説明

吸収性物品の連続包装体、外装シート、及び吸収性物品の連続包装体の製造方法

【課題】熱溶着における不具合の発生を防止しつつ、効率よく生産される吸収性物品の連続包装体を提供する。
【解決手段】吸収性物品10の連続包装体1は、吸収性物品が外装シートによって包装された包装体が複数連続し、外装シートは、熱可塑性樹脂から形成される第一樹脂層31と、第一樹脂層31を形成する熱可塑性樹脂より高い融点の熱可塑性樹脂から形成される第二樹脂層32と、を有し、外装シートには、熱溶着によって包装体2を区画する溶着領域が形成されており、第二樹脂層32は、少なくとも溶着領域において第一樹脂層31に積層されており、第二樹脂層32を構成する熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品を包装した包装体が複数連続する吸収性物品の連続包装体等に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキンなどの吸収性物品は、樹脂フィルムなどの外装シートを用いて形成された包装パッケージに一定の数量装填された形態で販売することが一般的である。
【0003】
また、吸収性物品を一個ずつ個別に包装した包装体が縦方向に複数連続した連続包装体の形態で販売することも、開発途上国や新興国を中心として広く行われている。このような販売形態によれば、需要者は、包装体を切り離すことによって必要な数の吸収性物品のみを購入できる。また、縦方向に連続した複数の包装体は、店舗内の適当な場所に引っ掛けて販売できるため、店舗スペースが狭い場合に都合がよい。特許文献1には、吸収性物品を個別に収容した包装体が複数連続する吸収性物品の連続包装体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第02/094678号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の吸収性物品の連続包装体には、次のような問題があった。すなわち、連続包装体は、包装体に1個ずつ吸収性物品を収容しているため、数十個の吸収性物品を包装する包装体と比較して、包装体を形成する数が多い。したがって、包装体の生産効率の向上が求められている。
【0006】
例えば、このような吸収性物品の連続包装体を製造する方法として、外装シートによって吸収性物品を連続して包装し、外装シートを熱溶着することによって複数の連続した包装体を形成することができる。このような製造方法において生産効率を向上させようとすると、外装シートの溶着時間を短縮することが考えられる。しかし、溶着時間を短縮すると、外装シートに熱が十分に伝わらず、接合の不具合が発生するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、熱溶着における不具合の発生を防止しつつ、効率よく生産される吸収性物品の連続包装体、この吸収性物品の連続包装体を製造する吸収性物品の連続包装体の製造方法、及び吸収性物品の連続包装体を形成する外装シートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明は、少なくとも1以上の吸収性物品が外装シートによって包装された包装体が複数連続する吸収性物品の連続包装体であって、前記外装シートは、熱可塑性樹脂から形成される第一樹脂層と、前記第一樹脂層を形成する熱可塑性樹脂より高い融点の熱可塑性樹脂から形成される第二樹脂層と、を有し、前記外装シートには、熱溶着によって前記包装体を区画する溶着領域が形成されており、前記第二樹脂層は、少なくとも前記溶着領域において前記第一樹脂層に積層されており、前記第二樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることを要旨とする。
【0009】
また、本発明は、外装シートによって吸収性物品が個別に包装された包装体が複数連続する吸収性物品の連続包装体であって、前記外装シートは、ポリエチレンから形成される第一樹脂層と、ポリアミドを溶剤に溶かした溶液を塗布することによって形成される第二樹脂層と、該第一樹脂層と該第二樹脂層との間に配置された印刷層と、を有し、前記外装シートには、熱溶着によって前記包装体を区画する溶着領域が形成されている。
【0010】
また、本発明は、連続して配置された吸収性物品を包装し、熱溶着によって該吸収性物品を別々に区画する溶着領域が形成された外装シートであって、前記外装シートは、熱可塑性樹脂から形成される第一樹脂層と、前記第一樹脂層を形成する熱可塑性樹脂より高い融点の熱可塑性樹脂から形成される第二樹脂層と、を有し、前記第二樹脂層は、少なくとも前記溶着領域において前記第一樹脂層に積層されることを要旨とする。
【0011】
更に、本発明は、吸収性物品の連続包装体の製造方法であって、熱可塑性樹脂によって形成された樹脂フィルムに、該樹脂フィルムを形成する熱可塑性樹脂よりも高い融点の熱可塑性樹脂が溶剤に溶けた溶液を塗布して外装シートを形成する工程と、前記外装シートの前記樹脂フィルム上に吸収性物品を連続して配置する工程と、前記吸収性物品が連続する連続方向沿って前記外装シートと該吸収性物品とを折り畳み、該外装シートによって該吸収性物品を包む工程と、前記吸収性物品を包んだ前記外装シートを熱溶着によって区画して、該吸収性物品が包装された包装体を複数連続して形成する工程と、を有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の特徴によれば、熱溶着における不具合の発生を防止しつつ、効率よく生産される吸収性物品の連続包装体を提供することができる。すなわち、吸収性物品の連続包装体の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る吸収性物品の連続包装体の全体斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る包装体を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線に沿った包装体の断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った包装体の断面図である。
【図5】図2のC−C線に沿った包装体の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る連続包装体の製造工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る連続包装体の製造工程を示す図である。
【図8】変形例に係る外装シートの模式断面図である。
【図9】変形例に係る包装体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る吸収性物品10の連続包装体1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0015】
まず、図1から図5を参照して、吸収性物品10の連続包装体1(以下、連続包装体1とする)の概略構成を説明する。図1は、本実施形態に係る連続包装体1の全体斜視図である。図1に示すように連続包装体1は、生理用ナプキンである吸収性物品10と、吸収性物品10を包装する外装シート3とによって形成されている。外装シート3は、連続したシート状であり、吸収性物品10を袋状に包装している。
【0016】
連続包装体1には、外装シート3によって包まれた吸収性物品を1個ずつに区画する区画部5が形成されている。区画部5は、外装シート3の溶着領域3C(図2参照)が熱溶着によって接着されることにより形成される。区画部5によって、吸収性物品10を一個ずつ包装する包装体2が、複数連続して形成される。本実施形態では、5つの包装体2が連続して、一つの連続包装体1が形成されている。
【0017】
また、区画部5には、ミシン目加工が施されている切り取り線部4が形成されており、吸収性物品10の必要数に応じて、連続包装体1から包装体2を切り離すことができる。
【0018】
図2は、連続包装体1から切り離された包装体2を示す斜視図である。図3は、図2のA−A線に沿った包装体2の断面図である。図4は、図2のB−B線に沿った包装体2の断面図である。図5は、図2のC−C線に沿った包装体の断面図である。
【0019】
図3は、包装体2が連続する連続方向D2における包装体2の断面図であり、図4は、包装体2の区画部5における断面図である。区画部5は、外装シート3の溶着領域3Cに対応する。図3における包装体2の両端部は、外装シート3が溶着された区画部5である。外装シート3は、第一樹脂層31、第二樹脂層32、及び印刷層33を有する。第一樹脂層31は、熱溶着によって溶ける比較的低融点の熱可塑性樹脂によって形成されている。第一樹脂層31の材料としては、例えばポリエチレンを用いることができ、より好適には直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。
【0020】
ポリエチレンは、熱可塑性樹脂の中において比較的(例えば、ポリプロピレンと比較して)融点が低いため、第二樹脂層32を形成する樹脂との融点の差を大きくすることができる。よって、熱溶着がなされた際に、第二樹脂層32を溶がさずに第一樹脂層31のみを溶かすことができる。また、ポリエチレンは、耐UV(紫外線)性を有するため、内部に収容した吸収性物品のUVによる劣化を防ぐことができる。
【0021】
第二樹脂層32は、第一樹脂層を形成する熱可塑性樹脂より高融点の熱可塑性樹脂であって、かつ溶剤に可溶な樹脂によって形成されている。第二樹脂層は、熱溶着によって溶けない熱可塑性樹脂によって形成されており、熱溶着の際に溶けずに第一樹脂層31を耐熱保護する。第二樹脂層32の材料としては、ナイロン、イミド等のポリアミドを例示できる。
【0022】
溶剤は、第二樹脂層32を形成する熱可塑性樹脂を溶かすものであればよく、沸点150℃以下の炭化水素を例示できる。溶剤は、ヘキサン、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、ブタノール、及びメチルエチルケトンを含む。
【0023】
印刷層33は、第一樹脂層31と第二樹脂層32との間に配置される。印刷層の形成方法は限定されない。例えば、印刷層33は、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルク印刷等の印刷方法よって形成されていてもよいし、スプレーによってインクを吹きかけられることによって形成されていてもよい。また、印刷層33を設けることにより、可視光を透過させ難くすることができ、内部に収容された吸収性物品10を外装シート3の外側から視認させ難くすることができる。
【0024】
外装シート3は、第二樹脂層32が外装シート3の外側面7Bを構成し、第一樹脂層31が外装シート3の内側面7Aを構成するように配置される。外装シート3の外側面側から熱溶着されることにより、第一樹脂層31が溶けて溶着領域3Cの外装シート3が接合し、区画部5が形成される。
【0025】
また、図2及び図5に示すように、包装体2は、吸収性物品10の衣服当接面である裏面6Bと外装シート3の内側面7Aとが対向した状態で、吸収性物品10と外装シート3とが一緒に折り畳まれて形成されている。
【0026】
具体的には、吸収性物品10の裏面6B側に外装シート3が配置され、吸収性物品10の裏面6Bの少なくとも一部が、外装シート3の内側面7Aに固定される。吸収性物品10の裏面6Bと、外装シート3の内側面7Aとは、粘着部14,粘着部15を介して固定されている。粘着部14及び粘着部15によって固定された吸収性物品10と外装シート3とが、吸収性物品10の肌当接面である表面6A側に向かって、折り畳み方向D1に沿って一緒に3つ折りされている。
【0027】
吸収性物品10と外装シート3とが一緒に折り畳まれることにより、外装シート3の折り畳み方向D1における端部3A及び端部3Bとが重なった重複領域21(図2参照)が形成される。包装体2には、開封用切り離し線部8が、包装体2が連続する連続方向D2に沿って形成されている。開封用切り離し線部8が切断されることにより、包装体2が開放され、内部に収容された吸収性物品が露出する。
【0028】
重複領域21の一部には、外装シート3の端部3Aと端部3Bとが接合される接合領域22(図2参照)が形成されている。接合領域22は、熱溶着、噛み込みエンボス、粘着材、接着テープ等で接着されることにより形成される。
【0029】
包装体2が連続する連続方向D2における包装体2の両端部は、外装シート3の溶着領域3Cに対応する区画部5である。区画部5は、外装シート3の熱溶着によって接着されているため、吸収性物品10は、密封された衛生的な状態となっている。
【0030】
次に、本実施形態に係る連続包装体1の製造方法について説明する。ここでは、特に、外装シート3及び連続包装体1の製造方法を主に説明する。なお、吸収性物品10など、他の部分は、公知の製造方法に従って製造し得る。
【0031】
図6及び図7は、連続包装体1の製造工程を模式的に示した図である。図6は、吸収性物品10の搬送方向MDに沿った断面を示しており、図7は、吸収性物品10及び外装シート3の斜視図である。図6及び図7に示すように、連続包装体1の製造工程には、印刷層形成工程S10、第二樹脂層形成工程S20と、吸収性物品載置工程S30と、折り畳み工程S40と、外装シート接合工程S50、包装体形成工程S60と、切り取り線部形成工程S70と、が含まれる。なお、印刷層形成工程S10及び第二樹脂層形成工程S20は、外装シート3の製造工程である。また、折り畳み工程S40は、図6に示すように、第一折り工程S41と、第二折り工程S42と、を含む。
【0032】
印刷層形成工程S10では、図6(a)に示すように、樹脂フィルムからなる第一樹脂層31にグラビア印刷が施されて印刷層33が形成される。グラビア印刷を施す塗布装置は、インクが蓄えられた貯留部101と、貯留部101からインクが受け渡される受け渡しロール102と、受け渡しロール102からインクが転写される塗布ロールと103を備える。塗布ロール103によって、インクが第一樹脂層31に塗布される。
【0033】
第二樹脂層形成工程S20では、図6(b)に示すように、印刷層33上に第二樹脂層32が形成される。具体的には、第一樹脂層31を形成する樹脂よりも高い融点の熱可塑性樹脂であるナイロンを溶剤としてのヘキサンに溶かした溶液が印刷層33上に塗布される。なお、溶液を塗布する塗布装置は、印刷層形成工程S10における塗布装置と同様であるため、説明を省略する。このように、印刷層形成工程S10と第二樹脂層形成工程S20を同様の構成の塗布装置によって実施できるため、両方の工程を同じ設備において実施することが可能となり、生産効率を向上させることができる。また、印刷層形成工程S10及び第二樹脂層形成工程にS20よって、外装シート3が製造される。
【0034】
吸収性物品載置工程S30では、図6(c)及び図7(a)に示すように、搬送方向MDに沿って連続する外装シート3上に、所定間隔を空けて吸収性物品10が固定される。このとき、外装シート3の第一樹脂層31と吸収性物品10の裏面とが対向し、かつ吸収性物品10の長尺方向が搬送方向MDと直交するように配置される。
【0035】
折り畳み工程S40は、図7(b)に示す第一折り工程S41と、図7(c)に示す第二折り工程S42とを有する。第一折り工程S41では、外装シート3と吸収性物品10とが、搬送方向MDと直交する折り畳み方向D1における一方の端部側から持ち上げられ、折り畳み方向D1の中心線CLへ向かって一緒に折り畳まれる。なお、折り畳まれた外装シート3及び吸収性物品10の折り畳み線は、搬送方向MDと平行である連続方向D2に沿っている。
【0036】
第二折り工程S42では、外装シート3及び吸収性物品10が、第一折り工程S41とは異なる端部側から持ち上げられ、折り畳み方向D1の中心線CLへ向かって一緒に折り畳まれる。本工程により、連続した包装体2には重複領域21が形成される。図6(d)は、折り畳み工程S40によって折り畳まれた外装シート3及び吸収性物品10を示している。
【0037】
外装シート接合工程S50では、図7(c)に示すように、外装シート3の折り畳み方向D1における両端部3A,3Bが折り重なって形成された重複領域21において、接合領域22が接着剤により接合される。
【0038】
包装体形成工程S60では、図6(e)及び図7(d)に示すように、外装シート3の溶着領域3Cが熱溶着されることにより、吸収性物品10を一個ずつに区画する接着処理がなされる。本工程により、吸収性物品10を一個ずつ包装する包装体2が形成される。
【0039】
切り取り線部形成工程S70では、区画部5にミシン目が形成される。本工程により、包装体2を個別に切り離せる切り取り線部4が形成される。上述した工程S10〜S70が実行されることによって、連続包装体1が完成する。
【0040】
上述したように、本実施形態の連続包装体1によれば、第二樹脂層32を形成する熱可塑性樹脂を溶剤に溶かして塗布することによって第二樹脂層32を形成するため、樹脂フィルムである第一樹脂層31と比較して、第二樹脂層32を薄く形成することができる。したがって、熱溶着の熱が第一樹脂層31に伝わり易くなり、熱溶着の加熱時間を短縮して、生産効率を向上させることができる。更に、熱溶着の加熱温度を上昇させずに、第一樹脂層への熱の伝達効率を向上させるため、加熱温度の上昇によって外装シート3の外側面7Bを構成する第二樹脂層32が溶けることを防ぎ、溶けた樹脂が溶着治具に付着することを防ぐことができる。
【0041】
また、第一樹脂層31を形成する直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの融点は、約110℃であり、第二樹脂層32を形成するナイロンの融点は、約160℃〜170℃であり、その融点の差が50℃以上あるため、熱溶着において第二樹脂層32を溶がさずに第一樹脂層31のみを溶かすことができ、第一樹脂層31のシール性を維持することができる。
【0042】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0043】
次いで、図8に基づいて変形例に係る外装シートを説明する。図7は、実施形態に係る外装シート3と、変形例に係る外装シート3との断面図である。図7(a)は、実施形態に係る外装シートの図3に示すD部分の拡大図を示しており、図7(b)〜(d)は、変形例に係る外装シート3におけるD部分に対応する部分の拡大断面図である。なお、変形例に係る外装シート3において実施形態と同様の構成について同符号を用いて説明を省略する。
【0044】
図7(a)に示すように、実施形態に係る外装シート3は、第一樹脂層31の全領域において印刷層33が積層されており、この印刷層33の全領域において第二樹脂層32が積層されている。このように、第一樹脂層31の全領域において印刷層33が積層されているため、外装シート3の全領域において、印刷層33の文字や絵柄等による装飾効果を発揮することができる。
【0045】
更に、印刷層33の全領域において第二樹脂層32が積層されていることにより、第二樹脂層32によって印刷層33を保護することができる。なお、包装体2の外側から印刷層33を視認させるために、外装シート3の外側面7Bを形成する第二樹脂層32側から印刷層33を視認可能に構成することが望ましい。具体的には、第二樹脂層32を透明又は半透明な材質によって形成する。
【0046】
また、外装シート3は、図7(b)に示すように、印刷層33を備えずに、第一樹脂層31と第二樹脂層32とを有して構成されていてもよい。このような構成によれば、印刷層33を形成する工程を有しないため、生産効率を更に向上させることができ、生産時間の短縮及びコストの縮減を図ることができる。
【0047】
更に、外装シート3は、図7(c)に示すように、溶着領域3Cのみにおいて第二樹脂層32が形成されていてもよい。溶着領域3Cにおいて第二樹脂層32によって耐熱加工することにより、第二樹脂層32側から熱溶着が施された際に、第二樹脂層32によって第一樹脂層31を保護することができる。
【0048】
なお、図7(c)に示す変形例においては、第一樹脂層31と第二樹脂層32とによって外装シート3を形成しているが、第一樹脂層31と第二樹脂層32との間に印刷層を形成してもよいし、第一樹脂層31の全領域に印刷層を形成してもよい。
【0049】
また、図7(d)に示すように、外装シート3は、印刷層33が間欠的に形成され、溶着領域3Cにおいて印刷層33が形成されていなくてもよい。このように溶着領域3Cに印刷層33を形成しないことにより、溶着治具からの熱を第一樹脂層31に伝達し易くすることができる。
【0050】
次いで、図9に基づいて変形例に係る包装体を説明する。図9は、変形例に係る包装体2の連続方向と直交する折り畳み方向D1の断面図である。変形例に係る包装体2の外装シート3は、折り畳み方向D1の両端部11A,11Bにおいて第一樹脂層31と第一樹脂層31とが対向しており、熱溶着によって接合されている。このように、包装体2と包装体2とを区画する区画部5のみならず、外装シート3の折り畳み方向D1の両端部が接合される接合領域22においても熱溶着によって接合されていてもよい。
【0051】
また、本発明の実施形態では、包装体に1個の吸収性物品を収容しているが、包装体に2個以上の吸収性物品を収容するように構成してもよい。
【0052】
また、本発明の吸収性物品は、吸収性物品以外に、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。
【0053】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0054】
1…吸収性物品の連続包装体、2…包装体、3…外装シート、3C…溶着領域、4…切り取り線部、5…区画部、6A…表面、6B…裏面、7A…内側面、7B…外側面、8…開封用切り離し線部、10…吸収性物品、14,15…粘着部、21…重複領域、22…接合領域、31…第一樹脂層、32…第二樹脂層、33…印刷層、CL…中心線、D1…折り畳み方向、D2…連続方向、MD…搬送方向、S10,S20,S30,S40,S41,S42,S50,S60,S70…製造工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1以上の吸収性物品が外装シートによって包装された包装体が複数連続する吸収性物品の連続包装体であって、
前記外装シートは、熱可塑性樹脂から形成される第一樹脂層と、前記第一樹脂層を形成する熱可塑性樹脂より高い融点の熱可塑性樹脂から形成される第二樹脂層と、を有し、
前記外装シートには、熱溶着によって前記包装体を区画する溶着領域が形成されており、
前記第二樹脂層は、少なくとも前記溶着領域において前記第一樹脂層に積層されており、
前記第二樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることを特徴とする吸収性物品の連続包装体。
【請求項2】
前記包装体は、前記吸収性物品を個別に収容する、請求項1に記載の吸収性物品の連続包装体。
【請求項3】
前記第一樹脂層を形成する熱可塑性樹脂が、ポリエチレンであり、前記第二樹脂層を形成する熱可塑性樹脂が、ポリアミドである、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品の連続包装体。
【請求項4】
前記第一樹脂層の前記第二樹脂層側には、印刷が施された印刷層が形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品の連続包装体。
【請求項5】
前記印刷層は、前記第一樹脂層と前記第二樹脂層との間に形成され、前記第二樹脂層の外側から視認可能である、請求項4に記載の吸収性物品の連続包装体。
【請求項6】
前記印刷層は、間欠的に形成されており、前記溶着領域において前記第一樹脂層に積層されていない請求項4又は請求項5に記載の吸収性物品の連続包装体。
【請求項7】
外装シートによって吸収性物品が個別に包装された包装体が複数連続する吸収性物品の連続包装体であって、
前記外装シートは、ポリエチレンから形成される第一樹脂層と、ポリアミドを溶剤に溶かした溶液を塗布することによって形成される第二樹脂層と、該第一樹脂層と該第二樹脂層との間に配置された印刷層と、を有し、
前記外装シートには、熱溶着によって前記包装体を区画する溶着領域が形成されていることを特徴とする吸収性物品の連続包装体。
【請求項8】
連続して配置された吸収性物品を包装し、熱溶着によって該吸収性物品を別々に区画する溶着領域が形成された外装シートであって、
前記外装シートは、熱可塑性樹脂から形成される第一樹脂層と、前記第一樹脂層を形成する熱可塑性樹脂より高い融点の熱可塑性樹脂から形成される第二樹脂層と、を有し、
前記第二樹脂層は、少なくとも前記溶着領域において前記第一樹脂層に積層されており、
前記第二樹脂層を構成する熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることを特徴とする外装シート。
【請求項9】
熱可塑性樹脂によって形成された樹脂フィルムに、該樹脂フィルムを形成する熱可塑性樹脂よりも高い融点の熱可塑性樹脂が溶剤に溶けた溶液を塗布して外装シートを形成する第一工程と、
前記外装シートの前記樹脂フィルム上に吸収性物品を連続して配置する第二工程と、
前記吸収性物品が連続する連続方向と直交する方向に沿って前記外装シートと該吸収性物品とを折り畳み、該外装シートによって該吸収性物品を包む第三工程と、
前記吸収性物品を包んだ前記外装シートを熱溶着によって区画して、該吸収性物品が包装された包装体を複数連続して形成する第四工程と、を有する、吸収性物品の連続包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−71858(P2012−71858A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217429(P2010−217429)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】