押出アーム55のアーム本体55sと第2押出アーム56とが折り畳み状態から徐々に展開するようになる。そして、第1押出アーム55と第2押出アーム56とが展開するにつれて、部品台車30が両押出アーム55,56に押されてコンベヤ10の中央方向(使用位置方向)に移動するようになる(図3 二点鎖線参照)。
【0024】
第1押出アーム55のL形アーム部55xの先端には、図3に示すように、一対の動滑車54がその第1押出アーム55の回動方向に沿うように取付けられている。一対の動滑車54は、第1動滑車54aと第2動滑車54bとからなり、第1動滑車54aと第2動滑車54bとが同軸に連結された状態で一体回転可能に構成されている。なお、図3では、滑車に対する糸50wの掛かり状態を分かり易く表すため、第1動滑車54aと第2動滑車54bとを並べて記載している。
また、同期台車本体部22の所定位置には、前述の駆動リール51と、一対の支点滑車52と、一対の巻取滑車53がそれぞれ所定位置に取付けられている。
駆動リール51は、上記したように、クラッチ機構60の出力ローラ62が同軸に連結される滑車であり、転動車輪25の回転力を受けて回転可能なように構成されている。なお、図3では図を分かり易くするため駆動リール51と出力ローラ62とを並べて記載している。
【0025】
支点滑車52は、第1押出アーム55の動滑車54(第1動滑車54a)を引っ張る際の支点となる滑車で、第1押出アーム55の動滑車54における移動軌跡の延長線上に配置されている。支点滑車52は、第1支点滑車52aと第2支点滑車52bとからなり、第1支点滑車52aと第2支点滑車52bとが同軸に連結された状態で一体回転可能に構成されている。
巻取滑車53は、糸50wが弛まないように掛けられる滑車で、同期台車本体部22の上部に配置されている。巻取滑車53は、第1巻取滑車53aと第2巻取滑車53bとからなり、第1巻取滑車53aと第2巻取滑車53bとが同軸に連結された状態で一体回転可能に構成されている。
【0026】
第1押出アーム55の第1動滑車54aには、図3に示すように、糸50wが掛けられており、その糸50wの一端が第1引き止め部50xの開口に通された後、重り54zに接続されている。ここで、第1引き止め部50xの開口は、支点滑車52の近傍に設けられている。
また、第1動滑車54aに掛けられた糸50wの他端側は、第1支点滑車52a、駆動リール51、第2支点滑車52b、第1巻取滑車53aに掛けられた後、第1押出アーム55の第2動滑車54bに掛けられる。そして、第2動滑車54bから第2巻取滑車53bに掛けられた後の糸50wの他端側が、第2引き止め部50yの開口に通され、重り54wに接続されている。
上記構成により、転動車輪25の回転力で駆動リール51が図3の矢印方向(右回転方向)に回転すると、糸50wが矢印方向に移動して、その糸50wの一端側(重り54z側)が上昇し、糸50wの他端側(重り54w側)が下降するようになる。そして、糸50wの一端側の上昇により、その糸50wの一端側が重り54zを介して第1引き止め部50xに掛けられた状態から引き続き駆動リール51が回転すると、第1動滑車54aが糸50wの張力で第1支点滑車52aと第1引き止め部50xの方向に引っ張られるようになる。この結果、第1押出アーム55が図3に示す状態から支持軸22jを中心に左回転し、第1押出アーム55のアーム本体55sと第2押出アーム56とが徐々に展開するようになる(二点鎖線参照)。
そして、第1押出アーム55と第2押出アーム56とが、図5に示すように、完全に展開すると、ロック機構58の働きで第1押出アーム55と第2押出アームとが展開状態に保持される。即ち、部品台車30が車両Wに接近する使用位置に保持されるようになる。
さらに、第1押出アーム55と第2押出アームとが展開することでクラッチ解除機構68(図4参照)が動作するようになる。
ここで、前記糸50wには、ナイロンワイヤが好適に使用される。
【0027】
<ロック機構58、ロック解除機構59について>
ロック機構58は、図5(A)(B)に示すように、展開位置まで左回動(下回動)した第1押出アーム55のL形アーム部55xの水平部550における回動自由端側端面551の角部を横方向から押さえることで、第1押出アーム55、第2押出アーム56を展開状態に保持する機構である。ロック機構58は、L形アーム部55xの水平部550の回動自由端側端面551を横方向から押さえる横棒部58bと、その横棒部58bの先端近傍位置を上下回動可能な状態でフレーム22fの支持材(図示省略)に連結する連結ピン58pとから構成されている。前記横棒部58bの先端部分には、L形アーム部55xの水平部550の回動自由端側端面551を横方向から押さえることでL形アーム部55xの水平部550と係合する略楔形の押え部58sが形成されている。そして、横棒部58bの押え部58sがL形アーム部55xの水平部550に係合することで、第1押出アーム55の右回動(上回動)が禁止され、第1押出アーム55と第2押出アーム56は、図5(A)に示す展開状態に保持される。
ここで、横棒部58bの押え部58sは、図5(B)に示すように、その横棒部58bがほぼ水平の状態でL形アーム部55xの水平部550と係合し、水平の状態から上方に回動(右回動)することで(点線参照)、そのL形アーム部55xの水平部550から外れるように構成されている。
【0028】
ロック機構58の横棒部58bの途中位置には、図5(B)に示すように、上下方向に貫通孔58kが形成されており、その貫通孔58kにロック解除機構59のナイロンワイヤ59hが通されている。そして、ナイロンワイヤ59hの先端に横棒部58bに対して下方から掛けられる重り59wが接続されている。
ロック解除機構59は、部品台車30の位置で、ロック機構58のロック状態を解除するための機構であり、前述のナイロンワイヤ59hと、そのナイロンワイヤ59hを覆うチューブ59tとを備えている。そして、ナイロンワイヤ59hとチューブ59tとが第1押出アーム55のアーム本体55sと第2押出アーム56とに沿わされている。チューブ59tの一端側は同期台車本体部22の上部所定位置に固定されており、そのチューブ59tの他端側は部品台車30の所定位置に固定されている。そして、部品台車30側のチューブ59tの端部から一定寸法だけナイロンワイヤ59hが外部に露出している。これにより、部品台車30側のナイロンワイヤ59hの露出部分を引っ張ることで、同期台車本体部22側のナイロンワイヤ59hの重り59wが上方に移動する。これにより、重り59wがロック機構58の横棒部58bを引き上げ、その横棒部58bが連結ピン58pを中心に図5(B)において右回動する。この結果、横棒部58bの押え部58sが第1押出アーム55のL形アーム部55xの水平部550から外れてロック状態が解除される。
【0029】
<クラッチ解除機構68について>
クラッチ解除機構68は、図5(A)に示すように、展開位置まで左回動(下回動)した第1押出アーム55のL形アーム部55xの下回動動作を受けて、移動機構50に対する転動車輪25の回転力の伝達を解除する機構、即ち、クラッチ機構60をオフ動作させる機構である。
クラッチ解除機構68は、図4に示すように、第1押出アーム55のL形アーム部55x(水平部550)の下回動動作を下方から受ける横向きの荷重受けバー68yを備えている。そして、荷重受けバー68yの基端部が連結ピン68cによって上下回動可能な状態で同期台車本体部22のフレーム側支持部材69に連結されている。また、荷重受けバー68yの略中央位置には、縦棒部68zの上端が回動可能な状態で連結されている。そして、縦棒部68zの下端部がクラッチ機構60の第1リンク661の先端部を下方に押圧できるように構成されている。
このため、第1押出アーム55と第2押出アーム56の展開時に、その第1押出アーム55のL形アーム部55xが下回動して、図4に示すように、クラッチ解除機構68の荷重受けバー68yを押し下げると、荷重受けバー68yが下回動(一点鎖線参照)して縦棒部68zを押し下げ、その縦棒部68zの下端部がクラッチ機構60の第1リンク661の先端部を下方に押圧する。これにより、クラッチ機構60のトグル機構66が略V字形に折れ曲がり、伝達ローラ64がバネ力で後退して転動車輪25と出力ローラ62から離れるようになる。
即ち、第1押出アーム55と第2押出アーム56との展開後は、転動車輪25の回転力が移動機構50に加わらなくなる。
【0030】
<戻し機構70について>
同期台車本体部22には、前記移動機構50によって待機位置から使用位置まで押出された部品台車30を使用位置から待機位置まで引き戻すための戻し機構70が設けられている。
戻し機構70は、図6に示すように、同期台車本体部22の前側上部に設けられた左右方向に延びる支持金具71と、その支持金具71の左端(図6では紙面右側)に固定された固定滑車72と、重り73w付きの動滑車73と、一端が同期台車本体部22の支持金具71の右端に接続され、他端が部品台車30の前面上部右側に接続されて、途中が固定滑車72、動滑車73に掛けられた糸70wとから構成されている。これにより、前記糸70wには、常に、動滑車73の重り73wに起因する張力が加わっている。
このため、部品台車30は、移動機構50の第1押出アーム55と第2押出アーム56とが展開する際に、戻し機構70の糸70wの張力に抗して待機位置から使用位置まで押出されるようになる。即ち、部品台車30が待機位置から使用位置まで押出される際に、部品台車30の戻り方向の移動エネルギーが重り73wの位置エネルギーとして蓄えられるようになる。そして、ロック解除機構59の働きにより、第1押出アーム55と第2押出アーム56との展開ロック状態が解除されると、部品台車30は第1押出アーム55と第2押出アーム56が自重で下がろうとする力と、戻し機構70の糸70wの張力によって待機位置まで戻されるようになる。
【0031】
<台車戻り機構80について>
同期台車本体部22の右側面(部品台車30と反対側)には、図2に示すように、台車戻り機構80が設けられている。台車戻り機構80は、同期台車20がコンベヤ10に連結されて前進限位置まで移動し、そのコンベヤ10との連結が解除された後に、その同期台車20を原点位置Gまで引き戻すための機構である。
台車戻り機構80は、ワイヤー81と、そのワイヤー81をバネ力で巻き取るためのドラム83とから構成されている。そして、前記ワイヤー81の先端に原点位置Gの引き止め金具(図示省略)に掛けられるフック(図示省略)が設けられている。このため、フックが引き止め金具に掛けられた状態で、同期台車本体部22と部品台車30とがコンベヤ10の力で前進すると、ワイヤー81がバネ力に抗してドラム83から引き出される。そして、前進限位置で同期台車本体部22とコンベヤ10との連結が解除されると、ワイヤー81がバネ力でドラム83に巻き取られることで、同期台車本体部22と部品台車30とが原点位置Gまで引き戻される。
【0032】
<同期台車20の動作について>
次に、図7に示すフローチャートに基づいて、本実施形態に係る同期台車20の動作について説明する。
先ず、同期台車20(同期台車本体部22と部品台車30)は、図2の上図に示すように、原点位置Gに保持されて台車戻り機構80のワイヤー81のフック(図示省略)が引き止め金具(図示省略)に掛けられている。なお、同期台車本体部22は作業床F上に配置されており、部品台車30はコンベヤ10上に配置されている。
この状態で、作業者が同期台車本体部22の連結機構40のペダル部43を足踏み操作すると面接触部材41がコンベヤ10の上面に押し付けられ、同期台車本体部22とコンベヤ10とが連結される。これにより、同期台車本体部22と部品台車30は、コンベヤ10と共に前進し、台車戻り機構80のワイヤー81がバネ力に抗してドラム83から引き出される。さらに、連結機構40のペダル部43と共にクラッチ動作ぺダル43aが足踏み操作されることで、この動作がワイヤ部材45によってクラッチ機構60に伝えられる。これにより、クラッチ機構60の伝達ローラ64がトグル機構66とガイド機構65の働きで前進し(図4参照)、その伝達ローラ64の外周面が転動車輪25と出力ローラ62の外周面に押し付けられる。即ち、クラッチ機構60がオン動作する(図7 ステップS101、S102参照)。
【0033】
これにより、同期台車本体部22がコンベヤ10の力で作業床F上を前進し、図3に示すように、転動車輪25が矢印方向に回転すると、その転動車輪25の回転力が伝達ローラ64、出力ローラ62を介して移動機構50の駆動リール51に伝達される(図7 ステップS103)。そして、移動機構50の駆動リール51が矢印方向に回転することで、第1動滑車54aが糸50wの張力で第1支点滑車52aと第1引き止め部50xの方向に引っ張られるようになる(図3白矢印参照)。この結果、第1押出アーム55が図3に示す状態から支持軸22jを中心に左回転し、第1押出アーム55のアーム本体55sと第2押出アーム56とが徐々に展開する(二点鎖線参照)。これにより、部品台車30が戻し機構70の糸70wの張力に抗して第1押出アーム55と第2押出アーム56とに押されて待機位置から車両Wの方向(使用位置方向)に移動する(図2 中央図参照 図7 ステップS104)。そして、第1押出アーム55と第2押出アーム56とが完全に展開した状態で、図4に示すように、第1押出アーム55のL形アーム部55xがクラッチ解除機構68の荷重受けバー68yを押し下げ、クラッチ解除機構68の縦棒部68zがクラッチ機構60の第1リンク661の先端部を下方に押圧する。これにより、伝達ローラ64がバネ力で転動車輪25と出力ローラ62から離れ、転動車輪25の回転力が移動機構50に加わらなくなる(ステップS105、ステップS106)。そして、第1押出アーム55と第2押出アーム56とが完全に展開した状態で、部品台車30が使用位置に到達する。さらに、第1押出アーム55と第2押出アーム56とがロック機構58により展開状態に保持される(図7 ステップS107)。即ち、図5(B)に示すように、第1押出アーム55のL形アーム部55xの水平部550に対してロック機構58の横棒部58bの押え部58sが係合するようになる。
【0034】
この状態で、部品台車30が使用位置に保持され、その部品台車30上の部品を効率的に車両Wに組付けられるようになる。このようにして、部品の組付け作業が終了すると(図7 ステップS108 YES)、部品台車30側のロック解除機構59のナイロンワイヤ59hが引き操作される。これにより、図5(B)の点線に示すように、ロック機構58の横棒部58bがナイロンワイヤ59hに引っ張られて連結ピン58pを中心に右回動し、ロック状態が解除される(図7 ステップS109)。
これにより、部品台車30は戻し機構70の糸70wの張力(動滑車73の重り73wの重量)で同期台車本体部22の方向(待機位置の方向)に引っ張られる(図7 ステップS110)。そして、部品台車30が待機位置まで戻される過程で移動機構50の第1押出アーム55と第2押出アーム56とが、図3に示すように、折り畳まれる。このとき、移動機構50の糸50w、及び駆動リール51、支点滑車52、巻取滑車53、動滑車54は矢印と逆方向に動作するようになる。
このようにして、部品台車30が待機位置まで戻されると(図2の下図参照 図7 ステップS111 YES)、部品台車30が連結機構40の連結解除バー47の上端部に当接してコンベヤ10と同期台車本体部22との連結が解除される(図7 ステップS112)。そして、コンベヤ10と同期台車本体部22との連結が解除されることで、台車戻り機構80のワイヤー81がバネ力でドラム83に巻き取られ、同期台車本体部22と部品台車30は原点位置Gまで引き戻される。
【0035】
<本実施形態に係る同期台車20の長所について>
本実施形態に係る同期台車20によると、同期台車本体部22がコンベヤ10に連結されて、そのコンベヤ10の力で前進することで、転動車輪25が回転する。そして、転動車輪25の回転力がクラッチ機構60によって移動機構50に伝達されると、その移動機構50が部品台車30を待機位置から使用位置まで移動させる。
即ち、コンベヤ10が同期台車本体部22を前進させる力が転動車輪25を介して移動機構50に伝えられ、部品台車30を待機位置から使用位置まで移動させる。このため、部品台車30を待機位置から使用位置まで移動させるためのアクチュエータが不要になる。
また、部品台車30が待機位置から使用位置まで押出される動作により、戻し機構70が部品台車30の戻り方向の移動エネルギーを蓄える。そして、クラッチ機構60が回転力の伝達を解除しているときに、部品台車30が戻り方向の移動エネルギーによって待機位置まで戻されるようになる。このため、部品台車30を使用位置から待機位置まで戻すためのアクチュエータが不要になる。
したがって、前記アクチュエータ用の電源や空気圧源等が不要になり、ランニングコストが掛からなくなる。
【0036】
また、部品台車30が待機位置から使用位置まで移動した後は、クラッチ解除機構68によりクラッチ機構60が回転力の伝達解除方向に動作し、部品台車30はロック機構58の働きで使用位置にロックされる。したがって、部品台車30が使用位置まで移動した後に転動車輪25の回転力が移動機構50に加わることがなくなる。さらに、ロック機構58の働きにより、クラッチ機構60が回転力の伝達解除方向に動作しても、部品台車30が戻し機構70の移動エネルギーで待機位置まで戻ることがない。
なお、ロック解除機構59によりロック機構58のロック状態を解除することで、戻し機構70の移動エネルギーにより部品台車30を待機位置まで戻すことができる。
さらに、戻し機構70によって、部品台車30が待機位置まで戻される動作によってコンベヤ10と同期台車本体部22との連結が解除される構成であるため、コンベヤ10と同期台車本体部22との連結解除操作が不用になる。
【0037】
<変更例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、同期台車本体部22の転動車輪25の回転力を利用して、部品台車30を待機位置と使用位置間でコンベヤ10の幅方向に移動させる例を示した。しかし、図8に示すように、同期台車本体部22の転動車輪25の回転力を利用して、荷台部94を昇降させる構成でも可能である。即ち、図8に示す同期台車90は、同期台車本体部22に対して昇降可能な荷台部94を備えている。そして、同期台車本体部22には、クラッチ機構60の出力ローラ62の回転力を受ける受けローラ92が設けられている。そして、受けローラ92と同軸にピニオンギヤ92pが一体回転可能に取付けられている。ピニオンギヤ92pは縦ラック93と噛合しており、その縦ラック93の上端部が前記荷台部94に連結されている。
【0038】
即ち、同期台車本体部22が前進して転動車輪25が矢印方向に回転すると、転動車輪25の回転力がクラッチ機構60を介して受けローラ92とピニオンギヤ92pに伝達され、受けローラ92とピニオンギヤ92pとが矢印方向に回転する。これにより、ピニオンギヤ92pと縦ラック93との噛合作用で、その縦ラック93が上方に移動し、荷台部94は上昇するようになる。
さらに、荷台部94の天井部94uには動滑車95が取付けられており、その動滑車95に糸90wが掛けられている。そして、その糸90wの一端が同期台車本体部22に接続されており、前記糸90wの他端側に重り96が接続されている。このため、ピニオンギヤ92pと縦ラック93との噛合作用で荷台部94が上昇する際に、重り96も荷台部94と共に上昇するようになる。
そして、クラッチ機構60の回転力伝達機能が解除(オフ動作)されると、荷台部94は重り96の重量により下降して元の位置(待機位置)まで戻されるようになる。
即ち、縦ラック93とピニオンギヤ92pとが本発明の動作変換部材に相当する。
【符号の説明】
【0039】
10・・・・スラットコンベヤ(コンベヤ)
20・・・・同期台車
22・・・・同期台車本体部
25・・・・転動車輪
30・・・・部品台車(荷台部)
40・・・・連結機構
50・・・・移動機構
50w・・・糸
50x・・・引き止め部
51・・・・駆動リール
52・・・・支点滑車
53・・・・巻取滑車
54・・・・動滑車
55・・・・第1押出アーム
56・・・・第2押出アーム
58・・・・ロック機構
59・・・・ロック解除機構
60・・・・クラッチ機構
68・・・・クラッチ解除機構
70・・・・戻し機構
92p・・・ピニオンギヤ(動作変換部材)
93・・・・縦ラック(動作変換部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載せて搬送するコンベヤに連結されて、そのコンベヤと共に前進可能に構成された同期台車本体部と、その同期台車本体部に対して移動可能に構成された荷台部とを備える同期台車であって、
前記コンベヤの力で前記同期台車本体部が前進する際に、その同期台車本体部の前進により回転する転動車輪と、
前記同期台車本体部に設けられ、前記転動車輪の回転力を駆動源として前記荷台部を待機位置から使用位置まで移動させる移動機構と、
前記転動車輪の回転力を前記移動機構に伝達し、あるいは前記回転力の伝達を解除できるクラッチ機構と、
前記荷台部が待機位置から使用位置まで移動する際に、前記荷台部の戻り方向の移動エネルギーを蓄え、前記クラッチ機構が前記回転力の伝達を解除しているときに、前記戻り方向の移動エネルギーによって前記荷台部を前記待機位置まで戻すことが可能な戻し機構と、
を有することを特徴とする同期台車。
【請求項2】
請求項1に記載された同期台車であって、
前記移動機構が前記荷台部を待機位置から使用位置まで移動させたときに、前記クラッチ機構を回転力伝達解除方向に動作させるクラッチ解除機構と、
前記荷台部を前記戻し機構の移動エネルギーに抗して前記使用位置にロックするロック機構と、
前記ロック機構のロック状態を解除するロック解除機構と、
を有することを特徴とする同期台車。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された同期台車であって、
前記戻り機構によって、前記荷台部が待機位置まで戻される動作によって前記コンベヤと同期台車本体部との連結が解除される構成であることを特徴とする同期台車。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された同期台車であって、
前記荷台部は、コンベヤ上をそのコンベヤの幅方向に移動可能な部品台車であり、
前記移動機構は、前記同期台車本体部に途中位置が上下回動可能な状態で連結された第1押出アームと、その第1押出アームの先端部に一端部が上下回動可能な状態で連結されて、他端部が前記部品台車に上下回動可能な状態で連結されている第2押出アームと、前記第1押出アームの基端部に設けられた動滑車と、前記同期台車本体部に取付けられて、前記転動車輪の回転力を受けて回転可能な駆動リールと、その駆動リールと前記動滑車に掛けられて、端部が前記同期台車本体部の引き止め部に引き止め可能に構成された糸と有し、
前記転動車輪の回転力により前記駆動リールが回転すると、その駆動リールと前記同期台車本体部の引き止め部間で糸が引っ張られて前記動滑車が前記駆動リールの方向に移動し、前記第1押出アームと第2押出アームが起立した折り畳み状態から水平な展開状態まで上方に回動して、前記部品台車が待機位置から使用位置まで押出される構成であることを特徴とする同期台車。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された同期台車であって、
前記荷台部は、同期台車本体部に対して昇降可能な構成であり、
前記移動機構は、前記転動車輪の回転力により回転する回転部材と、その回転部材の回転動作を昇降動作に変換する動作変換部材とを備えていることを特徴とする同期台車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−23328(P2013−23328A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159034(P2011−159034)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】