説明

吸収性物品用シート部材製造装置

【課題】吸収性物品用シート部材製造装置において、シート凹部列に正確に粒子を供給して保持させる。
【解決手段】吸収シート製造装置では、第1ローラ31および第3ローラ51が、第1凹部312と凸部512とを対向させつつ回転することにより、第1シート部材91にシート凹部列913が形成される。第1シート部材91は、第1ローラ外側面311から供給シリンダ21のシリンダ外側面211に移され、粒子が供給された複数の供給凹部212とシート凹部列913とを対向させつつ、シリンダ外側面211の下部と第1シート部材91とが接触する。これにより、粒子がシート凹部912の外側に飛散してしまうことを実質的に防止しつつ、シート凹部列913の各シート凹部912に正確に粒子を供給して各シート凹部912内に保持させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品用シート部材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつの内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品では、2枚の不織布等のシート部材の間に、高吸収性樹脂の粒子を挟んで固定した吸収シートが利用されている。
【0003】
特許文献1は、2枚のシートの一方に複数の凹部を形成し、凹部に吸収性ポリマー等の機能材を保持させた複合シートに関するものである。特許文献1の複合シートの製造装置では、互いに噛み合う凹凸形状を有する2つのロールの噛み合い部分に供給された第1のシートに吸引力を作用させ、第1のシートを第1のロールの周面部に凹凸に沿って保持させる。続いて、第1のシートを通して吸引力を作用させることにより、第1のロールに対向するダクト内の機能材を第1のシート上に保持させる。そして、第1のシート上に第2のシートを重ねて接合することにより複合シートが形成される。
【0004】
特許文献2は、粒子状物質パターンのサンドイッチ構造の形成に関するものである。特許文献2の装置では、キャリア材に接着剤が塗布された後、キャリア材に窪みが形成される。そして、移送装置の凹部から吐出された粒子状物質が当該窪みに移送された後、キャリア材上にカバー材が重ねられて接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−130818号公報
【特許文献2】特表2008−508052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の製造装置では、ダクト内の機能材を重力や送風により第1のシート上に供給するため、第1のシートの凹部以外の部位にも機能材が供給されてしまう。したがって、機能材が存在する領域がドット状に配置される複合シートを形成することは困難である。また、ダクトを通過した第1のシートが第2のシートと重ねられるまでの間、第1のシート上の機能材は、第1のロールの吸引力により固定されることになるが、通常、このような装置におけるロールの回転速度は高いため、機能材が遠心力により第1のシート上から周囲に飛散してしまうおそれがある。
【0007】
また、特許文献2の装置では、粒子状物質が移送装置からキャリア材に向けて吐出されるため、粒子状物質がキャリア材と衝突した際に窪みの外部に飛散してしまうおそれがある。なお、キャリア材には予め接着剤が塗布されているため、移送装置とキャリア材との間の距離を、ある程度以上小さくすることはできない。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収性物品用のシート部材を製造する吸収性物品用シート部材製造装置において、シート凹部列に正確に粒子を供給して保持させることを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、吸収性物品用シート部材製造装置であって、連続シートである第1シート部材の搬送方向に沿って、前記第1シート部材にシート凹部列を順次形成するシート凹部形成部と、シリンダ外側面に周方向に配列された複数の供給凹部を有し、水平方向を向くシリンダ回転軸を中心として回転し、前記シート凹部列と供給凹部とを対向させつつ前記シリンダ外側面の下部と前記第1シート部材とが接触することにより、前記複数の供給凹部から前記シート凹部列に吸収材料または消臭材料の粒子を順次供給する供給シリンダと、前記複数の供給凹部に前記粒子を順次充填する粒子充填部と、前記粒子が供給された前記シート凹部列上に連続シートである第2シート部材を重ねて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合するシート接合部とを備え、前記シート凹部形成部が、第1ローラ外側面に周方向に配列された複数の第1凹部を有し、前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダに外接し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として各第1凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記第1シート部材を前記第1ローラ外側面から前記シリンダ外側面へと移す第1ローラと、前記第1シート部材の一部を第1凹部内へと窪ませることにより、前記シート凹部列を順次形成する凹部形成部とを備え、前記シート接合部が、第2ローラ外側面に周方向に配列された複数の第2凹部を有し、前記シート凹部列に前記粒子が供給された後の前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダに外接し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として各第2凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記第1シート部材を前記シリンダ外側面から前記第2ローラ外側面へと移す第2ローラと、前記第2シート部材を前記第2外側面上の前記第1シート部材上へと供給する第2シート供給部とを備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記凹部形成部が、前記第1ローラの内側から前記複数の第1凹部を介して前記第1シート部材を吸引する吸引部を備える。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記凹部形成部が、第3ローラ外側面に周方向に配列された複数の凸部を有し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として各凸部と第1凹部とを対向させつつ回転し、前記各凸部により前記第1シート部材の一部を第1凹部に向けて押圧する第3ローラを備える。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記第3ローラが、前記複数の凸部を加熱する凸部加熱部を備える。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記凹部形成部が、前記第1ローラと前記第3ローラとの接触位置の搬送方向両側にて前記第1シート部材を前記第1ローラに向けて押圧する一対のニップローラをさらに備える。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記シート接合部が、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として回転し、前記第2ローラとの間に前記第1シート部材と前記第2シート部材とを重ねて挟むことにより接合する第4ローラをさらに備える。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記シート接合部が、前記第2ローラの内側から前記複数の第2凹部を介して前記第1シート部材を吸引する他の吸引部をさらに備える。
【0016】
請求項8に記載の発明は、吸収シートを製造する吸収性物品用シート部材製造装置であって、シリンダ外側面に周方向に配列された複数の供給凹部を有し、水平方向を向くシリンダ回転軸を中心として回転し、前記シリンダ外側面の下部と前記第1シート部材とが接触することにより、前記複数の供給凹部から前記第1シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を順次供給する供給シリンダと、前記複数の供給凹部に前記粒子を順次充填する粒子充填部と、前記供給シリンダにより前記第1シート部材上に供給された吸収材料または消臭材料の粒子上に連続シートである第2シート部材を重ねて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合するシート接合部とを備え、前記シート接合部が、ローラ外側面に周方向に配列された複数の吸引口を有し、前記粒子が供給された後の前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダに外接し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として吸引口と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記第1シート部材を前記シリンダ外側面から前記ローラ外側面へと移すローラと、前記ローラの内側から前記吸引口および前記第1シート部材を介して前記粒子を吸着する吸引部と、前記第2シート部材を前記ローラ外側面上の前記第1シート部材上へと供給する第2シート供給部とを備える。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、前記ローラが、ローラ外側面に周方向に配列された複数の凹部を有し、前記複数の吸引口が前記複数の凹部に形成され、前記シート接合部が、前記ローラの内側から前記複数の凹部を介して前記第1シート部材を吸引する吸引部をさらに備える。
【発明の効果】
【0018】
請求項1ないし7の発明では、シート凹部列に正確に粒子を供給して保持させることができる。また、請求項8および9の発明では、粒子がドット状に配置された吸収シートを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置を示す図である。
【図2】供給シリンダ近傍の断面図である。
【図3】供給シリンダの正面図である。
【図4】第1ローラの断面図である。
【図5】第1ローラの正面図である。
【図6】第1ローラの内部の配管の様子を示す図である。
【図7】第2ローラの断面図である。
【図8】第2ローラの正面図である。
【図9】第3ローラの断面図である。
【図10】第3ローラの正面図である。
【図11】第4ローラの断面図である。
【図12】第2補助接合ローラの断面図である。
【図13】第2補助接合ローラの正面図である。
【図14】シート搬送ローラの正面図である。
【図15】供給シリンダ近傍を示す図である。
【図16】吸収シートの平面図である。
【図17】第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置を示す図である。
【図18】供給シリンダの他の例を示す図である。
【図19】供給シリンダの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置1を示す図である。吸収シート製造装置1は、吸収性物品用シート部材製造装置の1つであり、高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))等の高吸収性樹脂の粒子を不織布等のシート部材に挟んで吸収シートを製造する。吸収シートは、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である。
【0021】
吸収シート製造装置1は、水平方向を向くシリンダ回転軸R0を中心とする略円筒状の部材である供給シリンダ21、供給シリンダ21の斜め左下に配置される第1ローラ31、供給シリンダ21の斜め右下に配置される第2ローラ41、第1ローラ31の左側に配置される第3ローラ51、第2ローラ41の右側に配置される第4ローラ61、並びに、第2ローラ41の上方にて第2ローラ41および供給シリンダ21に近接して配置されるシート搬送ローラ71を備える。図1では、図の理解を容易にするために、供給シリンダ21や各ローラの断面を平行斜線を付さずに示す(他の図においても同様)。
【0022】
第1ローラ31は、シリンダ回転軸R0が向く方向(以下、「軸方向」という。)に平行な回転軸R1を中心とする略円筒状であり、第2ローラ41は、軸方向に平行な回転軸R2を中心とする略円筒状である。第1ローラ31および第2ローラ41は同様の構造を有し、供給シリンダ21のシリンダ回転軸R0を含むとともに鉛直方向に平行な面に関して対称に配置される。第3ローラ51および第4ローラ61はそれぞれ、軸方向に平行な回転軸R3,R4を中心とする略円柱状である。シート搬送ローラ71は、軸方向に平行な回転軸R5を中心とする略円柱状である。
【0023】
吸収シート製造装置1は、第4ローラ61の下方に配置される補助接合部62をさらに備える。補助接合部62は、軸方向に平行な回転軸R6を中心とする略円柱状の第1補助接合ローラ63、および、軸方向に平行な回転軸R7を中心とする略円柱状の第2補助接合ローラ64を備える。吸収シート製造装置1は、また、第1ローラ31の左斜め上および左斜め下に配置される一対のニップローラ81を備える。各ニップローラ81は、軸方向に平行な中心軸を中心とする略円柱状である。吸収シート製造装置1は、さらに、軸方向に平行な中心軸を中心とする略円柱状の複数の補助ローラ32,42、および、補助ローラ42の上方に配置される塗布部72を備える。
【0024】
供給シリンダ21、第3ローラ51、第4ローラ61、シート搬送ローラ71および第1補助接合ローラ63は、図1中における反時計回りに回転し、第1ローラ31、第2ローラ41および第2補助接合ローラ64は、図1中における時計回りに回転する。
【0025】
吸収シート製造装置1では、不織布等にて形成される連続シートである第1シート部材91が、補助ローラ32を介して第1ローラ31へと搬送され、第1ローラ31と下側のニップローラ81との間、第1ローラ31と第3ローラ51との間、および、第1ローラ31と上側のニップローラ81との間を順に通過する。第1ローラ31と第3ローラ51とは第1シート部材91を介して接触しており、第1シート部材91が第1ローラ31と第3ローラ51との間に挟まれることにより、後述するように、第1シート部材91の搬送方向に沿って、シート凹部列913(図15参照)が第1シート部材91に順次形成される。以下の説明では、第1ローラ31や第3ローラ51等、シート凹部列913の形成に係る構成をまとめてシート凹部形成部30と呼ぶ。
【0026】
第1シート部材91は、第1ローラ31の第1ローラ外側面311から供給シリンダ21のシリンダ外側面211へと移され、供給シリンダ21により、第1シート部材91のシート凹部列913に高吸収性樹脂の粒子(以下、単に「粒子」という。)が順次供給される。第1シート部材91は、さらに、供給シリンダ21のシリンダ外側面211から第2ローラ41の第2ローラ外側面411へと移される。
【0027】
一方、不織布等にて形成される連続シートである第2シート部材92は、補助ローラ42を介してシート搬送ローラ71へと導かれる。第2シート部材92の一方の主面には、塗布部72により、およそ全面に亘って接着剤(本実施の形態では、ホットメルト接着剤)が塗布される。第2シート部材92は、シート搬送ローラ71から第2ローラ41へと導かれ、第2ローラ41の第2ローラ外側面411上の第1シート部材91上に供給される。すなわち、シート搬送ローラ71は、第2シート部材92を供給する第2シート供給部となっている。第1シート部材91および第2シート部材92は、積層された状態で第2ローラ41と第4ローラ61との間、および、第1補助接合ローラ63と第2補助接合ローラ64との間を通過する。これにより、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合され、吸収シートが形成される。以下の説明では、第2ローラ41、第4ローラ61、シート搬送ローラ71、並びに、補助接合部62である第1補助接合ローラ63および第2補助接合ローラ64等、第1シート部材91と第2シート部材92との接合に係る構成をまとめてシート接合部40と呼ぶ。
【0028】
供給シリンダ21の上方には、粒子充填部23が設けられる。粒子充填部23は、供給シリンダ21の上方にて粒子を収容する粒子タンク231、および、粒子タンク231に設けられるレベルセンサ233を備える。レベルセンサ233により、粒子タンク231内の粒子が一定量以下となったことが検出されると、粒子タンク231に粒子が補充される。粒子タンク231は重力方向に略平行に延びており、粒子タンク231の下端には、供給シリンダ21のシリンダ外側面211に対向する粒子充填口232が設けられる。粒子充填口232は、供給シリンダ21の最上部を含む部位に対向する。
【0029】
供給シリンダ21の周囲には、供給シリンダ21のシリンダ外側面211の一部を覆う第1カバー部221、および、シリンダ外側面211の他の一部を覆う第2カバー部222が設けられる。第1カバー部221は、粒子充填口232から供給シリンダ21の回転方向へと(すなわち、図1中における反時計回りに)広がって、供給シリンダ21と第1ローラ31とが最も接近する部位の近傍まで設けられ、供給シリンダ21の左側においてシリンダ外側面211を覆う。第2カバー部222は、粒子充填口232から供給シリンダ21の回転方向とは反対方向へと(すなわち、回転方向の後側であり、図1中における時計回りに)広がって、供給シリンダ21の右端部近傍まで設けられ、供給シリンダ21の右側においてシリンダ外側面211を覆う。
【0030】
図2は、供給シリンダ21近傍を拡大して示す断面図である。図2では、シリンダ回転軸R0に垂直な断面を示す。図3は、供給シリンダ21のシリンダ外側面211を示す図であり、シリンダ回転軸R0に垂直な方向に沿ってシリンダ外側面211を見た様子を示している。図2では、粒子に密な平行斜線を付す。また、図3では、第1カバー部221および第2カバー部222の図示を省略している。
【0031】
図2および図3に示すように、シリンダ外側面211上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の供給凹部212が、シリンダ回転軸R0を中心とする周方向に互いに離間して等間隔にて配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の供給凹部212を供給凹部列213と呼ぶと、供給シリンダ21では、図3に示すように3個の供給凹部列213が設けられる。本実施の形態では、各供給凹部212をシリンダ回転軸R0に垂直な方向から見た形状は略円形であり、シリンダ回転軸R0に垂直な断面における各供給凹部212の底面の形状は、図2に示すように略円弧状である。供給凹部212は様々な形状であってよく、例えば、シリンダ回転軸R0に垂直な方向から見た供給凹部212の形状は、略矩形であってもよい。また、シリンダ回転軸R0に垂直な断面における各供給凹部212の形状も、略矩形であってもよい。シリンダ外側面211上には、1個、2個または4個以上の供給凹部列213が設けられてもよい。各供給凹部列213では、複数の供給凹部212は、必ずしも等間隔に配置される必要はない。
【0032】
供給シリンダ21のシリンダ外側面211は、供給凹部212が存在しない領域において、第1カバー部221の内側面および第2カバー部222の内側面に非常に近接しており、実質的に接している。
【0033】
吸収シート製造装置1では、供給シリンダ21がシリンダ回転軸R0を中心として高速に回転し、粒子充填口232を通過する複数の供給凹部212に対し、粒子充填部23の粒子タンク231から重力により粒子が順次充填される。粒子充填口232の図2中における右側(すなわち、供給シリンダ21の回転方向の後側)には、粒子充填口232に隣接して配置される連通部26が設けられる。連通部26は、供給シリンダ21の軸方向において、3個の供給凹部列213(図3参照)が配列される範囲のおよそ全幅に亘って設けられる。
【0034】
連通部26は、供給シリンダ21の複数の供給凹部212のうち、粒子充填口232の後縁(すなわち、供給シリンダ21の回転方向の後側の端縁)にて粒子充填口232に対向する供給凹部212a(他の供給凹部212と区別するために、符号212aを付す。)と外部空間とを連通させる。これにより、粒子充填部23から供給凹部212aに対する粒子の充填が行われる際に、供給凹部212a内のエアが、供給凹部212aに流入する粒子に押し出され、連通部26を介して外部空間へと容易に排出される。その結果、供給凹部212aに充填される粒子の密度を増大させることができる。
【0035】
連通部26の供給シリンダ21に対向する一方の端部である第1端部261は、外部空間側に位置する他方の端部である第2端部262よりも下側に位置する。連通部26では、連通路260は、少なくとも2ヶ所で屈曲する。本実施の形態では、連通路260は3ヶ所にて屈曲しており、連通部26の第1端部261は、第2端部262のおよそ鉛直下方に位置する。これにより、供給凹部212aに充填された粒子が、連通部26を通過して外部空間へと放出されてしまうことが抑制される。
【0036】
連通部26の第2端部262には、連通部26内の気体を吸引する連通部吸引部264が、配管263を介して接続される。連通部吸引部264は、吸引圧を調整するレギュレータを備え、微弱な吸引を行う。これにより、供給凹部212a内のエアがさらに効率的に排出されるため、供給凹部212aに充填される粒子の密度をさらに増大させることができる。
【0037】
図4は、第1ローラ31の断面図であり、回転軸R1に垂直な断面を示す。図5は、第1ローラ31の第1ローラ外側面311を示す図であり、回転軸R1に垂直な方向に沿って第1ローラ外側面311を見た様子を示している。第1ローラ外側面311上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の第1凹部312が、回転軸R1を中心とする周方向に互いに離間して配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の第1凹部312を第1凹部列313と呼ぶと、第1ローラ31では、図5に示すように3個の第1凹部列313が設けられる。本実施の形態では、各第1凹部312を回転軸R1に垂直な方向から見た形状は略円形であり、回転軸R1に垂直な断面における各第1凹部312の底面の形状は、図4に示すように略円弧状である。
【0038】
第1ローラ31では、図4および図5に示すように、第1ローラ外側面311に複数の第1吸引口314が設けられる。各第1吸引口314を回転軸R1に垂直な方向から見た形状は略円形であり、第1吸引口314は第1凹部312に比べて十分に小さい。複数の第1吸引口314は、回転軸R1を中心とする周方向において、第1ローラ外側面311の全周に亘って設けられる。図5では、図の理解を容易にするために、回転軸R1よりも上側の第1吸引口314のみを細線にて図示している(図8においても同様)。複数の第1吸引口314は、軸方向において、3個の第1凹部列313の両側まで設けられる。換言すれば、複数の第1吸引口314は、複数の第1凹部列313の全体に重なって設けられており、当然、各第1凹部312の内部にも設けられる。各第1吸引口314からは、図4に示すように、第1吸引管315が回転軸R1に向かって延びる。
【0039】
図6は、第1ローラ31の上部の内部における配管の様子を示す図である。複数の第1吸引口314から延びる複数の第1吸引管315は、軸方向に延びる共通配管316に接続される。図6では、図の理解を容易にするために、第1ローラ31の第1吸引管315および共通配管316以外の部位に平行斜線を付し、第1凹部312の断面のうち第1吸引口314と重なる部分を破線にて示す。共通配管316は、第1ローラ31の軸方向の両端まで延び、第1ローラ31の軸方向の両側に設けられる第1吸引部33に接続される。第1吸引部33は、図示省略の支持部材により支持されており、第1ローラ31と共に回転することはない。本実施の形態では、第1吸引部33が第1ローラ31から僅かに離間して配置され、第1吸引部33によりエアの吸引が行われることにより、共通配管316内のエアが吸引される。
【0040】
図1において二点鎖線にて示すように、第1吸引部33は、第1ローラ31が第1シート部材91を介在させて第3ローラ51と外接する位置近傍から、第1ローラ31の回転方向の前側へと(すなわち、図1中における時計回りに)、第1ローラ31が第1シート部材91を介在させて供給シリンダ21と外接する位置近傍まで延びる。第1ローラ31では、図4に示すように、複数の第1吸引口314のうち、接続される共通配管316が第1吸引部33に僅かな隙間をあけて対向する(すなわち、接続される)第1吸引口314のみにより吸引が行われる。
【0041】
図7は、第2ローラ41の断面図であり、回転軸R2に垂直な断面を示す。図8は、第2ローラ41の第2ローラ外側面411を示す図であり、回転軸R2に垂直な方向に沿って第2ローラ外側面411を見た様子を示している。第2ローラ41は、第1ローラ31と同様の構造を有する。具体的には、第2ローラ外側面411上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の第2凹部412が、回転軸R2を中心とする周方向に互いに離間して配列される。第2ローラ41では、図8に示すように3個の第2凹部列413が設けられる。
【0042】
第2ローラ外側面411には、複数の第2凹部列413の全体に重なる複数の第2吸引口414が設けられる。各第2吸引口414からは、図7に示すように、第2吸引管415が回転軸R2に向かって延び、共通配管416に接続される。共通配管416は、第2ローラ41の軸方向の両側に設けられる第2吸引部43に接続される。第2吸引部43は、図1において二点鎖線にて示すように、第2ローラ41が第1シート部材91を介在させて供給シリンダ21と外接する位置近傍から、第2ローラ41の回転方向の前側へと(すなわち、図1中における時計回りに)、第2ローラ41が第1シート部材91を介在させて第4ローラ61と外接する位置近傍まで延びる。第2ローラ41では、図7に示すように、複数の第2吸引口414のうち、接続される共通配管416が第2吸引部43に僅かな隙間をあけて対向する第2吸引口414のみにより吸引が行われる。
【0043】
図9は、第3ローラ51の断面図であり、回転軸R3に垂直な断面を示す。図10は、第3ローラ51の第3ローラ外側面511を示す図であり、回転軸R3に垂直な方向に沿って第3ローラ外側面511を見た様子を示している。第3ローラ51の第3ローラ外側面511上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の凸部512が、回転軸R3を中心とする周方向に互いに離間して配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の凸部512を凸部列513と呼ぶと、第3ローラ51では、図10に示すように3個の凸部列513が設けられる。図9に示すように、第3ローラ51は、複数の凸部512を加熱する凸部加熱部であるヒータ514を内部に備える。
【0044】
図11は、第4ローラ61の断面図であり、回転軸R4に垂直な断面を示す。第4ローラ61の第4ローラ外側面611は、回転軸R4を中心として回転する平滑な円筒面である。第4ローラ61は、第4ローラ外側面611を加熱する外側面加熱部であるヒータ614を内部に備える。図1に示す補助接合部62の第1補助接合ローラ63は、第4ローラ61と同様の構造を有し、内部にヒータ634を備える。
【0045】
図12は、補助接合部62の第2補助接合ローラ64の断面図であり、回転軸R7に垂直な断面を示す。図13は、第2補助接合ローラ64の外側面641を示す図であり、回転軸R7に垂直な方向に沿って外側面641を見た様子を示している。第2補助接合ローラ64の構造は、供給シリンダ21と同様であり、外側面641上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の補助凹部642が、回転軸R7を中心とする周方向に互いに離間して配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の補助凹部642を補助凹部列643と呼ぶと、第2補助接合ローラ64では、図13に示すように3個の補助凹部列643が設けられる。図14は、シート搬送ローラ71の正面図である。シート搬送ローラ71の搬送ローラ外側面711は、平滑な円筒面である。
【0046】
吸収シート製造装置1では、供給シリンダ21における複数の供給凹部列213(図3参照)、第1ローラ31における複数の第1凹部列313(図5参照)、第2ローラ41における複数の第2凹部列413(図8参照)、第3ローラ51における複数の凸部列513(図10参照)、および、第2補助接合ローラ64における複数の補助凹部列643(図13参照)は、軸方向に関して同じ位置に配置される。また、供給シリンダ21、第1ローラ31、第2ローラ41、第3ローラ51および第2補助接合ローラ64の直径は等しく、供給凹部212の周方向における間隔、第1凹部312の周方向における間隔、第2凹部412の周方向における間隔、凸部512の周方向における間隔、および、補助凹部642の周方向における間隔も等しい。本実施の形態では、第1凹部312、第2凹部412および補助凹部642の直径および容量は、供給凹部212の直径および容量に等しい、または、供給凹部212の直径および容量よりも大きい。
【0047】
吸収シート製造装置1により吸収シートが製造される際には、図15に示すように、第1ローラ31が、回転軸R1を中心として図15中における時計回りに回転し、第1ローラ外側面311上の第1シート部材91を搬送する。また、第3ローラ51が、回転軸R3を中心として各凸部512と第1凹部312とを対向させつつ回転し、ヒータ514により加熱された各凸部512により、第1シート部材91の一部を第1凹部312に向けて押圧する。これにより、第1シート部材91の当該一部が第1凹部312内へと窪んでシート凹部912となり、第1シート部材91上に、第1シート部材91の搬送方向に沿うシート凹部列913が形成される。
【0048】
吸収シート製造装置1では、第3ローラ51の複数の凸部512により第1シート部材91が押圧される間、すなわち、シート凹部列913の形成時に、第1ローラ31と第3ローラ51との接触位置の上下両側(すなわち、第1シート部材91の搬送方向両側)にて、第1シート部材91が一対のニップローラ81により第1ローラ31に向けて押圧されている。
【0049】
第1ローラ31の第1ローラ外側面311上では、第1シート部材91が、第3ローラ51と供給シリンダ21との間において、第1吸引部33により第1ローラ31の内側からエアが吸引される。これにより、第1シート部材91の複数のシート凹部912が、複数の第1凹部312を介して第1ローラ31の内側から吸引され、第1凹部312の内面に沿うように、すなわち、シート凹部912の容量が大きくなるように変形する。図15では、図の理解を容易にするために、第1シート部材91および第2シート部材92を、第1ローラ31、第2ローラ41、供給シリンダ21等から離間させて描いている。
【0050】
ここで、第1シート部材91の一部を第1凹部312内へと窪ませることによりシート凹部列913を順次形成する構成を凹部形成部301と呼ぶと、凹部形成部301は、第1吸引部33、第3ローラ51および一対のニップローラ81を備える。また、シート凹部形成部30は、第1ローラ31および凹部形成部301を備える。シート凹部形成部30によりシート凹部列913が形成された第1シート部材91は、第1ローラ31および供給シリンダ21が回転することにより、第1ローラ31の第1ローラ外側面311から供給シリンダ21のシリンダ外側面211へと移される。
【0051】
供給シリンダ21では、上述のように、粒子充填部23から複数の供給凹部212に粒子が順次充填される。粒子が充填された供給凹部212は、その外側を第1カバー部221により塞がれた状態で(すなわち、シリンダ外側面211側から覆われた状態で)、第1カバー部221の下端へと至る。以下の説明では、第1カバー部221の下端から、供給シリンダ21の回転方向に沿って第2カバー部222の下端に至る領域を「粒子供給領域210」と呼ぶ。
【0052】
吸収シート製造装置1では、第1ローラ31が、各第1凹部312と供給シリンダ21の供給凹部212とを対向させつつ回転するため、粒子供給領域210において、第1シート部材91のシート凹部列913と供給シリンダ21の供給凹部212とが対向する。この状態で、シリンダ外側面211の下部と第1シート部材91とが接触することにより、複数の供給凹部212からシート凹部列913の複数のシート凹部912に粒子が順次供給される。粒子をシート凹部912に供給した後の各供給凹部212は、粒子供給領域210を通過し、第2カバー部222により外側を塞がれた状態で供給シリンダ21の上部へと移動して粒子充填部23の粒子充填口232へと向かう。
【0053】
シート凹部列913に粒子が供給された後の第1シート部材91は、第2ローラ41が回転軸R2を中心として回転することにより、供給シリンダ21のシリンダ外側面211から第2ローラ41の第2ローラ外側面411へと移される。このとき、第2ローラ41が、各第2凹部412と供給凹部212とを対向させつつ回転することにより、粒子を保持する各シート凹部912が第2凹部412に収容される。第2ローラ外側面411上では、第1シート部材91が、供給シリンダ21と第4ローラ61との間において、第2吸引部43により第2ローラ41の内側からエアが吸引される。これにより、第1シート部材91の複数のシート凹部912が、複数の第2凹部412を介して第2ローラ41の内側から吸引され、第2凹部412の内面に沿うように吸着される。本実施の形態では、第2吸引部43も、シート接合部40に含まれる。
【0054】
一方、接着剤が塗布された第2シート部材92は、シート搬送ローラ71を経由して第2ローラ41へと導かれ、第2ローラ外側面411上において、粒子が供給された第1シート部材91のシート凹部列913上(すなわち、複数のシート凹部912の開口側)に重ねられる。そして、第2ローラ41と、ヒータ614により第4ローラ外側面611が加熱された第4ローラ61との間に、第1シート部材91と第2シート部材92とが重ねられて挟まれることにより、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。
【0055】
接合された第1シート部材91および第2シート部材92は、図1に示す補助接合部62へと導かれ、第1補助接合ローラ63と第2補助接合ローラ64との間に挟まれる。このとき、複数のシート凹部912は、第2補助接合ローラ64の複数の補助凹部642(図12および図13参照)に収容される。これにより、シート凹部912の変形が防止される。補助接合部62では、ヒータ634により第1補助接合ローラ63の外側面が加熱されており、第1シート部材91と第2シート部材92とは、第1補助接合ローラ63と第2補助接合ローラ64との間に挟まれることにより、さらに強固に接合される。これにより、図16に示すように、ドット状に配置された複数の粒子存在領域951を有する吸収シート95が形成される。各粒子存在領域951では、高吸収性樹脂の粒子が分布しており、複数の粒子存在領域951の周囲において、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。
【0056】
以上に説明したように、吸収シート製造装置1では、シート凹部形成部30により第1シート部材91にシート凹部列913が形成され、シート凹部列913と供給凹部212とを対向させつつ供給シリンダ21のシリンダ外側面211と第1シート部材91とが接触することにより、粒子がシート凹部912の外側に飛散してしまうことを実質的に防止しつつ、シート凹部列913の各シート凹部912に正確に粒子を供給して各シート凹部912内に保持させることができる。
【0057】
シート凹部形成部30では、第3ローラ51の複数の凸部512により、第1シート部材91を第1ローラ31の第1凹部312に向けて押圧することにより、シート凹部列913を容易に形成することができる。また、複数の凸部512をヒータ514により加熱することにより、凸部512による押圧時における第1シート部材91の変形を容易とすることができ、その結果、第1凹部列313をより容易に形成することができる。さらに、一対のニップローラ81により、第1ローラ31と第3ローラ51との接触位置の両側にて第1シート部材91を第1ローラ31に向けて押圧することにより、凸部512による第1シート部材91の押圧時に、第1シート部材91が搬送方向にずれることを抑制または防止することができる。
【0058】
シート凹部形成部30では、第1吸引部33により、複数の第1凹部312を介して第1シート部材91を吸引することにより、複数の第1凹部312内に形成されたシート凹部列913を維持することができる。また、シート凹部列913の各シート凹部912が第1凹部312の内面に沿うため、各シート凹部912の容量を大きくすることができるとともに、複数のシート凹部912の形状を均一にすることができる。
【0059】
シート接合部40では、シート凹部列913が、第2ローラ41の複数の第2凹部412に収容される。このため、粒子が収容された各シート凹部912が、第2ローラ41上において変形してシート凹部912内の粒子が周囲に飛散してしまうことが防止される。また、第2吸引部43により、複数の第2凹部412を介して第1シート部材91を吸引することにより、シート凹部列913の複数の第2凹部412への収容を容易とすることができる。さらに、各シート凹部912内の粒子が周囲に飛散することを防止することができる。その上、第2ローラ41と第4ローラ61との間に第1シート部材91と第2シート部材92とを重ねて挟むことにより、第1シート部材91と第2シート部材92とを容易かつ確実に接合することができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置について説明する。図17は、第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置1aを示す図である。吸収シート製造装置1aでは、図1中の第1ローラ31に代えて、第1ローラ外側面311が平滑な略円筒面である第1ローラ31aが設けられる。また、第1シート部材91にシート凹部列913を形成する凹部形成部301、すなわち、第3ローラ51、ニップローラ81および第1吸引部33が省略される。その他の構成は、図1中の吸収シート製造装置1と同様であり、以下の説明において同符号を付す。
【0061】
吸収シート製造装置1aにより吸収シートが製造される際には、第1ローラ31aが、回転軸R1を中心として図17中における時計回りに回転することにより、第1シート部材91が、第1ローラ31の第1ローラ外側面311から供給シリンダ21のシリンダ外側面211へと移される。供給シリンダ21では、粒子が充填された供給凹部212が、その外側を第1カバー部221により塞がれた状態で第1カバー部221の下端へと至り、粒子供給領域210において、シリンダ外側面211の下部と第1シート部材91とが接触することにより、複数の供給凹部212から第1シート部材91上に粒子が順次供給される。第1シート部材91上では、複数の供給凹部212から供給された粒子がドット状に配置される。以下の説明では、第1シート部材91上において、粒子が配置された複数の領域を「粒子配置領域」という。
【0062】
粒子が供給された後の第1シート部材91は、第2ローラ41が回転軸R2を中心として回転することにより、供給シリンダ21のシリンダ外側面211から第2ローラ41の第2ローラ外側面411へと移される。このとき、第2ローラ41が、各第2凹部412と供給凹部212とを対向させつつ回転し(すなわち、各第2凹部412と粒子配置領域とを対向させつつ回転し)、第2吸引部43により、第1シート部材91が第2吸引口414(図7および図8参照)を介して第2ローラ41の内側から吸引されることにより、第1シート部材91上にドット状に配置された粒子配置領域が、粒子と共に第2凹部412内に収容される。また、粒子配置領域上の粒子が、第1シート部材91および第2吸引口414を介して吸着される。
【0063】
一方、接着剤が塗布された第2シート部材92は、シート搬送ローラ71を経由して第2ローラ41へと導かれ、第2ローラ41の第2ローラ外側面411上において、粒子が供給された第1シート部材91上に重ねられる。そして、第2ローラ41と、ヒータ614により第4ローラ外側面611が加熱された第4ローラ61との間に、第1シート部材91と第2シート部材92とが重ねられて挟まれることにより、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。接合された第1シート部材91および第2シート部材92は、補助接合部62へと導かれ、外側面が加熱された第1補助接合ローラ63と第2補助接合ローラ64との間に挟まれてさらに強固に接合される。これにより、図16に示すように、ドット状に配置された複数の粒子存在領域951を有する吸収シート95が形成される。
【0064】
第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置1aでは、供給シリンダ21のシリンダ外側面211の下部と第1シート部材91とが接触しつつ第1シート部材91上に粒子を供給することにより、第1シート部材91上において、粒子を所望のドット状に配置することができる。また、第2吸引口414が設けられた各第2凹部412と第1シート部材91の粒子配置領域とを対向させつつ第2ローラ41が回転することにより、ドット状に配置された粒子を複数の第2凹部412内に収容した状態で第1シート部材91と第2シート部材92とを接合することができる。これにより、粒子が所望のドット状に配置された吸収シートを容易に製造することができる。
【0065】
第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置1では、上述の供給シリンダ21とは異なる構造の供給シリンダが設けられてもよい。図18は、供給シリンダの他の例を示す断面図である。図18では、供給シリンダ21aの回転軸R1に垂直な断面を示すとともに断面よりも手前側の構成も併せて描いている。図19は、供給シリンダ21aのシリンダ外側面211を示す図であり、回転軸R1に垂直な方向に沿って供給シリンダ21aのシリンダ外側面211を見た様子を示している。
【0066】
図18および図19に示すように、供給シリンダ21aは、回転軸R1を中心とする略円筒状の部材であり、環状の側壁214を有する。供給シリンダ21aは、シリンダ外側面211に周方向に巻回されたベルトが駆動されることにより、回転軸R1を中心として回転する。図18に示すように、供給シリンダ21aの上方には、図1の粒子充填部23に代えて筒状の排気部24が設けられ、排気部24の上部開口は、不織布等により形成された袋状のフィルタ241により覆われる。供給シリンダ21aの周囲には、図1と同様の第1カバー部221および第2カバー部222が設けられる。なお、図19では、第1カバー部221および第2カバー部222の図示を省略している。
【0067】
供給シリンダ21aは、図18および図19に示すように、側壁214を貫通する孔部である複数の貫通孔212bを有する。複数の貫通孔212bは、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、回転軸R1を中心とする周方向に等間隔にて配列される。図19に示すように、供給シリンダ21aでは、3個の貫通孔列213a(すなわち、軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の貫通孔212b)が設けられる。本実施の形態では、各貫通孔212bの形状は略矩形であるが、貫通孔212bは様々な形状(例えば、略円形)であってよい。また、供給シリンダ21aには、1個、2個または4個以上の貫通孔列213aが設けられてもよい。各貫通孔列213aでは、複数の貫通孔212bは、必ずしも等間隔に配置される必要はない。
【0068】
図18に示すように、供給シリンダ21aの内部空間には、供給シリンダ21aの側壁214の内側面215の一部を覆う隔離部25が設けられる。隔離部25は、内部空間の図18中の右側に設けられ、供給シリンダ21aの最下部近傍から最上部近傍にかけて内側面215の右側の部位を覆う。隔離部25の外面(すなわち、供給シリンダ21aの内側面215に対向する面)は、第1カバー部221の下端部、粒子供給領域210の全体、および、第2カバー部222の全体と対向する。
【0069】
供給シリンダ21aの内部空間のうち隔離部25が設けられない部位は、高吸収性樹脂の粒子を収容する粒子収容空間217となっている。図18では、粒子に密な平行斜線を付す。隔離部25の内面の下部は、下側に向かいつつ第1カバー部221の下部に近づくため、粒子収容空間217内の粒子は、隔離部25の内面に沿って供給シリンダ21aの内側面215に向かって移動する。隔離部25は、供給シリンダ21aの内側面215の軸方向のおよそ全幅に亘って設けられ、隔離部25により内側面215が覆われる領域において、粒子収容空間217と貫通孔212bとが隔離される。したがって、粒子供給領域210においても、粒子収容空間217と貫通孔212bとが隔離される。
【0070】
供給シリンダ21aの図19中における右側には、粒子補充部23およびレベルセンサ233が設けられる。レベルセンサ233は、受光式や超音波式、あるいは、接触式のセンサである。粒子補充部23は、内部にスクリューを有するスクリューフィーダであり、供給シリンダ21aの軸方向の一方の端部(図19中における右側の端部)から、供給シリンダ21aの粒子収容空間217へと粒子を補充する。粒子収容空間217内の粒子が一定量以下となったことがレベルセンサ233により検出されると、粒子収容空間217に粒子の補充が行われる。粒子収容空間217へと粒子の補充が行われる際には、粒子収容空間217内の空気が、主に排気部24を介して排気される。なお、供給シリンダ21aから排気部24に粒子が飛び出したとしても、フィルタ241により、粒子が外部へと飛び出すことが防止される。
【0071】
粒子収容空間217への粒子の補充は、必ずしも、供給シリンダ21aの軸方向の端部から行われる必要はない。例えば、上述の排気部24に代えて、高吸収性樹脂の粒子を収容する粒子タンクが供給シリンダ21aの上方に設けられ、粒子タンク内の粒子が、重力により、供給シリンダ21aの複数の貫通孔212bを介して粒子収容空間217へと落下することにより、粒子収容空間217に粒子が補充されてもよい。
【0072】
吸収シート製造装置では、供給シリンダ21aが回転軸R1を中心として高速に回転し、粒子収容空間217内の粒子が、供給シリンダ21aの複数の貫通孔212bのうち粒子収容空間217内の粒子に対向する貫通孔212bに充填される。換言すれば、供給シリンダ21aを回転する回転機構(上述のベルト等)は、複数の貫通孔212bに粒子を順次充填する粒子充填部である。粒子が充填された貫通孔212bが、供給シリンダ21aの下部に設けられた粒子供給領域210に到達するまでの間、当該貫通孔212bの外側は、第1カバー部221により塞がれる(すなわち、貫通孔212bがシリンダ外側面211側から覆われる)。また、各貫通孔212b内の粒子は、貫通孔212bが隔離部25と対向する位置まで移動することにより、粒子収容空間217内の粒子から隔離される。
【0073】
そして、粒子供給領域210において、第1シート部材91のシート凹部列913(図15参照)と供給シリンダ21aの貫通孔212bとを対向させつつシリンダ外側面211の下部と第1シート部材91とが接触することにより、複数の貫通孔212bからシート凹部列913の複数のシート凹部912に粒子が順次供給される。供給シリンダ21aでは、複数の貫通孔212bが、シート凹部列913に粒子を供給する複数の供給凹部となっている。粒子をシート凹部912に供給した後の各貫通孔212bは、粒子供給領域210を通過し、第2カバー部222により外側を塞がれた状態で供給シリンダ21aの上部へと移動する。
【0074】
図18および図19の供給シリンダ21aを有する吸収シート製造装置においても、図1に示す吸収シート製造装置1と同様に、シート凹部形成部30(図1参照)により第1シート部材91にシート凹部列913が形成され、シート凹部列913と供給凹部212とを対向させつつ供給シリンダ21のシリンダ外側面211と第1シート部材91とが接触することにより、粒子がシート凹部912の外側に飛散してしまうことを実質的に防止しつつ、シート凹部列913の各シート凹部912に正確に粒子を供給して各シート凹部912内に保持させることができる。
【0075】
図18および図19の供給シリンダ21aは、第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置1a(図17参照)に設けられてもよい。この場合、供給シリンダ21aのシリンダ外側面211の下部と第1シート部材91とが接触しつつ第1シート部材91上に粒子を供給することにより、第1シート部材91上において、粒子を所望のドット状に配置することができる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0077】
第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置1では、第1ローラ31において、第1吸引口314が複数の第1凹部312内にのみ設けられてもよい。この場合であっても、シート凹部912を第1凹部312の内面に沿うように変形させることができ、シート凹部列913を維持することができる。なお、シート凹部列913を複数の第1凹部312内にて容易に維持することができるのであれば、第1吸引部33による吸引は省略されてもよい。また、第1吸引部33による第1凹部312を介しての第1シート部材91の吸引のみによりシート凹部列913を形成することができるのであれば、第3ローラ51の凸部512による第1シート部材91の押圧は省略されてもよい。
【0078】
第2ローラ41では、第2吸引口414が複数の第2凹部412内にのみ設けられてもよい。この場合であっても、第2ローラ41上において各シート凹部912の変形を防止し、シート凹部912から粒子が脱落することが防止される。シート凹部912からの粒子の脱落が実質的に生じないのであれば、第2凹部412を介しての第2ローラ41内部からの吸引は行われなくてもよい。シート接合部40では、第2ローラ41にも、第2ローラ外側面411を加熱するヒータが設けられてよい。また、第2ローラ41にヒータが設けられ、第4ローラ61からヒータ614が省略されてもよい。ただし、第2ローラ41において第2凹部412を介しての吸引が行われる場合には、吸引による熱損失を避けるために、第4ローラ61にヒータ614が設けられることが好ましい。
【0079】
第2の実施の形態に係る吸収シート製造装置1aでは、必ずしも、第2ローラ41の第2ローラ外側面411に複数の第2凹部412が設けられる必要はなく、複数の第2吸引口414のみが設けられていればよい。この場合であっても、第2ローラ41が、第2吸引口414をシート凹部912と対向させつつ回転し、第2吸引部43が、第1シート部材91上にドット状に供給された粒子を、第2ローラ41の内側から第2吸引口414および第1シート部材91を介して吸着することにより、第1シート部材91上の粒子の配置を維持することができる。その結果、粒子がドット状に配置された吸収シートを容易に製造することができる。
【0080】
上述の吸収シート製造装置では、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体、または、ポリアミノ酸の架橋体等の吸収材料の粒子が供給される。
【0081】
吸収シート製造装置の構造は、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ等の消臭材料の粒子を第1シート部材91上に供給して、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である消臭シートを製造する吸収性物品用シート部材製造装置に利用されてもよい。
【0082】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0083】
1,1a 吸収シート製造装置
21,21a 供給シリンダ
23 粒子充填部
30 シート凹部形成部
31,31a 第1ローラ
33 第1吸引部
40 シート接合部
41 第2ローラ
43 第2吸引部
51 第3ローラ
61 第4ローラ
71 シート搬送ローラ
81 ニップローラ
91 第1シート部材
92 第2シート部材
95 吸収シート
211 シリンダ外側面
212,212a 供給凹部
212b 貫通孔
301 凹部形成部
311 第1ローラ外側面
312 第1凹部
411 第2ローラ外側面
412 第2凹部
414 第2吸引口
511 第3ローラ外側面
512 第3凸部
514 ヒータ
913 シート凹部列
R0 シリンダ回転軸
R1〜R7 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品用シート部材製造装置であって、
連続シートである第1シート部材の搬送方向に沿って、前記第1シート部材にシート凹部列を順次形成するシート凹部形成部と、
シリンダ外側面に周方向に配列された複数の供給凹部を有し、水平方向を向くシリンダ回転軸を中心として回転し、前記シート凹部列と供給凹部とを対向させつつ前記シリンダ外側面の下部と前記第1シート部材とが接触することにより、前記複数の供給凹部から前記シート凹部列に吸収材料または消臭材料の粒子を順次供給する供給シリンダと、
前記複数の供給凹部に前記粒子を順次充填する粒子充填部と、
前記粒子が供給された前記シート凹部列上に連続シートである第2シート部材を重ねて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合するシート接合部と、
を備え、
前記シート凹部形成部が、
第1ローラ外側面に周方向に配列された複数の第1凹部を有し、前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダに外接し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として各第1凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記第1シート部材を前記第1ローラ外側面から前記シリンダ外側面へと移す第1ローラと、
前記第1シート部材の一部を第1凹部内へと窪ませることにより、前記シート凹部列を順次形成する凹部形成部と、
を備え、
前記シート接合部が、
第2ローラ外側面に周方向に配列された複数の第2凹部を有し、前記シート凹部列に前記粒子が供給された後の前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダに外接し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として各第2凹部と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記第1シート部材を前記シリンダ外側面から前記第2ローラ外側面へと移す第2ローラと、
前記第2シート部材を前記第2外側面上の前記第1シート部材上へと供給する第2シート供給部と、
を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記凹部形成部が、前記第1ローラの内側から前記複数の第1凹部を介して前記第1シート部材を吸引する吸引部を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記凹部形成部が、第3ローラ外側面に周方向に配列された複数の凸部を有し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として各凸部と第1凹部とを対向させつつ回転し、前記各凸部により前記第1シート部材の一部を第1凹部に向けて押圧する第3ローラを備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記第3ローラが、前記複数の凸部を加熱する凸部加熱部を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記凹部形成部が、前記第1ローラと前記第3ローラとの接触位置の搬送方向両側にて前記第1シート部材を前記第1ローラに向けて押圧する一対のニップローラをさらに備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記シート接合部が、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として回転し、前記第2ローラとの間に前記第1シート部材と前記第2シート部材とを重ねて挟むことにより接合する第4ローラをさらに備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記シート接合部が、前記第2ローラの内側から前記複数の第2凹部を介して前記第1シート部材を吸引する他の吸引部をさらに備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項8】
吸収シートを製造する吸収性物品用シート部材製造装置であって、
シリンダ外側面に周方向に配列された複数の供給凹部を有し、水平方向を向くシリンダ回転軸を中心として回転し、前記シリンダ外側面の下部と前記第1シート部材とが接触することにより、前記複数の供給凹部から前記第1シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を順次供給する供給シリンダと、
前記複数の供給凹部に前記粒子を順次充填する粒子充填部と、
前記供給シリンダにより前記第1シート部材上に供給された吸収材料または消臭材料の粒子上に連続シートである第2シート部材を重ねて前記第1シート部材と前記第2シート部材とを接合するシート接合部と、
を備え、
前記シート接合部が、
ローラ外側面に周方向に配列された複数の吸引口を有し、前記粒子が供給された後の前記第1シート部材を介在させて前記供給シリンダに外接し、前記シリンダ回転軸に平行な回転軸を中心として吸引口と供給凹部とを対向させつつ回転し、前記第1シート部材を前記シリンダ外側面から前記ローラ外側面へと移すローラと、
前記ローラの内側から前記吸引口および前記第1シート部材を介して前記粒子を吸着する吸引部と、
前記第2シート部材を前記ローラ外側面上の前記第1シート部材上へと供給する第2シート供給部と、
を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性物品用シート部材製造装置であって、
前記ローラが、ローラ外側面に周方向に配列された複数の凹部を有し、前記複数の吸引口が前記複数の凹部に形成され、
前記シート接合部が、前記ローラの内側から前記複数の凹部を介して前記第1シート部材を吸引する吸引部をさらに備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−17565(P2013−17565A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151580(P2011−151580)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】