説明

吸収性物品の表面シート及び吸収性物品

【課題】
製造時や使用時において、シートのめくれが発生せず、また、特に吸収性能が良好である吸収性物品の表面シート、及びこの表面シートを用いた吸収性物品を提供すること。
【解決手段】
トップシートにシール部を形成し、このシール部を介して不織布シートが貼着されることにより形成される吸収性物品の表面シートであって、この表面シートのMD方向に対するシール部のピッチを、吸収性物品の両端縁部に向かう程小さくなるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、幼児用のトレーニングパンツ、あるいは失禁パッド等の使い捨ての吸収性物品に関し、更に詳細には、製造時や使用時におけるシートのめくれの発生を防止することができ、また吸収性能が良好である吸収性物品の表面シート、及びこの表面シートを用いた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば使い捨ておむつ等の吸収性物品は、通常、少なくとも、表面側(肌当接面側)に配設される透液性の表面シートと、裏面側に配設される不透液性のバックシートと、これら両シート間に介在される吸収体とにより物品本体が構成されており、排泄物が表面シートを介して吸収体に吸収、保持されるようになっている。
【0003】
従来より、このような吸収性物品に使用される表面シートは、例えばトップシート及びセカンドシートにより2重に構成されることがある。この場合、表面シートは、トップシートの裏面側(吸収体に対向する側)に、接着剤等により円形や楕円形等のシール部を均等ピッチで形成し、このシール部を介して、トップシートの裏面側にセカンドシートが貼着されて形成されている。
【0004】
このように2重に構成されている表面シートは、製造時や使用時に、セカンドシートがトップシートから剥がれる、いわゆるシートのめくれが発生することがあった。このシートのめくれが製造時に発生すると、操業トラブルの要因となると共に、吸収性物品は不良品となるため、生産性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、図15に示すように、表面シート50のMD方向におけるシール部51のピッチP(51)を狭くし、シール部51の面積率を増加させて、表面シート50の接着強度を増加させることによって、シートのめくれを防止することが提案されている。
【0006】
しかし、シール部51は硬く剛直であるため、シール部51のピッチP(51)を狭くしてシール部51の面積率を高くし、吸収性物品の肌触り感や装着感が著しく悪化するという問題があった。また、シール部51は実質的に体液等の排泄物を透過させることができないので、シール部51の面積率が高くなると体液の透過速度が低下してしまう。このため、表面シート50上(吸収性物品の肌当接面上)に体液が保水してしまい、カブレや横モレが発生するという問題もあった。さらにまた、このような表面シート50は、シール部51が表面シート50のほぼ全面にわたって均等ピッチP(51)で設けられていたため、着用者の排便口が当接する部位52にもシール部51が設けられていた。このため、特に便の吸収体への移行を阻害していたため、排泄物が表面シート50上に残留してしまい、着用者(例えば赤ちゃん)の肌を汚してしまったり、吸収性物品の後処理時に非着用者(例えばお母さん)の手を汚してしまうという問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、製造時や使用時において、シートのめくれが発生せず、また、特に吸収性能が良好である吸収性物品の表面シート、及びこの表面シートを用いた吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、トップシートにシール部を形成し、このシール部を介して不織布シートが貼着されることにより形成される吸収性物品の表面シートであって、前記表面シートは、シートのMD方向に対する前記シール部のピッチが、前記吸収性物品のエンドフラップ部に向かう程小さくなるように設定されていることを特徴とする吸収性物品の表面シートを提供することによって達成される。
【0009】
また、本発明の上記目的は、前記不織布シートは、前記トップシートの表面側に配設されるメッシュシート、及び/又は前記トップシートの裏面側に配設されるセカンドシートであることを特徴とする吸収性物品の表面シートを提供することによって、効果的に達成される。
【0010】
また、本発明の上記目的は、前記シール部のピッチ比が80%以下であることを特徴とする吸収性物品の表面シートを提供することによって、より効果的に達成される。
【0011】
また、本発明の上記目的は、前記表面シートの便透過特化部には、前記シール部が形成されていないことを特徴とする吸収性物品の表面シートを提供することによって、より効果的に達成される。
【0012】
また、本発明の上記目的は、前記表面シートは、前記シール部の面積率が0〜20%であることを特徴とする吸収物品の表面シートを提供することによって、より効果的に達成される。
【0013】
また、本発明の上記目的は、前記表面シートのMD方向及び/又はCD方向に形成される前記シール部の数が一定であることを特徴とする吸収性物品の表面シートを提供することによって、より効果的に達成される。
【0014】
また、本発明の上記目的は、少なくとも、表面側に配設される表面シートと、裏面側に配設される裏面シートと、前記シート間に介在される吸収体とを具備して物品本体が構成されてなる吸収性物品において、前記表面シートが、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の吸収性物品の表面シートを用いて形成されていることを特徴とする吸収性物品を提供することによって、より効果的に達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、前記吸収体の臀部当接部に排泄物を収納保持する便ポケットが設けられていることを特徴とする吸収性物品を提供することによって、より効果的に達成される。
【0016】
さらにまた、本発明の上記目的は、前記便透過特化部の平面形状と、前記便ポケットの平面形状とが同一形状であることを特徴とする吸収性物品を提供することによって、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る吸収性物品の表面シートによれば、トップシートにシール部を形成し、このシール部を介して不織布シートであるメッシュシート及び/又はセカンドシートを貼着して形成された吸収性物品の表面シートであって、表面シートのMD方向に対するシール部のピッチが、吸収性物品の両端縁部に向かう程小さくなるように設定したので、シートのめくれを防止することができ、また、排泄物の透過が阻害されることがないので、体液の透過速度が低下することがなく、吸収性能を良好なものとすることができる。
【0018】
また、シール部のピッチ比を80%以下としたので、特に吸収性物品の腰周り部の柔軟性を維持することができ、装着感をより良好なものとすることができる。
【0019】
また、表面シートの便透過特化部にシール部を形成しないので、便透過性をより良好なものとすることができる。
【0020】
また、表面シートのシール部の面積率を0〜20%としたので、吸収性能をより良好なものとすることができると共に、シートの柔軟性を維持することができ、装着感をより良好なものとすることができる。
【0021】
また、表面シートのMD方向及び/又はCD方向に形成されるシール部の数を一定としたので、CD方向のシール強度を常に一定にすることができ、シートのめくれの発生をより効果的に防止することができる。
【0022】
また、少なくとも、表面側に配設される表面シートと、裏面側に配設される裏面シートと、これらの両シート間に介在される吸収体とを具備して物品本体が構成されてなる吸収性物品において、表面シートとして、上述したような表面シートを用いて形成したので、製造時や使用時においてシートのめくれが発生することがなく、また吸収性能に優れ、カブレや横モレ等の発生を防止することができる。
【0023】
また、吸収体の臀部当接部に排泄物を収納保持する便ポケットを設けることによって、排泄物、特に便が表面シート上に残留することがなくなる。
【0024】
さらにまた、表面シートの便透過特化部の平面形状と吸収体に設けられた便ポケットの平面形状とをほぼ同じ形状としたので、便透過性能を良好なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の内容を好ましい実施形態に基づき説明する。なお、本発明は必ずしも以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、その構成を種々に変更できるものであることはいうまでもない。
【0026】
図1(A)は、本発明に係る吸収性物品に使用される表面シート(以下、「本表面シート」と言う。)10の上面図を示し、図1(B)は図1(A)のI−I断面図を示す。図示するように、本表面シート10は、トップシート11の表面側(肌当接面)に矩形状のメッシュシート12を貼着して形成されている。なお、吸収性物品の詳細な説明については、後述する。
【0027】
本表面シート10は、トップシート11及び不織布シートであるメッシュシート12から構成されている。具体的には、トップシート11の表面側に円形の貼着部(以下、「シール部」と言う)13を形成し、このシール部13を介して、メッシュシート12がトップシート11の上面の略全面に貼着(シール)されて、本表面シート10が形成されている。
【0028】
なお、本表面シート10は、このようにメッシュシート12が、トップシート11の上面の略全面に貼着されている必要はなく、トップシート11の上面で、かつトップシート11の幅方向における中央部のみに長手方向に延びて貼着されても良い。また、トップシート11の上面で、かつ後述する便透過特化部にのみ貼着されても良い。
【0029】
このシール部13は、ホットメルト接着剤等の接着剤や、超音波接着やヒートシール接着等の熱融着等、公知の種々の方法により形成することができる。しかしながら、装着感や操業性等の観点から、熱融着により形成する方が好ましい。
【0030】
なお、シール部13の平面形状は、図示するような円形のものに限らず、この他、楕円形、三角形、若しくは矩形、絵柄、又はこれらの組合せ等であっても良い。また、シール部13は、図示するような不連続な形状のものに限らず、この他、例えば直線や曲線などの線状のような連続した形状のものであっても良く、さらにまた、不連続な形状と連続な形状のものの組合せであっても良い。しかしながら、不連続な形状のシール部13であると、着用者の肌が接触する範囲においてピンポイント接着となるため、本表面シート10の柔軟性を向上させることができ、使用感が良好となるので好ましい。
【0031】
また、本表面シート10は、シートの製造工程における走行方向(以下、「MD(machine direction)方向」と言う。)に対するシール部13のピッチが、吸収性物品のエンドフラップ部(吸収性物品の腰周り部に相当する部分)に向かうほど小さくなるように設定されている。すなわち、吸収性物品のエンドフラップ部に向かうほど、シール部13のピッチが小さくなり、逆に、吸収性物品の中央部に向かうほど、シール部13のピッチが大きくなるように設定されている。このように、吸収性物品のエンドフラップ部に相当する部分にシール部13を多く形成することによって、例えば、本表面シート10の製造工程において長尺状のシートを切断する際に、メッシュシート12がトップシート11から剥がれること、すなわちシートのめくれを防止することができ、表面シート10あるいは吸収性物品の生産性を向上させることができる。また、多くの体液が流れる領域に形成されるシール部13の数は少なくなるので、体液の透過速度の低下を防止することができ、本表面シート10は吸収性能が良好となり、吸収性物品のカブレや横モレの発生を効果的に防止することができる。
【0032】
このとき、シール部13の最も小さいピッチP1と二番目に小さいピッチP2の比(P1/P2)(以下、「ピッチ比」と言う。)が、80%以下であることが好ましい。シール部13は、非シール部に比べて硬く剛直であるため、このピッチ比が80%を超えると、吸収性物品のエンドフラップ部の肌触りが硬くなり、装着感が著しく低下してしまう。
【0033】
本表面シート10は、便透過に特化した範囲である吸収性物品の本体の臀部当接部に相当する部分、すなわち吸収体に設けられる便ポケット(後述する)に対向する部分(以下、「便透過特化部」と言う。)14には、シール部13を形成しないことが好ましい。シール部13は、実質的に排泄物非透過部であるため、便透過特化部14にシール部13を形成しないことにより、特に便等の固形分が、シール部13に阻害されて吸収体に移行せず、吸収性物品の肌当接面に残留することを防止することができる。従って、本表面シート10は、便透過性能も良好となり、吸収性物品の着用者の肌を汚すことがなく、また吸収性物品の後処理がラクになるという利点がある。
【0034】
また、特に、後述する吸収性物品の構成物品を全て積層した後にシール部を形成する場合は、吸収性物品の便透過特化部14の下部は吸収体に設けられた便ポケットであるため窪んでいるが、便透過特化部14にシール部13を設けないようにすると、この窪みの部分にはシール部13を形成しないため、せん圧(シール圧)を一定とすることができるという利点もある。
【0035】
なお、本実施形態では、便透過特化部14の平面形状はほぼ雫状としたが、この他、吸収性物品に形成された便ポケットの平面形状に対応して、ホームベース形状、矩形状等、種々の形状とすることができる。
【0036】
なお、本表面シート10の便透過特化部14及び吸収体に設けられる便ポケットの平面形状をほぼ同一形状とすることにより、本表面シート10の便透過性能をより良好なものとすることができる。
【0037】
また、本表面シート10は、シール部13の面積率(本表面シート10の平面積に対するシール部13の総平面積が占める割合)が0〜20%であることが好ましい。シール部13の面積率が20%を超えると、前述したようにシール部13は排泄物非透過部であるため、体液の透過速度が低下し、吸収性物品の肌当接面に体液が保水し、カブレや横モレが発生してしまう。また、シール部13は剛直であるため、シール部13の面積率が20%を超えている表面シートであると、表面シートは、吸収性物品に使用された場合に、直接着用者の肌に触れる部材となるため、吸収性物品の肌触り、柔らかさ等の風合いが著しく低下し、装着感が低下してしまう。
【0038】
さらにまた、本表面シート10は、シートのMD方向及び/又はCD(cross machine direction)方向(上述したMD方向と直交する方向)に形成されるシール部13の数を一定とする。これにより、MD方向及び/又はCD方向の強度を一定とすることができ、製造時や使用時に生じる不具合を減少させることができる。すなわち、例えば、図1に示すようにシートのCD方向の一列(図示の縦一列)に形成されるシール部13の数が、どの列も8個となるように形成する。これにより、シートのめくれの発生をより減少させることができる。
【0039】
なお、本表面シート10のシール部13の形成パターンは、図1に示すようなパターンに限らず、この他、例えば図2〜図4に示すようなパターンとすることもできる。
【0040】
図2は、シートのCD方向における便透過特化部14の両側部の位置に形成されたシール部13のCD方向に対するピッチを小さくして形成したパターンである。また、図3は、シール部13の平面形状を楕円状としたこと以外は、図2に示すシール部13の形成パターンと同一のパターンである。図4は、便透過特化部14を矩形状とし、この部分にはシール部13を形成せず、シートのCD方向における便透過特化部14の両側部の一番外側にシール部13を形成したパターンである。また、図4に示す本表面シート10は、シートのCD方向に対するシール部13のピッチが、シートのCD方向における中央部に向かうほど小さくなるように設定されている。すなわち、吸収性物品の両側部に向かうほどシール部13のピッチが小さくなり、逆に、吸収性物品の幅方向における中央部に向かうほどシール部13のピッチが大きくなるように設定されている。このようなシール部13の形成パターンとすることによって、より多くの体液が流れる領域に形成されるシール部13の数がより少なくなるので、本表面シート10の吸収性能をより良好なものとすることができる。
【0041】
本表面シート10に用いられるトップシート11の構成材料としては、無孔又は有孔の不織布や多孔性プラスチックシート等の透液性や親水性を有する材料が好ましく用いられる。この不織布を構成する素材繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができる。また、融点の高い繊維を芯とし、融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド・バイ・サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維も効果的に用いることができる。加工法については、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の公知の適宜な加工法で得られた不織布を用いることができる。これらの加工法のうち、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れているが、本表面シート10におけるトップシート11は、必ずしもこれらの材料ないし加工法に限定されるものではない。
【0042】
メッシュシート12には、不織布により構成されるシート材で、厚みが0.1〜5.0mm、好ましくは0.3〜2.0mmの肌触りの良いシート材が用いられ、このシート材の全面には、当分野で周知のピンエンボス加工、あるいは吸引による方法等により微細な網目状の開口(メッシュ)15が形成されている。
【0043】
この開口15の開口率は15〜30%、好ましくは18〜20%に設定されており、開口数は15個/cm以下に、好ましくは6〜12個/cmに設定されている。また、この開口15の大きさは、直径が0.1〜10.0mm、好ましくは0.15〜5.5mmに設定されている。
【0044】
なお、メッシュシート12の表面の親水性については、レギュラー親水性ないし撥水性であることが好ましい。本表面シート10は、吸収性物品に使用されるため親水度が高すぎると、排泄物(とくに軟便)の水分が表面に拡散してしまい、便の固形分は吸収されていても水分の広がりが着用者の目に見えて不快感を与えるので好ましくない。また、開口15の平面形状も図示するような円形に限らず、楕円形等の任意の形状とすることができる。
【0045】
以上、本発明に係る表面シートの第1実施形態について説明したが、本発明はその構成を以下のとおりに変更することができる。
【0046】
図5(A)は、本発明の第2実施形態に係る表面シート(以下、「本表面シート10A」と言う。)の上面図を示し、図5(B)は、図5(A)のV−V断面図を示す。なお、本表面シート10Aは、トップシート11、メッシュシート12、及びセカンドシート16により構成し、便透過特化部14の平面形状をホームベース形状としたことを除くその他の点は、上述した表面シート10と実質的に同一である。従って、上述した表面シート10の構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
すなわち、図示するように本表面シート10Aは、トップシート11の表面側に矩形状のメッシュシート12を貼着し、また、トップシート11の裏面側(吸収体と対向する側)に矩形状の不織布シートであるセカンドシート16を貼着して形成されている。
【0048】
具体的には、トップシート11の表面側に形成されたシール部13を介して、メッシュシート12がトップシート11の上面に貼着され、また、トップシート11の裏面側に円形の貼着部(以下、「シール部13′」と言う。)を形成し、このシール部13′を介して、セカンドシート16がトップシート11の裏面に貼着されて、本表面シート10Aが形成されている。このように形成することにより、吸収性物品の排泄物が流れる領域が、トップシート11とメッシュシート12とセカンドシート16とにより3重に構成されるので、この領域の強度がアップし、これにより操業性がより安定するという利点がある。
【0049】
シール部13′は、上述したシール部13と同様に、公知の種々の方法により形成することができ、また平面形状も種々のものを採用することができる。なお、シール部13とシール部13′は、必ずしも同じ接着方法により形成される必要はなく、また異なる形状であっても良い。
【0050】
このとき、シール部13′のピッチ比(P1′/P2′)も、シール部13のピッチ比と同様に80%以下であると、表面シート10Aの排泄物透過性が阻害されることがなく、吸収性能をより良好なものとすることができるので好ましい。なお、この場合において、シール部13のピッチ比とシール部13′のピッチ比は、同様のピッチ比である必要はなく、両ピッチ比が80%以下であれば異なったピッチ比であっても良い。
【0051】
また、本表面シート10Aにおいても、便透過特化部14にはシール部13,13′を形成しないことが好ましい。
【0052】
また、本表面シート10Aは、シール部13′の面積率も、シール部13の面積率と同様に20%以下であることが好ましく、さらにまた、本表面シート10Aは、シートのCD方向に形成されるシール部13′の数も、シール部13の数と同様に一定とすることが好ましい。これにより、吸収性物品の風合いを損ない、装着感が低下することを防止することができ、また使用時や製造時に生じる不具合を減少させることができる。
【0053】
なお、本表面シート10Aに用いられるセカンドシート16の構成材料としては、上述したトップシート11と同様のものを用いることができる。
【0054】
また、本発明に係る表面シートは、その構成を以下のとおりに変更することもできる。
【0055】
図6(A)は、本発明の第3実施形態に係る表面シートVI−VI(以下、「本表面シート10B」と言う。)の上面図を示し、図6(B)は、図6(A)の断面図を示す。なお、本表面シート10Bは、トップシート11及びセカンドシート16より構成されている点を除くその他の点は、上述した表面シート10及び10Aと実質的に同一である。従って、上述した表面シート10及び10Aと対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
すなわち、図示するように本表面シート10Bは、トップシート11の裏面側に矩形状のセカンドシート16を貼着して形成されている。具体的には、トップシート11の裏面側に形成されたシール部13′を介して、セカンドシート16がトップシート11の裏面に貼着されて、本表面シート10Bが形成されている。
【0057】
以下、上述した表面シートが使用された本発明に係る吸収性物品について詳細に説明する。
【0058】
図7は、本発明に係る吸収性物品の一例であるテープ式の使い捨ておむつ(以下、「本おむつ」と言う。)100を展開して表面側(肌当接面側)から見た平面図を示し、図8は、本おむつ100の使用時における斜視図を示し、また図9は、図7のVII−VII断面図を示す。なお、図9は、表面シート10のシール部13のみを図示し、その他のシール部(例えばバックシートと防水フィルムとを貼着するためのシール部)は省略している(図14も同様)。
【0059】
図7〜図9に示すように、本おむつ100は表面側に配設される表面シート10と、裏面側に配設されるバックシート20と、これらの両シート10,20間に介在される吸収体21とによりおむつ本体22が構成されている。また、本おむつ100は、おむつ本体22の臀部当接部位、具体的には吸収体21の着用者の排便口が位置する部位に、排泄物を収納保持する開口部(以下、「便ポケット」と言う。)23が設けられている。
【0060】
なお、本おむつ100では、表面シートとして、上述した第1実施形態に係るトップシート11及びメッシュシート12より構成されて成る表面シート10を使用しているが、表面シート10A又は10Bを使用しても良く、同様の効果を得ることができる。
【0061】
上述した本発明に係る表面シート10を使用した本おおむつ100は、製造時や使用時において、シートのめくれが発生することが殆どない。また、吸収性能にも優れるため、表面シート10上に体液が保水することがなく、カブレや横モレ等の発生を防止することもできる。
【0062】
おむつ本体22は、平面形状が擬似砂時計形状とされ、吸収体21の両側縁長手方向には、表面側に設けられたギャザーシート24と、その内側端縁に沿って配設された弾性伸縮部材25gとにより表面側に起立する立体ギャザー26が形成されている。吸収体21の側縁よりも側方に延在されたバックシート20部分と、ギャザーシート24の外側シート部分とにより吸収体21の介在しないサイドフラップ部100SFが形成され、かつ、これらの間に複数本の弾性伸縮部材25lがおむつ本体22の長手方向に沿って配設されることにより、サイドフラップ部100SFにはひだ状の平面ギャザー27が形成されている。
【0063】
本おむつ100の背部側領域100Bの幅方向には、複数本の弾性伸縮部材25wが配設され、これによりエンドフラップ部100EFが形成されている。また、おむつ本体22の背部側領域100Bにおける左右の張り出し部、すなわちサイドパネル部100SPの幅方向端部にはオス材28を備えたファスニングテープ29が連結されている。さらにまた、おむつ本体22の腹部側領域100Fの裏面側、すなわち腹部側領域100Fのバックシート20には、表面にメス材30を有する矩形状のフロンタルテープ31が貼着されており、図8に示すように、ファスニングテープ29のオス材28がこのフロンタルテープ31のメス材30にメカニカルに係合することにより、ファスニングテープ29がフロンタルテープ31に止着され、本おむつ100が着用される。なお、フロンタルテープ31の表面には、必要に応じ、ファスニングテープ29の止着位置を表示した止着位置マークや、幼児が好む動物等の絵柄から成るデザインが施されていても良い。
【0064】
吸収体21としては、排泄物、とくに体液を吸収、保持し得るものであればよく、通常はフラッフ状パルプ中に吸収性ポリマー粉末を混在したものが吸収機能及び価格の点から好適に用いられる。このようなパルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維から成るものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプが機能及び価格の点から好適に用いられる。本おむつ100における吸収体21は、形状保持、及び排泄物のうち特に体液を速やかに拡散させると共に、一旦吸収した排泄物の逆戻りを防止する目的で全体がクレープ紙等の吸水紙32によって被包され、平面形状が矩形状に形成されている。なお、おむつ自体の目的や用途により、吸水紙32は省略されることがあり、また吸収体21の平面形状も擬似砂時計形状、小判型、瓢箪型等の任意の形状に設計変更される。
【0065】
この吸収体21の臀部当接部には、上述したように便ポケット23が設けられている。図7に示すように、便ポケット23の平面形状は、おむつ本体22の臀部当接部(具体的には吸収体21のうち、着用者の排便口が位置する部位)から背部側に向かって末広がったほぼ雫形状に形成されている。また、図9に示すように、便ポケット23の断面形状は、おむつ本体22の表面側に向かって末広がり状に形成されており、これにより、排便口から配設された排泄物、とくに軟便がスムーズに便ポケット23に流れるようになり、また操業的観点からも現実性がある。
【0066】
なお、吸収体21に設けられる便ポケット23の形状は、例えば図10に平面形状で、図11に断面形状で示すように種々のものに変更することができる。
【0067】
すなわち、図10(A)に示す吸収体21Aは、便ポケット23Aの平面形状を背部側に向かって広がった三角形に形成したもの、図10(B)に示す吸収体21Bは、便ポケット23Bの平面形状を背部側に向かって広がったホームベース形状に形成したもの、図10(C)に示す吸収体21Cは、便ポケット23Cの平面形状を楕円形に形成したもの、そして図10(D)に示す吸収体21Dは、便ポケット23Dの平面形状を背部側に向かって広がったハート形に形成したもの等、種々のものに変更することができる。なお、便ポケット23の平面形状は、これら以外にも種々の形状とすることができるが、吸収体21に皺やよれを生じさせないようにするため、曲線よりも直線によって形成することが好ましい。
【0068】
また、断面形状についても、図11(A)に示す吸収体21Wは、吸収体21Wの厚み分に等しい深さをもって、すなわち吸収体21Wに透孔を設けて便ポケット23Wを形成し、この便ポケット23Wの断面形状を、おむつ本体22の表面側に向かって末広がり状に形成したもの、図11(B)に示す吸収体21Xは、吸収体21Xの厚み方向の途中までの深さを有する凹部を設けて便ポケット23Xを形成し、この便ポケット23Xの断面形状を矩形状に形成したもの、図11(C)に示す吸収体21Yは、吸収体21Yの厚み方向の途中までの深さを有する凹部を設けて便ポケット23Yを形成し、この便ポケット23Yの断面形状を半球状に形成したもの、図11(D)に示す吸収体21Zは、吸収体21Zの厚み分に等しい深さをもって、すなわち吸収体21Zに透孔を設けて便ポケット23Zを形成し、この便ポケット23Zの断面形状を矩形状に形成したもの等、種々のものに変更することができる。
【0069】
なお、本おむつ100は、バックシート20と吸収体21との間に防水フィルム33が配設されているが、この防水フィルム33は、必要に応じ適宜に設けられるものである。
【0070】
バックシート20及び防水フィルム33には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックシートや不織布等から成る不透液性材料、又はこれと同等の材料が好ましく用いられる。この他、例えばポリプロピレン又はポリオレフィンコポリマーから成るメルトブローン又はフィルム材料が挙げられる。コポリマーの例としては、エチレン・ビニル・アセテート、エチレン・メチル・アセテート、エチレン・エチル・アクリレート、ポリビニル・クロライド等がある。また、上記各材料から成る単一のスパンボンディッド層、スパンボンディッド及びメルトブローン材料から成る2つの層等が挙げられる。このようなスパンボンディッド材料を用いることによりバックシート20に布状の手触り感を与えることができる。なお、バックシート20の材料には、不透液性を有する材料以外に、ムレ防止等の観点から通気性、透湿性を有するシート材料が適用される。このようなシート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸又はニ軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。このように不透液性、通気性、透湿性を有するシート材料は、とくに防水フィルム33に好適に用いられる。
【0071】
立体ギャザー26を形成するギャザーシート24としては、撥水性の不織布、あるいはプラスチックフィルム等が排泄物の漏れ防止の点で効果的である。従って、この素材にはかかる特性を有するもの、あるいはこれらの特性を加工により施したものが選ばれる。
【0072】
弾性伸縮部材25g,25l,25wには、通常、糸状弾性ゴムが適用される。このようなゴム材としては、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。なお、この弾性伸縮部材25g,25l,25wの形成材料は必ずしもこのような材料に限定されるものではなく、例えば熱可塑性エラストマー、プラスチックシート、ゴムシート等の伸縮性を有する公知の種々のものを用いることができる。なお、これらの材料のなかでも、とくに熱可塑性エラストマーを用いることが好ましく、この熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、フッ素系エラストマー、アイオノマー樹脂、シリコーン系樹脂等の公知の種々のものを用いることができる。また、これらの熱可塑性エラストマーは単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよく、これらの中でも、とくにスチレン系エラストマー又はオレフィン系エラストマーを用いることが好ましい。
【0073】
以上、本発明に係る吸収性物品に内容を一実施形態について説明したが、本発明に係る吸収性物品は、その構成を以下のとおり種々なものに変更することもできる。
【0074】
図12は、本発明の変更例に係る吸収性物品の他の例であるパンツ型の使い捨ておむつ(以下、「本おむつ100A」という。)を展開して表面側から見た平面図を示し、図13は、本おむつ100Aの使用時における斜視図を示し、また図14は図12のXII−XII断面図を示す。なお、本おむつ100Aは、便ポケットが形成されていない吸収体21′を用いたことを除くその他の構成は、上述したおむつ100と実質的に同一である。従って、上述したおむつ100の構成要素と対応する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
図12〜図14に示すように、本おむつ100Aは、上述したおむつ100と同様に、表面側に配設される表面シート10A′と、裏面側に配設されるバックシート20と、これらの両シート10A′,20間に介在される吸収体21′とによりおむつ本体22が構成されている。
【0076】
本おむつ100Aは、表面シートとして、上述した第2実施形態に係るトップシート11、メッシュシート12、及びセカンドシート16により構成される表面シート10Aの変更例に係るもので、メッシュシート12が、トップシート11の上面で、かつトップシート11の幅方向における中央部にのみ設けられて構成されている表面シート10A′を使用している。なお、本おむつ100Aも、上述したおむつ100と同様に、表面シートとして、上述した表面シート10,10A,10Bを使用して形成することもできる。これによりメッシュシート12の使用量を減少させることができるので、その分だけ製造コストを低減させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上、本発明の内容を吸収性物品が幼児用あるいは大人用の使い捨ておむつである場合について説明したが、本発明は、このような使い捨ておむつに限らず、この他、例えば失禁パッド、生理用ナプキン、さらには幼児用のトレーニングパンツ等、当分野で公知の種々の吸収性物品についても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係る表面シートを示す図である。
【図2】本発明に係る表面シートのシール部の形成パターンの変更例を示す上面図である。
【図3】本発明に係る表面シートのシール部の形成パターンの他の変更例を示す上面図である。
【図4】本発明に係る表面シートのシール部の形成パターンの他の変更例を示す上面図である。
【図5】本発明の変更例に係る表面シートを示す図である。
【図6】本発明の他の変更例に係る表面シートを示す図である。
【図7】本発明に係る吸収性物品であるテープ式の使い捨ておむつの展開上面図である。
【図8】図7に示すおむつの使用時における斜視図である。
【図9】図7のVII−VII断面図である。
【図10】本発明に係る吸収性物品の便ポケットの変更例を示す平面図である。
【図11】本発明に係る吸収性物品の便ポケットの変更例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る吸収性物品の変更例であるパンツ型の使い捨ておむつの展開上面図である。
【図13】図12に示すおむつの使用時における斜視図である。
【図14】図12のXII−XII断面図である。
【図15】従来の表面シートを示す平面図である。
【符号の説明】
【0079】
10,10A,10B,10A′,50 表面シート
11 トップシート
12 メッシュシート
13,13′,51 シール部
14,52 便透過特化部
15 メッシュシート12の開口
16 セカンドシート
100,100A 使い捨ておむつ(吸収性物品)
20 バックシート
21,21A〜21D,21W〜21Z 吸収体
22 おむつ本体(物品本体)
23,23A〜23D,23W〜23Z 便ポケット
24 ギャザーシート
25g,25l,25w 弾性伸縮部材
26 立体ギャザー
27 平面ギャザー
32 吸水紙
33 防水フィルム
100SF サイドフラップ部
100EF エンドフラップ部
100SP サイドパネル部
100B 背部側領域
100F 腹側領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートにシール部を形成し、このシール部を介して不織布シートが貼着されることにより形成される吸収性物品の表面シートであって、前記表面シートは、シートのMD方向に対する前記シール部のピッチが、前記吸収性物品のエンドフラップ部に向かう程小さくなるように設定されていることを特徴とする吸収性物品の表面シート。
【請求項2】
前記不織布シートは、前記トップシートの表面側に配設されるメッシュシート、及び/又は前記トップシートの裏面側に配設されるセカンドシートであることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品の表面シート。
【請求項3】
前記シール部のピッチ比が80%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の表面シート。
【請求項4】
前記表面シートの便透過特化部には、前記シール部が形成されていないことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品の表面シート。
【請求項5】
前記表面シートは、前記シール部の面積率が0〜20%であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の吸収性物品の表面シート。
【請求項6】
前記表面シートのMD方向及び/又はCD方向に形成される前記シール部の数が一定であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の吸収性物品の表面シート。
【請求項7】
少なくとも、表面側に配設される表面シートと、裏面側に配設される裏面シートと、前記シート間に介在される吸収体とを具備して物品本体が構成されてなる吸収性物品において、前記表面シートが、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の吸収性物品の表面シートを用いて形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収体の臀部当接部に便ポケットが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記便透過特化部の平面形状と、前記便ポケットの平面形状とが同一形状であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−239290(P2006−239290A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62266(P2005−62266)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】