説明

吸収冷凍機

【課題】吸収液散布孔を合理的に配置して、散布孔形成部材を大きくすることなく、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上する。
【解決手段】吸収器を、蒸発器と一体構成の吸収器本体の上部に吸収液散布手段21を備えて構成する。その吸収液散布手段21を、トレイ22の底面に吸収液散布孔23を分散配備して構成する。トレイ22において、吸収液散布孔23を、エリミネータから導入される冷媒蒸気の流れ方向での間隔が、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向でのエリミネータに最も近い箇所の間隔よりも小さい間隔になるとともに、エリミネータから導入される冷媒蒸気の流れ方向で上流側よりも下流側が比例的に密になる状態で分布するように分散して配備し、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、その吸収器本体の上部に設けられて、吸収液を液滴として散布する吸収液散布手段と、その吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備えた吸収冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収冷凍機の吸収器としては、吸収器本体内に冷却手段を設け、吸収器での冷媒蒸気の吸収時に発生する熱により温度が上昇した吸収液を冷却する、いわゆる冷却型吸収器が知られている。
ところが、構造が複雑で専用の熱交換器を吸収器本体内に組み込むために高価になる不都合がある。
【0003】
このような不都合を回避する上で、汎用の熱交換器やパッケージエアコンなどに使用される空気熱交換器を過冷却器として用いることができる、いわゆる断熱吸収器が有利であり、従来、次のようなものが知られている。
すなわち、空冷吸収器の円筒状の伝熱器体中に蒸発器が一体に組み込んで構成され、再生器からの臭化リチウム濃溶液を上部空間側溶液散布トレイに導入し、その溶液散布トレイから伝熱器体の内壁面に液膜状態で流下させるとともに下部側液溜め部からの冷媒蒸気吸収後の臭化リチウム希溶液を溶液ポンプによりクロスフィン熱交換器構造よりなる空冷吸収液冷却器を介設した吸収液循環路(希溶液循環路)を通してスプレーノズルに導入した後、伝熱器体の上部空間側内壁面に霧状に吹き付けて上方から下方に緩やかに流下させ、各流下状態において蒸発器で蒸発し、エリミネータを介して拡散供給される冷媒蒸気を吸収させるようになっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−122685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように伝熱器体の上部空間側内壁面を流下する吸収液に冷媒蒸気を吸収させるものでは、伝熱器体の上部空間側内壁面と接触している部分が冷媒蒸気に接触せず、冷媒蒸気の吸収性能が低い欠点があった。
そこで、吸収器本体の上部から吸収液を液滴状態で散布するように構成したものがあるが、次のような問題があった。
冷媒蒸気との接触面積を多くするためには、吸収液を細かい液滴にして散布するのが好ましいが、液滴を密に散布すると蒸発器から導入される冷媒蒸気の流れを阻害し、冷媒蒸気の流れ方向の下流側では吸収液と接触せず、吸収性能が低下する。逆に液滴を疎に散布すると、吸収器本体の水平方向での面積を大きくしなければならず、大型化する問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1、2および3に係る発明は、吸収液散布孔を合理的に配置して、散布孔形成部材を大きくすることなく、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるようにすることを目的とし、請求項4に係る発明は、吸収液散布孔から細かな液滴で散布できるようにすることを目的とし、請求項5に係る発明は、製作簡単で安価にして吸収液散布孔から細かな液滴で散布できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、上述のような目的を達成するために、
横側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、前記吸収器本体の上部に設けられて、吸収液を液滴として散布する吸収液散布手段と、前記吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備えた吸収冷凍機において、
前記吸収液散布手段を、
吸収液の液滴を散布する吸収液散布孔を分散配備して構成し、
かつ、前記吸収液散布孔を、前記導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向での間隔が、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向での前記導入路に最も近い箇所の間隔よりも小さい間隔になるとともに、前記導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向で上流側よりも下流側が密になる状態で分布するように分散させてあることを特徴とする。
【0007】
(作用・効果)
請求項1に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、冷媒蒸気の流れ方向よりも疎な状態で分布された吸収液散布孔から散布される液滴の間を通じて冷媒蒸気を流し、冷媒蒸気の流れ方向に沿って密な状態で分布された吸収液散布孔から散布される液滴に接触させて冷媒を吸収液に吸収させ、かつ、冷媒蒸気の流れ方向下流側になるほど一層密な状態で分布された吸収液散布孔から散布される液滴によって、流動する冷媒蒸気が通過することを抑制しながら冷媒蒸気を液滴に接触させて冷媒を吸収液に吸収させることができる。
したがって、吸収液散布孔を冷媒蒸気の流れ方向には密、それに直交する水平方向には疎に、更に、冷媒蒸気の流れ方向の下流側が上流側よりも密になるように分布させるという合理的な配置構成により、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるとともに、冷媒蒸気の通過を抑制して十分に液滴に接触させて冷媒の吸収液への吸収量を増加できる。
しかも、例えば、冷媒蒸気の流れ方向には密、それに直交する水平方向には疎にし、冷媒蒸気の流れ方向に均一に形成する場合に比べて、一定量の吸収液を散布する上で、平面面積を減少でき、散布孔形成部材を大きくせずに済み、機体を小型化できる利点を有している。
【0008】
請求項2に係る発明は、前述のような目的を達成するために、
請求項1に記載の吸収冷凍機において、
導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向での吸収液散布孔の分散状態が、比例的に密になるように構成する。
【0009】
(作用・効果)
請求項2に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、比例的に密になるように分布された吸収液散布孔からの液滴に、流動する冷媒蒸気が通過することを抑制しながら冷媒蒸気を接触させ、冷媒を吸収液に吸収させることができる。
したがって、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるとともに、冷媒蒸気の通過を抑制して十分に液滴に接触させて冷媒の吸収液への吸収量を増加できる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前述のような目的を達成するために、
請求項1に記載の吸収冷凍機において、
導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向での吸収液散布孔の分散状態が、段階的に密になるように構成する。
【0011】
(作用・効果)
請求項3に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、段階的に密になるように分布された吸収液散布孔からの液滴に、流動する冷媒蒸気が通過することを抑制しながら冷媒蒸気を接触させ、冷媒を吸収液に吸収させることができる。
したがって、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるとともに、冷媒蒸気の通過を抑制して十分に液滴に接触させて冷媒の吸収液への吸収量を増加できる。
しかも、段階的に密になるように分布させるから、吸収液散布孔を形成しやすい利点を有している。
【0012】
請求項4に係る発明は、前述のような目的を達成するために、
請求項1、2、3のいずれかに記載の吸収冷凍機において、
吸収液散布手段が、吸収液散布孔を吸収液の液滴を受け留めるトレイの底面に分散配備して構成したものであり、かつ、前記トレイの底部上面から前記吸収液散布孔の下端までの長さが前記吸収液散布孔の開口径の1.3倍以上になるように構成する。
【0013】
(作用・効果)
トレイ内の吸収液に加え、吸収液散布孔内で、開口径の1.3倍以上のヘッド差を備えるから、その部分の重量が加わることにより吸収液散布孔の下端で液滴が形成されて離れるまでの時間が短くなり、細かな液滴で落下させることができ、液滴の表面積が大きくなって冷媒蒸気と接触する表面積を大きくでき、吸収性能を向上できる。
【0014】
請求項5に係る発明は、前述のような目的を達成するために、
請求項1、2、3、4のいずれかに記載の吸収冷凍機において、
吸収液散布孔を、バーリング加工によって孔下端がトレイの底部下面よりも突出する状態に形成して構成する。
【0015】
(作用・効果)
請求項5に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、吸収液散布孔をバーリング加工によって形成するから、吸収液散布孔を備えるトレイを安価に製作できる。しかも、吸収液散布孔の下端をトレイの底部下面よりも突出させ、その孔下端周縁の厚みを薄くでき、平板に孔を形成したものに比べて、液滴が孔周縁から離れやすくなるから、細かな液滴で落下させることができ、液滴の表面積が大きくなって冷媒蒸気と接触する表面積を大きくでき、吸収性能を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る発明の吸収冷凍機の構成によれば、冷媒蒸気の流れ方向よりも疎な状態で分布された吸収液散布孔から散布される液滴の間を通じて冷媒蒸気を流し、冷媒蒸気の流れ方向に沿って密な状態で分布された吸収液散布孔から散布される液滴に接触させて冷媒を吸収液に吸収させ、かつ、冷媒蒸気の流れ方向下流側になるほど一層密な状態で分布された吸収液散布孔から散布される液滴によって、流動する冷媒蒸気が通過することを抑制しながら冷媒蒸気を液滴に接触させて冷媒を吸収液に吸収させることができる。
したがって、吸収液散布孔を冷媒蒸気の流れ方向には密、それに直交する水平方向には疎に、更に、冷媒蒸気の流れ方向の下流側が上流側よりも密になるように分布させるという合理的な配置構成により、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるとともに、冷媒蒸気の通過を抑制して十分に液滴に接触させて冷媒の吸収液への吸収量を増加できる。
しかも、例えば、冷媒蒸気の流れ方向には密、それに直交する水平方向には疎にし、冷媒蒸気の流れ方向に均一に形成する場合に比べて、一定量の吸収液を散布する上で、平面面積を減少でき、散布孔形成部材を大きくせずに済み、機体を小型化できる利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明に係る吸収冷凍機の実施例1を示す全体概略構成図であり、ガスエンジン(図示せず)のエンジン冷却部からの排熱(エンジン冷却水)を加熱媒体として供給する再生器1内に、低圧下でエンジン冷却水(例えば、温度85℃)によって沸騰可能な、水を冷媒とし、かつ、リチウムブロマイドを吸収剤としたリチウムブロマイド水溶液(吸収液)が収容されている。
【0019】
再生器1には、吸収液から分離された冷媒蒸気を供給するように凝縮器2が第1の配管3を介して連通接続され、再生器1に第2の配管4を介して吸収器5が接続されるとともに、凝縮器2に第3の配管6を介して蒸発器7が接続され、更に、吸収器5と蒸発器7とが冷媒蒸気の導入路を形成するエリミネータ8を介して連通接続され、吸収冷凍機が構成されている。
【0020】
凝縮器2は、再生器1からの冷媒蒸気を流すフィン付きの熱交換用パイプ9と、その熱交換用パイプ9に外気を供給するファン10と、液溜め11とから構成され、冷媒蒸気を空冷によって凝縮液化し、その液化した冷媒液を液溜め11に溜め、液化した冷媒液を蒸発器7に供給するようになっている。
【0021】
蒸発器7は、散布ノズル12を付設した冷媒液用液溜め部13と、冷媒液用液溜め部13から流下される冷媒液を分散させる分散板14とから構成されている。
蒸発器7の下部と冷媒液用液溜め部13とにわたって、冷媒ポンプ15および冷熱取り出し用熱交換器16を介装した循環配管17が接続されている。
冷熱取り出し用熱交換器16に、ガスヒートポンプ用の冷媒入口管18と冷媒出口管19とが接続され、吸収器5における吸収液による冷媒の吸収に伴って冷媒液を蒸発冷却し、その冷却冷媒液によってガスヒートポンプ用の冷媒を冷却するようになっている。
【0022】
吸収器5は、蒸発器7と一体構成の吸収器本体20の上部に吸収液散布手段21を備えて構成されている。吸収液散布手段21は、図2のトレイの平面図、および、図3の一部省略断面側面図(図2の一部省略A−A線拡大断面図)に示すように、トレイ22の底面に吸収液散布孔23を分散配備して構成されている。
【0023】
トレイ22内には、最下部にスペーサとしての支持部材24を介して凹凸状の充填材25が3段、凹凸方向を交互に変えて充填されている。充填材25には、その凹部の底部に貫通孔26が分散して形成されている。
充填材25の上部に、散布ノズル27が設けられ、その散布ノズル27と吸収器5の下部とが、吸収液ポンプ28と過冷却器29とを介装した第4の配管30を介して接続され、吸収液を循環しながら過冷却し、吸収液に吸収させる冷媒量を増加し、更に、吸収液を充填材25上に散布し、トレイ22内での液深を大きくしながら水平方向に分散して吸収液を供給し、吸収液散布孔23から液滴状態で滴下できるようになっている。29aは、過冷却器29のファンを示している。
【0024】
トレイ22において、吸収液散布孔23が、エリミネータ8から導入される冷媒蒸気の流れ方向での間隔が、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向でのエリミネータ8に最も近い箇所の間隔よりも小さい間隔になるとともに、エリミネータ8から導入される冷媒蒸気の流れ方向で上流側よりも下流側が比例的に密になる状態で分布するように分散して配備されている。
これにより、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるとともに、冷媒蒸気の通過を抑制して十分に液滴に接触させて冷媒の吸収液への吸収量を増加できるように構成されている。
【0025】
吸収液散布孔23それぞれは、図4の要部の拡大断面図に示すように、バーリング加工によって孔下端がトレイ22の底部下面よりも突出する状態に形成されている。
また、トレイ22の底部上面から吸収液散布孔23の下端までの長さTが吸収液散布孔23の開口径Dの1.3倍以上になるように構成されている。
長さTと開口径Dとの比T/Dを1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5と変えたものを製作し、目視によって観察した結果、T/Dが1.3以上の場合に、吸収液散布孔23から細かな液滴として散布供給できることがわかった。この結果に基づいて、上述のように、T/Dが1.3以上になるように吸収液散布孔23が形成されている。
【0026】
これにより、トレイ22内の吸収液に加え、吸収液散布孔23内で、開口径の1.3倍以上のヘッド差を備え、その部分の重量を加えることにより吸収液散布孔23の下端で液滴が形成されて離れるまでの時間を短くできて、細かな液滴で落下させることができ、液滴の表面積を大きくできて冷媒蒸気と接触する表面積を大きくし、吸収性能を向上できる。
しかも、バーリング加工によって吸収液散布孔23の下端をトレイ22の底部下面よりも突出させ、その孔下端周縁の厚みを薄くでき、液滴が孔周縁から離れやすくできて、細かな液滴で落下させることができ、一層吸収性能を向上できる。
【0027】
第4の配管30の吸収液ポンプ28と過冷却器29との間の箇所と再生器1とにわたって第5の配管31が接続されている。第4の配管30の一部と第5の配管31とによって第2の配管4が構成されている。再生器1の下部と吸収器5とが第6の配管32を介して接続され、この第6の配管32と第5の配管31との間に熱交換器33が設けられ、再生器1に戻す吸収液を、再生器1から吸収器5に流す吸収液によって加熱するようになっている。
【0028】
再生器1は、再生器本体34内に、外面を伝熱面に形成した伝熱部材としての鉛直方向の伝熱面を有するプレート35を水平方向に並設し、プレート35の下部にエンジン冷却後のエンジン冷却水をプレート35内に供給する加熱媒体供給管36を接続し、一方、プレート35の上部に吸収液との熱交換によって冷却されたエンジン冷却水をプレート35内から取り出す加熱媒体取り出し管37を接続して構成されている。
【実施例2】
【0029】
図5は、本発明に係る吸収冷凍機の実施例2を示すトレイの平面図であり、実施例1と異なるところは次の通りである。
すなわち、トレイ22において、吸収液散布孔23が、エリミネータ8から導入される冷媒蒸気の流れ方向での間隔が、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向でのエリミネータ8に最も近い箇所の間隔よりも小さい間隔になるとともに、エリミネータ8から導入される冷媒蒸気の流れ方向で上流側よりも下流側が段階的に密になる状態で分布するように分散して配備され、冷媒蒸気の流れを阻害せずに液滴との接触面積を大きくして吸収性能を向上できるとともに、冷媒蒸気の通過を抑制して十分に液滴に接触させて冷媒の吸収液への吸収量を増加できるように構成されている。他の構成は実施例1と同じであり、同一図番を付し、その説明は省略する。
【実施例3】
【0030】
図6は、本発明に係る吸収冷凍機の実施例3を示すトレイの要部の拡大断面図であり、実施例1と異なるところは次の通りである。
すなわち、トレイ22の厚みが、その底部上面から吸収液散布孔23の下端までの長さTと等しく、しかも、その長さTが吸収液散布孔23の開口径Dの1.3倍以上になるように構成されている。他の構成は実施例1と同じであり、同一図番を付し、その説明は省略する。
【0031】
上記実施例では、吸収液散布手段21をトレイ22と吸収液散布孔23とから構成し、更に、そのトレイ22内に充填材25を備え、トレイ22内の吸収液の量が少なくても液深が大きくなるように構成しているが、本発明としては、充填材25を備えないものでも良い。
また、吸収液散布手段21としては、冷媒蒸気の下流側ほど比例的にあるいは段階的に密な状態になるように吸収液散布孔を形成した枝分かれ状のパイプを、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向に疎な間隔で配設して構成するものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る吸収冷凍機の実施例1を示す全体概略構成図である。
【図2】実施例1のトレイの平面図である。
【図3】図2の一部省略A−A線拡大断面図である。
【図4】実施例1の要部の拡大断面図である。
【図5】実施例2のトレイの平面図である。
【図6】実施例3の要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0033】
5…吸収器
7…蒸発器
8…エリミネータ(導入路)
20…吸収器本体
21…吸収液散布手段
22…トレイ
23…吸収液散布孔
29…過冷却器
D…吸収液散布孔の開口径
T…トレイの底部上面から吸収液散布孔の下端までの長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横側面に蒸発器に連なって冷媒蒸気を導入する導入路を備えた吸収器本体と、前記吸収器本体の上部に設けられて、吸収液を液滴として散布する吸収液散布手段と、前記吸収液散布手段に供給される前に吸収液を過冷却する過冷却器とを備えた吸収冷凍機において、
前記吸収液散布手段を、
吸収液の液滴を散布する吸収液散布孔を分散配備して構成し、
かつ、前記吸収液散布孔を、前記導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向での間隔が、冷媒蒸気の流れ方向に直交する水平方向での前記導入路に最も近い箇所の間隔よりも小さい間隔になるとともに、前記導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向で上流側よりも下流側が密になる状態で分布するように分散させてあることを特徴とする吸収冷凍機。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収冷凍機において、
導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向での吸収液散布孔の分散状態が、比例的に密になるようにしてある吸収冷凍機。
【請求項3】
請求項1に記載の吸収冷凍機において、
導入路から導入される冷媒蒸気の流れ方向での吸収液散布孔の分散状態が、段階的に密になるようにしてある吸収冷凍機。
【請求項4】
請求項1、2、3のいずれかに記載の吸収冷凍機において、
吸収液散布手段が、吸収液散布孔を吸収液の液滴を受け留めるトレイの底面に分散配備して構成したものであり、かつ、前記トレイの底部上面から前記吸収液散布孔の下端までの長さが前記吸収液散布孔の開口径の1.3倍以上である吸収冷凍機。
【請求項5】
請求項1、2、3、4のいずれかに記載の吸収冷凍機において、
吸収液散布孔が、バーリング加工によって孔下端がトレイの底部下面よりも突出する状態に形成されたものである吸収冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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