説明

向上した、膜のモノ過硫酸塩処理

精密ろ過膜または限外ろ過膜等の多孔質ポリマー膜をモノ過硫酸塩の源およびハロゲン化物イオン、例えば塩化物および任意の塩基と接触させる工程を含む、多孔質ポリマー膜の水透過性を向上させる、および/または、多孔質ポリマー膜を洗浄する方法。モノ過硫酸の源は、硫酸水素カリウム、および、硫酸カリウムと併用されるモノ過硫酸カリウム、すなわち、化学式2KHSO5.KHSO4.K2SO4の三重塩であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性/親水性ポリマーブレンド膜の、水透過度の制御のための処理のための後処理方法、および、当該方法により調製された処理膜に関する。本発明はポリマー膜の洗浄にも適している。
【背景技術】
【0002】
以下の知識は共通の一般知識の状態の承認であるものとみなされるものではない。
【0003】
限外ろ過(UF)や精密ろ過(MF)の分野においては、様々な水のろ過への応用のために、合成ポリマー膜が公知となっている。膜の特性は膜の物理特性、すなわち、対称または非対称であるか、孔の形、孔の大きさ、および膜の化学的性質、並びに膜を形成するのに用いる材質に依存する。
【0004】
特に重要なのは膜の親水性または疎水性の性質である。
【0005】
疎水性表面は「水を嫌う」と定義され、親水性表面は「水を愛する」ものと定義される。
【0006】
親水性膜は、一般に疎水性膜より、吸着性の汚れを被ることがないことはよく認識されている。しかし、疎水性膜は、一般に、より良好な化学的、熱的、および生物学的安定性を有する。水ろ過膜の発展において、親水性膜の低い汚れ特性と、疎水性ポリマーの安定性を組み合わせることについて、長い間必要性が感じられていた。
【0007】
親水性および疎水性膜の両者の望ましい特性を有する多孔質ポリマー膜を調製する一つのアプローチは、単に、疎水性/親水性のポリマーの様々なブレンドから様々な膜を製造することのみであった。
【0008】
水透過性を増加させるための疎水性/親水性ブレンド膜の処理工程、例えば、ポリ(エーテルスルフォン)/ポリビニルピロリドン膜、ポリスルフォン/ポリビニルピロリドン膜、およびフッ化ポリビニリデンのCl2とのブレンド膜の処理については、例えば、米国特許第6,596,167号明細書に開示されるとおり、詳述されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,596,167号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本出願人は、また、先に他の酸化種、例えば、フェントン剤(Fenton’s agent)であって、ヒドロキシルラジカルの源となるものを使用して、疎水性/親水性ブレンド膜の水透過性を増加させようと試みてきた。
【0011】
しかし、技術分野においては、水透過性を増加させるために膜を処理するための単純な方法のための要求が存在する。これらの処理は膜の機械的または他の化学的特性を損なうことがないことが重要である。また、処理は可能な限りコスト効率に優れたものであることも重要である。さらに、水ろ過における多孔質ポリマー膜の広汎な利用を考えれば、処理が、潜在的に毒性のある、または、環境に優しくない種の膜環境への使用をもたらすことのないことが重要である。
【0012】
また、効率性の観点から、膜の処理方法が他の利点、例えば膜の洗浄についてのものを有することが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の態様によると、本発明は、ポリマーを、上記ポリマーを親水性にするために、モノ過硫酸塩の源およびハロゲン化物イオンと接触させる(ポリマーをHSO5-と接触させる)工程を含むポリマーを親水性化する方法である。
【0014】
より詳しくは、本発明は、多孔質ポリマー膜を、上記膜を親水性とするために、モノ過硫酸塩の源およびハロゲン化物イオンと接触させる(多孔質ポリマー膜をHSO5-と接触させる)工程を含む多孔質ポリマー膜の水透過性を向上させる方法に関する。
【0015】
別の態様においては、本発明は、洗浄の必要のある多孔質ポリマー膜を洗浄する方法であって、上記多孔質ポリマー膜をモノ過硫酸塩およびハロゲン化物イオンと接触させる工程を含む方法を提供する。
【0016】
より好ましくは、モノ過硫酸塩の源、ハロゲン化物イオン、および、緩衝液または塩基を使用する。ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオンが特に好ましい。pHを約7より上に維持することができるあらゆる緩衝液または塩基が適切である。例えば、水酸化物を使用してもよく、炭酸塩および重炭酸塩が好ましい緩衝液の例である。本方法の一つの特に好ましい実施態様は、膜をオキソン(2KHSO5.KHSO4.K2SO4の化学式を有する過硫酸塩の源)、塩化ナトリウム、および重炭酸塩の水溶液に接触させることを含む。
【0017】
本出願人は、膜の処理においてモノ過硫酸塩のみを使用することが、透水性を増加させ、膜を洗浄することを発見した。驚くことに、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物を添加することによって、方法の速度および効率が劇的に向上することが明らかになり、塩基または緩衝液の添加の方法により、それはさらに向上した。
【0018】
好ましくは、多孔質ポリマー膜は、精密ろ過膜または限外ろ過膜である。
【0019】
最も好ましくは、ポリマー膜は疎水性および親水性ポリマーのブレンドから調製される。
【0020】
適切な疎水性ポリマーは、フッ素ポリマー、ポリスルフォン様ポリマー、ポリイミド、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル等を含む。
【0021】
最も好ましいポリマーは、フッ化ポリビニリデン(PVdF)およびPVdFコポリマー等のフッ素ポリマーである。
【0022】
代替的な好ましい態様においては、疎水性ポリマーは、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、およびポリフェニルスルフォン等のポリスルフォン様ポリマーである。
【0023】
疎水性/親水性ポリマーブレンドにおいては、好ましくは、親水性ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)およびPVPコポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等である。最も好ましくは、親水性ポリマーは、水溶性ポリビニルピロリドン(PVP)およびPVPコポリマーである。
【0024】
多孔質ポリマー膜は、好ましくは、疎水性および親水性ポリマーのブレンドより調製される。膜調製前の、ポリマー中の、疎水性ポリマー/親水性ポリマーの比率は、10:1から0.5:1であってよい。好ましくは、比率は、5:1〜0.5:1であり、より好ましくは、3:1〜0.5:1である。実際に保持される(retained)疎水性ポリマーの量は親水性ポリマーの量より少ないため、比率は通常、最終ポリマーにおいてずっと大きいだろう。もし、膜が親水性であれば、その後、いくつかの親水性ポリマーは保持されたことになる。通常、ポリマーブレンド中の親水性ポリマーの高い比率は、結果として、最終ポリマー中における、より高い取込みレベルにつながる。
【0025】
本願明細書において議論される、疎水性/親水性膜については、親水性ポリマーまたはコポリマーは、膜に親水性を付与するのに十分な量において存在するものと理解される。例えば、PVdF/PVP多孔質ポリマー膜は膜に親水性を付与するのに十分なPVPを有するであろう。
【0026】
膜の好ましい形態は中空繊維膜、管状膜、または平板状膜である。
【0027】
膜は乾燥膜、湿潤膜、または再湿潤膜であってよい。膜は、個別のものであるか、または、束状に、または中空繊維モジュールまたはらせん状に巻かれたモジュール等のモジュール状に配置されていてもよい。
【0028】
最も好ましくは、疎水性親水性ブレンド膜はPVdF/PVPブレンド膜またはPVdF/PVPコポリマーブレンド膜である。好ましくは、これらの膜は、相反転(phase inversion)工程により形成され、最も好ましくは拡散誘起相分離(induced phase separation)により形成される。
【0029】
1の好ましい実施態様においては、膜は成形(casting)または押出の直後に処理される。好ましくは、これらの膜は、急冷浴において非溶媒と接触した、PVdF/PVP(またはPVdF/PVPコポリマー)溶媒ドープから成形され、さらに洗浄浴において洗浄され、新生湿潤膜を生産する。
【0030】
この好ましい実施態様においては、親水性化処理が新生湿潤膜上において実施される。この場合、新生湿潤膜は、処理工程を実施するために、モノ過硫酸塩源に接触される。最も好ましくは、モノ過硫酸塩はモノ過硫酸カリウムとして、および、好ましくは硫酸水素カリウム、および、硫酸カリウムとともに添加される。好ましくは、モノ過硫酸塩の濃度は0.1重量%〜10重量%の範囲、最も好ましくは0.2重量%〜5重量%の範囲にあります。
【0031】
代替的には、工程は乾燥膜上において実施してもよい。乾燥膜は好ましくは2つの工程の一つによって、すなわち、孔充填剤処理なしの直接乾燥を行うか、または、初めにグリセロール等の孔充填剤で処理した後、乾燥を行うことのいずれかにより調製してもよい。
【0032】
当該工程は、再湿潤膜上に行ってもよい。これらは、(孔充填剤と伴にか、なしで)乾燥された後、水または他の液体で再湿潤膜した膜である。
【0033】
添加剤は、モノ過硫酸塩/ハロゲン化物溶液中にも存在してよい。添加剤は、例えば、親水性ポリマーの酸化を促進し、または、そうでなければ、反応を触媒するために添加してよい。適切な添加剤は、有機酸、および/または、金属イオンを含む。理論に拘束されることを望むことなく、有機酸は親水性ポリマーの酸化性能を向上させることを可能にしていると信じられている。最も好ましい有機酸は、クエン酸である。理論に拘束されることを望むわけではないが、金属イオンはモノ過硫酸塩が、親水性ポリマーを酸化または架橋するための触媒であると信じられている。最も好ましい金属イオンは、Ni2+, Cu2+,およびFe2+である。上記添加剤の濃度は、0.01重量%と1重量%の間、最も好ましくは0.05重量%と0.5重量%の範囲にあってもよい。
【0034】
好ましくは、処理は5℃と95℃の間の温度で実施され、最も好ましくは、15℃と60℃の範囲で実施される。
【0035】
好ましくは、膜は、モノ過硫酸塩/ハロゲン化物溶液と接触がなされ、および、溶液を吸収することができる。好ましくは、溶液は、室温で、膜と少なくとも1時間、好ましくは、2時間より長く、または時には10時間より長く接触することが許容される。
【0036】
代替の好ましい態様においては、モノ過硫酸塩/ハロゲン化物溶液は1時間未満の間、40℃以上の温度で膜と接触することが許容される。
【0037】
別の実施態様においては、発明は、第一の態様の方法により調製された親水性化されたポリマーを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】様々な処理の後のPVdF繊維についての時間に対する透過度を示す図である。
【図2】様々な処理の後のPVdF/PVP繊維についての時間に対する透過度を示す図である。
【図3】オキソンと様々な緩衝液による処理の後のPVdF繊維についての時間に対する透過度を示す図である。
【図4】オキソンと様々な緩衝液による処理の後のPVdF/PVP繊維についての時間に対する透過度を示す図である。
【図5】21℃における処理の後の、汚れたPVdF/PVP繊維についての時間に対する透過度を示す図である。
【図6】4℃における処理の後の、汚れたPVdF/PVP繊維についての時間に対する透過度を示す図である。
【図7】21℃における様々なオキソン処理状態についての、時間に対する透過度の%増加を示す図である。
【図8】4℃における様々なオキソン処理状態についての、時間に対する透過度の%増加を示す図である。
【図9】塩化物イオン濃度の関数としての、透過度の増加を示す図である。
【図10】PVdFおよびPVdF/PVP膜についての、時間に対する膜透過度の変化を示す図である。
【図11】様々な温度における、PVdF膜についての、時間に対する膜透過度を示す図である。
【図12】様々な温度における、PVdF/PVP膜についての、時間に対する膜透過度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明は、PVdFおよびPVdF/PVPコポリマーブレンドに関して説明されるが、当業者にとって、疎水性/親水性ポリマー膜のあらゆるブレンドを使用できることは明らかである。発明は、1の市販品のモノ過硫酸塩である、デュポン社の専有財産であって、モノ過硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、および硫酸カリウムを含む製品オキソン(登録商標)の使用を参照することによっても説明される。しかし、ここでも、あらゆる、適切なモノ過硫酸塩源(HSO5-)を使用することができることは、当業者にとって理解されるべきであろう。当業者は、これらの例が発明を限定するものではないことを理解するであろうが、本発明は、また、ハロゲン化物イオンとしての塩化物イオン、および、塩基または緩衝液としての炭酸塩、重炭酸塩、およびこれらの混合物に関して例示される。
【0040】
オキソン(登録商標)における活性成分は、KHSO5である。構造的には、モノ過硫酸イオンは、以下の通りに表される:
【0041】
【化1】

【0042】
固体形態において、オキソン(登録商標)は化学式2KHSO5.KHSO4.K2SO4の三重塩として存在する。
【0043】
好ましい実施態様において、PVdF/PVPの混合物、または、PVdF/PVPコポリマーの混合物は、標準膜調製手順に基づいて溶媒中で調製され、かつ、膜ドープを製造するのに要求されるため、様々な添加剤が添加される。ドープはその後平板状膜に成形され、または、拡散誘起相反転により中空繊維に押し出される、すなわち、成形または押出は適切な非溶媒中に行われる。一度膜が成形され、または、押し出されると、溶媒と、生産を促進するために使用された様々な添加剤は急冷浴中における、非溶媒との交換により除去され、かつ、膜はその後洗浄浴中において、新生湿潤膜を製造するために洗浄される。新生洗浄膜は、その後、典型的には、予め決定された、濃度、温度、および時間の条件下において、オキソン(登録商標)/塩化物イオン、および、任意の塩基または緩衝液を含む溶液で処理される。あらゆるpHが使用されるが、pH7以上において維持されることが好ましく、維持は、HSO5-/Cl-の組合せの効果をも驚くべきことに促進する塩基の使用により行ってもよい。モノ過硫酸イオン(HSO5-)は、低いpHにおいてより安定であり、実際に、この事実により、市販品は酸性環境を保証するため三重塩として販売されている。モノ過硫酸塩は、事実、高いpH下において、分解することが知られており、よって、その塩基と組み合わせての使用は不自然である。あらゆる塩基を使用することができ、例えば、水酸化物イオン、より好ましくは、炭酸塩、重炭酸塩を使用できる。これらは、不必要な塩素ガス生成の制御を助ける利点も有する。
【0044】
本発明の1の好ましい実施態様においては、膜は、初めに、オキソン(登録商標)/塩化物/塩基溶液を吸収することを許容され、かつ、溶液を含浸した膜は、その後、室温で、湿潤した状態で10時間より長い時間にわたって保たれる。この工程は、モノ過硫酸塩溶液に所定時間浸漬の後、溶液から取り出し、単に十時間より長い間湿潤したままにしておけばよい、束状やモジュールのための膜に、特になじみ易い。
【0045】
しかし、先にも述べた通り、処理時間は温度に依存して変化してもよい。適切な処理時間は、温度に依存し、典型的には、30分から24時間の範囲である。40℃以上の温度においては、時間は1時間未満であってよい。好ましくは、金属イオンと有機イオンの添加剤が、オキソン(登録商標)溶液に、処理工程を促進するために添加される。一度膜が処理されたら、その後乾燥してもよい。特定の工程においては、湿潤した膜は、単に、いかなる孔充填剤処理なしで、単に直接乾燥される。代替的工程においては、湿潤した膜は、初めにグリセロール等の孔充填剤により処理され、その後乾燥される。膜は、その後、水または他の適切な液体で再湿潤してもよい。
【0046】
透過度を増加させるために膜を処理することに加えて、モノ過硫酸塩/塩化物溶液、および、モノ過硫酸塩/塩化物/緩衝液溶液は、限外ろ過(UF)や精密ろ過(MF)膜の洗浄において有利であることも発見されている。典型的には、溶質および沈殿剤を含む水は、モジュール中に格納される半透過性管状膜の層(bank)を、しばしば上昇した圧力において、通過する。ろ水を取り出し、回収すると、膜孔中または膜のろ過面上にある固体物質の残余物を後に残す。
【0047】
膜の孔は、相対的に汚染物のない状態で保たれていることが好ましい。孔の妨害物の量が増加するにつれ、モジュールのろ過効率は減少し、液体増加の実行可能な処理能力を維持するために必要な圧力の量は増加する。圧力が増加するにつれ、膜破裂の可能性はより顕著になる。
【0048】
ある場合には、不純物を含む水はろ過前に凝集剤により前処理され、分散したコロイドを、「フロック(floc)」に凝集させる。フロックはより小さなコロイド粒子を閉じ込めることにより、ろ過をより効率的にするという利点を有する。これは、溶解した粒子の除去の助けにもなる。凝集剤の影響の下、懸濁した粒子を凝集させ、水から沈殿させることにより、色と濁りを除去する。
【0049】
この様にして、実際には、懸濁した粒子不純物、コロイド、細菌、フロック等を含むろ液は、圧力下においてろ過ユニットを通過し、ろ水を排出し、ユニット内、より詳しくは膜の不要物面と膜の孔内に捕捉された残余物を後に残す。フロックは、特に膜の妨害物となるため、使用と共に膜の性能は徐々に下落し、膜を洗浄することが必要となる。問題の範囲は不純物の量、不純物の性質、および膜の型に依存する。
【0050】
「逆流」、つまり、水(または気体)の流れを、通常の流れの方向とは逆の方向とすることにより、膜から一部の汚染物を取り除くことができる。しかし、特に凝集剤が使用された時には、粒子状物質の完全な除去を達成することは難しい。
【0051】
故に、化学洗浄は未だに有用である。
【0052】
モノ過硫酸アニオンとハロゲン化物イオンの溶液、とりわけ、オキソン(登録商標)と塩化物イオンと、炭酸塩または重炭酸塩等の緩衝液または塩基の溶液は、汚れた膜の洗浄に非常に有用であることが分かった。本願発明の方法は、逆流法とともに用いることができ、または、「その場での洗浄(CIP)」を実施するのに適した独立型の洗浄方法として用いることもできる。その場での洗浄(CIP)は、膜モジュールを、その操作の通常ある本来の位置から除去なしでの洗浄を伴う。
【0053】
一般の用語においては、その場での洗浄の一つの形態は、蛇口およびパイプ等により洗浄されるモジュールを、系の残りの部分の液体流通から独立させることを伴う。通常ろ過される水または液体は、その後、清浄な液体、この場合、オキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液により置換される。オキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液は、その後膜モジュールを通過することが許容され、洗浄を実行する。オキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液は、系特有の要求、および、除去される汚染物の量に依存して、モジュールを通じて再利用してもよいし、不要物として流れ出る前に、一度きりモジュールを通過することが許容されてもよい。
【0054】
その場での洗浄手順は、周囲温度において実施してもよいし、または、ろ過温度の通常の範囲の外側の制御された温度において実施してもよい。その場での洗浄は、様々な長さの時間、および、ろ過において使用される通常の圧力の範囲外の圧力において実施してもよい。
【0055】
一度洗浄が完了すると、通常の液体流に再接続され、使用可能な状態に戻る前に、系をオキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液の痕跡を除去するためにフラッシュ洗浄する。
【0056】
その場での洗浄は手動により、または、完全に自動化されたシステムであって、圧力差分に応じて、または、予め決められたモジュール操作時間の後に始動するものにより実施してもよい。
【0057】
洗浄することのできるモジュールの一例は、膜モジュール中に格納された、中空繊維PVDF膜の層(bank)を有する、米国特許第6159373号に記載されるものであり、その全体を、ここに明示して本願に援用する。モジュールは、その内部に約2800〜約30000の中空繊維を含む束が位置する外殻構造を含み、それぞれの繊維は500μm〜650μmの径を有し、かつ、250μm〜310μmの内径を有し、孔径が0.2μmであるが、これらのサイズは要求に応じて変化する。当業者によって理解されるように、好ましい態様の方法においては、上記に記載されたものと異なる膜およびモジュール配置を採用してもよい。
【0058】
繊維の束のそれぞれの端部において、埋め込み用樹脂が繊維の端部を、適当な位置において、内径を塞ぐことなく固定し、モジュールのそれぞれの端部は開いたままとなる。液体供給は、外殻構造と中空繊維の外側の間において、モジュールに供給される。液体供給の一部は繊維の内径を通過し、その際にろ過される。清浄な液体はその後内径の内部で濃縮され、流れ、または取り出され、かつ、浄化された水としてモジュールの外に出される。
【0059】
その場での洗浄の1の形態において、オキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液は、未処理の液体を置換して導入されるであろう。しかし、当業者は、流れが通常使用されるものとは逆から導入されうることを認識するであろう。
【0060】
得られた結果は、オキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液は、汚れた膜をその透過性が、汚れる前のレベル、または、それに近いレベルに戻る様に洗浄し得ることを示した。
[実施例]
【0061】
膜透過性は、当業者が慣れ親しむ、LMH/bar(=LMH/100kPa)の単位であって、膜を通した純水の流動を1barの推進圧(bar)における、1時間(H)当たりの膜の平方メートル(M)当たりのリットル数(L)に換算するもので与えられる。
【0062】
[実施例1]緩衝されたオキソン/塩化物
膜の束は、表1に示される組成を有する処理溶液中に置かれる。透過性は、1,2,4,および72時間の間隔で測定した。
【0063】
【表1】

【0064】
結果を図1(PVdF繊維についての、時間に対する透過性)と図2(PVdF/PVP繊維についての、時間に対する透過性)に示す、これらの結果は、pH9〜10に緩衝されたオキソン/塩化ナトリウム溶液が、PVdF、および、PVdF/PVPの両者の透過度を、従来の処理による時間フレームよりずっと短い間において向上させることについて、並外れた成功を納めることを強く示唆する。
【0065】
塩化物とともに用いられるオキソンは、非常に良い結果を示すが、有毒な塩素ガスの発生に関する、労働衛生と安全の問題が存在する。溶液を緩衝することは、塩素発生の問題を改善するが、より驚くべきことに、たった2時間の処理時間の後の改良した透過度において、極度に良好な結果を有することが発見された。
【0066】
試験された別のオプションは、オキソンをコバルト(II)および鉄(II)の両者と組み合わせることである。文献1において、Co(II)はオキソンの存在下においてCo(III)に酸化され、硫酸ラジカルを発生し、Co(III)はオキソンと供にCo(II)に還元され、ペルオキシモノ硫酸ラジカルを発生することが実証されています。硫酸ラジカルは、透過性を向上される反応の背後にある動力源であると信じられています。しかし、ペルオキシモノ硫酸ラジカルは硫酸ラジカルよりずっと弱く、そのため、反応スキームに無視できる程の貢献しか有さないことと仮定されております。その後、Co(III)をCo(II)に還元するための試みとして、Fe(II)を添加し、より多くの硫酸ラジカルをオキソンから製造される様にすることを決定した。この処理は、PVdF繊維に非常に良く効く。
【0067】
[実施例2]緩衝液
炭酸塩または重炭酸塩等の緩衝液の添加によりもたらされる透過度の驚くべき向上により、この態様をより詳細に追求した。この膜の束は、表2の組成を有する処理溶液中に置かれた。この透過度は、1,2,3,4,20,および24時間の間隔で測定した。
【0068】
【表2】

【0069】
結果を図3(PVdF繊維)および図4(PVdF/PVP繊維)に示し、これらの結果は、緩衝されたオキソン/塩化物処理が、PVdF、および、PVdF/PVP繊維の両者の透過度を、比較的短期間の時間において劇的に向上させることを例証する。
【0070】
緩衝液1および緩衝液2の両者は、9〜9.5の初期pHを有する。1時間後、緩衝液1のpHは8.2まで下落し、緩衝液2のそれは7.7まで下落した。24時間後、緩衝液1のpHは8.5まで下落し、緩衝液2のそれは7.5まで下落した。この通り、24時間より長い間、溶液のpHは7より高いままであり、塩素ガス発生の安全装置たるに十分である。付加的に、これらの結果は、所望の緩衝効果を達成するには、炭酸塩および重炭酸塩の両者よりむしろ、炭酸塩を加えるのみで十分であることを示す。
【0071】
このことは、オキソン(2重量%)と塩化ナトリウム(0.1重量%)の溶液を炭酸ナトリウムで9〜10のpHに緩衝することで、PVdF/PVPとPVdFの両者の透過度を、相対的短い時間フレーム(24時間に比較しての2〜4時間)において、顕著に改善(>1000LMH/bar)することを実証する。最適処理時間は、一般に、4〜12時間のオーダーであり、理想的には、溶液のpHはアルカリ条件が維持されるのを保証すべく、監視されるべきである。
【0072】
[好ましい(向上した)処理の作用の機構]
本発明の好ましい処理は、本質的に、機構的に複雑である。理論に拘束されることを望むことなく、出願人は以下の、生ずる主要な反応の一般的な手引きを提供する。
【0073】
好ましい処理溶液の組成物は、水中における、0.75重量%のNa2CO3、0.1重量%のNaClおよび2重量%のオキソン(2KHSO4.KHSO4.K2SO4)である。
【0074】
処理溶液において起こる、主要な反応は以下の通りである。
【0075】
【化2】

【0076】
上記スキームにより認識される通り、本発明の処理方法の、正確な機構的、速度論的、および熱力学的モデルを展開するのは非常に困難であろう。よって、下されるいかなる結論も、適切な配慮とともに取り扱われなければならない、理に適った仮説に基づいて下される。
【0077】
反応1〜4は、酸化のサイクルを表す。反応7〜9は、溶液のpHを安全な範囲内に保つ緩衝作用を表す。反応5〜6は、本発明の鍵となる安全上の懸念である、有害な塩素ガスの放出を表す。
【0078】
一般に、処理溶液中の、塩素ガスの溶解度は、pHおよび温度に大きく影響される。
【0079】
pHは、塩素の発生に関連する反応5の平衡を制御する。より低いpHの溶液は、より高い濃度のヒドロニウムイオン(H3O+)の濃度を有することとなり、過剰にこれらの種が存在すると、(5)の平衡は右にシフトすることとなり、よって、溶液中により多くの塩素ガスを発生させることとなる。イオン強度、温度、および他の物理的特性は(6)の平衡の位置、および、それによって定まる、発生する塩素が溶液中に留まる量と気体として発生する量を決定する。
【0080】
処理溶液のpHは常に7(中性)より高く維持されるべきであり、これは緩衝液の存在により確保される。好ましい炭酸塩または重炭酸塩を使用した処理溶液の初期pHは9〜10である。処理の間を通じ、pHは約8に下落する様に監視された。pHは化学的に制御されるが、処理工程をpHの監視なしに行うことは浅はかであろう。万一pHが7より下に落下する際は、炭酸ナトリウムを、溶液に、pHが安全なレベルに到達するまで添加すべきである。また、塩化物によって改良されたオキソン処理を伴う工程の温度は50℃以下に保つべきであり、こうすることにより、塩素ガスが溶液から強制的に外に出される可能性を最小にする。
【0081】
[実施例3]汚れた膜の洗浄
それぞれ、2重量%、1.06重量%、および0.5重量%のオキソン含量を有する3種類の処理溶液を調製した。室温(21℃)と冷蔵温度(<4℃)の両温度において、汚れたポリマー性中空繊維膜について処理を行う。
【0082】
使用による利用において汚れたポリマー性中空繊維膜を、21℃と<4℃の両温度において、3つの異なるオキソン−塩化物−重炭酸塩溶液で処理した。調製された溶液の組成を、表3,4,および5において示す。
【0083】
【表3】

【0084】
塩化物とオキソンの等モル混合物を生成したため、1.06重量%のオキソンを選択した。
【0085】
繊維の透過性を、0,2,4,6,および24時間において試験し、かつ、21℃における、汚れたPVDF/PVP繊維については図5に、および、<4℃における、汚れたPVDF/PVP繊維については図6に、それぞれ結果を示した。
【0086】
21℃と<4℃の両温度において、全ての溶液が、処理に割り当てられた様々な時間間隔において、同等の性能を示した。
【0087】
冷蔵条件下の0.5%溶液は、12と24時間の間の1点において、部分的に凍結していることが観察された。しかし、このことが、他の冷蔵されたサンプルと比較して、溶液の性能に影響を与えたようには見えない。
【0088】
処理溶液のオキソン含量は、性能を低下させることなく、(2.0重量%から)0.5重量%まで減少させてもよい。その際、炭酸塩の含量もまた減少してもよく、より安価で、安全で、良好な性能を有する溶液が得られることとなる。
【0089】
汚れたPVDF/PVP中空繊維膜について、24時間に亘り、表3、4、および5の配合に関し、0.5重量%、1.06重量%、2重量%のオキソンを、0.1重量%の塩化物と共に含む溶液で処理し、また、様々な濃度においてオキソンのみを含む溶液でも処理を行った。処理は、作業現場において起こりうる条件をシミュレートするために、21℃と<4℃の両温度において行った。それぞれのサンプルについて重複して効果を試し、結果は平均値として報告した。
【0090】
結果は、図7(21℃)および図8(<4℃)における、反応速度プロファイルに示した。初めの2時間に亘り(21℃)、両処理は同程度の透過度の増加を引き起こした(36.8hr-1)。しかし、2時間後、オキソンのみの処理は1hr-1において進行することとなった、一方、オキソンと塩化物の処理は36.8hr-1で進行し続け、その後、4時間後に6hr-1に低下した。
【0091】
オキソンのみの処理によるサンプルは24時間後において、透過度の100%の増加を達成した。オキソンと塩化物により処理されたサンプルは、24時間後において、>250%より良好な増加を達成した。
【0092】
21℃において、オキソン含量の変化は、反応速度に認識可能な影響を有さなかった。
【0093】
<4℃において、オキソン含量は、反応速度に認識可能な影響を有した。効果は、オキソンと塩化物の処理より、オキソンのみの処理においてより顕著であった。オキソンのみで処理されたサンプルは24時間後の透過度において、30〜70%の増加を達成し、一方で、オキソンと塩化物で処理されたサンプルは24時間後の透過度において、>160%の増加を達成した。
【0094】
洗浄の目的において、処理溶液は、その有効性を損なうことなく、0.5重量%に可能な限り近く低いオキソン含量を有してもよい。
【0095】
興味深いことに、24時間に亘り、オキソンのみを含む反応プロファイルは4〜3時間の水準において停滞状態となり、このことは、速度の遅延が非常に激しく、反応が事実上停止することを示している。逆に、オキソン+塩化物プロファイルは実質的な速度で続き、24時間以内に、停滞状態のサインを示さない。これらの反応速度を以下に示す。
【0096】
【表4】

【0097】
言い換えれば、このデータによれば、オキソンのみの溶液の反応速度が24時間後に一定であり続けるとの仮定の下で、21℃で2%のオキソン溶液は、2%オキソン−Cl溶液が達成するであろうものと同程度の透過度の増加を達成するには、約175時間かかるであろうことが分かります。
【0098】
[実施例4]塩化物濃度の効果
塩化物濃度の効果を調査した。0.5重量%のオキソンと0.05重量%の塩化ナトリウムを含む処理溶液を用いて良好な結果が得られたが、一部の例においては、塩素発生の安全上の懸念により、塩化物含量をさらに減らすことが好ましい。
【0099】
塩素ガスの8時間重量平均(TWA)の暴露限界は1ppmであり、処理条件は、理想的には、性能、反応時間、および塩素発生のバランスを見つけるべく、最適化するべきである。
【0100】
塩化物の最高の濃度(0.05%)において、処理溶液1kgは0.5gの塩化ナトリウムを含む。保守的で、安全を意識した見積もりとして、溶液中における全ての塩化物は潜在的に塩素ガスとして、漏出しうると仮定され、よって、25℃、大気圧において、1kgの処理溶液は約0.1Lの塩素ガスを放出しうる。
【0101】
この通り、もし塩素が空気1m3中に漏出すると、塩素濃度は0.3ppmに上昇しうる。
【0102】
(PVdF/PVP)中空繊維膜を注封(potted)し、初期透過度を測定した。その後、束を以下の表7の通りの組成を有する処理溶液中に置いた。
【0103】
【表5】

【0104】
繊維の透過度を、6、24、および48時間の間隔で、その後測定した。結果は図9に見ることができる。
【0105】
6時間後、透過度に一定の下落が存在し、より低い塩化物含量のものと相関する。しかし、24時間と、48時間後においては、透過度は、塩化物含量とは独立している様に見える。
【0106】
これらの結果は、反応速度が塩化物含量に比例することを示唆し、かつ、反応は6と24時間のある時間において停止(または無視できる速度で進行)する様に見える。
【0107】
この様に、24時間の時間に亘り処理が効率的に行われる塩化物濃度には、広い範囲があるように見える。もし、24時間が許容可能であるなら、その後、0.5重量%のオキソンと0.004重量%の低さを有する塩化ナトリウムを含む溶液を使用することができる。そうでなければ、より高い塩化物濃度を、より短い時間フレーム、すなわち、6時間以内に所望の所望の結果を達成するために使用してもよい。
【0108】
[実施例5]低温処理
PVdFおよびPVdF/PVP繊維を、2重量%のオキソン、0.1重量%のNaCl、および0.75重量%のNa2CO3を含む溶液で、24時間に亘り、21℃(周囲温度)と4℃(冷蔵温度)において処理した。繊維の透過度は0、2、4、20、24時間に測定し、結果を図10、11、および12において見ることができる。図10はPVdF膜(V1-V4)およびPVdF/PVP膜(R1-R4)についての、時間に対する、膜透過度変化を示す。図11は、PVdF膜の反応の速度を示し、図12はPVdF/PVP膜の反応速度を示す。
【0109】
初めの2時間に亘り、PVdF繊維についての反応は、平均して、4℃より、室温において、5.4倍速く進行する。PVdF/PVP繊維については、平均して、4℃の場合と比較して、室温において、5.5倍速く進行する。
【0110】
24時間の処理の後、4℃と室温(21℃)の処理の間においては、感知できる程の差はない。
【0111】
推論可能な様に、時間に対する透過度のデータは、繊維に起こる全体としての反応の反応速度の概念を与えます。繊維の透過度が(実験誤差のために)幾つかの最終の値において振動することが予想されるため、反応速度が停滞する傾向があるように見える。
【0112】
初めの2時間の間は、低い温度を原因とする速度の減退は、PVdFおよびPVdF/PVP繊維の両者について同程度である。
【0113】
より重要なこととして、24時間の時間の後、4℃で処理されたPVdFおよびPVdF/PVPの両繊維の透過度は室温で処理されたそれらと同程度であった。
【0114】
[実施例6]透過度を増加させるための、膜の改善
過硫酸塩による前処理により向上した、注封(potted)されたPVdF/PVP繊維の透過度を測定し、その後、オキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液により、6時間および24時間にわたって処理した。結果を図13に示した。
【0115】
得られた結果は、過硫酸塩によって前処理されたPVdF/PVP繊維の透過度は、6時間の間に、約54%増加し、24時間の間に、約57%増加した。オキソン(登録商標)/塩化物/緩衝液溶液による処理は、既に過硫酸塩のみにより処理された膜の透過度をさらに増加させるため、単独の処理より、より効果的である。
【0116】
大規模な膜バイオリアクターモジュールであって、過硫酸塩未処理中空繊維の、非常に多くの(約7000の個別の中空繊維)配列を含むものについて試験をした際、モジュールの透過度は147LMH/barから220LMH/barに上昇(50%の増加)した。この結果は、実験室スケールの実験データと同等であり、顕著なスケールアップが実行可能であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ポリマー膜をモノ過硫酸塩の源およびハロゲン化物イオンと接触させる工程を含む、多孔質ポリマー膜の水透過性を向上させる、および/または、多孔質ポリマー膜を洗浄する方法。
【請求項2】
ハロゲン化物は塩化物イオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多孔質ポリマー膜を、モノ過硫酸塩の源、ハロゲン化物イオン、および、塩基と同時に接触させることを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
多孔質ポリマー膜は、精密ろ過膜または限外ろ過膜である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー膜は、疎水性および親水性ポリマーのブレンドから調製される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
疎水性ポリマーは、フッ化ポリマー、ポリスルフォン様ポリマー、ポリイミド、ポリアクリルニトリル、およびポリ塩化ビニルからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
疎水性ポリマーは、フッ化ポリビニリデン(PVdF)およびPVdFコポリマーからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
疎水性ポリマーは、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、およびポリフェニルスルフォンからなる群から選択されるポリスルフォン様ポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
親水性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)およびPVPコポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、およびポリアクリル酸から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項10】
親水性ポリマーは、水溶性ポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーまたはコポリマーである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
膜は、中空繊維膜、管状膜、または平板状膜の形態である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
膜は、乾燥膜、湿潤膜、または再湿潤膜である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
膜は、個別のものであるか、または、束状に、若しくは、中空繊維モジュール若しくはらせん状に巻かれたモジュール等のモジュール状に配置されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー膜は、PVdF/PVPブレンド膜またはPVdF/PVPコポリマーブレンド膜である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
膜は相反転工程により形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
膜は拡散誘起相分離により形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
多孔質ポリマー膜は成形または押出の直後に処理される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
多孔質ポリマー膜は新生湿潤膜として、成形または押出の直後に処理される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
モノ過硫酸塩の源はモノ過硫酸カリウムである、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
モノ過硫酸塩の源は、硫酸水素カリウムおよび硫酸カリウムと併用される、モノ過硫酸カリウムである、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
モノ過硫酸塩の源は化学式2KHSO5.KHSO4.K2SO4の三重塩である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
モノ過硫酸塩の濃度は0.1重量%〜10重量%の範囲である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
モノ過硫酸塩の濃度は0.2重量%〜5重量%の範囲である、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
乾燥膜上において実施される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
再湿潤膜上において実施される、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
多孔質ポリマー膜は0.004〜0.5%の塩化物イオンの存在下においてモノ過硫酸塩により処理される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
多孔質ポリマー膜は0.004〜0.1%の塩化物イオンの存在下においてモノ過硫酸塩により処理される、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
緩衝液または塩基は、重炭酸塩、炭酸塩、またはこれらの混合物である、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
緩衝液または塩基は重炭酸塩である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
緩衝液または塩基は0.3%〜0.75%の量で存在する、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
モノ過硫酸塩溶液は添加剤をさらに含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
添加剤は、有機酸、および/または、金属イオンである請求項31に記載の方法。
【請求項33】
有機酸は、クエン酸である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
金属イオンは、Ni2+, Cu2+,およびFe2+から選択される請求項32に記載の方法。
【請求項35】
5℃と95℃の間の温度で実施される請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
15℃と60℃の間の温度で実施される請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
膜はモノ過硫酸塩/ハロゲン化物溶液と接触がなされ、溶液を吸収することができる、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
請求項1から37のいずれか一項に記載の方法により調製された親水性化されたポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−543675(P2009−543675A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518687(P2009−518687)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000979
【国際公開番号】WO2008/006173
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(507058144)シーメンス・ウォーター・テクノロジーズ・コーポレーション (23)
【Fターム(参考)】