吸収性物品及びその製造方法
【課題】衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることが可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、男性器を挿入し得る開口部11が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部18を有する肌面シート体5と、を備えたものである。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、男性器を挿入し得る開口部11が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部18を有する肌面シート体5と、を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品及びその製造方法に関する。更に詳しくは、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることが可能な吸収性物品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳幼児用、或いは高齢者・障害者等の成人用の吸収性物品として、トップシートと、バックシートと、両シートの間の一部に介装された吸収体とを備えた尿パッドや水様便用のパッドが用いられている。
【0003】
上記した尿パッドは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、排泄物の外部への漏洩が防止されるというものである。
【0004】
また、男性用に特化した吸収性物品として、男性器を被包して用いるタイプの男性用尿パッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。この男性用尿パッドは、従来の使い捨ておむつや尿パッドと同様に、表面シート(トップシート)、裏面シート(バックシート)及び吸収体を備えた吸収性物品であるが、単に着用者に宛がうのではなく、男性器を被包して用いる点に特徴がある。
【0005】
例えば、図22に示す男性用尿パッド100は、表面シート102と、裏面シート104と、両シートの間の一部に介装された吸収体106とを備えており、更に裏面シート104側の表面に、装着用の粘着部108が形成されている。このような男性用尿パッド100は、その上端縁110が手前側(着用者の身体側)となるように男性器118の下側から宛がい、直線L1,L2に沿って、パッドの右側縁112、左側縁114をパッド中央側に折り返した後、粘着部108を左側縁114側の表面シート102に対して固定した状態で用いられる。こうすることにより、男性用尿パッド100は、上端縁110側を開口部、下端縁116側を頂点とするコーン状(サック状)となるため、男性器118を被包することができる。なお、符号138は、パッド伸縮材を示す。
【0006】
前記のような男性用尿パッドは男性器を被包した状態で用いるため、使い捨ておむつ、或いは単に衣類やおむつ上に載置して用いる尿パッドと比較して、排泄物と着用者の肌との接触面積を少なくすることができる。従って、排泄物に起因するスキントラブルを減少させることが可能となるという利点がある。
【0007】
また、例えば、図示は省略するが、表面シートと裏面シートとの間に配設された吸収体を有し、吸収体の外側(外縁)に、長手方向(左右方向)に沿ってフラップ部が形成され、そのフラップ部の長手方向の略中央部に切り込み部(スリット)が形成された男性用尿パッド(例えば、特許文献2参照)や、予め袋状に成型された男性用尿パッド(例えば、特許文献3参照)についても提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−280727号公報(段落0003、図1)
【特許文献2】特開2001−129012号公報(段落0007、図1)
【特許文献3】特開平9−299392号公報(段落0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に示す男性用尿パッドは、男性器から尿パッドがズレたり外れたりし易く、尿漏れを惹起するおそれがあるという問題があった。また、装着に非常に手間が掛かるという問題もあった。更に、特許文献2に示す男性用尿パッドは、スリットの部分で男性器が不自然な形で押さえつけられるため、快適な装着感が得られないという問題があった。
【0010】
また、上記した特許文献3に記載の男性用尿パッドは、構造が複雑であるために、生産性が極めて低いという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることが可能な吸収性物品及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、吸収体とトップシートとバックシートとを備えた吸収性物品において、このトップシート上に、所定形状の開口部が形成され、且つ、吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体を配設することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の吸収性物品及びその製造方法が提供される。
【0013】
[1] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置された肌面シート体と、を備え、前記肌面シート体は、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有するものである吸収性物品。
【0014】
[2] 前記肌面シート体は、前記トップシートの両側縁及びその長手方向の少なくとも一方の端部において接合されており、前記肌面シート体と前記トップシートとの間に袋状の空間が形成されている前記[1]に記載の吸収性物品。
【0015】
[3] 前記肌面シート体は、前記バックシートの少なくとも一方の側縁からその側方に一体に延出された部分を前記トップシートの上方に折り返して構成されたものである前記[1]又は[2]に記載の吸収性物品。
【0016】
[4] 前記肌面シートの下方における、前記トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0017】
[5] 前記肌面シート体の前記トップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0018】
[6] 前記肌面シート体の前記開口部の外縁の一部に沿って開口部伸縮材が配置されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0019】
[7] 前記吸収性物品の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして使用される前記[6]に記載の吸収性物品。
【0020】
[8] 前記肌面シート体は、少なくとも前記開口部が形成されている領域が撥水性材料又は液不透過性材料からなるものである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0021】
[9] 前記バックシートの下面には、衣類又はおむつに固定するための固定手段を有している前記[1]〜[8]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0022】
[10] 前記吸収性物品の長手方向の少なくとも一方の端部側に、端部伸縮材が配置されている前記[1]〜[9]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0023】
[11] 前記肌面シート体の前記開口部に男性器を挿入して使用する男性用尿パッドである前記[1]〜[10]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0024】
[12] 衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドである前記[1]〜[10]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0025】
[13] 前記肌面シート体は、尿を透過させ得る尿透過領域を有している前記[12]に記載の吸収性物品。
【0026】
[14] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、前記肌面シート体の前記開口部となる切り欠き部が形成された肌面シート前駆体を、その両側縁に有する前記バックシートを得る工程と、前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、前記バックシートの両側縁から延出された前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の長手方向と平行になるように襞状に折り曲げて前記襞状部を形成する工程と、前記襞状部が形成された前記肌面シート前駆体を、前記トップシートの上方に折り返し、前記肌面シート前駆体の折り重なる部分の少なくとも一部を接合することにより、前記切り欠き部からなる前記開口部が形成された前記肌面シート体を形成する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【0027】
[15] 前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁より外側において、前記トップシートの上方に折り返す前記[14]に記載の吸収性物品の製造方法。
【0028】
[16] 前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁を含む一部とともに、前記トップシートの上方に折り返す前記[14]に記載の吸収性物品の製造方法。
【0029】
[17] 前記肌面シート前駆体を折り返して形成した前記肌面シート体と、前記トップシートを、少なくとも一方の長手方向端部側で接合する工程を更に含む前記[14]〜[16]のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【0030】
[18] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、前記開口部を形成したシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて前記襞状部を形成し、前記肌面シート体を得る工程と、前記襞状部が形成された前記肌面シート体を、前記襞状部が、前記吸収体の長手方向と平行になるように、前記トップシートの上方に配置する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明の吸収性物品は、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることができる。本発明の吸収性物品は、男性用尿パッドや尿便用パッドとして好適に用いることができ、例えば、本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた場合には、尿漏れを有効に防止することができるとともに、尿パッドがズレたり外れたりし難い。更に、装着が簡便であり、装着感も良好である。
【0032】
一方、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドとして用いた場合には、肌面シート体とトップシートとの間に便が収納されるため、着用者の股下部や臀部に便が付着することがなく、着用者のスキントラブルを有効に防止することができる。また、身体への便の付着が少ないので、交換時に着用者の股下や臀部の洗浄が非常に容易となり、介護者の負担を減らすことが可能となる。
【0033】
また、本発明の吸収性物品を構成する肌面シート体が、襞状に折り曲げられた襞状部を有しているため、肌面シート体とトップシートとの間に空間ができ易くなっている。このため、例えば、尿便用パッドとして用いた場合には、この空間に排泄物を一時的に貯留させることができ、排泄物の吸収・保持が良好に行われる。また、この開口部に男性器を挿入して男性用尿パッドとして用いた場合には、男性器を保持させる空間が十分に確保できるため、吸収性物品の装着感、及び装着時における安定性に優れている。また、この吸収性物品は、簡素な構造であるため生産性に優れている。
【0034】
本発明の吸収性物品の製造方法によれば、上記した本発明の吸収性物品を、簡便且つ低コストに製造することができる。特に、この製造方法は、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して吸収性物品を生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の吸収性物品及びその製造方法を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える吸収性物品及びその製造方法を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0036】
[1]吸収性物品:
本発明の吸収性物品は、吸収体と、吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、トップシートの上方に配置された肌面シート体と、を備え、この肌面シート体は、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、上記した吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有するものである。
【0037】
この吸収性物品は、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることができる。また、この吸収性物品は、簡素な構造であるため生産性に優れている。
【0038】
本発明の吸収性物品は、男性用尿パッドや尿便用パッド(特に便用パッド)として特に好適に用いることができる。例えば、本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた場合には、尿漏れを有効に防止することができるとともに、尿パッドがズレたり外れたりし難い。更に、装着が簡便であり、装着感も良好である。
【0039】
一方、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドとして用いた場合には、肌面シート体とトップシートとの間に便が収納されるため、着用者の股下部や臀部に便が付着することがなく、着用者のスキントラブルを有効に防止することができる。
【0040】
特に、上記したように、吸収性物品を構成する肌面シート体が、襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有しているため、肌面シート体とトップシートとの間に空間ができ易くなっている。このため、例えば、尿便用パッドとして用いた場合には、この空間に排泄物を一時的に貯留させることができ、排泄物の吸収・保持が良好に行われる。また、肌面シート体の開口部に男性器を挿入して男性用尿パッドとして用いた場合には、男性器を保持させる空間が十分に確保できるため、吸収性物品の装着感、及び装着時における安定性に優れている。
【0041】
以下、本発明の吸収性物品を実施するための最良の形態について、男性用尿パッドと尿便用パッドとのそれぞれの例について図面を参照しつつ更に具体的に説明する。
【0042】
[1A]男性用尿パッド:
まず、本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた場合の例について説明する。図1〜図3に示すように、本発明の吸収性物品1の一の実施形態である男性用尿パッド1aは、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、男性器を挿入し得る開口部11が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた襞状部18を有する肌面シート体5とを備えている。この肌面シート体5の襞状部18は、吸収体2の長手方向端部のみが固定されており、拡縮可能に構成されている。
【0043】
この男性用尿パッド1aは、肌面シート体5の開口部11に男性器を挿入して、尿を吸収するために用いられるものである。
【0044】
ここで、図1は、本発明の吸収性物品の一の実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す吸収性物品をA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図3は、図1に示す吸収性物品をB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0045】
この男性用尿パッド1aは、男性器が肌面シート体5の開口部11によって把持されるため、男性器に対する固定効果が高く、尿漏れの原因となる尿パッドのズレや外れを有効に防止することができる。また、着用者の肌の大部分(即ち、肌面シート体5の開口部11に挿入した男性器以外の部分)には、肌面シート体5が接触するため、着用者の肌とトップシート3とが離隔されることになる。これにより、良好な装着感を得ることができる。
【0046】
この男性用尿パッドは、例えば、図4に示すように、肌面シート体5の開口部11に男性器21を挿入した後、男性用尿パッド1aの長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして装着する。このように構成することによって、男性器21の先端部分を男性用尿パッド1aにて包み込むように把持することができ、固定効果を高くすることができる。特に、この男性用尿パッド1aは、拡縮可能な肌面シート体5の襞状部18によって、肌面シート体5とトップシート3との間に空間ができ易くなっており、男性器21を保持させる空間(具体的には、前記空間における奥行き)が十分に確保でき、装着感及び装着時における安定性に優れている。
【0047】
この吸収性物品は、図1に示すように、肌面シート体5の開口部11の外縁の一部に沿って開口部伸縮材12が配置されていることが好ましい。
【0048】
このように構成することによって、着用者の男性器のサイズに応じて開口部11を伸縮させることができ、男性器を固定する効果を更に向上させることができる。また、着用者の男性器のサイズに拘らず、良好な固定効果が得られるので、男性器が萎縮してしまうことが多い高齢者・障害者等に特に好適に用いることができる。例えば、図22に示すような従来の男性用尿パッドは、シート状のパッドをコーン状(サック状)に折り返して粘着部によって固定し、男性器を被包するものであるため、この粘着部に陰毛や衣類が張り付いてしまうことがあり、極めて使用し難いものであった。
【0049】
また、このような開口部伸縮材12を配設することにより、図4に示すように、男性用尿パッド1a(吸収性物品1)の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして用いた場合に、肌面シート体5が伸縮して、肌面シート体5とトップシート3との間に空間が適切に形成される。このため、開口部11に挿入した男性器21から排泄を行った場合に、この空間に尿を一時的に貯留することができ、例えば、一度に排泄される尿の量が多い場合でも、尿が外部に漏れ難くなる。
【0050】
また、上記したように開口部伸縮材12を配設することにより、男性用尿パッド1aの長手方向の両端部を広げるように引き伸ばすことにより、開口部11の大きさを調整することができ、男性器21の締め付け具合を容易に調節することができる。
【0051】
なお、この男性用尿パッド1aは、予め長手方向長さの略中央部分で二つ折りにされた状態となっており、使用する際に、この男性用尿パッド1aの両端部を広げるように引き伸ばしてから用いるものであることが好ましい。このように構成することによって、男性器21の先端部分を男性用尿パッド1aにて包み込むように良好に把持することができ、固定効果を更に高くすることができる。
【0052】
ここで、図4は、図1に示す吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた際の着用状態を示す説明図である。
【0053】
吸収性物品を構成する肌面シート体の襞状部は、肌面シート体の少なくとも一方の端部側における折り曲げ部位を接着させて、襞状部の少なくとも中央部分が自由に拡縮できるように構成されたものであることが好ましい。このように構成することによって、襞状部の拡縮が自在に行われるようになり、肌面シート体とトップシートとの間の空間を適切な大きさのものとすることができる。
【0054】
なお、上記した襞状部における接着部分は、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いて接着したものであってもよいし、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等により溶着したものであってもよい。
【0055】
また、この男性用尿パッド1aは、図5及び図6に示すように、肌面シート体5が、トップシート3の両側縁63(63a,63b)及びその長手方向の少なくとも一方の端部32(図5及び図6においては、両方の端部32a,32b)において接合されており、肌面シート体5とトップシート3との間に袋状の空間33が形成されていることが好ましい。このように構成することによって、上記した袋状の空間33内にて尿が保持されるため、例えば、一度に排泄される尿の量が多い場合でも、尿が外部に漏れてしまうことがない。
【0056】
ここで、図5は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図であり、図6は、図5に示す吸収性物品をC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。なお、肌面シート体5とトップシート3との接合方法については特に制限はないが、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による従来公知の接合方法を好適に用いることができる。
【0057】
また、本実施形態の男性用尿パッドにおいては、図7に示すように、肌面シート体5とトップシート3が、開口部11よりも長手方向端部32(32a,32b)側の一部において接合されていてもよい。なお、符号17は、肌面シート体とトップシートの接合部を示す。着用者が排泄した尿は、トップシート3を透過し、吸収体2によって吸収・保持されるため、肌面シート体5とトップシート3が余りにも離れすぎてしまうと、尿がトップシート3を透過し難くなり、結果として吸収体2に吸収される速度が遅くなることがある。このように構成することによって、男性器を挿入する空間を確保しつつ、尿を良好に吸収させることができる。なお、肌面シート体5とトップシート3を接合させる方法については特に制限はないが、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による従来公知の接合方法を好適に用いることができる。ここで、図7は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0058】
なお、図7においては、肌面シート体5とトップシート3が、吸収性物品1の長手方向(開口部11から端部32に向う方向)にストライプ状に接合されて接合部17が形成されているが、この形状に限定されることはない。例えば、図示は省略するが、吸収性物品の一方の側縁から他方の側縁に向けてストライプ状に接合されていてもよいし、所定の間隔をあけてドット状に接合されていてもよい。
【0059】
また、図1〜図3に示すように、肌面シート体5が、バックシート4の少なくとも一方の側縁64(図1〜図3においては、両方の側縁64a,64b)からその側方に一体に延出された部分をトップシート3の上方に折り返して構成されたものであることが好ましい。
【0060】
もちろん、図8及び図9に示すように、肌面シート体55が、バックシート4やトップシート3とは別部材によって構成され、このような肌面シート体55が、トップシート3の上方に配置されたものであってもよい。なお、このような別部材の肌面シート体55は、トップシート3やバックシート4の側縁に接合することによって固定されている。なお、肌面シート体55を接合する方法としては、特に限定されることはないが、例えば、接着剤や、ヒートシール、超音波シール等の熱融着による方法を挙げることができる。
【0061】
ここで、図8は、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態を示す平面図であり、図9は、図8に示す吸収性物品をD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0062】
図1〜図3に示すような吸収性物品1の肌面シート体5としては、例えば、図10A、図10B、及び図10Cに示すように、バックシート4の両側縁64a,64bからその側方に一体に延出された肌面シート前駆体としてのサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返して、それぞれのサイドフラップ5a,5bが重なる部分を接合して形成された肌面シート体5(図1参照)を挙げることができる。
【0063】
肌面シート体5をこのようにして構成する場合には、まず、それぞれのサイドフラップ5a,5bを襞状に折り曲げて襞状部18を形成し(図10B)、このようにして襞状部18を形成したサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返し(図10C)、折り返したサイドフラップ5a,5b同士が一部重なり合わない箇所を設けて、図1に示すような肌面シート体5の開口部11を形成する。
【0064】
このようにして構成された男性用尿パッド1aは、簡素な構造であるため生産性に優れている。更に、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。ここで、図10A、図10B、及び図10Cは、本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【0065】
なお、図1においては、肌面シート体5の襞状部18は、肌面シート体5のそれぞれの側縁と開口部11との間に、各一つずつ形成された場合の例を示しているが、例えば、図11に示すように、肌面シート体5のそれぞれの側縁と開口部11との間に、それぞれ二つ以上の襞状部18が形成されていてもよい。ここで、図11は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0066】
また、特に限定されることはないが、肌面シート体の襞状部における、襞状に折り曲げられている部分の長さは、吸収性物品の幅方向の長さに対して、5〜300%に相当する長さであることが好ましく、20〜150%に相当する長さであることが更に好ましい。このように構成することによって、上記空間を十分に確保することができる。
【0067】
また、襞状部を複数配置する場合には、各襞状部が重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。なお、あまり多く襞状部を重ねると、肌面シート体に厚みが出てしまい、またシート自体も固くなるために、着用感が低下してしまうことがある。
【0068】
また、図1〜図3に示すように、この男性用尿パッド1aは、肌面シート5の下方における、トップシート3の上面に立体ギャザー13(13a,13b)が少なくとも一対形成されていることが好ましい。このように構成することによって、着用者の排泄した尿の横漏れを有効に防止することができる。
【0069】
また、図12及び図13に示すように、肌面シート体5のトップシート3と対向する面に立体ギャザー14(14a,14b)が少なくとも一対形成されていてもよい。このような立体ギャザー14は、肌面シート体5の開口部11の逆止弁としての機能を持たすことができ、開口部11からの尿の逆流を有効に防止することができる。
【0070】
このような立体ギャザー14は、開口部11の内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいが、開口部11からの尿の逆流を有効に防止することができるように吸収性物品1の外側(具体的には、開口部11の開口部位より外側)に向かって傾倒する外倒しギャザーであることが好ましい。ここで、図12は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図であり、図13は、図12に示す吸収性物品をE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0071】
また、本実施形態の男性用尿パッドにおいては、図14に示すように、男性用尿パッド1a(吸収性物品1)の長手方向の少なくとも一方の端部32側に、端部伸縮材15が配置されていることが好ましい。このように端部伸縮材15を配置することによって、男性用尿パッド1aの長手方向の少なくとも一方の端部32側を収縮させることができる。この端部伸縮材15が配置されている側を、着用者の股下部側に位置させることにより、男性用尿パッドが着用者の体にフィットし易くなり、装着感をより向上させることができる。ここで、図14は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0072】
図1〜図3に示す男性用尿パッド1aは、バックシート4からその側方に一体に延出された肌面シート体5が、吸収体2の側縁より外側においてトップシート3の上方に折り返されて構成されたものである。例えば、本実施形態の男性用尿パッド1aは、図15及び図16に示すように、バックシート4からその側方に一体に延出された肌面シート体5が、吸収体2の側縁を含む一部とともに、トップシート3の上方に折り返されて構成されたものであってもよい。
【0073】
このように構成することによって、折り返された吸収体2の一部が防漏壁の役割を果たし、図2に示すような立体ギャザー13を配置しなくとも、着用者の排泄した尿の横漏れを有効に防止することができる。ここで、図15は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図であり、図16は、図15に示す吸収性物品をF−F’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0074】
[1B]尿便用パッド:
次に、本発明の吸収性物品を尿便用パッドとして用いた場合の例を説明する。図1〜図3に示すように、本発明の吸収性物品1の他の実施形態である尿便用パッド1bは、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、便を通過させ得る開口部11が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部18を有する肌面シート体5とを備えている。
【0075】
この尿便用パッド1bは、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用するものであり、着用者の便と尿とを吸収・保持させて、衣類又はおむつの外部への漏洩を防止することができる。なお、本実施形態の尿便用パッド1bは、これまでに説明した本発明の一の実施形態である男性用尿パッド1aとは、その使用方法が異なるのみで、パッド自体の構成は同一である。
【0076】
従来の尿便用パッドは、吸収体に窪みを設けて便を収納するための空間を形成したり、着用者の排泄した便の拡散を防止するために、トップシートに目の粗い素材のものを使用したりしているが、実際にはトップシート上に大部分の便が残存してしまうため、着用者の股下部や臀部に便が付着してしまう。このため、排便時の交換の際には、煩瑣な払拭作業が必要となり、育児負担や介護負担を増大させる原因となる他、着用者のスキントラブルの原因ともなっていた。
【0077】
本実施形態の尿便用パッド1bは、着用者が排泄した便は、開口部11を通過してトップシート3上に落下することになり、便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させることが可能となる。また、着用者の肌には、まず肌面シート体5が接触するため、肌面シート体5の下方に配置されるトップシート3は着用者の肌と直接接触し難くなる。即ち、着用者の肌とトップシート3とが離隔されることになる。更に、トップシート3と着用者の肌との間に肌面シート体5という遮蔽層が介在していることにもなる。
【0078】
従って、たとえトップシート3上に便が残存していたとしても、その便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させる効果を奏する。このため、着用者の股下部や臀部に便が付着し難くなっており、払拭作業等の手間を軽減することができるとともに、着用者のスキントラブルを有効に防止することができる。特に、本実施形態の尿便用パッド1bは、水様便、泥状便、固形便等の便性状をとわず、どのような便においても良好に対応することができる。
【0079】
もちろん、本実施形態の尿便用パッド1bは、着用者の便をトップシート3上で保持するだけではなく、着用者の排泄した尿を吸収体2によって吸収・保持させることもできる。例えば、肌面シート体として、尿を透過させ得る尿透過領域を有するものを用いることにより、着用者の排泄した尿を、肌面シート体の尿透過領域及びトップシートを透過させ、吸収体によって吸収・保持することができる。吸収体によって吸収・保持された尿は、防漏性に優れたバックシートによって外部への漏洩が防止される。
【0080】
このような尿透過領域は、肌面シート体に尿を透過させ得る開口部を別途形成してもよいし、肌面シート体の一部を液透過性材料によって形成し、この液透過性材料によって形成された部位を尿透過領域としてもよい。
【0081】
この尿便用パッド1bにおいては、肌面シート体5の開口部11の外縁の一部に沿って開口部伸縮材12が配置されていることが好ましい。このように構成することによって、図17に示すように、肌面シート体5が伸縮することにより、尿便用パッド1b(吸収性物品1)の長手方向長さの略中央部分(具体的には、開口部11が形成された部分)が二つ折りに折り曲がり、開口部11が大きく広がる。このため、開口部11に便を通過させ易くなる。
【0082】
また、肌面シート体5とトップシート3との間に空間が形成されるため、着用者の便を一時的に貯留する空間を形成することができ、例えば、一度に排泄される便の量が多い場合でも、この空間にて便を良好に保持することができる。特に、肌面シート体5は、襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有しているため、十分な大きさの空間を確保できる。
【0083】
ここで、図17は、図1に示す吸収性物品を長手方向長さの略中央部分にて折り曲げた状態を示す斜視図である。
【0084】
なお、本実施形態の尿便用パッド1bにおいては、予め長手方向長さの略中央部分で二つ折りに折り曲げた状態となっており、使用する際に、この尿便用パッド1bの両端部を広げるように引き伸ばしてから用いるものであることが好ましい。このように構成することによって、上記した肌面シート体5とトップシート3との間の空間を良好に形成することができる。
【0085】
また、尿便用パッドを構成する肌面シート体の襞状部は、上述した男性用尿パッドのものと同様に、肌面シート体の少なくとも一方の端部側における、襞状に折り曲げられた部位を接着させ、拡縮可能に構成されたものであることが好ましい。
【0086】
更に、図5及び図6に示すように、肌面シート体5が、トップシート4の両側縁63(63a,63b)及びその長手方向の少なくとも一方の端部32(図5及び図6においては、両方の端部32a,32b)において接合されており、肌面シート体5とトップシート3との間に袋状の空間33が形成されていることが好ましい。
【0087】
このように構成することによって、上記した袋状の空間33内にて排泄物(便及び尿)が保持されるため、例えば、一度に排泄される排泄物の量が多い場合でも、排泄物が外部に漏れてしまうことがない。また、着用者に付着する便の量を少なくすることができる。更に、尿便用パッド1bを交換する際に、排泄物の流出やこぼれ落ちが防止されるため、衣類やシーツ等の寝具を汚すことがない。
【0088】
また、この尿便用パッド1bは、上記した男性用尿パッド1aと同様に、肌面シート体5が、バックシート4の少なくとも一方の側縁64(図1〜図3においては、両方の側縁64a,64b)からその側方に一体に延出された部分を、トップシート3の上方に折り返して構成されたものであってもよいし、図8及び図9に示すように、肌面シート体55が、バックシート4やトップシート3とは別部材によって構成され、このような肌面シート体55が、トップシート3の上方に配置されたものであってもよい。
【0089】
このようにして構成された尿便用パッドは、簡素な構造であるため生産性に優れている。更に、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【0090】
また、図1〜図3に示すように、肌面シート5の下方における、トップシート3の上面に立体ギャザー13が少なくとも一対形成されていることが好ましい。このように構成することによって、着用者の排泄した排泄物(特に尿)の横漏れを有効に防止することができる。
【0091】
また、図12及び図13に示すように、肌面シート体5のトップシート3と対向する面に立体ギャザー14が少なくとも一対形成されていてもよい。このような立体ギャザー14は、肌面シート体5の開口部11の逆止弁としての機能を持たすことができ、開口部11からの尿や水様便等の排泄物の逆流を有効に防止することができる。このような立体ギャザー14は、開口部11の内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいが、開口部11からの排泄物の逆流を有効に防止することができるように吸収性物品1の外側(具体的には、開口部11の開口部位より外側)に向かって傾倒する外倒しギャザーであることが好ましい。
【0092】
また、本実施形態の尿便用パッド1bにおいては、図7に示すように、肌面シート体5とトップシート3が、開口部11よりも長手方向端部32側の一部において接合されていてもよい。なお、肌面シート体5とトップシート3を接合させる方法については特に制限はないが、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による従来公知の接合方法を好適に用いることができる。
【0093】
例えば、本実施形態の尿便用パッドは、図15及び図16に示すように、バックシート4からその側方に一体に延出された肌面シート体5が、吸収体2の側縁を含む一部とともに、トップシート3の上方に折り返されて構成されたものであってもよい。このように構成することによって、折り返された吸収体2の一部が防漏壁の役割を果たし、図2に示すような立体ギャザー13を配置しなくとも、着用者の排泄した尿の横漏れを有効に防止することができる。また、吸収体2の側縁を含む一部とともに折り返すことにより厚み差がでるので、排泄された便を保持する空間を確保しやすい、という効果もある。
【0094】
以下、本発明の吸収性物品を構成する各構成要素について更に具体的に説明する。
【0095】
[1−1]肌面シート体:
肌面シート体は、着用者の肌とトップシートとを離隔するためのシート体であり、トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部と男性器を挿入し得る開口部との少なくとも一方が形成されている。そして、この肌面シート体は、吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有している。このような肌面シート体を備えることによって、着用者の肌には、まず肌面シート体が接触するため、肌面シート体の下方に配置されるトップシートは着用者の肌と直接接触し難くなる。即ち、着用者の肌とトップシートとが離隔されることになる。また、トップシートと着用者の肌との間に肌面シート体という遮蔽層が介在していることにもなる。
【0096】
肌面シート体を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなる不織布、メッシュシート、フィルム等を用いることができる。
【0097】
本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いる場合には、肌触りが良好である点において、不織布を用いることが好ましい。更に、男性用尿パッドとして用いる場合には、肌面シート体の開口部に男性器を挿入した状態で排泄を行うため、肌面シート体は、排泄した尿が透過しないように構成されていることが好ましい。このため、肌面シート体の開口部が形成されている領域は、撥水性材料又は液不透過性材料(撥水性の不織布、或いは撥水性不織布と非通液性フィルムの貼り合わせ品)からなるものであることが好ましい。特に、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができるという点において、撥水性材料(撥水性の不織布等)であることが好ましい。
【0098】
また、本発明の吸収性物品を尿便用パッドとして用いる場合には、肌触りが良好である点において、不織布を用いることが好ましい。これらの材料は、液透過性であっても、液不透過性であっても、撥水性であってもよい。但し、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができるという点において、少なくとも開口部が形成されている周囲の領域は、撥水性材料(撥水性の不織布等)からなるものであることが好ましい。なお、尿便用パッドとして用いる場合には、肌面シート体の一部に液透過性材料を用いることにより、尿を透過させ得る尿透過領域を形成してもよい。
【0099】
肌面シート体は、図10Aに示すように、バックシート4の両側縁64a,64bからその側方に一体に延出されたサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返すことによって形成することもできるし、図8及び図9に示すように、例えば、開口部11が形成されたシート体を、トップシート2の上方に別途配置することによって形成することもできる。
【0100】
肌面シート体の開口部の形状については特に制限はないが、その用途に応じて適宜選択することができる。例えば、男性用尿パッドとして用いる場合には、男性器を挿入して良好に保持することができるような形状、例えば、円形開口部、楕円形開口部、菱形開口部等のいわゆる開口部(孔)を挙げることができる。また、尿便用パッドとして用いる場合には、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して排泄を行った際に、排泄された便を良好に通過させることができるような形状、例えば、円形開口部、楕円形開口部、菱形開口部等のいわゆる開口部(孔)の他、直線状スリット、十字状スリット、3本以上のスリットを交差させた星型スリット等のスリット等を挙げることができる。
【0101】
なお、肌面シート体が、バックシートの少なくとも一方の側縁から延出されたものである場合には、図10Aに示すような、バックシート4の両側縁64a,64bからその側方に一体に延出されたサイドフラップ5a,5bにおいて、開口部11(図1参照)の一部の形状に対応する切り欠き部46を形成しておき、それぞれのサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返した際に、この切り欠き部46によって開口部11(図1参照)が形成されるようにしてもよい。
【0102】
また、本発明の吸収性物品を尿便用パッドとして用いる場合には、肌面シート体に、尿を透過させ得る尿透過領域として、尿通過用開口部を別途形成してもよい。尿通過用開口部を形成することによって、その開口部を通過させて着用者の排泄した尿を肌面シート体とトップシートとの間の空間に確実に流入させることができる。この尿通過用開口部は、上記した便を通過させ得る開口部よりも着用者の前身頃側の部分に形成することが好ましい。
【0103】
また、本発明の吸収性物品においては、上記したように、肌面シート体の開口部の外縁の一部に沿って開口部伸縮材を配置してもよい。
【0104】
開口部伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
【0105】
開口部伸縮材の配置パターンは、前記効果を発揮し得るパターンである限り特に制限はないが、開口部に確実に伸縮力を作用させることができるようなパターンに配置されていることが好ましい。例えば、図1に示すように、開口部の外縁の一部に沿って直線状に開口部伸縮材を配置してもよいし、例えば、図18に示すように、開口部11の外縁を取り囲むように開口部伸縮材12を配置してもよい。また、図示は省略するが、例えば、円形、楕円形、菱形等のパターンで開口部伸縮材を配置してもよい。ここで、図18は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0106】
なお、バックシートの両側縁から延出されたサイドフラップをトップシートの上方に折り返すことによって肌面シート体を形成する場合には、それぞれの側縁から延出されたサイドフラップが重なり合う部位には、上記した開口部伸縮材を配置しないことが好ましい。サイドフラップが重なり合う部分では、肌面シート体の厚さが厚くなるため、開口部伸縮材の伸縮力が作用され難くなることがある。
【0107】
開口部伸縮材は、肌面シート体に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
【0108】
開口部伸縮材は、開口部に十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、開口部伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、肌面シート体に十分な伸縮力を作用させ、且つ、開口部が必要以上に縮小されるのを防止することができる。
【0109】
開口部伸縮材の配置方法は特に限定されないが、例えば、肌面シート体を2枚のシート材(アッパーシート及びライナーシート)を貼り合わせることにより構成し、アッパーシートとライナーシートの間に開口部伸縮材を挟み込むように配置することが好ましい。このような配置方法を採用すると、必要最小限の伸縮材により肌面シート体に伸縮力を付与することができるため好ましい。
【0110】
なお、上記のような構成を採る場合であっても、肌面シート体は、開口部伸縮材を配置する部分が2枚のシート材によって構成されていれば足り、必ずしも肌面シート体全体が2枚のシート材によって構成されている必要はない。例えば、開口部伸縮材を配置する部分が2枚のシート材によって構成され、他の部分については1枚のシート材によって構成されたものであってもよい。
【0111】
[1−2]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
【0112】
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。また、吸収体の型崩れ対策として、熱融着繊維等の合成繊維を含んだものであってもよい。
【0113】
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
【0114】
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。
【0115】
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
【0116】
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図1に示す吸収性物品1は吸収体2として、砂時計型の吸収体を用いた例である。このような砂時計型の吸収体は、吸収性物品の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして用いた場合に、肌面シート体とトップシートとの間に空間が形成され易く、特に好適に用いることができる。
【0117】
また、例えば、図14に示すように、吸収性物品1の長手方向の少なくとも一方の端部32側に、端部伸縮材15を配置する場合には、端部伸縮材15を配置した吸収性物品1の端部側が収縮し易くなるように、図19に示すように、矩形状や砂時計型等の吸収体2の角部に切り欠きが形成されていてもよい(図19においては砂時計型の吸収体2の一方の端部における角部に切り欠きが形成されていている)。
【0118】
なお、吸収体には、その上面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、排尿量が多い場合や複数回の排尿により吸収体に多くの尿が吸収された状態で更に排尿があった場合などでも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
【0119】
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
【0120】
[1−3]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(吸収性物品を装着した際に、着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その下面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の上面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
【0121】
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。また、トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。
【0122】
[1−4]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面(吸収性物品を装着した際に、着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿が吸収性物品の外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。また、例えば、このバックシートと肌面シート体とが一体的なシートから構成されていてもよい。
【0123】
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、吸収性物品の内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
【0124】
なお、バックシートには、その下面(外表面)側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
【0125】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
【0126】
また、図20に示すように、バックシート4の下面に、衣類又はおむつに固定するための固定手段16を有していてもよい。このような固定手段16としては、例えば、粘着テープやメカニカルファスナー等を挙げることができる。このような固定手段16を更に有するものであることにより、本発明の吸収性物品1を衣類やおむつ等の内面に固定することができ、吸収性物品1の位置ずれを有効に防止することができる。ここで、図20は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0127】
上記した「メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)」とは、機械的結合を用いた面状ファスナーであり、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。このファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を着脱可能な状態に、且つ強固に固着させることができるものである。メカニカルファスナーのフック材は、これと対応するメカニカルファスナーのループ材以外にも、織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材にも係合させることが可能であるので、繊維状の表面を有する素材からなる衣類やおむつに対して係合させて固定することができる。
【0128】
このような固定手段の大きさや配置する位置については、吸収性物品を衣類やおむつ等の内面に固定することができ、吸収性物品の位置ずれが生じない程度の結合力が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、バックシートの下面全体に固定手段を配置してもよいし、バックシートの下面の一部(例えば、図20においては、吸収性物品の長手方向における端部側の二箇所)に配置してもよい。
【0129】
[1−5]立体ギャザー:
立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。本発明の吸収性物品においては、肌面シートの下方における、トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されていてもよいし、また、肌面シート体のトップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されていてもよい。
【0130】
トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている場合には、トップシートの表面を伝って尿が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが防波堤となり、尿の外部への漏れを有効に防止することができる。
【0131】
また、肌面シート体のトップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている場合には、この立体ギャザーが肌面シート体の開口部の逆止弁となるため、開口部からの排泄物の逆流を有効に防止することができる。
【0132】
これらの立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、シート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
【0133】
立体ギャザーを構成するシート材としては、立体ギャザーの防漏性を向上させるという観点から、撥水性材料を用いることが好ましい。撥水性材料としては、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布を用いることが好ましい。
【0134】
このような立体ギャザーは、吸収性物品を構成するトップシートやバックシートとは、全く別個のシート材を、トップシートの両側縁部や、肌面シート体のトップシートと対向する面に貼り合わせることにより形成することができる。また、例えば、吸収性物品を構成するトップシートやバックシートの一部を折り返すことによって立体ギャザーを形成することもできる。
【0135】
立体ギャザー伸縮材としては、既に述べた開口部伸縮材と同様の伸縮材を用いることができる。立体ギャザー伸縮材は、一つの立体ギャザーにつき、単数配置しても複数配置してもよい。また、配置位置についても特に制限はない。例えば、立体ギャザーの下端縁(起立線)近傍、或いは立体ギャザーの上端縁と下端縁(起立線)との間等に配置してもよいが、立体ギャザーの上端縁近傍に配置することが好ましい。
【0136】
例えば、図2に示す吸収性物品1においては、トップシート3の上面に一対の立体ギャザー13a,13bが配置された例を示している。この立体ギャザー13a,13bは、立体ギャザーを構成するシート材の端部(立体ギャザー13a,13bの上端縁34に相当する側の端部)を折り返し、その折り返し部分に2本の立体ギャザー伸縮材36を挟み込むように配置したものである。また、図13においては、肌面シート体5のトップシート3と対向する面に一対の立体ギャザー14a,14bが配置された例を示している。なお、この立体ギャザー14は、図2に示す吸収性物品1に用いられた立体ギャザー13と同様に構成されたものを用いることができる。
【0137】
立体ギャザーの高さ(下端縁から上端縁までの長さ)は、5〜80mmとすることが好ましく、10〜40mmとすることが更に好ましい。5mm以上とすることにより、十分な防漏効果を確保することができることに加え、80mm以下とすることによって、立体ギャザーがトップシートの上面を覆ってしまい、吸収効果を阻害する不具合を防止することができる。
【0138】
立体ギャザーの種類としては、(1)吸収性物品の内側に向かって傾倒する内倒しギャザー、(2)吸収性物品の外側に向かって傾倒する外倒しギャザー、(3)高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)等を挙げることができる。なお、例えば、図2に示すような、一対の立体ギャザー13a,13bをトップシート3の上面に配置する場合には、防漏性が高い点において内倒しギャザーが好ましい。一方、図13に示すような、一対の立体ギャザー14a,14bを肌面シート体5のトップシート3と対向する面に配置する場合には、開口部11からの尿の逆流を有効に防止することができるように外倒しギャザーであることが好ましい。
【0139】
なお、本発明の使い捨ておむつにおいては、少なくとも一対の立体ギャザーが形成されていることが必要であるが、二対以上形成されていてもよい。
【0140】
[2]吸収性物品の製造方法:
次に、本発明の吸収性物品の製造方法の一の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。本発明の吸収性物品の製造方法は、図1に示すような、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部11のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部18を有する肌面シート体5とを備え、衣類又はおむつの内部に装着されて排泄物吸収用として用いられる吸収性物品1の製造方法である。
【0141】
より具体的には、図21に示すように、まず、肌面シート体5(図1参照)の開口部11(図1参照)となる切り欠き部46が形成された肌面シート前駆体45を、その両側縁に有するバックシート44を得る(図21中の(a)図)。このような肌面シート前駆体45は、バックシート44の両側縁からその側方に一体に延出されたサイドフラップとして形成することができる。この際、必要に応じて、肌面シート前駆体45に、図1に示すような開口部伸縮材12を配置してもよい。
【0142】
次に、このようにして得られたバックシート44の上面に吸収体42を配置するとともに、バックシート44の上面に配置した吸収体42の上面を被覆するようにトップシート43を配置する(図21中の(b)図)。この際、必要に応じて、バックシート44や肌面シート前駆体45に、立体ギャザーを配置してもよい。
【0143】
次に、バックシート44の両側縁から延出された肌面シート前駆体45を、その折り目が吸収体の長手方向と平行になるように襞状に折り曲げて襞状部18を形成し、この襞状部18が形成された肌面シート前駆体45を、トップシート43の上方に折り返し、肌面シート前駆体45の折り重なる部分を接合することによって、切り欠き部46からなる開口部11が形成された肌面シート体5を形成する(図21中の(c)図及び(d)図)。このように構成することによって、図1に示すような、吸収体2と、トップシート3と、バックシート4と、肌面シート体5とを備えた吸収性物品1を製造することができる。
【0144】
このような吸収性物品の製造方法は、上記した本発明の吸収性物品を、簡便且つ低コストに製造することができる。特に、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【0145】
この吸収性物品の製造方法においては、肌面シート前駆体の少なくとも一方の端部側における襞状部の折り曲げ部位を接着する工程を更に含んだものであってもよい。このように構成することによって、拡縮自在の襞状部を良好に形成することができる。
【0146】
更に、肌面シート前駆体を折り返して形成した肌面シート体とトップシートを、長手方向の少なくとも一方の端部側で接合する工程を更に含んだものであってもよい。このように構成することによって、肌面シート体が、トップシートの両側縁及びその長手方向の少なくとも一方の端部において接合されており、肌面シート体とトップシートとの間に袋状の空間が形成された吸収性物品(図5及び図6参照)を製造することができる。
【0147】
また、図21中の(c)図及び(d)図に示す吸収性物品の製造方法においては、バックシート44の両側縁からその側方に一体に延出された肌面シート前駆体45を、トップシート43の上方に折り返す工程において、肌面シート前駆体45を、吸収体42の側縁より外側において、トップシート43の上方に折り返しているが、例えば、肌面シート前駆体を、吸収体の側縁を含む一部とともに、トップシートの上方に折り返してもよい。
【0148】
次に、本発明の吸収性物品の製造方法の他の実施形態について説明する。本実施形態の吸収性物品の製造方法は、上述した製造方法のように、吸収性物品の肌面シート体をバックシートと一体的に製造するのではなく、別のシートをトップシートの上方に配置することによって肌面シート体を形成する製造方法である。
【0149】
即ち、この吸収性物品の製造方法は、バックシートの上面に吸収体を配置するとともに、バックシートの上面に配置した吸収体の上面を被覆するようにトップシートを配置する工程と、開口部を形成したシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて襞状部を形成し、肌面シート体を得る工程と、得られた肌面シート体を、襞状部が、吸収体の長手方向と平行になるようにトップシートの上方に配置する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法である。
【0150】
より具体的には、まず、バックシートの上面に吸収体を配置するとともに、バックシートの上面に配置した吸収体の上面を被覆するようにトップシートを配置して、バックシートと、吸収体と、トップシートとが積層された吸収性物品の前駆体を得る。この工程は、従来公知の、バックシート、吸収体、及びトップシートによって構成された吸収性物品の製造方法に準じて行うことができる。
【0151】
次に、上述した工程とは別に、肌面シート体となるシートに、所定の形状の開口部を形成して、開口部が形成されたシート体を得、得られたシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて襞状部を形成する。このようにして、本発明の吸収性物品に用いられる肌面シート体を得る。なお、上記一の方向とは、このシート体をトップシートの上方に配置した場合における、吸収体の長手方向と平行になる方向であり、例えば、吸収体の長手方向とシート体自体の長手方向とが一致する場合には、シート体の長手方向に沿って襞状に折り曲げて襞状部を形成することができる。
【0152】
次に、この肌面シート体を、上記襞状部が、吸収体の長手方向と平行になるようにトップシートの上方に配置する。その後、肌面シート体とトップシートとを接合して、図8及び図9に示すような吸収性物品1を製造する。
【0153】
なお、上述した各吸収性物品の製造方法においては、バックシートやトップシート等の各シートとしてそれぞれ長尺シート材を用い、各長尺シート材をローラーから連続的に送出する方法・装置を採用し、吸収性物品の連続体(吸収性物品連続体)を形成した後に、得られた吸収性物品連続体を、所定の大きさに切断して吸収性物品を製造してもよい。このように構成することによって、生産性の向上に資する。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の吸収性物品は、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることができる。乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の尿便用パッド、又は男性用尿パッドとして好適に用いることができる。
【0155】
また、本発明の吸収性物品の製造方法は、上記した本発明の吸収性物品を、簡便且つ低コストに製造することができる。特に、発明の吸収性物品の製造方法は、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の吸収性物品の一の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す吸収性物品をA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図3】図1に示す吸収性物品をB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図4】図1に示す吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた際の着用状態を示す説明図である。
【図5】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図6】図5に示す吸収性物品をC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図7】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明の吸収性物品の更に他の実施形態を示す平面図である。
【図9】図8に示す吸収性物品をD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図10A】本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【図10B】本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【図10C】本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【図11】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図13】図12に示す吸収性物品をE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図14】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図15】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図16】図15に示す吸収性物品をF−F’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図17】図1に示す吸収性物品を長手方向長さの略中央部分にて折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図19】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図20】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図21】本発明の吸収性物品の製造方法の一の実施形態の工程を示す工程図である。
【図22】従来の男性用尿パッドの一の実施形態を示す平面図であり、尿パッドを表面シート側から見た状態を示す一部切り欠き平面図である。
【符号の説明】
【0157】
1:吸収性物品、1a:男性用尿パッド、1b:尿便パッド、2,42:吸収体、3,43:トップシート、4,44:バックシート、5:肌面シート体、5a,5b:サイドフラップ、11:開口部、12:開口部伸縮材、13,13a,13b,14,14a,14b:立体ギャザー、15:端部伸縮材、16:固定手段、17:接合部、18:襞状部、21:男性器、31,31a,31b:側縁、32,32a,32b:端部、33:袋状の空間、34:上端縁、36:立体ギャザー伸縮材、45:肌面シート前駆体、46:切り欠き部、63,63a,63b:側縁(トップシートの側縁)、64,64a,64b:側縁(バックシートの側縁)、100:男性用尿パッド、102:表面シート、104:裏面シート、106:吸収体、108:粘着部、110:上端縁、112:右側縁、114:左側縁、116:下端縁、118:男性器、138:パッド伸縮材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品及びその製造方法に関する。更に詳しくは、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることが可能な吸収性物品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳幼児用、或いは高齢者・障害者等の成人用の吸収性物品として、トップシートと、バックシートと、両シートの間の一部に介装された吸収体とを備えた尿パッドや水様便用のパッドが用いられている。
【0003】
上記した尿パッドは、トップシートの表面を着用者の肌に接するように宛がって使用することにより、着用者の排泄した尿はトップシートを透過して、吸収体によって吸収・保持されるとともに、防漏性に優れたバックシートによって、排泄物の外部への漏洩が防止されるというものである。
【0004】
また、男性用に特化した吸収性物品として、男性器を被包して用いるタイプの男性用尿パッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。この男性用尿パッドは、従来の使い捨ておむつや尿パッドと同様に、表面シート(トップシート)、裏面シート(バックシート)及び吸収体を備えた吸収性物品であるが、単に着用者に宛がうのではなく、男性器を被包して用いる点に特徴がある。
【0005】
例えば、図22に示す男性用尿パッド100は、表面シート102と、裏面シート104と、両シートの間の一部に介装された吸収体106とを備えており、更に裏面シート104側の表面に、装着用の粘着部108が形成されている。このような男性用尿パッド100は、その上端縁110が手前側(着用者の身体側)となるように男性器118の下側から宛がい、直線L1,L2に沿って、パッドの右側縁112、左側縁114をパッド中央側に折り返した後、粘着部108を左側縁114側の表面シート102に対して固定した状態で用いられる。こうすることにより、男性用尿パッド100は、上端縁110側を開口部、下端縁116側を頂点とするコーン状(サック状)となるため、男性器118を被包することができる。なお、符号138は、パッド伸縮材を示す。
【0006】
前記のような男性用尿パッドは男性器を被包した状態で用いるため、使い捨ておむつ、或いは単に衣類やおむつ上に載置して用いる尿パッドと比較して、排泄物と着用者の肌との接触面積を少なくすることができる。従って、排泄物に起因するスキントラブルを減少させることが可能となるという利点がある。
【0007】
また、例えば、図示は省略するが、表面シートと裏面シートとの間に配設された吸収体を有し、吸収体の外側(外縁)に、長手方向(左右方向)に沿ってフラップ部が形成され、そのフラップ部の長手方向の略中央部に切り込み部(スリット)が形成された男性用尿パッド(例えば、特許文献2参照)や、予め袋状に成型された男性用尿パッド(例えば、特許文献3参照)についても提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開平8−280727号公報(段落0003、図1)
【特許文献2】特開2001−129012号公報(段落0007、図1)
【特許文献3】特開平9−299392号公報(段落0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に示す男性用尿パッドは、男性器から尿パッドがズレたり外れたりし易く、尿漏れを惹起するおそれがあるという問題があった。また、装着に非常に手間が掛かるという問題もあった。更に、特許文献2に示す男性用尿パッドは、スリットの部分で男性器が不自然な形で押さえつけられるため、快適な装着感が得られないという問題があった。
【0010】
また、上記した特許文献3に記載の男性用尿パッドは、構造が複雑であるために、生産性が極めて低いという問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることが可能な吸収性物品及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、吸収体とトップシートとバックシートとを備えた吸収性物品において、このトップシート上に、所定形状の開口部が形成され、且つ、吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体を配設することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の吸収性物品及びその製造方法が提供される。
【0013】
[1] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置された肌面シート体と、を備え、前記肌面シート体は、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有するものである吸収性物品。
【0014】
[2] 前記肌面シート体は、前記トップシートの両側縁及びその長手方向の少なくとも一方の端部において接合されており、前記肌面シート体と前記トップシートとの間に袋状の空間が形成されている前記[1]に記載の吸収性物品。
【0015】
[3] 前記肌面シート体は、前記バックシートの少なくとも一方の側縁からその側方に一体に延出された部分を前記トップシートの上方に折り返して構成されたものである前記[1]又は[2]に記載の吸収性物品。
【0016】
[4] 前記肌面シートの下方における、前記トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0017】
[5] 前記肌面シート体の前記トップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0018】
[6] 前記肌面シート体の前記開口部の外縁の一部に沿って開口部伸縮材が配置されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0019】
[7] 前記吸収性物品の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして使用される前記[6]に記載の吸収性物品。
【0020】
[8] 前記肌面シート体は、少なくとも前記開口部が形成されている領域が撥水性材料又は液不透過性材料からなるものである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0021】
[9] 前記バックシートの下面には、衣類又はおむつに固定するための固定手段を有している前記[1]〜[8]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0022】
[10] 前記吸収性物品の長手方向の少なくとも一方の端部側に、端部伸縮材が配置されている前記[1]〜[9]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0023】
[11] 前記肌面シート体の前記開口部に男性器を挿入して使用する男性用尿パッドである前記[1]〜[10]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0024】
[12] 衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドである前記[1]〜[10]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0025】
[13] 前記肌面シート体は、尿を透過させ得る尿透過領域を有している前記[12]に記載の吸収性物品。
【0026】
[14] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、前記肌面シート体の前記開口部となる切り欠き部が形成された肌面シート前駆体を、その両側縁に有する前記バックシートを得る工程と、前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、前記バックシートの両側縁から延出された前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の長手方向と平行になるように襞状に折り曲げて前記襞状部を形成する工程と、前記襞状部が形成された前記肌面シート前駆体を、前記トップシートの上方に折り返し、前記肌面シート前駆体の折り重なる部分の少なくとも一部を接合することにより、前記切り欠き部からなる前記開口部が形成された前記肌面シート体を形成する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【0027】
[15] 前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁より外側において、前記トップシートの上方に折り返す前記[14]に記載の吸収性物品の製造方法。
【0028】
[16] 前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁を含む一部とともに、前記トップシートの上方に折り返す前記[14]に記載の吸収性物品の製造方法。
【0029】
[17] 前記肌面シート前駆体を折り返して形成した前記肌面シート体と、前記トップシートを、少なくとも一方の長手方向端部側で接合する工程を更に含む前記[14]〜[16]のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【0030】
[18] 吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、前記開口部を形成したシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて前記襞状部を形成し、前記肌面シート体を得る工程と、前記襞状部が形成された前記肌面シート体を、前記襞状部が、前記吸収体の長手方向と平行になるように、前記トップシートの上方に配置する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明の吸収性物品は、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることができる。本発明の吸収性物品は、男性用尿パッドや尿便用パッドとして好適に用いることができ、例えば、本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた場合には、尿漏れを有効に防止することができるとともに、尿パッドがズレたり外れたりし難い。更に、装着が簡便であり、装着感も良好である。
【0032】
一方、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドとして用いた場合には、肌面シート体とトップシートとの間に便が収納されるため、着用者の股下部や臀部に便が付着することがなく、着用者のスキントラブルを有効に防止することができる。また、身体への便の付着が少ないので、交換時に着用者の股下や臀部の洗浄が非常に容易となり、介護者の負担を減らすことが可能となる。
【0033】
また、本発明の吸収性物品を構成する肌面シート体が、襞状に折り曲げられた襞状部を有しているため、肌面シート体とトップシートとの間に空間ができ易くなっている。このため、例えば、尿便用パッドとして用いた場合には、この空間に排泄物を一時的に貯留させることができ、排泄物の吸収・保持が良好に行われる。また、この開口部に男性器を挿入して男性用尿パッドとして用いた場合には、男性器を保持させる空間が十分に確保できるため、吸収性物品の装着感、及び装着時における安定性に優れている。また、この吸収性物品は、簡素な構造であるため生産性に優れている。
【0034】
本発明の吸収性物品の製造方法によれば、上記した本発明の吸収性物品を、簡便且つ低コストに製造することができる。特に、この製造方法は、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して吸収性物品を生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の吸収性物品及びその製造方法を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える吸収性物品及びその製造方法を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0036】
[1]吸収性物品:
本発明の吸収性物品は、吸収体と、吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、トップシートの上方に配置された肌面シート体と、を備え、この肌面シート体は、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、上記した吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有するものである。
【0037】
この吸収性物品は、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることができる。また、この吸収性物品は、簡素な構造であるため生産性に優れている。
【0038】
本発明の吸収性物品は、男性用尿パッドや尿便用パッド(特に便用パッド)として特に好適に用いることができる。例えば、本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた場合には、尿漏れを有効に防止することができるとともに、尿パッドがズレたり外れたりし難い。更に、装着が簡便であり、装着感も良好である。
【0039】
一方、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドとして用いた場合には、肌面シート体とトップシートとの間に便が収納されるため、着用者の股下部や臀部に便が付着することがなく、着用者のスキントラブルを有効に防止することができる。
【0040】
特に、上記したように、吸収性物品を構成する肌面シート体が、襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有しているため、肌面シート体とトップシートとの間に空間ができ易くなっている。このため、例えば、尿便用パッドとして用いた場合には、この空間に排泄物を一時的に貯留させることができ、排泄物の吸収・保持が良好に行われる。また、肌面シート体の開口部に男性器を挿入して男性用尿パッドとして用いた場合には、男性器を保持させる空間が十分に確保できるため、吸収性物品の装着感、及び装着時における安定性に優れている。
【0041】
以下、本発明の吸収性物品を実施するための最良の形態について、男性用尿パッドと尿便用パッドとのそれぞれの例について図面を参照しつつ更に具体的に説明する。
【0042】
[1A]男性用尿パッド:
まず、本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた場合の例について説明する。図1〜図3に示すように、本発明の吸収性物品1の一の実施形態である男性用尿パッド1aは、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、男性器を挿入し得る開口部11が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた襞状部18を有する肌面シート体5とを備えている。この肌面シート体5の襞状部18は、吸収体2の長手方向端部のみが固定されており、拡縮可能に構成されている。
【0043】
この男性用尿パッド1aは、肌面シート体5の開口部11に男性器を挿入して、尿を吸収するために用いられるものである。
【0044】
ここで、図1は、本発明の吸収性物品の一の実施形態を示す平面図であり、図2は、図1に示す吸収性物品をA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図であり、図3は、図1に示す吸収性物品をB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0045】
この男性用尿パッド1aは、男性器が肌面シート体5の開口部11によって把持されるため、男性器に対する固定効果が高く、尿漏れの原因となる尿パッドのズレや外れを有効に防止することができる。また、着用者の肌の大部分(即ち、肌面シート体5の開口部11に挿入した男性器以外の部分)には、肌面シート体5が接触するため、着用者の肌とトップシート3とが離隔されることになる。これにより、良好な装着感を得ることができる。
【0046】
この男性用尿パッドは、例えば、図4に示すように、肌面シート体5の開口部11に男性器21を挿入した後、男性用尿パッド1aの長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして装着する。このように構成することによって、男性器21の先端部分を男性用尿パッド1aにて包み込むように把持することができ、固定効果を高くすることができる。特に、この男性用尿パッド1aは、拡縮可能な肌面シート体5の襞状部18によって、肌面シート体5とトップシート3との間に空間ができ易くなっており、男性器21を保持させる空間(具体的には、前記空間における奥行き)が十分に確保でき、装着感及び装着時における安定性に優れている。
【0047】
この吸収性物品は、図1に示すように、肌面シート体5の開口部11の外縁の一部に沿って開口部伸縮材12が配置されていることが好ましい。
【0048】
このように構成することによって、着用者の男性器のサイズに応じて開口部11を伸縮させることができ、男性器を固定する効果を更に向上させることができる。また、着用者の男性器のサイズに拘らず、良好な固定効果が得られるので、男性器が萎縮してしまうことが多い高齢者・障害者等に特に好適に用いることができる。例えば、図22に示すような従来の男性用尿パッドは、シート状のパッドをコーン状(サック状)に折り返して粘着部によって固定し、男性器を被包するものであるため、この粘着部に陰毛や衣類が張り付いてしまうことがあり、極めて使用し難いものであった。
【0049】
また、このような開口部伸縮材12を配設することにより、図4に示すように、男性用尿パッド1a(吸収性物品1)の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして用いた場合に、肌面シート体5が伸縮して、肌面シート体5とトップシート3との間に空間が適切に形成される。このため、開口部11に挿入した男性器21から排泄を行った場合に、この空間に尿を一時的に貯留することができ、例えば、一度に排泄される尿の量が多い場合でも、尿が外部に漏れ難くなる。
【0050】
また、上記したように開口部伸縮材12を配設することにより、男性用尿パッド1aの長手方向の両端部を広げるように引き伸ばすことにより、開口部11の大きさを調整することができ、男性器21の締め付け具合を容易に調節することができる。
【0051】
なお、この男性用尿パッド1aは、予め長手方向長さの略中央部分で二つ折りにされた状態となっており、使用する際に、この男性用尿パッド1aの両端部を広げるように引き伸ばしてから用いるものであることが好ましい。このように構成することによって、男性器21の先端部分を男性用尿パッド1aにて包み込むように良好に把持することができ、固定効果を更に高くすることができる。
【0052】
ここで、図4は、図1に示す吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた際の着用状態を示す説明図である。
【0053】
吸収性物品を構成する肌面シート体の襞状部は、肌面シート体の少なくとも一方の端部側における折り曲げ部位を接着させて、襞状部の少なくとも中央部分が自由に拡縮できるように構成されたものであることが好ましい。このように構成することによって、襞状部の拡縮が自在に行われるようになり、肌面シート体とトップシートとの間の空間を適切な大きさのものとすることができる。
【0054】
なお、上記した襞状部における接着部分は、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いて接着したものであってもよいし、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等により溶着したものであってもよい。
【0055】
また、この男性用尿パッド1aは、図5及び図6に示すように、肌面シート体5が、トップシート3の両側縁63(63a,63b)及びその長手方向の少なくとも一方の端部32(図5及び図6においては、両方の端部32a,32b)において接合されており、肌面シート体5とトップシート3との間に袋状の空間33が形成されていることが好ましい。このように構成することによって、上記した袋状の空間33内にて尿が保持されるため、例えば、一度に排泄される尿の量が多い場合でも、尿が外部に漏れてしまうことがない。
【0056】
ここで、図5は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図であり、図6は、図5に示す吸収性物品をC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。なお、肌面シート体5とトップシート3との接合方法については特に制限はないが、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による従来公知の接合方法を好適に用いることができる。
【0057】
また、本実施形態の男性用尿パッドにおいては、図7に示すように、肌面シート体5とトップシート3が、開口部11よりも長手方向端部32(32a,32b)側の一部において接合されていてもよい。なお、符号17は、肌面シート体とトップシートの接合部を示す。着用者が排泄した尿は、トップシート3を透過し、吸収体2によって吸収・保持されるため、肌面シート体5とトップシート3が余りにも離れすぎてしまうと、尿がトップシート3を透過し難くなり、結果として吸収体2に吸収される速度が遅くなることがある。このように構成することによって、男性器を挿入する空間を確保しつつ、尿を良好に吸収させることができる。なお、肌面シート体5とトップシート3を接合させる方法については特に制限はないが、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による従来公知の接合方法を好適に用いることができる。ここで、図7は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0058】
なお、図7においては、肌面シート体5とトップシート3が、吸収性物品1の長手方向(開口部11から端部32に向う方向)にストライプ状に接合されて接合部17が形成されているが、この形状に限定されることはない。例えば、図示は省略するが、吸収性物品の一方の側縁から他方の側縁に向けてストライプ状に接合されていてもよいし、所定の間隔をあけてドット状に接合されていてもよい。
【0059】
また、図1〜図3に示すように、肌面シート体5が、バックシート4の少なくとも一方の側縁64(図1〜図3においては、両方の側縁64a,64b)からその側方に一体に延出された部分をトップシート3の上方に折り返して構成されたものであることが好ましい。
【0060】
もちろん、図8及び図9に示すように、肌面シート体55が、バックシート4やトップシート3とは別部材によって構成され、このような肌面シート体55が、トップシート3の上方に配置されたものであってもよい。なお、このような別部材の肌面シート体55は、トップシート3やバックシート4の側縁に接合することによって固定されている。なお、肌面シート体55を接合する方法としては、特に限定されることはないが、例えば、接着剤や、ヒートシール、超音波シール等の熱融着による方法を挙げることができる。
【0061】
ここで、図8は、本発明の吸収性物品の更に他の実施形態を示す平面図であり、図9は、図8に示す吸収性物品をD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0062】
図1〜図3に示すような吸収性物品1の肌面シート体5としては、例えば、図10A、図10B、及び図10Cに示すように、バックシート4の両側縁64a,64bからその側方に一体に延出された肌面シート前駆体としてのサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返して、それぞれのサイドフラップ5a,5bが重なる部分を接合して形成された肌面シート体5(図1参照)を挙げることができる。
【0063】
肌面シート体5をこのようにして構成する場合には、まず、それぞれのサイドフラップ5a,5bを襞状に折り曲げて襞状部18を形成し(図10B)、このようにして襞状部18を形成したサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返し(図10C)、折り返したサイドフラップ5a,5b同士が一部重なり合わない箇所を設けて、図1に示すような肌面シート体5の開口部11を形成する。
【0064】
このようにして構成された男性用尿パッド1aは、簡素な構造であるため生産性に優れている。更に、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。ここで、図10A、図10B、及び図10Cは、本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【0065】
なお、図1においては、肌面シート体5の襞状部18は、肌面シート体5のそれぞれの側縁と開口部11との間に、各一つずつ形成された場合の例を示しているが、例えば、図11に示すように、肌面シート体5のそれぞれの側縁と開口部11との間に、それぞれ二つ以上の襞状部18が形成されていてもよい。ここで、図11は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0066】
また、特に限定されることはないが、肌面シート体の襞状部における、襞状に折り曲げられている部分の長さは、吸収性物品の幅方向の長さに対して、5〜300%に相当する長さであることが好ましく、20〜150%に相当する長さであることが更に好ましい。このように構成することによって、上記空間を十分に確保することができる。
【0067】
また、襞状部を複数配置する場合には、各襞状部が重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。なお、あまり多く襞状部を重ねると、肌面シート体に厚みが出てしまい、またシート自体も固くなるために、着用感が低下してしまうことがある。
【0068】
また、図1〜図3に示すように、この男性用尿パッド1aは、肌面シート5の下方における、トップシート3の上面に立体ギャザー13(13a,13b)が少なくとも一対形成されていることが好ましい。このように構成することによって、着用者の排泄した尿の横漏れを有効に防止することができる。
【0069】
また、図12及び図13に示すように、肌面シート体5のトップシート3と対向する面に立体ギャザー14(14a,14b)が少なくとも一対形成されていてもよい。このような立体ギャザー14は、肌面シート体5の開口部11の逆止弁としての機能を持たすことができ、開口部11からの尿の逆流を有効に防止することができる。
【0070】
このような立体ギャザー14は、開口部11の内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいが、開口部11からの尿の逆流を有効に防止することができるように吸収性物品1の外側(具体的には、開口部11の開口部位より外側)に向かって傾倒する外倒しギャザーであることが好ましい。ここで、図12は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図であり、図13は、図12に示す吸収性物品をE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0071】
また、本実施形態の男性用尿パッドにおいては、図14に示すように、男性用尿パッド1a(吸収性物品1)の長手方向の少なくとも一方の端部32側に、端部伸縮材15が配置されていることが好ましい。このように端部伸縮材15を配置することによって、男性用尿パッド1aの長手方向の少なくとも一方の端部32側を収縮させることができる。この端部伸縮材15が配置されている側を、着用者の股下部側に位置させることにより、男性用尿パッドが着用者の体にフィットし易くなり、装着感をより向上させることができる。ここで、図14は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0072】
図1〜図3に示す男性用尿パッド1aは、バックシート4からその側方に一体に延出された肌面シート体5が、吸収体2の側縁より外側においてトップシート3の上方に折り返されて構成されたものである。例えば、本実施形態の男性用尿パッド1aは、図15及び図16に示すように、バックシート4からその側方に一体に延出された肌面シート体5が、吸収体2の側縁を含む一部とともに、トップシート3の上方に折り返されて構成されたものであってもよい。
【0073】
このように構成することによって、折り返された吸収体2の一部が防漏壁の役割を果たし、図2に示すような立体ギャザー13を配置しなくとも、着用者の排泄した尿の横漏れを有効に防止することができる。ここで、図15は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図であり、図16は、図15に示す吸収性物品をF−F’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【0074】
[1B]尿便用パッド:
次に、本発明の吸収性物品を尿便用パッドとして用いた場合の例を説明する。図1〜図3に示すように、本発明の吸収性物品1の他の実施形態である尿便用パッド1bは、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、便を通過させ得る開口部11が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部18を有する肌面シート体5とを備えている。
【0075】
この尿便用パッド1bは、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用するものであり、着用者の便と尿とを吸収・保持させて、衣類又はおむつの外部への漏洩を防止することができる。なお、本実施形態の尿便用パッド1bは、これまでに説明した本発明の一の実施形態である男性用尿パッド1aとは、その使用方法が異なるのみで、パッド自体の構成は同一である。
【0076】
従来の尿便用パッドは、吸収体に窪みを設けて便を収納するための空間を形成したり、着用者の排泄した便の拡散を防止するために、トップシートに目の粗い素材のものを使用したりしているが、実際にはトップシート上に大部分の便が残存してしまうため、着用者の股下部や臀部に便が付着してしまう。このため、排便時の交換の際には、煩瑣な払拭作業が必要となり、育児負担や介護負担を増大させる原因となる他、着用者のスキントラブルの原因ともなっていた。
【0077】
本実施形態の尿便用パッド1bは、着用者が排泄した便は、開口部11を通過してトップシート3上に落下することになり、便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させることが可能となる。また、着用者の肌には、まず肌面シート体5が接触するため、肌面シート体5の下方に配置されるトップシート3は着用者の肌と直接接触し難くなる。即ち、着用者の肌とトップシート3とが離隔されることになる。更に、トップシート3と着用者の肌との間に肌面シート体5という遮蔽層が介在していることにもなる。
【0078】
従って、たとえトップシート3上に便が残存していたとしても、その便と着用者の肌とが直接接触する機会を大幅に減少させる効果を奏する。このため、着用者の股下部や臀部に便が付着し難くなっており、払拭作業等の手間を軽減することができるとともに、着用者のスキントラブルを有効に防止することができる。特に、本実施形態の尿便用パッド1bは、水様便、泥状便、固形便等の便性状をとわず、どのような便においても良好に対応することができる。
【0079】
もちろん、本実施形態の尿便用パッド1bは、着用者の便をトップシート3上で保持するだけではなく、着用者の排泄した尿を吸収体2によって吸収・保持させることもできる。例えば、肌面シート体として、尿を透過させ得る尿透過領域を有するものを用いることにより、着用者の排泄した尿を、肌面シート体の尿透過領域及びトップシートを透過させ、吸収体によって吸収・保持することができる。吸収体によって吸収・保持された尿は、防漏性に優れたバックシートによって外部への漏洩が防止される。
【0080】
このような尿透過領域は、肌面シート体に尿を透過させ得る開口部を別途形成してもよいし、肌面シート体の一部を液透過性材料によって形成し、この液透過性材料によって形成された部位を尿透過領域としてもよい。
【0081】
この尿便用パッド1bにおいては、肌面シート体5の開口部11の外縁の一部に沿って開口部伸縮材12が配置されていることが好ましい。このように構成することによって、図17に示すように、肌面シート体5が伸縮することにより、尿便用パッド1b(吸収性物品1)の長手方向長さの略中央部分(具体的には、開口部11が形成された部分)が二つ折りに折り曲がり、開口部11が大きく広がる。このため、開口部11に便を通過させ易くなる。
【0082】
また、肌面シート体5とトップシート3との間に空間が形成されるため、着用者の便を一時的に貯留する空間を形成することができ、例えば、一度に排泄される便の量が多い場合でも、この空間にて便を良好に保持することができる。特に、肌面シート体5は、襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有しているため、十分な大きさの空間を確保できる。
【0083】
ここで、図17は、図1に示す吸収性物品を長手方向長さの略中央部分にて折り曲げた状態を示す斜視図である。
【0084】
なお、本実施形態の尿便用パッド1bにおいては、予め長手方向長さの略中央部分で二つ折りに折り曲げた状態となっており、使用する際に、この尿便用パッド1bの両端部を広げるように引き伸ばしてから用いるものであることが好ましい。このように構成することによって、上記した肌面シート体5とトップシート3との間の空間を良好に形成することができる。
【0085】
また、尿便用パッドを構成する肌面シート体の襞状部は、上述した男性用尿パッドのものと同様に、肌面シート体の少なくとも一方の端部側における、襞状に折り曲げられた部位を接着させ、拡縮可能に構成されたものであることが好ましい。
【0086】
更に、図5及び図6に示すように、肌面シート体5が、トップシート4の両側縁63(63a,63b)及びその長手方向の少なくとも一方の端部32(図5及び図6においては、両方の端部32a,32b)において接合されており、肌面シート体5とトップシート3との間に袋状の空間33が形成されていることが好ましい。
【0087】
このように構成することによって、上記した袋状の空間33内にて排泄物(便及び尿)が保持されるため、例えば、一度に排泄される排泄物の量が多い場合でも、排泄物が外部に漏れてしまうことがない。また、着用者に付着する便の量を少なくすることができる。更に、尿便用パッド1bを交換する際に、排泄物の流出やこぼれ落ちが防止されるため、衣類やシーツ等の寝具を汚すことがない。
【0088】
また、この尿便用パッド1bは、上記した男性用尿パッド1aと同様に、肌面シート体5が、バックシート4の少なくとも一方の側縁64(図1〜図3においては、両方の側縁64a,64b)からその側方に一体に延出された部分を、トップシート3の上方に折り返して構成されたものであってもよいし、図8及び図9に示すように、肌面シート体55が、バックシート4やトップシート3とは別部材によって構成され、このような肌面シート体55が、トップシート3の上方に配置されたものであってもよい。
【0089】
このようにして構成された尿便用パッドは、簡素な構造であるため生産性に優れている。更に、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【0090】
また、図1〜図3に示すように、肌面シート5の下方における、トップシート3の上面に立体ギャザー13が少なくとも一対形成されていることが好ましい。このように構成することによって、着用者の排泄した排泄物(特に尿)の横漏れを有効に防止することができる。
【0091】
また、図12及び図13に示すように、肌面シート体5のトップシート3と対向する面に立体ギャザー14が少なくとも一対形成されていてもよい。このような立体ギャザー14は、肌面シート体5の開口部11の逆止弁としての機能を持たすことができ、開口部11からの尿や水様便等の排泄物の逆流を有効に防止することができる。このような立体ギャザー14は、開口部11の内側に向かって傾倒する内倒しギャザーであってもよいが、開口部11からの排泄物の逆流を有効に防止することができるように吸収性物品1の外側(具体的には、開口部11の開口部位より外側)に向かって傾倒する外倒しギャザーであることが好ましい。
【0092】
また、本実施形態の尿便用パッド1bにおいては、図7に示すように、肌面シート体5とトップシート3が、開口部11よりも長手方向端部32側の一部において接合されていてもよい。なお、肌面シート体5とトップシート3を接合させる方法については特に制限はないが、例えば、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による従来公知の接合方法を好適に用いることができる。
【0093】
例えば、本実施形態の尿便用パッドは、図15及び図16に示すように、バックシート4からその側方に一体に延出された肌面シート体5が、吸収体2の側縁を含む一部とともに、トップシート3の上方に折り返されて構成されたものであってもよい。このように構成することによって、折り返された吸収体2の一部が防漏壁の役割を果たし、図2に示すような立体ギャザー13を配置しなくとも、着用者の排泄した尿の横漏れを有効に防止することができる。また、吸収体2の側縁を含む一部とともに折り返すことにより厚み差がでるので、排泄された便を保持する空間を確保しやすい、という効果もある。
【0094】
以下、本発明の吸収性物品を構成する各構成要素について更に具体的に説明する。
【0095】
[1−1]肌面シート体:
肌面シート体は、着用者の肌とトップシートとを離隔するためのシート体であり、トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部と男性器を挿入し得る開口部との少なくとも一方が形成されている。そして、この肌面シート体は、吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有している。このような肌面シート体を備えることによって、着用者の肌には、まず肌面シート体が接触するため、肌面シート体の下方に配置されるトップシートは着用者の肌と直接接触し難くなる。即ち、着用者の肌とトップシートとが離隔されることになる。また、トップシートと着用者の肌との間に肌面シート体という遮蔽層が介在していることにもなる。
【0096】
肌面シート体を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなる不織布、メッシュシート、フィルム等を用いることができる。
【0097】
本発明の吸収性物品を男性用尿パッドとして用いる場合には、肌触りが良好である点において、不織布を用いることが好ましい。更に、男性用尿パッドとして用いる場合には、肌面シート体の開口部に男性器を挿入した状態で排泄を行うため、肌面シート体は、排泄した尿が透過しないように構成されていることが好ましい。このため、肌面シート体の開口部が形成されている領域は、撥水性材料又は液不透過性材料(撥水性の不織布、或いは撥水性不織布と非通液性フィルムの貼り合わせ品)からなるものであることが好ましい。特に、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができるという点において、撥水性材料(撥水性の不織布等)であることが好ましい。
【0098】
また、本発明の吸収性物品を尿便用パッドとして用いる場合には、肌触りが良好である点において、不織布を用いることが好ましい。これらの材料は、液透過性であっても、液不透過性であっても、撥水性であってもよい。但し、長時間着用した際にもさらっとした触感(ドライ性)を維持することができるという点において、少なくとも開口部が形成されている周囲の領域は、撥水性材料(撥水性の不織布等)からなるものであることが好ましい。なお、尿便用パッドとして用いる場合には、肌面シート体の一部に液透過性材料を用いることにより、尿を透過させ得る尿透過領域を形成してもよい。
【0099】
肌面シート体は、図10Aに示すように、バックシート4の両側縁64a,64bからその側方に一体に延出されたサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返すことによって形成することもできるし、図8及び図9に示すように、例えば、開口部11が形成されたシート体を、トップシート2の上方に別途配置することによって形成することもできる。
【0100】
肌面シート体の開口部の形状については特に制限はないが、その用途に応じて適宜選択することができる。例えば、男性用尿パッドとして用いる場合には、男性器を挿入して良好に保持することができるような形状、例えば、円形開口部、楕円形開口部、菱形開口部等のいわゆる開口部(孔)を挙げることができる。また、尿便用パッドとして用いる場合には、衣類又はおむつの股下部近傍に配置して排泄を行った際に、排泄された便を良好に通過させることができるような形状、例えば、円形開口部、楕円形開口部、菱形開口部等のいわゆる開口部(孔)の他、直線状スリット、十字状スリット、3本以上のスリットを交差させた星型スリット等のスリット等を挙げることができる。
【0101】
なお、肌面シート体が、バックシートの少なくとも一方の側縁から延出されたものである場合には、図10Aに示すような、バックシート4の両側縁64a,64bからその側方に一体に延出されたサイドフラップ5a,5bにおいて、開口部11(図1参照)の一部の形状に対応する切り欠き部46を形成しておき、それぞれのサイドフラップ5a,5bをトップシート3の上方に折り返した際に、この切り欠き部46によって開口部11(図1参照)が形成されるようにしてもよい。
【0102】
また、本発明の吸収性物品を尿便用パッドとして用いる場合には、肌面シート体に、尿を透過させ得る尿透過領域として、尿通過用開口部を別途形成してもよい。尿通過用開口部を形成することによって、その開口部を通過させて着用者の排泄した尿を肌面シート体とトップシートとの間の空間に確実に流入させることができる。この尿通過用開口部は、上記した便を通過させ得る開口部よりも着用者の前身頃側の部分に形成することが好ましい。
【0103】
また、本発明の吸収性物品においては、上記したように、肌面シート体の開口部の外縁の一部に沿って開口部伸縮材を配置してもよい。
【0104】
開口部伸縮材としては、従来の使い捨ておむつで使用されてきた伸縮材を好適に用いることができる。具体的には、天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなる糸ゴム、平ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
【0105】
開口部伸縮材の配置パターンは、前記効果を発揮し得るパターンである限り特に制限はないが、開口部に確実に伸縮力を作用させることができるようなパターンに配置されていることが好ましい。例えば、図1に示すように、開口部の外縁の一部に沿って直線状に開口部伸縮材を配置してもよいし、例えば、図18に示すように、開口部11の外縁を取り囲むように開口部伸縮材12を配置してもよい。また、図示は省略するが、例えば、円形、楕円形、菱形等のパターンで開口部伸縮材を配置してもよい。ここで、図18は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0106】
なお、バックシートの両側縁から延出されたサイドフラップをトップシートの上方に折り返すことによって肌面シート体を形成する場合には、それぞれの側縁から延出されたサイドフラップが重なり合う部位には、上記した開口部伸縮材を配置しないことが好ましい。サイドフラップが重なり合う部分では、肌面シート体の厚さが厚くなるため、開口部伸縮材の伸縮力が作用され難くなることがある。
【0107】
開口部伸縮材は、肌面シート体に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
【0108】
開口部伸縮材は、開口部に十分な伸縮力を作用させるため、伸長状態で固定することが好ましい。例えば、開口部伸縮材が天然ゴムや合成ゴムである場合には、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、肌面シート体に十分な伸縮力を作用させ、且つ、開口部が必要以上に縮小されるのを防止することができる。
【0109】
開口部伸縮材の配置方法は特に限定されないが、例えば、肌面シート体を2枚のシート材(アッパーシート及びライナーシート)を貼り合わせることにより構成し、アッパーシートとライナーシートの間に開口部伸縮材を挟み込むように配置することが好ましい。このような配置方法を採用すると、必要最小限の伸縮材により肌面シート体に伸縮力を付与することができるため好ましい。
【0110】
なお、上記のような構成を採る場合であっても、肌面シート体は、開口部伸縮材を配置する部分が2枚のシート材によって構成されていれば足り、必ずしも肌面シート体全体が2枚のシート材によって構成されている必要はない。例えば、開口部伸縮材を配置する部分が2枚のシート材によって構成され、他の部分については1枚のシート材によって構成されたものであってもよい。
【0111】
[1−2]吸収体:
吸収体は、着用者の尿を吸収し、保持するための部材である。吸収体は、着用者の尿や体液を吸収し保持する必要から、吸収性材料によって構成される。
【0112】
吸収体を構成する吸収性材料としては、使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に通常使用される従来公知の吸収性材料、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す)、親水性シート等を挙げることができる。フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布を用いることが好ましい。また、吸収体の型崩れ対策として、熱融着繊維等の合成繊維を含んだものであってもよい。
【0113】
これらの吸収性材料は、通常、単層ないしは複層のマット状として用いられる。この際、前記の吸収性材料のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部程度のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプの各マット中に均一に混合されていてもよいし、複層のフラッフパルプの層間に層状に配置されていてもよい。
【0114】
吸収体は、トップシートとバックシートの間の少なくとも一部に介装されることが好ましい。通常、吸収体は、トップシートとバックシートの間に挟み込まれ、その周縁部が封着されることによって、トップシートとバックシートの間に介装される。従って、吸収体の周縁部にはトップシートとバックシートの間に吸収体が介装されていないフラップ部が形成されることになる。
【0115】
吸収体は、その全体が親水性シートによって包み込まれていることが好ましい。このような構成は、吸収体からSAPが漏洩することを防止し、吸収体に形状安定性を付与することができるという利点がある。
【0116】
吸収体の形状については特に制限はないが、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品において使用される形状、例えば、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等を挙げることができる。図1に示す吸収性物品1は吸収体2として、砂時計型の吸収体を用いた例である。このような砂時計型の吸収体は、吸収性物品の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして用いた場合に、肌面シート体とトップシートとの間に空間が形成され易く、特に好適に用いることができる。
【0117】
また、例えば、図14に示すように、吸収性物品1の長手方向の少なくとも一方の端部32側に、端部伸縮材15を配置する場合には、端部伸縮材15を配置した吸収性物品1の端部側が収縮し易くなるように、図19に示すように、矩形状や砂時計型等の吸収体2の角部に切り欠きが形成されていてもよい(図19においては砂時計型の吸収体2の一方の端部における角部に切り欠きが形成されていている)。
【0118】
なお、吸収体には、その上面側に(例えば、吸収体とトップシートとの間に)、尿や体液等の液体を拡散させるためのシート(セカンドシート)を付帯的に配置してもよい。このセカンドシートを付設すると、排尿量が多い場合や複数回の排尿により吸収体に多くの尿が吸収された状態で更に排尿があった場合などでも、尿や体液等の吸収速度が低下し難く、吸収速度の低下による尿や体液等の漏れを防止することが可能となる。
【0119】
セカンドシートを構成する材料としては、親水性で液透過性の材料、例えば、織布、不織布、多孔性プラスチック、フラッフパルプ等を挙げることができる。これらの構成素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、パルプ、或いはこれらの複合繊維等を挙げることができる。パルプとしては、カーリーセルロースファイバー等のけん縮繊維を好適に用いることができる。
【0120】
[1−3]トップシート:
トップシートは、吸収体の上面(吸収性物品を装着した際に、着用者の肌側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。トップシートは、その下面側に配置された吸収体に、着用者の尿を吸収させる必要から、その少なくとも一部(全部ないし一部)が液透過性材料により構成される。通常、少なくとも吸収体の上面近傍については、着用者の尿や体液を透過させ得る液透過性の材料によって構成される。少なくとも一部が液透過性材料により構成されている限り、必ずしもトップシート全体が液透過性材料で構成されている必要はない。
【0121】
トップシートを構成する液透過性材料としては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。また、トップシートは単一のシート材によって構成されていてもよいが、複数のシート材によって構成されていてもよい。
【0122】
[1−4]バックシート:
バックシートは、吸収体の下面(吸収性物品を装着した際に、着用者の着衣側に位置する面)を被覆するように配置されるシートである。バックシートは、着用者の尿が吸収性物品の外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。また、例えば、このバックシートと肌面シート体とが一体的なシートから構成されていてもよい。
【0123】
バックシートを構成する液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができ、中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは、0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されており、液不透過性ではあるが透湿性を有するため、吸収性物品の内部の蒸れを防止することができるという利点がある。
【0124】
なお、バックシートには、その下面(外表面)側にシート材(カバーシート)を貼り合わせてもよい。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
【0125】
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることが好ましい。不織布の種類についても特に制限はなく、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス、スパンボンド等の各種製法によって製造された従来公知の不織布を好適に用いることができる。
【0126】
また、図20に示すように、バックシート4の下面に、衣類又はおむつに固定するための固定手段16を有していてもよい。このような固定手段16としては、例えば、粘着テープやメカニカルファスナー等を挙げることができる。このような固定手段16を更に有するものであることにより、本発明の吸収性物品1を衣類やおむつ等の内面に固定することができ、吸収性物品1の位置ずれを有効に防止することができる。ここで、図20は、本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【0127】
上記した「メカニカルファスナー(面状ファスナーとも称される)」とは、機械的結合を用いた面状ファスナーであり、例えば、表面に多数の突起(鉤状、きのこ状、錨状等)が形成された凸部材(フック材)と、表面にループ状の繊維が配置された凹部材(ループ材)とを組み合わせたもの等が用いられることが多い。このファスナーは、ループ材の表面にフック材を重ね合わせ、フック材の多数の突起をループ材の表面に係合させることにより、両部材を着脱可能な状態に、且つ強固に固着させることができるものである。メカニカルファスナーのフック材は、これと対応するメカニカルファスナーのループ材以外にも、織布、不織布、フェルト、パイル等の繊維状の表面を有する素材にも係合させることが可能であるので、繊維状の表面を有する素材からなる衣類やおむつに対して係合させて固定することができる。
【0128】
このような固定手段の大きさや配置する位置については、吸収性物品を衣類やおむつ等の内面に固定することができ、吸収性物品の位置ずれが生じない程度の結合力が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、バックシートの下面全体に固定手段を配置してもよいし、バックシートの下面の一部(例えば、図20においては、吸収性物品の長手方向における端部側の二箇所)に配置してもよい。
【0129】
[1−5]立体ギャザー:
立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。本発明の吸収性物品においては、肌面シートの下方における、トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されていてもよいし、また、肌面シート体のトップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されていてもよい。
【0130】
トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている場合には、トップシートの表面を伝って尿が拡散してしまった場合でも、立体ギャザーが防波堤となり、尿の外部への漏れを有効に防止することができる。
【0131】
また、肌面シート体のトップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている場合には、この立体ギャザーが肌面シート体の開口部の逆止弁となるため、開口部からの排泄物の逆流を有効に防止することができる。
【0132】
これらの立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、シート材の一部に伸縮材(立体ギャザー伸縮材)を配置し、その立体ギャザー伸縮材によってシート材にギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。
【0133】
立体ギャザーを構成するシート材としては、立体ギャザーの防漏性を向上させるという観点から、撥水性材料を用いることが好ましい。撥水性材料としては、スパンボンドやカードエンボス等の不織布を用いてもよいが、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布を用いることが好ましい。
【0134】
このような立体ギャザーは、吸収性物品を構成するトップシートやバックシートとは、全く別個のシート材を、トップシートの両側縁部や、肌面シート体のトップシートと対向する面に貼り合わせることにより形成することができる。また、例えば、吸収性物品を構成するトップシートやバックシートの一部を折り返すことによって立体ギャザーを形成することもできる。
【0135】
立体ギャザー伸縮材としては、既に述べた開口部伸縮材と同様の伸縮材を用いることができる。立体ギャザー伸縮材は、一つの立体ギャザーにつき、単数配置しても複数配置してもよい。また、配置位置についても特に制限はない。例えば、立体ギャザーの下端縁(起立線)近傍、或いは立体ギャザーの上端縁と下端縁(起立線)との間等に配置してもよいが、立体ギャザーの上端縁近傍に配置することが好ましい。
【0136】
例えば、図2に示す吸収性物品1においては、トップシート3の上面に一対の立体ギャザー13a,13bが配置された例を示している。この立体ギャザー13a,13bは、立体ギャザーを構成するシート材の端部(立体ギャザー13a,13bの上端縁34に相当する側の端部)を折り返し、その折り返し部分に2本の立体ギャザー伸縮材36を挟み込むように配置したものである。また、図13においては、肌面シート体5のトップシート3と対向する面に一対の立体ギャザー14a,14bが配置された例を示している。なお、この立体ギャザー14は、図2に示す吸収性物品1に用いられた立体ギャザー13と同様に構成されたものを用いることができる。
【0137】
立体ギャザーの高さ(下端縁から上端縁までの長さ)は、5〜80mmとすることが好ましく、10〜40mmとすることが更に好ましい。5mm以上とすることにより、十分な防漏効果を確保することができることに加え、80mm以下とすることによって、立体ギャザーがトップシートの上面を覆ってしまい、吸収効果を阻害する不具合を防止することができる。
【0138】
立体ギャザーの種類としては、(1)吸収性物品の内側に向かって傾倒する内倒しギャザー、(2)吸収性物品の外側に向かって傾倒する外倒しギャザー、(3)高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成した立体ギャザー(C折りギャザーやZ折りギャザー等)等を挙げることができる。なお、例えば、図2に示すような、一対の立体ギャザー13a,13bをトップシート3の上面に配置する場合には、防漏性が高い点において内倒しギャザーが好ましい。一方、図13に示すような、一対の立体ギャザー14a,14bを肌面シート体5のトップシート3と対向する面に配置する場合には、開口部11からの尿の逆流を有効に防止することができるように外倒しギャザーであることが好ましい。
【0139】
なお、本発明の使い捨ておむつにおいては、少なくとも一対の立体ギャザーが形成されていることが必要であるが、二対以上形成されていてもよい。
【0140】
[2]吸収性物品の製造方法:
次に、本発明の吸収性物品の製造方法の一の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。本発明の吸収性物品の製造方法は、図1に示すような、吸収体2と、吸収体2の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシート3と、吸収体2の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシート4と、トップシート3の上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部11のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、吸収体2の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部18を有する肌面シート体5とを備え、衣類又はおむつの内部に装着されて排泄物吸収用として用いられる吸収性物品1の製造方法である。
【0141】
より具体的には、図21に示すように、まず、肌面シート体5(図1参照)の開口部11(図1参照)となる切り欠き部46が形成された肌面シート前駆体45を、その両側縁に有するバックシート44を得る(図21中の(a)図)。このような肌面シート前駆体45は、バックシート44の両側縁からその側方に一体に延出されたサイドフラップとして形成することができる。この際、必要に応じて、肌面シート前駆体45に、図1に示すような開口部伸縮材12を配置してもよい。
【0142】
次に、このようにして得られたバックシート44の上面に吸収体42を配置するとともに、バックシート44の上面に配置した吸収体42の上面を被覆するようにトップシート43を配置する(図21中の(b)図)。この際、必要に応じて、バックシート44や肌面シート前駆体45に、立体ギャザーを配置してもよい。
【0143】
次に、バックシート44の両側縁から延出された肌面シート前駆体45を、その折り目が吸収体の長手方向と平行になるように襞状に折り曲げて襞状部18を形成し、この襞状部18が形成された肌面シート前駆体45を、トップシート43の上方に折り返し、肌面シート前駆体45の折り重なる部分を接合することによって、切り欠き部46からなる開口部11が形成された肌面シート体5を形成する(図21中の(c)図及び(d)図)。このように構成することによって、図1に示すような、吸収体2と、トップシート3と、バックシート4と、肌面シート体5とを備えた吸収性物品1を製造することができる。
【0144】
このような吸収性物品の製造方法は、上記した本発明の吸収性物品を、簡便且つ低コストに製造することができる。特に、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【0145】
この吸収性物品の製造方法においては、肌面シート前駆体の少なくとも一方の端部側における襞状部の折り曲げ部位を接着する工程を更に含んだものであってもよい。このように構成することによって、拡縮自在の襞状部を良好に形成することができる。
【0146】
更に、肌面シート前駆体を折り返して形成した肌面シート体とトップシートを、長手方向の少なくとも一方の端部側で接合する工程を更に含んだものであってもよい。このように構成することによって、肌面シート体が、トップシートの両側縁及びその長手方向の少なくとも一方の端部において接合されており、肌面シート体とトップシートとの間に袋状の空間が形成された吸収性物品(図5及び図6参照)を製造することができる。
【0147】
また、図21中の(c)図及び(d)図に示す吸収性物品の製造方法においては、バックシート44の両側縁からその側方に一体に延出された肌面シート前駆体45を、トップシート43の上方に折り返す工程において、肌面シート前駆体45を、吸収体42の側縁より外側において、トップシート43の上方に折り返しているが、例えば、肌面シート前駆体を、吸収体の側縁を含む一部とともに、トップシートの上方に折り返してもよい。
【0148】
次に、本発明の吸収性物品の製造方法の他の実施形態について説明する。本実施形態の吸収性物品の製造方法は、上述した製造方法のように、吸収性物品の肌面シート体をバックシートと一体的に製造するのではなく、別のシートをトップシートの上方に配置することによって肌面シート体を形成する製造方法である。
【0149】
即ち、この吸収性物品の製造方法は、バックシートの上面に吸収体を配置するとともに、バックシートの上面に配置した吸収体の上面を被覆するようにトップシートを配置する工程と、開口部を形成したシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて襞状部を形成し、肌面シート体を得る工程と、得られた肌面シート体を、襞状部が、吸収体の長手方向と平行になるようにトップシートの上方に配置する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法である。
【0150】
より具体的には、まず、バックシートの上面に吸収体を配置するとともに、バックシートの上面に配置した吸収体の上面を被覆するようにトップシートを配置して、バックシートと、吸収体と、トップシートとが積層された吸収性物品の前駆体を得る。この工程は、従来公知の、バックシート、吸収体、及びトップシートによって構成された吸収性物品の製造方法に準じて行うことができる。
【0151】
次に、上述した工程とは別に、肌面シート体となるシートに、所定の形状の開口部を形成して、開口部が形成されたシート体を得、得られたシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて襞状部を形成する。このようにして、本発明の吸収性物品に用いられる肌面シート体を得る。なお、上記一の方向とは、このシート体をトップシートの上方に配置した場合における、吸収体の長手方向と平行になる方向であり、例えば、吸収体の長手方向とシート体自体の長手方向とが一致する場合には、シート体の長手方向に沿って襞状に折り曲げて襞状部を形成することができる。
【0152】
次に、この肌面シート体を、上記襞状部が、吸収体の長手方向と平行になるようにトップシートの上方に配置する。その後、肌面シート体とトップシートとを接合して、図8及び図9に示すような吸収性物品1を製造する。
【0153】
なお、上述した各吸収性物品の製造方法においては、バックシートやトップシート等の各シートとしてそれぞれ長尺シート材を用い、各長尺シート材をローラーから連続的に送出する方法・装置を採用し、吸収性物品の連続体(吸収性物品連続体)を形成した後に、得られた吸収性物品連続体を、所定の大きさに切断して吸収性物品を製造してもよい。このように構成することによって、生産性の向上に資する。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の吸収性物品は、衣類又はおむつの内部に配置して、排泄物を良好に吸収・保持させることができる。乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の尿便用パッド、又は男性用尿パッドとして好適に用いることができる。
【0155】
また、本発明の吸収性物品の製造方法は、上記した本発明の吸収性物品を、簡便且つ低コストに製造することができる。特に、発明の吸収性物品の製造方法は、従来のテープ型おむつ等を生産するための既存の生産ラインを応用して生産することができるため、設備コストの面においても優れている。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の吸収性物品の一の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示す吸収性物品をA−A’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図3】図1に示す吸収性物品をB−B’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図4】図1に示す吸収性物品を男性用尿パッドとして用いた際の着用状態を示す説明図である。
【図5】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図6】図5に示す吸収性物品をC−C’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図7】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明の吸収性物品の更に他の実施形態を示す平面図である。
【図9】図8に示す吸収性物品をD−D’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図10A】本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【図10B】本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【図10C】本発明の吸収性物品の一の実施形態を展開した状態を示す平面図である。
【図11】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図13】図12に示す吸収性物品をE−E’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図14】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図15】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図16】図15に示す吸収性物品をF−F’線に沿って切断した断面を示す概略断面図である。
【図17】図1に示す吸収性物品を長手方向長さの略中央部分にて折り曲げた状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図19】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図20】本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す平面図である。
【図21】本発明の吸収性物品の製造方法の一の実施形態の工程を示す工程図である。
【図22】従来の男性用尿パッドの一の実施形態を示す平面図であり、尿パッドを表面シート側から見た状態を示す一部切り欠き平面図である。
【符号の説明】
【0157】
1:吸収性物品、1a:男性用尿パッド、1b:尿便パッド、2,42:吸収体、3,43:トップシート、4,44:バックシート、5:肌面シート体、5a,5b:サイドフラップ、11:開口部、12:開口部伸縮材、13,13a,13b,14,14a,14b:立体ギャザー、15:端部伸縮材、16:固定手段、17:接合部、18:襞状部、21:男性器、31,31a,31b:側縁、32,32a,32b:端部、33:袋状の空間、34:上端縁、36:立体ギャザー伸縮材、45:肌面シート前駆体、46:切り欠き部、63,63a,63b:側縁(トップシートの側縁)、64,64a,64b:側縁(バックシートの側縁)、100:男性用尿パッド、102:表面シート、104:裏面シート、106:吸収体、108:粘着部、110:上端縁、112:右側縁、114:左側縁、116:下端縁、118:男性器、138:パッド伸縮材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置された肌面シート体と、を備え、
前記肌面シート体は、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有するものである吸収性物品。
【請求項2】
前記肌面シート体は、前記トップシートの両側縁及びその長手方向の少なくとも一方の端部において接合されており、前記肌面シート体と前記トップシートとの間に袋状の空間が形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記肌面シート体は、前記バックシートの少なくとも一方の側縁からその側方に一体に延出された部分を前記トップシートの上方に折り返して構成されたものである請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記肌面シートの下方における、前記トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記肌面シート体の前記トップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記肌面シート体の前記開口部の外縁の一部に沿って開口部伸縮材が配置されている請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして使用される請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記肌面シート体は、少なくとも前記開口部が形成されている領域が撥水性材料又は液不透過性材料からなるものである請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記バックシートの下面には、衣類又はおむつに固定するための固定手段を有している請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収性物品の長手方向の少なくとも一方の端部側に、端部伸縮材が配置されている請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記肌面シート体の前記開口部に男性器を挿入して使用する男性用尿パッドである請求項1〜10のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項12】
衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドである請求項1〜10のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記肌面シート体は、尿を透過させ得る尿透過領域を有している請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項14】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、
前記肌面シート体の前記開口部となる切り欠き部が形成された肌面シート前駆体を、その両側縁に有する前記バックシートを得る工程と、
前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、
前記バックシートの両側縁から延出された前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の長手方向と平行になるように襞状に折り曲げて前記襞状部を形成する工程と、
前記襞状部が形成された前記肌面シート前駆体を、前記トップシートの上方に折り返し、前記肌面シート前駆体の折り重なる部分の少なくとも一部を接合することにより、前記切り欠き部からなる前記開口部が形成された前記肌面シート体を形成する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【請求項15】
前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁より外側において、前記トップシートの上方に折り返す請求項14に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項16】
前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁を含む一部とともに、前記トップシートの上方に折り返す請求項14に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項17】
前記肌面シート前駆体を折り返して形成した前記肌面シート体と、前記トップシートを、少なくとも一方の長手方向端部側で接合する工程を更に含む請求項14〜16のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項18】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、
前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、
前記開口部を形成したシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて前記襞状部を形成し、前記肌面シート体を得る工程と、
得られた前記肌面シート体を、前記襞状部が、前記吸収体の長手方向と平行になるように前記トップシートの上方に配置する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【請求項1】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置された肌面シート体と、を備え、
前記肌面シート体は、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有するものである吸収性物品。
【請求項2】
前記肌面シート体は、前記トップシートの両側縁及びその長手方向の少なくとも一方の端部において接合されており、前記肌面シート体と前記トップシートとの間に袋状の空間が形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記肌面シート体は、前記バックシートの少なくとも一方の側縁からその側方に一体に延出された部分を前記トップシートの上方に折り返して構成されたものである請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記肌面シートの下方における、前記トップシートの上面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記肌面シート体の前記トップシートと対向する面に立体ギャザーが少なくとも一対形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記肌面シート体の前記開口部の外縁の一部に沿って開口部伸縮材が配置されている請求項1〜5のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品の長手方向長さの略中央部分で二つ折りにして使用される請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記肌面シート体は、少なくとも前記開口部が形成されている領域が撥水性材料又は液不透過性材料からなるものである請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記バックシートの下面には、衣類又はおむつに固定するための固定手段を有している請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記吸収性物品の長手方向の少なくとも一方の端部側に、端部伸縮材が配置されている請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記肌面シート体の前記開口部に男性器を挿入して使用する男性用尿パッドである請求項1〜10のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項12】
衣類又はおむつの股下部近傍に配置して使用する尿便用パッドである請求項1〜10のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記肌面シート体は、尿を透過させ得る尿透過領域を有している請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項14】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、
前記肌面シート体の前記開口部となる切り欠き部が形成された肌面シート前駆体を、その両側縁に有する前記バックシートを得る工程と、
前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、
前記バックシートの両側縁から延出された前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の長手方向と平行になるように襞状に折り曲げて前記襞状部を形成する工程と、
前記襞状部が形成された前記肌面シート前駆体を、前記トップシートの上方に折り返し、前記肌面シート前駆体の折り重なる部分の少なくとも一部を接合することにより、前記切り欠き部からなる前記開口部が形成された前記肌面シート体を形成する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【請求項15】
前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁より外側において、前記トップシートの上方に折り返す請求項14に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項16】
前記肌面シート前駆体を、前記吸収体の側縁を含む一部とともに、前記トップシートの上方に折り返す請求項14に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項17】
前記肌面シート前駆体を折り返して形成した前記肌面シート体と、前記トップシートを、少なくとも一方の長手方向端部側で接合する工程を更に含む請求項14〜16のいずれかに記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項18】
吸収体と、前記吸収体の上面を被覆するように配置され、少なくとも一部が液透過性材料からなるトップシートと、前記吸収体の下面を被覆するように配置され、液不透過性材料からなるバックシートと、前記トップシートの上方に配置され、便を通過させ得る開口部及び男性器を挿入し得る開口部のうちの少なくとも一方が形成されてなるとともに、前記吸収体の長手方向に沿って襞状に折り曲げられた拡縮可能な襞状部を有する肌面シート体とを備えた吸収性物品の製造方法であって、
前記バックシートの上面に前記吸収体を配置するとともに、前記バックシートの上面に配置した前記吸収体の上面を被覆するように前記トップシートを配置する工程と、
前記開口部を形成したシート体を、一の方向に沿って襞状に折り曲げて前記襞状部を形成し、前記肌面シート体を得る工程と、
得られた前記肌面シート体を、前記襞状部が、前記吸収体の長手方向と平行になるように前記トップシートの上方に配置する工程と、を備えた吸収性物品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−178422(P2009−178422A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21449(P2008−21449)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】
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