説明

同軸複合通信ケーブル

【課題】同軸複合通信ケーブルの軽量化、及び長寿命化を実現する。
【解決手段】同軸複合通信ケーブル1は、同軸心3と、この同軸心3とは異なる他のケーブルと、を集合している。しかも、前記同軸心3は、内部導体21の外周に設けた絶縁体23と、この絶縁体23の外周に設けた外部導体25と、この外部導体25の外周に設けた外被31と、からなると共に、前記外部導体25の少なくとも一部が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、同軸複合通信ケーブルに関し、特に軽量化、及び長寿命化を実現する同軸複合通信ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
図5を参照するに、従来の同軸複合通信ケーブル101(あるいは同軸複合通信カールコード)としては、例えば、1本の同軸心103(同軸ケーブル)と、1本の対撚り線105と、6本の第1絶縁線107と、2本の第2絶縁線109と、を中心部に集合したケーブルコア111と、このケーブルコア111の外周に紙テープで重ね巻きした第1押え巻113(内層)と、この第1押え巻113(内層)の外周に設けた遮蔽層115と、この遮蔽層115の外周に紙テープで重ね巻きした第2押え巻117(外層)と、この第2押え巻117(外層)の外周に例えばポリエステルで被覆した外被119と、で構成されている。
【0003】
上記の同軸心103は、図5及び図6、表1に示されているように、例えば37本×φ0.06mmの銀めっき軟銅線からなる内部導体121と、この内部導体121の外周に外径を例えば1.24mmにしたPTFEからなる絶縁体123と、この絶縁体123の外周に設けた外部導体125、すなわち前記絶縁体125の外周に軟銅線を横巻き(らせん巻き)した第1外部導体127と、この第1外部導体127の外周に例えば0.017mm厚の銅テープを重ね巻きした第2外部導体129と、この外部導体125の第2外部導体129に外径が例えば1.73mmとなるように例えばポリエステルで被覆した外被131と、から構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【表1】

【0004】
以上のように、従来、同軸複合通信ケーブル101のケーブルコア111に含まれる同軸心103の構造は、外部導体125が第1外部導体127と第2外部導体129とで構成されており、第1外部導体127である軟銅線横巻きの外周に第2外部導体129である銅テープが重ね巻きされたものである。
【0005】
また、従来の他の例としては、前述した同軸心103の構造において、上記の銅テープ(第2外部導体129)の代わりに複合テープが上記の外部導体125あるいは外部導体125の一部として用いることが多く見られている。複合テープとしては、プラスチックテープ(絶縁層)と金属箔・膜・フィルム(導電層)とからなり、例えばプラスチックテープに銅を蒸着した銅箔貼付プラスチックテープがある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
図7を参照するに、従来の複合テープ133としては、プラスチックテープの絶縁層を含む複合テープの片面のみに導電層が構成されている片面複合テープがある。絶縁層としての例えば10μm厚のポリエステルテープ135の片面に、導電層としての例えば9μm厚の銅箔137が設けられている。
【0007】
また、図8を参照するに、従来の複合テープ139としては、プラスチックテープの絶縁層の両面に導電層が構成されている両面複合テープがある。例えば、絶縁層としての例えば10μm厚のポリエステルテープ135の両面に、それぞれ導電層としての例えば9μm厚の銅箔137が設けられている。
【0008】
もし、上記の同軸複合通信ケーブル101の第1外部導体127として単なる厚みのある金属テープが用いられる場合では、前記金属テープが細径の同軸ケーブルに縦添え或いは横巻きされると、しわが寄りやすく繰り返し曲げに対する寿命が短い等の問題があるため、上述したように、柔軟性を求めてプラスチックを含む複合テープが用いられているのである。
【0009】
しかし、図7に示されているようにプラスチックを含む複合テープ133の片面のみに導電層としての銅箔137が構成されているだけでは、遮蔽効果、つまり電磁波がケーブル外部に洩れ出ることを抑制する効果が不十分であるので、ポリエステルテープ135の両面に銅箔137が設けられた両面複合テープ139が好ましい。
【0010】
ところが、図8に示されているように、3層のサンドウィッチ構造からなる複合テープ139では表裏の銅箔137(導電層)が中間部のポリエステルテープ135(絶縁層)で分離されているので好ましくない。そこで、複合テープ139の表裏の銅箔137(導電層)の導通を取ることにより、高周波特性を改善することができる。
【0011】
この点で改善を図った従来の複合テープとしては、図9(A)〜(C)に示されているように、複合テープ141,143に何らかの方法で多数の貫通孔145を形成させ、各貫通孔145の内周面に沿って導電層を形成することにより、複合テープ141,143の表裏の銅箔137(導電層)の導通を取っている。例えば、図9(B)の複合テープ141では、ポリエステルテープ135(絶縁層)の表裏に貫通する多数の貫通孔145を設けると共に前記ポリエステルテープ135の表裏面と前記多数の貫通孔145の内周面に銅箔137(導電層)として金属蒸着膜を蒸着している(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
また、図9(C)の複合テープ143では、ポリエステルテープ135(絶縁層)の片面に金属箔147を設け、このポリエステルテープ135と金属箔147の表裏に貫通する多数の貫通孔145を設けると共に、前記ポリエステルテープ135と金属箔147の表裏面と前記多数の貫通孔145の内周面に銅箔137(導電層)として金属蒸着膜を蒸着している(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】実案第3032624号公報
【特許文献2】特開2003−68153号公報
【特許文献3】特開平9−27695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、従来の同軸複合通信ケーブル101においては、同軸心103の第2外部導体129として銅テープが使用されているために、同軸心103に繰り返し曲げなどが加わると、ある程度の回数で亀裂が生じてしまうという問題点があった。また、銅テープの厚さが薄く、また破断張力が小さいために、製造時に銅テープが頻繁に切れてしまうという問題点があった。
【0014】
上記の銅テープの代わりに、片面ないしは両面銅箔貼付プラスチックテープなどの複合テープ133,139を使用して、この複合テープ133,139を重ね巻きした場合は、複合テープ133,139に貼付けられた銅箔の導通がうまくとれておらず、ケーブル長手方向の抵抗が上がってしまい、同軸ケーブルの導体損が増加することにより減衰量が増加してしまう等の問題点があった。
【0015】
また、上記の銅テープの代わりに、特許文献2及び特許文献3の複合テープ141,143を使用した場合、複合テープ141,143が貫通孔145の内周面の金属蒸着膜のみでは、複合テープ141,143の表裏の銅箔137(導電層)間の導通としては不十分である。また、銅を蒸着して複合テープ141,143を製造する方法では、銅の厚さは最大でも1μm程度であるために低い周波数においては等価導電層厚が十分ではなく、十分な遮蔽性能を発揮できないという問題点があった。例えば、銅の厚さが例えば1μmであると、等価導電層厚と周波数との関係で、周波数が4.4GHz以下で導電層厚が足りない。
【0016】
この発明は上述の課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明の同軸複合通信ケーブルは、同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、この外部導体の外周に設けた外被と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
この発明の同軸複合通信ケーブルは、同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、この外部導体の外周に設けた遮蔽層と、この遮蔽層の外周に設けた外被と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部、あるいは前記遮蔽層が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とするものである。
【0019】
また、この発明の同軸複合通信ケーブルは、前記同軸複合通信ケーブルにおいて、前記中間部材がテープ長手方向にのびるテープ状であることが好ましい。
【0020】
また、この発明の同軸複合通信ケーブルは、前記同軸複合通信ケーブルにおいて、前記中間部材が絶縁体であることが好ましい。
【0021】
また、この発明の同軸複合通信ケーブルは、前記同軸複合通信ケーブルにおいて、前記中間部材の合計の表面積が、複合テープ全体の表面積の1%以上で且つ99%以下であることが好ましい。
【0022】
この発明の同軸複合通信ケーブルは、同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とするものである。
【0023】
この発明の同軸複合通信ケーブルは、同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、この外部導体の外周に設けた遮蔽層と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部、あるいは前記遮蔽層が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
また、この発明の同軸複合通信ケーブルは、前記同軸複合通信ケーブルにおいて、前記中間部材がテープ長手方向にのびるテープ状であることが好ましい。
【0025】
また、この発明の同軸複合通信ケーブルは、前記同軸複合通信ケーブルにおいて、前記中間部材が絶縁体であることが好ましい。
【0026】
また、この発明の同軸複合通信ケーブルは、前記同軸複合通信ケーブルにおいて、前記中間部材の合計の表面積が、複合テープ全体の表面積の1%以上で且つ99%以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明の同軸複合通信ケーブルによれば、両面導通複合テープが外部導体の少なくとも一部に用いられることにより、ケーブルの曲げ特性を向上させることができ、また、テープ巻きの製造性も改善でき、低周波の遮蔽特性にも優れ、ケーブルの軽量化も実現することができる。すなわち、上記の両面導通複合テープは、複合テープの表裏の導電層の導通が各中間部材の間欠領域で確実に行われるように接触面積を大きく取っているので、電気的遮蔽効果の改善を図ることができ、上記のように同軸複合通信ケーブルの減衰量特性の向上に寄与するものである。
【0028】
なお、上記の効果は、絶縁体の外周に外部導体を設けた同軸複合通信ケーブルであっても、あるいは絶縁体の外周に外部導体を設けると共に前記外部導体の外周に遮蔽層を設けた同軸複合通信ケーブルであっても、前記外部導体の少なくとも一部、あるいは遮蔽層として上記の両面導通複合テープを用いた場合にも同様の効果がある。更に遮蔽層の導体抵抗を低減させた通信ケーブル及びその複合ケーブルとして用いても有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1及び図2を参照するに、この実施の形態に係る同軸複合通信ケーブル1(あるいは同軸複合通信カールコード)は、例えば、1本の同軸心3(同軸ケーブル)と、1本の対撚り線5と、6本の第1絶縁線7と、2本の第2絶縁線9と、を中心部に集合したケーブルコア11と、このケーブルコア11の外周に紙テープで重ね巻きした第1押え巻13(内層)と、この第1押え巻13(内層)の外周に設けて例えばφ0.08mmのすずめっき軟銅線を横巻き(らせん巻き)した遮蔽層15と、この遮蔽層15の外周に紙テープで重ね巻きした第2押え巻17(外層)と、この第2押え巻17(外層)の外周に例えば仕上げ外径が例えば約5.0mmとなるようにPVCで被覆した外被19と、で構成されている。
【0031】
上記の同軸心3は、図1及び図2、表2に示されているように、例えば37本×φ0.06mmの銀めっき軟銅撚り線からなる内部導体21と、この内部導体21の外周に外径を例えば1.24mmにしたPTFEからなる絶縁体23と、この絶縁体23の外周に設けた外部導体25、すなわち前記絶縁体23の外周に例えばφ0.08mmの軟銅線を横巻き(らせん巻き)した第1外部導体27と、この第1外部導体27の外周に例えば0.017mm厚の両面導通複合テープを例えば1/3オーバラップで重ね巻きした第2外部導体29と、この外部導体25の第2外部導体29に外径が例えば約1.7mmとなるように例えばポリエステルで被覆した外被31と、から構成されている。
【表2】

【0032】
また、上記の対撚り線5は、例えば7本×φ0.127mmのすずめっき軟銅撚り線からなる導体33の外周に例えば0.15mm厚のポリプロピレンの絶縁体35を被覆してなる絶縁線37が、対撚りされて構成されている。
【0033】
また、上記の第1絶縁線7は、例えば7本×φ0.1mmのすずめっき軟銅撚り線からなる導体39の外周に例えば0.1mm厚のポリプロピレンの絶縁体41を被覆して構成されている。
【0034】
また、上記の第2絶縁線9は、例えば7本×φ0.127mmのすずめっき軟銅撚り線からなる導体43の外周に例えば0.15mm厚のポリプロピレンの絶縁体45を被覆して構成されている。
【0035】
以上のように、この発明の実施の形態に係る同軸複合通信ケーブル1のケーブルコア11に含まれる同軸心3の構造は、外部導体25が第1外部導体27と第2外部導体29とで構成されており、第1外部導体27である軟銅線横巻きの外周に第2外部導体29である両面導通複合テープが重ね巻きされたものである。
【0036】
なお、上記の外部導体25の外周には、遮蔽層を設けることもでき、この遮蔽層としては、この実施の形態の両面導通複合テープ1を用いても構わない。
【0037】
次に、上記の両面導通複合テープについて詳しく説明する。
【0038】
図3(A)〜(C)を参照するに、この実施の形態に係る両面導通複合テープ47は、複数の中間部材としての例えばテープ状のポリエステルテープ49がテープ長手方向(図3(A)において上下方向)にのびて、テープ幅方向(図3(A)において左右方向)に間欠的に並行して配列されており、この実施の形態では前記各ポリエステルテープ49は例えば約10μm厚である。さらに、前記複数の各ポリエステルテープ49の表裏の両面と、前記各ポリエステルテープ49の間の間欠領域IFと、に導電層としての例えば銅箔51が一体的に形成されている。なお、前記各ポリエステルテープ49は絶縁体として機能する。
【0039】
この実施の形態において、図3(B)では前記導電層としての例えば約5μm厚の銅箔51が複数のポリエステルテープ49の表裏の両面側から全体に亘って貼着されており、上記の両側の銅箔51が前記各間欠領域IFで導通するように一体的に貼着されている。また、図3(C)では前記導電層は、例えば約10μm厚の複数のテープ状の銅箔51Aが長手方向にのびて、前記各間欠領域IFに埋設されるように並行して配列されており、さらに例えば約5μm厚の銅箔51Bが複数のポリエステルテープ49の表裏の両面と前記間欠領域IFに埋設された銅箔51Aの両面とに全体に亘って一体的に貼着されている。
【0040】
なお、この発明の実施の両面導通複合テープ47の断面構造としては、上記の図3(B),(C)の構造に限定されず、その他の構造であっても構わない。また、中間部材や導電層の材質や厚さなども上記の例に限定されず、その他の形態であっても構わない。
【0041】
また、上記の両面導通複合テープ47の全表面積Soは、テープ幅方向の寸法Wとテープ長手方向の寸法との積(So=W×L)となり、これは中間部材であるポリエステルテープ49に位置する導電層(誘電体部)の合計の表面積Scと、各中間部材の間の間欠領域IFに位置する導電層(導体部)の合計の表面積Sdと、の和(So=Sc+Sd)となる。
【0042】
そこで、この実施の形態では、上記の中間部材の合計の表面積Scが両面導通複合テープ47の全表面積Soの1%以上で且つ99%以下であれば、各中間部材の表裏の導電層(誘電体部)は中間部材であるポリエステルテープ49の間の間欠領域IFに位置する導電層(導体部)により十分に導通が取られるので、良好な減衰量特性を満足するものである。すなわち、表面積Scが全表面積Soの1%未満、または99%越えていると、良好な減衰量特性を満足しないのである。したがって、前述した実施の形態では中間部材としてはテープ長手方向にのびるテープ状のポリエステルテープ49が用いられているが、テープ状でなくとも、例えば線条体であっても構わない。
【0043】
以上のように、この実施の形態の両面導通複合テープ47は、複合テープの表裏の導電層の導通が各中間部材であるポリエステルテープ49の間欠領域IFで確実に行われるように接触面積を大きく取っているので、複合テープの機械的柔軟性を向上でき、つまり細径同軸ケーブルの減衰量特性を損なうことなく縦添えでもあるいは横巻きでも取り付けることができ、さらに電気的遮蔽効果の改善を図ることができる。
【0044】
また、両面導通複合テープ47の導電層がめっきの場合は、蒸着膜とは異なって例えば1μm以上の銅箔も容易に実現できるので、広い周波数の遮蔽性能も確保できる。また、両面導通複合テープ47の引張強さは例えば20Mpa以上を確保することができて製造性にも問題がなく生産性の向上を図ることができる。
【0045】
また、導通層で両面を導通させているため、ポリエステルテープ49の表裏に貼付けられた銅箔51、51A、51Bの導通も確保できる。
【0046】
表3を参照するに、例えば、従来では第2外部導体29が銅テープで、この実施の形態では第2外部導体29が両面導通複合テープ47である場合、静電容量(標準)と特性インピーダンスと周波数の減衰量はいずれもほぼ同じで、従来の種々の複合テープとは異なって良好な値を示している。
【表3】

【0047】
また、図4には、前述した同軸複合通信ケーブル1を部分的に螺旋状にカール加工した同軸複合通信カールコードのカール加工例が示されている。つまり、同軸複合通信ケーブル1の両端の200mmの部分を除く他の部分が直径φ18〜20mmの螺旋状にカール加工されており、このカール部分が縮んだ状態で約240mmの長さとなっている。
【0048】
そこで、この実施の形態の同軸複合通信ケーブル1と従来の同軸複合通信ケーブル101に対して上記のカール加工を行い、この実施の形態の同軸複合通信カールコード1と従来の同軸複合通信カールコード101に対して伸縮試験を行ってそれぞれの第2外部導体29,129が破断するまでの回数を調べた。なお、上記の同軸複合通信カールコード1,101は、説明の便宜上、対応する同軸複合通信ケーブル1,101と同符号を付している。
【0049】
また、伸縮試験方法としては、各同軸複合通信カールコード1,101のカール部分を図4において左右方向に3倍に引き伸ばす動作が常温にて30回/分の割合で繰り返し行われるものである。
【0050】
その結果、各同軸複合通信カールコード1,101における第2外部導体29,129が破断するまでの回数は、表4に示されているように、従来の同軸複合通信カールコードで101は2つの試料について34万回乃至38万回で第2外部導体129が破断しているが、この実施の形態の同軸複合通信カールコード1は、40万回以上でも第2外部導体29が破断していない。したがって、外部導体破断回数も改善されていることが分かる。
【表4】

【0051】
以上のことから、この発明の実施の形態の同軸複合通信ケーブル1(あるいは、同軸複合通信カールコード)は、両面導通複合テープ47(例えば、めっきによる両面導通銅箔プラスチックテープ)が外部導体25の少なくとも一部に用いられることにより、ケーブルの曲げ特性を向上させることができ、また、テープ巻きの製造性も改善でき、低周波の遮蔽特性にも優れ、ケーブルの軽量化も実現することができる。
【0052】
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。
【0053】
例えば、この発明の実施の形態の同軸複合通信ケーブル1は、同軸複合通信カールコードであるが、同軸ケーブル単体でも適用可能である。
【0054】
また、この発明の実施の形態の両面導通複合テープ47である金属貼付プラスチックテープは、アルミ、銅に限らず、あらゆる金属箔でも同様の効果がある。また、金属箔にめっきを施した構造にも適用できる。
【0055】
また、内部導体21には、前述した実施の形態の軟銅線の他に、錫めっきや銀めっきを施したものでも、あるいは銅合金を用いたものでも構わない。また、絶縁体23には、前述した実施の形態のPTFEの他に、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、発泡ポリエチレン、充実あるいは発泡ポリプロピレン、PFAやFEPなどのフッ素樹脂(発泡も含む)でも構わない。また、外被31もポリエステルだけでなく、PVCや他種の樹脂でも構わない。また、外被31がなく外部導体25が最外層のケーブルでも構わない。
【0056】
また、第2外部導体29については、両面を導通させた金属箔貼付テープ(両面導通複合テープ47)を第2外部導体29の一部として使用していれば多重構造でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態の同軸複合通信ケーブルの断面図である。
【図2】図1の同軸心の縦断面図である。
【図3】(A)はこの発明の実施の形態の両面導通複合テープの平面図で、(B)は(A)のテープ幅方向の縦断面図で、(C)は(B)とは異なる他の実施の形態で(A)のテープ幅方向の縦断面図である。
【図4】この発明の実施の形態の同軸複合通信カールコードのカール加工例の概略説明図である。
【図5】従来の同軸複合通信ケーブルの断面図である。
【図6】図1の同軸心の縦断面図である。
【図7】従来の複合テープの断面図である。
【図8】従来の他の複合テープの断面図である。
【図9】(A)は従来の別の複合テープの平面図で、(B)は(A)のテープ幅方向の縦断面図で、(C)は(B)とは異なる他の例で(A)のテープ幅方向の縦断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 同軸複合通信ケーブル
3 同軸心
5 対撚り線
7 第1絶縁線
9 第2絶縁線
11 ケーブルコア
13 第1押え巻
15 遮蔽層
17 第2押え巻
19 外被
21 内部導体
23 絶縁体
25 外部導体
27 第1外部導体
29 第2外部導体
31 外被
47 両面導通複合テープ
49 ポリエステルテープ(中間部材)
51,51A,51B 銅箔(導電層)
IF 間欠領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、この外部導体の外周に設けた外被と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とする同軸複合通信ケーブル。
【請求項2】
同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、この外部導体の外周に設けた遮蔽層と、この遮蔽層の外周に設けた外被と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部、あるいは前記遮蔽層が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とする同軸複合通信ケーブル。
【請求項3】
前記中間部材がテープ長手方向にのびるテープ状であることを特徴とする請求項1又は2記載の同軸複合通信ケーブル。
【請求項4】
前記中間部材が絶縁体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の同軸複合通信ケーブル。
【請求項5】
前記中間部材の合計の表面積が、複合テープ全体の表面積の1%以上で且つ99%以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の同軸複合通信ケーブル。
【請求項6】
同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とする同軸複合通信ケーブル。
【請求項7】
同軸心と、この同軸心とは異なる他のケーブルと、を集合した同軸複合通信ケーブルにおいて、
前記同軸心が、内部導体と、この内部導体の外周に設けた絶縁体と、この絶縁体の外周に設けた外部導体と、この外部導体の外周に設けた遮蔽層と、からなると共に、前記外部導体の少なくとも一部、あるいは前記遮蔽層が、テープ幅方向に間欠的に並行して配置した複数の中間部材と、この複数の中間部材の両面と前記各中間部材の間の間欠領域とに一体的に形成した導電層と、からなる両面導通複合テープで構成されていることを特徴とする同軸複合通信ケーブル。
【請求項8】
前記中間部材がテープ長手方向にのびるテープ状であることを特徴とする請求項6又は7記載の同軸複合通信ケーブル。
【請求項9】
前記中間部材が絶縁体であることを特徴とする請求項6、7又は8記載の同軸複合通信ケーブル。
【請求項10】
前記中間部材の合計の表面積が、複合テープ全体の表面積の1%以上で且つ99%以下であることを特徴とする請求項6、7、8又は9記載の同軸複合通信ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−216381(P2006−216381A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27985(P2005−27985)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】