説明

吐出素子の駆動回路、液体吐出装置及び画像形成装置

【課題】電源ノイズを低減し、電磁放射ノイズを抑制することができる吐出素子の駆動回路を提供する。
【解決手段】駆動波形信号を生成する駆動波形信号生成手段と、振幅及びデューティ比が一定で位相又は周波数が互いに異なる複数の搬送波信号を生成する搬送波信号生成手段と、前記駆動波形信号を前記複数の搬送波信号とそれぞれ比較して複数のパルス変調信号に変換するパルス化変調手段と、プッシュプル接続された2つのトランジスタで構成される出力段を有し、前記複数のパルス変調信号をそれぞれ電力増幅するデジタル電力増幅手段と、前記電力増幅された複数のパルス変調信号をそれぞれ平滑して複数の駆動信号を生成する平滑手段と、液体吐出ヘッドの複数の容量性負荷の吐出素子に駆動信号を供給する供給手段であって、前記液体吐出ヘッドを構成する複数のヘッドモジュール毎に前記複数の駆動信号をそれぞれ供給する供給手段とを備えた吐出素子の駆動回路によって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出素子の駆動回路、液体吐出装置及び画像形成装置に係り、特に駆動電源のノイズ低減及び電磁放射ノイズを抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ピエゾアクチュエータ(圧電素子)を用いたインクジェット式プリンタは、インクジェットヘッドに、複数のノズルと、この複数のノズルに対応してそれぞれ設けられた複数個のアクチュエータとが備えられている。
【0003】
これら複数個のアクチュエータを選択的に駆動することで、各アクチュエータの動圧に基づいてノズルからインク滴を吐出させる。この吐出したインク滴を記録用紙に付着させることで記録用紙上にドットを形成し、印刷を行う。
【0004】
ここで、従来のインクジェットヘッドの駆動回路について、図13を用いて説明する。
【0005】
駆動回路の動作としては、まず駆動波形を記憶した記憶素子(不図示)からデジタルデータ列を順次読み出し、D/Aコンバータ401によりアナログ信号に変換する。次に、変換したアナログ信号をオペアンプ402で増幅する。オペアンプ402の出力には、プッシュプル接続された1対のパワートランジスタからなるブースト回路が接続されており、大きな出力電流を流せるリニア電力増幅回路403が構成されている。これは、インクジェットヘッド内部の複数のピエゾアクチュエータに対して駆動パルス信号を与えたときに、この複数のピエゾアクチュエータの静電容量を充放電するための大きな電流を瞬間的に流す必要があるためである。
【0006】
インクジェットヘッド410の各ヘッドモジュール411内部では、各ノズルに対応したピエゾアクチュエータ412が形成され、個々にアナログスイッチ413が接続されている。個々のアナログスイッチ413には、リニア電力増幅回路403が駆動信号を出力するタイミングに同期して画像データが入力され、その画像データにしたがって各スイッチがそれぞれON/OFFされる。このように個々のピエゾアクチュエータ412への駆動信号の接続を選択することで、インク吐出パターンが形成され、選択したピエゾアクチュエータ412に対応したノズルからインク滴が吐出し、記録用紙に画像が印刷される。
【0007】
ヘッドモジュール411にはノズルが多数形成されているため、駆動基板400からの信号を1つの駆動系統1本でまとめ、駆動基板400とインクジェットヘッド410をインターフェースしている。前述したように、駆動系統1本に送信される駆動信号は、画像データ(ドット)に応じたアナログスイッチ413の切換により、各ノズルに対応するピエゾアクチュエータ412へ送られ、インクの吐出が行われる。
【0008】
一方、上記のような駆動波形信号から駆動信号を生成する場合には、電力増幅するブースト回路がアナログ信号によるリニア駆動であるため、効率が低い。したがって、プッシュプル接続された2対のトランジスタ自体の発熱と素子の大型化、及びその冷却手段が必要となり、回路規模が大きくなるという欠点がある。
【0009】
この解決策として、図14に示すように、駆動波形信号をパルス化変調してデジタル信号で電力増幅し、増幅後に駆動信号を復調してインクジェットヘッドのピエゾアクチュエータに出力する方法がある。
【0010】
この方法は、制御部により記録素子から読み出されたデータをD/Aコンバータ(不図示)でアナログ信号に変換し、ピエゾアクチュエータを駆動する駆動波形信号を生成する。この生成された駆動波形信号はパルス化変調器421にて搬送波の三角波信号と比較され、パルスデューティからなる信号にパルス変調される。このパルス変調信号は、ゲートドライバ回路422を通じてデジタル電力増幅回路423で増幅される。電力増幅されたパルス変調信号は平滑フィルタ424で平滑化され、駆動信号としてピエゾアクチュエータ412に供給される。
【0011】
このようにデジタル電力増幅回路は、デジタルのロジック信号でスイッチング動作させる増幅方式である。したがって、スイッチON時の瞬間以外はトランジスタに大電流が流れないので、効率性に優れている。また電力損失が低いため、トランジスタの発熱が小さくなり、放熱手段に関わる負担を軽減できる特徴を持っている。
【0012】
ここで、デジタル電力増幅回路は、ピエゾアクチュエータを駆動する駆動信号を駆動出力部からフィードバックすることで、波形振幅を30V程度に増幅している。ピエゾアクチュエータは容量性負荷であるため、それらが1つの系統に接続されていると、充放電に必要な電流容量は(容量/1ノズル)×ノズル数となり、大電流となる。したがって、スイッチング動作が行われることで、急激な電源電流が瞬時にトランジスタを流れ、電源電圧の変動を誘発する。
【0013】
また、パルス周期に応じたスイッチングノイズが放射電磁ノイズ(EMI)を引き起こす他、さらには変調回路の基準電位の変動、波形振動(リンギング)等の信号品質にも影響を及ぼすという問題がある。
【0014】
ここで、スイッチングノイズ電圧Vnは、主に電流切り換えの遷移速度di/dtと浮遊インダクタンスLに比例して発生する。
【0015】
Vn=L×di/dt … (式1)(di:電流、dt:時間)
素早いスイッチング動作は、より大きなdi/dtを発生させ、結果として電流ループ内に存在する浮遊インダクタンスLの両端に、より大きなノイズ電圧Vnを誘起する。トランジスタに流入するノイズの量が限界を超えると、想定外のタイミングでオンしたり、ジッターが発生したりするなどして、システム性能の劣化や誤動作という結果を招く。これらは、インクジェットプリンタの記録方式によってさらに問題を大きくする。
【0016】
例えば、インクジェットヘッドを搭載するキャリッジ(移動体)を搬送方向と交差する方向に移動させて印刷するマルチパス方式に対し、記録用紙の搬送方向と交差する方向に複数のインクジェットヘッドを配置したものや、用紙幅全域に長尺なインクジェットヘッドを備え、1パスで印刷するラインプリンタでは、多くのスイッチング動作が同時に起こり、駆動波形品質または周辺回路に誤動作を与えかねない。また、複数の色を印刷する際にはさらに色数倍の同時スイッチング動作が起こり、システム装置全体の放射電磁ノイズが大きくなる。
【0017】
このような電源変動や電磁放射ノイズの問題点に対し、特許文献1では、複数の圧電体を時分割駆動して、駆動回路の瞬時電流と瞬時電力の低減を図る方法を提案している。これは圧電体をグループ分けし、グループを駆動する所定の位相差を持った任意波形発生手段と接続することで実現を図っている。
【0018】
特許文献2では、高速スイッチングやスイッチング損失の低減する課題に対し、パルス変調によるデジタル電力増幅の駆動方式を用いて、駆動アクチュエータ数に応じてパルス変調のキャリア周波数を調整することで、スイッチング損失の低減を図っている。具体的には駆動アクチュエータ数が少ないときはキャリア周波数を高くしてキャリア周波数成分の漏れを低減し、駆動アクチュエータ数が多いときにはキャリア周波数を低くしてスイッチング損失の低減を図っている。また、高速スイッチング時は、駆動電流を複数のトランジスタに分散させて大電流駆動を可能としている。
【0019】
特許文献3では、ヘッド駆動信号の電圧値の変動を抑制する課題に対し、デジタル電力増幅器への電源電圧に応じて変調信号を補正する手段を備えることを提案している。具体的には、変調信号の補正手段として、駆動波形信号の補正或いは三角波信号の振幅を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平6−127034号公報
【特許文献2】特開2008−49698号公報
【特許文献3】特開2008−132765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、特許文献1の技術では、圧電体を時分割駆動するために、圧電体によって液滴吐出するタイミングがそれぞれ異なり、記録画像にムラやバラツキが生じるほか、印字速度に制限がかかるなどの問題がある。
【0022】
また、特許文献2では、複数の駆動増幅回路を実装した場合には、その間で同時スイッチングする確率が高くなり、電源変動が発生する可能性がある。
【0023】
さらに、特許文献3においても、複数のアクチュエータを駆動する場合、瞬時に大電流が流れることから、デジタル電力増幅器の電源電圧に応じて調整するには応答性の面から難がある。また、駆動するアクチュエータ数によってもバラツキの影響が大きい。さらに、複数の駆動回路が共通の電源を用いている場合には、他の駆動回路の影響を受けやすくなるなど問題が多い。
【0024】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、電源ノイズを低減し、電磁放射ノイズを抑制することができる吐出素子の駆動回路、液体吐出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記目的を達成するために請求項1に記載の吐出素子の駆動回路は、駆動波形信号を生成する駆動波形信号生成手段と、振幅及びデューティ比が一定で位相又は周波数が互いに異なる複数の搬送波信号を生成する搬送波信号生成手段と、前記駆動波形信号を前記複数の搬送波信号とそれぞれ比較して複数のパルス変調信号に変換するパルス化変調手段と、プッシュプル接続された2つのトランジスタで構成される出力段を有し、前記複数のパルス変調信号をそれぞれ電力増幅するデジタル電力増幅手段と、前記電力増幅された複数のパルス変調信号をそれぞれ平滑して複数の駆動信号を生成する平滑手段と、液体吐出ヘッドの複数の容量性負荷の吐出素子に駆動信号を供給する供給手段であって、前記液体吐出ヘッドを構成する複数のヘッドモジュール毎に前記複数の駆動信号をそれぞれ供給する供給手段とを備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項1に記載の発明によれば、振幅及びデューティ比が一定で位相又は周波数が互いに異なる複数の搬送波信号を生成し、この複数の搬送波信号と駆動波形信号とをそれぞれ比較して複数のパルス変調信号に変換し、それぞれ電力増幅するようにしたので、電力増幅のスイッチング動作が異なるタイミングで行われることになり、装置全体の瞬時電流を小さくすることができ、ノイズレベルを低減し、かつエネルギー分散による放射電磁ノイズを軽減することができる。
【0027】
請求項2に示すように請求項1に記載の吐出素子の駆動回路において、前記搬送波信号生成手段は、単一の発振回路と、該発振回路の出力信号に基づく信号を設定された位相遅延量でそれぞれ遅延させる複数の遅延回路とを備え、該複数の遅延回路の出力信号に基づいて前記複数の搬送波信号を生成することを特徴とする。
【0028】
これにより、適切に位相の異なる複数の搬送波信号を生成することができる。
【0029】
請求項3に示すように請求項1に記載の吐出素子の駆動回路において、前記搬送波信号生成手段は複数の発振回路を備え、該複数の発振回路の出力信号に基づいて前記複数の搬送波信号を生成することを特徴とする。
【0030】
これにより、適切に周波数の異なる複数の搬送波信号を生成することができる。
【0031】
請求項4に示すように請求項3に記載の吐出素子の駆動回路において、前記複数の発振回路は、出力信号の発振周波数を決定するための抵抗値を切り替えるための切り替え手段と、前記切り替え手段を制御する抵抗値制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0032】
これにより、各発振回路の発振周波数を適切に決定することができる。
【0033】
請求項5に示すように請求項2から4のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路において、前記発振回路は、三角波信号を生成する三角波発振回路であることを特徴とする。
【0034】
吐出素子の駆動回路には、搬送波として三角波信号を用いることができる。
【0035】
請求項6に示すように請求項1から5のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路において、前記搬送波信号生成手段は、生成した複数の搬送波信号から各パルス化変調手段に出力する搬送波信号を選択する選択手段と、前記選択手段を制御する選択制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0036】
これにより、各パルス化変調手段に出力する搬送波信号を、生成した複数の搬送波信号の中から適切に選択することができる。
【0037】
請求項7に示すように請求項1から6のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路において、生成する搬送波信号の位相情報又は周波数情報を取得する取得手段を備え、前記搬送波信号生成手段は、前記取得した情報に基づいて前記複数の搬送波信号を生成することを特徴とする。
【0038】
これにより、外部から複数の搬送波信号の位相又は周波数をコントロールすることができる。
【0039】
請求項8に示すように請求項1から7のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路において、前記搬送波信号生成手段が生成する前記複数の搬送波信号の位相情報又は周波数情報を出力する出力手段を備えたことを特徴とする。
【0040】
これにより、複数の搬送波信号の位相情報又は周波数情報を知ることができる。
【0041】
請求項9に示すように請求項1から8のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路において、前記吐出素子は、ピエゾアクチュエータであることを特徴とする。
【0042】
吐出素子として、ピエゾアクチュエータを用いることができる。
【0043】
前記目的を達成するために請求項10に記載の液体吐出装置は、液体が吐出される複数のノズルと、該複数のノズルからそれぞれ液体を吐出するための複数の吐出素子と、を有する複数のヘッドモジュールから構成される液体吐出ヘッドと、請求項1から9のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路とを備えたことを特徴とする。
【0044】
請求項10に記載の発明によれば、液体が吐出される複数のノズルと、該複数のノズルからそれぞれ液体を吐出するための複数の吐出素子と、を有する複数のヘッドモジュールから構成される液体吐出ヘッドと、請求項1から9のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路とを備えたので、複数のノズルから液体を吐出させた場合であっても、装置全体の瞬時電流が小さくなり、ノイズレベルを低減し、かつエネルギー分散による放射電磁ノイズを軽減することができる。
【0045】
前記目的を達成するために請求項11に記載の画像形成装置は、請求項10に記載の液体吐出装置と、入力された画像データに応じて各吐出素子の駆動の有無を選択する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0046】
請求項11に記載の発明によれば、請求項10に記載の液体吐出装置と、入力された画像データに応じて各吐出素子の駆動の有無を選択する制御手段とを備えたので、画像データに応じて画像を形成する場合であっても、装置全体の瞬時電流が小さくなり、ノイズレベルを低減し、かつエネルギー分散による放射電磁ノイズを軽減することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、装置全体の瞬時電流を小さくすることができ、ノイズレベルを低減し、かつエネルギー分散による放射電磁ノイズを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】インクジェット記録装置の構成例を示す全体構成図
【図2】ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図3】ヘッドの他の構造例を示す平面透視図
【図4】液滴吐出素子の立体的構成を示す断面図
【図5】インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【図6】第1の実施形態の駆動回路システムを説明するための図
【図7】三角波信号生成回路の一例を示す図
【図8】三角波信号生成回路の一例を示す図
【図9】駆動増幅回路の内部構成を示す図
【図10】パルス変調信号を説明するための図
【図11】ヘッドモジュールの内部構成を示す図
【図12】三角波信号生成回路の一例を示す図
【図13】従来のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図
【図14】従来のインクジェットヘッド駆動回路の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0050】
<インクジェット記録装置の構成例>
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す全体構成図である。同図に示すように、本例のインクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部(プレコート部)114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122から構成されている。
【0051】
インクジェット記録装置100は、描画部116の圧胴(描画ドラム170)に保持された記録媒体124(以下、便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成するシングルパス方式のインクジェット記録装置であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
【0052】
(給紙部)
給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されており、給紙部112の給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。記録媒体124として、紙種や大きさ(用紙サイズ)の異なる複数種類の記録媒体124を使用することができる。給紙部112において各種の記録媒体をそれぞれ区別して集積する複数の用紙トレイ(不図示)を備え、これら複数の用紙トレイの中から給紙トレイ150に送る用紙を自動で切り換える態様も可能であるし、必要に応じてオペレータが用紙トレイを選択し、若しくは交換する態様も可能である。なお、本例では、記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
【0053】
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
【0054】
処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム(「プレコート胴」とも言う)154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、記録媒体124を保持し、回転搬送させるドラムである。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
【0055】
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124
に塗布することができる。
【0056】
本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
【0057】
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
【0058】
(描画部)
描画部116は、描画ドラム(「描画胴」或いは「ジェッティング胴」とも言う)170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。描画ドラム170に固定された記録媒体124は、記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yからインクが付与される。
【0059】
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列(2次元配列ノズル)が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
【0060】
インクジェットヘッド172M、172K、172C、172Yの吐出タイミングは、描画ドラム170に配置された回転速度を検出するエンコーダ(不図示)に同期させる。これにより、高精度に着弾位置を決定することができる。
【0061】
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
【0062】
なお、本例では、MKCYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0063】
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
【0064】
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、図1に示すように、乾燥ドラム(「乾燥胴」とも言う)176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0065】
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。
【0066】
各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
【0067】
また、乾燥ドラム176の表面温度は50℃以上に設定されている。記録媒体124の裏面から加熱を行うことによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができる。なお、乾燥ドラム176の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム176の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75度以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
【0068】
乾燥ドラム176の外周面に、記録媒体124の記録面が外側を向くように(即ち、記録媒体124の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)記録媒体124を保持し、回転搬送しながら乾燥することで、記録媒体124のシワや浮きの発生を防止でき、これらに起因する乾燥ムラを確実に防止することができる。
【0069】
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
【0070】
(定着部)
定着部120は、定着ドラム(「定着胴」とも言う)184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
【0071】
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
【0072】
ハロゲンヒータ186は、所定の温度(例えば、180℃)に制御される。これにより、記録媒体124の予備加熱が行われる。
【0073】
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ188は、定着ドラム184に対して圧接するように配置されており、定着ドラム184との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧(例えば、0.15MPa)でニップされ、定着処理が行われる。
【0074】
また、定着ローラ188は、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度(例えば60〜80℃)に制御される。この加熱ローラで記録媒体124を加熱することによって、インクに含まれるラテックスのTg温度(ガラス転移点温度)以上の熱エネルギーが付与され、ラテックス粒子が溶融される。これにより、記録媒体124の凹凸に押し込み定着が行われるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、光沢性が得られる。
【0075】
なお、図1の実施形態では、定着ローラ188を1つだけ設けた構成となっているが、画像層厚みやラテックス粒子のTg特性に応じて、複数段設けた構成でもよい。
【0076】
一方、インラインセンサ190は、記録媒体124に記録された画像(テストパターンなども含む)について、吐出不良チェックパターンや水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。
【0077】
上記の如く構成された定着部120によれば、乾燥部118で形成された薄層の画像層内のラテックス粒子が定着ローラ188によって加熱加圧されて溶融されるので、記録媒体124に固定定着させることができる。また、定着ドラム184の表面温度は50℃以上に設定されている。定着ドラム184の外周面に保持された記録媒体124を裏面から加熱することによって乾燥が促進され、定着時における画像破壊を防止することができるとともに、画像温度の昇温効果によって画像強度を高めることができる。
【0078】
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、UV露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有していてもよい。この場合、インクジェット記録装置100は、ヒートローラによる熱圧定着部(定着ローラ188)の代わりに、記録媒体124上のインクにUV光を露光するUV露光部を備える。このように、UV硬化性樹脂などの活性光線硬化性樹脂を含んだインクを用いる場合には、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
【0079】
(排紙部)
図1に示すように、定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。搬送ベルト196による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体124は無端状の搬送ベルト196間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト196の回転によって排出トレイ192の上方に運ばれてくる。
【0080】
また、図1には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
【0081】
<インクジェットヘッドの構成例>
次に、インクジェットヘッドの構造について説明する。各色に対応するインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
【0082】
図2(a) はヘッド250の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)はその一部の拡大図である。また、図3はヘッド250の他の構造例を示す平面透視図、図4は記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル251に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2中のA−A線に沿う断面図)である。
【0083】
図2に示すように、本例のヘッド250は、インク吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)253をマトリクス状に2次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0084】
記録媒体124の送り方向(矢印S方向)と略直交する方向(矢印M方向)に記録媒体124の描画領域の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(a) の構成に代えて、図3(a)に示すように、複数のノズル251が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール250’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体124の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成する態様や、図3(b)に示すように、ヘッドモジュール250”を一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
【0085】
なお、記録媒体124の全面を描画範囲とする場合に限らず、記録媒体124の面上の一部が描画領域となっている場合(例えば、用紙の周囲に非描画領域(余白部)を設ける場合など)には、所定の描画領域内の描画に必要なノズル列が形成されていればよい。
【0086】
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル251への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0087】
図4に示すように、ヘッド250は、ノズル251が形成されたノズルプレート251Aと圧力室252や共通流路255等の流路が形成された流路板252P等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート251Aは、ヘッド250のノズル面(インク吐出面)250Aを構成し、各圧力室252にそれぞれ連通する複数のノズル251が2次元的に形成されている。
【0088】
流路板252Pは、圧力室252の側壁部を構成するとともに、共通流路255から圧力室252にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口254を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図4では簡略的に図示しているが、流路板252Pは一枚又は複数の基板を積層した構造である。
【0089】
ノズルプレート251A及び流路板252Pは、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
【0090】
共通流路255はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に供給される。
【0091】
圧力室252の一部の面(図4において天面)を構成する振動板256には、個別電極257を備えたピエゾアクチュエータ258が接合されている。本例の振動板256は、ピエゾアクチュエータ258の下部電極に相当する共通電極259として機能するニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)から成り、各圧力室252に対応して配置されるピエゾアクチュエータ258の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
【0092】
個別電極257に駆動電圧を印加することによってピエゾアクチュエータ258が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、ピエゾアクチュエータ258が元の状態に戻る際、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
【0093】
かかる構造を有するインク室ユニット253を図2(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル251が一定のピッチP=Ls/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
【0094】
また、本発明の実施に際してヘッド250におけるノズル251の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。例えば、図2で説明したマトリクス配列に代えて、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
【0095】
なお、インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、ピエゾアクチュエータ(圧電素子)に限らず、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
【0096】
<制御系の説明>
図5は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。
インクジェット記録装置100は、通信インターフェース270、システムコントローラ272、メモリ274、モータドライバ276、ヒータドライバ278、プリント制御部280、画像バッファメモリ282、ヘッドドライバ284等を備えている。
【0097】
通信インターフェース270は、ホストコンピュータ286から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース270にはCAN(Controller Area Network)、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワーク等のシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ286から送出された画像データは通信インターフェース270を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦メモリ274に記憶される。
【0098】
メモリ274は、通信インターフェース270を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ272を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ274は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0099】
システムコントローラ272は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ272は、通信インターフェース270、メモリ274、モータドライバ276、ヒータドライバ278等の各部を制御し、ホストコンピュータ286との間の通信制御、メモリ274の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ288やヒータ289を制御する制御信号を生成する。
【0100】
ROM290には各種制御プログラムや各種のパラメータ等が格納されており、システムコントローラ272の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。
【0101】
メモリ274は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0102】
モータドライバ276は、システムコントローラ272からの指示に従ってモータ288を駆動するドライバである。図5では、装置内の各部に配置される様々なモータを代表して符号288で図示している。
【0103】
ヒータドライバ278は、システムコントローラ272からの指示に従って、ヒータ289を駆動するドライバである。図5では、装置内の各部に配置される様々なヒータを代表して符号289で図示している。
【0104】
プリント制御部280は、システムコントローラ272の制御に従い、メモリ274内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドット画像データ)をヘッドドライバ284に供給する制御部である。
【0105】
ドット画像データは、一般に多階調の画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(例えば、RGB各色について8ビットの画像データ)をインクジェット記録装置100で使用するインクの各色の色データ(本例では、MKCYの色データ)に変換する処理である。
【0106】
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して誤差拡散法や閾値マトリクス等の処理で各色のドットデータ(本例では、MKCYのドットデータ)に変換する処理である。
【0107】
プリント制御部280において所要の信号処理が施され、得られたドットデータに基づいて、ヘッドドライバ284を介してヘッド250のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0108】
プリント制御部280には画像バッファメモリ282が備えられており、プリント制御部280における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ282に一時的に格納される。また、プリント制御部280とシステムコントローラ272とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0109】
ヘッドドライバ284には、ヘッド250の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0110】
本例に示すインクジェット記録装置100は、ヘッド250の各ピエゾアクチュエータ258に対して、共通の駆動波形信号を印加し、各ピエゾアクチュエータ258の吐出タイミングに応じて各ピエゾアクチュエータ258の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、各ピエゾアクチュエータ258に対応するノズル251からインクを吐出させる駆動方式が採用されている。
【0111】
印字検出部224は、インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yの各ヘッドにおいて記録媒体124に記録された画像の読み取り、読取データの処理等を行い、所定の情報をシステムコントローラ272へ提供する機能ブロックである。印字検出部224は、図1に図示したインラインセンサ190が含まれる。
【0112】
エンコーダ277は、描画ドラム170の回転速度を検出するものであり、例えば光電方式のロータリエンコーダが用いられる。システムコントローラ272は、エンコーダ277からの信号に基づいて描画ドラム170の回転速度を算出し、算出した回転速度に基づいて各色のインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのノズル251の吐出タイミング信号を生成し、プリント制御部280へ供給する。プリント制御部280では所定パルス数の遅延をカウントして、図9に示す定着ドラム184のエンコーダ信号を生成する。
【0113】
なお、図5で説明したシステムコントローラ272が担う処理機能の全て又は一部をホストコンピュータ286側に搭載する態様も可能である。
【0114】
<ヘッドの駆動回路の詳細>
次に、本発明に係るインクジェットヘッド駆動回路システムの実施形態について説明する。
【0115】
図6は、本実施形態に係るインクジェットヘッド駆動回路システムを説明するための図であり、図5に示すプリント制御部280、ヘッドドライバ284、及びヘッド250の各部の構成の詳細を示している。
【0116】
プリント制御部280は、制御部300、駆動波形信号生成回路310、バッファ群320、三角波信号生成回路330、及びバッファ群340を備えている。
【0117】
制御部300は、プリント制御部280を統括制御するものであり、ここでは主に駆動波形信号と三角波信号の生成を制御している。
【0118】
駆動波形信号生成回路310は、図示しないメモリから読み出した駆動波形信号データをD/Aコンバータによりアナログ信号に変換し、駆動波形信号を生成する。駆動波形信号は、ヘッド250の各ピエゾアクチュエータ258に供給される共通の駆動信号の基となる信号であり、ここでは約100kHzの信号が生成される。駆動波形信号生成回路310の出力信号は4つのバッファ320−1、320−2、320−3、及び320−4に入力され、その出力信号はそれぞれヘッドドライバ284へ入力される。
【0119】
三角波信号生成回路330は、パルス変調用の複数の搬送波を生成するものである。ここでは、4つの三角波信号発生器330−1、330−2、330−3、330−4を備え、それぞれ数MHzの固有の三角波信号を生成する。この4つの三角波信号は、それぞれ4つのバッファ340−1、340−2、340−3、340−4に入力され、その出力信号はそれぞれヘッドドライバ284へ入力される。
【0120】
ここで、各固有の三角波信号とは、振幅及びデューティ比が一定で、位相が異なる信号や、周波数が異なる信号を指す。また、デューティ比が一定とは、電位が上昇する時間と電位が下降する時間の比が一定であることを指す。すなわち、「三角波信号」という語句は、いわゆる鋸波信号を含んだ概念として用いている。
【0121】
固有の三角波信号を位相の異なる信号とする場合は、発振信号に遅延回路(ディレイライン)を通し、設定された遅延量で出力生成すればよい。例えば、図7に示すように、基準三角波信号である三角波発振回路332の出力信号に対し、遅延回路1によって所定の遅延量を持たせて1つ目の三角波信号を生成し、バッファ340−1へ出力する。遅延量としては、例えば数10nsとすることが考えれらるが、適宜決めればよい。
【0122】
遅延回路1は2つの出力を有し、もう一方の出力は、遅延回路2に入力される。遅延回路2では、遅延回路1の出力信号に対し、所定の遅延量を持たせて2つ目の三角波信号を生成し、バッファ340−2へ出力する。以下同様に、遅延回路2の出力信号に対し、遅延回路3によって3つ目の三角波信号を生成し、遅延回路3の出力信号に対し、遅延回路4によって4つ目の三角波信号を生成する。
【0123】
このように、位相の異なる4つの三角波信号を生成することができる。この方法によれば、三角波信号の生成が容易であるため、後段の駆動増幅回路350の増設が容易になるという特徴がある。
【0124】
また、固有の三角波信号を周波数の異なる信号とする場合は、必要とする三角波信号の数だけ三角波発振回路を用意し、それぞれの三角波発振回路の出力周波数が異なるように構成すればよい。例えば、三角波信号発生器330−1〜330−4のぞれぞれを、図8に示す自励三角波発振回路とすることができる。
【0125】
三角波信号の周波数は、抵抗336−1〜336−4のうちスイッチ338−1〜338−4がONして接続されたもの及び抵抗336−5の合成抵抗値と、コンデンサ337の容量値との時定数により決まる。したがって、制御部300において、三角波信号発生器330−1〜330−4のそれぞれのスイッチ338−1〜338−4のON/OFFを制御することで、それぞれ異なる周波数の三角波信号を生成すればよい。
【0126】
なお、このようなスイッチを用いずに、予めそれぞれ異なる抵抗値でそれぞれの三角波発振回路を構成しておいてもよいのはもちろんである。
【0127】
さらに、三角波信号生成回路330として、デジタル処理にてプログラマブルにアナログ波形を生成するダイレクト・デジタル・シンセサイザ(Direct Digital Synthesizer, DDS)を用いてもよい。例えば、ホストコンピュータ286から周波数や位相に関する複数の波形データ及びコントロールデータ等のコマンドデータを送信する。三角波信号生成回路330は、制御部300を介してこれらのデータを受信し、受信したデータに基づいてデジタル処理にて複数の三角波信号を生成する。
【0128】
このように生成された4つの固有の三角波信号は、それぞれバッファ340−1、340−2、340−3、340−4を介してヘッドドライバ284に入力される。
【0129】
ヘッドドライバ284は、単一の電源で駆動される4つの駆動増幅回路350−1、350−2、350−3、及び350−4を備えており、それぞれバッファ320−1〜320−4の出力信号及びバッファ340−1〜340−4の出力信号が入力される。
【0130】
各駆動増幅回路350−1〜350−4の内部構成は同様となっており、図9に、駆動増幅回路350−1の内部構成を示す。同図に示すように、駆動増幅回路350−1は、駆動信号増幅器351、パルス化変調器352、ゲートドライバ353、デジタル電力増幅部354、平滑フィルタ355等から構成される。
【0131】
駆動波形信号生成回路310において生成された駆動波形信号は、バッファ320−1を介して駆動信号増幅器351に入力され、増幅された後パルス化変調器352に入力される。また、三角波信号生成回路330−1において生成された三角波信号は、バッファ340−1を介してパルス化変調器352に入力される。
【0132】
パルス化変調器352は、入力された駆動波形信号を搬送波である三角波信号と比較し、パルスデューティからなる信号にパルス変調する。
【0133】
ここで、パルス変調信号について、図10を用いて説明する。図10(a)は、駆動波形信号Pを三角波信号P1と比較したパルス変調信号P1を、図10(b)は、図10(a)と同じ駆動波形信号Pを、三角波信号P1とは位相の異なる三角波信号P2と比較したパルス変調信号P2を示している。
【0134】
図10に示すように、同一の駆動波形信号Pに対してそれぞれ異なる三角波信号でパルス変調を行うと、それぞれ異なるパルス変調信号、即ちロジック電位の切り替えタイミング(HからL及びLからH)がそれぞれ異なるパルス変調信号が生成される。4つの駆動増幅回路350−1〜350−4には、それぞれ固有の三角波信号が入力されているため、各パルス化変調器352で生成されるパルス変調信号は、それぞれ異なったものとなる。
【0135】
パルス変調信号は、ゲートドライバ353を介してデジタル電力増幅部354に入力される。デジタル電力増幅部354は、プッシュプル接続された2つのNチャネルFETと、それぞれのNチャネルFETと並列に接続された保護用ダイオードによって構成されている。
【0136】
パルス変調信号は、デジタル電力増幅部354により電力増幅される。ここで、前述したように、4つの駆動増幅回路350−1〜350−4の各パルス化変調器352で生成されるパルス変調信号は、それぞれ異なったものとなる。そのため、それぞれのデジタル電力増幅部354のプッシュプル接続された2つのNチャネルFETは、スイッチング動作が異なるタイミングで行われる。
【0137】
したがって、同時にスイッチング動作が行われる場合よりも、装置全体の瞬時電流が小さくなる。その結果、ヘッドドライバ284を駆動する電源の電流供給能力も、より小さいもので済むという利点がある。さらに、スイッチ動作のタイミングがずれることで、ノイズレベルが低減し、かつエネルギー分散による放射電磁ノイズも軽減される。
【0138】
デジタル電力増幅部354において電力増幅されたパルス変調信号は、平滑フィルタ355に入力される。平滑フィルタ355は、コイルとコンデンサの組合せからなるローパスフィルタであり、パルス変調信号は、平滑フィルタ355により三角波信号の全ての周波数成分が除去される。その結果、平滑フィルタ355からは、変調前の駆動波形信号がそのまま増幅されて出力される。したがって、4つの駆動増幅回路350−1〜350−4において、それぞれ固有の三角波信号によって変調されたパルス変調信号は、全て同じ形状の駆動信号に復調される。
【0139】
この平滑化された駆動信号は、フィードバック抵抗356を介して駆動信号増幅部351に入力されるとともに、ヘッド250の対応するヘッドモジュール360に入力される。即ち、駆動増幅回路350−1の出力信号はヘッドモジュール360−1に、駆動増幅回路350−2の出力信号はヘッドモジュール360−2に、駆動増幅回路350−3の出力信号はヘッドモジュール360−3に、駆動増幅回路350−4の出力信号はヘッドモジュール360−4に入力される。
【0140】
各ヘッドモジュール360−1〜360−4の内部構成は同様となっており、図11に、ヘッドモジュール360−1の内部構成を示す。同図に示すように、ヘッドモジュール360−1は、各ノズル(不図示)に対応する多数のピエゾアクチュエータ258と、1つのピエゾアクチュエータ258に対して1つのアナログスイッチ364が設けられている。
【0141】
駆動増幅回路350−1から入力された駆動信号は、各ピエゾアクチュエータ258に供給可能に各アナログスイッチ364の入力部に入力される。アナログスイッチ364は、画像データによりON/OFFが制御され、その結果、各ピエゾアクチュエータ258の動作の有無が制御される。
【0142】
ここでは、ヘッドモジュール毎に駆動増幅回路を設け、駆動増幅回路毎に固有の三角波信号を用いる例を説明したが、ヘッドモジュールの数と駆動増幅回路の数が同一である必要は無い。例えば、各ヘッドモジュールが2つのハーフモジュールから構成される場合であれば、ハーフモジュール毎に駆動増幅回路を設けてもよい。また、各ヘッドモジュールのピエゾアクチュエータの数が少ない場合等には、複数のヘッドモジュールに対して1つの駆動増幅回路を設けるようにしてもよい。
【0143】
<その他の変形例>
三角波信号生成回路330は、マトリクス状の信号対出力ポートのスイッチを備えてもよい。例えば、図12に示すように、各バッファ340−1〜340−4の入力信号を選択可能となるように、各信号発生器330−1〜330−4の出力にスイッチ群339−1〜339−4を備え、このスイッチ群339−1〜339−4の各スイッチを制御部300から制御可能とする。このように構成することで、生成される複数の三角波信号から1つの三角波信号を選択し、該当する出力系統に切り替え出力することが可能となる。
【0144】
また、三角波信号生成回路330は、アドレスを有し、出力可能な三角波信号を固定するように構成してもよい。これにより、三角波信号発生器330を複数備えた場合であっても、互いに生成する三角波信号が固有となり、デジタル電力増幅器の同時スイッチングを管理することができる。
【0145】
また、各三角波信号発生器を自励三角波発振回路で構成する場合であって、インクジェットヘッドの数が多く、多数の駆動増幅回路を設けた場合には、個々に固有の三角波信号を用意することになるため、数に限界がある。そこで、各インクジェットヘッドの駆動アクチュエータ数が所定より少ない場合には、各駆動増幅回路へ出力する三角波信号を選択制御するようにしてもよい。
【0146】
例えば、通常は各駆動増幅回路350にはそれぞれ固有の三角波信号が入力されるように構成し、ある駆動増幅回路350が駆動するピエゾアクチュエータ258の数が所定の数より少ない場合には、その他の駆動増幅回路350でピエゾアクチュエータ258の駆動する数が少ないところと三角波信号を共用するように制御部300で制御する。これにより、使用しない信号発生器330を停止させることができ、過剰な信号発振をさせることなく、三角波信号間で発生する広帯域のノイズを低減することができる。
【0147】
また、三角波信号生成回路330が生成、出力している三角波の位相、周波数等の情報を、制御部300を介してホストコンピュータ286に出力し、当該情報の記録や、出力が可能となる機能を持たせてもよい。
【0148】
この機能は、各駆動増幅回路350に入力される三角波信号(搬送波)の波形情報を管理することを目的としている。現在、各駆動増幅回路350にどのような特性の三角波信号が入力されているかを、ホストコンピュータ286等の上位システムにおいて把握することで、各駆動増幅回路350のデジタル電力増幅部354の瞬時電流を算出し、表示することが可能となる。また、表示された値から、ユーザーが三角波信号生成回路330から各駆動増幅回路350への三角波信号の配分や共有状態を設定することが可能となり、駆動回路350間で発生する広帯域のノイズ成分を放射ノイズレベルと比較しなから調整することができる。
【0149】
さらに、波形情報に基づいて各駆動増幅回路350に入力する三角波信号を選択制御することで、各駆動増幅回路350の検査を効率化することができる。例えば、変調化されたパルス信号の整合性を測ることが容易になる。
【0150】
また、液体吐出異常が発生した際の状況把握をする際には、どの三角波信号の波形が使用されたか等、メンテナンス面で効果を得ることが可能となる。
【0151】
以上説明したように、本発明は複数のインクジェットヘッド或いは複数のノズル群の各々に対応した複数の駆動増幅回路を具備する液体吐出装置に関するもので、それぞれの駆動増幅回路のデジタル電力増幅器において、パルス化変調された駆動波形信号によってスイッチングするタイミングを駆動増幅回路毎に制御する回路システムである。
【0152】
この回路システムは、それぞれの駆動増幅回路のデジタル電力増幅器でスイッチングされるタイミングが異なるため、装置内の駆動増幅回路で同時に生じる瞬時電流を抑えることできるので、複数のインクジェットヘッドを駆動する際に発生する電源ノイズ及び電磁放射ノイズを抑制可能としている。
【符号の説明】
【0153】
100…インクジェット記録装置、250…ヘッド、258…ピエゾアクチュエータ、280…プリント制御部、284…ヘッドドライバ、310…駆動波形信号生成回路、330…三角波信号生成回路、334…遅延回路、350…駆動増幅回路、351…駆動信号増幅器、352…パルス化変調器、353…ゲートドライバ、354…デジタル電力増幅部、355…平滑フィルタ、360…ヘッドモジュール、364…アナログスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動波形信号を生成する駆動波形信号生成手段と、
振幅及びデューティ比が一定で位相又は周波数が互いに異なる複数の搬送波信号を生成する搬送波信号生成手段と、
前記駆動波形信号を前記複数の搬送波信号とそれぞれ比較して複数のパルス変調信号に変換するパルス化変調手段と、
プッシュプル接続された2つのトランジスタで構成される出力段を有し、前記複数のパルス変調信号をそれぞれ電力増幅するデジタル電力増幅手段と、
前記電力増幅された複数のパルス変調信号をそれぞれ平滑して複数の駆動信号を生成する平滑手段と、
液体吐出ヘッドの複数の容量性負荷の吐出素子に駆動信号を供給する供給手段であって、前記液体吐出ヘッドを構成する複数のヘッドモジュール毎に前記複数の駆動信号をそれぞれ供給する供給手段と、
を備えたことを特徴とする吐出素子の駆動回路。
【請求項2】
前記搬送波信号生成手段は、
単一の発振回路と、
該発振回路の出力信号に基づく信号を設定された位相遅延量でそれぞれ遅延させる複数の遅延回路と、
を備え、
該複数の遅延回路の出力信号に基づいて前記複数の搬送波信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項3】
前記搬送波信号生成手段は複数の発振回路を備え、該複数の発振回路の出力信号に基づいて前記複数の搬送波信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項4】
前記複数の発振回路は、
出力信号の発振周波数を決定するための抵抗値を切り替えるための切り替え手段と、
前記切り替え手段を制御する抵抗値制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項5】
前記発振回路は、三角波信号を生成する三角波発振回路であることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項6】
前記搬送波信号生成手段は、
生成した複数の搬送波信号から各パルス化変調手段に出力する搬送波信号を選択する選択手段と、
前記選択手段を制御する選択制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項7】
生成する搬送波信号の位相情報又は周波数情報を取得する取得手段を備え、
前記搬送波信号生成手段は、前記取得した情報に基づいて前記複数の搬送波信号を生成することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項8】
前記搬送波信号生成手段が生成する前記複数の搬送波信号の位相情報又は周波数情報を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項9】
前記吐出素子は、ピエゾアクチュエータであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路。
【請求項10】
液体が吐出される複数のノズルと、該複数のノズルからそれぞれ液体を吐出するための複数の吐出素子と、を有する複数のヘッドモジュールから構成される液体吐出ヘッドと、
請求項1から9のいずれかに記載の吐出素子の駆動回路と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の液体吐出装置と、
入力された画像データに応じて各吐出素子の駆動の有無を選択する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−45835(P2012−45835A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190930(P2010−190930)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】