説明

吸収性コア

使い捨て吸収性物品用の、例えば経血又は血液を吸収するための、多孔質吸収性ゲル材料を含む、吸収性コア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品、例えば生理用ナプキンなどのための吸収性コアに関する。
【背景技術】
【0002】
経血、血液、又は膣排泄物などのような体液を吸収するための吸収性物品は、当該技術分野において周知であり、例えば、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間用具などの婦人衛生用品、並びに創傷包帯などを含む。例えば、生理用ナプキンを想定した場合、これらの物品は着用者に面する層としての液体透過性トップシート、衣類に面する層としてのバックシート、及びトップシートとバックシートとの間の吸収性コアを典型的には含む。体液は、トップシートを通して捕捉され、その後吸収性コア内に貯蔵される。典型的にはバックシートは、吸収された流体が着用者の衣類を濡らすのを防ぐ。
【0003】
吸収性コアは、典型的には1つ以上の繊維状吸収性材料を含むことができ、更にこれは、例えば典型的には木材パルプ繊維であるセルロース繊維、合成繊維、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0004】
吸収性物品は、その吸収特性及び保持特性を改善するために、通常は微細分散した形態の、例えば典型的には粒子形状の、吸収性ゲル材料(AGM)などの超吸収性材料を、典型的には吸収性コアの中に更に含むことができる。吸収性物品で使用する超吸収性材料は、典型的には、大量の液体を吸収し、ほどほどの圧力下でこのような吸収された液体を保持することができる、水不溶性、水膨潤性、ヒドロゲル形成架橋吸収性ポリマーを含む。吸収性ゲル材料は、吸収性物品中に、典型的にはコア構造中に異なる方法で組み込むことができ、例えば、粒子形状の吸収性ゲル材料を、コアに含まれる繊維層の繊維の中に分散させること、又は繊維層の間により高濃度にかなり局在して配置させることができる。
【0005】
薄い構造を持った吸収性物品用の吸収性コアは、特に物品が完全に又は部分的に液体で満たされた場合、吸収性ゲル材料の不動化を改良し、着用感の向上をもたらすことができる。このようなより薄い構造により、例えば、吸収性ゲル材料が配置され、例えば構造体自体の模様付きの領域に何らかの形で保持されているというような、向上した快適さ、目立たなさ、適応性を合わせ持った吸収性物品が提供される。
【0006】
Procter & Gamble Companyに譲渡された欧州特許第1447067号は、その物品の着用性を改良し、物品を薄くて乾燥した状態にする吸収性コアを持つ吸収性物品、典型的にはおむつのような使い捨ての吸収性物品を記述している。吸収性コアは基材層を含み、基材層は第1表面及び第2表面を含み、吸収性コアは吸収性材料の不連続層を更に含み、吸収性材料は吸収性ポリマー材料を含み、吸収性材料は吸収性ポリマー材料の全重量の20重量パーセントを超えることのない吸水性繊維性材料を任意に含む。吸収性材料の不連続層は第1表面と第2表面とを含み、吸収性コアは更に第1表面と第2表面を有する熱可塑性材料層を含み、吸収性材料の不連続層の第2表面は基材層の第1表面と少なくとも部分的に接触し、熱可塑性材料層の第2表面のいくつかの部分は基材層の第1表面と直接接触し、熱可塑性材料層の第2表面のいくつかの部分は吸収性材料の不連続層の第1表面と直接接触する。
【0007】
欧州特許第1447067号による、並びに比較的多くの量の吸収性ゲル材料を備えた薄い吸収性コア、及び幾分低含有量の繊維性材料を含む吸収性物品は、体液に対して通常良好な吸収特性及び保持特性を有する一方で、吸収及び保持、並びに特に流体捕捉能力を改善する余地が依然として残されている。
【0008】
典型的には、例えば吸収性ポリマー材料の粒子を含む吸収性材料の層の第1表面と直接接触する、熱可塑性材料、典型的には例えば繊維であり得るホットメルト接着剤の層の存在は、流体の吸収により濡れた状態においても、安定した吸収構造及び吸収性ポリマー材料の基材層上への有効な閉じ込めを提供するが、しかし、吸収性ポリマー材料の流体に対する挙動に多少の影響を与え得ると、信じられている。例えば、熱可塑性材料の層は、少なくとも部分的に吸収性ポリマー材料、典型的には微粒子吸収性ポリマー材料の外表面を覆うことがあり、それゆえ、例えば、流体捕捉能力に多少の影響を与えることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第1447067号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、基材層上に安定して提供された層中に吸収性ゲル材料を含む、吸収性物品のための吸収性コア構造体中に、多孔質吸収性ポリマー粒子を組み込むことによって、上記分野に大きな改善を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、吸収性物品のための吸収性コアを提供することによって上記のニーズに対処し、この吸収性コアは第1表面と第2表面とを含む基材層を備え、吸収性コアは第1表面と第2表面とを含む吸収性ポリマー材料の層を更に含み、吸収性コアはまた第1表面と第2表面とを含む接着剤層を含む。吸収性ポリマー材料の層は、接着剤層と基材層との間に含まれる。吸収性ポリマー材料層の第2表面は基材層の第1表面に接触しており、吸収性ポリマー材料層の第1表面は接着剤層の第2表面に接触している。吸収性ポリマー材料の層は、多孔質吸収性ポリマー粒子を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】下部にある要素を示すためにいくつかの構成要素のいくつかの部分が切り取られた、本発明の実施形態による吸収性コアを示す生理用ナプキンの平面図。
【図2】横軸A−A’で切断した図1の生理用ナプキンの概略断面図。
【図3】本発明の1つの実施形態による吸収性コアの概略断面図。
【図4】本発明の別の実施形態による吸収性コアの概略断面図。
【図5】本発明による代表的な吸収性コアの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、例えば生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間用具、創傷包帯、おむつ、大人用失禁物品などの、経血若しくは血液又は膣排泄物又は尿のような体液の吸収を目的とする吸収性物品用の吸収性コアに関する。本発明に関連する代表的な吸収性物品は使い捨て吸収性物品である。本明細書では、用語「使い捨て」は、洗濯又は別の方法で物品として再生又は再利用されることを意図しない物品(すなわち、これらは1回使用後に廃棄されることを意図し、恐らくはリサイクルされるか、堆肥にされるか、又は別の環境に適した方法で処分される)を記述するために使用される。本発明による吸収性コアを有する吸収性物品は、例えば生理用ナプキン又はパンティライナーであってよい。本発明の吸収性コアは、例えば図1に示される生理用ナプキン20のような、典型的な吸収性物品を念頭において本明細書に記述される。典型的には、図1に示されるような物品は、液体透過性トップシート30、バックシート40、並びに前記トップシート30及び前記バックシート40の中間にある吸収性コア28の要素を含むことができる。
【0014】
本発明の以下の説明において、使用中に着用者の方向に面する物品又はその各要素の表面を、着用者に面する表面と名付ける。反対に、使用中に衣類の方向を向く表面を、衣類に面する表面と名付ける。本発明の吸収性物品及びそのいずれかの要素、例えば吸収性コアはしたがって、着用者に面する表面及び衣類に面する表面を有する。
【0015】
トップシート
本発明によれば、吸収性物品は液体透過性トップシートを含むことができる。本明細書における使用に好適なトップシートは、織布、不織布、及び/又は液体透過性開口部を含む液体不透過性ポリマーフィルムの三次元ウェブを含むことができる。図1においてトップシートは、参照番号30で示されている。本明細書に使用するトップシートは単一層であり得、又は多数の層を備えてもよい。例えば、着用者に面する表面から吸収性構造体に向かう液体の移送を促進するために提供された開口部を有するフィルム材料によって、着用者に面し接触する表面を設けることができる。かかる液体透過性有孔フィルムは、当該技術分野において周知である。それらは、弾性的な三次元繊維様構造体を提供する。このようなフィルムは、例えば、米国特許第3929135号、同第4151240号、同第4319868号、同第4324426号、同第4343314号、同第4591523号、同第4609518号、同第4629643号、同第4695422号、又はPCT国際公開特許第WO 96/00548号に詳細に開示されている。
【0016】
吸収性コア
本発明の実施形態によれば、また例えば図3及び図5の実施形態に示されるように、吸収性コア28は基材層100、吸収性ポリマー材料110の層、接着剤の層120を備えることができる。本発明によれば、層120の接着剤はホットメルト接着剤であり得る。本発明によれば、接着剤の層120は、典型的には、例えば繊維化したホットメルト接着剤の層120であり得る。基材層100は、例えば、繊維性材料からなることができる。
【0017】
本発明の別の実施形態は図4に示されている。図4に示される吸収性コアは、カバー層130を更に備えることができる。カバー層に好適な材料は、例えば、不織布材料であり得る。
【0018】
基材層100は第1表面及び第2表面を有する。通常、添付図に例示されるすべての断面図において、各層の第1表面は最上部の表面に相当することになっており、言いかえれば、他に記載のない限り、吸収性コアを組み込んだ物品20の着用者に面する表面に相当し、一方第2表面は底部の表面、したがって言いかえれば、衣類に面する表面に相当する。基材層100の第1表面の少なくとも一部は、吸収性ポリマー材料110の層と接触する。吸収性ポリマー材料110のこの層は第1表面及び第2表面を有し、典型的には均一又は不均一層であり得、「均一」又は「不均一」は吸収性ポリマー材料110が基材層100の上に、分布に関与する領域に渡ってそれぞれ均一又は不均一な坪量で分布され得ることを意味する。逆に言えば、吸収性ポリマー材料110の層の第2表面は、基材層100の第1表面と少なくとも部分的に接触している。本発明の実施形態によると、吸収性ポリマー材料110の層も典型的には開口部、すなわち実質的に吸収性ポリマー材料がない領域を含む層である不連続層でよく、特定の実施形態においては、開口部が、典型的には吸収性ポリマー材料を含む領域で完全に囲まれていてよい。典型的にはこれらの開口部は、10mm未満、5mm、3mm、2mm、又は1.5mm未満で、かつ0.5mm又は1mmを超える直径又は最大径間を有する。吸収性ポリマー材料層110の第2表面の少なくとも一部は、基材層材料100の第1表面の少なくとも一部と接触している。吸収性ポリマー材料110の層の第1表面は、基材材料100の層の第1表面の上に特定高さの吸収性ポリマー材料層を画定する。吸収性ポリマー材料層110が、典型的には例えば不連続層である不均一層として設けられるとき、基材層100の第1表面の少なくともいくつかの部分は、吸収性ポリマー材料110で覆われていない。吸収性コア28は更に接着剤、例えば典型的にはホットメルト接着剤の層120を備える。この接着剤の層120は、少なくとも部分的に吸収性ポリマー材料110を固定化するように機能する。本発明によれば、接着剤の層120は典型的には繊維化したホットメルト接着剤であってよく、すなわちホットメルト接着剤は繊維形態で繊維状層として提供される。
【0019】
本発明の一実施形態においては図4に図示されるように、吸収性コア28は、カバー層130の第2表面が、典型的にはホットメルト接着剤である、接着剤の層120の第1表面と接触するように配置された、第1及び第2表面をそれぞれ有するカバー層130を更に備えることができる。
【0020】
例えば吸収性ポリマー材料110の不均一層を含む本発明の一実施形態においては、例えば典型的には繊維化したホットメルト接着剤として提供される接着剤の層120は、部分的に吸収性ポリマー材料110と接触し、かつ部分的に基材層100と接触していてよい。図3及び図5は、本発明の代表的な実施形態におけるこのような構造を示す。この構造においては、吸収性ポリマー材料層110は不連続層として提供され、接着剤層120は吸収性ポリマー材料110の相乗に置かれ、典型的には例えば繊維化した形態のホットメルト接着剤の層である接着剤の層120が、接着剤の層120の第2の表面が吸収性ポリマー材料110の層の第1の表面と直接接触するが、また基材層が吸収性ポリマー材料100により覆われていない、すなわち典型的には吸収性ポリマー材料110の不連続層の開口部に相当する領域で、基材層100の第1表面とも直接接触する。本明細書において使用される場合、「直接接触している」並びにより一般的に「接触している」と述べることによって、例えば接着剤の層120とこれに直接接触する他の各層との間に、例えば更なる繊維状層などの、追加的な中間層が存在しないことを意味する。しかし、図4に示されるように、追加的な接着剤が接着剤の層120と、存在する場合には、任意のカバー層130との間に含まれ得ること、又は例えば上にある吸収性ポリマー材料110を更に安定化させるために、基材層100の第1表面に提供された補助接着剤などが、吸収性ポリマー材料110の層と基材層100との間に含まれ得ることは、排除されない。それゆえこの関連において「直接接触している」及び「接触している」は、例えば接着剤の層120と上述の別の各層との間の直接の接着剤接触、又はより一般的には2つの層、例えば吸収性ポリマー材料層と基材層との間の直接の、そして典型的には、接着接触を含むと考えることができる。「直接接触」又は「接触」はまた、隣接する層間の前記実際の「接触」を任意の中間補助接着剤を通して提供する場合、連続していない、つまり開口部を有する、前記任意の中間補助接着剤によっても確保される。
【0021】
このことは、それ自体が、本質的にx方向及びy方向の広がりに比べて比較的小さい厚さ(z方向)の二次元構造体であるホットメルト接着剤120の繊維層に、本質的に三次元の構造を付与する。換言すれば、接着剤の層120は、吸収性ポリマー材料110の第1表面と基材層100の第1表面との間で波状にうねる。接着剤の層120が基材層100と直接接触している領域は、本発明の実施形態により存在する場合には、接合領域140である。
【0022】
したがってこのような実施形態において、接着剤の層120は、吸収性ポリマー材料110を典型的には基材層100の方向に向けて保持する空間を提供することができ、それによってこの材料を不動化することができる。更なる態様において、接着剤の層120を基材100に結合し、したがって吸収性ポリマー材料110を基材100に固着させることができる。典型的なホットメルト接着剤材料はまた、吸収性ポリマー材料110と基材層100との両方に浸透し、それゆえ更なる不動化及び固着をもたらすことができる。
【0023】
図4に典型的に図示される別の実施形態では、カバー層130のいくつかの部分は、接着剤の層120を介して基材層100のいくつかの部分と結合する。これにより、基材層100はカバー層130とともに、吸収性ポリマー材料110を不動化するための空間を提供することができる。
【0024】
もちろん、本明細書に開示された典型的なホットメルト接着剤材料は、湿潤不動化、すなわち、物品が濡れた状態であるとき又は少なくとも部分的に載荷されたときの吸収性ポリマー材料の不動化を大きく改善できる一方、これらのホットメルト接着剤材料は、物品が乾燥状態であるときにも吸収性ポリマー材料を非常に良好に不動化することができる。
【0025】
本発明の実施形態によると、吸収性ポリマー材料110は、繊維性材料と任意に混合することができ、これにより吸収性ポリマー材料の更なる不動化のためのマトリックスを提供することができる。しかしながら、典型的には、例えば吸収性ポリマー材料の領域内にある吸収性ポリマー材料110の総重量の約40重量%未満、約20重量%未満、又は約10重量%未満の、比較的低量の繊維性材料を使用することができる。
【0026】
本発明の実施形態によると、吸収性ポリマー材料110の典型的な不連続層内で吸収性ポリマー材料の領域は互いに結合することが可能であるが、一方で接合領域140は、図5に示されるように、一実施形態では吸収性ポリマー材料の不連続層内の開口部に対応してもよい領域となり得る。その結果、吸収性ポリマー材料の領域は結合した領域と称される。別の実施形態では、接合領域140は互いに結合することが可能である。次に、吸収性ポリマー材料は、孤立したパターンで堆積させることができ、又は換言すれば吸収性ポリマー材料は接着剤120の海の中の島を表す。したがって、要約すると、吸収性ポリマー材料110の不連続層は、例えば図5に図示されるように、吸収性ポリマー材料110の結合した領域を含んでもよく、又は別の方法としては吸収性ポリマー材料110の孤立した領域を含んでもよい。
【0027】
本発明並びに図3、4及び5を参照して説明した具体的な実施形態は、図1に図示されるような吸収性物品の吸収性コアを提供するために典型的に使用され得る。その場合、例えば、最上層及び最下層などのコアを包む追加材料は使用されない。図4の実施形態を参照すると、任意のカバー層130は最上層の機能を提供することができ、基材層100は吸収性コアの最下層の機能を提供することができ、最上層及び最下層はそれぞれ、吸収性物品におけるコア28の身体に面する及び衣類に面する表面に対応する。
【0028】
図3、4及び5を参照すると、本発明の例示的な実施形態によれば、接着剤の層120と基材材料100との間の直接接触領域は接合領域140と称される。接合領域140の形状、数及び配置が、吸収性ポリマー材料110の不動化に影響を与えることになる。接合領域は、例えば、正方形、長方形又は円形の形状であってよい。円形の接合領域は、0.5mm超、又は1mm超、かつ10mm未満、5mm未満、3mm未満、2mm未満、又は1.5mm未満の直径を有し得る。接合領域140が円形でない場合、これらは、上記のいずれかの直径の円の内部に納まるような大きさであり得る。
【0029】
接合領域140は、存在する場合には、規則的又は不規則なパターンで配置できる。例えば、接合領域140は、図5に示されるように線に沿って配置できる。これらの線は吸収性コアの長手方向軸にそろえられてもよく、又は別の方法としては、それらはコアの長手方向縁部に対してある角度を有してもよい。吸収性コア28を長手方向縁部と並行する線に沿って配置することにより長手方向に通路が形成されることがあり、結果として湿潤不動化を減少させることがある。したがって、例えば、接合領域140を吸収性コア28の長手方向縁部に対し約20度、約30度、約40度、又は約45度の角度を形成する線に沿って配置してもよい。接合領域140の別のパターンは、多角形、例えば五角形及び六角形又は五角形と六角形の組み合わせを含むパターンが可能である。一般的には接合領域140の不規則なパターンも可能であり、これもまた良好な湿潤不動化をもたらすことができる。接合領域140の不規則なパターンは、経血若しくは血液又は膣排泄物を吸収する際によりよい流体処理の挙動をもたらすこともできるが、これは、流体が任意の最初の捕捉点からあらゆる方向に拡散し始めることができ、例えば不連続層における吸収性ポリマー材料に実質的に同じ確率で接触するためである。逆に、規則的なパターンは、液体が辿ることのできる優先経路を形成する恐れがあり、吸収性ポリマー材料に実際に接触する確率がより低くなる。
【0030】
本発明によれば、接着剤の層120は任意の適した接着剤材料を含むことができる。典型的には、接着剤の層120は任意の適したホットメルト接着剤材料を含むことができる。本発明によれば、接着剤の層120は繊維化したホットメルト接着剤を含むことができる。
【0031】
理論に束縛されるものではないが、良好な密着及び良好な接着挙動を組み合わせたホットメルト接着剤材料が、吸収性ポリマー材料110を不動化するのに最も有用であり得ることが判明した。良好な接着は、接着剤120のホットメルト層が吸収性ポリマー材料110及び特に基材材料100と、良好な接触を維持することを典型的に確保することができる。良好な接着は、不織布基材材料が存在する場合に課題である。良好な粘着は、特に外力に反応して、すなわちひずみに対して、接着剤が破断しないことを確保する。吸収性製品が液体を取り込み、次いで液体が吸収性ポリマー材料110中に貯蔵され、それに反応して吸収性ポリマー材料が膨潤するとき、接着剤は外力を受ける。代表的な接着剤は、破断することなくかつ吸収性ポリマー材料110の膨潤を抑制することになる圧縮力を過剰に付与することなく、このような膨潤を可能にすることが必要である。湿潤時の不動化を悪化させることになる、接着剤の破断が生じないことが望ましい。代表的な好適なホットメルト接着剤材料は、既述の特許出願欧州特許第1447067号の、特に[0050]〜[0063]の項に開示されたようなものであり得る。
【0032】
接着剤材料、典型的にホットメルト接着剤材料は、既知の方法で供給され(すなわち典型的にはホットメルト接着剤は繊維化され得る)、繊維の形態として典型的にはコア全体に存在し得る。典型的に繊維は、約1μm〜約100μm又は約25μm〜約75μmの平均の太さ、及び約5mm〜約50cmの平均の長さを有することができる。特に、典型的にはホットメルト接着剤材料の層は、網状構造を構成するように提供され得る。
【0033】
特に、本発明により接着剤の層120として提供されるホットメルト接着剤の典型的なパラメーターは次のとおりであり得る。
【0034】
一態様において、60℃における接着剤の損失角tanδは、1未満の値、又は0.5未満の値であるべきである。60℃における損失角tanδは、高い周囲温度における接着剤の液体特性と関係がある。tanδが低くなればなるほど、接着剤は液体よりも固体のような特性を示し、すなわち流れ又は移動する傾向がより低下し、本明細書に記載の接着剤超格子構造が劣化する又は更に経時的に崩懐する傾向は低くなる。したがって、この値は吸収性物品が暑い気候で使用される場合に特に重要である。
【0035】
更なる態様では、本発明に基づく典型的なホットメルト接着剤は、十分な凝集力パラメーターγを有し得る。凝集力パラメーターγは、次に述べる粘弾性クリープ試験(Rheological Creep Test)により測定される。十分に低い凝集力パラメーターγは、例えば、破断することなく伸張させることができる弾性接着剤を表わしている。τ=1000Paの応力が適応されるとき、凝集力パラメーターγは100%未満、90%未満、又は75%未満となり得る。τ=125000Paの応力では、凝集力パラメーターγは1200%未満、1000%未満、又は800%未満となり得る。
【0036】
接着剤の層120の、基材層100又は任意の他の層、特に任意の他の不織布層との接着性を改善するため、これらの層を任意の補助接着剤で前処理してもよい。
【0037】
本発明の更なる態様において、吸収性コアは、例えば図3に示されるように、及びその関連で説明したとおり、2つのコア構造を結合することにより形成できることが判明した。したがって、吸収性コアは2つの基材層100、2つの吸収性ポリマー材料110の層及び2つの接着剤の層120を備えることができる。吸収性ポリマー材料110の2つの不連続層が使用される場合には、1つの吸収性ポリマー材料の層が他の層の接合の領域140に面するようにこれらを配置することができる。しかしながら、別の実施形態においては、接合の領域140がずれていることがあり、互いに面しない。典型的には2つのコア構造が結合される場合には、典型的には、第1のコア構造の基材層100の第1表面が、第2のコア構造の基材層100の第1表面と面するように行われる。
【0038】
典型的には、本発明による吸収性コアの吸収性ポリマー材料110は、「背景技術」において言及したように、例えば超吸収性材料として、又は吸収性ゲル材料として、又は同様にヒドロゲル形成材料として当該技術分野において既知の、吸収性ポリマー粒子を含むことができる。典型的には、吸収性ポリマー粒子は、選択された平均粒径を有することができる。
【0039】
本発明によれば、吸収性ポリマー材料110の層は、多孔質吸収性ポリマー粒子110’を含むことができる。典型的には、吸収性ポリマー材料110の層は、少なくとも約40重量%、又は約60重量%、又は同様に約80重量%の多孔質吸収性ポリマー粒子110’を含む。本発明の一実施形態においては、吸収性ポリマー材料110の層は、全部が多孔質吸収性ポリマー粒子110’から構成されてよい。
【0040】
本発明の吸収性コアに含まれる多孔質吸収性ポリマー材料、典型的には多孔質吸収性ポリマー粒子は、多孔質でもあり超吸収性ポリマー粒子としてもまた既知である、実質的に非水溶性の水膨潤性ポリマー粒子を典型的には含むことができる。本明細書において使用されるとき、及び当該技術分野において一般的に既知であるように、用語「多孔質」は、ほぼ乾燥した場合に、吸収性ポリマー材料、例えば吸収性ポリマー粒子中に、小区画の空間を取り囲み画定する壁を形成する構造を意味する。吸収性ポリマー粒子中の小区画の空間は、典型的には開放小区画構造を画定することができるが、代わりに閉鎖小区画構造も画定することができる。概して、吸収性ポリマー材料の多孔質構造は、低密度であり、一般的により高い比表面積を備える多孔質吸収性ポリマー構造物(porous absorbent polymer material)を提供することができる。典型的には、おそらくどのように多孔質吸収性ポリマー材料が、典型的には粒子形状の中に製造されたかによって、多孔質吸収性ポリマー材料の中に、典型的には吸収性ポリマー粒子の中に形成された壁は、顕微鏡観察では、例えばスポンジ状の又は干からびた葉状の外観を示すことがある。
【0041】
多孔質吸収性ポリマー材料、典型的には多孔質吸収性ポリマー粒子は、さまざまな製造方法によって得ることができる。重合又は架橋中に発泡剤を使用する方法は、例えば、米国特許第4,529,739号、同第4,649,164号、特開昭62−34042号、特開平2−60681号、特開平2−54362号、米国特許第5,118,719号、同第5,154,713号、同第5,314,420号、同第6,251,960号、同第7,163,966号、同第4,808,637号、特開昭59−18712号、米国特許第4,552,938号、同第4,654,393号、同第4,703,067号、同第5,328,935号、同第5,338,766号に記述されている。重合後に発泡剤を添加を含む方法は、例えば、特開昭56−13906号、同57−182331号、同57−208236号に記述されている。多孔質吸収性ポリマーの粒子状物質の更なる調製方法は、PCT国際公開特許第WO 91/02552号、同第WO 93/24153号、米国特許第5,002,986号、同第5,300,565号、同第5,140,076号、同第4,732,968号、同第4,742,086号、同第5,354,290号、同第5,403,870号、同第5,985,432号にも記載されている。
【0042】
本発明の実施形態によれば、多孔質吸収性ポリマー粒子は、約0.01g/cm〜約0.4g/cm、又は約0.03g/cm〜約0.35g/cm、又は同様に約0.06g/cm〜約0.3g/cmのバルク密度を有することができる。粉末形状又は粒子形状の材料の、見掛け密度としても知られるバルク密度は、材料に固有の空隙を含む材料の単位体積当たりの重量を指す。これは、当該技術分野において既知の標準的方法に従って測定することができ、例えば、本発明に関連する、バルク/見掛け密度は、以下に試験方法の項で述べる方法に従って測定することができる。
【0043】
本発明によれば、多孔質吸収性ポリマー粒子は、40m/Kg〜200m/Kg、又は55m/Kg〜150m/Kgの乾燥状態での比表面積(SSA)を有することができる。比表面積は多孔質吸収性ポリマー粒子の多孔性を代表すると考えられ、開放小区画構造を有する多孔質吸収性ポリマー材料に関して「試験方法」の項で述べる方法により測定することができる。比表面積はまた、吸収性ポリマー材料の平均粒子径によっても影響され得る。本発明によれば、選択された比表面積は、約200μ〜約600μ、又は約300μ〜約500μの平均粒子径を有する多孔質吸収性ポリマー粒子について達成できる。
【0044】
本発明によれば、典型的には粒子形状である多孔質吸収性ポリマー材料は、例えば部分的に中和され架橋されたポリアクリレートなどポリアクリレート及びポリアクリレート系材料から選択され得る。
【0045】
本発明においては、多孔質吸収性粒子110’を同様に含む吸収性コア28中の吸収性ポリマー材料110は、吸収性コアの領域に渡って約250g/m未満、又は約220g/m未満、又は約60g/m〜約180g/m、又は約100g/m〜約160g/mの平均坪量で存在し得る。本発明によれば、吸収性ポリマー材料110に関して、約300g/mまで、又は約400g/mまでの、又は同様には約500g/mまでの平均坪量も使用することができる。平均坪量は、典型的には適用領域の全面積、すなわち、吸収性ポリマー材料の層が関与する領域全体に基づいており、したがって例えば不連続層に含まれる可能性のある開口部を含む。典型的には、吸収性ポリマー材料110は、吸収性コアの少なくとも約45重量%、又は少なくとも約50重量%、又は少なくとも約55重量%を構成することができ、吸収性コアは、典型的には図3、図4、及び図5を参照して記述される実施形態に対応することができるので、それゆえ基材層と、吸収性ポリマー材料の層と、接着剤の層と、存在する場合は任意のカバー層と、例えば上記の追加の繊維性材料、又は追加の接着剤などの、この構造体内に含まれる可能性のある任意の他の材料と、を含む。
【0046】
本発明の実施形態によれば、吸収性ポリマー材料110の層は、すべて多孔質吸収性ポリマー粒子110’により構成されることができ、他の一般的な説明は同じとして、吸収性ポリマー材料の層110に関して示された上述の坪量は多孔質吸収性ポリマー粒子110’の実際の坪量に相当することができる。
【0047】
吸収性ポリマー粒子、典型的には、吸収性ポリマー材料110の層の多孔質、及び存在する場合には非多孔質の双方の吸収性ポリマー粒子は、典型的には、約200μ〜約600μ、又は約300μ〜約500μの選択された平均粒径を有することができる。
【0048】
粒子形状の材料、すなわち、例えば吸収性ポリマー材料及び多孔質吸収性ポリマー粒子の平均粒径は、当該技術分野において既知のように、例えば乾式ふるい分析により測定できる。方法は下記の試験方法の項において述べる。
【0049】
吸収性ポリマー材料110の層の上に提供され、これと直接接触している接着剤の層、典型的にはホットメルト接着剤の層120は、吸収性ポリマー材料を基材層100の上に乾燥及び湿潤状態においても安定して閉じ込め、有効な吸収剤構造をもたらし得ると信じられている。吸収性ポリマー材料110の層が吸収性ポリマー粒子により提供されるとき、これは特に関連が深く、これにより吸収性コア構造中の遊離した吸収性ポリマー粒子の発生が最小限に抑えられる。しかしながら、典型的にはホットメルト接着剤であり、例えば典型的には繊維形態で供給される接着剤の層120は、実際に吸収性ポリマー材料、例えば吸収性ポリマー粒子の外側表面の少なくとも一部を覆い、したがって例えば吸収性ポリマー粒子である吸収性ポリマー材料と、吸収性ポリマー材料自身により吸収されることになる流入流体との間に多少の妨害を作り出す可能性がある。次にこれは吸収性ポリマー材料、同様に吸収性コアの流体管理能力に、例えば捕捉能力のわずかな低下に関して、多少の影響を与えることがある。多孔質吸収性ポリマー材料、特に多孔質吸収性ポリマー粒子は、接着剤のこの影響をより受けにくいと信じられている。いかなる理論に束縛されるつもりはないが、例えば繊維形態の接着剤の層は、おそらく多孔質吸収性ポリマー粒子の固体外部表面の一部のみを覆い、一方孔自身は流体の捕集及び吸収により大きな表面を提供することによりこの一種の遮蔽効果を埋め合わせることができ、更に、この孔は粒子自身の内部に配置されており、それゆえ接着剤が直接接触しにくく、接着剤による妨害の影響を受けにくい。接着剤が例えば繊維形態で提供される場合には、この影響は更により大きく、これは接着剤繊維が少なくとも部分的に孔自身を越えて架かると信じられており、おそらく残った孔の開口部を流体の透過に残すからである。
【0050】
本発明の実施形態によれば、基材層100の代表的な材料は、合成繊維、又は天然繊維、又はこれらの混合物を含む不織布材料を含むことができ、例えば、カード不織材、又はより典型的にはエアレイド又はウェットレイド繊維性材料など、例えばラテックス又はサーマルボンドのエアレイド繊維性材料などであり、合成繊維及び例えばセルロース繊維などの天然繊維を含む。
【0051】
本発明によれば基材層100は、典型的には例えば約40重量%〜約100重量%のセルロース又はセルロース誘導体繊維、又は約50重量%〜約95重量%のセルロース又はセルロース誘導体繊維、又は約60重量%〜約90重量%のセルロース又はセルロース誘導体繊維を含む繊維性材料を含むことができる。本発明によるコア構造においては、かなりのパーセンテージのセルロース繊維を含む繊維性材料から構成される基材層100は、吸収性ポリマー材料110の上部の層に即座には吸収されず、基材層100に直接捕捉される液体の一部に関する液体の流通に関して利点を提供することができる。一般的に、セルロース又はセルロース誘導体繊維は、流体の吸収において、伝統的な吸収性ポリマー材料といくらか競合する可能性があり、これはかなりの量のセルロース繊維を含む基材層100は、吸収性ポリマー材料自身に比べて、流体をより速く捕捉し吸収する可能性があり、したがってその理論吸収能力の最適値に満たない能力が使用されており、これはより遅く効率がいくらか低い流体処理と言い換えることができる。本発明の実施形態による吸収性コア構造中の吸収性ポリマー材料の層が多孔質吸収性ポリマー粒子を含み、したがって共力効果により2つの各材料の特性がより巧みに利用される場合、この競合の影響は相当低下され得ると信じられる。
【0052】
基材層100の材料の坪量は、典型的には約10g/m〜約120g/m、又は約40g/m〜約100g/m、又は同様に約50g/m〜約80g/mの範囲であり得る。
【0053】
任意のカバー層130の代表的な材料は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)などの合成繊維を含む不織布材料によって提供され得る。不織布の生産に使用されるポリマーは本質的に疎水性であるので、典型的にはこれらに親水性塗膜、例えば耐久親水性塗膜を塗布して、永久親水性不織布を提供することができる。任意のカバー層130のための他の不織布材料は、スパンボンド、メルトブローン及び更にスパンボンド層を含むいわゆるSMS材料などの複合構造体を含むことができる。カバー層130の材料の坪量は、典型的には5g/m〜80g/m、又は10g/m〜60g/m、又は同様に20g/m〜40g/mの範囲であり得る。
【0054】
本発明によれば、吸収性コアは、捕捉、不動化及び吸収に関してより有効な流体の取り扱い、並びによりよい快適さを、上述したように物品の全着用期間中提供することができるが、これは経血又は血液などの複雑な体液の場合に特に有益であり得る。概して本発明による複合構造体のこの効率の増大は、経血若しくは血液又は膣排泄物などの問題のある体液の存在においてもまた、吸収性ポリマー材料の吸収能力のより有効な活用をもたらすことができ、またおそらく吸収性コアの構造全体のより有効な使用をもたらすこともできる。
【0055】
これは、典型的には薄くて可撓性があり、しかも異なる材料の吸収能力と不動化能力をより完全に利用することができ、吸収中における改善された密着性と回復力を有し、それゆえ使用中の快適さが増加している、構造体において達成できる。
【0056】
本発明によれば、吸収性ポリマー材料、及びより具体的には多孔質吸収性ポリマー粒子は、PCT国際公開特許出願第WO 07/047598号に記載されたポリアクリレート系ポリマーから選択することができ、これらは極わずかに架橋された、又は実質的にまったく架橋されていないポリアクリレート系材料であり、これは上述の共力効果を更に高める。特に、前記ポリアクリレート系材料は、上に言及した特許出願に説明されている抽出試験方法に従って評価される抽出可能な留分を、少なくとも約30重量%、約30〜約80重量%、又は約32重量%〜約70重量%有することができる。あるいは、前記ポリアクリレート系材料は、上に言及した特許出願に説明されている遠心分離機保持容量(CRC)テストによって評価される保持能力を、少なくとも約30g/g、少なくとも約35g/g、又は少なくとも約40g/g有することができる。吸収性ポリマー材料は、PCT国際公開特許第WO 07/046052号に記載のポリアクリレート系ポリマーの中からも選択することができる。実際、前記ポリマーは、経血又は血液のような複合体液を吸収するために特に効果的であり、かかる流体の吸収時に、従来の超吸収体のように著しい膨張とその後のゲルブロッキングを通常示すことがなく、むしろ、ある程度までは体液の増粘剤として働き、実質的な膨張、ひいては吸収性コアの全体の厚さの感知可能な増大を引き起こさずに、吸収性構造体内部で、例えば繊維間の隙間で一種のゼラチン状の塊として体液を不動化する。前記ポリマーは、既知の方法により多孔質吸収性ポリマー粒子の形態で提供され得る。
【0057】
本発明によれば、吸収性コア28は吸収性物品中の吸収性要素の全体を構成することができ、又は追加層により補完され得る。また、本発明による吸収性コアを含む吸収性物品は、吸収性コア28とトップシートとの間に繊維状捕捉層を更に備えることができる。本発明の実施形態によれば、捕捉層は、例えば本発明の吸収性コア28のカバー層130と同様に、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はポリプロピレン(PP)などの合成繊維のエアレイド工程又はウェットレイド工程で作製される繊維状不織布材料を含むことができる。
【0058】
流体捕捉層の代表的な材料には、スパンボンド又はカード不織布材料、又は例えばラテックス接着若しくは熱接着したエアレイド材料のようなエアレイド材料が含まれ得る。坪量は典型的には、約10g/m〜約60g/m、又は約25g/m〜約40g/mの範囲であり得る。
【0059】
本発明によれば、吸収性物品は吸収性コア28とバックシート(すなわち典型的にはコアの衣類に面する表面に提供される)との間に含まれる追加の繊維状層も備えることができる。この任意の層は、本発明の吸収性コアの基材層100に関して既に記載されたものと同様の繊維性材料から提供され得る。本発明の更なる実施形態によるこの任意の繊維状層は、吸収性コア28によって完全に保持することができない可能性のある余分な流体を受け取り分配する付加的ウィッキング層として作用することができる。セルロース繊維の存在により、その層は、吸収性コア28の吸収性ポリマー材料によって完全には吸収されない経血又は血液などの体液の一部の捕捉及び拡散を特に効率的に行える。
【0060】
典型的には同様に粒子形状である追加の材料を吸収性ポリマー材料の層中に含ませることができ、これらは例えば既知の臭気制御剤、又はシリカなどの不活性材料である。
【0061】
本発明によれば、典型的には吸収性ポリマー粒子を含む、本発明による吸収性コア用の吸収性ポリマー材料は、10、20、30又は40SFC単位(1SFC単位は1×10−7(cm×s)/gである)を超える、吸収性ポリマー材料の塩水流伝導度で表わされる浸透性を有することができる。塩水流伝導度は、当該技術分野において広く認識されたパラメーターであり、欧州特許第752892(B)号に開示された試験法に従って測定される。
【0062】
バックシート
本発明による吸収性コアを含む図1の吸収性物品はまた、バックシート40を含むことができる。バックシートは、吸収性構造体に吸収され収容されている流体が、パンツ、ズボン、パジャマ、下着、及びシャツ又はジャケットなどの吸収性物品と接触する材料を濡らすことを防ぐために用いることができ、これにより、流体移動に対するバリアとして作用する。本発明の実施形態によるバックシートは、少なくとも水蒸気又は水蒸気と空気の両方をその中を通過させることもできる。
【0063】
特に、吸収性物品が生理用ナプキン又はパンティライナーとしての有用性を見いだす場合には、吸収性物品は物品を下着に取り付ける手段を提供するパンティ締結手段、例えばバックシートの衣類に面する表面上にパンティ固定用接着剤を備えることもできる。下着の股縁部の周囲に折り曲がるように作られているウィング又はサイドフラップを、ナプキンの側縁部に設けることも可能である。
【0064】
試験方法
平均粒子サイズ
典型的には粒子形状の吸収性ポリマー材料の平均粒径は、計算に関して修正された標準INDA−EDANA試験方法WSP 220.2(05)により測定される。
【0065】
標準試験方法のセクション8は次のように置き換えられる。各ふるいの上及び底部のパンに保持された試料の質量は、ふるい又はパンに吸収性ポリマー材料の保持された画分を加えた質量mと空のふるい又はパンの質量mとの差として、すべての質量をグラムで表して計算する。
【0066】
各ふるいの上に保持された試料材料の累積パーセンテージは、そのふるいより「粗い全質量」を試験試料の全質量mで除して計算する。より粗い全質量は、その特定のふるい上に保持された材料に加えて全てのより粗いふるい上の全ての材料を含む。この累積パーセンテージは、その特定のふるいの開口より粗い試験試料の合計パーセンテージを示す。底部のパンに関しては、この累積%は、もちろん100%に一致する。
【0067】
データを、横軸がふるいサイズ(対数目盛)、縦軸が保持されたパーセンテージ(線形目盛)を示すふるい分析グラフ上にプロットする。ふるい分析グラフ上における内挿によって、保持率50%に対応するふるいサイズを見積もることができ、このサイズは試料の平均粒子サイズと解釈される。
【0068】
見掛け密度
典型的には粒子形状である吸収性ポリマー材料の、バルク密度としても既知である見掛け密度は、INDA−EDANAの標準試験方法WSP 260.2(05)に従って測定することができる。標準試験方法のセクション6.2で言及されている試験条件は、23±2℃及び相対湿度(50±5)%に設定する。
【0069】
比表面積
乾燥状態における多孔質吸収性ポリマー材料の比表面積は、メタン吸着方法を使用して測定する。上述のINDA−EDANA試験方法WSP 220.2(05)のセクション6.1〜6.3に規定されている方法と同じ方法により、多孔質吸収性ポリマー材料の試料を試験用に調製する。実験室における試験条件は、23±2℃及び相対湿度(50±5)%である。この方法は、多孔質吸収性ポリマー粒子試料上への、メタンの77°Kにおける吸着等温線の測定である。上述の方法で調製した約7.5gの材料をステンレススチール容器に入れ、等温線を測定する。次いで、等温線をBrunauer−Emmett−Teller(BET)法を使用して解析し試料の表面積を得る。表面積を試料重量で除して比表面積を得る。比表面積はm/kgで表示することができる方法の詳細は、Legagneuxら、Journal of Geophysical Research,Vol.107,No.D17,4335,2002、及びDomineら、Journal of Geophysical Research,Vol.112,paper F02031,2007に記載されている。
【0070】
粘弾性クリープ試験
凝集力パラメーターγの測定のための上述の粘弾性クリープ試験は、Procter & Gamble Companyに譲渡された、同時係属の欧州特許出願第1447067号に記載されたものである。
【0071】
吸収性物品から始める場合の、本明細書での全ての試験のための他の試料調製
吸収性ポリマー材料、同様に多孔質吸収性ポリマー粒子を含む物品から始める場合には、試験をするために前記材料を既知の方法で、典型的には接着剤層及び基材層から分離することができる。典型的には使い捨て吸収性物品においては、トップシートをバックシートから取り除くことができ、存在する場合には、吸収性コアを、任意のカバー層を含むあらゆる追加の層から分離することができる。吸収性ポリマー材料は、例えば可能なときには機械的に、又は例えば接着剤がホットメルト接着剤の場合には適した溶媒を使用して、基材層及び接着剤層から取り除くことができる。それゆえ当業者には容易に決められるように、例えば吸収性ポリマー材料と相互作用しない適した溶媒で洗浄することによって、吸収性ポリマー材料の粒子をコアの他の要素から分離することができる。次いで溶媒を蒸発させ、多孔質吸収性ポリマー粒子を、非多孔質吸収性ポリマー材料が存在する場合には、既知の方法によりこれから分離し、例えば複数の同じタイプの物品から試験に必要な量を集めることができる。
【0072】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品のための吸収性コアであって、前記コアが基材層を含み、
前記基材層が、第1表面と第2表面とを含み、
前記吸収性コアが、吸収性ポリマー材料の層を更に含み、
吸収性ポリマー材料の前記層が、第1表面と第2表面とを含み、
前記吸収性コアが接着剤の層を更に含み、
接着剤の前記層が、第1表面と第2表面とを含み、
吸収性ポリマー材料の前記層が、接着剤の前記層及び前記基材層との間に含まれ、
吸収性ポリマー材料の前記層の前記第2表面が、前記基材層の前記第1表面に接触し、
吸収性ポリマー材料の前記層の前記第1表面が、接着剤の前記層の前記第2表面に接触し、
吸収性ポリマー材料の前記層が、多孔質吸収性ポリマー粒子を含む、吸収性コア。
【請求項2】
前記吸収性ポリマー材料の少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも80重量%が、多孔質吸収性ポリマー粒子である、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項3】
前記吸収性ポリマー材料が、多孔質吸収性ポリマー粒子により完全に構成されている、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項4】
前記多孔質吸収性ポリマー粒子が、200μ〜600μ、好ましくは300μ〜500μの平均粒径を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項5】
前記基材層が40重量%〜100重量%、好ましくは50重量%〜95重量%、より好ましくは60重量%〜90重量%のセルロース又はセルロース誘導体繊維を含む繊維材料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項6】
前記多孔質吸収性ポリマー粒子が、250g/m未満、又は220g/m未満、又は60g/m〜180g/m、又は100g/m〜160g/mの平均坪量で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項7】
前記多孔質吸収性ポリマー粒子が、0.01g/cm〜0.4g/cm、又は0.03g/cm〜0.35g/cm、又は同様に0.06g/cm〜0.3g/cmのバルク密度を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項8】
前記多孔質吸収性ポリマー粒子が、40m/kg〜200m/kg、又は55m/kg〜150m/kgの比表面積を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項9】
吸収性ポリマー材料の前記層が不均一であり、吸収性ポリマー材料の前記不均一層の前記第2表面が少なくとも部分的に前記基材層の前記第1表面と接触し、熱可塑性材料の前記層の前記第2表面のいくつかの部分が前記基材層の前記第1表面と接触し、熱可塑性材料の前記層の前記第2表面のいくつかの部分が吸収性ポリマー材料の前記不均一層の前記第1表面と接触している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項10】
液体透過性トップシートと、バックシートと、それらの間に含まれる請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性コアと、を含む、吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−522612(P2012−522612A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503784(P2012−503784)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/030449
【国際公開番号】WO2010/118272
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】