説明

同軸コネクタ

【課題】相手コネクタとの嵌合時における軸方向及び径方向におけるズレを修正できるとともに、小型の同軸コネクタを提供すること。
【解決手段】固定組立体と、軸方向及びこの軸方向と直行する径方向に可動な可動組立体からなる。固定組立体は、固定側内部導体と、可動組立体を可動に保持するフローティング部材と、固定側内部導体とフローティング部材を絶縁する固定側絶縁部材と、フローティング部材に保持された可動組立体を、相手コネクタに向けて付勢する付勢部材を有する。可動組立体は、可動側内部導体と、可動側外部導体と、可動側内部導体と可動側外部導体を絶縁する可動側絶縁部材を有する。可動側内部導体は、第一中継端子と、これと電気的に接続し、第一中継端子の収容部に収容されて固定側内部導体に接触する接触部を備えた第二中継端子と、第二中継端子を固定側内部導体に向けて付勢する付勢部材を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸コネクタ、更に言えば、フローティング機構を備えた同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸コネクタは、パネルや基板等といった取付対象に取り付けられて用いられることがある。同軸コネクタは、内部導体と外部導体とを備えて成るが、相手コネクタとの嵌合時には内部導体及び外部導体の両方が適切に嵌合されることが必要とされる。
【0003】
しかしながら、例えば、相互に嵌合される同軸コネクタの双方が基板に固定されているような場合、これらの同軸コネクタ間において、軸方向(嵌合離脱方向)またはこの軸方向と直交する径方向においてズレが生じることがあり、このズレのために適切な接続ができないことがあった。嵌合時に同軸コネクタ間の適切な接続を得るには、このようなズレを修正する必要がある。例えば、特開2003−123914号には、軸方向及び径方向におけるズレを修正しつつ嵌合離脱可能な同軸コネクタが開示されている。この公報に開示された同軸コネクタでは、パネルに取り付けるためのネジ孔が構成されたフランジ部を有し、このフランジ部のネジ孔の内径と固定ネジの外径とに隙間を設けることで径方向のフローティング機構を構成し、外部導体内に配設したコイルバネにより軸方向のフローティング機構を構成している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−123914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の同軸コネクタは、軸方向及び径方向でのズレを修正できるものの、軸方向にフローティングした場合には、コネクタ全体がパネルに対して軸方向に変位してしまう(パネルより内側に入り込む)ためパネル内部にその変位を許容するためのスペースが必要であり、またその変位のために内部導体を直接に基板に接続することができず、このため、実質的にケーブルの末端に内部導体を取り付ける必要があった。また、径方向のフローティングを可能とするための隙間が設けられているため、その隙間を許容するだけの大きさを備えたフランジが必要となり、コネクタが全体として大型化していた。本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、相手コネクタとの嵌合時における軸方向及び径方向におけるズレを修正できるとともに、小型の同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、取付対象に取り付けられ、該取付対象に対して固定される固定組立体と、該固定組立体に対し、相手コネクタと嵌合離脱する軸方向及びこの軸方向と直交する径方向に可動な可動組立体とからなる同軸コネクタであって;前記固定組立体は、固定側内部導体と、前記取付対象に取り付けられ、前記可動組立体を軸方向及び径方向に可動に保持する固定保持部材と、前記固定側内部導体と前記固定保持部材とを絶縁する固定側絶縁部材と、前記固定保持部材に保持された前記可動組立体を、相手コネクタに向けて付勢する第一付勢部材とを有し;前記可動組立体は、可動側内部導体と、可動側外部導体と、前記可動側内部導体と前記可動側外部導体とを絶縁する可動側絶縁部材とを有しており;前記可動側内部導体は、第一中継端子と、前記第一中継端子と電気的に接続し、当該第一中継端子の収容部に収容されて前記固定側内部導体に接触する接触部を備えた第二中継端子と、前記第二中継端子を前記固定側内部導体に向けて付勢する第二付勢部材とを有する同軸コネクタを特徴としている。
【0007】
上記同軸コネクタにおいて、前記固定側内部導体は前記第二中継端子の接触部が摺動する摺接面を備えていて、この摺接面の径方向における半径が、前記第二中継端子の接触部の径方向の半径と当該可動組立体の径方向での可動量との和より大きくなるように構成されていてもよい。
【0008】
上記同軸コネクタにおいて、前記第二付勢部材は、前記第一中継端子の収容部の内壁に沿って配されたコイルバネであり、前記第二中継端子は、前記コイルバネの内部に収容される凸部と、前記コイルバネの付勢力を受けるフランジ部と前記接触部を有する本体部と、を備えていてもよい。
【0009】
上記同軸コネクタにおいて、前記第一中継端子の収容部の内壁と前記第二中継端子の本体部の外周面とが接触することにより、前記第一中継端子と前記第二中継端子とが電気的に接続するようになっていてもよい。
【0010】
上記同軸コネクタにおいて、前記可動側外部導体は、相手コネクタと嵌合する外郭部材と、前記第一付勢部材と接触するように配され、前記外郭部材に組み付けられる内郭部材と、前記外郭部材と前記内郭部材とを軸方向で離間するように付勢する第三付勢部材とを有していてもよい。
【0011】
上記同軸コネクタにおいて、前記第三付勢部材はコイルバネであり、前記外郭部材と前記内郭部材とは、それぞれ、前記コイルバネの付勢力を受けるフランジ部を備えていてもよい。
【0012】
上記同軸コネクタにおいて、前記第一付勢部材は板バネであり、前記固定保持部材に、前記板バネを保持する固定側保持部材が取り付けられていてもよい。
【0013】
上記同軸コネクタにおいて、前記第一中継端子は前記可動側絶縁部材に対して、前記固定側内部導体は前記固定側絶縁部材に対して係止するための係止凸部を備えていてもよい。
【0014】
上記同軸コネクタにおいて、前記固定保持部材は、取付対象に載置するフランジ部を備えており、このフランジ部に取付対象に取付けるための固定ネジが挿入される孔が構成されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な一実施形態による同軸コネクタを説明する。
【0016】
図1は、本発明の一例としての同軸コネクタ1の中心線半断面図、図2は、この同軸コネクタ1と相手コネクタ1’の接続状態を図1と同様の方法で示す図、図3、図4は、図1の部分拡大図である。
【0017】
本発明の同軸コネクタ1は、主に、可動組立体20と固定組立体60から成る。実際の使用時には、図2に示すように、固定組立体60を介して、基板90やパネル等の取付対象に固定して使用することができる。同軸コネクタ1と嵌合離脱され得る相手コネクタ1’は、従来一般のコネクタであってもよい。相手コネクタ1’は、例えば、内部導体161と、外部導体162、163、それらの間に配置される絶縁部材164から成る。この相手コネクタ1’も、本発明の同軸コネクタ1と同様に、基板90やパネル等の取付対象に固定して使用することができる。尚、相手コネクタ1’は、必ずしも従来一般のコネクタである必要はなく、本発明による同軸コネクタ1であってもよい。
【0018】
可動組立体20は固定組立体60に対して、可動状態で、更に言えば、相手コネクタ1’と嵌合離脱する軸方向及びこの軸方向と直交する径方向において可動状態で、取り付けてある。つまり、本発明による同軸コネクタ1は、フローティング機構を備える。この結果、例えば、基板90に固定した同軸コネクタ1と基板90’に固定した相手コネクタ1’を嵌合させる際に、それら基板間やコネクタ間にズレが生じてしまった場合であっても、そのようなズレを許容しつつ、それらコネクタをスムーズに接続させることができる。このような構造故、固定組立体60と基板90とを、従来よく行われているようにケーブル(図示されていない)等の可撓性部材で接続する必要はない。
【0019】
可動組立体20には、金属製の可動側内部導体29と、その周囲を取り巻くように配置された金属でできた略筒状の可動側外部導体51、更に、可動側内部導体29の嵌合離脱側において可動側内部導体29と可動側外部導体51の間に配置されて、それらを電気的に絶縁する樹脂製の可動側絶縁部材23が含まれる。
【0020】
可動側外部導体51は、嵌合離脱側から基板取付側にかけて延びる可動側外部導体(外郭部材)22と、この可動側外部導体22の基板取付側の内部において摺動可能な状態で組み付けられた内郭部材34と、可動側外部導体22の基板取付側の外部を取り巻くように配置された、例えば、コイルバネのような付勢手段50(第三付勢部材)を含む。可動側外部導体22の基板取付側は、固定側外部導体62の内部に形成された収容空間66に収容され、一方、嵌合離脱側は、固定側外部導体62の穴35を通じて外部に露出される。外部に露出された嵌合離脱側において、可動側外部導体22は相手コネクタ1’と嵌合される。可動組立体20が固定側外部導体62の穴35から抜け落ちないように、また、可動組立体20を径方向に可動とするため、可動側外部導体22の嵌合離脱側には、穴35よりも大きな径のフランジ部38が設けてある。これに対応して、内郭部材34の基板取付側には、フランジ部38の対向位置に、フランジ部39が設けてある。尚、内郭部材34の嵌合離脱側は、可動側外部導体22の内部に配置されて、その先端に設けた環状突出部36が可動側外部導体22の内壁49を軸方向に摺動するようになっている。
【0021】
可動側外部導体22のフランジ部38と内郭部材34のフランジ部39の間に付勢手段50が設置してある。付勢手段50は、可動側外部導体22と内郭部材34を軸方向において離間させるよう付勢する。図3に示すように、付勢手段50の働きにより、可動側外部導体22の端縁44とフランジ部39の上段部45の間には、可動側外部導体22に対する内郭部材34のフロートを可能とする軸方向の隙間「Δx1」が形成され得る。隙間「Δx1」は、可動側外部導体22に対する内郭部材34のフロートを可能とするものであり、また、隙間「Δx1」を設けたことにより、後述する環状板バネ67のみによって隙間「Δx2」を設けた場合に比べて、可動組立体20の固定組立体60に対するフロート量を大きくし、且つ、その力を強化することができる。つまり、ここでは、環状板バネ67によって形成され得る隙間「Δx2」だけでなく、付勢手段50によって形成され得る隙間「Δx1」も加えた「Δx1+Δx2」の距離だけ、可動組立体20は固定組立体60に対してフロートできる。この結果、例えば、同軸コネクタ1と相手コネクタ1’の嵌合時にコネクタ1の位置が軸方向や径方向にずれたとしても、そのようなズレをこれらの隙間によって吸収しつつ、コネクタ間接続を行わせることができる。また、ここでは、環状板バネ67に加えて付勢手段50を使用しているため、軸方向におけるフロート量を大きくするだけでなく、フランジ部39と環状板バネ67の間の接触安定性を高めることもできる。尚、付勢手段50は、可動側外部導体22の基板取付側の外部を取り巻くように配置されていることから、同軸コネクタ1の軸方向における長さを大型化させることはない。
【0022】
可動側内部導体29は、嵌合離脱側に設けた金属製の可動側中心導体(第一中継端子)21と、これと接続させた状態で基板取付側に設けた金属製の可動側接触導体(第二中継端子)28と、これら可動側中心導体21と可動側接触導体28を引き離す方向に付勢する金属製の付勢手段(第二付勢部材)26から成る。可動側中心導体21は、相手コネクタ1’の中心導体161(図2参照)と接続され、一方、可動側接触導体28は、固定組立体60の固定側内部導体61と電気的に接続される。従って、これら可動側中心導体21と可動側接触導体28を接続させることにより、これらを通じて、相手コネクタ1’の中心導体161とコネクタ1の固定側内部導体61が電気的に接続されることになる。可動側中心導体21は、嵌合離脱側の小径柱部24と基板取付側の大径柱部25から成る。小径柱部24の先端には、相手コネクタ1’の中心導体161の所定部分が挿入される窪み33が設けられており、また、この小径柱部24の中間付近に設けた係止凸部30によって、可動側中心導体21は、可動側絶縁部材23に係止され得る。一方、大径柱部25には、略中間位置から基板取付側の開口53に向かって4本のスリット54が等間隔で切られており、また、開口53を通じて可動側接触導体28を内部に収容させることができる収容部46が形成してある。スリット54は、開口53に向かって収容部46の内径が僅かに狭まるように設定されており、開口53付近で可動側接触導体28を所定の力で保持することができるようになっている。収容部46には、一端を収容部46の内壁面55に衝突させ他端を可動側接触導体28の所定位置に衝突させるように設置される付勢手段26が設けられており、この付勢手段26の働きによって、可動側接触導体28は固定側内部導体61に対して摺動可能な状態で保持され得る。付勢手段26は、例えば、可動側中心導体21の収容部46の内壁47に沿って配したコイルバネであってもよい。
【0023】
図4によく示されているように、可動側接触導体28は、凸部32と本体部31の2部分から構成される(理解容易のため、図4は分解図で示している。)。嵌合離脱側の凸部32は、収容部46及びその内部に設けた付勢手段26の内部に完全に収容され得る。一方、これと連続して基板取付側に設けた本体部31は、収容部46から多少はみ出した状態で、収容部46の挿入口内縁付近48によってその外周面43が挟持され得る。可動側接触導体28の本体部31の外周面43は、可動側中心導体21の収容部46の内壁47と接触した状態にあるため、可動側中心導体21と可動側接触導体28は電気的にも接続され得る。可動側接触導体28の嵌合離脱側には、更に、フランジ部42が設けてあり、このフランジ部42で付勢手段26の付勢力を受けて、嵌合離脱側から基板取付側に向かって、言い換えれば、固定側内部導体61に向かって、軸方向に常時付勢されるようになっている。この結果、例えば、同軸コネクタ1と相手コネクタ1’の嵌合時にコネクタ1の位置が軸方向や径方向にずれたとしても、付勢手段26によって発揮され得る弾性作用によってそのようなズレを吸収しつつ、可動側接触導体28はその接触部40において、常時、固定側内部導体61の平坦な摺接面75に接触し得る。尚、特に径方向におけるズレを考慮して、接触部40と摺接面75の接触がより確実に行われるよう、摺接面75の径方向における半径は、接触部40の径方向における半径と可動組立体20の径方向における可動量の和よりも、大きくなるよう設定してある。つまり、図3に詳細に示すように、接触部40が摺接面75上である径方向に移動し得る大きさ「Δy”」は、隙間37の径方向における大きさ「Δy」や、これと同様の大きさを有する、フランジ部38の側面52と固定側外部導体62の内壁82との間の径方向における大きさ「Δy’」よりも、大きく設定される。
【0024】
固定組立体60には、金属製の固定側内部導体61と、その周囲に設けた金属製の固定側外部導体(固定保持部材)62と、これら固定側内部導体61と固定側外部導体62の間に配置され、それらを電気的に絶縁する樹脂製の固定側絶縁部材63と、更に、固定側外部導体62に保持された可動組立体20を相手コネクタ1’側に向けて付勢する金属製の環状板バネ(第一付勢部材)67が含まれる。
【0025】
固定側内部導体61は固定側絶縁部材63とともに、基板90を貫通した状態で設ける。固定側内部導体61は、可動組立体20の可動側内部導体29と電気的に接続され、可動組立体20を介して相手コネクタ1’の中心導体161(図2)と電気的に接続され得る。固定側内部導体61の嵌合離脱側には、可動組立体20の所定部分(接触部40)と摺動可能に接触し得る平坦な摺接面75(図4によく示されている)が設けられており、一方、基板取付側には、基板90の所定部分と半田付け等するために固定側絶縁部材63から露出した露出部81が設けられている。更に、これら露出部81と摺接面75の中間位置付近には、固定側絶縁部材63に係止する係止凸部80が設けられており、係止凸部80を固定側絶縁部材63に圧入することによって固定側絶縁部材63に固定されるようになっている。
【0026】
固定側外部導体62は、固定組立体60の最外郭を形成し、可動組立体20を可動に保持するために使用する。固定側外部導体62は、可動組立体20の可動側外部導体51と電気的に接続され、可動組立体20を介して、相手コネクタ1’の外部導体162、163と電気的に接続され得る。固定側外部導体62の基板取付側には、固定組立体60を基板90に載置させるために役立つ大径フランジ部70が設けられており、適当な位置に設けた孔71に固定ネジ(図示されていない)を挿入することによって、基板90に固定できるようになっている。大径フランジ部70の内側には、保持部材64と協働して環状板バネ67を保持する小径フランジ部69も設けてある。
【0027】
固定側外部導体62の嵌合離脱側は、固定側内部導体61の対向側に延びて、可動側外部導体51の基板取付側を内部に保持し得る収容空間66を形成している。この収容空間66に収容された可動側外部導体51の嵌合離脱側は、固定側外部導体62の穴35を通じて外部に露出され、また、固定側外部導体62は、可動側外部導体51との接触等を通じて、相手コネクタ1’と電気的に接続され得る。可動組立体20を径方向に可動とするため、穴35の径は、可動組立体20の可動側外部導体51の径より大きく設定されている。この結果、可動組立体20と穴35の間には、径方向に、例えば、Δy(図3参照)の大きさを有する隙間37が形成されている。
【0028】
固定側外部導体62の基板取付側には、環状板バネ67が配置される。図5に示すように、環状板バネ67は、環状の上面を有するが、半径方向に切り込みを入れ、且つ、互いに切り離された各部分の中心に穴72を設けることにより、所定形状の複数の板バネ部77が形成してある。これら板バネ部77の先端68は、上方に向かって折り曲げてあり、弾性力を発揮やすくしてある。環状板バネ67は、それら弾性作用を発揮し得る折り曲げ側の各先端68を嵌合離脱側に向けた状態で固定側外部導体62の小径フランジ部69に嵌め込まれる。この結果、板バネ部77の各先端68付近は可動組立体20の所定部分(内郭部材34)と接触し、可動組立体20を基板取付側から嵌合離脱側に付勢する力を発揮する。この結果、Δx2の大きさを有する隙間が形成され得る(図3参照)。尚、板バネ部77の先端68は、360度あらゆる方向に設けられているため、どのような方向においても付勢力を発揮することができる。
【0029】
固定側絶縁部材63を固定側外部導体62に保持するため保持部材64を使用する。保持部材64は、比較的肉厚の略環状の金属部材である。保持部材64は、自身の嵌合離脱側の面と固定側外部導体62の小径フランジ部69との間に、環状板バネ67の周縁部74付近を挟み込んだ状態で固定側外部導体62に嵌め込まれる。また、内径側に設けた内径段差部76を利用して、基板取付側から嵌合離脱側に向かって固定側絶縁部材63のフランジ部65を覆うことによって、固定側絶縁部材63の固定側外部導体62からの抜け落ちを防止する。保持部材64は金属で形成されているため、環状板バネ67を介して可動組立体20と電気的に接続されるとともに、側面78において大径フランジ部70と直接接触して大径フランジ部70にも電気的に接続され得る。ただし、保持部材64と固定側内部導体61の間には固定側絶縁部材63が挟み込まれた状態とされているため、固定側内部導体61とは絶縁された関係にある。
【0030】
図6に、本発明の他の実施形態による同軸コネクタを示す。この同軸コネクタ5は、図1に示した同軸コネクタ1と異なり、環状板バネ67のみによって軸方向や径方向のズレを吸収するようになっている。したがって、ここでは、図1の実施形態のように、内郭部材34や、この内郭部材34のフランジ部39に対応して設けたフランジ部38や、更に、これらフランジ部38、39の間に設置される付勢手段50に相当する部材等は設けられていない。明らかなように、図6に示す実施形態では、付勢手段50をも使用する場合に比べて小さなバネ力しか得ることはできないが、部品点数やコストの削減に役立つ。尚、図6において、図1等と同様の部材には、同様の参照番号を付している。
【0031】
本発明の同軸コネクタは、例えば、基板を用いて同軸コネクタを接続させるときのように、コネクタ間にズレが生じてしまうような使用状況で特に適したものである。しかしながら、このような基板接続だけでなく、基板を使用しない通常の接続にも有効であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態による同軸コネクタの中心線半断面図である。
【図2】相手コネクタとの接続状態を示す図である。
【図3】図1の部分拡大図である。
【図4】図1の部分拡大図である。
【図5】環状板バネの上面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 同軸コネクタ
1’ 相手コネクタ
20 可動組立体
21 可動側中心導体(第一中継端子)
22 可動側外部導体(外郭部材)
23 可動側絶縁部材
24 小径柱部
25 大径柱部
26 付勢手段(第二付勢部材)
28 可動側接触導体(第二中継端子)
29 可動側内部導体
30 係止凸部
31 本体部
32 凸部
33 窪み
34 内郭部材
35 穴
36 環状突出部
37 隙間
38 フランジ部
39 フランジ部
40 接触部
42 フランジ部
43 外周面
44 端縁
45 上段部
46 収容部
47 内壁
48 挿入口内縁
49 内壁
50 付勢手段(第三付勢部材)
51 可動側外部導体
52 側面
53 開口
54 スリット
60 固定組立体
61 固定側内部導体
62 固定側外部導体
63 固定側絶縁部材
64 保持部材
65 フランジ部
66 収容空間
67 環状板バネ(第一付勢部材)
68 先端
69 小径フランジ部
70 大径フランジ部
71 孔
72 穴
74 周縁部
75 摺接面
76 内径段差部
77 板バネ部
78 側面
80 係止凸部
81 露出部
82 内壁
90 基板(取付対象)
90’ 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に取り付けられ、該取付対象に対して固定される固定組立体と、該固定組立体に対し、相手コネクタと嵌合離脱する軸方向及びこの軸方向と直交する径方向に可動な可動組立体とからなる同軸コネクタであって、
前記固定組立体は、
固定側内部導体と、
前記取付対象に取り付けられ、前記可動組立体を軸方向及び径方向に可動に保持する固定保持部材と、
前記固定側内部導体と前記固定保持部材とを絶縁する固定側絶縁部材と、
前記固定保持部材に保持された前記可動組立体を、相手コネクタに向けて付勢する第一付勢部材とを有し、
前記可動組立体は、
可動側内部導体と、
可動側外部導体と、
前記可動側内部導体と前記可動側外部導体とを絶縁する可動側絶縁部材とを有しており、
前記可動側内部導体は、
第一中継端子と、
前記第一中継端子と電気的に接続し、当該第一中継端子の収容部に収容されて前記固定側内部導体に接触する接触部を備えた第二中継端子と、
前記第二中継端子を前記固定側内部導体に向けて付勢する第二付勢部材とを有することを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
前記固定側内部導体は前記第二中継端子の接触部が摺動する摺接面を備えていて、この摺接面の径方向における半径が、前記第二中継端子の接触部の径方向の半径と当該可動組立体の径方向での可動量との和より大きくなるように構成されている請求項1に記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
前記第二付勢部材は、前記第一中継端子の収容部の内壁に沿って配されたコイルバネであり、
前記第二中継端子は、前記コイルバネの内部に収容される凸部と、前記コイルバネの付勢力を受けるフランジ部と前記接触部を有する本体部と、を備える請求項1又は2に記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
前記第一中継端子の収容部の内壁と前記第二中継端子の本体部の外周面とが接触することにより、前記第一中継端子と前記第二中継端子とが電気的に接続するようになっている請求項3に記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
前記可動側外部導体は、
相手コネクタと嵌合する外郭部材と、
前記第一付勢部材と接触するように配され、前記外郭部材に組み付けられる内郭部材と、
前記外郭部材と前記内郭部材とを軸方向で離間するように付勢する第三付勢部材とを有する請求項1乃至4のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【請求項6】
前記第三付勢部材はコイルバネであり、前記外郭部材と前記内郭部材とは、それぞれ、前記コイルバネの付勢力を受けるフランジ部を備えている請求項5に記載の同軸コネクタ。
【請求項7】
前記第一付勢部材は板バネであり、前記固定保持部材に、前記板バネを保持する固定側保持部材が取り付けられる請求項1乃至6のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【請求項8】
前記第一中継端子は前記可動側絶縁部材に対して、前記固定側内部導体は前記固定側絶縁部材に対して係止するための係止凸部を備えている請求項1乃至7のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【請求項9】
前記固定保持部材は、取付対象に載置するフランジ部を備えており、このフランジ部に取付対象に取付けるための固定ネジが挿入される孔が構成されている請求項1乃至8のいずれかに記載の同軸コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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