説明

吐出器

【課題】紛失の恐れや一時的に保管するといった煩わしさがないうえ、必要時にワンタッチ操作で内容物の吐出防止を容易に図ること。
【解決手段】内容物が充填される容器2の口部2aに装着され、上方に向けて突出した突出筒12を有する装着キャップ3と、該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム20を有するポンプ部4と、内容物を吐出する吐出開口33aを有し、ステムの上端に固定される押下ヘッド5と、を備え、突出筒には、押下ヘッドの下端に接触して下方移動を規制するロック位置P1と、押下ヘッドの下端との接触を回避して下方移動を許容するリリース位置との間を、径方向に沿って往復移動可能な可動部16が設けられている吐出器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出器の1つとして、容器の口部に装着され、内部にポンプを保持するキャップと、このキャップから上方に突出する昇降可能な噴出パイプ(ステム)の先端に取り付けられ、押し下げ操作されるノズル付きのヘッドと、を備えた吐出器が知られている(特許文献1参照)。この吐出器によれば、ヘッドの押し下げにより噴出パイプを押し込むことで、ポンプを介して内容物を吸い上げ、ノズルから内容物を吐出させることが可能とされている。
【0003】
特にこの従来の吐出器は、不使用時に誤って内容物が吐出されてしまうことを防止するために、ヘッドの上方をカバーするストッパが装着可能とされている。このストッパは、噴出パイプを利用してワンタッチで装着することができるようになっており、主にヘッドの上方をカバーすることで押し下げ操作を不能にしている。これにより、不使用時における内容物の吐出を未然に防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ストッパは、着脱可能な部品であるため紛失してしまう可能性が高かった。仮に紛失してしまうと、ヘッドの押し下げ操作を不能することができないので、不使用時に誤って内容物を吐出させてしまう恐れがあった。
また、使用時には、ストッパを取り外す必要があるので、取り外したストッパを一時的に保管しなければならない。従って、ストッパを保管する手間が必要となってしまい、煩わしさを感じるものであった。
【0006】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、紛失の恐れや一時的に保管するといった煩わしさがないうえ、必要時にワンタッチ操作で内容物の吐出防止を容易に図ることができる吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係る吐出器は、内容物が充填される容器の口部に装着され、上方に向けて突出した突出筒を有する装着キャップと、該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプ部と、前記ポンプ部によって移送された前記内容物を外部に吐出する吐出開口を有し、前記ステムの上端に固定される押下ヘッドと、を備えた吐出器であって、前記突出筒には、前記押下ヘッドの下端に接触して下方移動を規制するロック位置と、押下ヘッドの下端との接触を回避して下方移動を許容するリリース位置との間を、径方向に沿って往復移動可能な可動部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る吐出器においては、突出筒に設けられている可動部をロック位置又はリリース位置にセットすることで、押下ヘッドの下方移動を規制又は許容することができる。具体的に説明すると、内容物を吐出する場合には、まず、可動部を押下ヘッドの下端との接触が回避されるリリース位置に移動させる。これにより、押下ヘッドを押し下げて下方移動させると共に、これに伴ってポンプ部のステムを下方移動させることができる。その結果、ポンプ部によって移送された内容物を押下ヘッドの吐出開口を通じて外部に吐出させることができる。
一方、吐出器を使用しない場合には、可動部をリリース位置から径方向に沿って移動させ、ロック位置にセットする。これにより、仮に押下ヘッドを押し下げようとしても、可動部が押下ヘッドの下端に接触して下方移動を規制するので、押下ヘッドを下方移動させることができない。従って、誤って内容物が吐出されてしまうことを防ぐことができる。
【0009】
このように、可動部をロック位置又はリリース位置にセットするだけの簡単な操作で押下ヘッドの下方移動を制御でき、内容物の吐出制御を行うことができる。特に、未使用時には、可動部をロック位置にセットするだけのワンタッチ操作で内容物の吐出防止を容易に図ることができるので非常に使い易い。また、可動部は、装着キャップの突出筒に設けられている(一体成形されている)ので、別部材として形成されていた従来のものとは異なり紛失の恐れや一時的に保管するといった煩わしさがない。よって、この点においても、使い易く利便性に優れている。
【0010】
本発明に係る吐出器は、上記本発明の吐出器において、前記突出筒が、周方向に一部分断された固定壁を備え、前記可動部が、前記固定壁の分断部分に配設されると共に径方向に移動可能な可動壁と、該可動壁と固定壁との間を連結すると共に可動壁の移動に伴って径方向に反転変形して、可動壁を前記ロック位置と前記リリース位置とのいずれかに保持させる反転変形壁と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る吐出器においては、径方向に移動可能な可動壁と、該可動壁と固定壁とを連結する反転変形壁とで可動部が構成されており、可動壁をロック位置又はリリース位置に移動させることで押下ヘッドの下方移動を規制又は許容することができる。特に、可動壁と固定壁とを連結する反転変形壁は、可動壁の移動に伴って径方向に反転変形するので、可動壁をロック位置又はリリース位置のいずれかの位置に保持させておくことが可能である。つまり、可動壁をロック位置又はリリース位置にセットすると、次に移動させるまでは可動壁をそのままの状態にしておくことができる。
よって、使用中に不意に押下ヘッドの下方移動が規制されたり、未使用時に不意に押下ヘッドの下方移動が許容されたりしてしまうことを防止することができる。従って、作動の信頼性をより高めた吐出器にすることができる。
【0012】
本発明に係る吐出器は、上記本発明の吐出器において、前記可動壁には、該可動壁を径方向に移動させる摘み部が設けられ、前記押下ヘッドには、下方移動時に前記摘み部との干渉を防ぐスリットが形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る吐出器においては、摘み部を利用して可動壁を径方向に移動させ、ロック位置又はリリース位置にセットすることができるので、操作性を向上することができより使い易い。また、押下ヘッドには、摘み部との干渉を防ぐスリットが形成されているので、下方移動時には摘み部をスリット内に入り込ませることができる。従って、摘み部に何ら影響されることなく、内容物を吐出させることができる。
特に、摘み部がスリット内に入り込むので、押し下げ操作中に押下ヘッドが周方向に回ってしまうことを防止することができる。従って、吐出開口の向きを安定させた状態で内容物を吐出させることができる。
【0014】
本発明に係る吐出器は、上記本発明の吐出器において、前記摘み部が、前記スリット内に常時入り込み、前記押下ヘッドの周方向への回転を規制していることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る吐出器においては、押下ヘッドの押し下げ操作に関係なく、摘み部が常時スリット内に入り込んでおり、押下ヘッドの周方向への回転を規制している。従って、押し下げ前の段階であっても押下ヘッドを回り止めすることができる。よって、押下ヘッドの取り付けに緩みやがたつき等が発生してしまうことを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る吐出器は、上記本発明の吐出器において、前記押下ヘッドが、前記突出筒の径方向外側に被さるように配設されていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る吐出器においては、押下ヘッドが突出筒の径方向外側に被さるように配設されているので、押下ヘッドと突出筒との隙間から内部に水分や塵埃等が侵入し難い。よって、吐出器の品質を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吐出器によれば、紛失の恐れや一時的に保管するといった煩わしさがなく、必要時に可動部をワンタッチ操作するだけで内容物の吐出防止を容易に図ることができる。従って、非常に使い易く利便性に優れた吐出器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る吐出器の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出器の側面図であって、摘み部とスリットとの関係を示した図である。
【図3】図1に示す吐出器を構成する装着キャップの斜視図である。
【図4】図1に示す吐出器の断面矢視A−A図である。
【図5】図1に示す状態から、可動部を径方向内方に移動させてリリース位置にセットした状態を示す縦断面図である。
【図6】図5に示す状態から、押下ヘッドを押し下げた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る吐出器の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
本実施形態の吐出器1は、図1及び図2に示すように、内容物が充填される容器2の口部2aに装着される有底筒状の装着キャップ3と、この装着キャップ3に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム20を有するポンプ部4と、ステム20の上端に固定される押下ヘッド5と、を備えている。
【0021】
ここで、容器2、装着キャップ3及びステム20のそれぞれの中心軸は、共通軸上に位置している。本実施形態では、この共通軸を中心軸Oといい、中心軸O方向に沿って押下ヘッド5側を上側、容器2の図示されない底部側を下側といい、また中心軸Oに直交する方向を径方向といい、さらに中心軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0022】
装着キャップ3は、中央部に円形の開口が形成された天壁部10と、この天壁部10の外周縁部から下方に向けて延設された周壁部11と、天壁部10の内周縁部から上方に向けて突出するように延設された突出筒12と、で一体的に構成されている。
周壁部11の内周面には、雌ねじ部が形成されており、この雌ねじ部を口部2aに形成された雄ねじ部に螺着することにより、装着キャップ3が容器2に装着されている。
【0023】
突出筒12は、図3及び図4に示すように、周方向に一部分断された上面視略C形状の固定壁15と、径方向に沿って往復移動可能な可動部16と、で構成されている。この可動部16は、押下ヘッド5の下端に接触して下方移動を規制するロック位置P1と、押下ヘッド5の下端との接触を回避して下方移動を許容するリリース位置P2と、の2点間を往復移動可能とされている。
より詳細に説明すると、この可動部16は、固定壁15の分断部分に配設されると共に径方向に移動可能な可動壁16aと、この可動壁16aと固定壁15との間を連結すると共に、可動壁16aの移動に伴って径方向に反転変形して可動壁16aを上述したロック位置P1又はリリース位置P2のいずれかに保持させる反転変形壁16bと、で構成されている。
【0024】
つまり、可動壁16aをロック位置P1又はリリース位置P2に移動させることで、押下ヘッド5の下方移動を規制又は許容するようになっている。なお、本実施形態のロック位置P1は、可動壁16aが径方向外方に引き出された位置で、且つ、可動壁16a及び反転変形壁16bの一部が押下ヘッド5の後述する外筒32の真下にくる位置とされている。一方、リリース位置P2は、ロック位置P1から径方向内方に移動した(可動壁16aが径方向内方に押し込まれた)位置とされている。
【0025】
反転変形壁16bは、固定壁15との連結部分を基点として反転変形するようになっており、可動壁16aが移動しない限り、変形した状態を維持するようになっている。そのため、上述したように可動壁16aをロック位置P1又はリリース位置P2のいずれかに保持させたままにしておくことが可能とされている。
【0026】
また、可動壁16aには、該可動壁16aを径方向に移動させ、ロック位置P1又はリリース位置P2のいずれかの位置にセットさせるための摘み部17が一体に突設されている。この摘み部17は、上下方向に延在し、可動壁16aから径方向外方に突設されたプレート17aと、このプレート17aの外側端部に連設され、周方向に延在した爪部17bと、で構成されている。この摘み部17を利用して可動壁16aを径方向に移動させることができるので、非常に操作し易く、使い勝手に優れた設計となっている。
【0027】
ポンプ部4は、図1及び図2に示すようにステム20と、内部にステム20の下部が上下動自在に配設されたシリンダ21と、シリンダ21の内部において上下摺動自在に配設された図示されないピストン部材と、このステム20及びピストン部材を上方に向けて付勢する図示されない付勢部材と、を備えている。
ステム20の上部は、シリンダ21の上端よりも上方に位置し、且つ、装着キャップ3の突出筒12内に配設され、さらにその上端部は突出筒12の上端よりも上方に位置している。シリンダ21は、円筒状に形成されると共に中心軸Oと同軸に配設されている。シリンダ21の上端には、全周に亘ってフランジ部21aが径方向の外側に向けて突設されており、このフランジ部21aが、装着キャップ3の天壁部10の下面と口部2aの開口端縁とによりパッキン22を介して上下方向に挟み込まれて固定されるようになっている。シリンダ21の下端部内には、パイプ23の上端部が嵌合されており、このパイプ23の下端開口部が容器2内の底部に位置している。
【0028】
押下ヘッド5は、頂壁部30と、頂壁部30の下面における中央部から下方に向けて延設された内筒31と、頂壁部30の外周縁から下方に向けて延設され、内筒31を径方向の外側から囲繞する外筒32と、外筒32の外周面から径方向の外側に向けて突設され、内筒31の内部に連通するノズル部33と、を備えている。
ポンプ部4のステム20の上端部は、内筒31内に入り込んだ形で嵌合されており、互いに内部が連通している。従って、内筒31を介してステム20の内部とノズル部33の内部とが連通するようになっている。これにより、ポンプ部4によって移送された内容物をノズル部33の先端に形成される吐出開口33aから外部に吐出することが可能とされている。
【0029】
外筒32は、突出筒12の径方向外側に被さるように配設されている。また、この外筒32には、摘み部17のプレート17aが入り込み、下方移動時に摘み部17との干渉を防ぐスリット34が形成されている。本実施形態では、下方移動時だけでなくプレート17aがスリット34内に常時入り込み、押下ヘッド5の周方向への回転を規制している。よって、ノズル部33の位置は、常時同じ方向に向くように設計されている。
なお、本実施形態では、突出筒12の外周面と外筒32の内周面との径方向間に隙間が設けられている場合を例にしているが、突出筒12の外周面と外筒32の内周面とが摺接するように構成することも可能である。
【0030】
次に。このように構成された吐出器1を利用して内容物を吐出する場合について、説明する。
はじめに、図5に示すように、可動壁16aがリリース位置P2にセットされ、押下ヘッド5が下方移動可能な状態であることを確認する。仮に、図1に示すように可動壁16aがロック位置P1にセットされている場合には、図4に示すように摘み部17を押し込んで可動壁16aを径方向内方に移動させ、リリース位置P2にセットする。この際、摘み部17を利用して可動壁16aを移動させることができるので、操作し易い。しかも、爪部17bに指先を押し当てながら可動壁16aを押し込めるので、非常に操作性に優れている。
ところで、反転変形壁16bは、可動壁16aの移動に伴って径方向に反転変形し、可動壁16aをリリース位置P2に留めておく。そのため、再度可動壁16aを移動させるまでは、可動壁16aをリリース位置P2にセットしたままの状態にしておくことができる。従って、不意に押下ヘッド5の下方移動が規制されてしまうことを防止することができる。
【0031】
次いで、図5に示すように可動壁16aがリリース位置P2にセットされていることを確認した後、図6に示すように押下ヘッド5を押し下げて下方移動させる。すると、この移動に伴ってステム20が下方に向けて移動させられる。また、このステム20の移動に連係して、ピストン部材がシリンダ21の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ21内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ21内の内容物がステム20内に進入して該ステム20内を上方に向けて移動した後、ノズル部33内に流れ込む。その結果、ノズル部33の吐出開口33aから内容物を吐出させることができる。
【0032】
ところで、押下ヘッド5を下方移動させている間、押下ヘッド5の外筒32に形成されているスリット34に摘み部17のプレート17aが入り込むので、この摘み部17に何ら影響されることなく内容物を確実に吐出させることができる。特に、摘み部17のプレート17aがスリット34内に入り込むことで、押し下げ操作中に押下ヘッド5が周方向に回ってしまうことを防止することができる。従って、ノズル部33の向き、即ち、吐出開口33aの向きを安定させた状態で内容物を吐出することができる。
しかも、本実施形態の摘み部17のプレート17aは、図1及び図2に示すように、押下ヘッド5を押し下げる前の時点でスリット34内に入り込んでおり、押下ヘッド5の周方向への回転を規制している。つまり、押下ヘッド5を回り止めしている。従って、使用時において押下ヘッド5が回転することなく、安定した吐出操作を行うことができる。
【0033】
なお、押下ヘッド5の外筒32を突出筒12の固定壁15に対して摺動可能に接触(摺接)させた場合には、押し下げた際に押下ヘッド5にがたつきやブレ等が発生してしまうことをより確実に抑えることができる。
【0034】
なお、内容物を吐出させた後、押下ヘッド5の押し下げを解除すると、付勢部材の上方付勢力によりステム20と共にピストン部材がシリンダ21の内周面に摺接しつつ上方に移動する。これにより、シリンダ21内が減圧され、容器2内に収容されている内容物がパイプ23を通してシリンダ21内に吸い上げられる。これにより、次の吐出に備えることができる。
【0035】
一方、吐出器1を使用しない場合には、摘み部17を引き出して可動壁16aを径方向外方に移動させ、図1に示すようにロック位置P1にセットする。この際、爪部17bに指先を引っ掛けながら可動壁16aを引き出すことができるので、リリース位置P2にセットする場合と同様に非常に操作性に優れている。
また、反転変形壁16bは、可動壁16aの移動に伴って径方向外方に反転変形し、可動壁16aをロック位置P1に留めておく。そのため、やはり再度可動壁16aを移動させるまでは、可動壁16aをロック位置P1にセットしたままの状態にしておくことができる。従って、不意に押下ヘッド5の下方移動が許容されてしまうことを防止することができる。
【0036】
このように、可動壁16aをロック位置P1にセットすることで、仮に押下ヘッド5を押し下げようとしても、可動壁16a及び反転変形壁16bの一部が押下ヘッド5の外筒32の下端に接触して下方移動を規制するので、押下ヘッド5を下方移動させることができない。従って、誤って内容物が吐出されてしまうことを防ぐことができる。
【0037】
上述したように、本実施形態の吐出器1によれば、可動壁16aをロック位置P1又はリリース位置P2にセットするだけの簡単な操作で押下ヘッド5の下方移動を制御でき、内容物の吐出制御を行うことができる。
特に、未使用時には、可動部16をロック位置P1にセットするだけのワンタッチ操作で内容物の吐出防止を容易に図ることができるので、非常に使い易い。更に、可動壁16a及び反転変形壁16bからなる可動部16が装着キャップ3の突出筒12に設けられているので、従来のものとは異なり、紛失の恐れや一時的に保管しておくといった煩わしさがない。よって、この点においても、非常に使い易く利便性に優れている。
【0038】
また、上述したように、反転変形壁16bが可動壁16aをロック位置P1又はリリース位置P2に保持させるので、使用中に不意に押下ヘッド5の下方移動が規制されたり、未使用時に不意に押下ヘッド5の下方移動が許容されたりしてしまうことを防止することができる。従って、作動の信頼性が高い吐出器1とすることができる。
また、押下ヘッド5は、突出筒12の径方向外側に被さるように配設されているので、押下ヘッド5の外筒32と突出筒12との隙間から内部に水分や塵埃等が侵入し難い構造に設計されている。従って、高品質な吐出器1とすることができる。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、内容物を液状で吐出するポンプ部4を例に挙げて説明したが、空気シリンダ及び空気ピストンを構成に加え、内容物を泡状に吐出するフォーマーポンプとしても構わないし、内容物を霧状に吐出するスプレーポンプとしても構わない。
【0041】
また、上記実施形態では、可動壁16aを径方向内方に押し込むことでリリース位置P2にセットされ、径方向外方に引き出すことでロック位置P1にセットされるように構成したが、これとは逆に、可動壁16aを径方向内方に押し込むことでロック位置P1にセットされ、径方向外方に引き出すことでリリース位置P2にセットされるように構成しても構わない。
【0042】
また、上記実施形態では、可動壁16aと反転変形壁16bとで可動部16を構成した場合を例に挙げて説明したが、可動壁がなく、円弧状の反転変形壁の中央部に摘み部が突設された構成であっても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏することができる。いずれにしても、ロック位置P1とリリース位置P2との間を径方向に沿って往復移動可能に可動部が構成されていれば良い。
また、上記実施形態において、可動部16をロック位置P1にセットした際に、少なくとも可動部16の一部(可動壁16a或いは反転変形壁16bの少なくとも一方)が押下ヘッド5の下端に接触するように構成されていれば良い。更に、ロック位置P1にセットした際、摘み部17(爪部17b)を押下ヘッド5の下端に接触させることで、押下ヘッド5の下方移動を規制するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0043】
P1…ロック位置
P2…リリース位置
1…吐出器
2…容器
2a…口部
3…装着キャップ
4…ポンプ部
5…押下ヘッド
12…突出筒
15…固定壁
16…可動部
16a…可動壁
16b…反転変形壁
17…摘み部
20…ステム
33a…吐出開口
34…スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填される容器の口部に装着され、上方に向けて突出した突出筒を有する装着キャップと、該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有するポンプ部と、前記ポンプ部によって移送された前記内容物を外部に吐出する吐出開口を有し、前記ステムの上端に固定される押下ヘッドと、を備えた吐出器であって、
前記突出筒には、前記押下ヘッドの下端に接触して下方移動を規制するロック位置と、押下ヘッドの下端との接触を回避して下方移動を許容するリリース位置との間を、径方向に沿って往復移動可能な可動部が設けられていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出器において、
前記突出筒は、周方向に一部分断された固定壁を備え、
前記可動部は、前記固定壁の分断部分に配設されると共に径方向に移動可能な可動壁と、該可動壁と固定壁との間を連結すると共に可動壁の移動に伴って径方向に反転変形して、可動壁を前記ロック位置と前記リリース位置とのいずれかに保持させる反転変形壁と、を備えていることを特徴とする吐出器。
【請求項3】
請求項2に記載の吐出器において、
前記可動壁には、該可動壁を径方向に移動させる摘み部が設けられ、
前記押下ヘッドには、下方移動時に前記摘み部との干渉を防ぐスリットが形成されていることを特徴とする吐出器。
【請求項4】
請求項3に記載の吐出器において、
前記摘み部は、前記スリット内に常時入り込み、前記押下ヘッドの周方向への回転を規制していることを特徴とする吐出器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出器において、
前記押下ヘッドは、前記突出筒の径方向外側に被さるように配設されていることを特徴とする吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−202209(P2010−202209A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46872(P2009−46872)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】