説明

吐出ノズル及び吐出容器

【課題】容器本体を持ち手で押圧するだけで、容易かつ安定的に内容物を扇状に吐出できるノズルを提供する。
【解決手段】容器本体の内部と連通し内容物が流通する流通路と、流通路を流通した液体を吐出する吐出孔36が先端31側に形成された吐出ノズル10において、流通路は、離間して略平行に設けられた主壁部32と、主壁部32の周縁に連設された側壁部34とで形成されると共に、内容物の流通方向に直交する断面輪郭が主壁部32を長手方向、側壁部34を短手方向として形成され、吐出孔36は、断面輪郭の長手方向に延びるスリット状とされ、吐出孔36の幅は、断面輪郭の短手方向の長さよりも短くされ、側壁部34は、吐出孔36が形成された位置の内面が、断面輪郭の長手方向の略中央に向かって、内容物の流通方向に円弧状に膨出する曲面とされると共に、主壁部32の内面に略垂直なものとされていることよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ノズル及び吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液体を収容する容器本体と、この容器本体の口部に設けられ、吐出孔が形成されたノズルとを備える、液体用の容器が知られている。この液体用の容器は、容器本体を持ち手で押圧(スクイズ)して、吐出孔から内容物を吐出させるものであり、ノズルとしては、1つの孔を形成し内容物を直線状に吐出するものや、複数の吐出孔を形成し内容物をシャワー状に吐出するものが知られている。このような液体用の容器には、1回の操作で、さらに広範囲に塗布できるものが求められている。
【0003】
従来、液体を被塗布物へ広範囲に塗布するために、種々のノズルが提案されている。
例えば、特許文献1には、半円形の傾斜平面部が対向状態に形成された変形ドーム状凹面と上流に連設される流通面積の大きい筒状流路とからなる凹孔が形成され、その前端に噴口が開設されたノズルが提案されている。この発明によれば、塗布する液体を扇状、かつ均一に吐出できる。
また、特許文献2には、ほぼ半球形状の室と、この室のほぼ中心部まで切り開かれた溝穴とからなり、この溝穴が流体の吐出開孔を形成しているノズルが開示されている。この発明によれば、液体をワイドパターンで吐出することができる。
特許文献3には、球面の一部からなる先端部と、該先端部に連なる中空の円筒胴部と、該円筒胴部の中空軸芯を先端部の内側で閉じてなる盲管構造の塗液供給路と、前記先端部から前記供給流路に到達する深さの直線スリットからなる吐出部を備えた保護膜材料用塗布ノズルが提案されている。この発明によれば、塗液吐出の方向性の安定化を図り、低粘度の塗液を良好に吐出できる。
特許文献4には、流通孔と流通孔に連通したスリット状の吐出孔とを有し、先端部が外側に突出した球状の凸曲面に形成され、吐出孔が、相対峙する長手方向に沿った2つの内面の面幅が均一に形成されてなるノズルが提案されている。この発明によれば、塗布する液体を扇状に吐出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−98168号公報
【特許文献2】特開2005−349295号公報
【特許文献3】特開2005−230642号公報
【特許文献4】特開2005−294488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜4は、主に塗料、エッチング液や洗浄剤等の液体をポンプ等でノズル内に送液して吐出するものであり、液体を収容した容器本体に装着することを想定していない。加えて、単に、液体が収容された容器本体に特許文献1〜4のノズルを装着しても、押圧のような比較的少量を押し出す操作では、扇状に内容物を吐出できない。
そこで、本発明は、容器本体を持ち手で押圧するだけで、容易かつ安定的に内容物を扇状に吐出できるノズルを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出ノズルは、液体を内容物として収容する容器本体に装着され、前記容器本体の内部と連通し前記内容物が流通する流通路と、前記流通路を流通した液体を吐出する吐出孔が先端側に形成された吐出ノズルにおいて、前記流通路は、離間して略平行に設けられた主壁部と、主壁部の周縁に連設された側壁部とで形成されると共に、前記内容物の流通方向に直交する断面輪郭が、前記主壁部を長手方向、前記側壁部を短手方向として形成され、前記吐出孔は、前記側壁部に形成された、前記断面輪郭の長手方向に延びるスリット状とされ、前記吐出孔の幅は、前記断面輪郭の短手方向の長さよりも短くされ、前記側壁部は、前記吐出孔が形成された位置の内面が、前記断面輪郭の長手方向の略中央に向かって、前記内容物の流通方向に円弧状に膨出する曲面とされると共に、前記主壁部の内面に略垂直なものとされていることを特徴とする吐出ノズル。
前記吐出孔が形成された前記側壁部は、その外面が、前記側壁部の内面に沿った円弧状の曲面とされると共に、厚みが、前記側壁部の内面の曲率半径より小さいことが好ましく、前記吐出孔は、一方の開口端部と前記曲率半径の仮想中心とを結ぶ線と、他方の開口端部と前記仮想中心とを結ぶ線とがなす角度が90〜180°であることが好ましく、前記吐出孔の幅は、前記断面輪郭の短手方向の長さの1/3以下であることが好ましい。
【0007】
本発明の吐出容器は、本発明の前記吐出ノズルと、有底筒状の容器本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吐出ノズルによれば、流通路が、離間して略平行に設けられた主壁部と、主壁部の周縁に連設された側壁部とで形成されると共に、内容物の流通方向に直交する断面輪郭が、前記主壁部を長手方向、前記側壁部を短手方向として形成され、吐出孔が、前記側壁部に形成された、前記断面輪郭の長手方向に延びるスリット状とされ、前記吐出孔の幅が、前記断面輪郭の短手方向の長さよりも短くされ、前記側壁部は、前記吐出孔が形成された位置の内面が、前記断面輪郭の長手方向の略中央に向かって、前記内容物の流通方向に円弧状に膨出する曲面とされると共に、前記主壁部の内面に略垂直なものとされているため、容器本体を持ち手で押圧するだけで、内容物を扇状に吐出できる。
本発明の吐出ノズルによれば、前記吐出孔が形成された前記側壁部は、その外面が、前記側壁部の内面に沿った円弧状の曲面とされると共に、厚みが、前記側壁部の内面の曲率半径より小さくされているために、内容物をより均一な扇状として吐出できる。
本発明の吐出ノズルによれば、前記吐出孔は、一方の開口端部と前記曲率半径rの仮想中心とを結ぶ線と、他方の開口端部と前記仮想中心とを結ぶ線とがなす角度が90〜180°であるため、内容物をより均一な扇状として吐出できる。
本発明の吐出ノズルによれば、前記吐出孔の幅は、前記断面輪郭の短手方向の長さの1/3以下とされているため、内容物をより均一な扇状として吐出できる。
【0009】
本発明の吐出容器は、本発明の前記吐出ノズルと、有底筒状の容器本体とを備えるため、容器本体を持ち手で押圧するだけで、内容物を扇状に吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態にかかる吐出容器の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる吐出ノズルの斜視図である。
【図3】(a)図2に示す突出ノズルの平面図である。(b)図2に示す吐出ノズルの側面図である。(c)図2に示す吐出ノズルの正面図である。(d)図2に示す吐出ノズルの底面図である。
【図4】図3(a)におけるA1−A1断面図である。(b)図3(a)におけるA1−A1断面の斜視図である。
【図5】(a)本発明の一実施形態にかかる吐出ノズルの平面図である。(b)本発明の一実施形態にかかる吐出ノズルの側面図である。(c)本発明の一実施形態にかかる吐出ノズルの正面図である。(d)本発明の一実施形態にかかる吐出ノズルの底面図である。(e)(a)におけるA2−A2断面図である。(f)(a)におけるA2−A2断面の斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる吐出容器の正面図である。
【図7】実施例の吐出容器における内容物の吐出形状を示す写真である。
【図8】(a)比較例1の吐出ノズルの平面図である。(b)比較例1の吐出ノズルの正面図である。(c)比較例1の吐出ノズルの側面図である。(d)比較例1の吐出ノズルの底面図である。(e)(a)に示す吐出ノズルのA3−A3断面図である。(f)(a)に示す吐出ノズルのB3−B3断面図である。
【図9】(a)比較例2の吐出ノズルの平面図である。(b)比較例2の吐出ノズルの正面図である。(c)比較例2の吐出ノズルの側面図である。(d)比較例2の吐出ノズルの底面図である。(e)(a)に示す吐出ノズルのA4−A4断面図である。(f)(a)に示す吐出ノズルのB4−B4断面図である。
【図10】比較例1の吐出容器における内容物の吐出形状を示す写真である。
【図11】比較例2の吐出容器における内容物の吐出形状を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の吐出容器について、以下に図面を用いて説明する。
図1に示すように、吐出容器1は、液体の内容物を収容する容器本体4と、容器本体4の口部に設けられたノズル付きキャップ3と、ノズル付きキャップ3を覆うように装着される蓋体2とを備えるものである。
【0012】
ノズル付きキャップ3は、容器本体4内の内容物を吐出容器1外に吐出する吐出ノズル10と、吐出ノズル10に連設され容器本体4の口部と嵌合する装着部12とを備えるものである。装着部12の内周面には、容器本体4の口部と嵌合するための嵌合部が形成されており、かかる嵌合部を容器本体4の口部に嵌合することで、吐出ノズル10が容器本体4に装着される。
【0013】
図2〜4に示すように、吐出ノズル10は、略円筒状の周壁部24と周壁部24の上部に連設された天壁部22とからなるノズル本体部20と、天壁部22に立設された吐出部30とを備えるものである。
ノズル本体部20の内部には、容器本体4内の内容物を流通方向F1(図4(a))で流し、吐出ノズル10に供給する供給路25が形成されている。
【0014】
吐出部30は、天壁部22に立設された略半円形の2つの主壁部32と、主壁部32の周縁に連設された側壁部34とで構成され、主壁部32は互いに略並行かつ離間して設けられている。こうして吐出部30の内部には、流通方向F1に直交する断面輪郭S1が、主壁部32を長手方向、側壁部34を短手方向とする略矩形状とされ、吐出ノズル10の先端31側の内面が、断面輪郭S1の長手方向の略中央に向かって、流通方向F1に円弧状に膨出する曲面とされる流通路35が形成されている。加えて、側壁部34には、断面輪郭S1の長手方向に伸びるスリット状の吐出孔36が形成され、側壁部34は、吐出孔36が形成されている位置の内面が、主壁部32の内面に略垂直なものとされている。即ち、本実施形態においては、吐出孔36が形成された位置の流通路35は、吐出孔36の長手方向に沿った断面(縦断面)の形状が、略半円形とされている。また、側壁部34は、その外周が側壁部34内面の曲面と同様の曲面とされている。
加えて、断面輪郭S1の長手方向の長さL1が、周壁部24内部の直径R1よりも短いものとされている。
【0015】
吐出ノズル10は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等、通常、液体を収容する容器に用いられる材質を成形してなるものである。
【0016】
流通路35の断面輪郭S1の長手方向の長さL1は、内容物の粘度や、1回当たりの吐出量等を勘案して決定でき、例えば、3〜20mmが好ましく、8〜15mmがより好ましい。
主壁部32同士の間隔、即ち流通路35の断面輪郭S1の幅W1は、吐出孔36のスリット長さ、流通路35の体積、内容物の粘度等を勘案して決定でき、例えば、1〜4mmが好ましく、1.5〜2.5mmがより好ましい。1mm未満であると、内容物の吐出自体が困難であり、4mm超であると、内容物を均一な扇状に吐出しにくかったり、吐出距離を確保できないおそれがある。
【0017】
吐出孔36が形成されている位置の側壁部34の厚さT1は、薄すぎると側壁部34の耐久性が不十分となり、厚すぎると扇状の吐出形状が得られない場合がある。従って、厚さT1は、側壁部34の材質等を勘案して決定でき、例えば、0.1〜3mmとされる。
吐出孔36の幅d1は、断面輪郭S1の幅W1よりも短ければよく、内容物の粘度や、1回当たりの吐出量等を勘案して決定でき、例えば、流通路35の断面輪郭S1の幅W1の1/3以下とすることが好ましく、1/8〜1/3がより好ましい。幅d1が幅W1の1/3以下であれば、内容物の吐出形状をより均一な扇状にできると共に、吐出距離を適度に確保できる。
【0018】
吐出孔36が形成された側壁部34内面の曲率は、流通路35の断面輪郭S1の長さL1等を勘案して決定でき、例えば、曲率半径r=1〜10mmが好ましく、3〜7mmがより好ましい。曲率半径rが1〜10mmであれば、内容物の吐出形状をより均一な扇状にできる。
【0019】
吐出孔36のスリット長さは、吐出容器1の用途等を勘案して決定できる。本実施形態において、吐出孔36のスリット長さは、側壁部34の内面の曲率半径rの仮想中心O(図4(a))と吐出孔36の一方の開口端部37とを結ぶ線と、仮想中心Oと吐出孔36の他方の開口端部38とを結ぶ線とのなす角度(開孔角)θが180°となるものとされている。
【0020】
蓋体2の材質は、吐出ノズル10の材質と同様である。
蓋体2は、略半球状の頂部と、頂部の下方周縁から下方に連設された略円筒状の下筒部とからなり、開口部に吐出ノズル10を収容しつつ、装着部12と嵌合するものである。
【0021】
容器本体4の材質は、吐出ノズル10の材質と同様である。
容器本体4は、有底円筒状とされ、その上部に口部が形成されたものである。容器本体4の口部に装着部12が嵌合されることで、容器本体4内と流通路35とは、供給路25を介して連通されたものとなる。
【0022】
次に、本発明の吐出ノズル10を装着した吐出容器1の使用態様について、図1、4を用いて説明する。なお、図1における符号Pは、容器本体4の軸線、即ち供給路25と容器本体4内部との連通方向、かつ容器本体4の略中央を通る線である。
まず、蓋体2を外し、ノズル付きキャップ3を上方とした状態(常態)で、内容物を収容した容器本体4を手指で把持する。
内容物は、液体であれば特に限定されず、例えば、液体洗浄剤、消毒液等が挙げられる。内容物の粘度は、特に限定されないが、例えば、10〜200mPa・sが好ましい。内容物の粘度は、株式会社東京計器製のBL型回転式粘度計を用い、以下に示す測定条件で測定できる。
<測定条件>
ローター:No.2、60rpm、60秒
【0023】
次いで、容器本体4を把持したまま、ノズル付きキャップ3が下方となるように、軸線Pを水平線に対し傾ける。この際、容器本体4内の内容物は、容器本体4の口部を流れ、供給路25に至る。
ノズル付きキャップ3を下方に向けたまま、吐出孔36を被塗布物に向け、軸線Pに直交する方向から容器本体4を押圧する。容器本体4を押圧すると、容器本体4内の体積の減少分に応じて、容器本体4内の内容物が供給路25に流されると共に、供給路25内の内容物が供給路25から流通路35に押し出される。
流通路35の流通方向F1に直交する断面積が、供給路25の流通方向F1に直交する断面積より小さいため、流通路35内での内容物は、供給路25内での内容物よりも速い線速度となる。そして、流通路35を吐出孔36に向けて流通した内容物は、側壁部32の内面に衝突しつつ、吐出孔36が形成された側壁部34内面の曲面に従って、扇状に広がって吐出される。さらに、側壁部34の外周が、側壁部34内面と同様の曲面とされているため、内容物は、吐出孔36を通流する際にその流れが乱されることなく、扇状の吐出形状で吐出される。
【0024】
上述のとおり、本発明によれば、流通路内では、内容物の線速度が高められると共に、吐出孔が形成された側壁部に衝突して一時的に内圧が高められる。加えて、吐出孔が形成されている側壁部内面が曲面とされているため、内圧が高まった状態の内容物は、断面輪郭S1の長手方向の干渉が少ない状態で、吐出孔の形状に従って扇状に広がって吐出される。
【0025】
本発明は上述の実施形態に限定されることはない。
上述の実施形態では、開孔角θが180°とされているが、開孔角は、これに限定されず、例えば90〜180°の範囲で決定することが好ましく、130〜180°の範囲で決定することがより好ましい。開孔角を130〜180°とすることで、内容物の吐出形状をより幅広くかつ均一な扇状にできる。
【0026】
このような吐出ノズルとしては、例えば、図5に示す吐出ノズル50のように、開孔角を95°としたものが挙げられる。以下、吐出ノズル50について、図5を用いて説明する。なお、図5において、吐出ノズル10(図2〜4)と同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、吐出ノズル50は、ノズル本体部20と、天壁部22に立設された吐出部60とを備えるものである。
吐出部60は、天壁部22に立設された2つの主壁部62と、主壁部62の周縁に連設された側壁部64とで構成され、主壁部62は互いに略並行かつ離間して設けられている。こうして吐出部60の内部には、内容物の流通方向に直交する断面輪郭S1が、主壁部62を長手方向、側壁部64を短手方向とする略矩形状とされ、吐出ノズル50の先端61側の内面が、断面輪郭S1の長手方向の略中央に向かって、流通方向に円弧状に膨出する曲面とされる流通路65が形成されている。加えて、側壁部64には、断面輪郭S1の長手方向に伸びるスリット状の吐出孔66が形成され、側壁部64は、吐出孔66が形成されている位置の内面が、主壁部62の内面に略垂直なものとされている。
【0027】
この吐出ノズル50は、吐出孔66が形成された側壁部64内面の曲率が、6.5mmとされたものであり、側壁部64の内面の曲率半径r1の仮想中心O1(図5(e))と吐出孔66の一方の開口端部67とを結ぶ線と、仮想中心O1と吐出孔36の他方の開口端部68とを結ぶ線とのなす開孔角θが95°とされている。
【0028】
上述の実施形態では、流通路の流通方向に直交する断面輪郭が略矩形とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、断面輪郭の各頂点が隅切とされていてもよいし、アールが形成されていてもよい。主壁部と、吐出孔が位置する側壁部との接合部分においては、アール面とされていないことが好ましい。
【0029】
上述の実施形態では、装着部が設けられているが、本発明はこれに限定されず、装着部を設けずに、吐出ノズルと容器本体とを直接接合してもよい。
【0030】
上述の実施形態では、軸線Pと内容物の吐出方向とが略同方向とされているが、例えば、図6に示す吐出容器100のように、容器本体4の軸線Pと吐出方向とが直交するように吐出ノズル10が設けられたものであってもよい。
吐出容器100は、容器本体4の口部にノズル付きキャップ103が設けられたものであり、ノズル付きキャップ103は、装着部112と、装着部112の上方に立設された有蓋円筒状の導出部114と、吐出部10とで構成されている。導出部114の内径は、内容物の性状等を勘案して決定でき、例えば、5〜20mmφが好ましく、7〜15mmがより好ましい。
吐出容器100の使用態様は、吐出容器1の使用態様と同様であり、ノズル付きキャップ103を下方とし、吐出孔36を被塗布物に向けた状態で容器本体4を押圧することで、内容物を扇状に吐出することができる。
吐出容器100の形態とすることで、例えば、腰掛式便器の開口部周縁の折り返し部分等に対し、容易に内容物を塗布することができる。
【0031】
上述の実施形態では、吐出ノズルと装着部とからなるノズル付きキャップを用いているが、例えば、ノズル付きキャップには、容器本体内部に垂下されたディップチューブが供給路に連設されていてもよい。このようなディップチューブを設けることで、容器本体を常態としたまま、内容物を吐出できる。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
図6に示す吐出容器100と同様の吐出容器を下記仕様にて作製し、容器本体に下記仕様の内容物を500mL充填したものを用意した。この吐出容器の容器本体を把持し、ノズル付きキャップを下方にした状態で、容器本体を把持した手指で押圧して、内容物を吐出させた。
<吐出容器仕様>
導入部の内径:11mmφ
側壁部内面の曲率半径r:5mm
吐出孔形成位置の側壁部の厚さT1:1.5mm
流通路の断面輪郭の長さL1:10mm
流通路の断面輪郭の幅W1:2mm
供給路の直径R1:11mm
吐出孔の幅d1:0.5mm
吐出孔の開孔角:180°
容器本体:最大内径40mmφ、高さ200mm、内容量500mL、ポリエチレン製
【0034】
<内容物>
内容物には、「トイレのルック消臭EX」(商品名、ライオン株式会社製)を用いた。この内容液の粘度は100mPa・sで、主成分は界面活性剤(アルキルアミンオキイド)、グリコール酸であった。
【0035】
(比較例1)
吐出ノズルを図8に示す吐出ノズル210とした以外は、実施例1と同様にして吐出容器を作製した。図8に示すように、吐出ノズル210は、略円筒状の周壁部212と、周壁部212の上方に連設されたドーム状の天壁部214とからなるものである。天壁部214の内面を、内容物の流通方向に突出した曲率半径2.5mmの球面とし、周壁部212の内部径R2を5mmφとした。天壁部214の厚さT2を4.5mmとし、天壁部214には、その先端を通る、幅d2=0.4mm、開孔角=180°のスリット状の吐出孔236を形成した。
この吐出容器について、実施例1と同様にして内容物を吐出させた。
【0036】
(比較例2)
吐出ノズルを図9に示す吐出ノズル310とした以外は、実施例1と同様にして吐出容器を作製し、実施例1と同様にして内容物を吐出させた。
吐出ノズル310は、図9に示すように、吐出部330における吐出孔336が形成された流通路335の縦断面を略台形にしたものである。吐出ノズル310は、略円筒状の周壁部24と周壁部24の上部に連設された天壁部22とからなるノズル本体部20と、天壁部22に立設された吐出部330とを備えるものである。吐出部330は、天壁部22に立設された略台形の2つの主壁部332と、主壁部332の周縁に連設された側壁部334とで構成され、主壁部332は互いに略並行かつ離間して設けられている。こうして吐出部330の流通路335は、流通方向F3に直交する断面輪郭S3(図9(d))が主壁部332を長手方向、側壁部334を短手方向とする略矩形とされ、かつ、縦断面が下底より上底が短い略台形とされている。加えて、側壁部334には、断面輪郭S3の長手方向に伸びるスリット状の吐出孔336が形成され、側壁部334は、吐出孔336が形成されている位置の内面が、主壁部332の内面に略垂直なものとされている。吐出ノズル310の仕様は、下記の通りである。
【0037】
<吐出ノズルの仕様>
吐出孔形成位置の側壁部の厚さT3:1.2mm
流通路の断面輪郭S3の長さL3:10mm
流通路の断面輪郭S3の幅W3:2mm
縦断面の上底長さL4:5.0mm
縦断面の上底から下底までの距離H:4.5mm
供給路の径R3:11mm
吐出孔の幅d3:0.4mm
容器本体:最大内径40mmφ、高さ200mm、内容量500mL、ポリエチレン製
【0038】
図7は、実施例1の吐出容器における内容物の吐出形状を撮影した写真であり、図10は、比較例1の吐出容器における内容物の吐出形状を撮影した写真であり、図11は、比較例2の吐出容器における内容物の吐出形状を撮影した写真である。なお、図7、10〜11は、便宜上、ノズル付きキャップを上方にした状態で掲載した。
図7に示すように、本発明の吐出ノズルを適用した実施例1の吐出容器は、内容物が扇状に吐出され、吐出距離も十分であった。
一方、図10に示すように、比較例1の吐出容器では、吐出直後は内容物が広がるものの、短距離で合一してしまい、扇状の形状で被塗布物に塗布することができなかった。
また、図11に示すように、比較例2の吐出容器では、流通路の縦断面の上底両端に相当する箇所で液膜が割れてしまい、内容物を扇状に吐出できなかった。
【符号の説明】
【0039】
1、100 吐出容器
4 容器本体
10、50 吐出ノズル
31、61 先端
32、62 主壁部
34、64 側壁部
35、65 流通路
36、66 吐出孔
37、38、67、68 開口端部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を内容物として収容する容器本体に装着され、前記容器本体の内部と連通し前記内容物が流通する流通路と、前記流通路を流通した液体を吐出する吐出孔が先端側に形成された吐出ノズルにおいて、
前記流通路は、離間して略平行に設けられた主壁部と、主壁部の周縁に連設された側壁部とで形成されると共に、前記内容物の流通方向に直交する断面輪郭が、前記主壁部を長手方向、前記側壁部を短手方向として形成され、
前記吐出孔は、前記側壁部に形成された、前記断面輪郭の長手方向に延びるスリット状とされ、
前記吐出孔の幅は、前記断面輪郭の短手方向の長さよりも短くされ、
前記側壁部は、前記吐出孔が形成された位置の内面が、前記断面輪郭の長手方向の略中央に向かって、前記内容物の流通方向に円弧状に膨出する曲面とされると共に、前記主壁部の内面に略垂直なものとされていることを特徴とする吐出ノズル。
【請求項2】
前記吐出孔が形成された前記側壁部は、その外面が、前記側壁部の内面に沿った円弧状の曲面とされると共に、厚み(mm)が、前記側壁部の内面の曲率半径より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の吐出ノズル。
【請求項3】
前記吐出孔は、一方の開口端部と前記曲率半径の仮想中心とを結ぶ線と、他方の開口端部と前記仮想中心とを結ぶ線とがなす角度が90〜180°であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吐出ノズル。
【請求項4】
前記吐出孔の幅は、前記断面輪郭の短手方向の長さの1/3以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吐出ノズル。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項の吐出ノズルと、有底筒状の容器本体とを備えることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−189316(P2011−189316A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59324(P2010−59324)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】