吸収物質を有する一体型生成物
【課題】組成物全体に相互に連絡したチャンネルを確立する組織および方法を提供すること。
【解決手段】本発明は内部連絡溝(45)を有する変性ポリマー(25)を製造する方法および得られる構造体に関する。該内部連絡溝(45)はポリマー中の制御型伝達経路として働く。親水性物質(35)が、ポリマー内に分布するように配合される。1つの実施態様では、吸収物質(30)が、ポリマー内に分布するように配合される。該製品は、親水性物質(35)が、所望の組成物が該製品内を連行される吸収物質(30)と連絡する製品内に通路(45)を形成するように固化される。固化した製品を用いて、密閉容器用のプラグ型インサート(55)およびライナー(70)のような所望の成型品を形成してもよいし、またはフィルム、シート(75)、ビーズもしくはペレットへ成形してもよい。
【解決手段】本発明は内部連絡溝(45)を有する変性ポリマー(25)を製造する方法および得られる構造体に関する。該内部連絡溝(45)はポリマー中の制御型伝達経路として働く。親水性物質(35)が、ポリマー内に分布するように配合される。1つの実施態様では、吸収物質(30)が、ポリマー内に分布するように配合される。該製品は、親水性物質(35)が、所望の組成物が該製品内を連行される吸収物質(30)と連絡する製品内に通路(45)を形成するように固化される。固化した製品を用いて、密閉容器用のプラグ型インサート(55)およびライナー(70)のような所望の成型品を形成してもよいし、またはフィルム、シート(75)、ビーズもしくはペレットへ成形してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は1998年5月29日に出願された米国特許出願No.09/087,830の一部継続出願であり、この出願は1997年3月5日に出願された米国特許出願No.08/812,315の一部継続出願であり、この出願は1996年3月5日に出願された米国特許出願No.08/611,298の一部継続出願であり,この出願は1995年4月に出願された米国特許出願No.08/424,996の一部継続出願である。
【0002】
[技術分野]
本発明は一般に、水不溶性ポリマー、親水性物質および吸収物質を含む一体型組成物に関する。一実施態様において、本発明は、一以上の吸収物質と混合して吸収物質含有ポリマーを形成する改質ポリマーに関する。本発明は、更に、ポリマー構造中に位置する吸収物質をポリマー体の外部の条件に曝す手段を有する含有ポリマーに関する。一実施態様において、本発明の含有ポリマーは、制御された環境を要求する物品の容器および包装材料の製造に有用である。
【背景技術】
【0003】
管理および/あるいは制御しなければならない環境で保管され、輸送されおよび/あるいは利用されるのが好ましい物品が沢山ある。例えば、湿分管理領域では、トラップされた過剰な湿分を吸収する能力を有する容器および/あるいは包装材料は望ましいと認識されている。湿分吸収容器が望まれる一用途には、湿分により効力が危うくなる医薬品の輸送と保管がある。医薬品を最初に、シールした湿分のない容器内に置くことは通常、管理可能である。更に、医薬品用の容器は、湿分の透過度が低いように選ばれる。従って、医薬品は通常、最終ユーザーに至るまで、湿分から守られる。しかしながら、一度顧客が医薬品を受け取ると、医薬品を手にするために、容器を繰り返し開閉しなければならない。容器を開き、シールを開ける度に、湿分を有する空気が高い確率で容器内に導入され、容器を閉じると、容器内にシールされる。容器の雰囲気あるいは頭部空間から湿分を除去しなければ、湿分は薬品により吸収され、有害となる。この理由のために、乾燥ユニットを医薬品と一緒に容器に入れるのは良く知られた慣行である。
【0004】
他の物品である電子構成部分は、最高の性能を発揮するためには、減少させた湿分の条件を必要とする場合がある。これらの構成部分は容器中にシールできるが、最初に容器中にトラップされた過剰の湿分を除去しなければならない。また、ハウジングが完全に防湿性でなく、湿分が容器中に入りこむことが有る。この湿分もまた作動する構成部分から拘束されなければならない。このために、過剰な湿分を吸収し拘束する乾燥剤をハウジング内に置くことが重要である。湿分から守られるべき多くの構成部分の微妙さの故に、使用する乾燥剤は、構成部分を汚染し、その性能を危うくする塵埃を出す性質を持たないことが大切である。従って、このような容器の内部空間に乾燥剤を曝し、同時に、作動する構成部分を乾燥剤および乾燥剤から生じる塵埃との実際の接触から遮断するのが有利と認識されている。
【0005】
他の例では、輸送用および/あるいは保管用の容器に入れた、あるいは輸送および/あるいは保管用の包装紙にシールされた物品から湿分が放出される。このような物品の最も重要な例は輸送および保管中に湿分を放出する食料品である。シールされ実質的に不透湿性の容器の例では、放出された湿分は容器内に残留する。この放出された湿分は除去されなければ、湿分を放出した物品自体に悪影響を及ぼすことがある。ある種の食料製品からは、製造し、包装されて最初の48時間以内に相当量の湿分が放出されることが判った。この放出された湿分は除去されるまで、残留する。この湿分は、放出されて間もなく除去されなければ、食品を劣化させて、販売に不適な状態にする。これらの場合では、乾燥剤を品物と一緒に入れて、製品が取り出されるまで絶えず放出された湿分を吸収させるように出来る。このようにして、保管する物品については比較的に乾燥した環境が保持される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、組成物全体に相互連絡したチャンネルを確立する組織および方法を開示する。これらの相互連絡したチャンネルは含有された吸収物質を組成物の外部の適当な領域と連絡させ、(例えば、ガスおよび蒸気を)プラスチック組織の外部から乾燥材が置かれている内部の位置まで移動させるという望ましい特性を発揮させる。さらに、移動させるという望ましい特性を発揮させるこれらの相互連絡したチャンネルは組成物への透過速度を制御する親水性物質(例えば、チャンネリング剤)により占められる。この親水性物質は、組成物の表面から内部へ向かい組成物内に位置する吸収材への橋として作用するように用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の組成物から構成されたプラグ、インサート或いはタブレットの斜視図で、プラグの外表面における相互連絡したチャンネルの開口部を誇張されたスケールで示す。
【図2】図2は、親水性物質およびこれと混合した吸収物質を有する水に不溶性のポリマーから形成した固化プラグの誇張した断面図である。
【図3】図3は、プラグインサートに形成され、透過速度のバリアとして作用するポリマーで構成された容器の底部に位置する本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図4】図4は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成された容器の底部に共成型されたプラグに形成された本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図5】図5は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成された容器の内部に位置するライナーインサートに形成された本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図6】図6は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成された容器の内部に共成型されたライナーに形成された本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図7】図7は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成されたバリアシートに隣接して位置されたシートに形成された本発明の組成物の誇張された断面図である。
【図8】図8は、バリアシートの内部に共成型されたシートに形成された本発明の組成物の誇張された断面図であり、シートに形成された結果、製品は一体的に成型されて、一体化した積層物からなる。
【図9】図9は、フィルム#2、フィルム#3およびフィルム#4の三つのフィルム試料の膨潤および質量損失のグラフを示す。
【図10】図10は、100%ポリグリコールの試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図11】図11は、フィルム#4の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図12】図12は、フィルム#5の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図13】図13は、フィルム#6の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図14】図14は、フィルム#7の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図15】図15は、予備インキュベーション状態のフィルム#2の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図16】図16は、インキュベーション済みの状態のフィルム#2の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図17】図17は、予備インキュベーション状態のフィルム#3の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図18】図18は、インキュベーション済みの状態のフィルム#3の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図19】図19(図19a〜c)は、フィルム#4のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図20】図20(図20a〜c)は、フィルム#5のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図21】図21(図21a〜c)は、フィルム#6のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図22】図22(図22a〜d)は、フィルム#3のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図23A】図23Aは、10%RH72°Fにおけるモレキュラーシーブの単位質量当たりのパーセント湿分増加を示すグラフである。
【図23B】図23Bは、20%RH72°Fにおけるモレキュラーシーブの単位質量当たりのパーセント湿分増加を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
開示された利点および改良点のうち、本発明の他の目的および利点は添付した図面との関連で行なう後の説明から明らかとなるであろう。これらの図面は本明細書の一部を構成し、本発明の代表的な実施態様を含み、本発明の各種目的および特徴を例示する。
【0009】
[本発明の詳細な説明]
定められているように、本発明の詳細な実施態様をここに開示する。しかしながら、開示される実施態様は色々な形で例示できる本発明の単なる代表例であることを理解すべきである。図は必ずしも定率縮尺ではなく、特定の成分の詳細を示すために若干の特徴は誇張されている。従って、ここに開示される具体的な構造および機能の詳細は制限的と解釈されるべきでなく、単なるクレームの基礎および当業者が本発明を様々に用いるように当業者を教示するための典型的基礎と解釈されるべきである。
【0010】
ここでは親水性物質(例えばチャンネリング剤)と呼ばれるある種の化合物は、成型体の形成に用いる水不溶性ポリマーと結合できることが発見された。実際は、一実施態様において、親水性物質と混合される水不溶性ポリマーベースの例としてはポリエチレンとポリプロピレンが挙げられる。
【0011】
一実施態様においては、水不溶性ポリマーが溶融状態に有る時あるいは溶融状態に有る前に、吸収物質および親水性物質をポリマーに添加して、ポリマー全体で完全に混合され、ブレンド体が溶融相に到達する前に完全に混合されるようにする。例えば、吸収物質、親水性物質およびポリマーがすべて粉末の時、この技術は有用である。
【0012】
他の実施態様においては、吸収物質を添加する前に親水性物質とポリマーが混合される。ポリマーが溶融状態に入る前か後かの何れかに親水性物質が添加される。例えば、シートを形成する熱プロセス中に吸収物質がポリマーに添加される。
【0013】
徹底した混合とプロセシングに引き続く冷却で、親水性物質は、上記ポリマーを通して透過連絡する通路として働く相互連絡したチャンネルを形成する。なお、本発明の組成物は一体型であり、水不溶性ポリマー、親水性物質および吸収物質は3相系を形成する。
【0014】
本発明の目的のために、「相」とは全体が均一で、限定した境界を有し、原理的には他の相と物理的に分離出来る物理系の部分を意味する。「相互連絡するチャンネル」とは水不溶性ポリマーを貫通し相互連絡できるチャンネルを意味する。「水不溶性ポリマー」とは25℃大気圧下で約0.1%未満の水に対する溶解度を有するポリマーを意味する。「親水性物質」とは架橋されておらず、25℃大気圧下で約1%以上の水に対する溶解度を有する物質と定義される。適当な親水性物質の例としては「チャンネリング」剤がある。「一体型組成物」とはマクロ的に二つ以上の相からは成っていない組成物を意味する。また、本発明の目的のためには、融点は、DSCで測定される物質の一次の転移点と定義される。「相互に可溶でない」は相互に混和しないことを意味する。
【0015】
ある実施態様では、本発明の適当な親水性物質は、ポリグリコール、例えばポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレン グリコール)及びそれらの混合物を含む。その他の適当な物質としては、EVOH、グリセリン、ペンタエリトリトール、PVOH、ポリビニルピロリジン、ビニルピロリドン、又はポリ(N−メチル ピロリドン)、及び糖類をベースとする化合物、例えばグルコース、フラクトース、及びそれらのアルコール、マンニトール、デキストリン、及び加水化スターチ、などがあり、これらは親水性化合物であるから本発明の目的に適している。
【0016】
別の実施態様では、本発明の適当な親水性物質としては、加工の過程で親水性物質がメルト混合でその融点よりも高温に熱せられ、その後冷却したときにポリマーから分離して本発明の連結したチャンネル構造を形成し、また水不溶性ポリマーと、親水性物質と吸収物質から成る三相システムを形成する親水性物質も含まれる。
【0017】
本発明ではいろいろなタイプの吸収物質を用いることができる。ある実施形態では、本発明の吸収物質は乾燥剤化合物を含む。一般に、本発明で用いることができる乾燥剤化合物には3つの主なタイプがある。第一のタイプは、水と結合して水和物を形成する化合物である。このような乾燥剤の例は、水又は水分を吸収して安定な水和物を形成する傾向がある無水の塩である。水分との反応で安定な化合物が形成され、水分はその内部に保持されて化学的相互作用による放出が防止される。
【0018】
第二のタイプの乾燥剤化合物は、反応性であると考えられるものである。これらの化合物は、普通、水又は水分と化学反応を起こして、新しい化合物を形成し、その中で水が結合する。この新しく形成された化合物は一般に低温では不可逆的であり、乾燥剤として再使用できるようにするには相当な量のエネルギーを再び加える必要がある。これらの反応タイプの乾燥剤は、主に、溶剤の乾燥、及び水分が少ない状態に維持しなければならないポリマーへの吸水物質として、用いられる。
【0019】
第三のタイプの乾燥剤は、物理的な吸収によって水分吸収能力を得ている。吸収プロセスは、乾燥剤粒子にある細い毛管形態によって水分を吸い込むことによって行われる。毛管の孔(ポア)のサイズ、ならびに毛管の密度、がこの乾燥剤の吸収性能を決定する。このような物理的吸収乾燥剤の例は、分子篩、シリカゲル、粘土(例えば、モントモリリマイト粘土)、ある種の合成ポリマー(例えば、ベビーおむつに用いられるもの)及び澱粉、などである。このタイプの物理的吸収乾燥剤は、不活性であり水にも不溶なので、多くの用途に好ましいものである。一つの実施形態では、本発明で用いるのに適した分子篩のポア・サイズは約3〜15オングストローム;約3〜5オングストローム、約5〜8;3オングストローム;4オングストローム;5オングストローム;8オングストローム及び10オングストローム、などである。別の実施形態では、シリカゲルのポア・サイズは約24オングストロームである。他にも理由があるが、特にこの無害性が食品及び医薬品との共用に適し、食品や医薬品を乾燥剤が混入されたポリマー、又は少なくともそれに曝されるポリマー、によって形成される容器内に閉じこめることができる。しかし、前に述べたように、本発明のポリマーでは乾燥剤が混入されたポリマーを生成するために3つのタイプのどれを用いることもできる。
【0020】
適当な吸収物質は、また、次のようなものも含む:(1)金属及び合金、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、ケイ素、半田、銀、金、などであるが、それだけに限定されない;(2)金属がめっきされた粒子、例えば、銀めっき銅、銀めっきニッケル、銀めっきガラス小球、など;(3)無機物、例えば、BaTiO3、SrTiO3、SiO2、Al2O3、ZnO、TiO2、MnO、CuO、Sb2O3、WC、溶融シリカ、フュームド・シリカ、無定形溶融シリカ、ゾル−ゲル・シリカ、ゾル−ゲル・チタン酸塩、ミクスト・チタン酸塩、イオン交換樹脂、リチウム含有セラミックス、中空ガラス小球、など;(4)炭素をベースとする物質、例えば、炭素、活性炭、カーボンブラック、ケッチェムブラック、ダイアモンドパウダー、など;および(5)エラストマー、例えば、ポリブタジエン、ポリシロキサン、及び半金属、セラミック、など。
【0021】
別の例では、吸収物質は、酸化カルシウムであってもよい。水分と二酸化炭素の存在下で、酸化カルシウムは炭酸カルシウムに変換される。したがって、二酸化炭素の吸収が必要な用途では、酸化カルシウムを吸収物質として用いることができる。このような用途には、二酸化炭素を放出する新鮮な食品(例えば、フルーツや野菜)の保存などが含まれる。
【0022】
比較的細かい粒径を有する吸収物質を用いる実施態様では、ポリマー全体にわたって多くの小さな連結しているチャンネルを生成させなければならない。小数の大きな連結するチャンネルではポリマー内部で露出する表面積が小さいからである。ある実施態様では、二量体物質、例えばポリプロピレン 無水マレイン酸、又は何らかの可塑剤、をオプションとして混合物に加えて粘度を小さくし、ポリマーと親水性物質との混合し易さを高めることができる。
【0023】
さらに別の実施態様では、吸収物質と親水性物質の間に親和性を生ずる極性を有する吸収物質が選ばれる。そのような極性乾燥剤の一例はシリカであり、これは水不溶性ポリマーに対してよりも親水性物質との相溶性が高い。このため、ポリマー全体にわたって連結するチャンネルが形成される分離プロセスの際に、吸収物質は、より親和性が大きい親水性物質の領域の方に集まってくると考えられる。このようにして、親水性物質はポリマー構造の外部に位置する蒸気とポリマー内部に位置する吸収物質の間の架橋の役目を果たすことができると考えられる。これは特に、親水性物質に満たされた通路の内部に含有された吸収物質についてあてはまる。別の実施形態では、極性の可塑剤、例えばグリセリンなど、が混合物に加えられて親水性物質への吸収物質の分散又は混合を促進する。
【0024】
混合物中の吸収物質の濃度が高いほど、最終組成物の吸収能力も大きくなると考えられる。しかし、吸収物質の濃度が高くなると、全体はより脆くなって、混合物を熱的に形成、押出、又は射出成形することが難しくなるだろう。ある実施態様では、吸収物質の混入レベルは、ポリマーに対して重量で10%〜20%、20%〜40%、及び40%〜60%、の範囲にすることができる。
【0025】
ある実施態様では、本発明の水不溶性ポリマーは、どんな熱可塑性物質であってもよい。適当な熱可塑性物質の例は、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアンハイドライド、ポリアクリリアニトリル、ポリスルフォン、ポリアクリリックエステル、アクリリック、ポリウレタン及びポリアセタル、又はそれらの共重合体又は混合物、などである。
【0026】
さらに別の実施態様では、成分は最初にHenschelなどのミキサーでドライ・ミックスされる。例えば、Leistritzツイン・スクリュー押出装置、又はWerner Pfleiderミキサーを用いて、約140℃〜約170℃で良好なメルト・ミックスを実現することができる。メルトは次に、押し出して、例えば、フィルムを形成するか、又は振動コンベヤーで乾燥空気冷却によってペレットに変えることができる。形成された、チャンネルを含むペレットは、次に、例えば、射出成形でビーズ、ふるいに成形したり、又はポリプロピレンと一緒に射出して容器の内側の層にすることもできる。
【0027】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物は普通吸収物質を含まないポリマーよりも脆いので、パッケージを、内側の部分が本発明の組成物であり、外側部分が純粋なポリマー又は吸収物質の混入レベルが低い本発明の組成物から形成されるように成形することができる。例えば、内側の部分が本発明の組成物で構成され、外側部分が純粋なポリマーで構成されたパッケージは、普通、耐久性が高くなり、脆くなくなるというだけでなく、パッケージの外部から内部への蒸気の透過に抵抗する蒸気バリアとしても働く。このようにして、吸収物質の吸収能力は、それを専ら内側に、すなわち、そこから蒸気を吸い取り、戻さずに保持したいと思っているパッケージの内側にだけそれを露出することによって強化される。
【0028】
本発明の組成物には多くの用途がある。一つの用途は、比較的小さい体積の製品、例えば食物や医薬品、を収めるのに適した硬い容器を作ることである。多くの場合、この種の製品は制御された環境(例えば、水分及び/又は酸素が少ない環境)で発送され貯蔵されなければならない。別の実施態様では、本発明の組成物を容器の内側に入れるインサート(挿入物)に成形することができる。インサートの一つの形態の例は適当な形のプラグ(栓)である。プラグは単に容器内部に置かれるだけでその目的に役立つであろうが、内部のある場所に固定して、内部の空間を動き回るようにすることもできる。さらに別の実施態様では、円板の形に成形されるプラグは、ポリマーで作られた容器の底部にフィットするように押し込まれる形及びサイズに作られると予期される。
【0029】
別の実施態様では、本発明の組成物から、容器ボディーの内側表面と実質的に合致する外側表面を有するライナーを形成することができる。円板と同様、このライナーもポリマー・ボディー内部に押し込んでフィットさせることができ、そこで十分しっかりと保持されて、意図せずに外れることがないようなサイズにすることができる。あるいは又、別の実施態様では、プラグ又はライナーを最初に作って硬化させ、容器ボディーをその後でその周囲に作り、吸収物質を含まないポリマー・ボディーの収縮特性の方が大きいので容器ボディーがプラグ又はライナーのまわりにしっかりと縮みばめでフィットして、どちらも容易に互いに外れることができないようにすることができる。さらに別の実施態様では、プラグ又はライナーの形をとるインサートは、ポリマー容器ボディーと実質的に同時に一緒に成形して、互いに一体で連結しているようにすることができる。一緒に成形するプロセスの場合、吸収物質が混入されたインサートとポリマー容器ボディーの粘度は、普通、一緒に成形される二相の液体又は溶融物質の適切な所望の配置を容易にするためにほぼ等しくなければならない。
【0030】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物を用いて、別のシートと結合されるシートを形成することができる。少なくとも一つの実施態様では、シートは互いに効果的に積層されて実質的に気体を透過しない外側層が本発明の組成物に隣接して設けられる。この積層シートを用いてコントロールされた環境で貯蔵すべき品を包むことができる。接合プロセスを実行する一つの手段は、熱押出法によるものである。
【0031】
ここで述べる本発明の各実施態様において、従来の技術方法及び構造に比べた利点と長所は、本発明の組成物の全体にわたって連結するチャンネルを生成することができ、その結果、本発明の組成物から硬いボディーを作ることができると同時に水を吸収する物質を環境に対して露出することができるという発見から生まれている。さらに、ポリマー・ボディーの外側と内側に配置された吸収物質の間で透過レート・ブリッジとして働く親水性物質は、構造の外側に位置した所望の性質を速やかに除去すると同時に吸収物質の性能の大部分を利用するというこの構造の能力を大きく高めている。
【0032】
本発明の一つの実施態様は、本発明の組成物を生成する方法を含む。ある実施態様では、この方法は、水不溶性ポリマーと親水性物質をブレンドすることを含む。親水性物質をブレンドする前、又は親水性物質をブレンドした後で、吸収物質がポリマーにブレンドされ、添加物がポリマー内部で一様に分布し、親水性物質がポリマー内部に分布するようにする。その後、組成物が固化すると、結果的に親水性物質が組成物の中に連結するチャンネルを形成し、それを通って望ましい性質がポリマーから組成物の内部の吸収物質に伝わるということになる。別の実施形態では、親水性物質と吸収物質はドライ・パウダーの形で全体が十分に混合され、ポリマー・ブレンドが溶融されて所望の形に鋳造で成形される。連結するチャンネルが組成物の中に形成され、それを通って望ましい性質がポリマーから組成物の内部の吸収物質に伝わる。
【0033】
本発明の別の実施態様では、水不溶性ポリマーと、親水性物質と、吸収物質から成る一体構造組成物は、まず水不溶性ポリマーと親水性物質を含む二相システムを生成し、次にこの二相システムを、吸収物質含有溶液に浸すことによって作ることができる。その結果、吸収物質が組成物に取り込まれ、水不溶性ポリマーと、親水性物質と、吸収物質を含む少なくとも三相から成る一体構造組成物が得られる。本発明の目的には、浸すとは、漬けること、コーティングすること、その他、組成物による吸収物質の取り込みを生ずる方法を含むということは言うまでもない。
【0034】
一つの具体的な例は、(1)水不溶性ポリマーと親水性物質を混合して一様なブレンドを生ずるステップ;(2)ステップ(1)のブレンドを親水性物質の融点を超える温度に加熱するステップ;(3)ステップ(2)のブレンドを冷却して所望の形の品を形成するステップ;(4)ステップ(3)の成形された品を、吸収物質含有溶液に浸すステップ;(5)物質に有害な影響がない条件の下で乾燥させるステップ;及び(6)水不溶性ポリマーと、親水性物質と、吸収物質から成る一体構造組成物を含む成形された品にするステップ、から成る。
【0035】
この別の実施態様は、熱感受性が高く、そのため処理の過程で親水性物質を溶融するために必要な温度に耐えられない物質には好適かもしれない。そのような高温の例は、押出ステップで必要になる温度である。したがって、吸収物質は押出工程よりも下流で加えられ、その物質に有害な影響があるかもしれない高温にさらされない。この別の実施態様のもう一つの例は、吸収物質の溶液の生成に関する。ある実施態様では、吸収物質の水溶液が生成される。
【0036】
本発明のさらに別の実施態様では、ポリプロピレン無水マレイン酸などの水不溶性ポリマーが第三の物質(すなわち、吸収物質)なしで親水性物質と結合される。これは二相システムにしかならないが、この組成の中の無水マレイン酸が、この組成物に本発明の三相システムと同様な振る舞いをさせる(すなわち、連結チャンネルを含む)と考えられる。さらに、この組成物に吸収物質を加えることもできるだろう。
【0037】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物を生成した後、親水性物質の一部又は全部を従来の手段によって(例えば、浸出によって)除去することができる。こうして得られる組成物は、所望の気体又は蒸気を、組成物を通してもっと多量に伝えることができる。あるいはまた、得られた組成物を所望の物質を含む溶液に浸して上で希望したようにさらに処理することができる。
ある別の実施態様では、本発明の親水性物質の一部又は全部を疎水性物質で置き換えることができる。
【0038】
本発明の目的には、“疎水性物質”という用語は、水での溶解度が、25℃及び大気圧で約20%未満である物質と定義される。疎水性物質は非極性気体の吸収が必要な用途で用いられる。例えば、フィルター・システムにおけるように有毒な気体及び/又は有機溶媒の除去が必要とされる用途では、水不溶性ポリマーと、疎水性物質と、本発明の吸収物質を用いることができる。場合によっては、疎水性物質を、水不溶性ポリマー及び吸収物質と組み合わせて用いると二相システムになることがあるということは言うまでもない。
【0039】
ある実施態様では、本発明の組成物を用いてバリア物質で作られるパッケージの内部に入れるプラグ(栓)が形成される。別の実施態様では、本発明の組成物を用いてバリア物質で作られる容器の内部に入れるライナーが形成される。さらに別の実施態様では、本発明の組成物を用いて吸収シートが形成される。吸収シートは、オプションとして、バリア物質から作られたバリアシートと組み合わせて包装用のラップとして用いることができる。別の実施態様では、本発明の組成物を用いて容器のための吸収インサートが形成される。
【0040】
本発明の実施態様を示す添付図面の図1を参照して説明すると、同図は本発明の組成物20から作られたインサートを示している。本発明のここでの開示に関する限り、ポリマー25のマトリックス中の乾燥剤30の介在について言う場合、“混入する”という語は“含む”という語と交換可能に用いられている。インサートは、容器ボディー60(図5)に入れて吸収容器61(図5)に仕上げることができるようなプラグ(栓)55の形をしている。図2を参照すると、同図は、吸収物質30及び親水性物質35と一様にブレンドされた水不溶性ポリマー25から成るポリマー混合物から作られたプラグ55の断面図を示している。図2に示されたものでは、本発明の組成物は固化しており、連結するチャンネル45が組成物の全体にわたって生じ、固化したプラグ55の全体にわたって通路ができている。図1と2の両方に見られるように、通路は、プラグ55の外側表面における開口48で終わっている。
【0041】
図3は、図2のプラグ55と構造及び組成が同様な、連結チャンネルが非常に細くなっているプラグ55の実施態様を示している。これは、親水性物質としてポリグリコールを用いて、又は二量体物質(すなわち、可塑剤)を親水性物質と一緒に用いて得られる。二量体物質50はポリマー25と親水性物質35の相溶性を高める。この高い相溶性はブレンドの粘度が低くなり、一様な溶液に結合されることに抵抗する二つの化合物25,35のブレンディングをさらに完全にすることで助けられる。二量体物質が加えられた本発明の組成物が固化すると、その中を通って形成される連結チャンネルは分散が大きくなりポアは小さくなって、プラグ55の全体にわたって連結チャンネルがより大きな密度で生ずる。ある実施形態では、ポリグリコールを親水性物質として用いるとき、ポリグリコールがポリオレフィンなどの疎水性熱可塑プラスチックと全般的に同等であるために、この同じ効果が容易に見られる。連結チャンネルが生成されて、所望の性質(例えば、気体)を固化したプラグ55の外側から、混入された水吸収物質30が結合している内部の場所までコントロールしながら伝送するための経路を提供する。
【0042】
これらの連結チャンネルが必要とされるのは、ポリマー25の疎水性がそれを通る気体の透過に対する抵抗になって気体バリアとして作用するからであると考えられる。このため、ポリマー25自身はバリア物質と呼ばれ、その内部に吸収物質30を混入できる。しかし、ポリマー25の内部に混入された吸収物質30を露出させるために連結チャンネル45が設けられる。この連結チャンネル45がなかったら、混入された吸収物質30は比較的少量の気体しか吸収しないと考えられる。さらに、この少量の吸収は、形成されたボディーの外側表面に露出した限られた数の吸収粒子30と、実質的に不透過性のポリマー25を通過してくることができる非常に少量の気体、によるものであると考えられる。このような特性のために、水不溶性ポリマー25は、気体に対して完全に不透過性ではないかもしれないのに、バリアと呼ばれる。
【0043】
図3は、容器ボディー60に入れて吸収容器61を構成した本発明のプラグ55のある実施態様を示している。容器ボディー60は内側表面65を有し、実質的に本発明の組成物から作られている。このように、容器60が閉じているとき、伝送性質は容器60の壁を通して伝わることが阻まれる。図3に見られるように、プラグ55は容器60の底部位置に押しつけてぴったりとはめ込まれている。プラグ55は単に容器60の中に入れてゆるく収めるだけでも良いと考えられるが、プラグ55を容器60に固定する仕方で容器60のボディーに結合する方が好ましい。プラグ55と容器ボディー60の結合は、プラグ55が外れて動き回るのを防止することを意図している。この結合は、プラグ55とボディー60の内側表面65の間の押し込みすべりばめ(snug press fit)で実現することもできるし、あるいはプラグ55を固定するための接着剤、プラグ55のまわりに延びたプロング、リップ、又はリッジなどの手段で機械的に結合することもできる。さらに別の実施形態では、容器ボディー60をプラグ55のまわりで成形して容器ボディー60が硬化する際にボディー60がプラグ55のまわりで縮んで二つのコンポーネントの間で縮みばめが生ずるようにすることもできると考えられる。このタイプの結合は、同時成形プロセスでも順次成形プロセスでも実現でき、プラグ55はポリマー25で構成される容器ボディー60よりも縮みかたが小さいので同じ結果が得られる。
【0044】
図4は、吸収容器61を示しているが、これは本発明の組成物をプラグ55の形にして図3に示された態様と同様な容器60の底部場所に配置したものである。しかし、プラグ55と容器60は一緒に成形されているので、プラグ55とボディー60の成分間の界面があまりはっきりしない一体のボディー61が形成される。
【0045】
図5と6は、図3と4と同様なコンセプトを図示しているが、プラグ55の比率が拡大されており、結果的に乾燥容器61の内側表面65の大きな部分を覆うライナー70が形成される。ライナー70は、容器ボディー60の底部部分に局限されず、上方に延びて容器61の壁の部分を覆う壁を有する。プラグ55と同様、ライナー70も、別に成形してあとで容器ボディー60と組み合わせることも、又は図6に示された一体ボディーの形になるように一緒に成形することもできる。
【0046】
図7と8は、本発明の吸収シート75が生成されてバリアシート80と組み合わせられる本発明のある実施態様を示している。シートの特性はプラグ55及びライナー70及び容器60に関して記述されたものと同様である。すなわち、図7は、二つのシート75,80が別々に成形され、あとで組み合わせられて内側表面で吸収特性を有し外側表面で蒸気遮断特性を有する包装ラップを形成する実施形態を示している。図8は、同時成形プロセスを示しており、この場合、吸収シート75とバリアシート80の間の界面は図7の実施態様に比べてあまりはっきりしていない。この製品は熱成形プロセスによって製造される。このプロセスでは、ポリマー層を溶融して部分的にシートに成形して、熱成形機のスリット状の開口を通してプレス又は押し出す直前にその層の上に乾燥剤30を載せる。図7の別々のシート75,80は、接着剤又はその他の適当な手段によって接合させて複数の層75,80からの積層(ラミネート)を形成することができると考えられる。あるいはまた、シート75,80は、両方のシート75,80が同時に製造され、実質的に一緒に成形されて図8に示された実施態様を構成する熱押出プロセスで製造することもできる。
【0047】
本発明の別の実施態様では、バリア物質から作られる容器60の内部に含めるためにプラグ55がこの混合物から形成される。ある実施態様では、プラグ55がバリア物質から作られる容器60に入れられる。このようにして、乾燥容器61が作り出される。プラグ55を容器ボディー60の内側表面に結合して、プラグ55が容器60に対して固定されるようにしてもよい。
【0048】
あるいは、バリア物質から作られる容器60をプラグ55のまわりに、プラグ55の少なくとも一部が容器60の内部に露出されるように成形してもよい。本発明によって作られる乾燥プラグ55は、バリア物質から作られる容器60と一緒に、プラグ55の少なくとも一部が容器60の内部に露出されるように同時成形してもよい。
【0049】
別の実施態様では、ライナー70を混合物40から成形してからバリア物質から作られる容器60の内部に含める。ライナー70は、普通、必ずという訳ではないが、外側表面が容器60の内側表面65にはまりこんで係合するような形態になっている。ライナー70を容器60に押し込んで係合させ、容器の内側表面65の少なくとも半分以上がライナー70によって覆われている容器61を作り出すことができる。ライナー70を混合物から成形し、次にバリア物質から作られる容器60をライナー70のまわりに成形して、ライナー70の少なくとも一部が容器60の内部に露出され、容器60の内側表面65の半分以上がライナー70によって覆われるようにしてもよい。
【0050】
あるいは、ライナー70と容器60を一緒に成形して一体化したボディーにしてもよい。吸収シート75を、バリア物質から作られるバリアシート80と組み合わせて包装ラップとして使用する。シート75,80は熱押出によって積層させることができる。
【0051】
所望により混合物に二量体剤を加えて重合体25とチャンネリング剤35の混和性を高め、それにより固化した混合物内の通路の分散性を高めてもよい。
【0052】
本発明のさらにも1つの実施態様では、吸収容器61を製造する方法が提供される。該方法は実質的にガス不透性の材料から容器60を形成して容器の内部と外部の間にガスバリヤーを作り出すことを含む。本発明の組成物からインサートが形成される。該インサートは、容器60の内表面65の少なくとも一部とのかみ合いを一致させるように形成された外表面を有する。該インサートは、インサートの外表面の少なくとも一部が容器60の内表65を隣接してかみ合うように容器60の内部に設置する。このかみ合いは容器60に対してインサートを固定し、容器60からインサートが外れないようにする。該インサートは所望の特性を吸収させるため容器60の内部に露出させる。該インサートを、インサートが容器60内にしっかり合うような十分な力で容器60の内部に押し込み、それによりそこから外れないようにする。該インサートはその受容位置で保持するために、容器の内部内の受容位置に上手く合うような大きさおよび形にする。
【0053】
もう1つの実施態様では、該インサートは、その受容位置で保持されるために、容器60の内部の底部の受容位置に上手く合うプラグ55の大きさおよび形にする。
【0054】
さらにもう1つの実施態様では、インサートは、大部分のライナー70の外表面が容器60の内表面65と接触してかみ合うように、容器60の内表面65と適合する外表面を有するライナー70へと形成する。同様に、容器60とライナー70は、容器60の内部65とライナー70の外部が、容器60からライナー70が外れないように互いに上手く合うように形成される。
【0055】
もう1つの実施例では、容器60は実質的にガス不透性であって、従ってその外部と内部の間で容器60の境界を通ってガスが伝達しないようにするプラスチックから成形してもよい。また、ライナー70は本発明の組成物から成形してもよい。
【0056】
なおもう1つの実施態様では、吸収容器60を製造する方法が提供される。容器は、容器60の内部と外部の間にバリアが形成されるように実質的に空気と不透水性材料から形成される。実質的に固形錠剤またはプラグ55は本発明の組成物20から形成され、錠剤55は容器60の内部内に適合するよう好適な大きさにする。次ぎに錠剤55を容器60の内部に置き、それにより、容器60が錠剤55について遮断された場合に容器60の内部から所望の物質を吸収する手段を確立する。
【0057】
本発明のもう1つの実施態様では、吸収パッケージングを製造する方法が提供される。外皮、シート、または層80は、外皮の反対側間でバリアが形成されるように実質的に空気と不透水性材料のシートから形成される。内皮、シート、または層75は内皮80の一方の側に本発明の組成物20から形成される。吸収パッケージは、不透性外皮80内に、製品と隣接して置かれた吸収内皮75で、製品または成型品を密封することにより製品または成型品について形成される。吸収ラミネートは外皮80および内皮75をともに吸引真空成形して吸収パッケージングを形成することによって形成すればよい。
【0058】
本発明の1つの実施態様では、吸収エンクロージャー61が提供される。該エンクロージャーは、容器60の内部と外部の間にバリアが形成されるように実質的に水分および空気を通さない材料から形成された容器60を含む。ライナー70は、ライナー70が、容器60の内表面65の少なくとも一部とのかみ合わせが合うように形成された外表面を有するように、本発明の組成物20から形成される。ライナー70は、ライナーの外表の少なくとも一部が容器60の内表面65と隣接してかみ合うように容器60の内部に挿入される。このかみ合いは容器60に対してライナー70を固定し、容器60からライナー70が外れないようにする。
【0059】
本発明のもう1つの実施態様では、密閉可能な容器60用の吸収インサートは密閉可能な容器60内への設置用に形成された吸収インサートを含む。インサート25は本発明の組成物から構成される。インサート25はその外表からその内部へと伸びる通路を有する。
【0060】
本発明を以下の具体的な実施例によってより詳細に説明する。これらの実施例は例示のためのものであって、本開示または請求の範囲を限定するものではない。例えば、以下の実施例は72°Fにて10%Rhおよび20%Rhで処理されたが、本発明の組成物はまたその他の条件でも適合する。さらに、これらの実施例は、本発明が内部連絡溝を有し、かつ、親水性物質がその内部連絡溝に残存することを実証する意味を持つ。実施例または明細書の他の部分における%はすべて特に断りのない限り質量%である。
【実施例】
【0061】
[実施例1]
以下の実施例の目的は、本発明の組成物が以下の物質を膨潤および重量損失分析に付すことによって内部連絡溝を有することを証明することにある。
[A.サンプルの調製]
[フィルム#1]
約93質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)および約7質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0062】
[フィルム#2]
約68質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約12質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)および約20質量%のモレキュラーシーブ乾燥剤(Elf Atochem,商標Siliporite(登録商標)モレキュラーシーブ,4オングストローム)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0063】
[フィルム#3]
約34.88質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約11.96質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)、約52.82質量%のモレキュラーシーブ乾燥剤(Elf Atochem,商標Siliporite(登録商標)モレキュラーシーブ,4オングストローム)および約0.34質量%のグレー色素の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約50lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0064】
[B.膨潤および質量損失分析]
3種類の各サンプルから円形ディスク(OD 1.1cm)を切り取った。各サンプルの最初の乾燥質量を記録した。次ぎにサンプルを蒸留水2.0ml中でインキュベートし、室温で振盪放置した。定期的に1、2、3および34日目にディスクを取り出し、表面を吸い取り乾燥し、サンプルを秤量して膨潤程度を測定した。各時点で蒸留水を置換して浸漬条件とした。実験の終了時にサンプルを凍結乾燥して水分を除去し、サンプルを秤量して質量損失を測定した。図9は分析結果のグラフである。膨潤率(%)はある時点(t)の湿潤質量を最初の質量(0)で割って100をかけたものとして定義される。「乾燥」は34日間インキュベーションした後、最終的に凍結乾燥させたサンプル重を表す。
【0065】
図9はフィルム#1が34日の経過中に膨潤または重量損失がなかったことを示している。従って、この結果はポリ(エチレングリコール)(すなわち親水性物質)はポリエチレン(すなわち水不溶性ポリマー)に完全に捕捉されていたことを示すと考えられる。フィルム#2は膨潤によってその最初の質量の約3%増え、34日間のインキュベーションの終了時にはその最初の質量の約9%を失っていた。フィルム#3はその最初の質量の約6%増え、34日間のインキュベーションの終了時にはその最初の質量の約8%を失っていた。これらの結果は、フィルム#2および#3に水が浸透し、フィルム#2および#3の水不溶性成分(例えば、ポリ(エチレングリコール))の実質的に一部がポリマーから抜き取られたため、本発明の組成物には外部から内部への内部連絡溝が存在していることを証明するものである。
【0066】
[実施例2]
以下の実施例の目的は本発明の組成物が水不溶性ポリマーと親水性物質からなる2つの分離相を有することを証明することである。
[A.サンプルの調製]
[フィルム#4]
100%ポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)3505G)を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0067】
[フィルム#5]
約88質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約12質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0068】
[フィルム#7]
約68質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約12質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)および約20質量%のモレキュラーシーブ乾燥剤(Elf Atochem,商標Siliporite(登録商標)モレキュラーシーブ,4オングストローム)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約12lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約105℃の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0069】
[B.示差走査熱量計(「DSC」)を用いる熱分析]
処理したフィルムサンプルをTAC 7DX熱制御装置を備えたPerkin Elmer DSC7を用いて分析した。データはPerkin Elmer Pyrisソフトウエア(バージョン2.01)を用いて解析した。サンプルを−50から250℃まで10または15℃/分の速度で加熱した後、同じ速度で冷却し、その後同じ速度で250℃まで再び加熱した。以下の表はDSCから収集したデータである。融点のデータは融点ピーク(℃)と、第1の加熱ランプ(1°)および第2の加熱ランプ(2°)でのエンタルピー(ΔH、ジュール/gm)で示されている。図10から18について記載した縦列は表からのデータに対応するDSCからグラフ上アウトプットしたものである。サンプルは250℃までしか加熱していないので、フィルムサンプル#2、#3および#7中のモレキュラーシーブは融解せず、従って融点は記録できなかった。
【0070】
サンプル 図# PEG PEGΔH J/g PP PPΔH J/g
ピーク℃ ピーク℃
100%ポリ(エチ 図10 1°63.808 190.362 なし なし
レングリコー
ル)
フィルム#4 図11 1°なし なし 162.700 78.462
2°なし なし 157.200 96.123
フィルム#5 図12 1°57.700 22.253 161.700 80.524
2°58.033 20.361 157.366 79.721
フィルム#6 図13 1°なし なし 159.366 42.385
2°なし なし 160.033 42.876
図14 1°56.366 19.460 162.200 70.073
フィルム#7
2°57.200 17.094 156.866 58.038
フィルム#2 図15 1°58.554 20.845 163.062 60.577
[インキュベー 2°58.779 16.037 157.783 53.706
ション前]
フィルム#2 図16 1°55.804 0.379 163.062 86.215
[インキュベー 2°57.529 0.464 158.533 67.949
ション後]
フィルム#3 図17 1°59.308 18.849 162.562 40.291
[インキュベー 2°56.529 10.122 158.283 24.980
ション前]
フィルム#3 図18 1°55.554 0.138 160.562 46.931
[インキュベー 2°なし なし 156.033 26.081
ション後]
【0071】
100%ポリ(エチレングリコール)サンプルは63℃で単一の融点を示すが、フィルム#4の100%ポリプロピレンは157℃に融点を持つ。フィルム#5は58℃(ポリ(エチレングリコール))と157℃(ポリプロピレン)で2つのピークを示したが、このことは2つの重合体が相分離していたことを示している。重合体が相分離せずに混合しいたならば、そのピークは純粋な重合体の融解温度ではなく、シフトしたものである。フィルム#6は160℃に明瞭なポリエチレンピークしか示さない。モレキュラーシーブはこの温度範囲では融解せず、すなわち純粋なポリプロピレンの融解温度に影響を及ぼさない。フィルム#7はまた、57℃におけるポリ(エチレングリコール)の、また157℃におけるポリプロピレンの2つの明瞭なピークを示すが、このことは3成分の混合物においてすべて相分離していることを示している。
【0072】
フィルムサンプル#2および#3は実施例1で示された膨潤および質量損失分析の一部であった。ここでも、59℃におけるポリ(エチレングリコール)の、また158℃におけるポリプロピレンの2つの明瞭なピークが示され、このことは3成分の混合物においてすべての成分が相分離していることを示している。しかしながら、ポリマーフィルムを室温で、34日間水中でインキュベーションし(フィルム#2:インキュベーション後)、DSCで試験した場合にはピークの位置は同じままであったが、このことはこれらの成分がなお相分離していたことを示す。しかし、ポリ(エチレングリコール)のピーク面積(ΔH、エンタルピーで示される)は極めて小さくなっていた。この結果はポリ(エチレングリコール)が水中での長期のインキュベーションによって抜き取られていたことを示している。また、この結果は実施例1で示された質量損失データをさらに確証することになり、ポリ(エチレングリコール)成分はポリプロピレンマトリックス塊の内部連絡溝によって大部分が抜き取られたことが証明された。
【0073】
フィルムサンプル#3はフィルムサンプル#2と同様の結果を示した。ポリプロピレンΔHピークは検出されず(フィルム#3:インキュベーション後)、このことは水中でのインキュベーション中にポリ(エチレングリコール)がほとんど完全に抜き取られたことを証明するものである。同フィルムがその最初の質量の約8%失われた実施例1の質量損失結果を確証させるものである。サンプルのポリ(エチレングリコール)組成物は約12質量%であった。
【0074】
さらに、本発明のサンプルのDSCデータからのガラス転移(Tg)分析もまた、水不溶性重合体および材料が相分離状態で存在することを証明する。純粋なポリプロピレンは約−6℃のTgを示すが、純粋なポリ(エチレングリコール)は約−30℃のTgを示す。フィルム#5からのDSCデータは、それぞれのポリマーに対応する明瞭な2つのTg(ポリプロピレンでは−6℃、ポリ(エチレングリコール)では−30℃)を示し、従ってこのことは2成分が相分離していることをさらに示すものである。
【0075】
[実施例3]
以下の実施例の目的は、本発明の組成物が内部連絡溝を有し、かつ、親水性物質内に内分混合した吸水材を有することを証明することにある。
[A.走査電子顕微鏡(「SEM」)法]
フィルムの構造特性をHitachi S−2700顕微鏡を用い、照射ダメージを最小にするため8kV加速圧で操作して画像形成した。各フィルムの3種の遠近法で視認化した:1)フィルム表面;2)破壊フィルムの横断面(0°)および3)配向#2(90°)に対して90°の破壊フィルムの横断面。Polaron Instruments Sputter Coater E5100を用い、金パラジウムの5から10nm層でインキュベーション前のフィルムサンプルをスパッター被覆した。インキュベーション後のサンプルを70重量%エタノール10ml中で振盪しながら室温で24時間インキュベーションした。エタノールを除去し、サンプルを一晩風乾した。次ぎにサンプルを凍結させ、一晩凍結乾燥して残留した水分を除去した後スパッター被覆した。
【0076】
[B.フィルムサンプルの形態]
図19a〜cはフィルムサンプル#4、すなわち100%ポリプロピレンの走査電子顕微鏡写真である。図19a〜cは水不溶性ポリマーが典型的には実質的に孔のない稠密で均質な形態であることを示している。外表は図19aに示されている。図19aは外表面が稠密で実質的に孔のないことを示している。横断面図は倍率200倍で図19bに示されている。図19bはフィルムの脆性破壊の際に明らかとなった重合体の平板様領域を示している。もう1つの横断面図は図19cに倍率1000倍で示されている。図19cは稠密で繊維質形態を示している。
【0077】
図20a〜cはフィルム#5、すなわち約88%ポリプロピレンと12%ポリ(エチレングリコール)の走査電子顕微鏡写真である。図20a〜cは実質的に水不溶性ポリマーと親水性物質からなる2相系が、ポリ(エチレングリココール)であるラメラ構造領域が散在した稠密な繊維質マトリックスを持つ均質な形態を有することを示している。図20a〜cはさらにラメラ繊維と繊維質構造との間の空隙を示し、これは溝であって同じ方向を向いていることを示している。外表面は図20aに倍率1000倍で示されている。図20aは外表面が稠密で実質的に孔のないことを示している。横断面図は図20bに倍率2,500倍で示されている。図20bはポリ(エチレングリコール)のラメラ鎖で被覆されたポリマーの繊維質領域を示している。図20cは垂直角で破壊したフィルム#5の横断面図を倍率1,500倍で示したものである。図20cはポリ(エチレングリコール)の固体、不定形の円筒が散在した繊維質ポリプロピレンマトリックスを示している。
【0078】
図21a〜cはフィルムサンプル#6、すなわち約50%ポリプロピレンと50%モレキュラーシーブの走査電子顕微鏡写真である。図21a〜cは典型的には均質で稠密なマトリックスを示し、離散したモレキュラーシーブは時折見られるだけで、モレキュラーシーブの添加量が高いにもかかわらず重合体に深く包埋されている。図21aは5ないし30ミクロンと測定される長い溝で覆われた外表面を倍率1,000倍で示している。モレキュラーシーブ(1ないし10ミクロン)の輪郭はポリマーの表面下に包埋されているのが分かる。横断面図は図21bに倍率200倍で示されている。図21bはポリマーの平板様領域とモレキュラーシーブの添加量が高いことによる粒子の粗い外観を示している。図21cは倍率1,500倍の横断面図であり、稠密な形態で、実質的に孔がなく、ポリマー中に包埋された多数の小粒子が見られる。
【0079】
図22a〜dはフィルムサンプル#3、すなわち約52%モレキュラーシーブ、約34%ポリプロピレンおよび約12%ポリ(エチレングリコール)の走査電子顕微鏡写真である。図22a〜dは高い多孔質形態を有する3相系を示している。図22aは5ないし30ミクロンと測定される長い溝で覆われ、離散した多数のモレキュラーシーブ粒子で満たされた外表面を倍率500倍で示している。図22bは破壊方向に走る長い溝を有する極めて多孔な形態を示している。図22cは垂直方向の横断面を倍率350倍の横断面であり、孔が見られる。図22はより高い倍率、1,500倍である。図22dは離散したモレキュラーシーブを含んだ溝、ならびにポリ(エチレングリコール)中に包埋された多くのシーブの凝集塊を示している。結果として図22bに基づけば、図22bおよび22cに見られる孔はSEMのための破壊調製中にモレキュラーシーブが脱落した場所であると考えられる。
【0080】
結論としては、実施例1、2および3から内部連絡溝の形成理論がさらに確認される。1つの実施態様では、本方法は親水性物質が融解形態にあり、一方、水不溶性ポリマーが固体形態にある温度で開始するので、第3の成分(例えば、モレキュラーシーブ)が液体の親水性物質と相互作用していると考えられる。結果として、この点で、親水性物質は容易に流動して固体の水不溶性ポリマーとモレキュラーシーブ成分との間の空隙に入り込むので、内部連絡溝が形成されると考えられる。この工程を継続し、温度が上昇するにつれ、水不溶性ポリマーは融解し、従ってこの組成物はより均質なものとなる。
【0081】
[実施例4]
以下の実施例の目的は本発明の組成物の吸水特性を証明することにある。フィルム#1と同様の処理条件を持つフィルムサンプルは、約50質量%のモレキュラーシーブ[4オングストローム]、約12質量%のポリ(エチレングリコール)および約38質量%のポリプロピレンを有しており、これらを以下の試験法を用いてその総質量についての吸水に関して評価した:(a)一方の環境チャンバーを予め72°F、相対湿度(「Rh」)10%に設定し、もう一方のチャンバーを予め72°F、20%Rhに設定する;(b)皿を秤量して質量を記録する;(c)天秤皿の風袋を測って天秤から皿の質量を除く;(d)次ぎにフィルムを載せて皿を秤量する;(e)次ぎに材料を秤量してその質量を記録する;(g)サンプルを所望の時間チャンバー内に置く;(h)所望の時間に達したらサンプルの載った皿を取り出して再び秤量し、その質量を記録する;さらに(i)、モレキュラーシーブ1グラム当たり増加した水分率(%)を、(サンプルの総質量増)/(サンプル中のモレキュラーシーブの質量)×100で算出する。結果は図23a[10%Rh]と23b[20%Rh]に示されている。4オングストロームのモレキュラーシーブの質量当たり増加した最大理論水分率(%)は約24ないし25%である。図23aおよび23bは本発明の高い伝導速度(例えば、吸水速度)を証明している。
【0082】
本明細書では一体型組成物およびそれらの構成化合物を説明してきた。上述したように、本明細書では本発明の詳細な実施態様が開示されているが、開示された実施態様は単に本発明の例であって、様々な形態で具体化されてよいものと理解すべきである。当業者により認識される多くの改良やその他の変更は、本発明の教示、精神および意図される範囲を逸脱せずに以下に請求される本発明の意図される範囲内にあるものと理解されよう。
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は1998年5月29日に出願された米国特許出願No.09/087,830の一部継続出願であり、この出願は1997年3月5日に出願された米国特許出願No.08/812,315の一部継続出願であり、この出願は1996年3月5日に出願された米国特許出願No.08/611,298の一部継続出願であり,この出願は1995年4月に出願された米国特許出願No.08/424,996の一部継続出願である。
【0002】
[技術分野]
本発明は一般に、水不溶性ポリマー、親水性物質および吸収物質を含む一体型組成物に関する。一実施態様において、本発明は、一以上の吸収物質と混合して吸収物質含有ポリマーを形成する改質ポリマーに関する。本発明は、更に、ポリマー構造中に位置する吸収物質をポリマー体の外部の条件に曝す手段を有する含有ポリマーに関する。一実施態様において、本発明の含有ポリマーは、制御された環境を要求する物品の容器および包装材料の製造に有用である。
【背景技術】
【0003】
管理および/あるいは制御しなければならない環境で保管され、輸送されおよび/あるいは利用されるのが好ましい物品が沢山ある。例えば、湿分管理領域では、トラップされた過剰な湿分を吸収する能力を有する容器および/あるいは包装材料は望ましいと認識されている。湿分吸収容器が望まれる一用途には、湿分により効力が危うくなる医薬品の輸送と保管がある。医薬品を最初に、シールした湿分のない容器内に置くことは通常、管理可能である。更に、医薬品用の容器は、湿分の透過度が低いように選ばれる。従って、医薬品は通常、最終ユーザーに至るまで、湿分から守られる。しかしながら、一度顧客が医薬品を受け取ると、医薬品を手にするために、容器を繰り返し開閉しなければならない。容器を開き、シールを開ける度に、湿分を有する空気が高い確率で容器内に導入され、容器を閉じると、容器内にシールされる。容器の雰囲気あるいは頭部空間から湿分を除去しなければ、湿分は薬品により吸収され、有害となる。この理由のために、乾燥ユニットを医薬品と一緒に容器に入れるのは良く知られた慣行である。
【0004】
他の物品である電子構成部分は、最高の性能を発揮するためには、減少させた湿分の条件を必要とする場合がある。これらの構成部分は容器中にシールできるが、最初に容器中にトラップされた過剰の湿分を除去しなければならない。また、ハウジングが完全に防湿性でなく、湿分が容器中に入りこむことが有る。この湿分もまた作動する構成部分から拘束されなければならない。このために、過剰な湿分を吸収し拘束する乾燥剤をハウジング内に置くことが重要である。湿分から守られるべき多くの構成部分の微妙さの故に、使用する乾燥剤は、構成部分を汚染し、その性能を危うくする塵埃を出す性質を持たないことが大切である。従って、このような容器の内部空間に乾燥剤を曝し、同時に、作動する構成部分を乾燥剤および乾燥剤から生じる塵埃との実際の接触から遮断するのが有利と認識されている。
【0005】
他の例では、輸送用および/あるいは保管用の容器に入れた、あるいは輸送および/あるいは保管用の包装紙にシールされた物品から湿分が放出される。このような物品の最も重要な例は輸送および保管中に湿分を放出する食料品である。シールされ実質的に不透湿性の容器の例では、放出された湿分は容器内に残留する。この放出された湿分は除去されなければ、湿分を放出した物品自体に悪影響を及ぼすことがある。ある種の食料製品からは、製造し、包装されて最初の48時間以内に相当量の湿分が放出されることが判った。この放出された湿分は除去されるまで、残留する。この湿分は、放出されて間もなく除去されなければ、食品を劣化させて、販売に不適な状態にする。これらの場合では、乾燥剤を品物と一緒に入れて、製品が取り出されるまで絶えず放出された湿分を吸収させるように出来る。このようにして、保管する物品については比較的に乾燥した環境が保持される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、組成物全体に相互連絡したチャンネルを確立する組織および方法を開示する。これらの相互連絡したチャンネルは含有された吸収物質を組成物の外部の適当な領域と連絡させ、(例えば、ガスおよび蒸気を)プラスチック組織の外部から乾燥材が置かれている内部の位置まで移動させるという望ましい特性を発揮させる。さらに、移動させるという望ましい特性を発揮させるこれらの相互連絡したチャンネルは組成物への透過速度を制御する親水性物質(例えば、チャンネリング剤)により占められる。この親水性物質は、組成物の表面から内部へ向かい組成物内に位置する吸収材への橋として作用するように用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の組成物から構成されたプラグ、インサート或いはタブレットの斜視図で、プラグの外表面における相互連絡したチャンネルの開口部を誇張されたスケールで示す。
【図2】図2は、親水性物質およびこれと混合した吸収物質を有する水に不溶性のポリマーから形成した固化プラグの誇張した断面図である。
【図3】図3は、プラグインサートに形成され、透過速度のバリアとして作用するポリマーで構成された容器の底部に位置する本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図4】図4は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成された容器の底部に共成型されたプラグに形成された本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図5】図5は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成された容器の内部に位置するライナーインサートに形成された本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図6】図6は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成された容器の内部に共成型されたライナーに形成された本発明の組成物を有する容器の一部の誇張された断面図である。
【図7】図7は、透過速度バリアとして作用するポリマーで構成されたバリアシートに隣接して位置されたシートに形成された本発明の組成物の誇張された断面図である。
【図8】図8は、バリアシートの内部に共成型されたシートに形成された本発明の組成物の誇張された断面図であり、シートに形成された結果、製品は一体的に成型されて、一体化した積層物からなる。
【図9】図9は、フィルム#2、フィルム#3およびフィルム#4の三つのフィルム試料の膨潤および質量損失のグラフを示す。
【図10】図10は、100%ポリグリコールの試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図11】図11は、フィルム#4の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図12】図12は、フィルム#5の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図13】図13は、フィルム#6の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図14】図14は、フィルム#7の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図15】図15は、予備インキュベーション状態のフィルム#2の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図16】図16は、インキュベーション済みの状態のフィルム#2の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図17】図17は、予備インキュベーション状態のフィルム#3の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図18】図18は、インキュベーション済みの状態のフィルム#3の試料のDSC曲線を示すグラフである。
【図19】図19(図19a〜c)は、フィルム#4のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図20】図20(図20a〜c)は、フィルム#5のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図21】図21(図21a〜c)は、フィルム#6のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図22】図22(図22a〜d)は、フィルム#3のフィルム試料の走査電子顕微鏡写真である。
【図23A】図23Aは、10%RH72°Fにおけるモレキュラーシーブの単位質量当たりのパーセント湿分増加を示すグラフである。
【図23B】図23Bは、20%RH72°Fにおけるモレキュラーシーブの単位質量当たりのパーセント湿分増加を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
開示された利点および改良点のうち、本発明の他の目的および利点は添付した図面との関連で行なう後の説明から明らかとなるであろう。これらの図面は本明細書の一部を構成し、本発明の代表的な実施態様を含み、本発明の各種目的および特徴を例示する。
【0009】
[本発明の詳細な説明]
定められているように、本発明の詳細な実施態様をここに開示する。しかしながら、開示される実施態様は色々な形で例示できる本発明の単なる代表例であることを理解すべきである。図は必ずしも定率縮尺ではなく、特定の成分の詳細を示すために若干の特徴は誇張されている。従って、ここに開示される具体的な構造および機能の詳細は制限的と解釈されるべきでなく、単なるクレームの基礎および当業者が本発明を様々に用いるように当業者を教示するための典型的基礎と解釈されるべきである。
【0010】
ここでは親水性物質(例えばチャンネリング剤)と呼ばれるある種の化合物は、成型体の形成に用いる水不溶性ポリマーと結合できることが発見された。実際は、一実施態様において、親水性物質と混合される水不溶性ポリマーベースの例としてはポリエチレンとポリプロピレンが挙げられる。
【0011】
一実施態様においては、水不溶性ポリマーが溶融状態に有る時あるいは溶融状態に有る前に、吸収物質および親水性物質をポリマーに添加して、ポリマー全体で完全に混合され、ブレンド体が溶融相に到達する前に完全に混合されるようにする。例えば、吸収物質、親水性物質およびポリマーがすべて粉末の時、この技術は有用である。
【0012】
他の実施態様においては、吸収物質を添加する前に親水性物質とポリマーが混合される。ポリマーが溶融状態に入る前か後かの何れかに親水性物質が添加される。例えば、シートを形成する熱プロセス中に吸収物質がポリマーに添加される。
【0013】
徹底した混合とプロセシングに引き続く冷却で、親水性物質は、上記ポリマーを通して透過連絡する通路として働く相互連絡したチャンネルを形成する。なお、本発明の組成物は一体型であり、水不溶性ポリマー、親水性物質および吸収物質は3相系を形成する。
【0014】
本発明の目的のために、「相」とは全体が均一で、限定した境界を有し、原理的には他の相と物理的に分離出来る物理系の部分を意味する。「相互連絡するチャンネル」とは水不溶性ポリマーを貫通し相互連絡できるチャンネルを意味する。「水不溶性ポリマー」とは25℃大気圧下で約0.1%未満の水に対する溶解度を有するポリマーを意味する。「親水性物質」とは架橋されておらず、25℃大気圧下で約1%以上の水に対する溶解度を有する物質と定義される。適当な親水性物質の例としては「チャンネリング」剤がある。「一体型組成物」とはマクロ的に二つ以上の相からは成っていない組成物を意味する。また、本発明の目的のためには、融点は、DSCで測定される物質の一次の転移点と定義される。「相互に可溶でない」は相互に混和しないことを意味する。
【0015】
ある実施態様では、本発明の適当な親水性物質は、ポリグリコール、例えばポリ(エチレングリコール)及びポリ(プロピレン グリコール)及びそれらの混合物を含む。その他の適当な物質としては、EVOH、グリセリン、ペンタエリトリトール、PVOH、ポリビニルピロリジン、ビニルピロリドン、又はポリ(N−メチル ピロリドン)、及び糖類をベースとする化合物、例えばグルコース、フラクトース、及びそれらのアルコール、マンニトール、デキストリン、及び加水化スターチ、などがあり、これらは親水性化合物であるから本発明の目的に適している。
【0016】
別の実施態様では、本発明の適当な親水性物質としては、加工の過程で親水性物質がメルト混合でその融点よりも高温に熱せられ、その後冷却したときにポリマーから分離して本発明の連結したチャンネル構造を形成し、また水不溶性ポリマーと、親水性物質と吸収物質から成る三相システムを形成する親水性物質も含まれる。
【0017】
本発明ではいろいろなタイプの吸収物質を用いることができる。ある実施形態では、本発明の吸収物質は乾燥剤化合物を含む。一般に、本発明で用いることができる乾燥剤化合物には3つの主なタイプがある。第一のタイプは、水と結合して水和物を形成する化合物である。このような乾燥剤の例は、水又は水分を吸収して安定な水和物を形成する傾向がある無水の塩である。水分との反応で安定な化合物が形成され、水分はその内部に保持されて化学的相互作用による放出が防止される。
【0018】
第二のタイプの乾燥剤化合物は、反応性であると考えられるものである。これらの化合物は、普通、水又は水分と化学反応を起こして、新しい化合物を形成し、その中で水が結合する。この新しく形成された化合物は一般に低温では不可逆的であり、乾燥剤として再使用できるようにするには相当な量のエネルギーを再び加える必要がある。これらの反応タイプの乾燥剤は、主に、溶剤の乾燥、及び水分が少ない状態に維持しなければならないポリマーへの吸水物質として、用いられる。
【0019】
第三のタイプの乾燥剤は、物理的な吸収によって水分吸収能力を得ている。吸収プロセスは、乾燥剤粒子にある細い毛管形態によって水分を吸い込むことによって行われる。毛管の孔(ポア)のサイズ、ならびに毛管の密度、がこの乾燥剤の吸収性能を決定する。このような物理的吸収乾燥剤の例は、分子篩、シリカゲル、粘土(例えば、モントモリリマイト粘土)、ある種の合成ポリマー(例えば、ベビーおむつに用いられるもの)及び澱粉、などである。このタイプの物理的吸収乾燥剤は、不活性であり水にも不溶なので、多くの用途に好ましいものである。一つの実施形態では、本発明で用いるのに適した分子篩のポア・サイズは約3〜15オングストローム;約3〜5オングストローム、約5〜8;3オングストローム;4オングストローム;5オングストローム;8オングストローム及び10オングストローム、などである。別の実施形態では、シリカゲルのポア・サイズは約24オングストロームである。他にも理由があるが、特にこの無害性が食品及び医薬品との共用に適し、食品や医薬品を乾燥剤が混入されたポリマー、又は少なくともそれに曝されるポリマー、によって形成される容器内に閉じこめることができる。しかし、前に述べたように、本発明のポリマーでは乾燥剤が混入されたポリマーを生成するために3つのタイプのどれを用いることもできる。
【0020】
適当な吸収物質は、また、次のようなものも含む:(1)金属及び合金、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、ケイ素、半田、銀、金、などであるが、それだけに限定されない;(2)金属がめっきされた粒子、例えば、銀めっき銅、銀めっきニッケル、銀めっきガラス小球、など;(3)無機物、例えば、BaTiO3、SrTiO3、SiO2、Al2O3、ZnO、TiO2、MnO、CuO、Sb2O3、WC、溶融シリカ、フュームド・シリカ、無定形溶融シリカ、ゾル−ゲル・シリカ、ゾル−ゲル・チタン酸塩、ミクスト・チタン酸塩、イオン交換樹脂、リチウム含有セラミックス、中空ガラス小球、など;(4)炭素をベースとする物質、例えば、炭素、活性炭、カーボンブラック、ケッチェムブラック、ダイアモンドパウダー、など;および(5)エラストマー、例えば、ポリブタジエン、ポリシロキサン、及び半金属、セラミック、など。
【0021】
別の例では、吸収物質は、酸化カルシウムであってもよい。水分と二酸化炭素の存在下で、酸化カルシウムは炭酸カルシウムに変換される。したがって、二酸化炭素の吸収が必要な用途では、酸化カルシウムを吸収物質として用いることができる。このような用途には、二酸化炭素を放出する新鮮な食品(例えば、フルーツや野菜)の保存などが含まれる。
【0022】
比較的細かい粒径を有する吸収物質を用いる実施態様では、ポリマー全体にわたって多くの小さな連結しているチャンネルを生成させなければならない。小数の大きな連結するチャンネルではポリマー内部で露出する表面積が小さいからである。ある実施態様では、二量体物質、例えばポリプロピレン 無水マレイン酸、又は何らかの可塑剤、をオプションとして混合物に加えて粘度を小さくし、ポリマーと親水性物質との混合し易さを高めることができる。
【0023】
さらに別の実施態様では、吸収物質と親水性物質の間に親和性を生ずる極性を有する吸収物質が選ばれる。そのような極性乾燥剤の一例はシリカであり、これは水不溶性ポリマーに対してよりも親水性物質との相溶性が高い。このため、ポリマー全体にわたって連結するチャンネルが形成される分離プロセスの際に、吸収物質は、より親和性が大きい親水性物質の領域の方に集まってくると考えられる。このようにして、親水性物質はポリマー構造の外部に位置する蒸気とポリマー内部に位置する吸収物質の間の架橋の役目を果たすことができると考えられる。これは特に、親水性物質に満たされた通路の内部に含有された吸収物質についてあてはまる。別の実施形態では、極性の可塑剤、例えばグリセリンなど、が混合物に加えられて親水性物質への吸収物質の分散又は混合を促進する。
【0024】
混合物中の吸収物質の濃度が高いほど、最終組成物の吸収能力も大きくなると考えられる。しかし、吸収物質の濃度が高くなると、全体はより脆くなって、混合物を熱的に形成、押出、又は射出成形することが難しくなるだろう。ある実施態様では、吸収物質の混入レベルは、ポリマーに対して重量で10%〜20%、20%〜40%、及び40%〜60%、の範囲にすることができる。
【0025】
ある実施態様では、本発明の水不溶性ポリマーは、どんな熱可塑性物質であってもよい。適当な熱可塑性物質の例は、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、ポリ(塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアンハイドライド、ポリアクリリアニトリル、ポリスルフォン、ポリアクリリックエステル、アクリリック、ポリウレタン及びポリアセタル、又はそれらの共重合体又は混合物、などである。
【0026】
さらに別の実施態様では、成分は最初にHenschelなどのミキサーでドライ・ミックスされる。例えば、Leistritzツイン・スクリュー押出装置、又はWerner Pfleiderミキサーを用いて、約140℃〜約170℃で良好なメルト・ミックスを実現することができる。メルトは次に、押し出して、例えば、フィルムを形成するか、又は振動コンベヤーで乾燥空気冷却によってペレットに変えることができる。形成された、チャンネルを含むペレットは、次に、例えば、射出成形でビーズ、ふるいに成形したり、又はポリプロピレンと一緒に射出して容器の内側の層にすることもできる。
【0027】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物は普通吸収物質を含まないポリマーよりも脆いので、パッケージを、内側の部分が本発明の組成物であり、外側部分が純粋なポリマー又は吸収物質の混入レベルが低い本発明の組成物から形成されるように成形することができる。例えば、内側の部分が本発明の組成物で構成され、外側部分が純粋なポリマーで構成されたパッケージは、普通、耐久性が高くなり、脆くなくなるというだけでなく、パッケージの外部から内部への蒸気の透過に抵抗する蒸気バリアとしても働く。このようにして、吸収物質の吸収能力は、それを専ら内側に、すなわち、そこから蒸気を吸い取り、戻さずに保持したいと思っているパッケージの内側にだけそれを露出することによって強化される。
【0028】
本発明の組成物には多くの用途がある。一つの用途は、比較的小さい体積の製品、例えば食物や医薬品、を収めるのに適した硬い容器を作ることである。多くの場合、この種の製品は制御された環境(例えば、水分及び/又は酸素が少ない環境)で発送され貯蔵されなければならない。別の実施態様では、本発明の組成物を容器の内側に入れるインサート(挿入物)に成形することができる。インサートの一つの形態の例は適当な形のプラグ(栓)である。プラグは単に容器内部に置かれるだけでその目的に役立つであろうが、内部のある場所に固定して、内部の空間を動き回るようにすることもできる。さらに別の実施態様では、円板の形に成形されるプラグは、ポリマーで作られた容器の底部にフィットするように押し込まれる形及びサイズに作られると予期される。
【0029】
別の実施態様では、本発明の組成物から、容器ボディーの内側表面と実質的に合致する外側表面を有するライナーを形成することができる。円板と同様、このライナーもポリマー・ボディー内部に押し込んでフィットさせることができ、そこで十分しっかりと保持されて、意図せずに外れることがないようなサイズにすることができる。あるいは又、別の実施態様では、プラグ又はライナーを最初に作って硬化させ、容器ボディーをその後でその周囲に作り、吸収物質を含まないポリマー・ボディーの収縮特性の方が大きいので容器ボディーがプラグ又はライナーのまわりにしっかりと縮みばめでフィットして、どちらも容易に互いに外れることができないようにすることができる。さらに別の実施態様では、プラグ又はライナーの形をとるインサートは、ポリマー容器ボディーと実質的に同時に一緒に成形して、互いに一体で連結しているようにすることができる。一緒に成形するプロセスの場合、吸収物質が混入されたインサートとポリマー容器ボディーの粘度は、普通、一緒に成形される二相の液体又は溶融物質の適切な所望の配置を容易にするためにほぼ等しくなければならない。
【0030】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物を用いて、別のシートと結合されるシートを形成することができる。少なくとも一つの実施態様では、シートは互いに効果的に積層されて実質的に気体を透過しない外側層が本発明の組成物に隣接して設けられる。この積層シートを用いてコントロールされた環境で貯蔵すべき品を包むことができる。接合プロセスを実行する一つの手段は、熱押出法によるものである。
【0031】
ここで述べる本発明の各実施態様において、従来の技術方法及び構造に比べた利点と長所は、本発明の組成物の全体にわたって連結するチャンネルを生成することができ、その結果、本発明の組成物から硬いボディーを作ることができると同時に水を吸収する物質を環境に対して露出することができるという発見から生まれている。さらに、ポリマー・ボディーの外側と内側に配置された吸収物質の間で透過レート・ブリッジとして働く親水性物質は、構造の外側に位置した所望の性質を速やかに除去すると同時に吸収物質の性能の大部分を利用するというこの構造の能力を大きく高めている。
【0032】
本発明の一つの実施態様は、本発明の組成物を生成する方法を含む。ある実施態様では、この方法は、水不溶性ポリマーと親水性物質をブレンドすることを含む。親水性物質をブレンドする前、又は親水性物質をブレンドした後で、吸収物質がポリマーにブレンドされ、添加物がポリマー内部で一様に分布し、親水性物質がポリマー内部に分布するようにする。その後、組成物が固化すると、結果的に親水性物質が組成物の中に連結するチャンネルを形成し、それを通って望ましい性質がポリマーから組成物の内部の吸収物質に伝わるということになる。別の実施形態では、親水性物質と吸収物質はドライ・パウダーの形で全体が十分に混合され、ポリマー・ブレンドが溶融されて所望の形に鋳造で成形される。連結するチャンネルが組成物の中に形成され、それを通って望ましい性質がポリマーから組成物の内部の吸収物質に伝わる。
【0033】
本発明の別の実施態様では、水不溶性ポリマーと、親水性物質と、吸収物質から成る一体構造組成物は、まず水不溶性ポリマーと親水性物質を含む二相システムを生成し、次にこの二相システムを、吸収物質含有溶液に浸すことによって作ることができる。その結果、吸収物質が組成物に取り込まれ、水不溶性ポリマーと、親水性物質と、吸収物質を含む少なくとも三相から成る一体構造組成物が得られる。本発明の目的には、浸すとは、漬けること、コーティングすること、その他、組成物による吸収物質の取り込みを生ずる方法を含むということは言うまでもない。
【0034】
一つの具体的な例は、(1)水不溶性ポリマーと親水性物質を混合して一様なブレンドを生ずるステップ;(2)ステップ(1)のブレンドを親水性物質の融点を超える温度に加熱するステップ;(3)ステップ(2)のブレンドを冷却して所望の形の品を形成するステップ;(4)ステップ(3)の成形された品を、吸収物質含有溶液に浸すステップ;(5)物質に有害な影響がない条件の下で乾燥させるステップ;及び(6)水不溶性ポリマーと、親水性物質と、吸収物質から成る一体構造組成物を含む成形された品にするステップ、から成る。
【0035】
この別の実施態様は、熱感受性が高く、そのため処理の過程で親水性物質を溶融するために必要な温度に耐えられない物質には好適かもしれない。そのような高温の例は、押出ステップで必要になる温度である。したがって、吸収物質は押出工程よりも下流で加えられ、その物質に有害な影響があるかもしれない高温にさらされない。この別の実施態様のもう一つの例は、吸収物質の溶液の生成に関する。ある実施態様では、吸収物質の水溶液が生成される。
【0036】
本発明のさらに別の実施態様では、ポリプロピレン無水マレイン酸などの水不溶性ポリマーが第三の物質(すなわち、吸収物質)なしで親水性物質と結合される。これは二相システムにしかならないが、この組成の中の無水マレイン酸が、この組成物に本発明の三相システムと同様な振る舞いをさせる(すなわち、連結チャンネルを含む)と考えられる。さらに、この組成物に吸収物質を加えることもできるだろう。
【0037】
さらに別の実施態様では、本発明の組成物を生成した後、親水性物質の一部又は全部を従来の手段によって(例えば、浸出によって)除去することができる。こうして得られる組成物は、所望の気体又は蒸気を、組成物を通してもっと多量に伝えることができる。あるいはまた、得られた組成物を所望の物質を含む溶液に浸して上で希望したようにさらに処理することができる。
ある別の実施態様では、本発明の親水性物質の一部又は全部を疎水性物質で置き換えることができる。
【0038】
本発明の目的には、“疎水性物質”という用語は、水での溶解度が、25℃及び大気圧で約20%未満である物質と定義される。疎水性物質は非極性気体の吸収が必要な用途で用いられる。例えば、フィルター・システムにおけるように有毒な気体及び/又は有機溶媒の除去が必要とされる用途では、水不溶性ポリマーと、疎水性物質と、本発明の吸収物質を用いることができる。場合によっては、疎水性物質を、水不溶性ポリマー及び吸収物質と組み合わせて用いると二相システムになることがあるということは言うまでもない。
【0039】
ある実施態様では、本発明の組成物を用いてバリア物質で作られるパッケージの内部に入れるプラグ(栓)が形成される。別の実施態様では、本発明の組成物を用いてバリア物質で作られる容器の内部に入れるライナーが形成される。さらに別の実施態様では、本発明の組成物を用いて吸収シートが形成される。吸収シートは、オプションとして、バリア物質から作られたバリアシートと組み合わせて包装用のラップとして用いることができる。別の実施態様では、本発明の組成物を用いて容器のための吸収インサートが形成される。
【0040】
本発明の実施態様を示す添付図面の図1を参照して説明すると、同図は本発明の組成物20から作られたインサートを示している。本発明のここでの開示に関する限り、ポリマー25のマトリックス中の乾燥剤30の介在について言う場合、“混入する”という語は“含む”という語と交換可能に用いられている。インサートは、容器ボディー60(図5)に入れて吸収容器61(図5)に仕上げることができるようなプラグ(栓)55の形をしている。図2を参照すると、同図は、吸収物質30及び親水性物質35と一様にブレンドされた水不溶性ポリマー25から成るポリマー混合物から作られたプラグ55の断面図を示している。図2に示されたものでは、本発明の組成物は固化しており、連結するチャンネル45が組成物の全体にわたって生じ、固化したプラグ55の全体にわたって通路ができている。図1と2の両方に見られるように、通路は、プラグ55の外側表面における開口48で終わっている。
【0041】
図3は、図2のプラグ55と構造及び組成が同様な、連結チャンネルが非常に細くなっているプラグ55の実施態様を示している。これは、親水性物質としてポリグリコールを用いて、又は二量体物質(すなわち、可塑剤)を親水性物質と一緒に用いて得られる。二量体物質50はポリマー25と親水性物質35の相溶性を高める。この高い相溶性はブレンドの粘度が低くなり、一様な溶液に結合されることに抵抗する二つの化合物25,35のブレンディングをさらに完全にすることで助けられる。二量体物質が加えられた本発明の組成物が固化すると、その中を通って形成される連結チャンネルは分散が大きくなりポアは小さくなって、プラグ55の全体にわたって連結チャンネルがより大きな密度で生ずる。ある実施形態では、ポリグリコールを親水性物質として用いるとき、ポリグリコールがポリオレフィンなどの疎水性熱可塑プラスチックと全般的に同等であるために、この同じ効果が容易に見られる。連結チャンネルが生成されて、所望の性質(例えば、気体)を固化したプラグ55の外側から、混入された水吸収物質30が結合している内部の場所までコントロールしながら伝送するための経路を提供する。
【0042】
これらの連結チャンネルが必要とされるのは、ポリマー25の疎水性がそれを通る気体の透過に対する抵抗になって気体バリアとして作用するからであると考えられる。このため、ポリマー25自身はバリア物質と呼ばれ、その内部に吸収物質30を混入できる。しかし、ポリマー25の内部に混入された吸収物質30を露出させるために連結チャンネル45が設けられる。この連結チャンネル45がなかったら、混入された吸収物質30は比較的少量の気体しか吸収しないと考えられる。さらに、この少量の吸収は、形成されたボディーの外側表面に露出した限られた数の吸収粒子30と、実質的に不透過性のポリマー25を通過してくることができる非常に少量の気体、によるものであると考えられる。このような特性のために、水不溶性ポリマー25は、気体に対して完全に不透過性ではないかもしれないのに、バリアと呼ばれる。
【0043】
図3は、容器ボディー60に入れて吸収容器61を構成した本発明のプラグ55のある実施態様を示している。容器ボディー60は内側表面65を有し、実質的に本発明の組成物から作られている。このように、容器60が閉じているとき、伝送性質は容器60の壁を通して伝わることが阻まれる。図3に見られるように、プラグ55は容器60の底部位置に押しつけてぴったりとはめ込まれている。プラグ55は単に容器60の中に入れてゆるく収めるだけでも良いと考えられるが、プラグ55を容器60に固定する仕方で容器60のボディーに結合する方が好ましい。プラグ55と容器ボディー60の結合は、プラグ55が外れて動き回るのを防止することを意図している。この結合は、プラグ55とボディー60の内側表面65の間の押し込みすべりばめ(snug press fit)で実現することもできるし、あるいはプラグ55を固定するための接着剤、プラグ55のまわりに延びたプロング、リップ、又はリッジなどの手段で機械的に結合することもできる。さらに別の実施形態では、容器ボディー60をプラグ55のまわりで成形して容器ボディー60が硬化する際にボディー60がプラグ55のまわりで縮んで二つのコンポーネントの間で縮みばめが生ずるようにすることもできると考えられる。このタイプの結合は、同時成形プロセスでも順次成形プロセスでも実現でき、プラグ55はポリマー25で構成される容器ボディー60よりも縮みかたが小さいので同じ結果が得られる。
【0044】
図4は、吸収容器61を示しているが、これは本発明の組成物をプラグ55の形にして図3に示された態様と同様な容器60の底部場所に配置したものである。しかし、プラグ55と容器60は一緒に成形されているので、プラグ55とボディー60の成分間の界面があまりはっきりしない一体のボディー61が形成される。
【0045】
図5と6は、図3と4と同様なコンセプトを図示しているが、プラグ55の比率が拡大されており、結果的に乾燥容器61の内側表面65の大きな部分を覆うライナー70が形成される。ライナー70は、容器ボディー60の底部部分に局限されず、上方に延びて容器61の壁の部分を覆う壁を有する。プラグ55と同様、ライナー70も、別に成形してあとで容器ボディー60と組み合わせることも、又は図6に示された一体ボディーの形になるように一緒に成形することもできる。
【0046】
図7と8は、本発明の吸収シート75が生成されてバリアシート80と組み合わせられる本発明のある実施態様を示している。シートの特性はプラグ55及びライナー70及び容器60に関して記述されたものと同様である。すなわち、図7は、二つのシート75,80が別々に成形され、あとで組み合わせられて内側表面で吸収特性を有し外側表面で蒸気遮断特性を有する包装ラップを形成する実施形態を示している。図8は、同時成形プロセスを示しており、この場合、吸収シート75とバリアシート80の間の界面は図7の実施態様に比べてあまりはっきりしていない。この製品は熱成形プロセスによって製造される。このプロセスでは、ポリマー層を溶融して部分的にシートに成形して、熱成形機のスリット状の開口を通してプレス又は押し出す直前にその層の上に乾燥剤30を載せる。図7の別々のシート75,80は、接着剤又はその他の適当な手段によって接合させて複数の層75,80からの積層(ラミネート)を形成することができると考えられる。あるいはまた、シート75,80は、両方のシート75,80が同時に製造され、実質的に一緒に成形されて図8に示された実施態様を構成する熱押出プロセスで製造することもできる。
【0047】
本発明の別の実施態様では、バリア物質から作られる容器60の内部に含めるためにプラグ55がこの混合物から形成される。ある実施態様では、プラグ55がバリア物質から作られる容器60に入れられる。このようにして、乾燥容器61が作り出される。プラグ55を容器ボディー60の内側表面に結合して、プラグ55が容器60に対して固定されるようにしてもよい。
【0048】
あるいは、バリア物質から作られる容器60をプラグ55のまわりに、プラグ55の少なくとも一部が容器60の内部に露出されるように成形してもよい。本発明によって作られる乾燥プラグ55は、バリア物質から作られる容器60と一緒に、プラグ55の少なくとも一部が容器60の内部に露出されるように同時成形してもよい。
【0049】
別の実施態様では、ライナー70を混合物40から成形してからバリア物質から作られる容器60の内部に含める。ライナー70は、普通、必ずという訳ではないが、外側表面が容器60の内側表面65にはまりこんで係合するような形態になっている。ライナー70を容器60に押し込んで係合させ、容器の内側表面65の少なくとも半分以上がライナー70によって覆われている容器61を作り出すことができる。ライナー70を混合物から成形し、次にバリア物質から作られる容器60をライナー70のまわりに成形して、ライナー70の少なくとも一部が容器60の内部に露出され、容器60の内側表面65の半分以上がライナー70によって覆われるようにしてもよい。
【0050】
あるいは、ライナー70と容器60を一緒に成形して一体化したボディーにしてもよい。吸収シート75を、バリア物質から作られるバリアシート80と組み合わせて包装ラップとして使用する。シート75,80は熱押出によって積層させることができる。
【0051】
所望により混合物に二量体剤を加えて重合体25とチャンネリング剤35の混和性を高め、それにより固化した混合物内の通路の分散性を高めてもよい。
【0052】
本発明のさらにも1つの実施態様では、吸収容器61を製造する方法が提供される。該方法は実質的にガス不透性の材料から容器60を形成して容器の内部と外部の間にガスバリヤーを作り出すことを含む。本発明の組成物からインサートが形成される。該インサートは、容器60の内表面65の少なくとも一部とのかみ合いを一致させるように形成された外表面を有する。該インサートは、インサートの外表面の少なくとも一部が容器60の内表65を隣接してかみ合うように容器60の内部に設置する。このかみ合いは容器60に対してインサートを固定し、容器60からインサートが外れないようにする。該インサートは所望の特性を吸収させるため容器60の内部に露出させる。該インサートを、インサートが容器60内にしっかり合うような十分な力で容器60の内部に押し込み、それによりそこから外れないようにする。該インサートはその受容位置で保持するために、容器の内部内の受容位置に上手く合うような大きさおよび形にする。
【0053】
もう1つの実施態様では、該インサートは、その受容位置で保持されるために、容器60の内部の底部の受容位置に上手く合うプラグ55の大きさおよび形にする。
【0054】
さらにもう1つの実施態様では、インサートは、大部分のライナー70の外表面が容器60の内表面65と接触してかみ合うように、容器60の内表面65と適合する外表面を有するライナー70へと形成する。同様に、容器60とライナー70は、容器60の内部65とライナー70の外部が、容器60からライナー70が外れないように互いに上手く合うように形成される。
【0055】
もう1つの実施例では、容器60は実質的にガス不透性であって、従ってその外部と内部の間で容器60の境界を通ってガスが伝達しないようにするプラスチックから成形してもよい。また、ライナー70は本発明の組成物から成形してもよい。
【0056】
なおもう1つの実施態様では、吸収容器60を製造する方法が提供される。容器は、容器60の内部と外部の間にバリアが形成されるように実質的に空気と不透水性材料から形成される。実質的に固形錠剤またはプラグ55は本発明の組成物20から形成され、錠剤55は容器60の内部内に適合するよう好適な大きさにする。次ぎに錠剤55を容器60の内部に置き、それにより、容器60が錠剤55について遮断された場合に容器60の内部から所望の物質を吸収する手段を確立する。
【0057】
本発明のもう1つの実施態様では、吸収パッケージングを製造する方法が提供される。外皮、シート、または層80は、外皮の反対側間でバリアが形成されるように実質的に空気と不透水性材料のシートから形成される。内皮、シート、または層75は内皮80の一方の側に本発明の組成物20から形成される。吸収パッケージは、不透性外皮80内に、製品と隣接して置かれた吸収内皮75で、製品または成型品を密封することにより製品または成型品について形成される。吸収ラミネートは外皮80および内皮75をともに吸引真空成形して吸収パッケージングを形成することによって形成すればよい。
【0058】
本発明の1つの実施態様では、吸収エンクロージャー61が提供される。該エンクロージャーは、容器60の内部と外部の間にバリアが形成されるように実質的に水分および空気を通さない材料から形成された容器60を含む。ライナー70は、ライナー70が、容器60の内表面65の少なくとも一部とのかみ合わせが合うように形成された外表面を有するように、本発明の組成物20から形成される。ライナー70は、ライナーの外表の少なくとも一部が容器60の内表面65と隣接してかみ合うように容器60の内部に挿入される。このかみ合いは容器60に対してライナー70を固定し、容器60からライナー70が外れないようにする。
【0059】
本発明のもう1つの実施態様では、密閉可能な容器60用の吸収インサートは密閉可能な容器60内への設置用に形成された吸収インサートを含む。インサート25は本発明の組成物から構成される。インサート25はその外表からその内部へと伸びる通路を有する。
【0060】
本発明を以下の具体的な実施例によってより詳細に説明する。これらの実施例は例示のためのものであって、本開示または請求の範囲を限定するものではない。例えば、以下の実施例は72°Fにて10%Rhおよび20%Rhで処理されたが、本発明の組成物はまたその他の条件でも適合する。さらに、これらの実施例は、本発明が内部連絡溝を有し、かつ、親水性物質がその内部連絡溝に残存することを実証する意味を持つ。実施例または明細書の他の部分における%はすべて特に断りのない限り質量%である。
【実施例】
【0061】
[実施例1]
以下の実施例の目的は、本発明の組成物が以下の物質を膨潤および重量損失分析に付すことによって内部連絡溝を有することを証明することにある。
[A.サンプルの調製]
[フィルム#1]
約93質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)および約7質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0062】
[フィルム#2]
約68質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約12質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)および約20質量%のモレキュラーシーブ乾燥剤(Elf Atochem,商標Siliporite(登録商標)モレキュラーシーブ,4オングストローム)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0063】
[フィルム#3]
約34.88質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約11.96質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)、約52.82質量%のモレキュラーシーブ乾燥剤(Elf Atochem,商標Siliporite(登録商標)モレキュラーシーブ,4オングストローム)および約0.34質量%のグレー色素の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約50lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0064】
[B.膨潤および質量損失分析]
3種類の各サンプルから円形ディスク(OD 1.1cm)を切り取った。各サンプルの最初の乾燥質量を記録した。次ぎにサンプルを蒸留水2.0ml中でインキュベートし、室温で振盪放置した。定期的に1、2、3および34日目にディスクを取り出し、表面を吸い取り乾燥し、サンプルを秤量して膨潤程度を測定した。各時点で蒸留水を置換して浸漬条件とした。実験の終了時にサンプルを凍結乾燥して水分を除去し、サンプルを秤量して質量損失を測定した。図9は分析結果のグラフである。膨潤率(%)はある時点(t)の湿潤質量を最初の質量(0)で割って100をかけたものとして定義される。「乾燥」は34日間インキュベーションした後、最終的に凍結乾燥させたサンプル重を表す。
【0065】
図9はフィルム#1が34日の経過中に膨潤または重量損失がなかったことを示している。従って、この結果はポリ(エチレングリコール)(すなわち親水性物質)はポリエチレン(すなわち水不溶性ポリマー)に完全に捕捉されていたことを示すと考えられる。フィルム#2は膨潤によってその最初の質量の約3%増え、34日間のインキュベーションの終了時にはその最初の質量の約9%を失っていた。フィルム#3はその最初の質量の約6%増え、34日間のインキュベーションの終了時にはその最初の質量の約8%を失っていた。これらの結果は、フィルム#2および#3に水が浸透し、フィルム#2および#3の水不溶性成分(例えば、ポリ(エチレングリコール))の実質的に一部がポリマーから抜き取られたため、本発明の組成物には外部から内部への内部連絡溝が存在していることを証明するものである。
【0066】
[実施例2]
以下の実施例の目的は本発明の組成物が水不溶性ポリマーと親水性物質からなる2つの分離相を有することを証明することである。
[A.サンプルの調製]
[フィルム#4]
100%ポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)3505G)を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0067】
[フィルム#5]
約88質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約12質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約40lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約85℃から約92℃の範囲の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0068】
[フィルム#7]
約68質量%のポリプロピレン(Exxon Chemincals,商標Escorene(登録商標)ポリプロピレン3505G)、約12質量%のポリ(エチレングリコール)(Dow Chemical,商標E−4500)および約20質量%のモレキュラーシーブ乾燥剤(Elf Atochem,商標Siliporite(登録商標)モレキュラーシーブ,4オングストローム)の配合物を十分混合して均一な配合物を得る。次ぎにこの配合物を約145℃から約165℃の範囲の16ゾーンの温度、供給速度約12lbs/時、スクリュー速度約460rpm、押出型6インチでLeistritz二軸スクリュー式押出機へ送った。次ぎに押出した組成物を約105℃の温度で三本ロール式ホットプレスへ送って約4ミリのフィルムを形成した。
【0069】
[B.示差走査熱量計(「DSC」)を用いる熱分析]
処理したフィルムサンプルをTAC 7DX熱制御装置を備えたPerkin Elmer DSC7を用いて分析した。データはPerkin Elmer Pyrisソフトウエア(バージョン2.01)を用いて解析した。サンプルを−50から250℃まで10または15℃/分の速度で加熱した後、同じ速度で冷却し、その後同じ速度で250℃まで再び加熱した。以下の表はDSCから収集したデータである。融点のデータは融点ピーク(℃)と、第1の加熱ランプ(1°)および第2の加熱ランプ(2°)でのエンタルピー(ΔH、ジュール/gm)で示されている。図10から18について記載した縦列は表からのデータに対応するDSCからグラフ上アウトプットしたものである。サンプルは250℃までしか加熱していないので、フィルムサンプル#2、#3および#7中のモレキュラーシーブは融解せず、従って融点は記録できなかった。
【0070】
サンプル 図# PEG PEGΔH J/g PP PPΔH J/g
ピーク℃ ピーク℃
100%ポリ(エチ 図10 1°63.808 190.362 なし なし
レングリコー
ル)
フィルム#4 図11 1°なし なし 162.700 78.462
2°なし なし 157.200 96.123
フィルム#5 図12 1°57.700 22.253 161.700 80.524
2°58.033 20.361 157.366 79.721
フィルム#6 図13 1°なし なし 159.366 42.385
2°なし なし 160.033 42.876
図14 1°56.366 19.460 162.200 70.073
フィルム#7
2°57.200 17.094 156.866 58.038
フィルム#2 図15 1°58.554 20.845 163.062 60.577
[インキュベー 2°58.779 16.037 157.783 53.706
ション前]
フィルム#2 図16 1°55.804 0.379 163.062 86.215
[インキュベー 2°57.529 0.464 158.533 67.949
ション後]
フィルム#3 図17 1°59.308 18.849 162.562 40.291
[インキュベー 2°56.529 10.122 158.283 24.980
ション前]
フィルム#3 図18 1°55.554 0.138 160.562 46.931
[インキュベー 2°なし なし 156.033 26.081
ション後]
【0071】
100%ポリ(エチレングリコール)サンプルは63℃で単一の融点を示すが、フィルム#4の100%ポリプロピレンは157℃に融点を持つ。フィルム#5は58℃(ポリ(エチレングリコール))と157℃(ポリプロピレン)で2つのピークを示したが、このことは2つの重合体が相分離していたことを示している。重合体が相分離せずに混合しいたならば、そのピークは純粋な重合体の融解温度ではなく、シフトしたものである。フィルム#6は160℃に明瞭なポリエチレンピークしか示さない。モレキュラーシーブはこの温度範囲では融解せず、すなわち純粋なポリプロピレンの融解温度に影響を及ぼさない。フィルム#7はまた、57℃におけるポリ(エチレングリコール)の、また157℃におけるポリプロピレンの2つの明瞭なピークを示すが、このことは3成分の混合物においてすべて相分離していることを示している。
【0072】
フィルムサンプル#2および#3は実施例1で示された膨潤および質量損失分析の一部であった。ここでも、59℃におけるポリ(エチレングリコール)の、また158℃におけるポリプロピレンの2つの明瞭なピークが示され、このことは3成分の混合物においてすべての成分が相分離していることを示している。しかしながら、ポリマーフィルムを室温で、34日間水中でインキュベーションし(フィルム#2:インキュベーション後)、DSCで試験した場合にはピークの位置は同じままであったが、このことはこれらの成分がなお相分離していたことを示す。しかし、ポリ(エチレングリコール)のピーク面積(ΔH、エンタルピーで示される)は極めて小さくなっていた。この結果はポリ(エチレングリコール)が水中での長期のインキュベーションによって抜き取られていたことを示している。また、この結果は実施例1で示された質量損失データをさらに確証することになり、ポリ(エチレングリコール)成分はポリプロピレンマトリックス塊の内部連絡溝によって大部分が抜き取られたことが証明された。
【0073】
フィルムサンプル#3はフィルムサンプル#2と同様の結果を示した。ポリプロピレンΔHピークは検出されず(フィルム#3:インキュベーション後)、このことは水中でのインキュベーション中にポリ(エチレングリコール)がほとんど完全に抜き取られたことを証明するものである。同フィルムがその最初の質量の約8%失われた実施例1の質量損失結果を確証させるものである。サンプルのポリ(エチレングリコール)組成物は約12質量%であった。
【0074】
さらに、本発明のサンプルのDSCデータからのガラス転移(Tg)分析もまた、水不溶性重合体および材料が相分離状態で存在することを証明する。純粋なポリプロピレンは約−6℃のTgを示すが、純粋なポリ(エチレングリコール)は約−30℃のTgを示す。フィルム#5からのDSCデータは、それぞれのポリマーに対応する明瞭な2つのTg(ポリプロピレンでは−6℃、ポリ(エチレングリコール)では−30℃)を示し、従ってこのことは2成分が相分離していることをさらに示すものである。
【0075】
[実施例3]
以下の実施例の目的は、本発明の組成物が内部連絡溝を有し、かつ、親水性物質内に内分混合した吸水材を有することを証明することにある。
[A.走査電子顕微鏡(「SEM」)法]
フィルムの構造特性をHitachi S−2700顕微鏡を用い、照射ダメージを最小にするため8kV加速圧で操作して画像形成した。各フィルムの3種の遠近法で視認化した:1)フィルム表面;2)破壊フィルムの横断面(0°)および3)配向#2(90°)に対して90°の破壊フィルムの横断面。Polaron Instruments Sputter Coater E5100を用い、金パラジウムの5から10nm層でインキュベーション前のフィルムサンプルをスパッター被覆した。インキュベーション後のサンプルを70重量%エタノール10ml中で振盪しながら室温で24時間インキュベーションした。エタノールを除去し、サンプルを一晩風乾した。次ぎにサンプルを凍結させ、一晩凍結乾燥して残留した水分を除去した後スパッター被覆した。
【0076】
[B.フィルムサンプルの形態]
図19a〜cはフィルムサンプル#4、すなわち100%ポリプロピレンの走査電子顕微鏡写真である。図19a〜cは水不溶性ポリマーが典型的には実質的に孔のない稠密で均質な形態であることを示している。外表は図19aに示されている。図19aは外表面が稠密で実質的に孔のないことを示している。横断面図は倍率200倍で図19bに示されている。図19bはフィルムの脆性破壊の際に明らかとなった重合体の平板様領域を示している。もう1つの横断面図は図19cに倍率1000倍で示されている。図19cは稠密で繊維質形態を示している。
【0077】
図20a〜cはフィルム#5、すなわち約88%ポリプロピレンと12%ポリ(エチレングリコール)の走査電子顕微鏡写真である。図20a〜cは実質的に水不溶性ポリマーと親水性物質からなる2相系が、ポリ(エチレングリココール)であるラメラ構造領域が散在した稠密な繊維質マトリックスを持つ均質な形態を有することを示している。図20a〜cはさらにラメラ繊維と繊維質構造との間の空隙を示し、これは溝であって同じ方向を向いていることを示している。外表面は図20aに倍率1000倍で示されている。図20aは外表面が稠密で実質的に孔のないことを示している。横断面図は図20bに倍率2,500倍で示されている。図20bはポリ(エチレングリコール)のラメラ鎖で被覆されたポリマーの繊維質領域を示している。図20cは垂直角で破壊したフィルム#5の横断面図を倍率1,500倍で示したものである。図20cはポリ(エチレングリコール)の固体、不定形の円筒が散在した繊維質ポリプロピレンマトリックスを示している。
【0078】
図21a〜cはフィルムサンプル#6、すなわち約50%ポリプロピレンと50%モレキュラーシーブの走査電子顕微鏡写真である。図21a〜cは典型的には均質で稠密なマトリックスを示し、離散したモレキュラーシーブは時折見られるだけで、モレキュラーシーブの添加量が高いにもかかわらず重合体に深く包埋されている。図21aは5ないし30ミクロンと測定される長い溝で覆われた外表面を倍率1,000倍で示している。モレキュラーシーブ(1ないし10ミクロン)の輪郭はポリマーの表面下に包埋されているのが分かる。横断面図は図21bに倍率200倍で示されている。図21bはポリマーの平板様領域とモレキュラーシーブの添加量が高いことによる粒子の粗い外観を示している。図21cは倍率1,500倍の横断面図であり、稠密な形態で、実質的に孔がなく、ポリマー中に包埋された多数の小粒子が見られる。
【0079】
図22a〜dはフィルムサンプル#3、すなわち約52%モレキュラーシーブ、約34%ポリプロピレンおよび約12%ポリ(エチレングリコール)の走査電子顕微鏡写真である。図22a〜dは高い多孔質形態を有する3相系を示している。図22aは5ないし30ミクロンと測定される長い溝で覆われ、離散した多数のモレキュラーシーブ粒子で満たされた外表面を倍率500倍で示している。図22bは破壊方向に走る長い溝を有する極めて多孔な形態を示している。図22cは垂直方向の横断面を倍率350倍の横断面であり、孔が見られる。図22はより高い倍率、1,500倍である。図22dは離散したモレキュラーシーブを含んだ溝、ならびにポリ(エチレングリコール)中に包埋された多くのシーブの凝集塊を示している。結果として図22bに基づけば、図22bおよび22cに見られる孔はSEMのための破壊調製中にモレキュラーシーブが脱落した場所であると考えられる。
【0080】
結論としては、実施例1、2および3から内部連絡溝の形成理論がさらに確認される。1つの実施態様では、本方法は親水性物質が融解形態にあり、一方、水不溶性ポリマーが固体形態にある温度で開始するので、第3の成分(例えば、モレキュラーシーブ)が液体の親水性物質と相互作用していると考えられる。結果として、この点で、親水性物質は容易に流動して固体の水不溶性ポリマーとモレキュラーシーブ成分との間の空隙に入り込むので、内部連絡溝が形成されると考えられる。この工程を継続し、温度が上昇するにつれ、水不溶性ポリマーは融解し、従ってこの組成物はより均質なものとなる。
【0081】
[実施例4]
以下の実施例の目的は本発明の組成物の吸水特性を証明することにある。フィルム#1と同様の処理条件を持つフィルムサンプルは、約50質量%のモレキュラーシーブ[4オングストローム]、約12質量%のポリ(エチレングリコール)および約38質量%のポリプロピレンを有しており、これらを以下の試験法を用いてその総質量についての吸水に関して評価した:(a)一方の環境チャンバーを予め72°F、相対湿度(「Rh」)10%に設定し、もう一方のチャンバーを予め72°F、20%Rhに設定する;(b)皿を秤量して質量を記録する;(c)天秤皿の風袋を測って天秤から皿の質量を除く;(d)次ぎにフィルムを載せて皿を秤量する;(e)次ぎに材料を秤量してその質量を記録する;(g)サンプルを所望の時間チャンバー内に置く;(h)所望の時間に達したらサンプルの載った皿を取り出して再び秤量し、その質量を記録する;さらに(i)、モレキュラーシーブ1グラム当たり増加した水分率(%)を、(サンプルの総質量増)/(サンプル中のモレキュラーシーブの質量)×100で算出する。結果は図23a[10%Rh]と23b[20%Rh]に示されている。4オングストロームのモレキュラーシーブの質量当たり増加した最大理論水分率(%)は約24ないし25%である。図23aおよび23bは本発明の高い伝導速度(例えば、吸水速度)を証明している。
【0082】
本明細書では一体型組成物およびそれらの構成化合物を説明してきた。上述したように、本明細書では本発明の詳細な実施態様が開示されているが、開示された実施態様は単に本発明の例であって、様々な形態で具体化されてよいものと理解すべきである。当業者により認識される多くの改良やその他の変更は、本発明の教示、精神および意図される範囲を逸脱せずに以下に請求される本発明の意図される範囲内にあるものと理解されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる成分を配合することによって形成された一体型組成物。
【請求項2】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる一体型組成物。
【請求項3】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる成分を配合することによって形成された一体型組成物であって、混合後の成分の組合せが少なくとも3相からなる組成物を形成する、一体型組成物。
【請求項4】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる一体型組成物であって、混合後の成分の組合せが少なくとも3相からなる組成物を形成する、一体型組成物。
【請求項5】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)有機親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる成分を配合することによって形成された一体型組成物であって、混合後の成分の組合せが少なくとも3相からなる組成物を形成する、一体型組成物。
【請求項6】
(a)水不溶性ポリマーと親水性物質(該ポリマーと該物質は相互に可溶でない)を配合し;
(b)該ポリマーと該物質を混合し;
(c)該ポリマーと該物質の混合物をその物質の融点を超えて加熱し;
(d)吸収物質を加え;
(e)工程(d)の成分を混合し;
(f)その組成物を冷却する
ことを含んでなる工程によって形成された一体型組成物。
【請求項7】
水不溶性ポリマーがポリオレフィン、ポリカーボネートおよびポリアミドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
水不溶性ポリマーがポリオレフィン、ポリカーボネートおよびポリアミドからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
親水性物質がポリグリコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)、グリセリンおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
親水性物質がポリグリコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)、グリセリンおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
成型品がシート、フィルム、ペレットおよびビーズからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
成型品がシート、フィルム、ペレットおよびビーズからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項1】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる成分を配合することによって形成された一体型組成物。
【請求項2】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる一体型組成物。
【請求項3】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる成分を配合することによって形成された一体型組成物であって、混合後の成分の組合せが少なくとも3相からなる組成物を形成する、一体型組成物。
【請求項4】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)処理中にその融点を超えて加熱される親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる一体型組成物であって、混合後の成分の組合せが少なくとも3相からなる組成物を形成する、一体型組成物。
【請求項5】
(a)水不溶性ポリマー、
(b)有機親水性物質、および
(c)吸収物質
を含んでなる成分を配合することによって形成された一体型組成物であって、混合後の成分の組合せが少なくとも3相からなる組成物を形成する、一体型組成物。
【請求項6】
(a)水不溶性ポリマーと親水性物質(該ポリマーと該物質は相互に可溶でない)を配合し;
(b)該ポリマーと該物質を混合し;
(c)該ポリマーと該物質の混合物をその物質の融点を超えて加熱し;
(d)吸収物質を加え;
(e)工程(d)の成分を混合し;
(f)その組成物を冷却する
ことを含んでなる工程によって形成された一体型組成物。
【請求項7】
水不溶性ポリマーがポリオレフィン、ポリカーボネートおよびポリアミドからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
水不溶性ポリマーがポリオレフィン、ポリカーボネートおよびポリアミドからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
親水性物質がポリグリコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)、グリセリンおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
親水性物質がポリグリコール、ポリ(エチレンビニルアルコール)、グリセリンおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
成型品がシート、フィルム、ペレットおよびビーズからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
成型品がシート、フィルム、ペレットおよびビーズからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図23A】
【図23B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図23A】
【図23B】
【公開番号】特開2010−18808(P2010−18808A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−188070(P2009−188070)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【分割の表示】特願2000−574164(P2000−574164)の分割
【原出願日】平成11年9月17日(1999.9.17)
【出願人】(501014005)シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188070(P2009−188070)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【分割の表示】特願2000−574164(P2000−574164)の分割
【原出願日】平成11年9月17日(1999.9.17)
【出願人】(501014005)シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド (21)
【Fターム(参考)】
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