吸収性物品
【課題】液戻り防止性及び漏れ防止性に優れた吸収性物品を提供すること。
【解決手段】液透過性の表面シート１０、液不透過性又は液難透過性の裏面シート及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体３０を有する実質的に縦長の吸収性本体を備え、該吸収性本体の両側部における肌当接面側に一対のサイド防漏部５０が形成されている吸収性物品であり、表面シート１０は、吸収性本体の幅方向中央部に位置し、多数の凸部６が規則的に形成されている中央領域Ｍと、中央領域Ｍの両側に位置し、該中央領域Ｍにおける前記凸部６の高さより高さの低い凸部７が形成されているか又は凸部が形成されていない一対の側部領域Ｓ，Ｓとを有しており、サイド防漏部５０それぞれは、吸収性本体の幅方向において、側部領域Ｓの少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部５０それぞれの内側縁部５４が中央領域Ｍの端部の位置ＭＥより外方に位置している。
【解決手段】液透過性の表面シート１０、液不透過性又は液難透過性の裏面シート及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体３０を有する実質的に縦長の吸収性本体を備え、該吸収性本体の両側部における肌当接面側に一対のサイド防漏部５０が形成されている吸収性物品であり、表面シート１０は、吸収性本体の幅方向中央部に位置し、多数の凸部６が規則的に形成されている中央領域Ｍと、中央領域Ｍの両側に位置し、該中央領域Ｍにおける前記凸部６の高さより高さの低い凸部７が形成されているか又は凸部が形成されていない一対の側部領域Ｓ，Ｓとを有しており、サイド防漏部５０それぞれは、吸収性本体の幅方向において、側部領域Ｓの少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部５０それぞれの内側縁部５４が中央領域Ｍの端部の位置ＭＥより外方に位置している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品において、その長手方向の両側部に、防漏性のサイドシートを配してサイド防漏部を形成して、横漏れ防止性を向上させた吸収性物品が知られている（特許文献１参照）。
【０００３】
また、吸収性物品の肌当接面に、表面に凹凸を有する表面シートを配することも広く行われており、吸収性物品の肌当接面に凹凸を形成する技術として、体液を主に吸収すべき域に形成された凹凸と比較して、前記域外の凹凸の度合いを小さく設定するか又はその凹凸を形成しない技術も知られている（特許文献２参照）。
【０００４】
しかし、吸収性物品に対する性能向上の要求はとどまるところを知らず、従来よりも一層性能の向上した吸収性物品が望まれている。
【０００５】
【特許文献１】特開平２００１−３２７５３５号公報
【特許文献２】特開平５−２６９１６８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の目的は、前述した従来技術よりも更に性能が向上した吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性又は液難透過性の裏面シート及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体を有する実質的に縦長の吸収性本体を備え、該吸収性本体の長手方の両側部における肌当接面側に一対のサイド防漏部が形成されている吸収性物品であって、前記表面シートは、前記吸収性本体の幅方向中央部に位置し、多数の凸部が規則的に形成されている中央領域と、該吸収性本体の幅方向における該中央領域の両側に位置し、該中央領域における前記凸部の高さより高さの低い凸部が形成されているか又は凸部が形成されていない一対の側部領域とを有しており、前記サイド防漏部それぞれは、前記吸収性本体の幅方向において、前記側部領域の少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部それぞれの内側縁部が前記中央領域の端部の位置より外方に位置している吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の吸収性物品は、液戻り防止性及び漏れ防止性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキン１は、図１〜図３に示すように、液透過性の表面シート１０、液不透過性又は液難透過性の裏面シート２０、及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体３０を有する実質的に縦長の吸収性本体４０を備えている。
【００１０】
吸収性本体４０の長手方向は、着用時に着用者の前後方向と一致させる方向である。また、吸収性本体４０は、表面シート１０、裏面シート２０及び吸収体３０が一体化されてなる。吸収性本体４０の下面（裏面シート３０側の面）には、ショーツの肌対向面に固定するための粘着部（図示略）が設けられている。また、生理用ナプキン１は、着用時に着用者の液排泄部が対向配置される排泄部対向部Ｐの両側に、ウイング部６０，６０を有しており、各ウイング部６０の裏面には、各ウイング部６０をショーツの非肌対向面に固定するための粘着部（図示略）が設けられている。
【００１１】
また、吸収性本体４０の長手方向の両側部における肌当接面側には、一対のサイド防漏部５０，５０が形成されている。
各サイド防漏部５０は、図３に示すように、防漏性のサイドシート５１によって形成されている。本実施形態におけるサイドシート５１は、吸収体３０上に位置する部分５２と、吸収体３０の側縁３１よりも幅方向外方に延出した部分５３とを有している。サイドシート５１は、サイド防漏部５０の内側縁部５４において折り返されており、吸収体３０上に位置する部分５２の全体又は大部分が２層構造となっている。２層構造を構成する上側のシートと下側のシート分との間はヒートシール部５５において互いに接合されている。
【００１２】
尚、サイドシート５１としては、耐水圧が高いシート材や液不透過性のシート材が好ましく用いられる。
サイドシートとして好ましく用いられるシート材としては、各種公知の材料を用いることができ、例えば撥水性の不織布や樹脂フィルム製のシートが好ましく用いられる。撥水性のエアースルー不織布を用いることが、肌触りの点では好ましい。不織布と樹脂フィルムのラミネート体を用いることもできる。スパンボンド法、メルトブローン法によって形成された不織布等を用いることが肌触りを含めて好ましい。また、このようなシートを数枚重ねて使用してもよい。
これらのなかでも、肌触りの良さと、厚みがなく表面シートに重ねて配置したときに段差ができにくい点から、スパンボンド法、メルトブローン法によって形成された不織布等を用いることが好ましい。
【００１３】
本実施形態の生理用ナプキン１における表面シート１０は、図２〜図６に示すように、吸収性本体４０の幅方向中央部に位置し多数の凸部６が規則的に形成されている中央領域Ｍと、該中央領域Ｍを挟んでその両側に位置し該中央領域Ｍにおける凸部６の高さより高さの低い凸部７が形成されている一対の側部領域Ｓ，Ｓとを有している。
【００１４】
表面シート１０における中央領域Ｍは、図５及び図６に示すように、上層シート２及び下層シート３を有し、これら両シートが部分的に接合されて多数の接合部４，４が形成されている。上層シート２は、接合部４以外の部分において突出して、多数の凸部６を形成している。本実施形態における上層シート２及び下層シート３は、何れも繊維シート（具体的には不織布）からなる。
【００１５】
本実施形態においては、凸部６はその底面が略矩形である。また凸部６は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっている。一方、接合部４も矩形となっている。上層シート２は、下層シート３に接合された接合部４部分が凹部５となっている。凸部６と凹部５は、表面シート１０の平面視において千鳥状に配置されている。また、表面シート１０の一方向（Ｘ方向）及びそれに交差する方向（Ｙ方向）の両方向において、凸部６と凹部５とが交互に且つ一列をなすように形成されている。本実施形態におけるＸ方向は、生理用ナプキン１の長手方向と一致していると共に、表面シート１０の製造工程における流れ方向（ＭＤ）とも一致している。
【００１６】
一対の側部領域Ｓ，Ｓは、それぞれ、図４及び図５に示すように、上層シート２を構成しているシートが、Ｙ方向において、下層シート３の端縁３１の位置より外方に延出して形成されている。側部領域Ｓ，Ｓを構成するシート２１には、凸部６の高さＴ６（図５参照）より高さの低い凸部７が形成されている。凸部７も、表面シート１０の平面視において千鳥状に配置されており、表面シート１０の一方向（Ｘ方向）及びそれに交差する方向（Ｙ方向）の両方向において、凸部７と凸部７，７間の凹部とが交互に且つ一列をなすように形成されている。
【００１７】
本実施形態の生理用ナプキン１においては、吸収性本体４０の幅方向中央部に高さの高い凸部６を有する中央領域Ｍが位置しているため、該中央領域Ｍを通って吸収体３０に移行した液体が、表面シート１０の表面に逆戻りしにくい。
特に本実施形態においては、表面シート１０の中央領域Ｍの凸部が、凸状に変形した上層シート２から形成されており、その変形形状が、上層シート２と下層シート３とが部分的に接合されていることによって安定的に維持されるため、下層シート３や吸収体３０に移行した液体が一層逆戻りしにくく、一層優れた液戻り（ウエットバック）防止性が得られる。
他方、側部領域Ｓにおいては、凸部７の高さが低く、表面シート１０の見掛けの厚みが薄くなり、表面シート１０の表面と吸収体との距離が中央領域Ｍに比べて相対的に小さくなる。そのため、中央領域Ｍから側部領域Ｓへと移行した液が、側部領域Ｓから吸収体３０へとスムーズに移行する。しかも、その側部領域Ｓは、サイド防漏部５０によって覆われているため、ナプキン１の両側部においても肌当接面への液戻りが起こりにくい。更に、サイド防漏部５０によって、表面シート上の液流れも防止されるため、横漏れが確実に防止される。
【００１８】
また、表面シート１０は、上述したように、一方向（Ｘ方向）又はそれに交差する方向（Ｙ方向）の両方向において、凸部６と凹部５とが交互に且つ一列をなすように形成されているため、Ｘ方向又はＹ方向に連続する凸部を有するようなものに比べて、個々の凸部が独立して変形することができる。そのため、肌の凹凸形状への追従性が良好であり、また、肌を伝って液が流れることも効果的に防止される。
【００１９】
本実施形態の生理用ナプキン１におけるサイド防漏部５０，５０それぞれは、図３に示すように、吸収性本体４０の幅方向（図中Ｙ方向）において、表面シート１０の側部領域Ｓにおける少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部５０それぞれの内側縁部５４が中央領域Ｍの端部の位置ＭＥより外方に位置している。サイド防漏部５０の内側縁部５４が、中央領域Ｍの端部の位置ＭＥより外方に位置していると言えるには、中央領域Ｍの凸部６上に、サイド防漏部５０が位置していなければ良い。
【００２０】
サイド防漏部５０を、中央領域Ｍの凸部６上に重ねないように配することで、ナプキン１の厚み方向Ｔにおける、サイド防漏部５０の高さ位置Ｈ１と、中央領域Ｍの凸部６の頂部の高さ位置Ｈ２との差を小さくすることができ、着用者の肌と、該肌に対向するナプキン１の肌当接面との間に、漏れを誘発するような隙間が生じることを防止することができる。
これに対して、サイド防漏部５０が中央領域Ｍ上も覆っている場合は、サイド防漏部５０の高さ位置Ｈ１と中央領域Ｍの凸部６の頂部の高さ位置Ｈ２との間に、サイド防漏部５０の厚みに応じた大きな段差が生じて、着用者の肌とナプキン１の肌当接面との間に隙間が生じ易くなる。このような隙間があると、着用者の肌を伝って流れる液を捕捉しにくくなったり、装着時に隙間の段差で撚れが生じやすくなり、製品中央の吸収面が狭くなり吸収阻害を起こしたりすることによって、液漏れが生じやすくなる。
【００２１】
着用者の肌とナプキン１の肌当接面との間に隙間が生じ難くする観点から、自然状態のナプキン１（吸収性物品）において、サイド防漏部５０の高さ位置Ｈ１と中央領域Ｍの凸部６の頂部の高さ位置Ｈ２との間の高低差（厚み方向Ｔにおける高低差）は、２．０ｍｍ以内であることが好ましく、より好ましくは１．０ｍｍ以内、更に好ましくは０．５ｍｍ以内である。
【００２２】
サイド防漏部５０の表面と表面シート１０の中央領域Ｍの表面との間に大きな段差が生じるのを防止すると共に、中央領域Ｍの凸の高さを高くして液戻り防止性を向上させる観点から、中央領域Ｍにおける表面シートの見掛けの厚みＴ６（図５，図６参照）は、１．０〜２．５ｍｍであることが好ましく、より好ましくは１．２〜２．２ｍｍであり、更に好ましくは１．５〜２．０ｍｍである。同様の理由から、中央領域Ｍにおける表面シートの見掛けの厚みＴ６と側部領域Ｓにおける表面シートの見掛けの厚みＴ７（図５，図６参照）との差（Ｔ６−Ｔ７）は、０．３〜２．０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは０．３〜１．０ｍｍであり、更に好ましくは０．３〜０．５ｍｍである。また、前記厚みＴ７は、前記厚みＴ６の２５〜８５％であることが好ましく、より好ましくは２５〜７０％、更に好ましくは２５〜５０％である。
また、サイド防漏部を形成するサイドシート５１の厚みＴ５１（図３参照）との関係で言えば、前記差（Ｔ６−Ｔ７）は、サイドシート５１の厚みＴ５１の５倍以下であることが好ましく、より好ましくは３倍以下であり、更に好ましくは２倍以下である。
尚、側部領域Ｓにおける吸収体への液の移行性の向上の観点から、前記厚みＴ７は、０．３〜２．０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは０．３〜１．５ｍｍ、更に好ましくは０．３〜０．９ｍｍである。
【００２３】
中央領域Ｍ又は側部領域Ｓにおける表面シートの見掛けの厚みＴ６，Ｔ７及び前記サイドシート５１の厚みＴ５１は、以下のようにして測定される。
（厚みの測定方法）
製品（吸収性物品全体）から表面シート、サイドシートを取り出し、を平らな場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、１．５ｃＮ／ｃｍ2の荷重を掛け、その状態下での厚みを測定する。厚みの測定には、レーザー厚み計 （ＫＥＹＥＮＣＥ製）を用いた。このとき、厚み計の先端部と製品との間の測定部分にプレート（厚さ１．５ｍｍ程度のアルミ板）を配置して、荷重が１．５ｃＮ／ｃｍ2となるようにプレートの大きさを調整する。プレートの形状は、円形又は正方形とする。
【００２４】
本実施形態の生理用ナプキン１においては、サイド防漏部５０に、長手方向に沿う弾性部材が配されていない。サイド防漏部５０の内側縁部５４に沿って弾性部材を固定し、着用時に、サイド防漏部５０の内側縁部５４側が起立するようにすることもできるが、サイド防漏部５０の表面と表面シート１０の中央領域Ｍの表面との間に段差が生じることを防止する観点から、本実施形態のように、サイド防漏部５０、特にサイド防漏部５０の下面が表面シート１０上に接合されていない内側縁部５４近傍には、長手方向に沿う弾性部材が配されていないことが好ましい。
【００２５】
また、一対の側部領域Ｓ，Ｓは、本実施形態における表面シート１０におけるように、それぞれ単層のシート２１からなることが、吸収体３０との距離を縮めて吸収体３０への液の移行性を向上する観点から好ましい。
【００２６】
表面シート１０における中央領域Ｍの幅（吸収性本体４０の幅方向における幅）Ｗ１は、吸収体３０の幅Ｗ（図１参照）の３５〜９０％、特に５０〜８０％であることが好ましい。他方、側部領域Ｓ，Ｓそれぞれは、吸収体３０上に位置する部分の幅Ｗ２（図３参照）が１ｃｍ以上、特に１０〜４０ｃｍであることが好ましい。そして、サイド防漏部５０それぞれは、側部領域Ｓにおける前記幅Ｗ２の３０〜１００％の部分、特に５０〜１００％の部分を覆っていることが好ましい。
【００２７】
また、吸収性本体４０の幅方向（Ｙ方向）において、サイド防漏部５０それぞれの内側縁部５４と中央領域Ｍの端部の位置ＭＥとの離間距離Ｌ１（図３参照）は、１〜５ｍｍ、特に１〜３ｍｍであることが、サイド防漏部下面の表面シートにおいて、着用者の肌を伝って流れる液の捕捉のされやすさ、装着時に隙間の段差で撚れの生じにくさの点から好ましい。
尚、中央領域Ｍの幅Ｗ１、側部領域Ｓの幅Ｗ２、該幅Ｗ２のうちサイド防漏部５０が覆っている部分の割合、及び前記離間距離Ｌ１は、製品（吸収性物品）を平らな場所にシワや折れ曲がりがないように静置したときのナプキン１おける排泄部対向部を横切る断面から得られた値及びそれに基づく割合である。
【００２８】
本実施形態における各サイド防漏部５０は、吸収体３０上に位置し且つ側部領域Ｓを覆っている部分に、図３に示すように、接着剤５６で表面シート１０に接合されている部分と、表面シート１０に接合されていない内側縁部側の部分とを有している。
【００２９】
本実施形態における表面シート１０は、図５及び図６に示すように、中央領域Ｍにおける凸部６の内部に、下層シート３が変形して形成された下層凸部８を有している。凸部６における上層シート２の下面と下層凸部８との間は、表面シート１０を平面視したときの凸部６の中央部６Ｃにおいて少なくとも離間しており、凸部６の内部に空洞が生じている。下層凸部８の高さＴ８は、少なくとも接合部４の厚みｈ（図６参照）より大である。
【００３０】
また、表面シート１０の中央領域Ｍは、Ｘ方向（ＭＤ）に沿う凸部６の底部寸法Ａ（図６参照）が１．５〜６ｍｍ、特に２〜４ｍｍであることが好ましい。Ｙ方向（ＣＤ）に沿う底部寸法Ｂ（図６参照）は１．５〜８ｍｍ、特に２〜６ｍｍであることが好ましい。また、凸部６の底面積は５〜１２ｍｍ2、特に０．３〜３ｍｍ2であることが好ましい。また、Ｘ方向（ＭＤ）での接合部４（凹部５）の長さＣ（図６参照）は、０．５〜１．５ｍｍ、特に０．５〜１．５ｍｍであることが好ましい。
【００３１】
上層シート２として用いる繊維シートの坪量は、１０〜１００ｇ／ｍ2、特に１０〜３０ｇ／ｍ2であることが好ましい。一方、下層シート３として用いる繊維シートの坪量は、５〜５０ｇ／ｍ2、特に１０〜３０ｇ／ｍ2であることが好ましい。表面シート１０の中央領域Ｍにおける表面シート全体の坪量は、１５〜１５０ｇ／ｍ2、特に２０〜６０ｇ／ｍ2であることが好ましい。
【００３２】
生理用ナプキン１における、表面シート１０及びサイドシート５１以外の各部の形成材料としては、この種の吸収性物品に従来用いられている各部の形成材料を特に制限なく用いることができる。例えば、吸収体３０としては、パルプ繊維等の繊維の集合体又はこれに高吸水性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパで包んだもの等を用いることができる。また、特開平８−２４６３９５号公報に記載の吸収性シート、即ち親水性繊維及び熱溶融性接着繊維または紙力補強剤並びに高吸収性ポリマーを含む吸収性シートを用いることもできる。裏面シート２０としては、樹脂フィルムや、不織布又は織布に、樹脂フィルムをラミネートしたり樹脂を含浸させたりしたもの等を用いることができる。
【００３３】
図７及び図８は、本発明の吸収性物品に用い得る他の形態の表面シート１０Ａ，１０Ｂを示す図である。
表面シート１０Ａ，１０Ｂについては、上述した表面シート１０と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、表面シート１０と同様であり、表面シート１０についての上述した説明が適宜適用される。表面シート１０Ａ，１０Ｂは、表面シート１０と同様の態様で生理用ナプキン等に使用することができる。
図７に示す表面シート１０Ａは、側部領域Ｓに凸部が形成されていない。図８に示す表面シート１０Ｂにおいては、中央領域Ｍにおける下層シート３は、接合部４以外の部分が平坦状であり、上述した表面シート１０の下層凸部８のような凸部が、凸部６の内部に形成されていない。表面シート１０Ａ及び１０Ｂを用いた場合も、表面シート１０を用いた場合と同様の効果が得られる。
【００３４】
上述した表面シート１０，１０Ａ，１０Ｂの製造方法について説明する。
上述した表面シート１０は、例えば、以下のようにして製造することができる。
図９に示すように、周面が凹凸形状となっている第１のロール１１と、該第１のロール１１の凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第２のロール１２との噛み合わせ部に、実質的に伸縮しない繊維シートからなる帯状の上層シート２及び該上層シート２より幅が狭く、伸縮性を有する繊維シートからなる帯状の下層シート３を導入して噛み込ませ、上層シート２及び下層シート３を第１のロール１１の凹凸形状に即した凹凸形状に変形させる。
そして、その上層シート２及び下層シート３を、吸引によって第１のロール１１における周面に保持したまま搬送し、第１のロール１１における凸部とヒートロール１４との間で、両シート２，３を加熱及び加圧し、接合部（熱融着部）４を形成する。
【００３５】
下層シート３は、第１のロール１１と第２のロール１２との間に噛み込まれたとき、第１のロール１１の凹凸形状に即した形状に凹凸賦形される。下層シート３は、第１のロール１１と第２のロール１２との間に噛み込まれたとき、上層シート２と同様に、第１のロール１１の周面形状にほぼ沿うように変形するが、その後収縮して凸部の大きさが小さくなった状態で上層シート２と接合される。
これにより、凸部６とその内部に配置された小型の下層凸部８を有する表面シート１０が得られる。図１０は、第１のロール１１の周面の凹凸形状を示す図であり、凸部と吸引孔１１ｃを底部に有する凹部とが周方向に交互に形成されており、そのような列が軸長方向に多列に形成されている。図１０に示す第１ロール１１（第２ロール１２も同様）は、周方向に凸部と凹部とが交互に形成された歯車状の部材１１ａ，１１ｂを、隣り合う部材１１ａ，１１ｂ間にスペーサーにより隙間Ｇを形成すると共に隣り合う部材１１ａ，１１ｂの凸部の位置を周方向に半ピッチずらして、軸長方向に多数積層してなる。
上層シート２及び下層シート３の噛み込みは、帯状の上層シート２の幅方向中央部に帯状の下層シート３を重ねた状態で行い、第１及び第２のロール１１、１２としては、上層シート２の全幅に亘って凹凸形状を有するものを用いる。
【００３６】
図７に示す表面シート１０Ａは、上層シート２と下層シート３とを重ねた部分のみに凹凸形状を有する第１のロール１１を用いる以外は、上述した表面シート１０の製造方法と同様にして製造することができる。表面シート１０，１０Ａ、１０Ｂの製造方向について特に説明しない点は、特開２００４−１７４２３４号公報に記載の表面シートの製造方法と同様とすることができる。
【００３７】
帯状の上層シート２としては、実質的に伸縮しない繊維シート以外を用いることもできるが、実質的に伸縮しない繊維シートを用いることで、所望の寸法の凹凸形状を形成するにあたり、第１及び第２のロールの凹凸形状にほぼ即した形状の凹凸を上層シート２に安定的に且つ再現性良く付与できる。実質的に非伸縮性である繊維シートとは、例えば伸長限界が１２０％以下であり、それを超える伸長では材料破壊を起こすか又は永久歪みが発生するものをいう。
実質的に伸縮しない繊維シート（不織布等）としては、ポリエチレン、またはポリプロピレンなどのオレフィン系、ポリエステル計、ポリアミド系などの合成繊維を用いてスパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法など適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。風合いのよさと凹凸加工しやすい点で繊維間距離が広く、繊維自由度の高いエアースルー不織布が好ましく、上層シートと下層シートを加熱により接着し凹凸を形成するため、少なくとも繊維表面が１００℃〜１３０℃程度で変形しやすい柔らかい樹脂を用いた繊維、例えば、芯鞘型複合繊維からなるシート等が好ましく用いられる。
【００３８】
帯状の下層シート３として用いる伸縮性を有する繊維シートは、下層シートが、適度な形状安定性を有する凹凸を形成する点から、ＣＤ方向の伸長強度が、上層シート２として用いる繊維シートと同等程度かそれより低いことが好ましい。
【００３９】
伸縮性を有する繊維シート（不織布等）としては、繊維自体が伸縮性を示す弾性繊維と、立体的捲縮形状等の特定の立体構造を有することにより伸縮性を示す繊維を用いた不織布を挙げることができる。素材自体が伸縮性を示す弾性繊維としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、等のエラストマー材料を溶出、紡糸して得られる繊維や、スパンデックスに代表されるポリウレタンやポリエステル等を組成とする合成繊維が挙げられる。立体的捲縮形状（立体捲縮）とは螺旋状あるいは渦巻き状の三次元的に変形された捲縮状態を示し、一般的には偏芯構造等の繊維によって得ることができる。そのシート繊維のすべてが伸縮性を有する繊維でもよく、或いはその他の伸縮性を有しない繊維を含んでいてもよい。伸張回復性を高くする点から、立体捲縮した繊維は、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維からなることが好ましい。潜在捲縮性繊維はその繊度が１〜７ｄｔｅｘ程度であることが好適である。潜在捲縮性繊維は、例えば収縮率の異なる２種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなるシート等が好ましく用いられる。
特に好ましい繊維シートの組み合わせは、繊維自体が伸縮性を示す弾性繊維と、立体的捲縮形状等の特定の立体構造を有することにより伸縮性を示す繊維を用いた不織布シートを用い、下層シート３として上層シートよりも繊度が細く、親水度が高くなるよう表面親水性処理を施された不織布シートを用いる組み合わせ、あるいは上層シート２として表面側により太い繊維を用いる繊度勾配、下層側がより親水度が高くなるような親水度勾配を有するサーマルボンド法による不織布を用い、下層シート３としてレーヨンやキュプラなどの再生繊維と表面親水処理を施した合成繊維とを混綿して不織布化したシートを用いる組み合わせである。
繊維シートは、熱融着性の観点から、熱可塑性樹脂を成分として含む繊維を構成繊維として含むものが好ましい。
【００４０】
図１１は、図８に示す表面シート１０Ｂの好ましい製造方法を示す概略図である。図１１に示す方法においては、周面が凹凸形状となっている第１のロール１１と、該第１のロール１１の凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第２のロール１２との噛み合わせ部に、実質的に伸縮しない繊維シートからなる帯状の上層シート２を導入して噛み込ませて、該上層シート２を凹凸賦形する。
そして、凹凸賦形した上層シート２を、吸引によって第１のロール１１における該周面に凹凸賦形された状態のまま保持しつつ、該上層シート２の幅方向中央部に、該上層シート２より幅が狭く実質的に伸縮しない繊維シートからなる下層シート３を重ね合わせ、該下層シート３を、第１のロール１１における凸部上に位置する該上層シート２と接合（熱融着）して、表面シート１０Ｂを得る。
【００４１】
図９や図１１に示す例においては、上層シート２と下層シート３が、それぞれ、ロール状の原反２’，３’から繰り出しているが、それに代えて、上層シート２を構成する繊維シートや下層シート３を構成する繊維シートの製造ラインを、表面シート１０，１０Ａ，１０Ｂの製造ラインに連続して設けても良い。
【００４２】
下層シート３として用いる繊維シートは、上層シート２として用いる繊維シートよりも、用いる繊維の繊度が大きい（繊維径が太い）か、あるいは、見かけ密度が低いものを用いることが好ましい。特に、上層シートに用いる繊維が、下層シートに用いる繊維より太い繊度であり、更に、親水度も上層シートより下層シートの方が高いシートを用いることが好ましい。また、上層シート内で表面側により太い繊維を用いる繊度勾配、下層側がより親水度が高くなるような親水度勾配、表面側がより粗になるような粗密勾配がつけられていてもよい。
【００４３】
以上、本発明の吸収性物品の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
例えば、サイド防漏部５０は、側部領域Ｓを覆っている部分の全体が、側部領域Ｓ上に接着剤５６を介して接合されていても良い。また、図１２に示すように、サイド防漏部５０は、一枚のサイドシート５１から形成されていても良い。
【００４４】
また、上述した生理用ナプキン１においては、表面シート１０の中央領域Ｍを幅方向中央部に配し、側部領域Ｓ，Ｓを幅方向におけるその両側に配してあり、その状態が、ナプキン１の略全長に亘っているが、ナプキン１の長手方向の一部のみがそのような構成を有していても良い。但し、少なくとも排泄部対向部Ｐはそのような構成を有することが好ましい。
また、表面シート１０の凸部６は、四角錐台形状のものに代えて、半球状等、他の形状とすることもできる。また、上層シート２と下層シート３の接合部４は、熱融着部に限られず、接着剤や他の方法により両シートを接合して形成したものであっても良い。また、表面シートの中央領域Ｍは、立体賦形された上層シートのみからなるものであっても良い。
また、
【００４５】
また、表面シートの側部領域Ｓ，Ｓは、図１３及び図１４に示すように、中央領域Ｍにおける下層シート３が側方に延出して形成されていても良い。
また、上層シート２の凹凸賦形を、第１のロール１１と第２のロール１２との間に噛み込ませて行うのに代え、第２のロールを使用することなく、第１のロール１１の周面に強力に吸着させることのみによって行うこともできる。
【００４６】
また、生理用ナプキン１はウイング部６０を有しないものであっても良い。
本発明における吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー（下り物シート）、失禁パッド、使い捨ておむつ、母乳パッド等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】図１は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンを示す平面図である。
【図２】図２は、図２のＩ−Ｉ線断面図である。
【図３】図３は、図２の一部を拡大して示す断面図である。
【図４】図４は、図１に示す生理用ナプキンに用いた表面シートを示す平面図である。
【図５】図５は、図４のＩＩ−ＩＩ線模式断面図である。
【図６】図６は、図４に示す表面シートの中央領域の一部を拡大して示す斜視図である。
【図７】図７は、本発明に用い得る他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【図８】図８は、本発明に用い得る更に他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【図９】図９は、図４及び図５に示す表面シートの製造方法の一例を示す概略図である。
【図１０】図１０は、第１のロールの周面の凹凸形状の一例を示す斜視図である。
【図１１】図１１は、図７に示す表面シートの製造方法の一例を示す概略図である。
【図１２】図１２は、本発明の吸収性物品の他の一実施形態である生理用ナプキンの一部を示す拡大断面図である。
【図１３】図１３は、本発明に用い得る更に他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【図１４】図１４は、本発明に用い得る更に他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【符号の説明】
【００４８】
１ 生理用ナプキン（吸収性物品）
１０，１０Ａ〜１０Ｄ 表面シート
２ 上層シート
３ 下層シート
４ 接合部
５ 凹部
６ 凸部
Ｍ 中央領域
Ｓ 側部領域
２０ 裏面シート
３０ 吸収体
４０ 吸収性本体
５０ サイド防漏部
５１ サイドシート
５４ 内側縁部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品において、その長手方向の両側部に、防漏性のサイドシートを配してサイド防漏部を形成して、横漏れ防止性を向上させた吸収性物品が知られている（特許文献１参照）。
【０００３】
また、吸収性物品の肌当接面に、表面に凹凸を有する表面シートを配することも広く行われており、吸収性物品の肌当接面に凹凸を形成する技術として、体液を主に吸収すべき域に形成された凹凸と比較して、前記域外の凹凸の度合いを小さく設定するか又はその凹凸を形成しない技術も知られている（特許文献２参照）。
【０００４】
しかし、吸収性物品に対する性能向上の要求はとどまるところを知らず、従来よりも一層性能の向上した吸収性物品が望まれている。
【０００５】
【特許文献１】特開平２００１−３２７５３５号公報
【特許文献２】特開平５−２６９１６８号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の目的は、前述した従来技術よりも更に性能が向上した吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性又は液難透過性の裏面シート及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体を有する実質的に縦長の吸収性本体を備え、該吸収性本体の長手方の両側部における肌当接面側に一対のサイド防漏部が形成されている吸収性物品であって、前記表面シートは、前記吸収性本体の幅方向中央部に位置し、多数の凸部が規則的に形成されている中央領域と、該吸収性本体の幅方向における該中央領域の両側に位置し、該中央領域における前記凸部の高さより高さの低い凸部が形成されているか又は凸部が形成されていない一対の側部領域とを有しており、前記サイド防漏部それぞれは、前記吸収性本体の幅方向において、前記側部領域の少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部それぞれの内側縁部が前記中央領域の端部の位置より外方に位置している吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の吸収性物品は、液戻り防止性及び漏れ防止性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキン１は、図１〜図３に示すように、液透過性の表面シート１０、液不透過性又は液難透過性の裏面シート２０、及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体３０を有する実質的に縦長の吸収性本体４０を備えている。
【００１０】
吸収性本体４０の長手方向は、着用時に着用者の前後方向と一致させる方向である。また、吸収性本体４０は、表面シート１０、裏面シート２０及び吸収体３０が一体化されてなる。吸収性本体４０の下面（裏面シート３０側の面）には、ショーツの肌対向面に固定するための粘着部（図示略）が設けられている。また、生理用ナプキン１は、着用時に着用者の液排泄部が対向配置される排泄部対向部Ｐの両側に、ウイング部６０，６０を有しており、各ウイング部６０の裏面には、各ウイング部６０をショーツの非肌対向面に固定するための粘着部（図示略）が設けられている。
【００１１】
また、吸収性本体４０の長手方向の両側部における肌当接面側には、一対のサイド防漏部５０，５０が形成されている。
各サイド防漏部５０は、図３に示すように、防漏性のサイドシート５１によって形成されている。本実施形態におけるサイドシート５１は、吸収体３０上に位置する部分５２と、吸収体３０の側縁３１よりも幅方向外方に延出した部分５３とを有している。サイドシート５１は、サイド防漏部５０の内側縁部５４において折り返されており、吸収体３０上に位置する部分５２の全体又は大部分が２層構造となっている。２層構造を構成する上側のシートと下側のシート分との間はヒートシール部５５において互いに接合されている。
【００１２】
尚、サイドシート５１としては、耐水圧が高いシート材や液不透過性のシート材が好ましく用いられる。
サイドシートとして好ましく用いられるシート材としては、各種公知の材料を用いることができ、例えば撥水性の不織布や樹脂フィルム製のシートが好ましく用いられる。撥水性のエアースルー不織布を用いることが、肌触りの点では好ましい。不織布と樹脂フィルムのラミネート体を用いることもできる。スパンボンド法、メルトブローン法によって形成された不織布等を用いることが肌触りを含めて好ましい。また、このようなシートを数枚重ねて使用してもよい。
これらのなかでも、肌触りの良さと、厚みがなく表面シートに重ねて配置したときに段差ができにくい点から、スパンボンド法、メルトブローン法によって形成された不織布等を用いることが好ましい。
【００１３】
本実施形態の生理用ナプキン１における表面シート１０は、図２〜図６に示すように、吸収性本体４０の幅方向中央部に位置し多数の凸部６が規則的に形成されている中央領域Ｍと、該中央領域Ｍを挟んでその両側に位置し該中央領域Ｍにおける凸部６の高さより高さの低い凸部７が形成されている一対の側部領域Ｓ，Ｓとを有している。
【００１４】
表面シート１０における中央領域Ｍは、図５及び図６に示すように、上層シート２及び下層シート３を有し、これら両シートが部分的に接合されて多数の接合部４，４が形成されている。上層シート２は、接合部４以外の部分において突出して、多数の凸部６を形成している。本実施形態における上層シート２及び下層シート３は、何れも繊維シート（具体的には不織布）からなる。
【００１５】
本実施形態においては、凸部６はその底面が略矩形である。また凸部６は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっている。一方、接合部４も矩形となっている。上層シート２は、下層シート３に接合された接合部４部分が凹部５となっている。凸部６と凹部５は、表面シート１０の平面視において千鳥状に配置されている。また、表面シート１０の一方向（Ｘ方向）及びそれに交差する方向（Ｙ方向）の両方向において、凸部６と凹部５とが交互に且つ一列をなすように形成されている。本実施形態におけるＸ方向は、生理用ナプキン１の長手方向と一致していると共に、表面シート１０の製造工程における流れ方向（ＭＤ）とも一致している。
【００１６】
一対の側部領域Ｓ，Ｓは、それぞれ、図４及び図５に示すように、上層シート２を構成しているシートが、Ｙ方向において、下層シート３の端縁３１の位置より外方に延出して形成されている。側部領域Ｓ，Ｓを構成するシート２１には、凸部６の高さＴ６（図５参照）より高さの低い凸部７が形成されている。凸部７も、表面シート１０の平面視において千鳥状に配置されており、表面シート１０の一方向（Ｘ方向）及びそれに交差する方向（Ｙ方向）の両方向において、凸部７と凸部７，７間の凹部とが交互に且つ一列をなすように形成されている。
【００１７】
本実施形態の生理用ナプキン１においては、吸収性本体４０の幅方向中央部に高さの高い凸部６を有する中央領域Ｍが位置しているため、該中央領域Ｍを通って吸収体３０に移行した液体が、表面シート１０の表面に逆戻りしにくい。
特に本実施形態においては、表面シート１０の中央領域Ｍの凸部が、凸状に変形した上層シート２から形成されており、その変形形状が、上層シート２と下層シート３とが部分的に接合されていることによって安定的に維持されるため、下層シート３や吸収体３０に移行した液体が一層逆戻りしにくく、一層優れた液戻り（ウエットバック）防止性が得られる。
他方、側部領域Ｓにおいては、凸部７の高さが低く、表面シート１０の見掛けの厚みが薄くなり、表面シート１０の表面と吸収体との距離が中央領域Ｍに比べて相対的に小さくなる。そのため、中央領域Ｍから側部領域Ｓへと移行した液が、側部領域Ｓから吸収体３０へとスムーズに移行する。しかも、その側部領域Ｓは、サイド防漏部５０によって覆われているため、ナプキン１の両側部においても肌当接面への液戻りが起こりにくい。更に、サイド防漏部５０によって、表面シート上の液流れも防止されるため、横漏れが確実に防止される。
【００１８】
また、表面シート１０は、上述したように、一方向（Ｘ方向）又はそれに交差する方向（Ｙ方向）の両方向において、凸部６と凹部５とが交互に且つ一列をなすように形成されているため、Ｘ方向又はＹ方向に連続する凸部を有するようなものに比べて、個々の凸部が独立して変形することができる。そのため、肌の凹凸形状への追従性が良好であり、また、肌を伝って液が流れることも効果的に防止される。
【００１９】
本実施形態の生理用ナプキン１におけるサイド防漏部５０，５０それぞれは、図３に示すように、吸収性本体４０の幅方向（図中Ｙ方向）において、表面シート１０の側部領域Ｓにおける少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部５０それぞれの内側縁部５４が中央領域Ｍの端部の位置ＭＥより外方に位置している。サイド防漏部５０の内側縁部５４が、中央領域Ｍの端部の位置ＭＥより外方に位置していると言えるには、中央領域Ｍの凸部６上に、サイド防漏部５０が位置していなければ良い。
【００２０】
サイド防漏部５０を、中央領域Ｍの凸部６上に重ねないように配することで、ナプキン１の厚み方向Ｔにおける、サイド防漏部５０の高さ位置Ｈ１と、中央領域Ｍの凸部６の頂部の高さ位置Ｈ２との差を小さくすることができ、着用者の肌と、該肌に対向するナプキン１の肌当接面との間に、漏れを誘発するような隙間が生じることを防止することができる。
これに対して、サイド防漏部５０が中央領域Ｍ上も覆っている場合は、サイド防漏部５０の高さ位置Ｈ１と中央領域Ｍの凸部６の頂部の高さ位置Ｈ２との間に、サイド防漏部５０の厚みに応じた大きな段差が生じて、着用者の肌とナプキン１の肌当接面との間に隙間が生じ易くなる。このような隙間があると、着用者の肌を伝って流れる液を捕捉しにくくなったり、装着時に隙間の段差で撚れが生じやすくなり、製品中央の吸収面が狭くなり吸収阻害を起こしたりすることによって、液漏れが生じやすくなる。
【００２１】
着用者の肌とナプキン１の肌当接面との間に隙間が生じ難くする観点から、自然状態のナプキン１（吸収性物品）において、サイド防漏部５０の高さ位置Ｈ１と中央領域Ｍの凸部６の頂部の高さ位置Ｈ２との間の高低差（厚み方向Ｔにおける高低差）は、２．０ｍｍ以内であることが好ましく、より好ましくは１．０ｍｍ以内、更に好ましくは０．５ｍｍ以内である。
【００２２】
サイド防漏部５０の表面と表面シート１０の中央領域Ｍの表面との間に大きな段差が生じるのを防止すると共に、中央領域Ｍの凸の高さを高くして液戻り防止性を向上させる観点から、中央領域Ｍにおける表面シートの見掛けの厚みＴ６（図５，図６参照）は、１．０〜２．５ｍｍであることが好ましく、より好ましくは１．２〜２．２ｍｍであり、更に好ましくは１．５〜２．０ｍｍである。同様の理由から、中央領域Ｍにおける表面シートの見掛けの厚みＴ６と側部領域Ｓにおける表面シートの見掛けの厚みＴ７（図５，図６参照）との差（Ｔ６−Ｔ７）は、０．３〜２．０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは０．３〜１．０ｍｍであり、更に好ましくは０．３〜０．５ｍｍである。また、前記厚みＴ７は、前記厚みＴ６の２５〜８５％であることが好ましく、より好ましくは２５〜７０％、更に好ましくは２５〜５０％である。
また、サイド防漏部を形成するサイドシート５１の厚みＴ５１（図３参照）との関係で言えば、前記差（Ｔ６−Ｔ７）は、サイドシート５１の厚みＴ５１の５倍以下であることが好ましく、より好ましくは３倍以下であり、更に好ましくは２倍以下である。
尚、側部領域Ｓにおける吸収体への液の移行性の向上の観点から、前記厚みＴ７は、０．３〜２．０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは０．３〜１．５ｍｍ、更に好ましくは０．３〜０．９ｍｍである。
【００２３】
中央領域Ｍ又は側部領域Ｓにおける表面シートの見掛けの厚みＴ６，Ｔ７及び前記サイドシート５１の厚みＴ５１は、以下のようにして測定される。
（厚みの測定方法）
製品（吸収性物品全体）から表面シート、サイドシートを取り出し、を平らな場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、１．５ｃＮ／ｃｍ2の荷重を掛け、その状態下での厚みを測定する。厚みの測定には、レーザー厚み計 （ＫＥＹＥＮＣＥ製）を用いた。このとき、厚み計の先端部と製品との間の測定部分にプレート（厚さ１．５ｍｍ程度のアルミ板）を配置して、荷重が１．５ｃＮ／ｃｍ2となるようにプレートの大きさを調整する。プレートの形状は、円形又は正方形とする。
【００２４】
本実施形態の生理用ナプキン１においては、サイド防漏部５０に、長手方向に沿う弾性部材が配されていない。サイド防漏部５０の内側縁部５４に沿って弾性部材を固定し、着用時に、サイド防漏部５０の内側縁部５４側が起立するようにすることもできるが、サイド防漏部５０の表面と表面シート１０の中央領域Ｍの表面との間に段差が生じることを防止する観点から、本実施形態のように、サイド防漏部５０、特にサイド防漏部５０の下面が表面シート１０上に接合されていない内側縁部５４近傍には、長手方向に沿う弾性部材が配されていないことが好ましい。
【００２５】
また、一対の側部領域Ｓ，Ｓは、本実施形態における表面シート１０におけるように、それぞれ単層のシート２１からなることが、吸収体３０との距離を縮めて吸収体３０への液の移行性を向上する観点から好ましい。
【００２６】
表面シート１０における中央領域Ｍの幅（吸収性本体４０の幅方向における幅）Ｗ１は、吸収体３０の幅Ｗ（図１参照）の３５〜９０％、特に５０〜８０％であることが好ましい。他方、側部領域Ｓ，Ｓそれぞれは、吸収体３０上に位置する部分の幅Ｗ２（図３参照）が１ｃｍ以上、特に１０〜４０ｃｍであることが好ましい。そして、サイド防漏部５０それぞれは、側部領域Ｓにおける前記幅Ｗ２の３０〜１００％の部分、特に５０〜１００％の部分を覆っていることが好ましい。
【００２７】
また、吸収性本体４０の幅方向（Ｙ方向）において、サイド防漏部５０それぞれの内側縁部５４と中央領域Ｍの端部の位置ＭＥとの離間距離Ｌ１（図３参照）は、１〜５ｍｍ、特に１〜３ｍｍであることが、サイド防漏部下面の表面シートにおいて、着用者の肌を伝って流れる液の捕捉のされやすさ、装着時に隙間の段差で撚れの生じにくさの点から好ましい。
尚、中央領域Ｍの幅Ｗ１、側部領域Ｓの幅Ｗ２、該幅Ｗ２のうちサイド防漏部５０が覆っている部分の割合、及び前記離間距離Ｌ１は、製品（吸収性物品）を平らな場所にシワや折れ曲がりがないように静置したときのナプキン１おける排泄部対向部を横切る断面から得られた値及びそれに基づく割合である。
【００２８】
本実施形態における各サイド防漏部５０は、吸収体３０上に位置し且つ側部領域Ｓを覆っている部分に、図３に示すように、接着剤５６で表面シート１０に接合されている部分と、表面シート１０に接合されていない内側縁部側の部分とを有している。
【００２９】
本実施形態における表面シート１０は、図５及び図６に示すように、中央領域Ｍにおける凸部６の内部に、下層シート３が変形して形成された下層凸部８を有している。凸部６における上層シート２の下面と下層凸部８との間は、表面シート１０を平面視したときの凸部６の中央部６Ｃにおいて少なくとも離間しており、凸部６の内部に空洞が生じている。下層凸部８の高さＴ８は、少なくとも接合部４の厚みｈ（図６参照）より大である。
【００３０】
また、表面シート１０の中央領域Ｍは、Ｘ方向（ＭＤ）に沿う凸部６の底部寸法Ａ（図６参照）が１．５〜６ｍｍ、特に２〜４ｍｍであることが好ましい。Ｙ方向（ＣＤ）に沿う底部寸法Ｂ（図６参照）は１．５〜８ｍｍ、特に２〜６ｍｍであることが好ましい。また、凸部６の底面積は５〜１２ｍｍ2、特に０．３〜３ｍｍ2であることが好ましい。また、Ｘ方向（ＭＤ）での接合部４（凹部５）の長さＣ（図６参照）は、０．５〜１．５ｍｍ、特に０．５〜１．５ｍｍであることが好ましい。
【００３１】
上層シート２として用いる繊維シートの坪量は、１０〜１００ｇ／ｍ2、特に１０〜３０ｇ／ｍ2であることが好ましい。一方、下層シート３として用いる繊維シートの坪量は、５〜５０ｇ／ｍ2、特に１０〜３０ｇ／ｍ2であることが好ましい。表面シート１０の中央領域Ｍにおける表面シート全体の坪量は、１５〜１５０ｇ／ｍ2、特に２０〜６０ｇ／ｍ2であることが好ましい。
【００３２】
生理用ナプキン１における、表面シート１０及びサイドシート５１以外の各部の形成材料としては、この種の吸収性物品に従来用いられている各部の形成材料を特に制限なく用いることができる。例えば、吸収体３０としては、パルプ繊維等の繊維の集合体又はこれに高吸水性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパで包んだもの等を用いることができる。また、特開平８−２４６３９５号公報に記載の吸収性シート、即ち親水性繊維及び熱溶融性接着繊維または紙力補強剤並びに高吸収性ポリマーを含む吸収性シートを用いることもできる。裏面シート２０としては、樹脂フィルムや、不織布又は織布に、樹脂フィルムをラミネートしたり樹脂を含浸させたりしたもの等を用いることができる。
【００３３】
図７及び図８は、本発明の吸収性物品に用い得る他の形態の表面シート１０Ａ，１０Ｂを示す図である。
表面シート１０Ａ，１０Ｂについては、上述した表面シート１０と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、表面シート１０と同様であり、表面シート１０についての上述した説明が適宜適用される。表面シート１０Ａ，１０Ｂは、表面シート１０と同様の態様で生理用ナプキン等に使用することができる。
図７に示す表面シート１０Ａは、側部領域Ｓに凸部が形成されていない。図８に示す表面シート１０Ｂにおいては、中央領域Ｍにおける下層シート３は、接合部４以外の部分が平坦状であり、上述した表面シート１０の下層凸部８のような凸部が、凸部６の内部に形成されていない。表面シート１０Ａ及び１０Ｂを用いた場合も、表面シート１０を用いた場合と同様の効果が得られる。
【００３４】
上述した表面シート１０，１０Ａ，１０Ｂの製造方法について説明する。
上述した表面シート１０は、例えば、以下のようにして製造することができる。
図９に示すように、周面が凹凸形状となっている第１のロール１１と、該第１のロール１１の凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第２のロール１２との噛み合わせ部に、実質的に伸縮しない繊維シートからなる帯状の上層シート２及び該上層シート２より幅が狭く、伸縮性を有する繊維シートからなる帯状の下層シート３を導入して噛み込ませ、上層シート２及び下層シート３を第１のロール１１の凹凸形状に即した凹凸形状に変形させる。
そして、その上層シート２及び下層シート３を、吸引によって第１のロール１１における周面に保持したまま搬送し、第１のロール１１における凸部とヒートロール１４との間で、両シート２，３を加熱及び加圧し、接合部（熱融着部）４を形成する。
【００３５】
下層シート３は、第１のロール１１と第２のロール１２との間に噛み込まれたとき、第１のロール１１の凹凸形状に即した形状に凹凸賦形される。下層シート３は、第１のロール１１と第２のロール１２との間に噛み込まれたとき、上層シート２と同様に、第１のロール１１の周面形状にほぼ沿うように変形するが、その後収縮して凸部の大きさが小さくなった状態で上層シート２と接合される。
これにより、凸部６とその内部に配置された小型の下層凸部８を有する表面シート１０が得られる。図１０は、第１のロール１１の周面の凹凸形状を示す図であり、凸部と吸引孔１１ｃを底部に有する凹部とが周方向に交互に形成されており、そのような列が軸長方向に多列に形成されている。図１０に示す第１ロール１１（第２ロール１２も同様）は、周方向に凸部と凹部とが交互に形成された歯車状の部材１１ａ，１１ｂを、隣り合う部材１１ａ，１１ｂ間にスペーサーにより隙間Ｇを形成すると共に隣り合う部材１１ａ，１１ｂの凸部の位置を周方向に半ピッチずらして、軸長方向に多数積層してなる。
上層シート２及び下層シート３の噛み込みは、帯状の上層シート２の幅方向中央部に帯状の下層シート３を重ねた状態で行い、第１及び第２のロール１１、１２としては、上層シート２の全幅に亘って凹凸形状を有するものを用いる。
【００３６】
図７に示す表面シート１０Ａは、上層シート２と下層シート３とを重ねた部分のみに凹凸形状を有する第１のロール１１を用いる以外は、上述した表面シート１０の製造方法と同様にして製造することができる。表面シート１０，１０Ａ、１０Ｂの製造方向について特に説明しない点は、特開２００４−１７４２３４号公報に記載の表面シートの製造方法と同様とすることができる。
【００３７】
帯状の上層シート２としては、実質的に伸縮しない繊維シート以外を用いることもできるが、実質的に伸縮しない繊維シートを用いることで、所望の寸法の凹凸形状を形成するにあたり、第１及び第２のロールの凹凸形状にほぼ即した形状の凹凸を上層シート２に安定的に且つ再現性良く付与できる。実質的に非伸縮性である繊維シートとは、例えば伸長限界が１２０％以下であり、それを超える伸長では材料破壊を起こすか又は永久歪みが発生するものをいう。
実質的に伸縮しない繊維シート（不織布等）としては、ポリエチレン、またはポリプロピレンなどのオレフィン系、ポリエステル計、ポリアミド系などの合成繊維を用いてスパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法など適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。風合いのよさと凹凸加工しやすい点で繊維間距離が広く、繊維自由度の高いエアースルー不織布が好ましく、上層シートと下層シートを加熱により接着し凹凸を形成するため、少なくとも繊維表面が１００℃〜１３０℃程度で変形しやすい柔らかい樹脂を用いた繊維、例えば、芯鞘型複合繊維からなるシート等が好ましく用いられる。
【００３８】
帯状の下層シート３として用いる伸縮性を有する繊維シートは、下層シートが、適度な形状安定性を有する凹凸を形成する点から、ＣＤ方向の伸長強度が、上層シート２として用いる繊維シートと同等程度かそれより低いことが好ましい。
【００３９】
伸縮性を有する繊維シート（不織布等）としては、繊維自体が伸縮性を示す弾性繊維と、立体的捲縮形状等の特定の立体構造を有することにより伸縮性を示す繊維を用いた不織布を挙げることができる。素材自体が伸縮性を示す弾性繊維としては、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、等のエラストマー材料を溶出、紡糸して得られる繊維や、スパンデックスに代表されるポリウレタンやポリエステル等を組成とする合成繊維が挙げられる。立体的捲縮形状（立体捲縮）とは螺旋状あるいは渦巻き状の三次元的に変形された捲縮状態を示し、一般的には偏芯構造等の繊維によって得ることができる。そのシート繊維のすべてが伸縮性を有する繊維でもよく、或いはその他の伸縮性を有しない繊維を含んでいてもよい。伸張回復性を高くする点から、立体捲縮した繊維は、捲縮が発現した潜在捲縮性繊維からなることが好ましい。潜在捲縮性繊維はその繊度が１〜７ｄｔｅｘ程度であることが好適である。潜在捲縮性繊維は、例えば収縮率の異なる２種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなるシート等が好ましく用いられる。
特に好ましい繊維シートの組み合わせは、繊維自体が伸縮性を示す弾性繊維と、立体的捲縮形状等の特定の立体構造を有することにより伸縮性を示す繊維を用いた不織布シートを用い、下層シート３として上層シートよりも繊度が細く、親水度が高くなるよう表面親水性処理を施された不織布シートを用いる組み合わせ、あるいは上層シート２として表面側により太い繊維を用いる繊度勾配、下層側がより親水度が高くなるような親水度勾配を有するサーマルボンド法による不織布を用い、下層シート３としてレーヨンやキュプラなどの再生繊維と表面親水処理を施した合成繊維とを混綿して不織布化したシートを用いる組み合わせである。
繊維シートは、熱融着性の観点から、熱可塑性樹脂を成分として含む繊維を構成繊維として含むものが好ましい。
【００４０】
図１１は、図８に示す表面シート１０Ｂの好ましい製造方法を示す概略図である。図１１に示す方法においては、周面が凹凸形状となっている第１のロール１１と、該第１のロール１１の凹凸形状と噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第２のロール１２との噛み合わせ部に、実質的に伸縮しない繊維シートからなる帯状の上層シート２を導入して噛み込ませて、該上層シート２を凹凸賦形する。
そして、凹凸賦形した上層シート２を、吸引によって第１のロール１１における該周面に凹凸賦形された状態のまま保持しつつ、該上層シート２の幅方向中央部に、該上層シート２より幅が狭く実質的に伸縮しない繊維シートからなる下層シート３を重ね合わせ、該下層シート３を、第１のロール１１における凸部上に位置する該上層シート２と接合（熱融着）して、表面シート１０Ｂを得る。
【００４１】
図９や図１１に示す例においては、上層シート２と下層シート３が、それぞれ、ロール状の原反２’，３’から繰り出しているが、それに代えて、上層シート２を構成する繊維シートや下層シート３を構成する繊維シートの製造ラインを、表面シート１０，１０Ａ，１０Ｂの製造ラインに連続して設けても良い。
【００４２】
下層シート３として用いる繊維シートは、上層シート２として用いる繊維シートよりも、用いる繊維の繊度が大きい（繊維径が太い）か、あるいは、見かけ密度が低いものを用いることが好ましい。特に、上層シートに用いる繊維が、下層シートに用いる繊維より太い繊度であり、更に、親水度も上層シートより下層シートの方が高いシートを用いることが好ましい。また、上層シート内で表面側により太い繊維を用いる繊度勾配、下層側がより親水度が高くなるような親水度勾配、表面側がより粗になるような粗密勾配がつけられていてもよい。
【００４３】
以上、本発明の吸収性物品の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
例えば、サイド防漏部５０は、側部領域Ｓを覆っている部分の全体が、側部領域Ｓ上に接着剤５６を介して接合されていても良い。また、図１２に示すように、サイド防漏部５０は、一枚のサイドシート５１から形成されていても良い。
【００４４】
また、上述した生理用ナプキン１においては、表面シート１０の中央領域Ｍを幅方向中央部に配し、側部領域Ｓ，Ｓを幅方向におけるその両側に配してあり、その状態が、ナプキン１の略全長に亘っているが、ナプキン１の長手方向の一部のみがそのような構成を有していても良い。但し、少なくとも排泄部対向部Ｐはそのような構成を有することが好ましい。
また、表面シート１０の凸部６は、四角錐台形状のものに代えて、半球状等、他の形状とすることもできる。また、上層シート２と下層シート３の接合部４は、熱融着部に限られず、接着剤や他の方法により両シートを接合して形成したものであっても良い。また、表面シートの中央領域Ｍは、立体賦形された上層シートのみからなるものであっても良い。
また、
【００４５】
また、表面シートの側部領域Ｓ，Ｓは、図１３及び図１４に示すように、中央領域Ｍにおける下層シート３が側方に延出して形成されていても良い。
また、上層シート２の凹凸賦形を、第１のロール１１と第２のロール１２との間に噛み込ませて行うのに代え、第２のロールを使用することなく、第１のロール１１の周面に強力に吸着させることのみによって行うこともできる。
【００４６】
また、生理用ナプキン１はウイング部６０を有しないものであっても良い。
本発明における吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー（下り物シート）、失禁パッド、使い捨ておむつ、母乳パッド等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４７】
【図１】図１は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンを示す平面図である。
【図２】図２は、図２のＩ−Ｉ線断面図である。
【図３】図３は、図２の一部を拡大して示す断面図である。
【図４】図４は、図１に示す生理用ナプキンに用いた表面シートを示す平面図である。
【図５】図５は、図４のＩＩ−ＩＩ線模式断面図である。
【図６】図６は、図４に示す表面シートの中央領域の一部を拡大して示す斜視図である。
【図７】図７は、本発明に用い得る他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【図８】図８は、本発明に用い得る更に他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【図９】図９は、図４及び図５に示す表面シートの製造方法の一例を示す概略図である。
【図１０】図１０は、第１のロールの周面の凹凸形状の一例を示す斜視図である。
【図１１】図１１は、図７に示す表面シートの製造方法の一例を示す概略図である。
【図１２】図１２は、本発明の吸収性物品の他の一実施形態である生理用ナプキンの一部を示す拡大断面図である。
【図１３】図１３は、本発明に用い得る更に他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【図１４】図１４は、本発明に用い得る更に他の表面シートを示す模式断面図（図５相当図）である。
【符号の説明】
【００４８】
１ 生理用ナプキン（吸収性物品）
１０，１０Ａ〜１０Ｄ 表面シート
２ 上層シート
３ 下層シート
４ 接合部
５ 凹部
６ 凸部
Ｍ 中央領域
Ｓ 側部領域
２０ 裏面シート
３０ 吸収体
４０ 吸収性本体
５０ サイド防漏部
５１ サイドシート
５４ 内側縁部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
液透過性の表面シート、液不透過性又は液難透過性の裏面シート及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体を有する実質的に縦長の吸収性本体を備え、該吸収性本体の長手方の両側部における肌当接面側に一対のサイド防漏部が形成されている吸収性物品であって、
前記表面シートは、前記吸収性本体の幅方向中央部に位置し、多数の凸部が規則的に形成されている中央領域と、該吸収性本体の幅方向における該中央領域の両側に位置し、該中央領域における前記凸部の高さより高さの低い凸部が形成されているか又は凸部が形成されていない一対の側部領域とを有しており、
前記サイド防漏部それぞれは、前記吸収性本体の幅方向において、前記側部領域の少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部それぞれの内側縁部が前記中央領域の端部の位置より外方に位置している吸収性物品。
【請求項２】
前記サイド防漏部それぞれに、長手方向に沿う弾性部材が配されていない請求項１記載の吸収性物品。
【請求項３】
前記表面シートの前記中央領域は、上層シート及び下層シートを有し、これら両シートが部分的に接合されて多数の接合部が形成されており、前記上層シートが前記接合部以外の部分において突出して前記多数の凸部が形成されている請求項１又は２記載の吸収性物品。
【請求項４】
前記側部領域それぞれは、前記吸収性本体の幅方向における前記吸収体上に位置する部分の幅が１ｃｍ以上であり、前記サイド防漏部それぞれが、該側部領域における前記幅の５０〜１００％の部分を覆っている請求項１〜３の何れかに記載の吸収性物品。
【請求項５】
前記吸収性本体の幅方向において、前記サイド防漏部それぞれの内側縁部と前記中央領域の端部の位置との離間距離が３〜１０ｍｍである、請求項１〜４の何れかに記載の吸収性物品。
【請求項６】
前記中央領域においては、前記表面シートの一方向及びそれに交差する方向の両方向それぞれに、前記凸部と凹部とが交互に且つ一列をなすように形成されている請求項１〜５の何れかに記載の吸収性物品。
【請求項１】
液透過性の表面シート、液不透過性又は液難透過性の裏面シート及びこれら両シート間に位置する液保持性の吸収体を有する実質的に縦長の吸収性本体を備え、該吸収性本体の長手方の両側部における肌当接面側に一対のサイド防漏部が形成されている吸収性物品であって、
前記表面シートは、前記吸収性本体の幅方向中央部に位置し、多数の凸部が規則的に形成されている中央領域と、該吸収性本体の幅方向における該中央領域の両側に位置し、該中央領域における前記凸部の高さより高さの低い凸部が形成されているか又は凸部が形成されていない一対の側部領域とを有しており、
前記サイド防漏部それぞれは、前記吸収性本体の幅方向において、前記側部領域の少なくとも一部を覆っており且つ該サイド防漏部それぞれの内側縁部が前記中央領域の端部の位置より外方に位置している吸収性物品。
【請求項２】
前記サイド防漏部それぞれに、長手方向に沿う弾性部材が配されていない請求項１記載の吸収性物品。
【請求項３】
前記表面シートの前記中央領域は、上層シート及び下層シートを有し、これら両シートが部分的に接合されて多数の接合部が形成されており、前記上層シートが前記接合部以外の部分において突出して前記多数の凸部が形成されている請求項１又は２記載の吸収性物品。
【請求項４】
前記側部領域それぞれは、前記吸収性本体の幅方向における前記吸収体上に位置する部分の幅が１ｃｍ以上であり、前記サイド防漏部それぞれが、該側部領域における前記幅の５０〜１００％の部分を覆っている請求項１〜３の何れかに記載の吸収性物品。
【請求項５】
前記吸収性本体の幅方向において、前記サイド防漏部それぞれの内側縁部と前記中央領域の端部の位置との離間距離が３〜１０ｍｍである、請求項１〜４の何れかに記載の吸収性物品。
【請求項６】
前記中央領域においては、前記表面シートの一方向及びそれに交差する方向の両方向それぞれに、前記凸部と凹部とが交互に且つ一列をなすように形成されている請求項１〜５の何れかに記載の吸収性物品。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【公開番号】特開２００９−１１８９２１（Ｐ２００９−１１８９２１Ａ）
【公開日】平成２１年６月４日（２００９．６．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２９３６８０（Ｐ２００７−２９３６８０）
【出願日】平成１９年１１月１２日（２００７．１１．１２）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年６月４日（２００９．６．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１１月１２日（２００７．１１．１２）
【出願人】（００００００９１８）花王株式会社 (8,290)
【Ｆターム（参考）】
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