説明

吸収性物品

【課題】使用者に清潔感を与えることができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、使用者の体液を吸収する吸収体4と、吸収体4の一方の面を被覆し、使用者の体液を透過する液透過性シート2と、吸収体の他方の面を被覆し、使用者の体液を透過しない液不透過性シート3とを有し、L***表色系で、液透過性シート2の色のL*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下であり、L***表色系で、吸収体4の色のb*値が1以上、5以下であり、L*値が93以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体を被覆する液透過性シートを有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品は、使用者が感じる肌触りをよくするために肌と接触する表面に表面材を有する。この表面材を上層および下層とで構成するようにし、表面材を上層側から見たときに、下層の色を視認可能なように下層を着色し、L***表色系で着色した下層の色のb*値が5以上である吸収性物品が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。これにより、吸収性物品の外観の印象がよいものとなる。さらに、表面材内に経血やおりものが残った場合には、経血やおりものの色を下層の着色された色によって見え難いものにすることができる。また、吸収体に吸収された経血やおりものの色は下層の着色された色により効果的に隠蔽することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開20006−181294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
***表色系で、一般に吸収体の色のb*値は1〜12(代表的な吸収体のL***表色系を示す表2を参照)であり、黄色味を帯びている。また、特許文献1に記載の表面材の下層の色もb*値が5以上であるので、黄色味を帯びている。このため、表面材を通して吸収体を見たときに吸収体の黄色味が助長される。使用者は、吸収性物品を装着するときにその助長された黄色味によって吸収性物品を不潔に感じる場合があるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、課題を解決すため、以下の構成を採用した。すなわち、本発明の吸収性物品は、使用者の体液を吸収する吸収体と、吸収体の一方の面を被覆し、使用者の体液を透過する液透過性シートと、吸収体の他方の面を被覆し、使用者の体液を透過しない液不透過性シートとを有し、L***表色系で、液透過性シートの色のL*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下であり、L***表色系で、吸収体の色のb*値が1以上、5以下であり、L*値が93以上である。これにより、吸収体は、黄色味を帯びず、かつ黒ずんで見えないようにする。ここで、吸収体のb*値が5より大きく、L*値が93より小さい吸収体を液透過性シートで被服したときに、黄色味を帯びて見えないようにする(具体的にはb*値が1以下)ことは可能であるが、黒ずんで見えてしまうよう(具体的にはL*値が88未満)になる、もしくは、黒ずんで見えてしまうことはないが(具体的にはL*値が88以上)、黄色味を帯びて見えてしまう(具体的にはb*値が1以下、後で説明する不織布B及びCと吸収体E及びFを組み合わせたとき)ため、吸収体のb*値が7以上、L*値が93未満である吸収体は本発明には含まない。ここで、液透過性シートを通して吸収体を見たときの吸収体の色のL*値が88以上である。また、液透過性シートを通して吸収体を見たときの吸収体の色のa*値が−1以上、0.2以下であり、b*値が−8以上、1以下である。好ましくは、液透過性シートが、使用者の肌と接する表面材、または、表面材と前記吸収体との間にある中間シートである。さらに、液透過性シートの光線透過率が、30%以上、70%以下である。不織布の光線透過率が30%未満であると、吸収体の色味を見えなくすることは可能であるが、不織布の透液性が悪くなり、70%よりも大きくなると、表面材2の青色の効果があまり現れなくなる。また、液透過性シートの色が微青色であり、液透過性シートを微青色に着色する着色剤の、透過性シートに対する重量比率が500ppm以上、3000ppm以下である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、L***表色系で、L*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下である液透過性シートを、L***表色系で、b*値が1以上、5以下であり、L*値が93以上である吸収体に被覆して、液透過性シートを通して見える吸収体のb*値が−8以上、1以下、かつL*値が88以上になるようにした。これにより、使用者が液透過性シートを通して黄色味を帯びている吸収体を見たとき、黄色味を帯びていないように吸収体が見え、かつ黒ずんでいないため、使用者に対して吸収性物品の清潔感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における生理用ナプキンの正面図である。
【図2】図2は、図1の生理用ナプキンのA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る吸収性物品の一実施態様の吸収性物品として、生理用ナプキンを例に挙げて説明する。図1は、本発明の一実施形態における1例の生理用ナプキン1の平面図であり、図2は、図1の生理用ナプキン1のA−A断面図である。図1および図2に示すように、生理用ナプキン1は、液透過性の表面材2と、液不透過性の防漏シート3と、表面材2と防漏シート3との間に配置された吸収体4とを有する。
【0009】
表面材2の詳細については後述し、まず、防漏シート3について説明する。防漏シート3は、体液を透過しない液不透過性シートであり、排出された体液が外に漏れないようにするために設けられている。防漏シート3の材料は、排出された体液を透過しない材料であれば、とくに限定されない。たとえば、防水処理を施した不織布、ポリエチレンなどから構成されるプラスチックフィルム、不織布とプラスチックフィルムとの複合材料などを防漏シート3に用いることができる。
【0010】
吸収体4は排出された体液を吸収し保持する機能を有する。吸収体4の材料は、排出された体液を吸収する材料であれば、とくに限定されない。たとえば、フラッフ状パルプやエアレイド不織布と高吸収性ポリマーとからなる吸収体を例示できる。フラッフ状パルプの代わりに、たとえば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテートなどの人工セルロース繊維、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維(複合繊維も含む)を用いた繊維ネットワーク吸収体、ポリウレタン等のフォーム材を用いた発泡吸収体が例示できる。エアレイド不織布としては、たとえば、パルプと合成繊維とを熱融着させ、またはバインダーで固着させた不織布を例示できる。高吸収性ポリマー(SAP)は、水溶性高分子が適度に架橋された三次元網目構造を有するもので、数百倍〜千倍の水を吸収するが本質的に水不溶性であり、一旦吸収された水は多少の圧力を加えても離水しないものであり、たとえば、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状または繊維状のポリマーを例示できる。吸収体の形状および構造は必要に応じて変えることができ、吸収体の全吸収量は、吸収性物品としての必要な吸収量および所望の用途に対応させる。また、吸収体4のサイズや吸収能力などは用途に対応して変わる。吸収体4の色は、一般に黄色味を帯びている白色もしくは薄い黄色であり、L***表色系で、吸収体4の色のb*値は1〜12、L*値は90以上(表2に代表的な吸収体の表色系を示す)である。
【0011】
次に、表面材2について、詳細に説明する。表面材2は、体液を透過する液透過性のシートであり、使用者が生理用ナプキン1を装着したときに感じる肌触りをよくするために使用者の肌と接触する表面に設けられる。したがって、表面材2は肌触りを良好にする機能を有していることが好ましい。たとえば、表面材2は、細い繊維で作製され、表面が平滑で、変形に対して自由度が大きいことが必要である。また、表面材2は微青色に薄く着色されている。さらに、表面材2を通して吸収体4を視認できる。
【0012】
表面材2には、一般に不織布が用いられる。周知のカードウェブを用いたエアースルー法にて形成することができる。表面材2に用いる不織布の製造方法は、上記のエアースルー法に限定されず、たとえば、繊維ウェブを絡合することで安定なシートにするニードルパンチ、スパンレース方式、繊維を接着剤あるいは繊維自身の溶融によりウェブを固定するバインダー接着、熱接着方式、フィラメント繊維によりシール化するスパンボンド方式、抄紙によりシート化する湿式法などを不織布の製造に用いてもよい。
【0013】
表面材2の不織布に用いられる繊維としてたとえば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン及びこれらを主体とした共重合体エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリ乳酸等のポリエステル系、ナイロン等のポリアミド系から構成される。
【0014】
また、表面材2の不織布の繊維は、単一成分で構成される必要はなく、芯・鞘型、サイド・バイ・サイド型のものや島/海型などの複合繊維であってもよい。とくに、熱接着性を考慮すると芯部と鞘部とから構成される複合繊維が好ましい。不織布の繊維の断面形状は円だけでなく、三角型、四角型や星型などの異形であってもよい。さらに、不織布の繊維の芯の部分が中空であってもよいし、不織布の繊維が多孔であってもよい。不織布の繊維の芯部/鞘部構造おける芯部と鞘部との断面積比はとくに限定されるものではないが、80/20〜20/80であることが好ましく、60/40〜40/60であればさらに好ましい。不織布の繊維の芯部/鞘部構造おける芯部と鞘部との断面積比が、80/20よりも芯部の断面積が大きくなる方になると、繊維間の接着が弱くなる場合があり、不織布の繊維の芯部/鞘部構造おける芯部と鞘部との断面積比が、20/80よりも鞘部の断面積が大きくなる方になると、繊維間の熱接着工程で繊維の大部分が融解してしまう場合がある。
【0015】
表面材2の不織布に用いる繊維の繊度は、好ましくは1.0〜20dtexであり、吸収性物品の表面材としては、繊度が1.2〜4.4dtexであることがさらに好ましい。また、表面材2の不織布に用いる繊維の繊維長は好ましくは5〜75mmであり、カード適正を考慮すると繊維長は25〜51mmであることがさらに好ましい。
【0016】
表面材2の不織布に用いる繊維の坪量は、好ましくは10〜100g/m2であり、吸収層に吸収された液が表面側に染み出るいわゆるリウエットバックおよび透液性などの観点から、より好ましくは20〜35g/m2である。表面材2の不織布に用いる繊維の密度は、好ましくは0.001〜0.2g/cm3であり、リウエットバックおよび透液性などの観点から、より好ましくは0.015〜0.08g/cm3である。表面材2の不織布の3g/cm2加重下における厚みは、好ましくは0.1〜3mmであり、リウエットバックおよび透液性などの観点から、より好ましくは0.5〜2mmである。
【0017】
上述したように、表面材2は微青色に着色されているので、次に表面材2の色について説明する。表面材2の色は微青色が好ましく、具体的には、L***表色系で、L*値が88以上、a*値が0〜0.3、b*値が−8〜0であることが好ましい。
【0018】
*値が88よりも小さいと、表面材2の青色の濃淡が濃すぎてしまい、表面材2を通して見える吸収体4が黒ずんでしまう場合がある。また、a*値が0よりも小さいと、表面材2の色が緑色に近づきすぎてしまい、0.3よりも大きいと、表面材2の色が紫色に近づきすぎてしまい、どちらの場合も表面材2を通して見える吸収体4の清潔感が低下する場合がある。さらに、b*値が−8よりも小さいと、表面材2の青色が濃くなりすぎてしまい、表面材2を通して見える吸収体4の色が黒ずんでしまう場合があり、b*値が0よりも大きいと、表面材2の色が黄色味を帯びてしまい、表面材2を通して吸収体4を見たとき、吸収体4の黄色味が助長されてしまうことになる。
【0019】
ここで、L***表色系では、L*が色の明るさを示し、a**が色の色味を表す。L*値がプラス方向に変わると色は明るくなるとともに白っぽくなり、L*値がマイナス方向に変わると色は暗くなるとともに黒っぽくなる。a*値がプラス方向に変わると色味は赤色方向に変わり、a*値がマイナス方向に変わると色味は緑色方向に変わる。b*値がプラス方向に変わると色味は黄色方向に変わり、b*値がマイナス方向に変わると色味は青色方向に変わる。
【0020】
次に表面材2の着色について説明する。表面材2は着色された不織布であり、着色された不織布を得る方法としては、不織布の生産時に着色する方法と不織布の後工程として着色する方法とがある。
【0021】
不織布の生産時に着色する方法には、着色繊維を利用する方法と着色バインダーを利用する方法とがある。着色繊維を利用する方法では、顔料により着色された短繊維を使用して着色された不織布を作製する。この方法で作製された不織布は染色堅牢性が良好である。着色バインダーを利用する方法では、不織布の作製で短繊維同士を接着させるのに使用されるバインダーを顔料で着色することにより、着色された不織布を作製する。この方法よれば、構成繊維の種類に影響されないで不織布を着色できる。着色繊維を利用する方法と着色バインダーを利用する方法とを組み合わせて不織布を着色することもできる。
【0022】
不織布の後工程として着色する方法には、着色バインダーによる染色方法と着色剤による染色方法とがある。着色バインダーによる染色方法では、着色する不織布に着色バインダーを含浸させ、含浸させた不織布を絞り、乾燥して、不織布に含浸している着色バインダーのキュアリングを行うことによって不織布を着色する。この方法によれば、不織布の構成繊維に関係なく不織布を着色することができる。着色バインダーを捺染方式によりプリントすることによっても不織布を着色することができる。着色剤による染色方法では、不織布に着色剤をしみ込ませることにより不織布を着色する。不織布の着色に使用する着色剤は不織布の構成繊維によって決定され、たとえば、ポリエステル繊維ならば分散染料、ナイロン繊維ならば酸性染料、金属錯塩染料、分散染料などが不織布の着色に使用する着色剤として選ばれる。不織布の染色は、一般に、不織布に着色剤を含浸させた後、不織布を乾燥し、不織布に含浸させた染料のキュアリングを行い、水洗いを行った後、再び乾燥することによって行う。
【0023】
着色バインダーを用いた不織布の着色では、不織布の風合いが硬くなる場合があるので、着色繊維を利用する方法もしくは着色剤による染色方法で表面材2に使用する不織布を着色することが好ましい。
【0024】
上記着色繊維を利用する方法で使用する繊維を着色する顔料は、繊維を青色に着色できればとくに限定されないが、ピグメントブルー27、ピグメントブルー28、およびピグメントブルー29などの無機青色顔料や、ピグメントブルー15、ピグメントブルー16、ピグメントブルー60、および、フタロシアンブルーαなどの有機青色顔料などが好ましい。不織布全体に対する顔料の重量比率は、好ましくは、500〜3000ppmである。顔料の重量比率が500ppmよりも小さいと、表面材2の青色が薄すぎてしまい、本発明の効果がほとんど現れず、3000ppmよりも大きいと、表面材2の青色が濃すぎてしまい、表面材2を通して見える吸収体4の見映えが悪くなる場合がある。
【0025】
表面材2の青色の濃淡を調整する方法には、表面材2の構成繊維に付着する青色顔料の量を調整する方法と、青色顔料と青色以外の顔料(たとえば、白色顔料)とを表面材2の構成繊維に付着および/または含有させ、このときの顔料全体に対する青色顔料の割合や顔料の合計量を調整する方法と、青色に着色された繊維と青色に着色されていない繊維(たとえば、白色の繊維)との組み合わせで不織布を作製し、このときに青色に着色された繊維の割合を調整する方法とがある。
【0026】
青色顔料と白色顔料とを組み合わせて、表面材2の構成繊維を薄い青色に着色する場合、白色顔料には、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、タルクなどが好ましい。白色顔料の重量比率は、0.1〜20%が好ましい。具体的には0.1%以下であると光の透過性が高まり隠蔽効果が発揮せず黄色味を見えなくすることができず、また20%以上であると繊維強度が著しく低下するため原綿を紡糸する段階での生産性が悪化するため好ましくない。
【0027】
上記に示した顔料の他に染料を用いて表面材2に塗工したり、吸収性物品の各部材の貼り合せに用いられる接着剤、粘着材を着色して微青色を表現したりしてもよい。
【0028】
表面材2の不織布は、光透過性を有しており、この不織布の光線透過率は、30〜70%であることが好ましい。不織布の光線透過率が30%未満であると、吸収体の色味を見えなくすることは可能であるが透液性が悪くなり、70%よりも大きくなると、表面材2の青色の効果が現れなく場合がある。ここで光の透過率とは、不織布を通したときの光の強度を、不織布を通さないときの光の強度で割り算した値をパーセントで表したものである。光の透過率は、たとえば、日本電色工業株式会社製の交照側光方式色差計「300A」を使用して測定することができる。
【0029】
吸収体4を表面材2で被覆したとき、表面材2を通して見える吸収体4の色は、L***表色系で、L*の値が88以上、a*値が−1〜0.2、b*値が−8〜1であることが好ましい。L*の値が88よりも小さいと、吸収体4は、黒ずんだ色に見え、使用者は生理用ナプキン1に対して清潔感を感じなくなる場合がある。また、a*値が−1よりも小さいと、使用者は吸収体4が緑色に見え、0.2よりも大きいと、表面材2の色が紫色に見え、どちらの場合も生理用ナプキン1に対して清潔感を抱きづらくなる。さらに、b*値が−8よりも小さいと、吸収体4の青色が濃くなりすぎてしまい黒ずんで見え、b*値が1よりも大きくなると、吸収体4が黄色味を帯びて見えてしまい、どちらの場合も、使用者は、生理用ナプキン1に対して清潔感を感じない場合が起きてくる。
【0030】
なお、以上の一実施形態では、生理用ナプキンについて説明してきたが、本発明が生理用ナプキンに限定されるわけではない。たとえば、パンティライナーの吸収体が黄色味を帯びている場合、パンティライナーの吸収体を微青色に着色された表面材で被覆することによって、パンティライナーに対する清潔感を高めることができる。また、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート3およびそれらの間に介在配置された液保持性の吸収体としての吸収性コアを有するおむつについて、吸収性コアが黄色味を帯びている場合、本発明の微青色に着色されたシートを表面シートに適用することができる。他に、おりものシート、失禁パッド等にも本発明を適用することができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
【0032】
実施例1
実施例1では、微青色に着色した不織布を作製し、微青色に着色した不織布で黄色味を帯びている吸収体を被覆して、外部から微青色に着色した不織布を通して見える吸収体の色を測定した。具体的には、着色された不織布を吸収体に被せて、被せた上から色彩計を使用して吸収体の見かけ上の色を測定した。これにより、使用者が表面材2を通して吸収体4を見たときの、吸収体4の色を模擬的に作り出すことができ、その色を測定することができる。
【0033】
青色に着色した不織布の作製
HDPE/PET芯鞘型複合繊維(繊度:2.2dtex,芯鞘比54:46(重量比)繊維長:51mm)に酸化チタンを芯に3重量%含有させ、ピグメントブルー29(SiO2:39.60%、Al2O3:23.76%、Fe2O3:0.45、S:12.08%、Na:22.59、その他:1.52%)を芯に4740ppm含有させHDPE/PET芯鞘型複合繊維を青色に着色した。不織布作製後に、Si、Al、Feは島津製作所製 ICPS−8100型、S、Naは日本ジャーレルアッシュ製 IRIS Advantage型を使用してICP−AES法で着色剤の重量比を測定したところ、着色剤の重量比は、不織布に対して2560ppmであった。そして、この着色した複合繊維の原綿を使用して、カードウェブを用いたエアースルー法で青色に着色したフラットシートの不織布(不織布A)を作製した。具体的には、着色剤を含む複合繊維をバインダー繊維としたカードウェブを、20〜40メッシュのメッシュ径の通気性支持部材に載置し、10m/minのラインスピードで移動させ、140℃の熱風(20秒)を通して複合繊維同士を接着させ(熱接着方式)、不織布を作製した。作製した不織布Aの坪量は30g/m2であり、厚みは1.64mmであり、密度は0.018g/cm3であった。
【0034】
白色の不織布の作製
上記不織布Aの比較例として、白色の不織布(比較例A)を作製した。比較例Aの製造方法は、繊維を青色に着色しなかった以外は、上記不織布Aと同じである。作製した比較例Aの坪量は30g/m2であり、厚みは1.48mmであり、密度は0.020g/cm3であった。
【0035】
青色に着色した不織布および白色の不織布の色の測定
コニカミノルタ社製、色彩色差計CR−300を使用して、青色に着色した不織布Aと白色の不織布である比較例Aの色を測定した。標準白色板(L*値96.82,a*値0.45,b*値2.14)を使用して色彩色差計を校正し、標準白色板を不織布の下に置いて上記2種類の不織布の色を測定した。L***表色系で表した結果を下記の表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
不織布AのL*値は89.04であり、L*値が100に近く88以上であるので不織布Aの色が非常に明るい色、すなわち白色にかなり近い色であり黒ずんでいないことを示している。ここで、L*値が、0であると不織布Aは黒色であり、100であると白色である。不織布Aのa*値は、0.20であり、0近傍の値であるので、不織布Aが赤色および緑色の色味を帯びていないことを示している。ここで、a値が−60であると不織布Aは緑色であり、60であると赤色であり、a*値が0近傍の値であると淡色になる。また、不織布Aのb*値は、−7.73であるので、不織布Aが微青色を帯びていることを示している。ここで、b*値が−60であると不織布Aは青色であり、60であると黄色であり、b*値が0近傍の値であると淡色となり、−60から0に近づくにつれて不織布Aの青色は薄くなる。これらの不織布Aのa*値およびb*値は、不織布Aの色が青色であることを示している。したがって、不織布AのL***表色系の値は、不織布Aの色が微青色であってかなり白色に近い色、すなわち微青色であることを示している。
【0038】
比較例AのL*値は95.39であり、L*値が極めて100に近いので、比較例AのL*値は、比較例Aの色が白色であることを示している。比較例Aのa*値は、0.25であり、0近傍の値であるので、比較例Aが赤色および緑色の色味を帯びていないことを示している。また、比較例Aのb*値は、2.01であり、比較例Aが黄色味を帯びていることを示している。これより、比較例Aのa*値およびb*値は、比較例Aの色が微黄色であることを示している。したがって、比較例AのL***表色系の値は、比較例Aの色が黄色味を帯びた白色であることを示している。
【0039】
青色に着色した不織布および白色の不織布の光線透過率の測定
日本電色工業株式会社製の交照側光方式色差計「300A」を使用して青色に着色した不織布Aおよび白色の比較例Aの光線透過率を測定した。不織布Aの光線透過率は51.01%であり、比較例Aの光線透過率は59.23%であった。光線透過率が30%未満であると、吸収体の色味を見えなくすることは可能であるが、液透過性が悪くなり、光線透過率が70%以上であると吸収体の色味がそのまま露呈してしまう。
【0040】
吸収体の色の測定
本実施例で使用する吸収体が黄色味を帯びているかを確認するために吸収体の色を測定した。不織布の色の測定と同様に、コニカミノルタ社製、色彩色差計CR−300を使用して吸収体の色を測定した。標準白色板を使用して色彩色差計を校正した後、吸収体の色を測定した。測定した吸収体は、「ティッシュ」(坪量:14g/m2)(以下、吸収体Aと呼ぶ)、RAYONIER PERFORMANCE FIBERS製、を粉砕機にて解繊、(坪量:400g/m2)(以下、吸収体Bと呼ぶ)、Weyerhaeuser Company製を粉砕機にて解繊、(坪量:400g/m2)(以下、吸収体Cと呼ぶ)、王子キノクロス株式会社製、「エアレイドパルプ」(坪量:60g/m2)(以下、吸収体Dと呼ぶ)、東洋紡株式会社製、「ランシール」(登録商標)(坪量:100g/m2)(以下、吸収体Eと呼ぶ)およびプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社製、「パンパース」(登録商標)(パンツ型Lサイズ)に使用されている吸収体(坪量:400g/m2)(以下、吸収体Fと呼ぶ)であった。吸収体A〜FのL***表色系で表した測定結果を以下の表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
吸収体A〜FのL*値は、100に近い値を示しているので、表2は、吸収体A〜Fの色が白色に近い色であることを示している。吸収体A〜Fのa*値は、0近傍の値であるので、吸収体A〜Fが赤色および緑色の色味を帯びていないことを示している。また、吸収体A〜Fのb*値は、2.67〜10.69であり、吸収体A〜Fが黄色味を帯びていることを示している。これより、吸収体A〜Fのa*値およびb*値は、吸収体A〜Fの色が黄色であることを示している。したがって、吸収体A〜FのL***表色系の値は、吸収体A〜Fの色が黄色味を帯びた白色に近い黄色であることを示している。以上より、本実施例で使用する吸収体A〜Fが黄色味を帯びていることを確認できた。
【0043】
不織布を被せたときの吸収体の見かけ上の色の測定
コニカミノルタ社製、色彩色差計CR−300を使用して、不織布Aまたは比較例Aを被せたときの吸収体A〜Fの見かけ上の色を測定した。標準白色板を使用して色彩色差計を校正した後、不織布Aまたは比較例Aで吸収体A〜Fを被せた上から吸収体A〜Fの色を測定した。L***表色系で表した測定結果を下記の表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
不織布Aで吸収体A〜Fを被覆して、被せた上から色彩計を使用して吸収体A〜Fの見かけ上の色を測定した結果、吸収体A〜Fのb*値は、−6.48〜−1.11であった。これは、不織布Aで被覆すると吸収体A〜Fが黄色味を帯びて見えないことを示している。一方、比較例Aで吸収体A〜Fを被覆して、被せた上から色彩計を使用して吸収体の見かけ上の色彩を測定した結果、吸収体A〜Fのb*値は、1.79〜7.42であった。これは、比較例Aで被覆しても吸収体A〜Fが黄色味を帯びて見えることを示している。
【0046】
不織布Aを吸収体A〜Fに被せた場合の吸収体A〜Dの見かけ上のL*値が全て88以上であった。これは、不織布Aを吸収体A〜Dに被せても吸収体A〜Dがくすんだ黒っぽい色に見えないことを示している。吸収体E、Fについては、不織布Aを吸収体E、Fに被せることによってb*値を1以下にして黄色味を帯びないようにすることはできたが、L*値が88以下となり、吸収体E、Fは黒ずんだ色に見えることが明らかとなった。したがって、不織布Aは、不織布Aで吸収体A〜Dを被覆することにより、吸収体A〜Dを清潔に見えるようにすることができる。また、吸収体単体でのb*値が7.1以上、L*値が92.37以下である吸収体E、Fは、黄色味を帯びて見えないようにできたものの、黒ずんでみえてしまうため、本発明の一実施形態には適さないことが判明した。
【0047】
実施例2
次に、実施例2では、さらに着色剤(顔料)の割合を変えて、微青色に着色された表面材2による吸収体4の黄色味を減少させる効果を確認した。
【0048】
青色に着色した不織布の作製
HDPE/PET芯鞘型複合繊維(繊度:2.2dtex,芯鞘比:54:46繊維長:51mm)に酸化チタンを芯に3重量%含有させ、ピグメントブルー29(SiO2:39.60%、Al2O3:23.76%、Fe2O3:0.45、S:12.08%、Na:22.59、その他:1.52%)を芯に1180、2370、3555ppmそれぞれ含有させて、HDPE/PET芯鞘型複合繊維を微青色に着色し、不織布B〜Dを作成した。ピグメントブルー29の含有量は不織布BがHDPE/PET複合繊維の芯に1180ppm、不織布Cが2370ppm、不織布Dが3555ppmであった。不織布作製後に、Si、Al、Feは島津製作所製 ICPS−8100型、S、Naは日本ジャーレルアッシュ製 IRIS Advantage型を使用してICP−AES法で着色剤の重量比を測定したところ、着色剤の重量比は、不織布Bの複合繊維が、不織布に対して640ppmであり、不織布Cの複合繊維が、不織布に対して1280ppmであり、不織布Dの複合繊維が、不織布に対して1920ppmであった。そして、この着色した複合繊維の原綿を使用して、実施例1と同様な方法で、青色に着色した本発明の実施例である不織布B〜Dを作製した。不織布Bの坪量は30g/m2であり、厚みは1.54mmであり、密度は0.019g/cm3であった。不織布Cの坪量は30g/m2であり、厚みは1.9mmであり、密度は0.016g/cm3であった。不織布Dの坪量は30g/m2であり、厚みは1.78mmであり、密度は0.017g/cm3であった。
【0049】
青色に着色した不織布の色の測定
コニカミノルタ社製、色彩色差計CR−300を使用して、青色に着色した不織布B〜Dの色を測定した。実施例1と同様に、標準白色板を使用して色彩色差計を校正し、標準白色板を不織布B〜Dの下に置いて上記2種類の不織布の色を測定した。L***表色系で表した結果を下記の表4に示す。
【0050】
【表4】

【0051】
不織布B〜DのL*値は、100に近い値を示しており不織布B〜Dの色が非常に明るい色、すなわち白色に近いであることを示している。不織布B〜Dのa*値は、0.16〜0.21であり、0近傍の値であるので、不織布B〜Dが赤色および緑色の色味を帯びていないことを示している。また、不織布B〜Dのb*値は、−0.5〜−4.76であるので、不織布B〜Dが着色量の含有率が減るにつれて、より淡い微青色を帯びていくことを示している。これより、不織布B〜Dの色が微青色であってかなり白色に近い色であることを示している。
【0052】
青色に着色した不織布の透過率の測定
日本電色工業株式会社製の交照側光方式色差計「300A」を使用して不織布B〜Dの光線透過率を測定した。不織布Bの光線透過率は66.9%であり、不織布Cの光線透過率は61.81%であり、不織布Dの光線透過率は56.88%であった。不織布の光線透過率は30%未満であると、吸収体の色味を見えなくすることは可能であるが、液透過性が悪くなり、不織布の光線透過率が70%よりも大きいと吸収体の色味がそのまま露呈してしまう。
【0053】
不織布を被せたときの吸収体の色の測定
コニカミノルタ社製、色彩色差計CR−300を使用して、不織布B〜Dを被せたときの吸収体A〜Fの見かけ上の色を測定した。吸収体A〜Fは、実施例1のものと同じである。標準白色板を使用して色彩色差計を校正した後、不織布B〜Dで吸収体A〜Fを被せた上から吸収体A〜Fの色を測定した。L***表色系で表した測定結果を下記の表3に示す。また、参考のため、実施例1の不織布Aの測定結果も一緒に示す。
【0054】
【表5】

【0055】
表5の結果から、不織布B〜Dは、b*値が4.18以下の黄色の色味を帯びている吸収体について(吸収体A〜D)、b*値を1以下、かつL*値を88以上にした。すなわち、見かけ上、黄色味を帯びず、黒ずんで見えないようにすることができた。また、不織布Aと同様に、吸収体単体でのb*値が7.1以上、L*値が92.37以下である吸収体E、Fは、吸収体が黄色味を帯びて見えないようにすることができたものの、吸収体E、Fが黒ずんで見えてしまう(不織布AおよびDと吸収体EおよびFを組み合わせたとき)もしくは、黒ずんで見えてしまうことはないが、黄色味を帯びて見えてしまう(不織布BおよびCと吸収体EおよびFを組み合わせたとき)ため、吸収体E、Fは本発明の一実施形態には適さないことがわかった。
【0056】
不織布B〜Dを吸収体A〜Fに被せた場合の吸収体A〜Fの見かけ上のa*値は0.12〜−1.03であった。これより、不織布B〜Dを被せた吸収体A〜Fが緑色に見えたり、紫色に見えたりするのを不織布B〜Dは抑制することができた。
【0057】
したがって、不織布B〜Dは、吸収体単体でのb*値が5よりも大きく、L*値が93よりも小さい吸収体以外の吸収体について、すなわち、吸収体単体でのb*値が5以下であり、L*値が93以上の吸収体について、吸収体を、黄色味を見えなくし、かつ黒ずんで見えなくすることができ、使用者に対して清潔感を与えることができた。より好ましくは、不織布B〜Dは、吸収体単体でのb*値が4.18以下、L*値が94.47以上である吸収体を、黄色味を見えなくし、かつ黒ずんで見えなくすることができ、使用者に対して清潔感を与えることができる。
【0058】
その他
本発明実施形態について、その他、言及すべき点について述べる。
(1)繊維に関して
カードウェブの繊維配向は主に平面方向へ向いているため、2次元形状であると嵩が出にくい。そこで、厚み方向に嵩を出し、挫屈強度が厚み方向へ働き、外圧が加わっても嵩が潰れにくい構造となるように3次元捲縮構造にすることが好ましい。3次元捲縮形状とはスパイラル状・ジグザグ状・Ω状などであり、繊維配向は主体的に平面方向へ向いていても部分的には繊維配向が厚み方向へ向くことになる。これにより、繊維自体の挫屈強度が厚み方向へ働くため、外圧が加わっても嵩が潰れにくくなる。さらには、これらの中でも、スパイラル状の形状であれば、外圧が解放されたときに形状が元に戻ろうとするため、過剰な外圧で嵩が若干潰れても外圧解放後には元の厚みに戻りやすくなる。具体的には潜在捲縮繊維の一例として、ポリプロピレン/ポリオレフィンポリプロピレン共重合体を用いたサイド・バイ・サイド型、顕在捲縮繊維は芯鞘型の芯が偏芯嵩が潰れにくい構造・維持し易くなっているため、液体の透過機能が低下しにくくなり、シートに液体が残りにくく、青色の隠蔽効果が低下することがない。逆に液体がシートに留まってしまうと青色隠蔽効果、具体的には体液の色に染まってしまうため青色に着色した効果が低下する。
【0059】
繊維にアニーリング処理(芯鞘型複合繊維の場合、繊維の形状を安定化させるために鞘成分の融点がそれに近い温度に加熱処理する)を施すことによって、螺旋形状・ジグザグ状・Ω状の3次元構造体が維持され易くなり、主に平面方向に並んでいる繊維に3次元構造を付与することによって厚み方向に嵩を持たせ嵩維持性がよくなる(たとえば、特開2009−30218号参照)。本発明の実施形態では、嵩が潰れにくい構造・維持し易くなっているため、液体の透過機能が低下しにくくなり、シートに液体が残りにくく、青色の隠蔽効果が低下することがない。逆に液体がシートに留まってしまうと青色隠蔽効果、具体的には体液の色に染まってしまうため青色に着色した効果が低下する。
【0060】
(2)不織布の嵩回復
巻回りによって嵩が減少した不織布の厚みを容易に回復させえる不織布の嵩回復方法としては、熱可塑性繊維の融点より低い温度の熱風を吹き付けることにより、嵩を回復させることができる。このように嵩を回復させることによってシートを低密度化および繊維を起こす作用が生じるため液体の透過性がよくなる。本発明の実施形態では、透液性がよくなることによってシートに液体が残りにくくなり、青色の隠蔽効果が低下することがない。逆に液体がシートに留まってしまうと青色隠蔽効果、具体的には体液の色に染まってしまうため青色に着色した効果が低下する。
【0061】
(3)密度勾配、親水勾配に関して
吸収性物品のシート構成として、表面材〜吸収体までの繊維密度勾配を表面材<吸収体(吸収体の方が繊維密度が高い)、同様に親水勾配を表面材<吸収体(吸収体の方が親水度が高い)にする。本発明の実施形態では、液体の透過性がよくなりシートに液体が残らないようになるため微青色に着色されたシートの効果が低下することはない。
【0062】
(4)着色材種
不織布の着色剤として蛍光増白材を用いてもよい。蛍光増白材とは、紫外線を吸収して青紫〜青緑色の反射光を発する染料であり、この場合、明度の低下を引き起こさずに、青の補色である黄色の黄ばみを目立たなくする効果がある。
【0063】
(5)表面材としての構造体
水平面に対する垂線と交差して作る90度を含む鋭角の交差角度と90度よりも大きい鈍角の交差角度とのうちの前記鋭角の交差角度の平均値である平均繊維角度が75度以下にする(たとえば、特開2009−30218号参照)。本発明の実施形態では、液体の透過抵抗を軽減させ、シートに液体が残りにくい構造にすることによって微青に着色されたシートの効果を損なわないようにすることができる。
【0064】
以上の一実施形態による生理用ナプキン1は次のような作用効果を奏する。
(1)使用者の体液を吸収する吸収体4と、吸収体4の一方の面を被覆し、使用者の体液を透過する表面材2と、吸収体4の他方の面を被覆し、使用者の体液を透過しない防漏シート3とを有するナプキン1で、L***表色系で、L*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下である表面材2を、L***表色系で、b*値が1以上、5以下であり、L*値が93以上である吸収体4に被覆することによって、吸収体4が黄色味を帯びずかつ黒ずんで見えないようにした。これにより、使用者が表面材2を通して黄色味を帯びている吸収体4を見たとき、黄色味を帯びていないように吸収体4が見え、使用者に対して生理用ナプキン1の清潔感を与えることができる。
【0065】
(2)表面材2を通して吸収体4を見たときの吸収体4の色のL*値が88以上であるようにした。これより、表面材2を吸収体4に被せたとき吸収体4が黒ずんで見えることはない。したがって、吸収性物品1は使用者に対して清潔感をさらに与えることができる。
【0066】
(3)表面材2を通して吸収体4を見たときの吸収体4の色のa*値が−1以上、0.2以下であり、b*値が−8以上、1以下であるようにした。これにより、表面材2を吸収体4に被せたとき吸収体4が緑色に見えたり、紫色に見えたりするのを抑制することができ、吸収性物品1は使用者に対して清潔感をさらに与えることができる。
【0067】
(4)使用者の肌と接する表面材に着色したシートを用いた。これにより、使用者の肌触りを良好にする機能を有するシートと、吸収体4の見え方を清潔に見えるようにする機能を有するシートとを一つのシートで構成することができ、吸収性物品1の構造を単純にすることができる。
【0068】
(5)表面材2の光線透過率が、30%以上、70%以下であるようにした。不織布の光線透過率が30%未満であると、吸収体の色味を見えなくすることは可能であるが不織布の透液性が悪くなり、70%よりも大きくなると、表面材2の青色の効果が現れなくなる。これにより、表面材2が吸収性物品としての液透過性を損なうことなく、吸収体4の黄色味を抑制する効果も有するようにすることができる。
【0069】
(6)表面材2の色が青色であり、表面材2を青色に着色するピグメントブルー29の、表面材2に対する重量比率が500ppm以上、3000ppm以下であるようにした。これにより、表面材の色の青色の濃さを、使用者が清潔に感じる最適な濃さ微青色に着色することができる。
【0070】
以上の一実施形態による生理用ナプキン1を次のように変形することができる。
(1)色のL*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−7以上、0以下であるシートは、吸収体4の一方の面を被覆する液透過性シートであれば、表面材2に限定されない。たとえば、表面材と吸収体との間に中間シートを有する場合、中間シートの色のL*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下であるようにしてもよい。この場合は、使用者の肌触りを良好にする機能を有するシートと、吸収体4の見え方を清潔に見えるようにする機能を有するシートとを一つのシートで構成することができ、吸収性物品1の構造を単純にすることができるという効果を有さないものの、この場合も、使用者が表面材および中間シートを通して黄色味を帯びている吸収体を見たとき、黄色味を帯びていないように吸収体が見え、使用者に対して生理用ナプキンの清潔感を与えることができる。また、色のL*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下であるシートと吸収体との間に他のシートが存在するようにしてもよい。つまり、当該シートは、吸収体を被覆していれば、直接的に被覆しても間接的に被覆していてもよい。また、当該シートは、吸収体を被覆していれば、吸収体の一方の面の全体を被覆していてもよいし、その面の一部を被覆しているようにしてもよい。
【0071】
(2)表面材に対する重量比率が500ppm以上、3000ppm以下であるように添加する着色剤はピグメントブルー29に限定されない。たとえば、ピグメントブルー27およびピグメントブルー28などの無機青色顔料や、ピグメントブルー15、ピグメントブルー16、ピグメントブルー60、および、フタロシアンブルーαなどの有機青色顔料などでもよい。この場合も、表面材の色の青色の濃さを、使用者が清潔に感じる最適な濃さ(微青)にすることができる。
【0072】
(3)色のL*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下である液透過性シートであれば、そのシートは、不織布に限定されない。たとえば、繊維を編んだシートであってもよい。
【0073】
(4)本発明に適用する吸収性物品は、生理用ナプキンに限定されない。たとえば、パンティライナー、おりものシート、失禁パッド、使い捨ておむつ等にも本発明を適用することができる。
【0074】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0075】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
1 生理用ナプキン
2 表面材
3 防漏シート
4 吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の体液を吸収する吸収体と、
前記吸収体の一方の面を被覆し、使用者の体液を透過する液透過性シートと、
前記吸収体の他方の面を被覆し、使用者の体液を透過しない液不透過性シートとを有し、
***表色系で、前記液透過性シートの色のL*値が88以上であり、a*値が0以上、0.3以下であり、b*値が−8以上、0以下であり、
***表色系で、前記吸収体の色のb*値が1以上、5以下であり、L*値が93以上である吸収性物品。
【請求項2】
前記液透過性シートを通して前記吸収体を見たときの前記吸収体の色のL*値が88以上である請求項1の吸収性物品。
【請求項3】
前記液透過性シートを通して前記吸収体を見たときの前記吸収体の色のa*値が−1以上、0.2以下であり、b*値が−8以上、1以下である請求項1または2の吸収性物品。
【請求項4】
前記液透過性シートが、使用者の肌と接する表面材、または、表面材と前記吸収体との間にある中間シートである請求項1乃至3のいずれかの吸収性物品。
【請求項5】
前記液透過性シートの光線透過率が、30%以上、70%以下である請求項1乃至4のいずれかの吸収性物品。
【請求項6】
前記液透過性シートの色が青色であり、前記液透過性シートを青色に着色する着色剤の、前記透過性シートに対する重量比率が500ppm以上、3000ppm以下である請求項1乃至5のいずれかの吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−212211(P2011−212211A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82893(P2010−82893)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】