説明

向上したデモールド、生強度および吸水性を示すポリウレタンエラストマーならびにそれを製造するための曇りのないポリオール

【課題】向上したデモールド時間、生強度および吸水性を示すポリウレタンエラストマーならびにそれを製造するための曇りのないポリオールを提供する。
【解決手段】短いデモールド時間および向上した生強度を示すポリウレタンエラストマーは、20重量%までの内部ランダムオキシエチレン部分を含む超低不飽和のポリオキシプロピレンポリオールから製造される。このエラストマーは0℃で10重量%未満の水を吸収する。内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールは曇りのない超低不飽和のポリオキシエチレンキャップドポリオールの製造に用いられ、また、このポリオキシエチレンキャップドポリオールは曇りのない4,4’−MDIプレポリマーの製造に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンエラストマーならびにその製造に有用な、曇り(ヘイズ)のない、超低不飽和のポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンポリオールに関する。より詳細には、本発明は、吸水量の低下を示しつつデモールド(脱型)性および生強度が向上したポリウレタンエラストマー、さらに、こうしたエラストマーの製造に適するランダム内部オキシエチレン部分を有するポリオキシプロピレンポリオールに関する。驚いたことに、ランダムオキシエチレン部分を有するポリオキシエチレン−キャップド(capped)ポリオキシプロピレンポリオールは貯蔵したときに曇りを生じることがなく、また、それらから製造された4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートをベースとしたイソシアネート末端プレポリマーも同様に曇りを生じることがない。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンエラストマーの商業的実施可能性を評価する上で加工特性は非常に重要となる。こうした加工特性の例は、とりわけ、ポットライフ、ゲル化時間、デモールド時間、そして生強度である。商業上有用なポットライフは、反応性のポリウレタン形成成分を混合したり、必要ならばガス抜きしたりするのに十分な作業時間がとれるようにするために必要となる。ゲル化時間は、特に大型で複雑なモールドを使用する場合、ゲル化が起こる前にモールドの完全充填を可能にする上できわめて大切であり、一方、デモールド時間は部品の製造を最大限に高めるという点で重要となる。部品の所定の生産高にとってデモールド時間があまりに長すぎると、比較的高価なモールドがより多数必要となる。硬化するのが遅い傾向のあるグリコール延長エラストマーの場合にはデモールド時間が特に重要である。これらの要求特性はしばしば競合している。例えば、触媒量を低下させると、一般にポットライフが長くなってゲル化時間が増加するであろうが、デモールド時間は往々にして不満足なものになりがちであり、またその逆のことも言える。
【0003】
生強度も同様に重要である。生強度はモールドから取り出した直後のポリウレタン部品の耐久性の部分的かつ主観的な目安となる。ポリウレタン形成反応の特徴は、ポリウレタン部品の全強度が注入成形後かなりの時間にわたって発現しないというものである。それにもかかわらず、部分的に硬化した、つまり「生の(green)」部品は適切な時間のうちにモールドから取り出さなければならない。一般に、ポリウレタン部品は2つのタイプの「不良」生強度を示す。1つのタイプは、その部品がゲル化されて硬質であるが、脆くて簡単に裂けてしまうというものである。ポリウレタンエラストマー分野における当業者は、このタイプの不良生強度をその「チーズに似た(cheese−like)」コンシステンシーに関連して「チーズ様の(cheesy)」と呼んでいる。もう1つのタイプの「不良」生強度は、部品が軟質かつ可撓性であって、デモールド工程の間に永久変形を起こす場合である。対照的に、デモールドの際に耐久性を示して、永久損傷を起こすことなくひねったり曲げたりすることができる部品は「優良」生強度を持ち合わせていると言われる。デモールド時間は生産高を制限し、そして不良生強度はスクラップ発生率を増大させる。
【0004】
生強度を高めかつデモールド時間を短縮させるためにいろいろな方法が検討されてきた。例えば、触媒レベルを増加させることがこれらの特性に望ましい影響を与えることがある。しかし、先に述べたように、触媒レベルの増加はポットライフとゲル化時間をどちらも減少させる。さらに、微孔質エラストマーを製造しようとするとき、いくつかの触媒はイソシアネート/ポリオール反応よりもイソシアネート/水反応を相当に促進させ、こうして加工性に影響を及ぼしうる。
【0005】
ポリ尿素およびポリウレタン/尿素エラストマーがあらゆるウレタンエラストマーよりもかなり加工しやすいことは当技術分野で公知である。ポリ尿素およびポリウレタン/尿素エラストマーはアミン末端ポリオールおよび/またはジアミン連鎖延長剤を用いて製造される。大部分の普通のウレタン/尿素エラストマー系は、MOCAまたはMBOCAとしてよく知られているジアミン延長剤のメチレン−ビス−(2−クロロアニリン)と反応させたトルエンジイソシアネートプレポリマーを使用する。この系は長いポットライフ(10〜20分)を与え、同時に、商業的に受け入れられるデモールド時間(60分未満)と優れた生強度をもたらすことが知られている。そのほかに、この系の場合には加工条件の変化に対する感受性が最小である。しかしながら、尿素結合を含むエラストマーの物理的性質のいくつか(すなわち、軟度、引裂強さ、レジリエンスおよび加水分解抵抗性)はすべてのウレタンエラストマーに比べて劣っている。
【0006】
多くのポリウレタンエラストマーの用途において吸水性は非常に重要である。例えば、水性環境にさらされるポリウレタンエラストマーのシールは、水による可塑化のために、あるいはエラストマーポリマーの極性基間の水素結合の破壊により、その物理的性質が著しく低減しうる。道路用の膨張ストリップにおいて用いられるエラストマーは膨潤して舗装面から突き出ることがあり、それゆえ頻繁な取り替えを必要とする。靴底、特にアスレチック用の靴では一般的な多孔質および微孔質タイプの靴底は、特に比較的低い温度において、かなりの量の水を吸収する。こうした理由のために、水への暴露が予想される場合は、ホモポリオキシプロピレンポリオールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)をベースとしたエラストマーが用いられてきた。このような応用例では、0℃で2重量%ほどの吸水量であり、これより高い温度ではより少ない。
【0007】
しかし、PTMEGベースのエラストマー中で利用されるPTMEGはかなり高価な原料であり、また、ホモポリオキシプロピレンポリオールをベースとしたエラストマーは一般にデモールド時間が長く、その生強度も最適とはとても言えないものである。触媒(例えば、オクタン酸スズ)をより多量に加えると、デモールド時間が低下しかつ生強度が増加するが、上で論じたように、より短いポットライフおよびゲル化時間という犠牲を払ってのことである。
【0008】
特許文献1(米国特許第5,106,874号)では、0.02〜0.04meq/g(ポリオール)の範囲の不飽和を有するポリオキシプロピレンポリオールを用いることがデモールド時間を低下させると述べられている。しかし、本出願と同日付けで出願された継続中の米国特許出願明細書に示されるように、0.010meq/gほどに低い不飽和でさえも、グリコール延長エラストマーのデモールド時間は依然として相当に長く、改良は不飽和が0.007meq/gという異常に低いポリオキシプロピレンポリオールを使用することによってのみ可能である。このような超低不飽和ポリオールは、好ましくは、実質的に無定形の二重(複)金属シアン化物・t−ブチルアルコール(DMC・TBA)触媒を用いて製造される。この種のポリオールを用いればデモールド時間の2倍以上の改良が可能であるが、生強度はまだ最適とは言えない。
【0009】
オキシエチレンキャップを10〜40重量%含むポリオキシプロピレンポリオールは、時にポットライフとゲル化時間を犠牲にして、ポリウレタンエラストマーのデモールド時間を低下させることが知られている。反応性の向上は上記ポリオールの第一級ヒドロキシル末端基によるものである。ところが、この種のポリオールから製造されたエラストマーは周知のとおり水感受性であり、時おり、低温において200重量%の水を吸収する。特許文献1(米国特許第5,106,874号)では、低不飽和(すなわち、0.02〜0.04meq/g)のポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールの使用は、必要不可欠の第一級ヒドロキシル含量を供給するのに必要なオキシエチレンキャップの量を低下させ、ひいては水感受性を低減させると述べられている。しかしながら、吸水量についての測定は全く行われなかった。その上、例示された系はすべて硬質のジアミン延長ポリウレタン/尿素エラストマーであってポリウレタンエラストマーではない。低不飽和であるが高度のオキシエチレンキャップを有するポリオールに関する同様の開示が特許文献2(米国特許第5,185,420号)に見られる。
【0010】
ポリオキシプロピレンポリオールは、ホモポリマーであろうと他のアルキレンオキシドとのコポリマーであろうと、一般に、ヒドロキシル基を適度に含む開始剤分子へのプロピレンオキシドの塩基触媒オキシアルキル化によって製造される。重合反応では、非特許文献1(Block and Graft Polymerization,Vol.2,Ceresa編,John Wiley&Sons,17〜21頁)に論じられるような、プロピレンオキシドのアリルアルコールへの競合的転位が起こって、オキシプロピル化が進行するにつれて次第に高くなる比率で一官能性種が導入される。ASTM D2849−69に従って測定された不飽和は一般に、存在する一官能性種(すなわち、ポリオキシプロピレンモノオール)の量に一致することが認められる。2000の当量で、モノオールのモル%は45〜50モル%またはそれ以上にも達することがあり、これはポリオキシプロピレンポリオールの分子量に対する実際的な上限となる。
【0011】
より低い温度およびより低いレベルの触媒を用いると、不飽和のレベルが低下することが見いだされたものの、ほんのわずかであり、しかも加工時間が非常に長引くという犠牲を払うこととなる。不飽和を低下させるために特殊な触媒、例えばアルカリ土類金属水酸化物や、ナフテン酸金属塩と第三級アミンの組合せが使用された。しかし、これらの代替触媒は、塩基触媒に特有の0.06〜1.0meq/gの正常レベルから0.02〜0.04meq/gの範囲へ不飽和含量をほんのわずかに向上させたにすぎない。
【0012】
ポリオキシプロピレンポリオールのモノオール含量の顕著な向上は、二重金属シアン化物・グライム(glyme)複合触媒、例えば特許文献3(米国特許第5,158,922号)に記載される非化学量論的な亜鉛ヘキサシアノコバルテート・グライム触媒を用いて達成された。こうした触媒の使用により、以前に可能であると考えられていたものよりも相当に高分子量のポリオキシプロピレンポリオールが製造され、例えば0.017meq/gの不飽和を有する10,000Daのポリオキシプロピレントリオールが得られた。非特許文献2(J.W.Reishら,“Polyurethane Sealants and Cast Elastomers With Superior Physical Properties(優れた物理的特性を有するポリウレタンシーラントおよびキャストエラストマー)”,第33回ポリウレタンマーケティング会議,9月30日〜10月3日,1990年,368〜374頁)を参照のこと。
【0013】
多数の特許が高分子量のポリオールを用いてポリウレタンを製造することに取り組んでいる。こうした場合に、改良は、有用な官能価またはさらに低モノオール含量(モノオールはポリウレタン付加重合において「連鎖停止剤」として反応すると考えられる)の高分子量ポリオールを供給する手腕にもっぱらかかっていると言える。このような特許の例としては、特許文献4(米国特許第5,124,425号)(0.07meq/g未満の不飽和を有する高分子量ポリオールからの室温硬化シーラント)、特許文献5(米国特許第5,100,997号)(0.06meq/g未満の不飽和を有する高分子量ポリオールからのジアミン延長ポリウレタン/尿素エラストマー)、特許文献6(米国特許第5,116,931号)(二重金属シアン化物触媒による0.04meq/g未満の不飽和をもつポリオールからの熱硬化性エラストマー)、および特許文献7(米国特許第4,239,879号)(高当量ポリオールをベースとするエラストマー)がある。しかしながら、これらの特許はどれも、キャストエラストマー産業において最も重要な加工特性を取り扱ったものではない。
【0014】
非特許文献3(C.P.Smithら,“Thermoplastic Polyurethane Elastomers Made From High Molecular Weight Poly−LTM Polyols(高分子量Poly−LTMポリオールから作られた熱可塑性ポリウレタンエラストマー)”,ポリウレタン世界会議1991,9月24〜26日,1991年,313〜318頁)には、0.014〜0.018meq/gの範囲の不飽和を有するポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンジオールから製造された熱可塑性エラストマー(TPU)が記述されている。用いたポリオールは二重金属シアン化物・グライム触媒を使って製造されたものであり、このエラストマーは通常の触媒を用いて得られた0.08meq/g不飽和のジオールから製造されたエラストマーと比較して物理的性質の増強を示した。加工性については論じられていない。
【0015】
低不飽和のポリオールは時おり矛盾した性質を示すポリウレタンを生成することが見いだされた。例えば、通常の触媒による分子量6000Daのトリオールの代わりにDMC・グライム触媒による分子量10,000Daのトリオールを用いると、より軟質のエラストマーが期待されるのに、より高いショアーA硬度のエラストマーが得られ、一方、通常の分子量6000Daのトリオールの代わりに同様にDMC・グライム触媒による分子量6000Daのトリオールを用いても硬度の増加は全く見られなかった。さらに、DMC・グライム触媒によるポリオールから製造されたブタンジオール延長エラストマーは150分以上のデモールド時間を示し、これはキャストエラストマーの用途において商業上受け入れられるものではない。
【0016】
継続中の米国特許出願第08/152,614号(参考としてここに組み入れる)には、触媒反応物の均質混合により調製された新規な二重金属シアン化物・t−ブタノール(DMC・TBA)複合触媒が記述されている。これらの触媒はX線回折実験において観察されたDMC・グライム触媒の結晶化度を欠いており、さらにプロピレンオキシド重合において3倍ないし10倍高い活性を示す。特に驚くべきことは、こうした触媒の使用により、前例のない、きわめて低い数値にまで不飽和が低下することであり、0.003〜0.007meq/gの測定不飽和が日常的に達成される。
【0017】
測定しうる不飽和は非常に低いがモノオールの確かな存在を意味するのに、驚いたことに、ポリオール生成物のゲル透過クロマトグラフィーによる分析は検出可能な低分子量フラクションを明らかにしなかった。ポリオールは本質的に単分散である。あらゆる低分子量モノオール種がほぼ完全に存在しないために、この超低不飽和ポリオールはDMC・グライム触媒から製造されたものとも種類において相違している。
【0018】
二重金属シアン化物触媒を用いるポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールの製造はうまくいかないことがこれまでにわかっている。二重金属シアン化物により触媒されたポリオキシプロピレンポリオールへの重合を二重金属シアン化物触媒を通常の塩基触媒に変えることなく行おうとすると、高度にキャップされたポリオキシプロピレンポリオールとキャップされないポリオキシプロピレンポリオールの複雑な混合物が得られる。どのような特定の理論によっても拘束されることを望まないが、こうした場合には触媒/基質転移よりも実質的に速い速度でオキシエチル化が起こると考えられる。
【0019】
しかしながら、二重金属シアン化物により触媒されたポリオキシプロピレンポリオールの通常の塩基触媒によるオキシアルキル化から得られたポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールでさえも、残念ながら、貯蔵中に曇りを生じ、この曇りは一般に望ましくないと考えられている。さらに、このようなポリオールと過剰の4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネート(4,4’−MDI)から製造されたイソシアネート末端プレポリマーもやはり曇りを発生し、この曇りは結晶質の4,4’−MDIであると考えられている。この種のポリオールから製造されたポリマーに及ぼすポリオールの曇りの影響を明らかにすることは難しいが、MDIプレポリマー中のMDI結晶が沈殿して、時間、温度および貯蔵タンクの攪拌とともに変化するNCO含量を有するプレポリマーを人工的に作りだすのかもしれない。
【特許文献1】米国特許第5,106,874号
【特許文献2】米国特許第5,185,420号
【特許文献3】米国特許第5,158,922号
【特許文献4】米国特許第5,124,425号
【特許文献5】米国特許第5,100,997号
【特許文献6】米国特許第5,116,931号
【特許文献7】米国特許第4,239,879号
【非特許文献1】Block and Graft Polymerization,Vol.2,Ceresa編,John Wiley&Sons,17〜21頁
【非特許文献2】J.W.Reishら,“Polyurethane Sealants and Cast Elastomers With Superior Physical Properties(優れた物理的特性を有するポリウレタンシーラントおよびキャストエラストマー)”,第33回ポリウレタンマーケティング会議,9月30日〜10月3日,1990年,368〜374頁
【非特許文献3】C.P.Smithら,“Thermoplastic Polyurethane Elastomers Made From High Molecular Weight Poly−LTM Polyols(高分子量Poly−LTMポリオールから作られた熱可塑性ポリウレタンエラストマー)”,ポリウレタン世界会議1991,9月24〜26日,1991年,313〜318頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、デモールドおよび生強度が向上したポリウレタンエラストマーを提供することである。
本発明の他の課題は、商業的に実施可能な加工パラメーターを維持しつつ低い吸水量を示すポリウレタンエラストマーを提供することである。
本発明のさらに他の課題は、曇りのない、ポリオキシエチレンをキャップした、超低不飽和のポリオキシプロピレンポリオールを提供することである。本発明のさらに他の課題は、4,4’−MDIおよび超低不飽和のポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンポリオールから製造される、沈殿物を含まないプレポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
驚くべきことに、1〜約20重量%の内部オキシエチレン部分を含む超低不飽和のポリオキシプロピレンポリオールを用いて、短いデモールド時間および向上した生強度を示すポリウレタンエラストマーを製造できることが見いだされた。斯く製造されたエラストマーは驚くほど低い吸水量を示す。また、意外にも、超低不飽和と結びついた多モード(multimodal)の分子量分布を有するポリオールブレンドの使用により生強度およびデモールドの更なる向上が可能であり、さらに、これらのポリオールを用いて、曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールおよびそれらをベースとした沈殿のない4,4’−MDIプレポリマーを製造しうることが見いだされた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明のポリウレタンエラストマーを製造するには、ジ−またはポリイソシアネート(好ましくは、ジイソシアネート)とポリオキシアルキレンポリエーテルポリオール混合物とを、連鎖延長剤としてジオールを用いて、プレポリマー法、ワンショット法または他の技法により反応させる。ポリウレタンエラストマーの製造方法および従来用いられている原料は当業者には周知であるが、基礎的な参照の目的で以下の材料に関して言及しておく。
【0023】
「ポリウレタン」とは、その構造が反復単位間に主にウレタン結合:
−〔−NH−C(=O)−O−〕−
を含むポリマーのことである。このような構造は有機イソシアネート基R−〔−NCO〕と有機ヒドロキシル基〔HO−〕−Rとの付加反応により形成される。ポリマーを形成させるためには、有機イソシアネート基含有化合物と有機ヒドロキシル基含有化合物は少なくとも2官能性でなければならない。しかし、現在理解されているように、「ポリウレタン」という用語は、ウレタン結合のみを含むポリマーに限らず、ウレタンのほかに少量のアロファネート、ビウレット、カルボジイミド、オキサゾリニル、イソシアヌレート、ウレチジンジオンおよび尿素結合を含むポリマーを包含する。上記のタイプの結合へ導くイソシアネートの反応は、Polyurethane Handbook,Gunter Oertel編,Hanser Publishers,Munich,1985年,第2章,第7−41頁、およびPolyurethanes:Chemistryand Technology,J.H.Saunders & K.C.Frisch,Interscience Publishers,New York,1963年,第III章,第63−118頁に概説されている。
【0024】
一般に、ウレタン形成反応は触媒を用いて行われる。有用な触媒は当業者には周知であり、例えば、多くの例がPolyurethane Handbook,第3章,第3.4.1項,第90−95頁、およびPolyurethanes:Chemistry and Technology,第IV章,第129−217頁に載っている。最も普通に用いられている触媒は第三級アミンおよび有機スズ化合物、特にジブチルスズジアセテートとジブチルスズジラウレートである。触媒の併用もしばしば有効である。
【0025】
ポリウレタンの製造にあたって、イソシアネートは1種以上の活性水素含有化合物とイソシアネート対活性水素0.5:1から10:1の比で反応させる。この組成物の「イソシアネート指数」は−NCO/活性水素比を100で乗じたものとして定義される。以前に記載された極端に広い範囲を採用してもよいが、大部分のポリウレタン法では70〜約120または130、より好ましくは95〜約110、最も好ましくは約100〜105の指数を用いる。かなりの量のイソシアヌレート基をも含むポリウレタンの場合には、200以上、好ましくは300以上の指数が、通常のポリウレタン触媒のほかに加えられた三量体化触媒とともに用いられる。存在する活性水素の量を計算するには、一般に、未溶解固体以外のすべての活性水素含有化合物を考慮に入れる。かくして、その総量にはポリオール、連鎖延長剤、官能性可塑剤などが含まれる。
【0026】
ポリウレタンの製造に有用なヒドロキシル基含有化合物(ポリオール)は、Polyurethane Handbook,第3章,第3.1項,第42−61頁、およびPolyurethanes:Chemistry and Technology,第II章,第III&IV項,第32−47頁に記述されている。多くのヒドロキシル基含有化合物を用いることができ、中でも、単純な脂肪族グリコール、ジヒドロキシ芳香族化合物、特にビスフェノール、およびヒドロキシル末端基付きのポリエーテル、ポリエステルおよびポリアセタールが挙げられる。適当なポリオール類の膨大なリストが上記の文献および多数の特許に載っており、例えば、米国特許第3,652,639号の第2および3欄、米国特許第4,421,872号の第2〜6欄および米国特許第4,310,632号の第4〜6欄を参照されたい(これら3つの特許を参考としてここに組み入れる)。
【0027】
有利には、ヒドロキシル末端基付きのポリオキシアルキレンおよびポリエステルポリオールが用いられる。前者の化合物は公知の方法で、例えば、平均して2個以上の活性水素を含む開始剤分子にアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド(オキシラン)、プロピレンオキシド(メチルオキシラン)、またはブチレンオキシド(エチルオキシラン)を塩基触媒により付加させることによって製造される。好適な開始剤分子の例としては、2価の開始剤、例えばエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノール類、アニリンおよび他の芳香族モノアミン、脂肪族モノアミン、およびグリセリンのモノエステル;3価の開始剤、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、N−アルキルフェニレンジアミン、モノ−、ジ−およびトリアルカノールアミン;4価の開始剤、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、2,4’−、2,2’−および4,4’−メチレンジアニリン、トルエンジアミン、およびペンタエリトリトール;5価の開始剤、例えばジエチレントリアミンおよびα−メチルグルコシド;ならびに6価および7価の開始剤、例えばソルビトールおよびスクロース;がある。
【0028】
2種以上のアルキレンオキシドを用いる場合は、開始剤分子へのアルキレンオキシドの付加を同時にまたは逐次行うことにより、ブロック、ランダム、およびブロック−ランダムポリオキシアルキレンポリエーテルが得られる。ヒドロキシル基の数は一般に開始剤分子中の活性水素の数に等しいだろう。このようなポリエーテル類の製造方法は、Polyurethane HandbookおよびPolyurethanes:Chemistry and Technologyならびに多数の特許、例えば米国特許第1,922,451号、同第2,674,619号、同第1,922,459号、同第3,190,927号、および同第3,346,557号に記述されている。後述するような二重金属シアン化物複合触媒を用いて製造された、非常に低レベルの不飽和を有するポリエーテルポリオールが好適である。
【0029】
さらに、ポリエステルポリオールも好適なポリウレタン形成反応物に当たる。こうしたポリエステル類は当技術分野で公知であり、ポリカルボン酸またはその誘導体(例えば、その酸塩化物または無水物)をポリオールとともに単に重合させるだけで製造できる。多くのポリカルボン酸が適しており、例えば、マロン酸、クエン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸およびフタル酸が挙げられる。好適なポリオールは多数あり、例えば、各種の脂肪族グリコール、トリメチロールプロパンおよびトリメチロールエタン、α−メチルグルコシドおよびソルビトールが挙げられる。さらに、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ブロックおよびランダムポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールのごとき低分子量のポリオキシアルキレングリコールも適している。ここに挙げたジカルボン酸およびポリオールは単なる例示であって、これらに限るものではない。ヒドロキシル末端を確実にするため過剰のポリオールを使用すべきであるが、カルボキシ基はイソシアネートとも反応する。こうしたポリエステルポリオールの製造方法は、Polyurethane HandbookおよびPolyurethanes:Chemistry and Technologyに載っている。
【0030】
また、ビニルポリマー改質ポリオールもポリオールとして適している。この種のポリマーポリオールは当技術分野で公知であり、ポリエーテルまたはポリエステルポリオール(特に、固有のまたは誘導された不飽和を少量含むポリオール)の存在下での1種以上のビニルモノマー(好ましくは、アクリロニトリルおよび/またはスチレン)の現場重合により製造される。かかるポリマーポリオールの製造方法は、米国特許第3,652,639号の第1〜5欄および実施例;米国特許第3,823,201号の第1〜6欄および実施例;特に米国特許第4,690,956号の第2〜8欄および実施例;そして米国特許第4,524,157号、同第3,304,273号、同第3,383,351号、同第3,523,093号、同第3,953,393号、同第3,655,553号、および同第4,119,586号に見いだせる(これらの特許はすべて参考としてここに組み入れる)。
【0031】
さらに、非ビニルポリマー改質ポリオールも適しており、例えば、米国特許第4,293,470号、同第4,296,213号および同第4,374,209号に教示されるような、ポリオールの存在下でポリイソシアネートをアルカノールアミンと反応させることにより製造されるもの;米国特許第4,386,167号に教示されるような、ペンダント尿素基を含むポリイソシアヌレートの分散体;および米国特許第4,359,541号に教示されるような、ビウレット結合をさらに含むポリイソシアヌレート分散体である。その他のポリマー改質ポリオールは、粒子サイズが20μm未満、好ましくは10μm未満となるまでポリマーをその場で粉砕することにより製造しうる。
【0032】
ウレタンの製造に有用なイソシアネートは多数存在する。このようなイソシアネートの例は米国特許第4,690,956号の第8および9欄(参考としてここに組み入れる)、Polyurethane Handbook,第3章,第3.2項,第62−73頁、およびPolyurethanes:Chemistry and Technology,第II章,第II項,第17−31頁に見いだせる。改質イソシアネート、例えばウレタン、ビウレット、尿素、アロファネート、ウレトンイミン、カルボジイミドまたはイソシアヌレート結合を含むものも有用である。
【0033】
さらに、ポリウレタンの製造には連鎖延長剤を用いることができる。連鎖延長剤は一般に、イソシアネート基と反応する低分子量の多官能性化合物またはオリゴマーであると考えられる。常用される脂肪族グリコール連鎖延長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどがある。
【0034】
ポリウレタンには他の添加剤や助剤が通常用いられる。こうした添加剤として、可塑剤、流れ調整剤、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、顔料、染料、離型剤などを挙げることができる。多くの添加剤および助剤はPolyurethane Handbook,第3章,第3.4項,第90−109頁、およびPolyurethanes:Chemistry and Technology,パートII,Technologyに論述されている。
【0035】
ポリウレタン微孔質エラストマーは希望するフォーム密度に反比例する量の発泡剤を含有する。発泡剤は物理的(不活性)または化学的(反応性)発泡剤でありうる。物理的発泡剤は当業者には周知であり、比較的低い分子量および沸点を有する飽和および不飽和の炭化水素類を含む。例を挙げると、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサンおよびヘプタンがある。一般には、ポリウレタン形成反応の熱が揮発を促進するように、その沸点を選択する。
【0036】
しかし、最近まで、ごく普通に用いられた物理的発泡剤はハロカーボン、特にクロロフルオロカーボンであった。その例は塩化メチル、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、塩素化およびフッ素化エタンなどである。臭素化炭化水素も有用である。発泡剤はPolyurethane Handbook,第101頁に載っている。昨今の研究はクロロフルオロカーボンの使用を少なくしたり、排除する方向に向かっており、そしてモントリオール協定後、高いオゾン破壊能(ODP)および世界的温暖化能(GWP)を示すクロロフルオロカーボン(CFC)発泡剤の使用を減らしたり、完全に排除することは長足の進歩を遂げた。その結果、多くの新しいハロゲン化発泡剤が商業的に提供されるようになった。例えば、好ましいグループは高度フッ素化アルカンおよびシクロアルカン類(HFC)および過フッ素化アルカンおよびシクロアルカン類(PFC)である。
【0037】
化学的発泡剤は一般にイソシアネートと反応して二酸化炭素を発生する低分子量種である。水が唯一の実際的な化学発泡剤であり、水はフォーム配合物に添加された水に基づき1:1のモル比で二酸化炭素を生成する。残念ながら、完全な水発泡系は硬質絶縁体のようないくつかの用途ではうまくいかないことが分かり、それゆえ、物理的発泡剤と水を併用することがいくつかの事例で今なお普通に行われている。ポリウレタン高レジリエンス微孔質エラストマーは代表的な完全水発泡系である。
【0038】
理論的には、高温で分解して気体の副生成物を生じる固体または液体の発泡剤が有用でありうるが、まだ商業的成功を収めていない。加圧下の空気、窒素、アルゴンおよび二酸化炭素も理論上は使用しうるが、商業的実施可能性は証明されていない。こうした分野の研究は、特にクロロフルオロカーボンから離れる傾向のため、今なお続いている。
【0039】
ポリウレタン微孔質エラストマーは、均質な気泡サイズを促進しかつフォームの気泡破壊を防止するために、一般に界面活性剤を必要とする。このような界面活性剤は当業者には周知のものであり、一般にはポリシロキサンまたはポリオキシアルキレンポリシロキサンである。かかる界面活性剤は例えばPolyurethane Handbook,第98−101頁に載っている。この目的にかなう界面活性剤の市販品は多数の製造元から、例えばWacker Chemie、Union Carbide CorporationおよびDow−Corning Corporationから入手できる。
【0040】
ポリウレタン微孔質エラストマーの製造方法およびそのための装置は当業者には周知のものであり、例えばPolyurethane Handbook,第4章,第117−160頁およびPolyurethanes:Chemistry and Technology,パートII,Technology,第VIII章,第III&IV項,第7−116頁および第VIII章,第III&IV項,第201−238頁に記述されている。
【0041】
以上ポリウレタンの原料について一般的に説明してきたが、本発明のランダムな内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールは0.015meq/g未満、好ましくは0.010meq/g未満、最も好ましくは0.001〜0.007meq/gの不飽和を有する。ポリオールは二重金属シアン化物複合触媒を用いて製造することが好ましい。アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物またはアルコキシドを用いる慣例的な塩基触媒は、このような低レベルの不飽和をもつポリオールを生成しないであろう。適当な二重金属シアン化物・グライム触媒は米国特許第5,158,922号(参考としてここに組み入れる)に記載されている。
【0042】
しかし、継続中の米国特許出願第08/156,534号に記載されるようなDMC・TBA触媒を用いることが好ましい。適当な触媒の例は後述する。好適な触媒の使用はDMC・グライムおよび他の触媒とははっきり区別できる改良を示す。不飽和が信じられないほど低い数値に低下するばかりでなく、さらに、測定可能な不飽和をもつにもかかわらず、ゲル透過クロマトグラフィー分析は検出可能な低分子量成分を全然示さない。超低不飽和ポリオールは真に単分散系であり、DMC・グライム触媒により製造された5〜10モル%の低分子量成分(たぶんモノオール)を含むポリオールとも種類において相違している。
【0043】
重合は一般に「スターター」分子、大抵は比較的低分子量(すなわち、200〜700Da)のポリオキシプロピレンポリオール、から進行する。こうしたスターターポリオールは、比較的低分子量では不飽和の生成が少ないので、慣例的な塩基触媒を用いるプロピレンオキシド重合により製造され、重合が進行するにつれて希釈されるだろう。より低い分子量範囲のスターターポリオールが好適である。
【0044】
スターターポリオールへの二重金属シアン化物触媒の添加後、プロピレンオキシドを約4psig(0.27bar)の圧力になるまで加える。急激に圧力が降下するが、これは二重金属シアン化物触媒に特有の、いわゆる「誘導期間」が終わり、追加のアルキレンオキシドをより高圧で、例えば約40psig(2.72bar)で安全に加えることができるようになったことを示す。添加するアルキレンオキシドは初期にはもっぱらプロピレンオキシドであってもよく、また、望ましい重量比のプロピレンオキシドとエチレンオキシドであってもよい。エチレンオキシドはプロピレンオキシドと一緒に添加することが重要である。これらの条件下では、エチレンオキシドが通常の塩基触媒のときと同程度にランダムに共重合するからである。得られるポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンポリオールは共重合中に形成されたポリマーの部分にランダムなオキシエチレン分布を有するだろう。ランダム共重合されるエチレンオキシドの量はポリオールの重量に基づいて約1〜20重量%とする。もしエチレンオキシド含量が約20重量%よりも多くなると、そのエラストマーはかなりの吸水性を示すだろう。このポリオキシプロピレンポリオール中には1〜約15%の内部オキシエチレン部分が含まれることが好ましく、5〜約12%がより好ましい量である。
【0045】
所望により、本発明のランダム内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールは、相当量の第一級ヒドロキシル基を含むようにエチレンオキシドでキャップすることができる。二重金属シアン化物触媒から製造されたポリオキシプロピレンホモポリマーをエチレンオキシドでキャップする場合は、得られたキャップドポリオールが貯蔵中に急速に、例えば3〜14日以内に、曇りを生じる。驚いたことに、内部オキシエチレン部分を含むオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンコポリマーは長期貯蔵後でさえも曇りなし(haze−free)である。内部オキシエチレンの含量は曇りなしの特性を引き出すのに有効な量としなければならない。この量は完成したポリオール中のオキシエチレンキャップの重量%に依存することが分かり、14%オキシエチレンキャップドポリオールの場合は2.5重量%の内部オキシエチレン部分で十分であるが、18%オキシエチレンキャップを有するポリオールでは、より多量の、約6〜8%またはそれ以上が必要である。曇りのないポリオールを製造するのに有効な内部オキシエチレン部分の量は簡単に決定することができる。そのために、異なる内部オキシエチレン含量を有する一連のランダム内部ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレンコポリマーを製造して、所望量のエチレンオキシドでキャップする。次に、生成物を室温で約20日間貯蔵する。内部オキシエチレン部分の最小有効量は、透明状態を維持している、より少ない内部オキシエチレン含量を有するポリオールのそれである。
【0046】
ポリウレタンエラストマーを製造する際には、意外にも、約20重量%の内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールを用いることが、同じ分子量のポリオキシプロピレンホモポリマーを用いることと比べて生強度を向上させることがわかった。一般に、硬度およびレジリエンスもまた、より速やかに増加する。内部オキシエチレン部分はオキシエチレンキャップドポリオールに予想されるような著しく多量の第一級ヒドロキシル基末端を与えないという点でこうした効果は予期せざることである。オキシエチレンキャップドポリオールはより速く反応すると予想されるだろう。
【0047】
デモールドおよび生強度の更なる向上は、さまざまな平均分子量をもつポリオールの多モードの混合物を利用することによって達成しうる。二重金属シアン化物触媒(特に、DMC・TBA)により製造されたポリオールの分子量分布は狭いものである。ポリマーまたはポリマーブレンドの多分散性はMw/Mn比によって規定され、ここでMwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である。重量平均分子量はMw=Σωとして定義され、ここでMはi番目の分子量であり、ωはi番目の分子量成分の全体における重量割合である。数平均分子量はMn=Σとして定義され、ここでMは上記定義どおりであり、nはi番目の分子量成分の全体の数割合である。すべてのポリマー種が単一の分子量をもつ場合の理論的に完全な単分散ポリマーにあっては、Mw=Mnで、多分散性Mw/Mn=1となる。実際には、真の単分散は決して達成されることがなく、本出願において、単分散と記載されるポリマーは2より小さい、しばしば1.20またはそれ以下の、多分散性を有するものである。ここに報告された分子量は数平均分子量である。
【0048】
ここで用いる「多分散」なる用語は二モードまたは三モードなどの分子量分布を示す(ただし、各分布は本質的に単分散である)。このような多分散ブレンドを製造するには、2種以上の本質的に単分散のポリオールを混合するか、または、同一のもしくは異なる開始剤分子の2回目の部分を、超低不飽和ポリオールを製造するのに適した触媒の存在下で、しかしより遅い時期に、重合反応混合物に導入することが有利である。
【0049】
超低不飽和ポリオールは、比較的狭い一モードの分子量分布だけを含むので、真の単分散であると言える。例えば、多分散性Mw/Mnはしばしば1.10以下である。各ポリオールが1〜約20重量%の内部オキシエチレン部分を含みかつ0.010meq/g(ポリオール)未満の不飽和により特徴づけられるように実質的に単分散性の、2種以上のポリオキシプロピレンポリオールをブレンドすることにより、または、1〜20%の内部オキシエチレン部分を含む上記のポリオキシプロピレンポリオールの1種と0.010meq/g未満の不飽和を有するポリオキシプロピレンホモポリマーとをブレンドすることにより、こうしたブレンドからデモールドおよび生強度の向上したポリウレタンエラストマーを製造することができる。ポリオールブレンドの多分散性は1.4以上であることが好ましい。また、2.0以上の多分散性も適している。
【0050】
2種のポリオールのブレンドの多分散性は次の式、式1、式2、式3を用いて計算できる。
【0051】
【数1】

【0052】
【数2】

【0053】
【数3】

【0054】
上記式中、MwとMwは重量平均分子量であり、MnとMnは数平均分子量であり、そしてαとαはそれぞれポリオール1および2の重量割合である。
【0055】
本発明のエラストマーの製造に有用なイソシアネートは一般に有機ジイソシアネートまたはポリイソシアネートであり、脂肪族であっても芳香族であってもよい。しかし、好ましいイソシアネートは市販されているイソシアネートのトルエンジイソシアネート(TDI)およびメチレンジフェニレンジイソシアネート(MDI)である。トルエンジイソシアネートは通常2,4−TDIと2,6−TDIの80:20混合物として用いられるが、市販の65:35混合物のような他の混合物または純粋な異性体も有用である。メチレンジフェニレンジイソシアネートも2,4’−、2,2’−および4,4’−MDI異性体の混合物として用いることができる。いろいろな異性体混合物が販売されている。しかし、最も好ましいものは4,4’−MDIか、またはごく少量の2,4’−および2,2’−異性体を含む4,4’−MDIである。なぜならば、2,4’−および2,2’−異性体が特定の生成物にとって望ましくない影響を物理的特性に及ぼしうるからである。
【0056】
TDIおよびMDIに基づく改質イソシアネートも有用であり、多くが市販されている。MDIの貯蔵安定性を増すために、例えば、少量の、一般には1モルより少ない脂肪族グリコールまたは中程度の分子量のポリオキシアルキレングリコールまたはトリオールを2モルのジイソシアネートと反応させてウレタン改質イソシアネートを形成させることができる。
【0057】
また、MDIまたはTDIをベースとした公知のカルボジイミド、アロファネート、ウレトンイミン、ビウレットおよび尿素改質イソシアネートも適している。ジイソシアネートと改質ジイソシアネートの混合物も同様に用いられる。さらに、脂肪族および脂環式イソシアネート、例えば1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−および2,6−メチルシクロヘキシルジイソシアネートおよび4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびその異性体、1,4−ビス(2−(2−イソシアナト)プロピル)ベンゼン、およびこれらの混合物および他のイソシアネートも適している。
【0058】
一般に、全配合物のイソシアネート指数は70〜130、好ましくは90〜110、最も好ましくは約100に調整される。100〜105の指数が特に適している。より低い指数は概してより低い引張強さ等の物理的性質を示す軟質の生成物をもたらし、一方、より高い指数は一般に、最終物理的性質の発現のためにオーブン硬化または周囲温度での長期硬化を必要とするより硬質のエラストマーをもたらす。130より相当高い(例えば200〜300の)イソシアネート指数を用いると一般に三量体化触媒の添加が必要となり、その結果、かなりの量のポリイソシアヌレート結合をもつ、架橋された、伸長性の乏しいエラストマーが得られる。
【0059】
本発明において有用な連鎖延長剤は、好ましくは、脂肪族グリコールおよび分子量が約500Daまでの、好ましくは300Da以下の、ポリオキシアルキレングリコールである。ヒドロキノン、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)、ビスフェノール類、4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物も同様に用いられる。連鎖延長剤は唯一の連鎖延長剤であっても混合物であってもよい。好適なものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどである。最適なものはエチレングリコール、特に1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールである。
【0060】
また、アミン連鎖延長剤も使用できるが、好ましくは最小限の量を用いる。得られるエラストマーは、当技術分野で明確に異なる地位を獲得したポリウレタン/尿素エラストマーよりもむしろポリウレタンエラストマーとして特徴づけられるべきである。脂肪族アミン連鎖延長剤の例はエチレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミンおよびジエチレントリアミンである。好適な芳香族ジアミン連鎖延長剤は種々のトルエンジアミン異性体およびそれらの混合物、種々のメチレンジフェニレンジアミンおよびそれらの混合物であり、好ましくは、より遅く反応する芳香族ジアミン、例えば4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)(MOCA)および立体障害アルキル基で置換されたトルエンジアミンおよびメチレンジフェニレンジアミンである。
【0061】
本発明のエラストマーにおいて、最も重要なものはポリエーテルポリオール成分である。きわめて低い不飽和を示す、1〜20重量%の内部オキシエチレン部分を有するポリオキシプロピレンポリオールを含むポリオキシアルキレンポリエーテルブレンドを用いる必要がある。測定不飽和(ASTM試験法D−2849−69)は最も好ましくはポリオールブレンドについて0.010meq/g未満である。さらに、個々のポリオールは、全体的なブレンドの不飽和に関係なく、それぞれ0.015meq/g未満の不飽和でなければならない。全体的な不飽和が0.007meq/g未満で、個々のポリオールの不飽和が0.010meq/gより高くないポリオールブレンドが好適である。最も好ましくは、各ポリオールが約0.007meq/g未満の測定不飽和を有するポリオールブレンドを用いることである。
【0062】
かくして、ポリオールブレンドの主要部は、全体的な不飽和が0.010meq/gより低くなるように、1〜20重量%の内部オキシエチレン部分を含む本質的に単分散のポリオキシプロピレンポリオールでなければならない。こうしたポリオールはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物を、超低レベルの不飽和を生成しうる触媒、例えば継続中の米国特許出願第08/156,534号(参考としてここに組み入れる)に記載のごとく製造された触媒のような実質的に無定形の二重金属シアン化物・TBA触媒の存在下に、適当な官能価の開始剤分子へ重合させることにより製造できる。触媒の製造例は本明細書中の実施例1に、そしてポリオールの製造例は実施例2に示される。超低不飽和のポリオールが一般に単分散であること、すなわち検出可能な低分子量成分がないこと、は注目に値する。
【0063】
内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールは、オキセタン、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドなどのC3−4アルキレンオキシド、および少量の高級アルキレンオキシドから誘導された他のオキシアルキレン部分を含んでいてもよい。しかし、主要部のC3−4アルキレンオキシドはプロピレンオキシドであることが好ましく、すべてプロピレンオキシドであることが最適である。ここで用いる「ポリオキシプロピレン」という用語は、非オキシエチレン部分が主にプロピレンオキシドから誘導されたポリマーを指すものである。
【0064】
ランダム内部オキシエチレン部分を導入するには、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを(場合により、他のアルキレンオキシドとともに)、超低不飽和のポリオキシアルキレンポリオールの製造に適した触媒、最も好ましくは継続中の米国特許出願第08/156,534号に記載されるようなDMC・TBA触媒の存在下で共重合させる。内部オキシエチレン部分の量は1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%、より好ましくは5〜12重量%、そして最も好ましくは5〜10重量%とすべきである。
【0065】
上記の米国特許出願第08/156,534号に記載される触媒を用いることが特に好ましいが、それは0.003〜0.005meq/g程度の、前例のない低不飽和が可能であるからである。さらに、測定しうる不飽和にもかかわらず、このような触媒を用いて製造したポリオールのゲル透過クロマトグラフィーからは、驚いたことに、検出可能な低分子量種がまったく検出されず、すなわち、このポリオールは本質的に単分散で、1.20未満(通常は約1.06)の多分散性を有していた。
【0066】
20重量%以下のランダム内部オキシエチレン部分を含む、曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールは、一般に、プロピレンオキシド付加を終わらせてエチレンオキシド付加を続けることでは製造できない。理由は定かでないが、これらの状況下ではエチレンオキシド重合が均一でないからである。こうした重合を試みて得られたポリオールは、内部オキシエチレン部分を含む非キャップドポリオキシプロピレンポリオールと高度オキシエチレンキャップドポリオールをそれぞれ相当量含む混合物となりがちである。それゆえ、ポリオキシエチレンキャップドポリオールは、エチレンオキシド誘導キャップを他の触媒(例えば、従来のアルカリ金属水酸化物またはアルコキシド触媒)の存在下で重合させて製造しなければならない。例えば、主鎖ポリマーの製造後に、約0.1〜2.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%のナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドを反応混合物に添加しうる。塩基性触媒の添加に先立ってDMC触媒を取り除く必要はない。その後、この混合物を減圧下でストリッピングして水および/またはメタノールまたは他のアルカノールを除去し、その後エチレンオキシドを通常の条件下で加えることができる。他のポリオール製造法も超低不飽和および他の必要とされる性質が得られるかぎり適している。
【0067】
本発明において有用な多分散ポリオールブレンドは、2種以上の超低不飽和ポリオール(個々には多分散性が低いが、分子量の異なるもの)をブレンドして多分散性が1.4より大きい多分散ポリオールブレンドを形成することにより、有利に調製される。このようなブレンドのゲル透過クロマトグラフィーは二モードまたは三モードなどの分子量分布を示すが、もとのポリオールのそれぞれは比較的狭いピークを表す。ポリオールブレンドは、2種以上の内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオール;本質的にホモポリマーのポリオキシプロピレンポリオールおよび1種以上の内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオール;本質的にホモポリマーのポリオキシプロピレンポリオールおよび1種以上の、内部オキシエチレン部分を含む、曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオール;または他の適当な組合せであってよい。
【0068】
好ましくはエラストマーはプレポリマー法によって製造されるが、ワンショット法も同様に有用である。プレポリマー法では、ポリオキシアルキレンポリオール混合物を過剰のジ−またはポリイソシアネートと反応させて、約1〜25重量%のNCO基、好ましくは約3〜12%のNCO、より好ましくは約4〜10%のNCO、そして最も好ましくは約6%のNCOを含むイソシアネート末端プレポリマーを形成させる。プレポリマーの製造には触媒を用いてもよく、好ましくはジブチルスズジアセテートやジブチルスズジラウレートのようなスズ触媒が0.001〜約5重量%、より好ましくは0.001〜約1重量%の量で用いられる。プレポリマーの製造は当分野の技術水準の範囲内である。所望により、プレポリマーポリオール成分はポリオキシアルキレンポリオール以外のヒドロキシル官能性ポリオール、例えばポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどで増量され得る。
【0069】
プレポリマー形成に続いて、そのプレポリマーを、イソシアネート指数が所望の範囲となるような割合の連鎖延長剤1種以上と混合する。プレポリマーと連鎖延長剤を十分に混合し、必要であればガス抜きを行って、適当なモールドに注入するか、または、熱可塑性ポリウレタンを希望するのであれば、反応混合物を押し出して粒状化するか、移動ベルト上に堆積させてその後粒状化する。
【0070】
好ましい連鎖延長剤は脂肪族または脂環式グリコールおよびオリゴマーポリオキシアルキレンジオールである。適当な脂肪族グリコール連鎖延長剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−および1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、およびポリオキシアルキレンジオール、例えばポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ランダムおよびブロックポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(ただし、約300Daまでの分子量を有するもの)が挙げられる。好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,4−ブタンジオールであり、後者の化合物が特に好適である。
【0071】
本発明のエラストマーは微孔質エラストマー、例えば靴の中底用、に特に適している。このようなエラストマーの配合物は少量の反応性または揮発性の発泡剤、好ましくは前者を含んでいる。例えば、典型的な配合物は約0.1〜1.0重量%、好ましくは約0.2〜0.4重量%の水を含み、そして0.8g/cm未満、好ましくは0.15〜0.5g/cm、最も好ましくは約0.2〜0.4g/cmの密度を有する。こうした配合物においては一般にイソシアネート末端プレポリマーが利用され、これは非多孔性エラストマーの製造に用いられるプレポリマーよりも一般にNCO含量が高い。適当なイソシアネート基の含量は8〜25重量%、より好ましくは10〜22重量%、最も好ましくは13〜15重量%である。この配合物は一般に架橋およびジオール延長されるが、架橋はグリコール連鎖延長剤のほかに3官能価またはそれ以上の官能価の低不飽和ポリオールを、場合によりジエタノールアミン(DEOA)のような低分子量の架橋剤とともに、Bサイドで用いることにより生成される。また、イソシアネート末端プレポリマーは、3官能価またはそれ以上の官能価の低不飽和ポリオールから、あるいは2官能価およびそれ以上の官能価の低不飽和ポリオール類の混合物から製造することもできる。配合物において相当量で用いられるポリオールは、プレポリマーに組み込まれようとBサイドで組み込まれようと、0.015meq/g以下、好ましくは0.010meq/g以下の不飽和をもつべきであり、全ポリオール成分の平均不飽和も0.010meq/g以下であるべきである。
【実施例】
【0072】
本発明について一般的に説明してきたが、いくつかの特定の実施例を参照することにより更なる理解が得られるだろう。これらの実施例は例示のためのものであって、特にことわらないかぎり本発明を限定するものではない。
【0073】
実施例1:
錯生成剤としてt−ブチルアルコールを用いる均質化による亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の製造
【0074】
二重金属シアン化物・TBA触媒は継続中の米国特許出願第08/156,534号に記載の方法により製造した。
ビーカー中の脱イオン水(150mL)にカリウムヘキサシアノコバルテート(8.0g)を加え、この混合物をホモジナイザーを使ってブレンドして固体を溶解させた。2番目のビーカー中で塩化亜鉛(20g)を脱イオン水(30mL)に溶解した。塩化亜鉛水溶液とコバルト塩の溶液とを合わせて、この溶液をホモジナイザーを使って均質に混合した。溶液を混合した直後、t−ブチルアルコール(100mL)と脱イオン水(100mL)の混合物を亜鉛ヘキサシアノコバルテートの懸濁液に徐々に加え、この混合物を10分間ホモジナイズした。固体を遠心により単離し、次にt−ブチルアルコールと脱イオン水の70:30(v:v)混合物250mLとともに10分間ホモジナイズした。固体を再度遠心により単離し、最後にt−ブチルアルコール250mLとともに10分間ホモジナイズした。触媒を遠心により単離して、50℃、30インチ(Hg)の真空オーブン内で一定の重量になるまで乾燥した。
【0075】
実施例2
ランダム内部エチレンオキシドを有するポリオキシプロピレントリオールの製造
【0076】
高圧ステンレス製オートクレーブに、7.6ポンド(3.45Kg)のLHT−240(呼称700Da分子量のグリセリン開始ポリオキシプロピル化トリオール)およびポリオール生成物中の触媒量を100ppmとするのに十分な量の実施例1で製造した触媒を入れた。この混合物を減圧下に105℃で加熱攪拌してトリオールスターターから微量の水を除去し、次に初回量のプロピレンオキシドとエチレンオキシドの90:10混合物を加え、注意深く反応器の圧力を監視した。加速された圧力降下は触媒が活性化されたことを示す。追加のプロピレンオキシド/エチレンオキシドを約6.5時間にわたって加え、合計約57.5ポンド(26.1Kg)を添加した。その後反応器を減圧下に117℃で窒素とともにストリッピングし、生成物をカートリッジフィルターを通して排出して残留触媒を除いた。得られたポリオールは10重量%の内部オキシエチレン部分を含み、約0.004meq/gの不飽和を有する約6000Daのトリオールであった。
【0077】
実施例3(比較)
14%のポリオキシエチレンキャップを含むが内部オキシエチレン部分を含まない6000Daトリオールの製造
【0078】
実施例2のステンレス製オートクレーブに、7.6ポンド(3.45Kg)のLHT−240およびポリオール生成物中の触媒量を100ppmとするのに十分な量の実施例1で製造した触媒を加えた。反応器を前のように減圧下に105℃で攪拌し、初回量のプロピレンオキシドを加えて、圧力を監視した。触媒が活性化された後、合計約48.3ポンド(21.9Kg)のプロピレンオキシドを5.5時間かけて加えた。こうして得られたポリオキシプロピレンホモポリマートリオールに、メタノール中の25重量%ナトリウムメトキシドを332g、さらにヘキサンを2.8ポンド加えた。ヘキサン、メタノールおよび存在する全ての水を4psia(0.27バール)、117℃で1時間、次に完全真空下でさらに3時間ストリッピングして除いた。ストリッピング後、9.1ポンド(4.1Kg)のエチレンオキシドを117℃で1.5時間にわたり加えた。残留触媒をマグネゾル(magnesol)で処理し、濾過して除いた。得られた生成物は14重量%のポリオキシエチレンキャップを含むが内部オキシエチレン部分を含まず、約0.006meq/gの不飽和を有する約6000Daのポリオキシプロピレントリオールであった。このポリオール生成物は室温での短期間貯蔵後に曇りを生じた。
【0079】
実施例4
実施例3の手順に従ったが、初期のオキシアルキル化を48.3ポンド(21.9Kg)のプロピレンオキシド/エチレンオキシドの93:7混合物を用いて105℃で6.5時間かけて行った。ランダムオキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレントリオール主鎖の製造に続いて、メタノール中の25重量%ナトリウムメトキシドを332g加え、オートクレーブを実施例3のごとくストリッピングした。次に、9.1ポンド(4.1Kg)のエチレンオキシドを117℃で1.5時間かけて加えた。触媒を前のようにマグネゾル処理と濾過により除いた。生成物は14重量%のポリオキシエチレンキャップとともに5%の内部オキシエチレン部分を含み、約0.003meq/gの不飽和を有するポリオキシプロピレントリオールであった。この生成物は60日以上貯蔵した後でさえも曇りを生じなかった。
【0080】
実施例5〜8
実施例3および4に示した方法と同様の方法により、内部オキシエチレン部分を含むまたは含まない、一連のポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールを製造した。これらのポリオールを室温で長期間貯蔵し、曇りが生じたかどうか定期的に調べた。結果を表1に示す。実施例5、3および8は比較のための実施例である。
【0081】
【表1】

【0082】
表1から、14%ポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールを曇りなしにするには2.5%ほどのわずかな量の内部オキシエチレン部分で十分であることがわかる。一方、内部オキシエチレン部分を含まない同様のポリオールは急速に曇りを生じた。さらに、表1からは、より高度のポリオキシエチレンキャッピングはそのポリオールを曇りなしにするのに追加量のランダム内部オキシエチレン部分を必要とすることがわかる。実施例8は18%のポリオキシエチレンキャップを含むものであるが、5重量%の内部オキシエチレン部分によって曇りを生じないようにすることができなかった。この場合、曇りなしのポリオールを生成するには、より多量の内部オキシエチレンが必要となるだろう。
【0083】
実施例9〜14
0、5、10、20、30および40重量%の内部ランダムエチレンオキシド部分を含む、4000Da分子量の一連のポリオキシプロピレンジオールを実施例2のごとく製造した。このジオールを4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートと反応させて6重量%のNCOを含むイソシアネート末端プレポリマーを製造し、1,4−ブタンジオールで延長させてポリウレタンエラストマーを製造した。ポリウレタン触媒としてジブチルスズジラウレートを使用した。触媒の量は、デモールド時間および生強度を適正な比較にかけるために、同様のポットライフとなるよう調整した。ポリオキシプロピレンホモポリマージオールのブレンド(きわめて低い不飽和を有し、同日付けで提出された我々の継続中の米国特許出願に記載されるようにデモールド時間と生強度に有利な影響を及ぼすことがわかっている)も比較のために加えた。結果を表2に示す。表2の第1欄および最後の2欄に示した実施例は比較のための実施例である。
【0084】
【表2】

【0085】
表2からわかるように、5重量%および10重量%の内部ランダムオキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンジオールのデモールド時間は類似していて、いくつかの場合には単分散ポリオキシプロピレンホモポリマージオールおよび多分散ポリオキシプロピレンホモポリマーブレンドから製造されたエラストマーよりも優れている。しかし、デモールド時点での生強度は単分散の低不飽和ポリオキシプロピレンホモポリマーと比べて向上しており、また、ランダムオキシエチレン含有エラストマーの引張強さは単分散または多分散ポリオキシプロピレンホモポリマージオールから製造されたものよりも相当に高くなる。その上、5および10重量%の内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールから製造されたエラストマーの60分後の生強度はすぐれており、一方、4000Da単分散ホモポリオキシプロピレンポリオールから製造されたエラストマーの60分後の生強度は平均的であった。
【0086】
約20重量%までの内部オキシエチレン部分および超低不飽和を有する、本発明のポリオキシプロピレンポリオールは、商業的に有用なデモールド時間および良好な生強度を示すばかりか、すぐれた物理的性質のエラストマーを提供するという点で、うまく加工できることが実証された。しかし、以前に記述されたように、多くのエラストマーは湿潤環境においてその物理的性質を保持することが求められている。本発明者らの知見によれば、約20重量%までのランダムオキシエチレン部分を有する低不飽和ポリオキシプロピレンポリオールから製造されたポリウレタンエラストマーは、驚いたことに、室温で最小の吸水性を示し、そして20重量%未満(好ましくは5〜15重量%)のランダム内部オキシエチレン含量を含むポリオールから製造されたエラストマーは0℃でさえも10重量%より低い、一般には5重量%より低い吸水性を示した。一方、20重量%以上の内部オキシエチレン部分を含むポリオールおよびオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンポリオールから製造されたエラストマーはこれらの条件下で100重量%より高い吸水性を示した。さまざまな量のランダム内部オキシエチレン部分を含むポリオールから製造されたエラストマーの0℃、23℃および50℃での吸水を図1に示してある。
【0087】
図1から明らかなように、吸水に関する問題が高温(すなわち、室温またはそれ以上)に限られるエラストマーの場合、エラストマー製造用のポリオール中の内部オキシエチレン部分は20重量%までが適している。しかし、低温での最小吸水性、例えば0℃での低い吸水性、が要求される場合は、内部オキシエチレン部分の量を15重量%より低くすることが好ましく、5〜10重量%の範囲とすることがより好ましい。これらの条件下では、0℃での吸水量が5重量%未満で、ポリオキシプロピレンホモポリマーポリオールおよびPTMEGポリオールにより得られる吸水量とほぼ同じである(しかし、前者の加工の問題および後者の高コストは考慮外である)。
【0088】
エラストマーの実際の吸水重量%は、0.009meq/gの不飽和を有する4000Daの20重量%ポリオキシエチレンキャップドポリオキシプロピレンジオール(実施例A)から製造された比較エラストマーとともに、表3に示してある。
【0089】
【表3】

【0090】
時間経過に伴う硬度およびレジリエンス蓄積の発現は、ポリオキシプロピレンホモポリマーポリオールと比較して、内部オキシエチレン部分を含む本ポリオールの場合にかなり向上した。図2は、分子量4000Daのポリオキシプロピレンホモポリマージオール(内部EOを含まない)(プロットA)および分子量4000Daの単分散ポリオキシプロピレンジオール(10重量%のランダムオキシエチレン部分を含む)(プロットB)から製造されたエラストマーのレジリエンス蓄積を示す。レジリエンス蓄積を測定するために、一連の同じエラストマーを上記のポリオールから製造し、100℃でオーブン硬化させた。エラストマーをさまざまな時間間隔で取り出してレジリエンスを測定した。図2から明らかなように、たとえ10重量%の内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンジオールが単分散であっても、レジリエンスの蓄積は単分散の超低不飽和ポリオキシプロピレンジオールにより達成されたものよりも相当に大きい。その上、内部オキシエチレン部分を含むジオールから製造されたエラストマーの物理的性質は他の例のものよりもはるかにすぐれている。図2と同じエラストマーの硬度蓄積を図3に示してある。
【0091】
本発明およびその好ましい態様は以下のとおりである。
1. 0.015meq/g(ポリオール)以下の不飽和を有する、曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールであって、
a)1〜20重量%のランダム内部オキシエチレン部分を含む2〜8官能価のポリオキシプロピレン主鎖ポリオール;
b)上記の主鎖ポリオール上にキャップとして存在する5〜25重量%のポリオキシエチレン部分;
(ただし、上記のすべての重量%は曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールの重量に基づくものである)
を含んでなり、
上記の主鎖ポリオールは2〜8官能価の開始剤分子にプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物を二重金属シアン化物触媒の存在下で重合させて製造したものであり、
曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールは500〜15,000Daの当量を有し、かつ
ランダム内部オキシエチレン部分の量は、23℃で貯蔵したときに、上記のポリオキシエチレンキャップドポリオールの曇りの発生を少なくとも20日間防止するような量である
ことを特徴とする、曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオール。
2. 前記の不飽和が0.010meq/g以下である、前記1項に記載の曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオール。
3. 前記の不飽和が0.007meq/g以下である、前記1項に記載の曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオール。
4. 前記のポリオールがジオールまたはトリオールである、前記1項に記載の曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオール。
5. 前記のポリオキシエチレンキャップが前記ポリオールの5〜15重量%を占め、そして前記のランダム内部オキシエチレン部分が前記ポリオールの2〜10重量%を占める、前記1項に記載の曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオール。
6. 0.010meq/g以下の平均不飽和および1.4より大きい多分散性を有する多分散ポリオールブレンドであって、
2以上の別個のポリオキシプロピレンポリオールを含んでなり、各ポリオキシプロピレンポリオールが0.015meq/g以下の不飽和および1000〜20,000Daの平均分子量を有する実質的に単分散のポリオールであり、2以上の別個のポリオキシプロピレンポリオールのうちの少なくとも1つが1〜20重量%のランダム内部オキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールからなる、
ことを特徴とする多分散ポリオールブレンド。
7. 前記の各ポリオキシプロピレンポリオールが0.010meq/g以下の不飽和を有する、前記6項に記載の多分散ポリオールブレンド。
8. 前記の各ポリオキシプロピレンポリオールが0.007meq/g以下の不飽和を有する、前記6項に記載の多分散ポリオールブレンド。
9. 前記の各ポリオキシプロピレンポリオールが1〜20重量%の内部ランダムオキシエチレン部分を含むポリオキシプロピレンポリオールからなる、前記6、7または8項に記載の多分散ポリオールブレンド。
10. 前記の各ポリオキシプロピレンポリオールが0.007meq/g以下の不飽和および5〜15重量%のランダム内部オキシエチレン部分を有する、前記9項に記載の多分散ポリオールブレンド。
11. 23℃で10重量%未満の吸水量を示すポリウレタンエラストマーであって、
a)70〜130のイソシアネート指数でのジ−またはポリイソシアネート;
b)1000〜8000Daの平均当量、0.010meq/g以下の平均不飽和を有し、かつ1〜20重量%の内部ランダムオキシエチレン部分および2または3の呼称官能価を有する少なくとも1つのポリオキシプロピレンポリオールを含むポリオキシプロピレンポリオール成分;および
c)300Da以下の分子量を有する脂肪族グリコールまたはオリゴマーポリオキシアルキレンジオール連鎖延長剤;
の反応生成物であるポリウレタンエラストマー。
12. 前記のポリオキシプロピレンポリオール成分が0.007meq/g以下の不飽和および1〜15重量%の内部ランダムオキシエチレン含量を有する単一のポリオキシプロピレンジオールからなる、前記11項に記載のエラストマー。
13. 前記のポリオキシプロピレンポリオール成分が、少なくとも2つの別個の実質的に単分散のポリオキシプロピレンポリオール(0.010meq/g以下の不飽和を有する)を含む、少なくとも1.4の多分散性を有する多分散ポリオール成分からなり、上記の少なくとも2つの別個のポリオキシプロピレンポリオールのうち少なくとも1つが1〜20重量%のランダム内部オキシエチレン部分を含むものである、前記11項に記載のエラストマー。
14. 前記のポリオキシプロピレンポリオールが、1000〜8000Daの当量、0.007meq/g以下の不飽和、およびポリオキシプロピレンジオールまたはトリオールの重量に基づき5〜12重量%の内部オキシエチレン含量を有するポリオキシプロピレンジオールまたはトリオールからなる、前記11項〜13項のいずれかに記載のエラストマー。
15. 0℃の水に浸漬した後に測定したとき10重量%未満の吸水量を示すポリウレタンエラストマーであって、
a)主要部として4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートを含むジ−またはポリイソシアネートと、
a)i)0.010meq/g以下の不飽和および1〜12重量%のランダム内部オキシエチレン含量を有する、少なくとも1つのポリオキシプロピレンジオールまたはトリオール;
a)ii)場合により、0.010meq/g以下の不飽和および1重量%未満の内部ランダムオキシエチレン含量を有する、1以上のポリオキシプロピレンジオールまたはトリオール〔ここで、a)i)とa)ii)を合わせた平均当量は1000〜8000Daである〕;
を含むポリオキシプロピレンポリオール成分と、の反応により製造された、3〜25重量%のNCOを含むイソシアネート末端プレポリマーと、
b)70〜130のイソシアネート指数でのエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールより成る群から選ばれる脂肪族ジオール連鎖延長剤と、
の反応生成物であるエラストマー。
16. 前記のポリオール成分a)i)およびa)ii)が合わせて1.4以上の多分散性を有する、前記15項に記載のエラストマー。
17. 前記のポリオキシプロピレンポリオールa)i)およびa)ii)のそれぞれが実質的に単分散であり、それぞれの多分散性が1.20以下である、前記16項に記載のエラストマー。
18. 得られるエラストマーが0.8g/cm未満の密度を有する微孔質のエラストマーとなるように、全反応性組成物の重量に基づいて0.1〜1重量%の量の反応性発泡剤としての水の反応生成物をさらに含む、前記15〜17項のいずれかに記載のエラストマー。
19. 前記の微孔質エラストマーの密度が0.2〜0.4g/cmである、前記18項に記載の微孔質エラストマー。
20. 前記の微孔質エラストマーを含むポリウレタンポリマーが0℃で5重量%未満の吸水量を示す、前記18または19項に記載の微孔質エラストマー。
21. 主要部として4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートを含む過剰量のジ−またはポリイソシアネート成分と、1〜20重量%の内部オキシエチレン部分を含みかつ0.015meq/g以下の不飽和を有するポリオキシプロピレンポリオールと、を反応させることにより製造された、沈殿物のないイソシアネート末端プレポリマー。
22. 主要部として4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートを含む過剰量のジ−またはポリイソシアネート成分と、前記1〜6項のいずれかに記載の曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールと、を反応させることにより製造された、沈殿物のないイソシアネート末端プレポリマー。
23. 0℃で5重量%未満の吸水量を示すポリウレタンエラストマーであって、
a)主要部として4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートを含むジイソシアネート成分と、500〜20,000Daの分子量、0.007meq/g以下の不飽和および3〜12重量%の内部ランダムオキシエチレン含量を有するポリオキシプロピレンジオール1種以上と、の反応により製造された、3〜25重量%のNCO含量を有するイソシアネート末端プレポリマーと、
b)70〜130のイソシアネート指数での1,4−ブタンジオールとの、
c)有効量のウレタン促進触媒の存在下での、
反応生成物であるエラストマー。
24. 前記の反応生成物がa)およびb)の合計量に対して0.1〜1.0重量%の水の反応生成物をさらに含む、前記23項に記載のエラストマー。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】0〜40重量%の内部オキシエチレン部分を含む超低不飽和(<0.007meq/g)のポリオキシプロピレンポリオールから製造された、一連のエラストマーの0℃、23℃および50℃における吸水量を示す図である。
【図2】2種の超低不飽和4000Daポリオール、すなわち単分散ポリオキシプロピレンホモポリマージオールおよび10重量%の内部オキシエチレン部分を含む単分散ポリオキシプロピレンジオール、から製造されたポリウレタンエラストマーについての時間経過に伴うレジリエンス蓄積をプロットした図である。
【図3】図2に示したものと同じエラストマーについての時間経過に伴う硬度蓄積をプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.015meq/g(ポリオール)以下の不飽和を有する、曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールであって、
a)1〜20重量%のランダム内部オキシエチレン部分を含む2〜8官能価のポリオキシプロピレン主鎖ポリオール;
b)上記の主鎖ポリオール上にキャップとして存在する5〜25重量%のポリオキシエチレン部分;
(ただし、上記のすべての重量%は曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールの重量に基づくものである)
を含んでなり、
上記の主鎖ポリオールは2〜8官能価の開始剤分子にプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物を二重金属シアン化物触媒の存在下で重合させて製造したものであり、
曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオールは500〜15,000Daの当量を有し、かつ
ランダム内部オキシエチレン部分の量は、23℃で貯蔵したときに、上記のポリオキシエチレンキャップドポリオールの曇りの発生を少なくとも20日間防止するような量である
ことを特徴とする、曇りのないポリオキシエチレンキャップドポリオール。
【請求項2】
23℃で10重量%未満の吸水量を示すポリウレタンエラストマーであって、
a)70〜130のイソシアネート指数でのジ−またはポリイソシアネート;
b)1000〜8000Daの平均当量、0.010meq/g以下の平均不飽和を有し、かつ1〜20重量%の内部ランダムオキシエチレン部分および2または3の呼称官能価を有する少なくとも1つのポリオキシプロピレンポリオールを含むポリオキシプロピレンポリオール成分;および
c)300Da以下の分子量を有する脂肪族グリコールまたはオリゴマーポリオキシアルキレンジオール連鎖延長剤;
の反応生成物であるポリウレタンエラストマー。
【請求項3】
0℃の水に浸漬した後に測定したとき10重量%未満の吸水量を示すポリウレタンエラストマーであって、
a)主要部として4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートを含むジ−またはポリイソシアネートと、
a)i)0.010meq/g以下の不飽和および1〜12重量%のランダム内部オキシエチレン含量を有する、少なくとも1つのポリオキシプロピレンジオールまたはトリオール;
a)ii)場合により、0.010meq/g以下の不飽和および1重量%未満の内部ランダムオキシエチレン含量を有する、1以上のポリオキシプロピレンジオールまたはトリオール〔ここで、a)i)とa)ii)を合わせた平均当量は1000〜8000Daである〕;
を含むポリオキシプロピレンポリオール成分と、の反応により製造された、3〜25重量%のNCOを含むイソシアネート末端プレポリマーと、
b)70〜130のイソシアネート指数でのエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールより成る群から選ばれる脂肪族ジオール連鎖延長剤と、
の反応生成物であるエラストマー。
【請求項4】
主要部として4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートを含む過剰量のジ−またはポリイソシアネート成分と、1〜20重量%の内部オキシエチレン部分を含みかつ0.015meq/g以下の不飽和を有するポリオキシプロピレンポリオールと、を反応させることにより製造された、沈殿物のないイソシアネート末端プレポリマー。
【請求項5】
0℃で5重量%未満の吸水量を示すポリウレタンエラストマーであって、
a)主要部として4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネートを含むジイソシアネート成分と、500〜20,000Daの分子量、0.007meq/g以下の不飽和および3〜12重量%の内部ランダムオキシエチレン含量を有するポリオキシプロピレンジオール1種以上と、の反応により製造された、3〜25重量%のNCO含量を有するイソシアネート末端プレポリマーと、
b)70〜130のイソシアネート指数での1,4−ブタンジオールとの、
c)有効量のウレタン促進触媒の存在下での、
反応生成物であるエラストマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−204766(P2007−204766A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131679(P2007−131679)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【分割の表示】特願平8−174361の分割
【原出願日】平成8年6月14日(1996.6.14)
【出願人】(596176574)バイエル・アントウエルペン・エヌ・ベー (4)
【Fターム(参考)】