説明

吸収性物品

【課題】排泄物により発生した不快臭による不快感を、着用者に与えることを抑制する。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シート11と、液不透過性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に配置される吸収体2とを有する吸収性物品1であって、表面シート11と裏面シート12との間に、発熱体3A、3Bが配置されるように構成されており、発熱体3A、3Bは、芳香剤を内包した可溶性のマイクロカプセル60A、60Bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、吸収体と表面シート又は裏面シートとの間に発熱体層が設けられている吸収性物品が開示されている。
【0003】
かかる吸収性物品は、パンティライナーや失禁パッドや生理用ナプキン等であり、体内から排出された経血、尿、汗等の排泄物を吸収するとともに、逆戻りしないように吸収体等に排泄物を保持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】CN101273938A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出願人は、上述の吸収性物品では、次の問題点があることを発見した。このような吸収性物品が、排泄物を吸収し、その後も着用され続けると、股間等に常在する菌が排泄物中を床として繁殖することから、不快臭が発生しやすくなる。
【0006】
特に、上述の吸収性物品では、発熱体層が発熱するため、着用者が汗をかきやすいだけでなく、温度の上昇により菌の繁殖が増加する傾向にあるので、特に不快臭が発生しやすい。したがって、上述の吸収性物品では、発生した不快臭により、着用者に不快感を与えやすいという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、排泄物により発生した不快臭による不快感を着用者に与えることを抑制することのできる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、吸収性物品であって、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、前記表面シートと前記裏面シートとの間に、発熱体が配置されるように構成されており、前記発熱体は、芳香剤を内包した可溶性のマイクロカプセルを有することを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、排泄物により発生した不快臭による不快感を着用者に与えることを抑制する吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図におけるa-a断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の発熱体を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品における発熱体の他の例を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品が下着に着用された状態を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品が下着に着用された状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、パンティライナーや失禁パッドや生理用ナプキン等である。
【0012】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図を示し、図2に、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図におけるa-a断面図を示す。
【0013】
図2に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シート11と、液不透過性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12との間に配置される吸収体2とを有する。
【0014】
なお、本実施形態に係る吸収性物品1において、表面シート11と吸収体2との間に、セカンドシートが配置されていてもよい。
【0015】
吸収体2は、粉砕パルプ及び高吸収ポリマーと両者を包み込むコアラップとによって構成されている。ここで、高吸収ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体の粒状のポリマー、又は、ポリアクリル酸をナトリウムにより部分中和した粒状のポリマーである。
【0016】
また、コアラップは、液体を吸収する任意の材料のシートである。例えば、コアラップとして、ティッシュを用いてもよいし、親水性繊維や粉砕パルプをエアレイド法によってシート状にしたエアレイドシートを用いてもよい。
【0017】
また、本実施形態に係る吸収性物品1には、図1に示すように、複数の圧搾溝21、22、23が設けられていてもよい。ここで、圧搾溝21、22、23は、表面シート11から吸収体2までを圧搾するように構成されている。
【0018】
また、本実施形態に係る吸収性物品1は、図1に示すように、吸収性物品1の幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対のウィング部41を有していてもよい。さらに、本実施形態に係る吸収性物品1は、吸収性物品1の長手方向Lにおいて、ウィング部41の後方に、1対のヒップフラップ部42を有していてもよい。
【0019】
ここで、ウィング部41及びヒップフラップ部42では、裏面シート12の衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤が塗布されている。
【0020】
また、本実施形態に係る吸収性物品1では、図1及び図2に示すように、表面シート11と裏面シート12との間で、かつ、吸収体2が設けられている領域よりも吸収性物品1の長手方向Lの外側に、発熱体3A、3Bが配置されるように構成されている。
【0021】
また、本実施形態に係る発熱体3A、3Bは、図1及び図2に示すように、発熱材50A、50Bと、発熱材50A、50Bを包むシート部材80A、80Bとを有する。
【0022】
発熱材50A、50Bを包むシート部材80A、80Bとしては、通気性を有し、粉末の漏れ出しを防ぐものが好ましく、例えば、透湿性フィルムやメルトブローン不織布等が好適に用いられる。
【0023】
ここで、図3には、発熱体3Aの拡大図が示されている。なお、発熱体3A、3Bは、同一であるため、以下、発熱体3Aの構造について説明する。同様に、発熱材50A、50Bと、シート部材80A、80Bについても、発熱材50Aと、シート部材80Aの構造について説明する。
【0024】
発熱材50Aは、公知の使い捨てカイロなどに使用しているものが挙げられ、鉄粉と活性炭と塩化ナトリウム等を含む複合粉末を使用することができる。
【0025】
また、本実施形態に係る発熱材50Aは、この複合粉末の他に、芳香剤を内包した可溶性のマイクロカプセル60Aを有する。マイクロカプセル60Aには、芳香剤が、マイクロカプセル60Aのカプセル膜によって内包されている。なお、芳香剤としては、動物性香料、植物性香料あるいは合成香料を使用できる。
【0026】
マイクロカプセル60Aのカプセル膜は、可溶性であり、例えば、水溶性であることが好ましい。また、カプセル膜は、空気中の水分によって溶解するとともに、崩壊する程度の膜厚であることが好ましい。なお、カプセル膜は、膜厚を異ならせれば、溶解するまでの時間を異ならせることができるため、全体として芳香する期間を持続させることができる。
【0027】
また、マイクロカプセル60Aは、単核カプセルであってもよいし、多核カプセルであってもよい。また、マイクロカプセル60Aの形状は、球形であってもよいし、非球形であってもよい。
【0028】
更に、上述の例では、マイクロカプセル60Aが芳香剤を内包する例を挙げたが、マイクロカプセル60Aは、消臭剤を内包するように構成されていてもよい。消臭剤としては、脂肪族カルボン酸などを使用できる。
【0029】
なお、本実施形態に係る吸収性物品1では、マイクロカプセル60Aがシート部材80Aに配置されていてもよい。ここで、図4には、マイクロカプセル60Aがシート部材80Aに配置された例が示されている。図4に示すように、発熱体3Aは、マイクロカプセル60Aをシート部材80Aに担持するように構成されていてもよい。
【0030】
また、本実施形態に係る吸収性物品1において、吸収体2が設けられている領域よりも吸収性物品1の長手方向Lの前方側及び後方側に、発熱体3A、3Bが配置されるように構成されていてもよいし、吸収体2が設けられている領域よりも吸収性物品1の長手方向Lの前方側のみに、発熱体3Aが配置されるように構成されていてもよい。
【0031】
また、吸収性物品1の周囲は、接着剤やシールで接合されてシール部24を形成しており、さらに、発熱体3A、3Bと吸収体2との間も接着剤やシールで接合され、シール部25A、25Bを形成している。このシール部25A及び25Bにより、吸収体2の吸収された排泄物や水分から発生する蒸気が発熱体3A及び3Bによって直接暖められることを防止することができる。
【0032】
また、発熱体3A、3Bが設けられている領域では、裏面シート12の衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤が塗布されていてもよい。
【0033】
図5及び図6に、本実施形態に係る吸収性物品1が下着100に着用された状態を示す。
【0034】
着用者は、吸収性物品1を下着100に着用する際に、ウィング部41を下着のクロッチに巻き込み、ヒップフラップ部42を下着100の上に広げて、吸収性物品1を下着100に固定する。
【0035】
発熱体3A、3Bは、図5に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1が下着100に着用された状態において、下着100の内側面に固定されるように構成されていてもよい。
【0036】
また、発熱体3A、3Bは、図6に示すように、本実施形態に係る吸収性物品1が下着100に着用された状態において、下着100の外側面に固定されるように構成されていてもよい。
【0037】
本実施形態に係る吸収性物品1によれば、発熱体3Aが、芳香剤を内包した可溶性のマイクロカプセル60Aを有するので、マイクロカプセル60Aのカプセル膜が吸収性物品1を包装から開封した際から溶解し、芳香剤を拡散させることができる。したがって、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、芳香剤の拡散によって、排泄物により発生した不快臭による不快感を、着用者に与えることを抑制することができる。
【0038】
また、発熱体3Aが、芳香剤を内包した可溶性のマイクロカプセル60Aを有するので、発熱体3Aの発熱によって、芳香剤が拡散されることを促進し、不快臭による不快感を着用者に与えることを、より抑制することができる。
【0039】
本実施形態に係る吸収性物品1によれば、吸収体2が設けられている領域には、発熱体3A、3Bが配置されないように構成されているため、体液を吸収した吸収体を温めることに起因する着用者の肌及び表面シート11の表面における蒸れを発生させることなく、着用者の子宮を温めて生理痛を低減することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る吸収性物品1によれば、発熱体3A、3Bが、吸収性物品1と一体となっているため、着用者は、発熱体3A、3Bが温かくなくなってきた場合に、吸収性物品1の取替え時期が来たと気付くことができる。
【0041】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0042】
1…吸収性物品
2…吸収体
3A、3B…発熱体
11…表面シート
12…裏面シート
21、22、23…圧搾溝
41…ウィング部
42…ヒップフラップ部
50A、50B…発熱材
60A、60B…マイクロカプセル
80A、80B…シート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に、発熱体が配置されるように構成されており、
前記発熱体は、芳香剤を内包した可溶性のマイクロカプセルを有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記発熱体は、前記表面シートと前記裏面シートとの間で、かつ、前記吸収体が設けられている領域よりも前記吸収性物品の長手方向の外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体と前記発熱体との間で、前記液透過性の表面シートと前記液不透過性の裏面シートとを接合するシール部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−75569(P2012−75569A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222317(P2010−222317)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】