説明

吸収性物品

【課題】吸収体の長手方向にスリットを形成することにより吸収性物品の装着時におけるフィット性を高めつつも,吸収体にスリットを形成したことが原因となってトップシートの一部に裂け目が生じ,この裂け目から吸収性材料が外部に漏出するという問題を解決できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】スリット11が形成された吸収体10を有する吸収性物品の問題点について考察を行ったところ,吸収体10を被覆するトップシート20のうち,特にスリット11の後身頃2側の端部上を被覆する箇所に最も裂損が生じ易いことを見出した。すなわち,少なくともスリット11の後身頃2側の端部上を覆うように補強シート40を配置し,トップシート20を補強することで,トップシート20に裂け目が生じるという問題を解消するという知見に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,吸収性物品に関する。具体的に説明すると,本発明に係る吸収性物品は,例えば使い捨ておむつや尿パッドのように,着用者の股下に装着され尿などの体液を吸収し保持する機能を有する。
【背景技術】
【0002】
従来から,例えば使い捨ておむつや尿パッドのような,トップシートと,バックシートと,これらのシート間に介在する吸収体を含む吸収性物品が知られている。一般的な吸収性物品において,吸収体は,着用者の肌に接する表面側から液透過性材料で形成されたトップシートにより被覆され,反対の裏面側から液不透過性材料で形成されたバックシートにより被覆されている。このため,例えば着用者の排泄液は,トップシートを透過して,吸収体により吸収され,バックシートよって外側への漏出が防止される。
【0003】
また,上記構成を有する吸収性物品として,吸収体の表面から裏面まで貫通するスリットが,股下部を中心として吸収体の長手方向に延びるように形成されたものが知られている(特許文献1,特許文献2)。このように,吸収体にスリットを設けることで,吸収性物品が着用された際に,股下部分に配置された吸収体の幅が縮小し,股下部における弛みや過剰な膨らみからなる皺が抑制され,吸収性物品の前身頃や後身頃が着用者の体に適切にフィットするようになる。このため,吸収体にスリットを設けることは,着用者に対して良好な着用感を与えることができ,さらに吸収性物品を着用した際の見栄えも良くなるという観点から好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−152209号公報
【特許文献2】特開2008−206539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,吸収性物品の吸収体にスリットを形成した場合,スリット部分に段差が形成されて溝となり,吸収体とトップシートの間に隙間が生じやすくなる。特に,スリットの端部近傍においては,吸収体とトップシートの間の隙間が生じやすい。そして,このようなスリットを有する吸収体に,体液が吸収されると,スリットの端部上に配置されたトップシートが,吸収体の表面から浮いてしまう事態が生じていた。また,トップシートは,着用者の発汗や排泄によって濡れると,着用者の肌との密着性が高まるようになる。従って,例えば着用者の動作によって,吸収体表面から浮き上がり濡れた状態のトップシートに対して急激な外力が加わると,トップシートが破れてしまうことがあり,その結果,トップシートにより被覆されていた吸収性材料(例えば繊維材料や高吸収性ポリマー)が,吸収性物品の外側へ漏出するという問題が生じていた。
【0006】
そこで,本発明者らは,上記問題点について調査考察を行ったところ,図8に示されるように,従来の吸収性物品100´では,吸収体10´を被覆するトップシート20´のうち,特にスリット11´の後身頃2´側の端部上を被覆する箇所に裂損が生じ易いことがわかった。図8では,調査考察の結果,裂損が最も多く発生された箇所を,一点鎖線の円(符号R)で示している。すなわち,着用者は,吸収性物品100´を着用したまま椅子や床に座る機会が多いため,着用者の背部(特に臀部)を覆う後身頃2´に外的な負荷が掛かりやすい。また,吸収性物品100´が着用された状態においては,着用者の腹部より背部の方が吸収性物品100´との密着度が高くなる。これらの要因が,トップシート20´におけるスリット11´の後身頃側の端部上に裂損が多く発生した理由であると考えられる。
【0007】
このため,現在では,吸収体の長手方向にスリットを形成することにより吸収性物品の装着時におけるフィット性を高めつつも,吸収体にスリットを形成したことが原因となってトップシートの一部に裂け目が生じ,この裂け目から吸収性材料が外部に漏出するという問題を解決することができる吸収性物品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のように,本発明の発明者らは,スリットが形成された吸収体を有する吸収性物品の問題点について考察を行ったところ,吸収体を被覆するトップシートのうち,特にスリットの後身頃側の端部上を被覆する箇所に最も裂損が生じ易いことを見出した。そこで,少なくともスリットの後身頃側の端部上を覆うように補強シートを配置し,トップシートを補強することにより,トップシートに裂け目が生じるという問題を防止することができるという知見を得た。そして,発明者らは,上記知見に基づけば,従来技術の問題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に本発明は,以下の構成を有する。
【0009】
本発明は,吸収性物品に関する。
本発明の吸収性物品は,着用者の腹部側に位置する前身頃1と,着用者の背部側に位置する後身頃2と,前身頃1と後身頃2の間に位置し着用者の股下にあてがわれる股下部3から構成さている。
また,本発明の吸収性物品は,液体を吸収し保持する吸収体10と,吸収体10を表面側から被覆する液透過性のトップシート20と,吸収体10を裏面側から被覆する液不透過性のバックシート30を有する。なお,吸収体10の表面とは,吸収性物品の装着時において着用者の肌に接する側の面(肌当接面)を意味し,吸収体10の裏面とは,吸収性物品の装着時において着用者の肌に接しない側の面(肌非当接面)を意味する。
吸収体10は,少なくとも吸収性物品の股下部3に配置されていればよく,股下部3を中心として,前身頃1や後身頃2にかけて配置されているものであってもよい。
吸収体10には,スリット11が形成されている。
スリット11は,吸収体10の表面側から裏面側まで貫通した切込み線である。スリット11は,少なくとも股下部3に形成され,股下部3から吸収体10の長手方向に延び,前身頃1や後身頃2にまで至るものであってもよい。また,スリット11は,少なくとも吸収体10における後身頃2側の端縁には達しない長さで形成されている。すなわちスリット11の後身頃2側の端部は閉じられている。なお,スリット11は,吸収体10の前身頃1側の端縁には至らない長さを有するものであってもよい。
そして,少なくともスリット11の後身頃2側の端部上であって,トップシート20上又は吸収体10とトップシート20の間には,補強シート40が配置されている。
【0010】
上記構成のように,吸収体10の長手方向にスリット11を形成することにより,吸収性物品の装着時において吸収体10の幅が縮小し,股下部3における弛みや膨らみを抑制できるため,着用者の身体に適切にフィットさせることができる。一方,吸収体10にスリット11を形成するとトップシート20に裂け目が生じやすくなるが,少なくともスリット11の後身頃2側の端部上に補強シート40を配置することにより,裂け目が最も生じやすい箇所を補強することができる。その結果,本発明によれば,吸収性物品の装着時における着用感を向上させつつも,トップシート20の裂け目から吸収性材料が外部に漏出するという問題を効果的に解決することができる。
【0011】
本発明において,吸収体10は,少なくとも表面側からコアラップシート12によって被覆されていることが好ましい。
【0012】
コアラップシート12は,吸収体10を構成する繊維状や粒状の吸収性材料(例えば繊維材料や高吸収性ポリマー)を包囲し,吸収性材料が外部へ漏出することを防止するためのシート状の部材である。このように,吸収体10の表面側をコアラップシート12被覆することにより,吸収体10に形成されたスリット11上には,コアラップシート12,トップシート20,及び補強シート40の3枚が配置される。従って,トップシート20に生じる裂損をより効果的に防止できる。
【0013】
本発明において,補強シート40は,スリット11の後身頃2側の端部から前身頃1側の端部にかけて配置されることとしてもよい。
【0014】
上記構成のように,吸収体10の長手方向に延びるスリット11の全体を覆うようにして補強シート40を配置することにより,スリット11を形成することにより生じた吸収体10とトップシート20の間の隙間が原因となってトップシート20が裂けるという問題を確実に解消できる。
【0015】
本発明において,スリット11は,吸収体10の短手方向に並列するように二本一対で形成することとしてもよい。また,補強シート40は,二本一対のスリット11のそれぞれについて設けることとしてもよい。この場合において,二枚の補強シート40は,それぞれ間隔をあけて配置されることが好ましい。
【0016】
上記構成のように,スリット11は,2本以上形成することとしても良いし,補強シート40は,スリット11の数に合わせて2枚以上配置することとしても良い。そして,二本一対のスリット11が形成され,スリット11の数に対応して二枚の補強シート40が設けられる場合において,各補強シート40は間隔をあけて配置されることが好ましい。すなわち,補強シート40を配置することにより,着用者により排泄された体液が吸収体10に吸収されるまでの時間の遅延が懸念されるが,二枚の補強シート40の間に間隔を設けて配置することにより,この間隔を介して体液が吸収体10に浸透するため,効率的に体液を吸収することができる。また,二枚の補強シート40の間に間隔を設けたとしても,トップシート20を補強するという補強シート40の機能が全く損なわれないという点も利点である。
【0017】
本発明において,トップシート20及び補強シート40は,一定方向の繊維配向を有する不織布で形成することとしてもよい。この場合において,補強シート40は,補強シート40を形成する不織布の繊維配向が,トップシート20を形成する不織布の繊維配向と直交する向きとなるように配置されることが好ましい。
【0018】
例えば,エアースルー方式やスパンボンド方式等の公知の方式を採用することで,一定方向の繊維配向を有する不織布を形成することができる。そしてトップシート20を形成する不織布の繊維配向と補強シート40を形成する不織布の繊維配向が直交するように配置することで,縦横いずれの方向からに対しても引張強度を向上させることができる。従って,トップシート20及び補強シート40に対し縦横いずれの方向からの負荷がかかった場合であっても,これらのシートに裂損が生じる事態を防止できる。なお,繊維配向とは,引張強度試験時の荷重値が最大となる方向を意味する。
【0019】
本発明において,コアラップシート12は,少なくとも吸収体10の左右の側縁部の表面側を被覆する側方コアラップシート12aと,少なくとも吸収体10の中央部の表面側を被覆する中央コアラップシート12bを含むこととしてもよい。この場合,中央コアラップシート12bは,側方コアラップシート12aの下層又は上層に位置し,側方コアラップシート12aの一部と重複して接合される。そして,補強シート40は,側方コアラップシート12aと一体成型されることしてもよい。すなわち,コアラップシート12の側方コアラップシート12aを,吸収体10のスリット11上にまで延伸させて,上記補強シート40と同様に機能させる。
【0020】
上記構成のように,側方コアラップシート12aを補強シート40として機能させ,吸収体10のスリット11上に,中央コアラップシート12b,側方コアラップシート12a(補強シート40),及びトップシート20が配置されるようにすることで,補強シート40を別途設けるコストを削減しつつ,トップシート20の裂損を防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は,吸収体の長手方向にスリットを形成することにより吸収性物品の装着時におけるフィット性を高めつつも,吸収体にスリットを形成したことが原因となってトップシートの一部に裂け目が生じ,この裂け目から吸収性材料が外部に漏出するという問題を解決可能な吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は,本発明に係る吸収性物品の展開図であり,吸収性物品をトップシート側から見た状態の例を示している。
【図2】図2は,吸収体の平面図であり,補強シートの他の形態を示している。
【図3】図3は,吸収体の平面図であり,補強シートの他の形態を示している。
【図4】図4は,吸収体の平面図であり,補強シートの他の形態を示している。
【図5】図5は,本発明に係る吸収性物品の断面図であり,補強シートの立体的配置の例を示している。
【図6】図6は,本発明に係る吸収性物品の断面図であり,補強シートの立体的配置の例を示している。
【図7】図7は,本発明に係る吸収性物品の断面図であり,補強シートの他の形態を示している。
【図8】図8は,従来の吸収性物品の展開図であり,吸収性物品をトップシート側から見た状態の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0024】
(1.吸収性物品の基本構成)
図1は,本発明の一実施形態に係る吸収性物品100の展開図であり,吸収性物品100をトップシート20側からみた平面図である。具体的に説明すると,図1に示された吸収性物品100は,いわゆるパンツ型の使い捨ておむつである。吸収性物品100は,着用時において着用者の腹部に接する前身頃1と,着用者の背部に接する後身頃2と,着用者の股下にあてがわれる股下部3の各部から構成される。図1に示されるように,前身頃1と後身頃2は,それぞれの左右両側部が延設されてサイドフラップが形成されている。前身頃1及び後身頃2から股下部3の中心にかけて徐々に幅狭となっており,股下部3は左右両側部が円弧状に凹むようになっている。そして,前身頃1のサイドフラップの端部と後身頃2のサイドフラップの端部を接合することにより,腹部周りと両脚部周りに開口部が形成されたパンツ型の使い捨ておむつとなる。パンツ型の使い捨ておむつは,腹部周りの開口部から両脚部を入れ,左右の各脚部周り開口部から左右の各脚部を出すことにより,着用者に装着することができる。
【0025】
吸収性物品100は,吸収体10と,吸収体10を表面側(肌当接面側)から被覆する液透過性のトップシート20と,吸収体10を裏面側(肌非当接面側)から被覆する液不透過性のバックシート30を基本構成としている。着用者が排泄した体液は,トップシート20を透過して,吸収体10に吸収保持され,バックシート30によって外部への漏れが防止される。また,吸収性物品100は,股下部3を中心に前身頃1から後身頃2にかけて吸収体10の長手方向に,吸収体10の両側側縁に沿うようにして左右一対のサイドシート50を配置することとしてもよい。各サイドシート50には,着用者の肌に当接する側の端部に弾性伸縮材(立体ギャザー伸縮材61)が配設される。各サイドシート50は,弾性伸縮体の収縮力によって起立し,着用者の体液の横漏れを防止するための一対の立体ギャザーを形成する。
【0026】
なお,吸収性物品100は,上述したパンツ型の使い捨ておむつに限られず,例えば,テープ付きの使い捨ておむつ(図示省略)であってもよい。一般的に,テープ型の使い捨ておむつには,後身頃の両側縁から突出するように止着テープが取付けられる。そして,テープ型の使い捨ておむつは,前身頃を着用者の腹部に,後身頃を着用者の背部に,股下部を着用者の股下にあてがった状態で,後身頃に取り付けられている止着テープを前身頃に止め付けることによって,着用者に装着される。
【0027】
図1に示されるように,吸収体10には,その長手方向に,吸収体10の表面側から裏面側に貫通するスリット11が二本一対で形成されている。図1に示される例において,スリット11は,股下部3を中心に,前身頃1方向及び後身頃2方向に延びて形成されている。また,スリット11は,吸収体10における前身頃1側の端縁,及び後身頃2側の端縁に至る長さは有しておらず,スリット11は吸収体10を分断する完全な切込みとはなっていない。すなわち,スリット11の前身頃1側の端部と後身頃2側の端部は閉じられており,吸収体10は,前身頃1側と後身頃2側にスリット11が形成されていない領域を有している。また,図1に示された例において,二本一対のスリット11は,前身頃1側と後身頃2側で互いの間隔が広くなるように,屈折又は湾曲して形成されている。このため,吸収性物品100の着用時において,吸収体10が幅方向に圧縮されることにより,一対のスリット11の隙間の少なくとも一部が閉塞する。従って,吸収体10にスリット11を形成することにより,股下部3における弛みや皺の形成を抑制し,吸収性物品100を着用者の体に適切にフィットさせることができる。
【0028】
なお,スリット11の形状は,図1に示された形状に限定されるものではない。すなわち,スリット11は,股下部3から吸収体10の長手方向に延びて形成されていればよく,その本数や形状は,適宜変更することができる。スリット11を形成する本数は,例えば,1本であってもよいし,2本であってもよいし,3本以上であってもよい。また,スリット11の形状は,例えば,直線状,曲線状,又は屈折線状であってもよい。
【0029】
図1において,符号40は,補強シートを示している。補強シート40は,少なくともスリット11の後身頃2側の端部上を覆うように配置される。図1に示される例においては,一枚の補強シート40が,二本のスリット11を横断するようにして,二本のスリット11の両方の後身頃2側の端部上に配置されている。補強シート40は,トップシート20上に配置されていてもよいし,吸収体10とトップシート20の間に配置されるものであってもよい。トップシート20上又は吸収体10とトップシート20の間に補強シート40が配置されることにより,トップシート20の引裂強度が増すため,補強シート40が配置された箇所においてはトップシート20の裂損を防止できる。
【0030】
(2.吸収性物品の具体的構成)
以下,本発明に係る吸収性物品100の実施形態について,具体的に説明する。上述したとおり,本発明に係る吸収性物品100は,スリット11が形成された吸収体10,液透過性のトップシート20,液不透過性のバックシート30,及びスリット11上に配置された補強シート40を基本構成としている。
【0031】
(2−1.吸収体)
吸収体10は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体10は,液透過性のトップシート20と,液不透過性のバックシート30の間に配置される。吸収体10は,トップシート20を透過した液体を吸収保持する機能を有し,吸収性材料により構成される。吸収体10は,例えば図1に示されるように,砂時計型であってもよいし,その他矩形状や円形状であってもよい。
【0032】
吸収体10を構成する吸収性材料には,公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては,例えば,親水性の繊維材料と,粒状の高吸収性ポリマー(SAP:Super Absorbent Polymer)を混合したものを用いることができる。繊維材料は,極細の繊維が絡まり合って形成されている。このため粒状の高吸収性ポリマーは,繊維材に混合されることにより,繊維材料に埋没保持されている。
【0033】
繊維材料としては,例えば,パルプ繊維,レーヨン繊維,又はコットン繊維のようなセルロース系の繊維や,例えばポリエチレン,ポリプロピレン,又はポリエチレンテレフタレートのような合成繊維に親水化処理を施したものであってもよい。これらの繊維は,1種を単独で用いてもよいし,2種以上を組み合わせて,用いることとしてもよい。
【0034】
高吸収性ポリマーとしては,従来から,使い捨ておむつや尿パッドのような吸収性物品における吸収体の材料として用いられている各種のものを用いることができる。高吸収性ポリマーとしては,例えば,自重の5倍以上1000倍以下の水を吸収し保持することが可能なものが採用される。高吸収性ポリマーとしては,例えば,デンプン系,セルロース系,又は合成ポリマー系の物を用いることとしてもよい。高吸収性ポリマーは,例えばデンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体,デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物,ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物,又はアクリル酸(塩)重合体からなるものであってもよい。
【0035】
上述したように,吸収体10には,その長手方向に沿って,吸収体10の表面側から裏面側に貫通するスリット11が形成される。図1に示される例において,スリット11は二本一対で形成されており,股下部3を中心に,前身頃1方向及び後身頃2方向に延びて形成されている。二本一対のスリット11は,着用者の脚部の付け根の形状に合わせ,その相互間隔が広くなるように屈折又は湾曲して形成されていることが好ましい。吸収体10に形成されたスリット11は,装着時において吸収体10の両側縁部を立ち上がらせる際の折れ目となるため,吸収体10の両側縁部が着用者の身体に合わせて立ち上がりやすくなる。また,吸収体10にスリット11を設けることにより,吸収体10に付着した尿などの液体が,スリット11を通して吸収体10の長手方向に拡散する。このため,吸収体10は,液体を直接的に受けた箇所だけでなく,スリット11が延設された箇所においても,液体を吸収保持することが可能になる。
【0036】
スリット11は,吸収体10における前身頃1側の端縁,及び後身頃2側の端縁には至らず,吸収体10を分断する完全な切込みとはならない長さで形成される。このため,図1に示される例において,スリット11は,前身頃1側と後身頃2側に端部を有している。スリット11は,吸収体10の長手方向の長さに対して,例えば,10%〜90%,20%〜80,又は30%〜70%程度の長さで形成されることが好ましい。また,スリット11の幅は,吸収体の短手方向の幅に対して,例えば,5%〜30,又は10%〜20%で形成される。スリット11の幅は,スリット11の全領域において一定でなくてもよく,例えば図1に示されるように,中央領域において幅広となり,前身頃側及び後身頃側の端部領域において幅狭となるように形成されてもよい。
【0037】
吸収体10は,その周囲又は一部が,コアラップシート12によって被覆されていてもよい。例えば,図5には,吸収体10の断面構造の例が示されている。図5に示される例では,吸収体10は,周囲をコアラップシート12によって被覆されており,コアラップシート12によって型崩れ防止されている。吸収体10は,コアラップシート12によって,少なくとも吸収体10の表面側全体が被覆されていることが好ましく,特に吸収体10に形成されたスリット11上には,コアラップシート12が配置されていることが好ましい。コアラップシート12については後述する。
【0038】
(2−2.トップシート)
トップシート20は,着用者の股下の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体10に透過させるためのシート状の部材である。このため,トップシート20は,柔軟性が高い液透過性材料で構成されることが好ましい。トップシート20は,吸収体10の表面(肌当接面)を被覆するように配置される。
【0039】
トップシート20を構成する液透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,トップシート20には,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0040】
トップシート20を形成する材料としては,不織布を採用することが特に好ましい。不織布の種類としては,エアースルー,カードエンボス,サーマルボンド,ニードルパンチ,スパンボンド,又はメルトブロー等の各種製法によって製造された公知の不織布を用いることができる。本発明において,これら各種不織布の中で好ましいのは,エアースルー不織布である。エアースルー不織布は,カード法により形成した繊維ウエブを,エアースルー法で熱風処理して不織布化することにより得ることができる。エアースルー不織布は,適度な伸長性(繊維構造の変形自由度)を有すると共に,繊維同士を結合して伸長させても繊維がばらばらになりにくく,一定方向の繊維配向を有している。トップシート20は,不織布の繊維配向と一致する方向において,引張強度試験時の荷重値が最大を示す。また,トップシート20は,不織布の繊維配向と直交する方向に,高い伸長性を有する。
【0041】
トップシート20は,吸収体10の表面全体を被覆するように配置されたものであり,スリット11が形成された上にも配置される。また,トップシート20は,吸収体10のスリット11が形成された部分においては,スリット11によって生じた段差の内側面を被覆するように配置される。トップシート20は,スリット11を介して吸収体10を貫通し,吸収体10の裏面側に配置されたバックシート30と接合されることとしてもよい。このように構成することによって,トップシート20とバックシート30の間に吸収体10が封入され,吸収体10の型崩れを防止し,その形状を維持することができる。なお,トップシート20とバックシート30の間には,吸収体10を包囲するコアラップシート12が介在していることとしてもよい。
【0042】
(2−3.バックシート)
バックシート30は,トップシート20を透過し,吸収体10に吸収された液体が,吸収体10の外側へ漏出することを防止するためのシート状の部材である。このため,バックシート30は,液不透過性材料によって構成される。そして,バックシート30は,吸収体10の裏面(肌非当接面)からの液漏れを防止するため,吸収体10の裏面を被覆するように配置される。
【0043】
バックシート30を構成する不透過材料としては,公知の材料を採用することができる。不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,0.1〜4μm,又は2〜3μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0044】
(2−4.補強シート)
補強シート40は,吸収体10に形成されたスリット11上に配置されるシート状の部材であり,トップシート20に裂損が生じることを防止するために,トップシート20を補強する機能を持つ。補強シート40を形成する材料は特に制限されないが,補強シート40は,トップシート20上又はトップシート20と吸収体10の間に配置されるため,液透過性材料で形成されることが好ましい。ただし,補強シート40の面積が小さいものである場合,液不透過性材料で補強シート40を形成することも可能である。
【0045】
補強シート40は,図1に示されるように,少なくとも吸収体10のスリット11における後身頃2側の端部上に配置される。スリット11における後身頃2側の端部上は,最もトップシート20に裂損が生じやすい部分であり,この部分を補強することにより,トップシート20の裂損と,これに伴う吸収性材料の漏出を防止することができる。吸収体10の長手方向にみた補強シート40の長さは,スリット11の長手方向の長さに対して,例えば1%〜200%であり,補強シート40は,図1に示されるように局所的にスリット11上に配置されるものであってもよいし,吸収体10全体の表面側を被覆するものであってもよい。
【0046】
補強シート40を構成する材料としては,公知のシート材を採用することができる。補強シート40の材料の例は,織布,不織布,ティシュペーパー又は多孔性フィルムのような液透過性の材料である。また,補強シート40には,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,又はナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。また,補強シート40としては,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムを用いることも可能である。これらの種々の材料の中でも,補強シート40の材料としては,熱可塑性樹脂繊維に親水化処理を施した材料からなる不織布を用いることが好ましい。このような材料で形成された不織布は,液の透過性が高く,またサラっとしていて肌触りも良いため,着用者に不快感を与えることがない。
【0047】
補強シート40は,トップシート20と同様に,一定方向の繊維配向を有する不織布で形成されることが好ましい。そして,この場合において,補強シート40とトップシート20の不織布の繊維配向が直交するように,補強シート40とトップシート20は接合されることが好ましい。すなわち,一枚の不織布は,繊維配向と一致する方向において引張強度が最大となるが,繊維配向と直交する方向には引張強度が弱くなる。そこで,繊維配向を直行させて補強シート40とトップシート20は接合することで,縦方向及び横方向の引張強度を最大とすることができ,縦横いずれの方向から外力が加わった場合であっても,補強シート40とトップシート20の裂損を効果的に防止できる。
【0048】
図2は,吸収体10を抽出して示した平面図であり,補強シート40の他の形態を示している。図2においては,補強シート40が,吸収体10に形成されたスリット11全体を覆うように配置された例が示されている。特に,図2の例では,吸収体10の左右に二本一対のスリット11が形成されており,一枚の補強シート40が,二本のスリット11の両方を全体的に覆うように配置されている。
【0049】
図3も,吸収体10を抽出して示した平面図であり,補強シート40の他の形態を示している。図3に示された例では,二本一対のスリット11が形成された場合において,各スリット11に対応して,二枚の補強シート40が配置されている。特に,二枚の補強シート40は,トップシート20の長手方向全体に渡って,トップシート20に接合されている。さらに,二枚の補強シート40は,その間に一定の間隔Aを設けて配置されている二枚の補強シート40間の間隔Aは,吸収体10に設けられた二本一対のスリット11の間に位置している。間隔Aの幅は,例えば二本一対のスリット11の間の幅に対して,10%〜90%,20%〜80%,又は30%70%程度で形成されており,二本一対のスリット11の間の幅よりも幅狭となっている。このように,二枚の補強シート40の間に一定の間隔Aを設けることにより,この間隔Aを介して尿などの液体が吸収体10に吸収されるため,吸収効率が高まる。
【0050】
図4も,吸収体10を抽出して示した平面図であり,補強シート40の他の形態を示している。図4に示された例では,二本一対のスリット11が形成された場合において,各スリット11に対応して,二枚の補強シート40が,スリット11の後身頃2側の端部上に局所的に配置されている。図4に示された例においても,トップシート20に最も裂損が生じやすい箇所が補強シート40によって補強されているため,十分に従来の問題を解決できる。図4に示された例においても,二枚の補強シート40の間には間隔Aが設けられており,吸収体10が尿などの液体を効率的に吸収できる。
【0051】
図5は,図1におけるA−Aの線分で吸収性物品100を切断した状態を示す断面図である。図1に示される例においては,スリット11が形成された吸収体10は,コアラップシート12によって表面,側面,及び裏面が包囲されている。このため,スリット11が形成された部分において,コアラップシート12の一部は,スリット11を通じて,互いに接合されている。吸収体10を包囲するコアラップシート12は,吸収体10の裏面,側面,及び表面の側方部を被覆する側方コアラップシート12aと,吸収体10の表面の中央部を被覆する中央コアラップシート12bから構成されている。側方コアラップシート12aと中央コアラップシート12bは,継ぎ目となる箇所において一部重複しており,重複する部分において接合されている。図5に示す例では,側方コアラップシート12aは,吸収体10に形成されたスリット11までは及んで延設されておらず,スリット11上には,中央コアラップシート12bのみが位置している。
【0052】
吸収体10とそれを包囲するコアラップシート12は,トップシート20とバックシート30によって,表面側及び裏面側から被覆されている。トップシート20とバックシート30は,吸収体10の側縁に沿って,互いに接合されている。このため,トップシート20とバックシート30によって,吸収体10とそれを包囲するコアラップシート12は,封入されている。
【0053】
そして,図5に示された例において,補強シート40は,トップシート20上に配置されている。すなわち,補強シート40は,トップシート20の肌当接面側に接合されている。補強シート40をトップシート20に接合する手段としては,ホットメルト接着剤やその他流動性のある接着剤を用いた接合方法を用いてもよいし,ヒートシールのような熱溶着や超音波溶着による接合方法を用いてもよい。
【0054】
なお,図5に示されるように,吸収体10の両側縁に沿ってサイドシート50を配置し,サイドシート50によって,トップシート20とバックシート30を挟持するように接合してもよい。すなわち,サイドシート50は,トップシート20の表面側と,バックシート30の裏面側に接合される。また,サイドシート50の肌当接面側の端部は,吸収体10の内部方向に向かって折り返され,この折返部には,立体ギャザー伸縮材61がサイドシート50の長手方向に沿って配設されている。このため,サイドシート50は,立体ギャザー伸縮材61の収縮力を利用して,トップシート20との接合線を起立線として立ち上がり,立体ギャザーを形成する。なお,このサイドシート50(立体ギャザー)は,任意の構成であり省略することもできる。また,サイドシート50は,吸収体10の内方に向かって折り返された後,さらに吸収体の外方に向かって折り返されたものであってもよい。
【0055】
図6も,図1におけるA−Aの線分で吸収性物品100を切断した状態を示す断面図であり,補強シート40の立体的な位置を説明するための図である。図6に示された例は,図5に示された例とは異なり,補強シート40が,吸収体10(コアラップシート12)とトップシート20の間に配置されている。この場合において,補強シート40は,トップシート20に接合されることとしてもよいし,吸収体10(コアラップシート12)に接合されることとしてもよい。
【0056】
また,補強シート40がトップシート20と吸収体10の間に配置される場合において,補強シート40は,トップシート20より液の透過速度が速い材料で形成されることが好ましい。補強シート40をトップシート20より液の透過速度が速い材料で形成することにより,尿などの液体を速やかに吸収体10へ浸透させて,吸収体10による吸収性能を高めることができる。さらに,透過速度の速い補強シート40は,吸収体10に保持されている液体が滲み出す,いわゆる「逆戻り」現象を防止でき,トップシート20を常に乾燥状態に近い状態で維持することができる。
【0057】
液の透過速度が速い材料としては,例えば,エアースルー,スパンレース,スパンボンド,SMS,又はパルプ不織布,パルプとレーヨンとの混合シート,ポイントボンド,クレープ紙を採用できる。目付けは,例えば10〜80g/m,又は25〜60g/mであることが好ましい。
【0058】
図7は,図1におけるA−Aの線分で吸収性物品100を切断した状態を示す断面図であり,本発明における他の実施形態を示している。図7は,補強シート40が,吸収体10を包囲するコアラップシート12に一体成型された例を示す。すなわち,コアラップシート12は,側方コアラップシート12aと中央コアラップシート12bによって形成されており,側方コアラップシート12aを,吸収体10のスリット11上まで延伸させることにより,補強シート40として機能させる。すなわち,吸収体10のスリット11上には,下層から,中央コアラップシート12b,側方コアラップシート12a,及びトップシート20の順で配置される。このように,側方コアラップシート12aを補強シート40として機能させ,吸収体10のスリット11上に,中央コアラップシート12b,側方コアラップシート12a(補強シート40),及びトップシート20が配置されるようにすることで,補強シート40を別途設けるコストを削減しつつ,トップシート20の裂損を防止できる。
【0059】
(2−5.立体ギャザー)
立体ギャザーは,着用者の排泄した尿などがおむつ外部へ漏出することを防止するための防漏壁として機能する部材である。立体ギャザーは,トップシート20やバックシート30とは異なるサイドシート50により形成されることとしてもよい。立体ギャザーは,立体ギャザー伸縮材61の収縮力により起立し,おむつの脚周り開口部等から尿などの液体が漏出する横漏れを有効に防止できる。
【0060】
立体ギャザーは,股下部3からの漏れを防止するため,少なくとも股下部3に形成されていればよいが,前身頃1から後身頃2にかけて形成されていてもよい。また,立体ギャザーは,股下部3の左右側方に,少なくとも1対以上形成されていればよく,例えば,股下部3の左右側方に2対以上形成することとしてもよい。
【0061】
(2−7.各種ギャザー)
本発明に係る吸収性物品100においては,上記立体ギャザーの他に,脚部周りギャザーや,腰周りギャザーを形成することが好ましい。
【0062】
脚部周りギャザーは,使い捨ておむつの脚部周りの開口部から,尿などの液体が漏出する事態を防止するための部材である。脚部周りの開口部に沿って,脚部周り伸縮材62が伸長状態で配置され,この脚部周り伸縮材62の収縮力を利用して,脚部周りギャザーが形成される。これにより,脚周りに隙間が形成され難くなり,脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また,脚部周りギャザーを形成すると,おむつを交換する際に吸収体の両側で脚部周り伸縮材62が収縮するため,股下部が全体として椀状に変形する。このため,尿や体液が椀状に形成された股下部に溜まり,尿をこぼすことなく容易におむつの交換を行うこともできるようになる。
【0063】
腰周りギャザーは,使い捨ておむつの腰周りの開口部からの尿漏れを防止するとともに,使い捨ておむつのフィット性を向上させ,おむつのずり下がりが防止するための部材である。腰周りの開口部に沿って,腰周り伸縮材63が伸長状態で配置され,この腰周り伸縮材63の収縮力を利用して,腰周りギャザーが形成される。これにより,使い捨ておむつの腰周り開口部が,着用者の腹部と背部に密着するため,尿漏れを防止するとともに,フィット感を向上させることができる。
【0064】
上記した,立体ギャザー伸縮材61や,脚部周り伸縮材62,腰周り伸縮材63としては,例えば,天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなるゴム,伸縮性ネット,伸縮性フィルム,伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)を採用することができる。これらの,伸縮材は,おむつの他の構成部材に対して,接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては,例えば,ホットメルト接着剤,その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし,ヒートシールのような熱や超音波等による溶着であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は,例えば使い捨ておむつや尿パッドのように,着用者の股下に装着され尿などの体液を吸収し保持するための吸収性物品に適用することができる。このため,本発明は,従って,本発明は,育児産業や介護産業等において好適に利用し得る。
【符号の説明】
【0066】
1 前身頃
2 後身頃
3 股下部
10 吸収体
11 スリット
12 コアラップシート
12a 側縁コアラップシート
12b 中央コアラップシート
20 トップシート
30 バックシート
40 補強シート
50 サイドシート(立体ギャザー)
61 立体ギャザー伸縮
62 脚部周り伸縮材
63 腰周り伸縮材
100 吸収性物品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収し保持する吸収体(10)と,前記吸収体(10)を表面側から被覆する液透過性のトップシート(20)と,前記吸収体(10)を裏面側から被覆する液不透過性のバックシート(30)を有し,
着用者の腹部側に位置する前身頃(1)と,着用者の背部側に位置する後身頃(2)と,前記前身頃(1)と前記後身頃(2)の間に位置する股下部(3)に区分される
吸収性物品であって,
前記吸収体(10)には,前記股下部(3)から前記吸収体(10)の長手方向に延び,前記表面側から前記裏面側まで貫通するスリット(11)が,少なくとも前記吸収体(10)の前記後身頃(2)側の端縁に達しない長さで形成されており,
少なくとも前記スリット(11)の前記後身頃(2)側の端部上であって,前記トップシート(20)上又は前記吸収体(10)と前記トップシート(20)の間には,補強シート(40)が配置されている
吸収性物品。

【請求項2】
前記吸収体(10)は,少なくとも前記表面側からコアラップシート(12)によって被覆されている
請求項1に記載の吸収性物品。

【請求項3】
前記補強シート(40)は,前記スリット(11)の前記後身頃(2)側の端部から前記前身頃(1)側の端部にかけて配置されている
請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品

【請求項4】
前記スリット(11)は,前記吸収体(10)の短手方向に並列する二本一対のスリット(11)であり,
前記補強シート(40)は,前記二本一対のスリット(11)上に設けられた二枚の補強シート(40)であり,
前記二枚の補強シート(40)は,それぞれ間隔をあけて配置されている
請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品。

【請求項5】
前記トップシート(20)及び前記補強シート(40)は,一定方向の繊維配向を有する不織布で形成されており,
前記補強シート(40)は,前記補強シート(40)を形成する不織布の繊維配向が,前記トップシート(20)を形成する不織布の繊維配向と直交する向きで配置されている
請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収性物品。

【請求項6】
前記コアラップシート(12)は,少なくとも前記吸収体(10)の左右の側縁部の表面側を被覆する側方コアラップシート(12a)と,少なくとも前記吸収体(10)の中央部の表面側を被覆する中央コアラップシート(12b)を含み,
前記中央コアラップシート(12b)は,前記側方コアラップシート(12a)の下層に位置し,前記側方コアラップシート(12a)の一部と重複しており,
前記補強シート(40)は,前記側方コアラップシート(12a)と一体成型されている
請求項2に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52161(P2013−52161A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193455(P2011−193455)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(312013310)王子ネピア株式会社 (21)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】