吸引式噴射器
【課題】噴射ボンベと被噴射液容器との容量を、特定の比率に特定したものを提案することによって、噴射ガスの無用な放散を防止すると共に、社会的にも安心感の高い吸引式噴射器を提供せんとする。
【解決手段】吸引式噴射器において、被噴射液容器11の内容積をVLmlとし、噴射ボンベ21の内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30であり、より望ましくは、VG<30mlであることを特徴とする吸引式噴射器の提供を図る。
【解決手段】吸引式噴射器において、被噴射液容器11の内容積をVLmlとし、噴射ボンベ21の内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30であり、より望ましくは、VG<30mlであることを特徴とする吸引式噴射器の提供を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吸引式噴射器に関するもである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体の噴射器は次の3種のタイブに大別される。第1のタイプは、エアゾール容器に代表されるもので、噴射ガスと被噴射液とを同一の圧力容器内に収納して、噴射ガスの噴出と共に被噴射液を霧状やムース状に吐出させるタイプである。第2のタイプは、圧力容器を2重容器として、内側の容器を柔軟な容器とし、その内部に被噴射液を収納する一方、外側に高圧ガスを収納することにより、内側の柔軟容器を加圧して、その圧力により被噴射液を噴射するようにしたものである。第3のタイプは、噴射機構部に接続された噴射ボンベと、噴射ボンベとは別個に噴射機構部に接続された被噴射液収納室とを備え、噴射ボンベのガスを噴出させることにより被噴射液収納室の被噴射液を吸引して噴射させる吸引式噴射器である。この吸引式噴射器は、被噴射液と噴射ガスとが別容器に収容されているため、被噴射液と噴射ガスとの相溶性や噴射ガスによる被噴射液の変質などを考慮する必要がないという利点や、被噴射液収納室を耐圧容器とする必要がなく、その材質や設計の自由度が高いという利点があるが、第1のエアゾール容器ほど多用されていないのが現状である。本願発明はこの第3の吸引式噴射器の改良を提案し、その有効活用を図らんとするものである。
【0003】
吸引式噴射器としては、特許文献1〜3に示すものが提案されている。特許文献1に記載の噴射器は、噴射ボンベと被噴射液(塗料)を収納した被噴射液容器とを、完全に別体に構成したものであり、それぞれを噴射機構の下部に取り付ける。使用者は、噴射ボンベを掴んで噴射機構の操作部を押し下げ操作して、噴射を行う。
【0004】
特許文献2に記載の噴射器は、噴射ボンベであるエアゾール容器の噴射機構(エアゾールヘッド)に被噴射液の収納室を設けるもので、収納室の大きさがエアゾールヘッドの大きさの制限を受けて、あまり大きなものを使用することができず、無理矢理に大きなものを設計したとしても、全体の重量バランスが上方に偏り、設置の安定性や操作性が悪くなってしまう。またこの特許文献2に示された噴射機構にあっては、細かい良好な霧を得る事が困難な場合があった。
特許文献3に記載の噴射器は、噴射ボンベの下部に被噴射液容器を設けるもので、噴射機構から被噴射液容器までをつなぐチューブを、圧力ボンベの横を通して、圧力ボンベの下方にまで導く必要があり、構造が複雑になってしまう。
【0005】
以上、これらの特許文献に記載の噴射器にあっては、いずれも、被噴射液容器に比して十分に大きな噴射ボンベを用いるものである。ところが、噴射ボンベが大きいと、被噴射液がなくなっても、多量のガスが噴射ボンベ内に残ってしまい、これを廃棄するために、多量のガスを大気中に放出することとなり、代替フロン等を用いたとしても、環境上好ましいこととは言えない。また、不必要に多量の高圧ガスを製造販売することは、たとえ安全性について十分に配慮したとしても、社会に対する安全性の観点からは疑問が残るものである。特に、30ml以上の高圧ガスは爆発の危険性があるとして、高圧ガスとしての表示を義務づけられている。また、社会の安全確保策の点からしても、大型のガスボンベの使用は極力さけるべきである。この点、被噴射液容器と噴射ガスとを同一の高圧ボンベ内に収納する一般的なエアゾール容器にあっては、ボンベ全体の小型化についても限界がある。他方、被噴射容器と噴射ボンベとの分離し得る本願発明の如き吸引式噴射器にあっては、噴射ボンベのみを小型化すること、具体的には30ml未満とした場合にあっても、被噴射容器は必ずしも小型化する必要がないと言える。ところが、従来の吸引式噴射器のガスボンベは、いずれも、被噴射液容器よりも大きく、30ml以上のものであった。これでは、吸引式噴射容器の特性を環境性や安全性に活かしたものとは言えず、課題を残すものであった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−305243号公報
【特許文献2】特開平11−169759号公報(第3図)
【特許文献3】実公平7−53734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明にあっては、噴射ボンベと被噴射液容器との容量を、特定の比率に特定したものを提案することによって、吸引式噴射器の特質を十分に活用して、噴射ガスの無用な放散を防止して環境に与える影響を極力小さくすると共に、爆発の危険性を減少させ、社会的にも安全性が高く、法的にも危険物、高圧ガスとしての取扱を行う必要がない安全な吸引式噴射器を提供せんとするものである。
本願発明の他の目的は、噴射ボンベと被噴射液容器とを着脱自在なのとすることによって、噴射ガスと被噴射液との何れか一方が余った場合でも、新たなものを装着することによって、継続的に使用可能とし、資源の無駄遣いを防止することがきる吸引式噴射器を提供せんとするものである。その際、着脱部分の形状や構造を特定のものに設定することによって、誤った装着をも防止する。
本願発明のさらに他の目的は、被噴射液の霧化状態が良好な細かいものを得ることができる吸引式噴射器を提供することにある。
本願発明のまたさらに他の目的は、輸送時などに被噴射液容器からの液漏れを有効に防止しつつ、噴霧操作にあっては、操作部の押圧等の操作のみによって、良好な噴霧が可能な吸引式噴射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明は、吸引式噴射器において、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30である吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項2に係る発明は、上記のVG<30mlであることを特徴とする請求項1記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項3に係る発明は、噴射機構部と、この噴射機構部に接続された噴射ボンベと、噴射ボンベとは別個に噴射機構部に接続された被噴射液容器を備え、噴射機構部は噴射ボンベのガスを噴出させることにより被噴射液容器の被噴射液を吸引して噴射させるものである吸引式噴射器において、被噴射液容器の上端に上記の噴射機構部が配位され、噴射機構部は、その下部に噴射ボンベに対する着脱可能なボンベ接続部と被噴射液容器に対する着脱可能な容器接続部を有し、被噴射液容器は、その上端に設けられた口部にて、上記の容器接続部に支持され、噴射機構部に設けられた吸い上げパイプが、被噴射液容器の口部内に挿入されることにより、被噴射容器から噴射機構部への流路が設定されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項4に係る発明は、上記の被噴射液容器は、その口部の隣に噴射ボンベの収容部を備え、この収容部は、噴射ボンベを安定して支持収容し得る底部スペースを備え、上記のボンベ接続部は、ボンベアダプターを確実に簡単に正しく収容し得る特製の嵌着部を持ち、噴射ボンベは、この嵌着部と正確に嵌着するボンベアダプターを肩カバーとして装着しており、専用のボンベのみの使用を担保出来る仕組みを有する請求項2に記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項5に係る発明は、噴射機構部は、噴射ボンベの頂部に設けられたステムに対して嵌合する噴射ボタンと、この噴射ボタン内に設けられたガス流路と、ガス流路の先端に設けられ、ガス流路よりも径の小さなベンチュリー狭窄部と、ベンチュリー狭窄部の先端に設けられ、ベンチュリー狭窄部より大きい径の混合吸引室と、吸引混合室の先端に設けられ、膨張室とを備え、膨張室は吸引混合室に対して膨張室入口を介して連通しており、この膨張室入口は吸引混合室より小さく且つ膨張室より小さいものであり、この膨張室はその先端の膨張室出口で外部に開口しており、被吐出液容器に導通する被噴射液用導通路が吸引混合室に連通しているものであり、ガス流路からの噴射ガスが、膨張室出口を経て外方へ排出される時、ベンチュリー効果により負圧を発生し、発生した負圧により被噴射液容器内の被噴射液が吸引を受けて上昇し、吸引混合室で噴射ガスと混合され、ベンチュリー狭窄部口径より大きな口径の膨張室入口でガスの膨張を受けて霧化し、より口径の大きい膨張室で更に霧化効果を得て外部に噴射されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項6に係る発明は、被噴射液用導通路の先端に狭隘な案内室が設けられ、この狭隘な案内室を経た被噴射液がこの案内室より広い吸引混合室へ導入されるものであることを特徴とする請求項5記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項7に係る発明は、被噴射液は水系、アルコール系、溶剤系、脂肪酸系等の液体にそれぞれ製品目的に応じた有効成分を配合したもので粘度範囲1cpから100cpであり非危険物のものを使用する請求項1〜6の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項8に係る発明は、噴射ボンベ内に収容するガスは、ジメチルエーテル、HFC-152a等の単体の液化ガス、窒素、酸素、炭酸ガス、亜酸化窒素等の圧縮ガスの他、共沸混合物を使用し、噴射中の蒸気相中及び液相中の2成分以上のガス組成が変動しない様にし、噴射器の噴射状態が変わらない様にする事を特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項9に係る発明は、噴射ボンベは、噴射口を有するステムと、ステムに対する押圧によって開弁する開閉弁を備え、噴射機構部は、噴射ボンベのステムに接続されるボンベ接続部と、被噴射液収納室に接続される容器用接続部と、人が噴射のための操作をなす操作部とを備え、容器用接続部に開閉弁が設けられ、操作部の操作により、被噴射液用接続部の開閉弁を開くと共にステムを押圧するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本願発明にあっては、被噴射液と、噴射ガスとを別容器に収納しており、両者の相溶けるボンベとを別体としており、
そこで本願発明は、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30とすることによって、噴射ガスの無用な放散を防止すると共に、社会的にも安心感の高い吸引式噴射器を提供し得たものである。
特に、被噴射液容器の内容積VGを30ml未満としたことによって、爆発の危険性を減少させることができる。このことは、法的にも危険物、高圧ガスとしての表示が必要とされないことからも明らかであり、安全性が法的にも担保されていると言えるものである。よって、本願発明は、環境にも十分に配慮し、社会の安全保安対策も考慮し、日常生活での安全性にも優れた吸引式噴射器を提供することができたものである。
また本願の請求項3に係る発明は、上記の効果に加えて、噴射ボンベと被噴射液容器とを着脱自在なのとすることによって、噴射ガスと被噴射液との何れか一方が余った場合でも、新たなものを装着することによって、継続的に使用可能とし、資源の無駄遣いを防止することがきる。その際、着脱部分の形状や構造を特定のものに設定することによって、誤った装着をも防止できる。
本願の請求項5に係る発明は、上記の効果に加えて、被噴射液の霧化状態が良好な細かい霧を噴射できる吸引式噴射器を提供し得たものである。
本願の請求項9に係る発明は、上記効果に加えて、輸送時などに被噴射液容器からの液漏れを有効に防止しつつ、噴霧操作にあっては、操作部の押圧等の操作のみによって、良好な噴霧が可能な吸引式噴射器を提供し得たものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
図1は本願発明の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。図2は、同吸引式噴射器の平面図であり、図3は同吸引式噴射器の噴射ボンベを装着する状態を示す断面図であり、図4は同吸引式噴射器の要部拡大図である。
【0011】
この噴射器は、被噴射液容器11と、噴射ボンベ21と、両者11、12の上端に設けられた噴射機構部30とを備える。
【0012】
まず噴射ボンベ21から説明すると、噴射用のガスが収納されたもので、このガスとしては、DME、LPG、弗化炭化水素等の液化ガスや、窒素、炭酸ガス、笑気ガス、空気等の圧縮ガスの一種又は2種以上を混合して用いる事ができる。ここで、混合する際には、次の点に注意する。即ち、沸点の違う2液の混合物は理想溶液のときは蒸気組成と溶液の組成が異なり、沸点も蒸留が進むと変化する。しかし、理想溶液から外れている場合にはある溶液組成のときに、それと同じ組成の蒸気を溜出し、沸点も変化しない。そのときの溶液を共沸混合液又は共沸混合物といい、かかる共沸混合物を用いることが望ましい。具体的には、下記の(1)から(8)を例示し得る。(1)HFC-152a/プロパン=45/55(w/w)(2)HFC-152a/イソブタン=70/30(w/w)(3)HFC-152a/DME=32/68(w/w)(4)イソブタン/HFC-152a=25/75(w/w)(5)A-80/DME=80/20(w/w)(6)A-17/HFC-152a=15/85(w/w)(7)A-31/HFC-152a=25/75(w/w)(8)A-31/DME=40/60(w/w)。
【0013】
噴射ボンベ21の内圧は、エアゾール製品として一般的な圧力を有するものや、それ以上高圧の圧縮ガスとしてもよく、その噴射によって、被噴射液容器11内の被噴射液を吸引して噴射させることができるものであれば、その種類や圧力は問わない。また、噴射ボンベ21には、噴射ガスと併用して、薬液などの被噴射液を収納することもできる。この噴射ボンベ21に収納される被噴射液は、噴射ガスと共にボンベ内で保管可能であると共に噴射ガスと共に噴射ボンベから噴射されることを条件に適宜選択して用いることができ、具体的には、後述の被噴射液容器11に収納される被噴射液と同等のものを利用できる。より具体的な利用方法としては、2液性の薬剤(発熱剤、塗料、接着剤、染毛剤など)の一方を噴射ボンベ21に収納し他方を被噴射液容器11に収納することを例示できる。
【0014】
この噴射ボンベ21の内容積は適宜設定すればよいが、被噴射液収容の容積と噴射ガス器容積のバランス、取り付け、取り外しの簡易性、製品使用時の簡便性、安全性から、噴射ボンベの容積VGを30ml未満とすることが望ましい。特に、この条件を満たす噴射ボンベであれば、4畳半の居室に噴射ボンベ21内の全ての噴射ガスを放出したとしても、爆発のおそれはなく、社会的な安全性の観点から好ましいものとなる。他方、早く全量が放出されてしまうことは好ましくないため、噴射ボンベの容積VGは15ml以上とすることが望ましい。
【0015】
この噴射ボンベ21はステム22を上端に備えた有底筒状のボンベであり、このステム22の上端には噴射ボンベ21の内部に連通する噴射口(図示せず)が形成されている。噴射ボンベ21の内部には、ステム22に対する押圧(押し下げや傾斜)によって開弁する開閉弁(図示せず)を備えており、ステム22を押し下げたり、傾けることによって、弁が開き、内部のガスがステム22の噴射口から噴射する。この噴射ボンベ21の材質は、内部のガスの圧力によって金属、合成樹脂などの適宜材質のものを選択して用いる事が出来る。
【0016】
この噴射ボンベ21は、ガスとして液化ガスを用いた場合、ボンベ内のガス収容室に、多孔質部材(図示せず)を備えたものとして実施することが望ましい。この多孔質部材は、噴射ボンベ21のガス収容室内にて、少なくともその一部分が上記液化ガスの液状の部分に浸される位置(例えば底部など)に配位される。具体的には、噴射ボンベ21の上下方向の実質的に全長に渡って配位することが望ましく、容器の内面に貼り付けたり、ステム22に連通するディップチューブ(図示せず)に取り付けたりしてもよく、単に、ボンベ内部に独立して設けておくようにしてもよい。また、倒立を予定しないものについては、底部のみに設けるなどしてもよい。多孔質部材には、スポンジに代表される発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、多孔質セラミック、多孔質プラスチック(多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリエチレン)に代表される焼結部材、不織布、沸石などの沸騰石を採用することができる。本願発明のように、被噴射液容器の内容量に比して、比較的小さな噴射ボンベを用いた場合、気化したガスの噴射に液化した部分の気化が間に合わず噴射の勢いがすぐに減衰してしまうという傾向が顕著に現れるおそれがあるが、多孔質部材を用いることによって、液化ガスの気化が促進され、連続的に噴射した場合にあっても、噴射の勢いが減衰してしまうことを防止することができる。
【0017】
次に、被噴射液容器11は、上記の噴射ガスの噴射に伴って、吸引される被噴射液を収納する容器である。この被噴射液としては、芳香剤、消臭剤、洗浄剤などの液状の日用品類、化粧品類、医薬品、塗料、インキ、アルコール、水などの液状の流動体のほか、ナイロンパウダーに代表される合成樹脂製パウダーや、シリカなどの微粉末、シラスバルーン等の中空球体や多孔質体等々、全体として流動性を備えた粉粒体などの被噴射液を収納することができ、これらの内容物を被噴射液と総称する。より望ましくは、被噴射液は水系、アルコール系、溶剤系、脂肪酸系等の液体に、それぞれ製品目的に応じた有効成分を配合したもので、粘度範囲1cpから20cpのものを使用する。この範囲外にあっても使用は不可能ではないが、この条件を満たす液体を用いることによって、噴射した際に、きれいで細かい良好な霧をえることができるものである。以下の説明では、原則として、被噴射液を霧化され得る液体を用いた場合について説明する。
【0018】
この被噴射液容器11は、その内容積をVLmlとし、噴射ボンベ21の内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30とされている。このように、被噴射液容器11に比して噴射ボンベ21の内容積を十分に小さくすることによって、噴射ガスの無用な放散を防止すると共に、社会的にも安心感の高い吸引式噴射器を提供し得る。特に、上記のように、粘度範囲1cpから20cpのものを使用する場合にあっては、VG/VL=0.05〜0.30とする事によって、全ての被噴射液を吸引噴射できるのに等しい量(完全吐出必要量x)を上回る量の噴射ガスであって、完全吐出必要量xの2倍を越えない範囲とするとができるものであり、これにより、被噴射液を最後まで確実に噴射できると共に、噴射ガスの無駄な放散を防止することができる。
【0019】
次に、被噴射液容器11は、全体に有底の略筒状をなし、その上端に口部12を備えるもので、この口部12は噴射機構部30が取り付けられることによって液密に閉ざされる。この例では、口部12の外周にオネジが設けられており、噴射機構部30と着脱可能に接続される。なお、その際、液密性を保つために、パッキンを設けるようにしてもよい。被噴射液容器11は、耐圧性は必要とされず、金属製のほか、合成樹脂製など、液密性を有することを条件に、適宜選択して使用できる。
【0020】
この被噴射液容器11は、その口部12の隣に噴射ボンベ21の収容部13を備える。この収容部13は、噴射ボンベ21を安定して支持収容し得る底部スペース14を備える。この底部スペース14は、被噴射液容器11の中程に形成されたもので、噴射ボンベ21の底部を支持する。噴射ボンベ21は、この底部スペース14上で立設するものである。また、より安定して、噴射ボンベ21を支持すると共に、人がこの吸引式噴射器を持つときのために、底部スペース14の左右両側には把持部15が設けられている。この把持部15は、その内側で噴射ボンベ21の外周部を左右両側から支持すると共に、その外側で人に把持され易いように構成されている。
【0021】
この噴射機構部30は、その下部に、支持部31を有する。この支持部31は、被噴射液容器11に対する着脱可能な容器支持部31aと、噴射ボンベ21に対する着脱可能なボンベ支持部31bとから構成される。
容器支持部31には、被噴射液容器11の口部12のネジに螺合するメネジ32が形成され、これにより、被噴射液容器11は、その上端の口部12にて、この容器支持部31に支持される。そして、噴射機構部30に設けられたディップチューブ33が、被噴射液容器11の口部12内に挿入されることにより、被噴射液容器11から噴射機構部30への流路が設定される。
この容器支持部31の横にボンベ支持部31bが設けられる。このボンベ支持部31bは、噴射ボンベ21の前後両側に伸びる嵌着部である。一方噴射ボンベ21は、これと正確に嵌着するボンベアダプター23を肩カバーとして装着している。すなわち、ボンベ支持部(嵌着部)31bの内面側形状と、ボンベアダプター23の外周形状とを実質的に同一形状(隙間なくはまり合う形状)としており、これによって、専用の噴射ボンベ21のみの使用を担保出来るようになっている。
【0022】
噴射機構部30は、人が噴射のための操作をなす操作部35と、この操作に基づき噴射のための動きをなす噴射ボタン36とを備える。この例では、操作部35が噴射ボタン36の上部に設けられており、操作部35を下方に押圧すると、噴射ボタン36が下方に押しさげられる。噴射ボタン36は、その下部に、噴射ボンベ21のステム22と嵌合するステム接続部40を備える。噴射ボタン36が下方に下がると、ステム接続部40に嵌合したステム22が下方に押し下げられ、噴射ボンベ21の内部の開閉弁が開き、噴射ガスが吐出して、ステム接続部40に流入する。このステム接続部40は、前方に伸びるガス流路40aに連続しており、ガス流路40aの先端に噴射部材41が取り付けられている。
【0023】
噴射部材41は、図4に示すように、ノズルインサート4aと、インサート用リング4bとを備え、これらが、噴射ボタン36の先端孔に取り付けられている。
このガス流路40aの先端には、ノズルインサート4aが配置されている。このノズルインサート4aにも基端から先端に向けてガス流路42aが設けられており、その先端には、これよりも径の小さなベンチュリー狭窄部42が形成されている。ベンチュリー狭窄部42の先端には、ベンチュリー狭窄部42より大きい径の吸引混合室43が形成される。この混合吸引室43は、ノズルインサート4aのテーパ状の先端面とインサートリング4bの縮径されたテーパ状の壁面との間の空間である。両テーパ状は実質的に平行にしておくことが望ましい。
この吸引混合室43の先端は、膨張室44に連通している。この膨張室44は吸引混合室43に対して膨張室入口44aを介して連通しており、この膨張室入口44aは吸引混合室43より小さく且つ膨張室44より小さいものであり、この膨張室44はその先端の膨張室出口44bで外部に開口している。
【0024】
吸引混合室43には、案内室43aの先端が被噴射液出口43bを介して導通している。案内室43aはインサート用リング4bの外周と噴射ボタン36の先端孔の内周面との間の空間であり、ベンチュリー狭窄部42より後方に向けて、ガス流路42aの外側に形成される。この案内室43aは、縦方向(上下方向)に伸びる被噴射液用導通路45の先端に環状に設けられたものであり、被噴射液用導通路45の軸方向と環状の案内室43aとの軸方向とは実質的に直交している。
被噴射液用導通路45の上端の案内室入口43cから案内室43aに流入した被噴射液は、案内室43aの壁面である衝突部(ノズルインサート4aの外周壁)に衝突した後、案内室43a内を先端方向に進んで、被噴射液出口43bから吸引混合室43内に流入する。
このとき、環状の案内室43aの半径方向の幅は、吸引混合室43の半径よりも小さく狭隘なため、案内室43a内を通過する被噴射液の流速は被噴射液用導通路45内よりも早くなる。これにより、被噴射液は微粒化や分散化が進んだ状態で吸引混合室43内に流入するため、良好な混合が実現する。
また、前述のように、この混合吸引室43を、先端に向かって漸次径が小さくなるテーパ状の空間とすることによって、被噴射液は先端の膨張室入口44aに向かって自然と流れて、膨張室入口44aにて混合と一次膨張とがなされ、さらに径の大きな膨張室44で二次膨張が行われる。
【0025】
以上の構成により、操作部35の操作で噴射ボタン36が下がると、噴射ボンベ21の噴射ガスがステム22の噴射孔から吐出され、ステム接続部40、ガス流路40a、噴射部材41を経て、膨張室出口44bから噴出する。
その際、ベンチュリー狭窄部42のベンチュリー効果により負圧を発生し、発生した負圧により噴射用液容器11内の被噴射液が容器内のディップチューブ33内で吸引を受けて上昇し、案内室43aを経て、吸引混合室43に流入する。この吸引混合室43では、被噴射液は、ノズルインサート4aの出口に設けられた円錐台上のテーパーと、インサート用リング4b内の当該箇所に設けられた相対するテーパーに誘導され、ベンチュリー狭窄部42から噴出して流れるガスに混合される。そして、ベンチュリー狭窄部42の口径より大きな口径の膨張室入口44aでガスの膨張を受けて霧化し、より口径の大きい膨張室44で更に霧化効果を得て外部に噴射される。
【0026】
次に、上記の吸引に際して、被噴射液が、被噴射液容器11からディップチューブ33を経て吸引混合室43に至るまでの作動と構造を説明する。
このベンチュリーによる吸引を継続的に行うためには、被噴射液容器11内は大気圧に維持されている必要がある。そのため、被噴射液容器11には、大気圧を導入する空気通路を必要とし、かつ、この運搬輸送の際の液漏れを防止するために、この空気通路は常時は閉じておく必要がある。
また、運搬輸送の際の液漏れを防止するために、被噴射液が、被噴射液容器11からディップチューブ33を経て膨張室出口44bから漏れでないようにするため、常時はその経路を閉じておく必要があり、且つ、吸引吐出の際にはこの経路を開く必要がある。
このように、この吸引噴射器によると、空気通路の開閉と、液通路の開閉とを行う必要がある。そのため、空気通路の開閉を行う逆止弁を被噴射液容器11の適宜位置に設けて実施してもよいが、この例では、液通路の開閉と同時に行うよう、下記の構成を採用する。
【0027】
上記の被噴射液用導通路45は、容器支持部31aに設けられた筒状の接続室147を経て、被噴射液容器11内に挿入されたディップチューブ33に接続されている。
図5及び図6に示す接続室147の要部拡大図に基づき、接続室147の構造を説明する。この例では、接続室147は、上部接続室147aと下部接続室147bとを備えているが、両者は一体として区別なく製造することもでき、必要な場合にのみ上部147aと下部147bとを区別して説明する。この接続室147(接続室下部147b)の下端に、ディップチューブ33が接続されている。
【0028】
被噴射液用導通路45は、その下端が接続室147内に摺動可能に挿入されている。この被噴射液用導通路45下端には、開閉用弁146が設けられ、この開閉用弁146の上方には被噴射液用導通路45の内外を導通する内外通路149が設けられている。操作部35(噴射ボタン40)の押し下げに伴って、この開閉用弁146が接続室147(接続室下部147b)に設けられた弁座148から下方に離れると(図6参照)、内外通路49を介して、被噴射液用導通路45と被噴射液容器11とが導通して、被噴射液の吸引が可能となる。他方、噴射ボタン40が上昇すると、弁が閉じて、被噴射液容器11内の液が外部に漏れることはない。
【0029】
他方、空気の流れについては、シリンダー形状の接続室147と被噴射液用導通路45との間の隙間151が外部からの空気の取り入れ口となっている。外部からの空気は、この隙間151を通って、接続室147の内部から下方に貫通して設けられた縦通路152を経て被噴射液容器11に通じている。そして、上記の内外通路149の上方には、空気用開閉用弁156が設けられている。常時は空気用開閉用弁156が、接続室147(接続室上部147a)に設けられた空気用弁座158と密着し、上記の隙間151と、縦通路152及び接続室147内部とが遮断され、被噴射液容器11は気密状態で閉じられる。そして、操作部35が押し下げられた時にのみ、空気開閉用弁156が空気用弁座158から離れて、被噴射液容器11が縦通路152及び隙間151を経て外部に導通する。
【0030】
なお、被噴射液用導通路45における内外通路149の上方には、シール部153が設けられており、被噴射液用導通路45の摺動中においても、このシール部153が、接続室147との内壁との間で、気密状態を維持しているため、上記の空気の通路と液の通路とは確実に分離されている。
【0031】
操作部35から人が手を離すと、ステム22を上方に付勢している噴射ボンベ21内の付勢手段(図示せず)によって、操作部35が上方位置まで戻り、噴射ガスの噴射が停止されると共に、上記のとおり弁が閉じて、被噴射液は液密及び気密状態に戻り、これにより、運搬に際しても、被噴射液容器11内の液が漏れ出るおそれがない。
【0032】
なお、この例では、操作部35は下方に押し下げるものとしているが、横に押すものや、持ち上げるものなど、適宜変更し得る。また、噴射機構の細部の構造は、従来の吸引式噴射器の構造など、噴射ガスの噴射に伴い被噴射液を噴射できることを条件に適宜変更して実施することができる。このように、噴射ボンベ21と被噴射液容器11のそれぞれの上端が、被噴射液容器11の上部にまで達するように構成することによって、操作部35の1回の操作によって、被噴射液用導通路45と空気用開閉部50の双方の弁を開閉させる機構を簡単な構造によって実現できるものである。
【0033】
さらに、噴射機構部30と、被噴射液容器11及び噴射ボンベ21とは、消費者において取り外し不能に固定してもよいが、着脱可能とすることによって、噴射ボンベ21を交換可能としてもよく、被噴射液容器11内に被噴射液を追加して使用できるようにしてもよい。また、廃棄に際しては、噴射ボンベ21を取り出して、前述の方法で残ガスを処理した後、分別廃棄することができる。なお、被噴射液容器11は、1室として実施しているが、半径方向などに分割して、2室以上を設けることもできる。この場合、被噴射液用導通路45も複数となり、複数種類の被噴射液を合流部43やその手前にて合流させるものでもよく、或いは、開閉弁や切替弁を取り付けておくことによって、複数種類の被噴射液を選択的に用いることもできる。
【0034】
次に、図7乃至図10に基づき、他の実施の形態について説明する。この例は、噴射ボンベ21と噴射機構部30との新たな着脱構造を示すもので、噴射ボンベ21側には、ステム22のみならず、ガス流路40aの一部を含めるようにしたものである。具体的には、ステム22に接続ブロック22aを設け、この接続ブロック22aにガス流路40aを形成する。他方、噴射ボタン36には、接続ブロック22aに対応する部分を空洞にしておき、使用に際して、この空洞に接続ブロック22aを装着する。また、図10に示すように、接続ブロック22aを保護するキャップ22bを設けて販売するようにしてもよい。
また、この図7の例では、操作部35をヒンジ35aにて上下に回動可能に配位したものとしており、前に伸ばされたレバー35bを握ることによって、噴射機構部30が下方に押し下げられるようにしている。
【0035】
図11は、被噴射液容器11の内部に噴射ボンベ21を収納してしまう構造を示したものであり、被噴射液容器11の口部12は、噴射ボンベ21が通る大きさとする。そして、この口部12を閉じるキャップ12aを容器支持部31aとし、このキャップ12aに噴射ボンベ21に対するボンベ支持部31bを設ける。この噴射ボンベ21は被噴射液容器11に直接収納してしまってもよいが、被噴射液容器11を内外2重容器として、噴射ボンベ21の収納部分と、被噴射液の収納室とを区分するようにしてもよい。
【実施例】
【0036】
次に、本願発明の理解を高めるために、その実施例を示すが、本願発明はこの実施例に限定して解釈されるべきではない。
【0037】
図1乃至図6に示す吸引式噴射器に対して、表1に示す原液によって、10秒間の噴射試験を行った。噴射ガスにはジメチルエーテルを用いた。その結果を、表2に示す。同様に、表3に示す原液によって、10秒間の噴射試験を行った。表3中のSH200cとは、シリコンオイル.センチストースクの略である。噴射ガスにはジメチルエーテルを用いた。その結果を、表4に示す。
【0038】
この試験の結果、被噴射液が粘度範囲1cpから20cpのものについては、吸引式噴射器において、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30を満たすことを条件に、1本の噴射ガスボンベによって、1本の被噴射液容器の被噴射液を全量吸引噴射し得るものであることが確認された。
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。
【図2】同吸引式噴射器の平面図である。
【図3】同吸引式噴射器の噴射ボンベを装着する状態を示す断面図である。
【図4】同吸引式噴射器の要部拡大図である。
【図5】同吸引式噴射器の接続室を示す要部断面図である。
【図6】図5の接続室の作動状態の説明図である。
【図7】本願発明の他の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。
【図8】同吸引式噴射器の平面図である。
【図9】同吸引式噴射器の噴射ボンベを取り外した状態を示す断面図である。
【図10】(A)は同吸引式噴射器の噴射ボンベ側面図であり、(B)はボンベのキャップを外した状態の側面図である。
【図11】本願発明のさらに他の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
11 被噴射液容器
11 口部
12 収容部
21 噴射ボンベ
30 噴射機構部
31 支持部
41 噴射部材
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吸引式噴射器に関するもである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体の噴射器は次の3種のタイブに大別される。第1のタイプは、エアゾール容器に代表されるもので、噴射ガスと被噴射液とを同一の圧力容器内に収納して、噴射ガスの噴出と共に被噴射液を霧状やムース状に吐出させるタイプである。第2のタイプは、圧力容器を2重容器として、内側の容器を柔軟な容器とし、その内部に被噴射液を収納する一方、外側に高圧ガスを収納することにより、内側の柔軟容器を加圧して、その圧力により被噴射液を噴射するようにしたものである。第3のタイプは、噴射機構部に接続された噴射ボンベと、噴射ボンベとは別個に噴射機構部に接続された被噴射液収納室とを備え、噴射ボンベのガスを噴出させることにより被噴射液収納室の被噴射液を吸引して噴射させる吸引式噴射器である。この吸引式噴射器は、被噴射液と噴射ガスとが別容器に収容されているため、被噴射液と噴射ガスとの相溶性や噴射ガスによる被噴射液の変質などを考慮する必要がないという利点や、被噴射液収納室を耐圧容器とする必要がなく、その材質や設計の自由度が高いという利点があるが、第1のエアゾール容器ほど多用されていないのが現状である。本願発明はこの第3の吸引式噴射器の改良を提案し、その有効活用を図らんとするものである。
【0003】
吸引式噴射器としては、特許文献1〜3に示すものが提案されている。特許文献1に記載の噴射器は、噴射ボンベと被噴射液(塗料)を収納した被噴射液容器とを、完全に別体に構成したものであり、それぞれを噴射機構の下部に取り付ける。使用者は、噴射ボンベを掴んで噴射機構の操作部を押し下げ操作して、噴射を行う。
【0004】
特許文献2に記載の噴射器は、噴射ボンベであるエアゾール容器の噴射機構(エアゾールヘッド)に被噴射液の収納室を設けるもので、収納室の大きさがエアゾールヘッドの大きさの制限を受けて、あまり大きなものを使用することができず、無理矢理に大きなものを設計したとしても、全体の重量バランスが上方に偏り、設置の安定性や操作性が悪くなってしまう。またこの特許文献2に示された噴射機構にあっては、細かい良好な霧を得る事が困難な場合があった。
特許文献3に記載の噴射器は、噴射ボンベの下部に被噴射液容器を設けるもので、噴射機構から被噴射液容器までをつなぐチューブを、圧力ボンベの横を通して、圧力ボンベの下方にまで導く必要があり、構造が複雑になってしまう。
【0005】
以上、これらの特許文献に記載の噴射器にあっては、いずれも、被噴射液容器に比して十分に大きな噴射ボンベを用いるものである。ところが、噴射ボンベが大きいと、被噴射液がなくなっても、多量のガスが噴射ボンベ内に残ってしまい、これを廃棄するために、多量のガスを大気中に放出することとなり、代替フロン等を用いたとしても、環境上好ましいこととは言えない。また、不必要に多量の高圧ガスを製造販売することは、たとえ安全性について十分に配慮したとしても、社会に対する安全性の観点からは疑問が残るものである。特に、30ml以上の高圧ガスは爆発の危険性があるとして、高圧ガスとしての表示を義務づけられている。また、社会の安全確保策の点からしても、大型のガスボンベの使用は極力さけるべきである。この点、被噴射液容器と噴射ガスとを同一の高圧ボンベ内に収納する一般的なエアゾール容器にあっては、ボンベ全体の小型化についても限界がある。他方、被噴射容器と噴射ボンベとの分離し得る本願発明の如き吸引式噴射器にあっては、噴射ボンベのみを小型化すること、具体的には30ml未満とした場合にあっても、被噴射容器は必ずしも小型化する必要がないと言える。ところが、従来の吸引式噴射器のガスボンベは、いずれも、被噴射液容器よりも大きく、30ml以上のものであった。これでは、吸引式噴射容器の特性を環境性や安全性に活かしたものとは言えず、課題を残すものであった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−305243号公報
【特許文献2】特開平11−169759号公報(第3図)
【特許文献3】実公平7−53734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明にあっては、噴射ボンベと被噴射液容器との容量を、特定の比率に特定したものを提案することによって、吸引式噴射器の特質を十分に活用して、噴射ガスの無用な放散を防止して環境に与える影響を極力小さくすると共に、爆発の危険性を減少させ、社会的にも安全性が高く、法的にも危険物、高圧ガスとしての取扱を行う必要がない安全な吸引式噴射器を提供せんとするものである。
本願発明の他の目的は、噴射ボンベと被噴射液容器とを着脱自在なのとすることによって、噴射ガスと被噴射液との何れか一方が余った場合でも、新たなものを装着することによって、継続的に使用可能とし、資源の無駄遣いを防止することがきる吸引式噴射器を提供せんとするものである。その際、着脱部分の形状や構造を特定のものに設定することによって、誤った装着をも防止する。
本願発明のさらに他の目的は、被噴射液の霧化状態が良好な細かいものを得ることができる吸引式噴射器を提供することにある。
本願発明のまたさらに他の目的は、輸送時などに被噴射液容器からの液漏れを有効に防止しつつ、噴霧操作にあっては、操作部の押圧等の操作のみによって、良好な噴霧が可能な吸引式噴射器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1に係る発明は、吸引式噴射器において、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30である吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項2に係る発明は、上記のVG<30mlであることを特徴とする請求項1記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項3に係る発明は、噴射機構部と、この噴射機構部に接続された噴射ボンベと、噴射ボンベとは別個に噴射機構部に接続された被噴射液容器を備え、噴射機構部は噴射ボンベのガスを噴出させることにより被噴射液容器の被噴射液を吸引して噴射させるものである吸引式噴射器において、被噴射液容器の上端に上記の噴射機構部が配位され、噴射機構部は、その下部に噴射ボンベに対する着脱可能なボンベ接続部と被噴射液容器に対する着脱可能な容器接続部を有し、被噴射液容器は、その上端に設けられた口部にて、上記の容器接続部に支持され、噴射機構部に設けられた吸い上げパイプが、被噴射液容器の口部内に挿入されることにより、被噴射容器から噴射機構部への流路が設定されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項4に係る発明は、上記の被噴射液容器は、その口部の隣に噴射ボンベの収容部を備え、この収容部は、噴射ボンベを安定して支持収容し得る底部スペースを備え、上記のボンベ接続部は、ボンベアダプターを確実に簡単に正しく収容し得る特製の嵌着部を持ち、噴射ボンベは、この嵌着部と正確に嵌着するボンベアダプターを肩カバーとして装着しており、専用のボンベのみの使用を担保出来る仕組みを有する請求項2に記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項5に係る発明は、噴射機構部は、噴射ボンベの頂部に設けられたステムに対して嵌合する噴射ボタンと、この噴射ボタン内に設けられたガス流路と、ガス流路の先端に設けられ、ガス流路よりも径の小さなベンチュリー狭窄部と、ベンチュリー狭窄部の先端に設けられ、ベンチュリー狭窄部より大きい径の混合吸引室と、吸引混合室の先端に設けられ、膨張室とを備え、膨張室は吸引混合室に対して膨張室入口を介して連通しており、この膨張室入口は吸引混合室より小さく且つ膨張室より小さいものであり、この膨張室はその先端の膨張室出口で外部に開口しており、被吐出液容器に導通する被噴射液用導通路が吸引混合室に連通しているものであり、ガス流路からの噴射ガスが、膨張室出口を経て外方へ排出される時、ベンチュリー効果により負圧を発生し、発生した負圧により被噴射液容器内の被噴射液が吸引を受けて上昇し、吸引混合室で噴射ガスと混合され、ベンチュリー狭窄部口径より大きな口径の膨張室入口でガスの膨張を受けて霧化し、より口径の大きい膨張室で更に霧化効果を得て外部に噴射されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項6に係る発明は、被噴射液用導通路の先端に狭隘な案内室が設けられ、この狭隘な案内室を経た被噴射液がこの案内室より広い吸引混合室へ導入されるものであることを特徴とする請求項5記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項7に係る発明は、被噴射液は水系、アルコール系、溶剤系、脂肪酸系等の液体にそれぞれ製品目的に応じた有効成分を配合したもので粘度範囲1cpから100cpであり非危険物のものを使用する請求項1〜6の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項8に係る発明は、噴射ボンベ内に収容するガスは、ジメチルエーテル、HFC-152a等の単体の液化ガス、窒素、酸素、炭酸ガス、亜酸化窒素等の圧縮ガスの他、共沸混合物を使用し、噴射中の蒸気相中及び液相中の2成分以上のガス組成が変動しない様にし、噴射器の噴射状態が変わらない様にする事を特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
本願の請求項9に係る発明は、噴射ボンベは、噴射口を有するステムと、ステムに対する押圧によって開弁する開閉弁を備え、噴射機構部は、噴射ボンベのステムに接続されるボンベ接続部と、被噴射液収納室に接続される容器用接続部と、人が噴射のための操作をなす操作部とを備え、容器用接続部に開閉弁が設けられ、操作部の操作により、被噴射液用接続部の開閉弁を開くと共にステムを押圧するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の吸引式噴射器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本願発明にあっては、被噴射液と、噴射ガスとを別容器に収納しており、両者の相溶けるボンベとを別体としており、
そこで本願発明は、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30とすることによって、噴射ガスの無用な放散を防止すると共に、社会的にも安心感の高い吸引式噴射器を提供し得たものである。
特に、被噴射液容器の内容積VGを30ml未満としたことによって、爆発の危険性を減少させることができる。このことは、法的にも危険物、高圧ガスとしての表示が必要とされないことからも明らかであり、安全性が法的にも担保されていると言えるものである。よって、本願発明は、環境にも十分に配慮し、社会の安全保安対策も考慮し、日常生活での安全性にも優れた吸引式噴射器を提供することができたものである。
また本願の請求項3に係る発明は、上記の効果に加えて、噴射ボンベと被噴射液容器とを着脱自在なのとすることによって、噴射ガスと被噴射液との何れか一方が余った場合でも、新たなものを装着することによって、継続的に使用可能とし、資源の無駄遣いを防止することがきる。その際、着脱部分の形状や構造を特定のものに設定することによって、誤った装着をも防止できる。
本願の請求項5に係る発明は、上記の効果に加えて、被噴射液の霧化状態が良好な細かい霧を噴射できる吸引式噴射器を提供し得たものである。
本願の請求項9に係る発明は、上記効果に加えて、輸送時などに被噴射液容器からの液漏れを有効に防止しつつ、噴霧操作にあっては、操作部の押圧等の操作のみによって、良好な噴霧が可能な吸引式噴射器を提供し得たものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
図1は本願発明の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。図2は、同吸引式噴射器の平面図であり、図3は同吸引式噴射器の噴射ボンベを装着する状態を示す断面図であり、図4は同吸引式噴射器の要部拡大図である。
【0011】
この噴射器は、被噴射液容器11と、噴射ボンベ21と、両者11、12の上端に設けられた噴射機構部30とを備える。
【0012】
まず噴射ボンベ21から説明すると、噴射用のガスが収納されたもので、このガスとしては、DME、LPG、弗化炭化水素等の液化ガスや、窒素、炭酸ガス、笑気ガス、空気等の圧縮ガスの一種又は2種以上を混合して用いる事ができる。ここで、混合する際には、次の点に注意する。即ち、沸点の違う2液の混合物は理想溶液のときは蒸気組成と溶液の組成が異なり、沸点も蒸留が進むと変化する。しかし、理想溶液から外れている場合にはある溶液組成のときに、それと同じ組成の蒸気を溜出し、沸点も変化しない。そのときの溶液を共沸混合液又は共沸混合物といい、かかる共沸混合物を用いることが望ましい。具体的には、下記の(1)から(8)を例示し得る。(1)HFC-152a/プロパン=45/55(w/w)(2)HFC-152a/イソブタン=70/30(w/w)(3)HFC-152a/DME=32/68(w/w)(4)イソブタン/HFC-152a=25/75(w/w)(5)A-80/DME=80/20(w/w)(6)A-17/HFC-152a=15/85(w/w)(7)A-31/HFC-152a=25/75(w/w)(8)A-31/DME=40/60(w/w)。
【0013】
噴射ボンベ21の内圧は、エアゾール製品として一般的な圧力を有するものや、それ以上高圧の圧縮ガスとしてもよく、その噴射によって、被噴射液容器11内の被噴射液を吸引して噴射させることができるものであれば、その種類や圧力は問わない。また、噴射ボンベ21には、噴射ガスと併用して、薬液などの被噴射液を収納することもできる。この噴射ボンベ21に収納される被噴射液は、噴射ガスと共にボンベ内で保管可能であると共に噴射ガスと共に噴射ボンベから噴射されることを条件に適宜選択して用いることができ、具体的には、後述の被噴射液容器11に収納される被噴射液と同等のものを利用できる。より具体的な利用方法としては、2液性の薬剤(発熱剤、塗料、接着剤、染毛剤など)の一方を噴射ボンベ21に収納し他方を被噴射液容器11に収納することを例示できる。
【0014】
この噴射ボンベ21の内容積は適宜設定すればよいが、被噴射液収容の容積と噴射ガス器容積のバランス、取り付け、取り外しの簡易性、製品使用時の簡便性、安全性から、噴射ボンベの容積VGを30ml未満とすることが望ましい。特に、この条件を満たす噴射ボンベであれば、4畳半の居室に噴射ボンベ21内の全ての噴射ガスを放出したとしても、爆発のおそれはなく、社会的な安全性の観点から好ましいものとなる。他方、早く全量が放出されてしまうことは好ましくないため、噴射ボンベの容積VGは15ml以上とすることが望ましい。
【0015】
この噴射ボンベ21はステム22を上端に備えた有底筒状のボンベであり、このステム22の上端には噴射ボンベ21の内部に連通する噴射口(図示せず)が形成されている。噴射ボンベ21の内部には、ステム22に対する押圧(押し下げや傾斜)によって開弁する開閉弁(図示せず)を備えており、ステム22を押し下げたり、傾けることによって、弁が開き、内部のガスがステム22の噴射口から噴射する。この噴射ボンベ21の材質は、内部のガスの圧力によって金属、合成樹脂などの適宜材質のものを選択して用いる事が出来る。
【0016】
この噴射ボンベ21は、ガスとして液化ガスを用いた場合、ボンベ内のガス収容室に、多孔質部材(図示せず)を備えたものとして実施することが望ましい。この多孔質部材は、噴射ボンベ21のガス収容室内にて、少なくともその一部分が上記液化ガスの液状の部分に浸される位置(例えば底部など)に配位される。具体的には、噴射ボンベ21の上下方向の実質的に全長に渡って配位することが望ましく、容器の内面に貼り付けたり、ステム22に連通するディップチューブ(図示せず)に取り付けたりしてもよく、単に、ボンベ内部に独立して設けておくようにしてもよい。また、倒立を予定しないものについては、底部のみに設けるなどしてもよい。多孔質部材には、スポンジに代表される発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、多孔質セラミック、多孔質プラスチック(多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリエチレン)に代表される焼結部材、不織布、沸石などの沸騰石を採用することができる。本願発明のように、被噴射液容器の内容量に比して、比較的小さな噴射ボンベを用いた場合、気化したガスの噴射に液化した部分の気化が間に合わず噴射の勢いがすぐに減衰してしまうという傾向が顕著に現れるおそれがあるが、多孔質部材を用いることによって、液化ガスの気化が促進され、連続的に噴射した場合にあっても、噴射の勢いが減衰してしまうことを防止することができる。
【0017】
次に、被噴射液容器11は、上記の噴射ガスの噴射に伴って、吸引される被噴射液を収納する容器である。この被噴射液としては、芳香剤、消臭剤、洗浄剤などの液状の日用品類、化粧品類、医薬品、塗料、インキ、アルコール、水などの液状の流動体のほか、ナイロンパウダーに代表される合成樹脂製パウダーや、シリカなどの微粉末、シラスバルーン等の中空球体や多孔質体等々、全体として流動性を備えた粉粒体などの被噴射液を収納することができ、これらの内容物を被噴射液と総称する。より望ましくは、被噴射液は水系、アルコール系、溶剤系、脂肪酸系等の液体に、それぞれ製品目的に応じた有効成分を配合したもので、粘度範囲1cpから20cpのものを使用する。この範囲外にあっても使用は不可能ではないが、この条件を満たす液体を用いることによって、噴射した際に、きれいで細かい良好な霧をえることができるものである。以下の説明では、原則として、被噴射液を霧化され得る液体を用いた場合について説明する。
【0018】
この被噴射液容器11は、その内容積をVLmlとし、噴射ボンベ21の内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30とされている。このように、被噴射液容器11に比して噴射ボンベ21の内容積を十分に小さくすることによって、噴射ガスの無用な放散を防止すると共に、社会的にも安心感の高い吸引式噴射器を提供し得る。特に、上記のように、粘度範囲1cpから20cpのものを使用する場合にあっては、VG/VL=0.05〜0.30とする事によって、全ての被噴射液を吸引噴射できるのに等しい量(完全吐出必要量x)を上回る量の噴射ガスであって、完全吐出必要量xの2倍を越えない範囲とするとができるものであり、これにより、被噴射液を最後まで確実に噴射できると共に、噴射ガスの無駄な放散を防止することができる。
【0019】
次に、被噴射液容器11は、全体に有底の略筒状をなし、その上端に口部12を備えるもので、この口部12は噴射機構部30が取り付けられることによって液密に閉ざされる。この例では、口部12の外周にオネジが設けられており、噴射機構部30と着脱可能に接続される。なお、その際、液密性を保つために、パッキンを設けるようにしてもよい。被噴射液容器11は、耐圧性は必要とされず、金属製のほか、合成樹脂製など、液密性を有することを条件に、適宜選択して使用できる。
【0020】
この被噴射液容器11は、その口部12の隣に噴射ボンベ21の収容部13を備える。この収容部13は、噴射ボンベ21を安定して支持収容し得る底部スペース14を備える。この底部スペース14は、被噴射液容器11の中程に形成されたもので、噴射ボンベ21の底部を支持する。噴射ボンベ21は、この底部スペース14上で立設するものである。また、より安定して、噴射ボンベ21を支持すると共に、人がこの吸引式噴射器を持つときのために、底部スペース14の左右両側には把持部15が設けられている。この把持部15は、その内側で噴射ボンベ21の外周部を左右両側から支持すると共に、その外側で人に把持され易いように構成されている。
【0021】
この噴射機構部30は、その下部に、支持部31を有する。この支持部31は、被噴射液容器11に対する着脱可能な容器支持部31aと、噴射ボンベ21に対する着脱可能なボンベ支持部31bとから構成される。
容器支持部31には、被噴射液容器11の口部12のネジに螺合するメネジ32が形成され、これにより、被噴射液容器11は、その上端の口部12にて、この容器支持部31に支持される。そして、噴射機構部30に設けられたディップチューブ33が、被噴射液容器11の口部12内に挿入されることにより、被噴射液容器11から噴射機構部30への流路が設定される。
この容器支持部31の横にボンベ支持部31bが設けられる。このボンベ支持部31bは、噴射ボンベ21の前後両側に伸びる嵌着部である。一方噴射ボンベ21は、これと正確に嵌着するボンベアダプター23を肩カバーとして装着している。すなわち、ボンベ支持部(嵌着部)31bの内面側形状と、ボンベアダプター23の外周形状とを実質的に同一形状(隙間なくはまり合う形状)としており、これによって、専用の噴射ボンベ21のみの使用を担保出来るようになっている。
【0022】
噴射機構部30は、人が噴射のための操作をなす操作部35と、この操作に基づき噴射のための動きをなす噴射ボタン36とを備える。この例では、操作部35が噴射ボタン36の上部に設けられており、操作部35を下方に押圧すると、噴射ボタン36が下方に押しさげられる。噴射ボタン36は、その下部に、噴射ボンベ21のステム22と嵌合するステム接続部40を備える。噴射ボタン36が下方に下がると、ステム接続部40に嵌合したステム22が下方に押し下げられ、噴射ボンベ21の内部の開閉弁が開き、噴射ガスが吐出して、ステム接続部40に流入する。このステム接続部40は、前方に伸びるガス流路40aに連続しており、ガス流路40aの先端に噴射部材41が取り付けられている。
【0023】
噴射部材41は、図4に示すように、ノズルインサート4aと、インサート用リング4bとを備え、これらが、噴射ボタン36の先端孔に取り付けられている。
このガス流路40aの先端には、ノズルインサート4aが配置されている。このノズルインサート4aにも基端から先端に向けてガス流路42aが設けられており、その先端には、これよりも径の小さなベンチュリー狭窄部42が形成されている。ベンチュリー狭窄部42の先端には、ベンチュリー狭窄部42より大きい径の吸引混合室43が形成される。この混合吸引室43は、ノズルインサート4aのテーパ状の先端面とインサートリング4bの縮径されたテーパ状の壁面との間の空間である。両テーパ状は実質的に平行にしておくことが望ましい。
この吸引混合室43の先端は、膨張室44に連通している。この膨張室44は吸引混合室43に対して膨張室入口44aを介して連通しており、この膨張室入口44aは吸引混合室43より小さく且つ膨張室44より小さいものであり、この膨張室44はその先端の膨張室出口44bで外部に開口している。
【0024】
吸引混合室43には、案内室43aの先端が被噴射液出口43bを介して導通している。案内室43aはインサート用リング4bの外周と噴射ボタン36の先端孔の内周面との間の空間であり、ベンチュリー狭窄部42より後方に向けて、ガス流路42aの外側に形成される。この案内室43aは、縦方向(上下方向)に伸びる被噴射液用導通路45の先端に環状に設けられたものであり、被噴射液用導通路45の軸方向と環状の案内室43aとの軸方向とは実質的に直交している。
被噴射液用導通路45の上端の案内室入口43cから案内室43aに流入した被噴射液は、案内室43aの壁面である衝突部(ノズルインサート4aの外周壁)に衝突した後、案内室43a内を先端方向に進んで、被噴射液出口43bから吸引混合室43内に流入する。
このとき、環状の案内室43aの半径方向の幅は、吸引混合室43の半径よりも小さく狭隘なため、案内室43a内を通過する被噴射液の流速は被噴射液用導通路45内よりも早くなる。これにより、被噴射液は微粒化や分散化が進んだ状態で吸引混合室43内に流入するため、良好な混合が実現する。
また、前述のように、この混合吸引室43を、先端に向かって漸次径が小さくなるテーパ状の空間とすることによって、被噴射液は先端の膨張室入口44aに向かって自然と流れて、膨張室入口44aにて混合と一次膨張とがなされ、さらに径の大きな膨張室44で二次膨張が行われる。
【0025】
以上の構成により、操作部35の操作で噴射ボタン36が下がると、噴射ボンベ21の噴射ガスがステム22の噴射孔から吐出され、ステム接続部40、ガス流路40a、噴射部材41を経て、膨張室出口44bから噴出する。
その際、ベンチュリー狭窄部42のベンチュリー効果により負圧を発生し、発生した負圧により噴射用液容器11内の被噴射液が容器内のディップチューブ33内で吸引を受けて上昇し、案内室43aを経て、吸引混合室43に流入する。この吸引混合室43では、被噴射液は、ノズルインサート4aの出口に設けられた円錐台上のテーパーと、インサート用リング4b内の当該箇所に設けられた相対するテーパーに誘導され、ベンチュリー狭窄部42から噴出して流れるガスに混合される。そして、ベンチュリー狭窄部42の口径より大きな口径の膨張室入口44aでガスの膨張を受けて霧化し、より口径の大きい膨張室44で更に霧化効果を得て外部に噴射される。
【0026】
次に、上記の吸引に際して、被噴射液が、被噴射液容器11からディップチューブ33を経て吸引混合室43に至るまでの作動と構造を説明する。
このベンチュリーによる吸引を継続的に行うためには、被噴射液容器11内は大気圧に維持されている必要がある。そのため、被噴射液容器11には、大気圧を導入する空気通路を必要とし、かつ、この運搬輸送の際の液漏れを防止するために、この空気通路は常時は閉じておく必要がある。
また、運搬輸送の際の液漏れを防止するために、被噴射液が、被噴射液容器11からディップチューブ33を経て膨張室出口44bから漏れでないようにするため、常時はその経路を閉じておく必要があり、且つ、吸引吐出の際にはこの経路を開く必要がある。
このように、この吸引噴射器によると、空気通路の開閉と、液通路の開閉とを行う必要がある。そのため、空気通路の開閉を行う逆止弁を被噴射液容器11の適宜位置に設けて実施してもよいが、この例では、液通路の開閉と同時に行うよう、下記の構成を採用する。
【0027】
上記の被噴射液用導通路45は、容器支持部31aに設けられた筒状の接続室147を経て、被噴射液容器11内に挿入されたディップチューブ33に接続されている。
図5及び図6に示す接続室147の要部拡大図に基づき、接続室147の構造を説明する。この例では、接続室147は、上部接続室147aと下部接続室147bとを備えているが、両者は一体として区別なく製造することもでき、必要な場合にのみ上部147aと下部147bとを区別して説明する。この接続室147(接続室下部147b)の下端に、ディップチューブ33が接続されている。
【0028】
被噴射液用導通路45は、その下端が接続室147内に摺動可能に挿入されている。この被噴射液用導通路45下端には、開閉用弁146が設けられ、この開閉用弁146の上方には被噴射液用導通路45の内外を導通する内外通路149が設けられている。操作部35(噴射ボタン40)の押し下げに伴って、この開閉用弁146が接続室147(接続室下部147b)に設けられた弁座148から下方に離れると(図6参照)、内外通路49を介して、被噴射液用導通路45と被噴射液容器11とが導通して、被噴射液の吸引が可能となる。他方、噴射ボタン40が上昇すると、弁が閉じて、被噴射液容器11内の液が外部に漏れることはない。
【0029】
他方、空気の流れについては、シリンダー形状の接続室147と被噴射液用導通路45との間の隙間151が外部からの空気の取り入れ口となっている。外部からの空気は、この隙間151を通って、接続室147の内部から下方に貫通して設けられた縦通路152を経て被噴射液容器11に通じている。そして、上記の内外通路149の上方には、空気用開閉用弁156が設けられている。常時は空気用開閉用弁156が、接続室147(接続室上部147a)に設けられた空気用弁座158と密着し、上記の隙間151と、縦通路152及び接続室147内部とが遮断され、被噴射液容器11は気密状態で閉じられる。そして、操作部35が押し下げられた時にのみ、空気開閉用弁156が空気用弁座158から離れて、被噴射液容器11が縦通路152及び隙間151を経て外部に導通する。
【0030】
なお、被噴射液用導通路45における内外通路149の上方には、シール部153が設けられており、被噴射液用導通路45の摺動中においても、このシール部153が、接続室147との内壁との間で、気密状態を維持しているため、上記の空気の通路と液の通路とは確実に分離されている。
【0031】
操作部35から人が手を離すと、ステム22を上方に付勢している噴射ボンベ21内の付勢手段(図示せず)によって、操作部35が上方位置まで戻り、噴射ガスの噴射が停止されると共に、上記のとおり弁が閉じて、被噴射液は液密及び気密状態に戻り、これにより、運搬に際しても、被噴射液容器11内の液が漏れ出るおそれがない。
【0032】
なお、この例では、操作部35は下方に押し下げるものとしているが、横に押すものや、持ち上げるものなど、適宜変更し得る。また、噴射機構の細部の構造は、従来の吸引式噴射器の構造など、噴射ガスの噴射に伴い被噴射液を噴射できることを条件に適宜変更して実施することができる。このように、噴射ボンベ21と被噴射液容器11のそれぞれの上端が、被噴射液容器11の上部にまで達するように構成することによって、操作部35の1回の操作によって、被噴射液用導通路45と空気用開閉部50の双方の弁を開閉させる機構を簡単な構造によって実現できるものである。
【0033】
さらに、噴射機構部30と、被噴射液容器11及び噴射ボンベ21とは、消費者において取り外し不能に固定してもよいが、着脱可能とすることによって、噴射ボンベ21を交換可能としてもよく、被噴射液容器11内に被噴射液を追加して使用できるようにしてもよい。また、廃棄に際しては、噴射ボンベ21を取り出して、前述の方法で残ガスを処理した後、分別廃棄することができる。なお、被噴射液容器11は、1室として実施しているが、半径方向などに分割して、2室以上を設けることもできる。この場合、被噴射液用導通路45も複数となり、複数種類の被噴射液を合流部43やその手前にて合流させるものでもよく、或いは、開閉弁や切替弁を取り付けておくことによって、複数種類の被噴射液を選択的に用いることもできる。
【0034】
次に、図7乃至図10に基づき、他の実施の形態について説明する。この例は、噴射ボンベ21と噴射機構部30との新たな着脱構造を示すもので、噴射ボンベ21側には、ステム22のみならず、ガス流路40aの一部を含めるようにしたものである。具体的には、ステム22に接続ブロック22aを設け、この接続ブロック22aにガス流路40aを形成する。他方、噴射ボタン36には、接続ブロック22aに対応する部分を空洞にしておき、使用に際して、この空洞に接続ブロック22aを装着する。また、図10に示すように、接続ブロック22aを保護するキャップ22bを設けて販売するようにしてもよい。
また、この図7の例では、操作部35をヒンジ35aにて上下に回動可能に配位したものとしており、前に伸ばされたレバー35bを握ることによって、噴射機構部30が下方に押し下げられるようにしている。
【0035】
図11は、被噴射液容器11の内部に噴射ボンベ21を収納してしまう構造を示したものであり、被噴射液容器11の口部12は、噴射ボンベ21が通る大きさとする。そして、この口部12を閉じるキャップ12aを容器支持部31aとし、このキャップ12aに噴射ボンベ21に対するボンベ支持部31bを設ける。この噴射ボンベ21は被噴射液容器11に直接収納してしまってもよいが、被噴射液容器11を内外2重容器として、噴射ボンベ21の収納部分と、被噴射液の収納室とを区分するようにしてもよい。
【実施例】
【0036】
次に、本願発明の理解を高めるために、その実施例を示すが、本願発明はこの実施例に限定して解釈されるべきではない。
【0037】
図1乃至図6に示す吸引式噴射器に対して、表1に示す原液によって、10秒間の噴射試験を行った。噴射ガスにはジメチルエーテルを用いた。その結果を、表2に示す。同様に、表3に示す原液によって、10秒間の噴射試験を行った。表3中のSH200cとは、シリコンオイル.センチストースクの略である。噴射ガスにはジメチルエーテルを用いた。その結果を、表4に示す。
【0038】
この試験の結果、被噴射液が粘度範囲1cpから20cpのものについては、吸引式噴射器において、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、VG/VL=0.05〜0.30を満たすことを条件に、1本の噴射ガスボンベによって、1本の被噴射液容器の被噴射液を全量吸引噴射し得るものであることが確認された。
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。
【図2】同吸引式噴射器の平面図である。
【図3】同吸引式噴射器の噴射ボンベを装着する状態を示す断面図である。
【図4】同吸引式噴射器の要部拡大図である。
【図5】同吸引式噴射器の接続室を示す要部断面図である。
【図6】図5の接続室の作動状態の説明図である。
【図7】本願発明の他の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。
【図8】同吸引式噴射器の平面図である。
【図9】同吸引式噴射器の噴射ボンベを取り外した状態を示す断面図である。
【図10】(A)は同吸引式噴射器の噴射ボンベ側面図であり、(B)はボンベのキャップを外した状態の側面図である。
【図11】本願発明のさらに他の実施の形態に係る吸引式噴射器の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
11 被噴射液容器
11 口部
12 収容部
21 噴射ボンベ
30 噴射機構部
31 支持部
41 噴射部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引式噴射器において、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、
VG/VL=0.05〜0.30
である吸引式噴射器。
【請求項2】
上記のVG<30mlであることを特徴とする請求項1記載の吸引式噴射器。
【請求項3】
噴射機構部と、この噴射機構部に接続された噴射ボンベと、噴射ボンベとは別個に噴射機構部に接続された被噴射液容器を備え、噴射機構部は噴射ボンベのガスを噴出させることにより被噴射液容器の被噴射液を吸引して噴射させるものである吸引式噴射器において、
被噴射液容器の上端に上記の噴射機構部が配位され、
噴射機構部は、その下部に噴射ボンベに対する着脱可能なボンベ接続部と被噴射液容器に対する着脱可能な容器接続部を有し、
被噴射液容器は、その上端に設けられた口部にて、上記の容器接続部に支持され、
噴射機構部に設けられた吸い上げパイプが、被噴射液容器の口部内に挿入されることにより、被噴射容器から噴射機構部への流路が設定されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の吸引式噴射器。
【請求項4】
上記の被噴射液容器は、その口部の隣に噴射ボンベの収容部を備え、この収容部は、噴射ボンベを安定して支持収容し得る底部スペースを備え、
上記のボンベ接続部は、ボンベアダプターを確実に簡単に正しく収容し得る特製の嵌着部を持ち、
噴射ボンベは、この嵌着部と正確に嵌着するボンベアダプターを肩カバーとして装着しており、専用のボンベのみの使用を担保出来る仕組みを有する請求項2に記載の吸引式噴射器。
【請求項5】
噴射機構部は、噴射ボンベの頂部に設けられたステムに対して嵌合する噴射ボタンと、
この噴射ボタン内に設けられたガス流路と、
ガス流路の先端に設けられ、ガス流路よりも径の小さなベンチュリー狭窄部と、
ベンチュリー狭窄部の先端に設けられ、ベンチュリー狭窄部より大きい径の混合吸引室と、
吸引混合室の先端に設けられ、膨張室とを備え、
膨張室は吸引混合室に対して膨張室入口を介して連通しており、この膨張室入口は吸引混合室より小さく且つ膨張室より小さいものであり、この膨張室はその先端の膨張室出口で外部に開口しており、
被吐出液容器に導通する被噴射液用導通路が吸引混合室に連通しているものであり、
ガス流路からの噴射ガスが、膨張室出口を経て外方へ排出される時、ベンチュリー効果により負圧を発生し、発生した負圧により被噴射液容器内の被噴射液が吸引を受けて上昇し、吸引混合室で噴射ガスと混合され、ベンチュリー狭窄部口径より大きな口径の膨張室入口でガスの膨張を受けて霧化し、より口径の大きい膨張室で更に霧化効果を得て外部に噴射されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の吸引式噴射器。
【請求項6】
被噴射液用導通路の先端に狭隘な案内室が設けられ、この狭隘な案内室を経た被噴射液がこの案内室より広い吸引混合室へ導入されるものであることを特徴とする請求項5記載の吸引式噴射器。
【請求項7】
被噴射液は水系、アルコール系、溶剤系、脂肪酸系等の液体にそれぞれ製品目的に応じた有効成分を配合したもので粘度範囲1cpから100cpであり非危険物のものを使用する請求項1〜6の何れかに記載の吸引式噴射器。
【請求項8】
噴射ボンベ内に収容するガスは、ジメチルエーテル、HFC-152a等の単体の液化ガス、窒素、酸素、炭酸ガス、亜酸化窒素等の圧縮ガスの他、共沸混合物を使用し、噴射中の蒸気相中及び液相中の2成分以上のガス組成が変動しない様にし、噴射器の噴射状態が変わらない様にする事を特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の吸引式噴射器。
【請求項9】
噴射ボンベは、噴射口を有するステムと、ステムに対する押圧によって開弁する開閉弁を備え、
噴射機構部は、噴射ボンベのステムに接続されるボンベ接続部と、被噴射液収納室に接続される容器用接続部と、人が噴射のための操作をなす操作部とを備え、容器用接続部に開閉弁が設けられ、操作部の操作により、被噴射液用接続部の開閉弁を開くと共にステムを押圧するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の吸引式噴射器。
【請求項1】
吸引式噴射器において、被噴射液容器の内容積をVLmlとし、噴射ボンベの内容積をVGmlとするとき、
VG/VL=0.05〜0.30
である吸引式噴射器。
【請求項2】
上記のVG<30mlであることを特徴とする請求項1記載の吸引式噴射器。
【請求項3】
噴射機構部と、この噴射機構部に接続された噴射ボンベと、噴射ボンベとは別個に噴射機構部に接続された被噴射液容器を備え、噴射機構部は噴射ボンベのガスを噴出させることにより被噴射液容器の被噴射液を吸引して噴射させるものである吸引式噴射器において、
被噴射液容器の上端に上記の噴射機構部が配位され、
噴射機構部は、その下部に噴射ボンベに対する着脱可能なボンベ接続部と被噴射液容器に対する着脱可能な容器接続部を有し、
被噴射液容器は、その上端に設けられた口部にて、上記の容器接続部に支持され、
噴射機構部に設けられた吸い上げパイプが、被噴射液容器の口部内に挿入されることにより、被噴射容器から噴射機構部への流路が設定されるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の吸引式噴射器。
【請求項4】
上記の被噴射液容器は、その口部の隣に噴射ボンベの収容部を備え、この収容部は、噴射ボンベを安定して支持収容し得る底部スペースを備え、
上記のボンベ接続部は、ボンベアダプターを確実に簡単に正しく収容し得る特製の嵌着部を持ち、
噴射ボンベは、この嵌着部と正確に嵌着するボンベアダプターを肩カバーとして装着しており、専用のボンベのみの使用を担保出来る仕組みを有する請求項2に記載の吸引式噴射器。
【請求項5】
噴射機構部は、噴射ボンベの頂部に設けられたステムに対して嵌合する噴射ボタンと、
この噴射ボタン内に設けられたガス流路と、
ガス流路の先端に設けられ、ガス流路よりも径の小さなベンチュリー狭窄部と、
ベンチュリー狭窄部の先端に設けられ、ベンチュリー狭窄部より大きい径の混合吸引室と、
吸引混合室の先端に設けられ、膨張室とを備え、
膨張室は吸引混合室に対して膨張室入口を介して連通しており、この膨張室入口は吸引混合室より小さく且つ膨張室より小さいものであり、この膨張室はその先端の膨張室出口で外部に開口しており、
被吐出液容器に導通する被噴射液用導通路が吸引混合室に連通しているものであり、
ガス流路からの噴射ガスが、膨張室出口を経て外方へ排出される時、ベンチュリー効果により負圧を発生し、発生した負圧により被噴射液容器内の被噴射液が吸引を受けて上昇し、吸引混合室で噴射ガスと混合され、ベンチュリー狭窄部口径より大きな口径の膨張室入口でガスの膨張を受けて霧化し、より口径の大きい膨張室で更に霧化効果を得て外部に噴射されることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の吸引式噴射器。
【請求項6】
被噴射液用導通路の先端に狭隘な案内室が設けられ、この狭隘な案内室を経た被噴射液がこの案内室より広い吸引混合室へ導入されるものであることを特徴とする請求項5記載の吸引式噴射器。
【請求項7】
被噴射液は水系、アルコール系、溶剤系、脂肪酸系等の液体にそれぞれ製品目的に応じた有効成分を配合したもので粘度範囲1cpから100cpであり非危険物のものを使用する請求項1〜6の何れかに記載の吸引式噴射器。
【請求項8】
噴射ボンベ内に収容するガスは、ジメチルエーテル、HFC-152a等の単体の液化ガス、窒素、酸素、炭酸ガス、亜酸化窒素等の圧縮ガスの他、共沸混合物を使用し、噴射中の蒸気相中及び液相中の2成分以上のガス組成が変動しない様にし、噴射器の噴射状態が変わらない様にする事を特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の吸引式噴射器。
【請求項9】
噴射ボンベは、噴射口を有するステムと、ステムに対する押圧によって開弁する開閉弁を備え、
噴射機構部は、噴射ボンベのステムに接続されるボンベ接続部と、被噴射液収納室に接続される容器用接続部と、人が噴射のための操作をなす操作部とを備え、容器用接続部に開閉弁が設けられ、操作部の操作により、被噴射液用接続部の開閉弁を開くと共にステムを押圧するものであることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の吸引式噴射器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−247405(P2008−247405A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88347(P2007−88347)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000219934)エア・ウォーター・ゾル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000219934)エア・ウォーター・ゾル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】
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