吸引車
【課題】回収対象の重量を検出しながらも、シャシーフレームに対する負荷を軽減して走行安定性を向上することができる吸引車を提供する。
【解決手段】シャシーフレーム2には、前方サブフレーム21と後方サブフレーム22とが固定される。レシーバタンク7には、第2タンクフレーム12が第1タンクフレーム10を介して固定される。第2タンクフレーム12は、レシーバタンク7に回収された回収対象の重量を検出可能なロードセル14,15によって、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22に連結支持される。前方サブフレーム21は、シャシーフレーム2に沿ってレシーバタンク7よりも車両前方に延設された延設部41を有し、この延設部41を介してポンプユニット6がシャシーフレーム2に固定される。
【解決手段】シャシーフレーム2には、前方サブフレーム21と後方サブフレーム22とが固定される。レシーバタンク7には、第2タンクフレーム12が第1タンクフレーム10を介して固定される。第2タンクフレーム12は、レシーバタンク7に回収された回収対象の重量を検出可能なロードセル14,15によって、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22に連結支持される。前方サブフレーム21は、シャシーフレーム2に沿ってレシーバタンク7よりも車両前方に延設された延設部41を有し、この延設部41を介してポンプユニット6がシャシーフレーム2に固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプユニットおよびポンプユニットの吸引力によって回収された回収対象を収容可能なレシーバタンクがシャシーフレーム上に載置された吸引車に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、ポンプユニットと、このポンプユニットの吸引力によって回収された汚水などの回収対象が収容されるレシーバタンクとがシャシーフレーム上に載置された吸引車が知られている。
また、例えば、特許文献2〜6に示されるように、塵芥収集車に代表される作業用車両において、積載物を積載するための荷台や荷箱がロードセルを介してシャシーフレームに支持されたものが知られている。このように、ロードセルを介して荷台や荷箱をシャシーフレームに支持させることにより、積載物の重量が計測できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−84627号公報
【特許文献2】実公平6−49524号公報
【特許文献3】特開2004−224502号公報
【特許文献4】特開2004−299847号公報
【特許文献5】特開2004−224503号公報
【特許文献6】特開2007−99490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ポンプユニットとレシーバタンクとが独立してシャシーフレームに支持される吸引車において、回収対象の重量を検出するために、ロードセルを介してシャシーフレームにレシーバタンクを支持させると、以下のような問題が生じてしまう。
すなわち、車両が急旋回、急停車した場合や悪路を走行した場合などには、慣性や衝撃によって、シャシーフレームにおいて、重量物であるポンプユニットやレシーバタンクの支持点に特に大きな振動やねじれが生じる。
【0005】
このとき、レシーバタンクがロードセルによって支持されていると、ロードセルの支持点周辺において、特に局部的に大きな負荷が作用する。また、ポンプユニットとレシーバタンクとでは、重量や取り付け位置が異なる関係上、シャシーフレームに対して種々の方向および大きさの負荷が作用する。
このように、さまざまな負荷が近傍で生じると、シャシーフレームに対して作用する振動やねじれといった負荷がときに増大してしまい、走行安定性が低下してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、回収対象の重量を検出しながらも、シャシーフレームに対する負荷を軽減して走行安定性を向上することができる吸引車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポンプユニット、および、このポンプユニットの吸引力によって回収された回収対象を収容可能なレシーバタンクがシャシーフレーム上に載置された吸引車を前提とする。
【0008】
上記の構成を前提として、請求項1に記載の発明は、前記シャシーフレームに固定されたサブフレームと、前記レシーバタンクに固定されたタンクフレームと、前記サブフレームにタンクフレームを連結支持させて、前記レシーバタンクに回収された回収対象の重量を検出可能なロードセルと、を備えている。
そして、前記サブフレームは、前記シャシーフレームに沿って前記レシーバタンクよりも車両前方に延設された延設部を有するとともに、この延設部を介して前記ポンプユニットが前記シャシーフレームに固定されてなることを特徴とする。
【0009】
本発明において、ロードセルの配置、数、支持構造や取り付け構造などは特に限定されない。したがって、バー型やビーム型といった従来周知のロードセルを幅広く適用可能である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記ロードセルが、車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルが支持されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記ロードセルが、車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルおよび後方ロードセルの双方が支持されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記サブフレームおよびタンクフレームは互いにオーバーラップして設けられ、前記サブフレームおよびタンクフレームの双方には、それぞれ前記ロードセルを支持する保持部が車両の幅方向に対向して設けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方は高さ方向に開口が形成されるとともに、この開口から前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方が進入して両者がオーバーラップしてなることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方には、一対の第1保持部が車両の幅方向に対向配置されるとともに、前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方には、車両の幅方向に貫通する孔からなる第2保持部が前記第1保持部に対向配置され、前記ロードセルは、長手方向に所定の間隔で設けられた一対の第1支持部が前記第1保持部に支持されるとともに、前記一対の第1支持部間に設けられた第2支持部が前記第2保持部に支持されてなることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記第1保持部が、前記ロードセルの第1支持部を挿入して支持可能な孔によって構成されてなることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記サブフレームが、前記タンクフレームにオーバーラップするとともに前記ロードセルを支持する第1サブフレームと、前記第1サブフレームとシャシーフレームとの間に介在するとともに、当該第1サブフレームの固定位置よりも車両前方に前記延設部を有する第2サブフレームと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、互いに重量や支持位置を異にするポンプユニットとレシーバタンクとが、一体となってシャシーフレームに固定される。したがって、シャシーフレームに作用する振動やねじれといった負荷が、ポンプユニットおよびレシーバタンクの支持点周辺において分散されることとなり、シャシーフレームの局部的な負荷が軽減されて走行安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の吸引車の左側面図である。
【図2】第1実施形態の吸引車の上面図である。
【図3】レシーバタンクの傾倒状態を示す左側面図である。
【図4】図1の部分拡大図である。
【図5】図4におけるV−V線の断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI線の断面図である。
【図7】図4におけるVII−VII線の断面図である。
【図8】図4におけるVIII−VIII線の断面図である。
【図9】図4におけるIX−IXの断面図である。
【図10】第2実施形態の吸引車の左側面図である。
【図11】図10の部分拡大図である。
【図12】図11におけるA−A線の断面図である。
【図13】図11におけるB−B線の断面図である。
【図14】図11におけるC−C線の断面図である。
【図15】図11におけるD−D線の断面図である。
【図16】図11におけるE−E線の断面図である。
【図17】第3実施形態の吸引車の左側面図である。
【図18】図17の部分拡大図である。
【図19】図18におけるF−F線の断面図である。
【図20】図18におけるG−G線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図9を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態における吸引車1の左側面図であり、図2は、吸引車1の上面図である。図1および図2に示すように、この第1実施形態の吸引車1は、車両の前後方向に延設する一対のシャシーフレーム2,2を備えており、このシャシーフレーム2,2に前輪3および後輪4が支持されている。一対のシャシーフレーム2,2は、車両の幅方向に対面配置するように設けられており、その前端部に、運転席を有するキャビン5が設けられている。また、一対のシャシーフレーム2,2には、キャビン5よりも車両後方に、吸引ポンプPを有するポンプユニット6およびレシーバタンク7が各々所定の間隔で懸架されている。
【0020】
ポンプユニット6の吸引ポンプPには、フレキシブルホース8が接続されており、吸引ポンプPの吸引力によって吸引回収された汚水などの回収対象が、フレキシブルホース8を介してレシーバタンク7に収容されるようになっている。なお、吸引ポンプPは、PTO43によって伝達されるエンジンの出力によって駆動するようになっている。
【0021】
上記のレシーバタンク7は、車両の幅方向に対面配置された一対のタンクフレーム9,9によってシャシーフレーム2,2に支持されている。タンクフレーム9は、レシーバタンク7の下面に直接固定される第1タンクフレーム10と、この第1タンクフレーム10にブラケット11を介して連結されるとともに、シャシーフレーム2に後述の剪断型ロードセルを介して支持される第2タンクフレーム12とによって構成されている。
【0022】
具体的には、レシーバタンク7の下面には、車両の前後方向に延設する一対の第1タンクフレーム10,10が直接固定されている。これら一対の第1タンクフレーム10,10は、断面コ字形の長板部材によって構成されており、開口をレシーバタンク7の下面に臨ませた状態で固定されている(図5参照)。これら第1タンクフレーム10,10は、車両の幅方向に対面配置されており、その後端にそれぞれブラケット11が固定されている。
また、シャシーフレーム2,2には、車両の前後方向に延設する断面矩形の第2タンクフレーム12,12が、後述する剪断型ロードセル14,15を介して支持されている。これら一対の第2タンクフレーム12,12は、クロスメンバ16によって左右が連結されており、各第2タンクフレーム12,12の後端には、枢支ピン11aによって上記したブラケット11が回動自在に取り付けられている。
【0023】
走行時や回収作業時などには、図1に示すように、第2タンクフレーム12,12と第1タンクフレーム10,10とが面接触状態となる。これに対して、レシーバタンク7から回収対象を排出する場合には、図3に示すように、第1タンクフレーム10,10が枢支ピン11aを軸として起伏することとなり、これと一体となってレシーバタンク7が傾倒して後方から回収対象を排出可能となる。
【0024】
なお、レシーバタンク7は、図3に示すように、伸縮シリンダ13の伸縮動作によって傾倒する。具体的には、伸縮シリンダ13は、一端が第1タンクフレーム10の長手方向略中央に回動自在に固定され、他端が第2タンクフレーム12の長手方向中央よりも僅かに後端寄りに回動自在に固定されている。伸縮シリンダ13が収縮した状態では、図1に示すように、第1タンクフレーム10が第2タンクフレーム12およびシャシーフレーム2と平行となり、これに伴ってレシーバタンク7もシャシーフレーム2と平行して支持される。この状態から伸縮シリンダ13を伸長させると、図3に示すように、第1タンクフレーム10が枢支ピン11aを軸として起伏し、レシーバタンク7はシャシーフレーム2に対して傾倒することとなる。
【0025】
そして、一対のタンクフレーム9,9は、それぞれ2つの剪断型ロードセル14,15を介してシャシーフレーム2,2に支持されている。すなわち、シャシーフレーム2には、車両の前方側に位置する前方ロードセル14と、車両の後方側に位置する後方ロードセル15とがそれぞれ支持されており、これら両ロードセル14,15によってシャシーフレーム2にタンクフレーム9が支持されることとなる。
以下では、シャシーフレーム2に対するタンクフレーム9の支持構造について詳細に説明する。なお、タンクフレーム9の支持構造は、車両の幅方向両側で対称である点を除いて同一であるため、ここでは車両の左側における支持構造について説明する。
【0026】
図4は、吸引車1の左側方を部分的に拡大して示した図であり、図5〜図9は、それぞれ図4におけるV−V線、VI−VI線、VII−VII線、VIII−VIII線、IX−IX線の断面図である。
図4〜図9に示すように、シャシーフレーム2は、外側面2aを車両の幅方向外方に臨ませるとともに、この外側面2aの上辺および下辺をそれぞれ車両の内方に略90度屈曲させた上面2bおよび下面2cとする断面U字形の長板部材によって構成されている。このシャシーフレーム2の上面2bには、車両の前後方向に延設するサブフレーム20が載置されて固定されている。
【0027】
この第1実施形態においては、サブフレーム20は、車両の前方側に位置する前方サブフレーム21と、車両の後方側に位置する後方サブフレーム22とに分割形成されている。なお、この第1実施形態における前方サブフレーム21が本発明のサブフレームに相当するものである。
図5に示すように、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22は、車両の幅方向外方に位置する外側面21a(22a)、車両の幅方向内方に位置する内側面21b(22b)およびシャシーフレーム2の上面2bに臨む底面21c(22c)によって屈曲形成された断面U字形の部材によって構成されている。前方サブフレーム21および後方サブフレーム22は、その外側面21a,22aがマウンティングブラケット23を介してシャシーフレーム2の外側面2aにボルトで固定されている。そして、第2タンクフレーム12は、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22の開口から進入して、図示のとおり、非接触でオーバーラップさせた状態で支持されることとなる。このように、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22に対して第2タンクフレーム12をオーバーラップさせることにより、吸引車1の車高を低く抑えることが可能となっている。
【0028】
図6に示すように、第2タンクフレーム12は、前方ロードセル14を介して前方サブフレーム21に支持される。具体的には、前方サブフレーム21の外側面21aおよび内側面21bには、車両の幅方向に貫通する貫通孔からなる第1保持部24,24がそれぞれ対面する位置に形成されている。一方、第2タンクフレーム12にも、車両の幅方向に貫通する貫通孔からなる第2保持部25が、第1保持部24,24に対向する位置に形成されている。そして、これら第1保持部24,24に、前方ロードセル14の幅方向両端近傍に位置する第1支持部14a,14aを挿入支持させるとともに、第2保持部25に、前方ロードセル14の幅方向略中央に位置する第2支持部14bを挿入支持させている。このように、前方ロードセル14は、その長手方向を車両の幅方向に沿わせて位置することとなり、この前方ロードセル14を介して、第2タンクフレーム12が前方サブフレーム21に支持されることとなる。
なお、ここでは前方ロードセル14の支持構造について説明したが、後方サブフレーム22における後方ロードセル15の支持構造も同様となっている。
【0029】
このように、サブフレーム20(前方サブフレーム21および後方サブフレーム22)にそれぞれ両持ちで支持される前方ロードセル14および後方ロードセル15には、レシーバタンク7の荷重が作用する。そして、レシーバタンク7に収容された収容物の重量変化に応じて、サブフレーム9に対してレシーバタンク7が上下方向に変位し、この変位量に応じて各ロードセル14,15が撓むこととなる。このとき負荷された剪断荷重に応じた値を各ロードセル14,15が検出し、その検出値に基づいて収容物の重量が計測される。
【0030】
また、図7は、図4におけるVII−VII線の断面図であるが、この図に示すように、前方サブフレーム21と第2タンクフレーム12との間には、レシーバタンク7の脱落を防止するための連結ピン26が、前方ロードセル14とは別に設けられている。この連結ピン26は、前方ロードセル14に対して車両の前方または後方に設けられるものであり、この第1実施形態においては、連結ピン26を前方ロードセル14に対して車両の前方に配置している。
【0031】
具体的には、前方サブフレーム21の外側面21aおよび内側面21bには、車両の幅方向に貫通する貫通保持孔27,27がそれぞれ対面する位置に形成されている。一方、第2タンクフレーム12には、車両の幅方向に貫通するとともに上記の貫通保持孔27,27よりも大径の挿入孔28が、貫通保持孔27,27に対向する位置に形成されている。そして、連結ピン26を挿入孔28に貫通させた状態で、当該連結ピン26の両端近傍を貫通保持孔27,27に挿入支持させている。このとき、挿入孔28は、貫通保持孔27,27よりも大径であるため、連結ピン26と第2タンクフレーム12とは非接触状態に維持されている。これは、通常、各ロードセル14,15による重量計測に影響を与えないようにしながらも、事故などで仮にロードセル14,15が破損した場合に、レシーバタンク7がシャシーフレーム2から脱落するのを、連結ピン26によって防止するためである。
なお、ここでは前方サブフレーム21における連結ピン26の取り付け構造について説明したが、後方サブフレーム22においても同様の構造により連結ピン26が取り付けられている。
【0032】
また、図8は、図4におけるVIII−VIII線断面図であるが、この図に示すように、車両の幅方向に対面配置された一対の前方サブフレーム21,21は、クロスメンバ29によって連結されている。また、これと同様に、車両の幅方向に対面配置された一対の後方サブフレーム22,22も、互いにクロスメンバ29によって連結されている(図2)。
このように、左右一対のサブフレーム20(前方サブフレーム21および後方サブフレーム22)がクロスメンバ29によって連結されることにより、サブフレーム20の強度を向上するとともに、シャシーフレーム2とサブフレーム20との横方向のズレを防止することが可能となる。
また、これと同様に、左右一対の第2タンクフレーム12もクロスメンバ16によって連結されることにより、強度が向上するようになっている。
なお、図5に示すように、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22には、これら両フレーム21,22の内側面21b,22bを車両の幅方向内方に引っ張り保持するテンションボルト30が連結されており、車両の幅方向へのズレを防止する構造となっている。
【0033】
そして、第1実施形態においては、図4からも明らかなように、前方サブフレーム21を車両の前方に延設させるとともに、前方サブフレーム21の延設した部位にポンプユニット6を支持させている。
具体的には、前方サブフレーム21は、長手方向中央よりも車両の後方側に位置する基部40と、長手方向中央よりも車両の前方に位置する延設部41とが連続形成された構成となっている。基部40は、上述のとおり、外側面21a、内側面21bおよび底面21cによって断面U字形に構成されており、この基部40において前方ロードセル14が支持されている。この基部40においては、断面をU字形に形成することによって、第2タンクフレーム12をオーバーラップさせた状態で支持するようになっている。
【0034】
一方で、延設部41は、基部40と同様に複数のマウンティングブラケット23を介してシャシーフレーム2にボルトによって固定されている。この延設部41は、図9に示すように、外側面21aおよび内側面21bの上端が上面21dによって連続する断面矩形状に形成されており、この上面21d上にポンプユニット6が載置された状態で固定されることとなる。このように、基部40においては、第2タンクフレーム12をオーバーラップさせる都合上、断面U字形に形成されているのに対し、こうした制約を受けない延設部41においては、その断面を矩形として強度を向上させるようにしている。これにより、1つの延長形成された前方サブフレーム21に対して、ポンプユニット6の荷重とレシーバタンク7の荷重とがそれぞれ作用したとしても、シャシーフレーム2に対するねじれ応力や振動などの負荷を軽減することが可能となっている。
【0035】
なお、図9からも明らかなように、前方サブフレーム21は、車両の幅方向に一対対面配置されている。これら一対の前方サブフレーム21,21は、左右対称な構成となっているが、延設部41の構成は両前方サブフレーム21,21で共通している。そして、両前方サブフレーム21,21の上面21d,21d間には基台42が架け渡されており、この基台42上にポンプユニット6が載置されている。
また、図9において、符号43は、エンジンの出力を取り出すPTOを示しており、符号44は、基台42に載置された動力発生装置を示している。この動力発生装置44は、ポンプユニット6を構成する装置の一つであり、PTOにテンションベルト45によって連結されて、伸縮シリンダ13などの油圧アクチュエータに対して作動油の給排を行う油圧ポンプや吸引ポンプPの駆動源となっている。
【0036】
以上のように、第1実施形態の吸引車1によれば、互いに重量や支持位置を異にするポンプユニット6とレシーバタンク7とが、サブフレーム20(前方サブフレーム21)によって一体となってシャシーフレーム2に固定される。したがって、シャシーフレーム2に作用する振動やねじれといった負荷が、ポンプユニット6およびレシーバタンク7の支持点周辺において分散されることとなり、シャシーフレーム2の局部的な負荷が軽減されて走行安定性を向上することができる。
【0037】
なお、上記第1実施形態においては、サブフレーム20が前方サブフレーム21および後方サブフレーム22に分割形成されるとともに、前方サブフレーム21に前方ロードセル14が支持され、後方サブフレーム22に後方ロードセル15が支持されている。しかしながら、前方サブフレーム21と後方サブフレーム22とを一体的に構成して、1つのサブフレームに前方ロードセル14および後方ロードセル15を支持させるようにしても構わない。つまり、延設部を有する1つのサブフレームに、ポンプユニット6、前方ロードセル14および後方ロードセル15が全て支持されるようにしてもよい。
【0038】
また、上記第1実施形態においては、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22を上方に開口を有する断面U字形に構成し、この開口に第2タンクフレーム12を進入させて両者をオーバーラップさせる構成としている。しかしながら、これとは逆に、第2タンクフレーム12を下方に開口させる構成とし、この第2タンクフレーム12の開口に前方サブフレーム21または後方サブフレーム22を進入させる構成としてもよい。いずれにしても、サブフレーム20またはタンクフレーム9のいずれか一方を高さ方向に開口させ、この開口からいずれか他方を進入させて両者をオーバーラップさせれば、車高を抑えることが可能となる。
【0039】
次に、図10〜図16を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態においては、サブフレームの構成のみ上記第1実施形態と異なっており、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、ここでは、第1実施形態と異なる構成、特にはサブフレームの構成を中心に説明するとともに、上記と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0040】
図10は、第2実施形態における吸引車50の左側面図であり、図11は、図10の部分拡大図である。これらの図に示すように、第2実施形態の吸引車50においては、レシーバタンク7に固定されるタンクフレーム9が、サブフレーム51によって支持されている。
このサブフレーム51は、前方サブフレーム52、後方サブフレーム22および延設サブフレーム53の3つのフレームによって構成されており、車両の幅方向に一対対面配置されている。なお、この第2実施形態において、前方サブフレーム52、後方サブフレーム22および延設サブフレーム53によって構成されるサブフレーム51が本発明のサブフレームに相当するものである。また、前方サブフレーム52または後方サブフレーム22が本発明の第1サブフレームに相当し、延設サブフレーム53が本発明の第2サブフレームに相当するものである。
【0041】
後方サブフレーム22は、第1実施形態と同一であり、また、前方サブフレーム52は、第1実施形態における前方サブフレーム21の基部40と同一の構成である。つまり、前方サブフレーム52は、延設部41を備えていない点のみ第1実施形態における前方サブフレーム21と異なっている。したがって、前方サブフレーム52は、車両の前方側の端面を、レシーバタンク7の前端面とほぼ面一となる程度の長さを有することとなる。なお、前方サブフレーム52の具体的な構成は、前方サブフレーム21における基部40の構成と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
そして、延設サブフレーム53は、シャシーフレーム2の長手方向に沿って設けられており、その前端を、ポンプユニット6が載置される基台42よりも僅かに車両の前方に位置させ、その後端が、シャシーフレーム2の後端面と面一になる程度の長さを有している。
図12〜図16は、それぞれ図11におけるA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線の断面図である。これらの図に示すように、延設サブフレーム53は、断面矩形の中空部材によって構成されており、シャシーフレーム2の上面2bに載置された状態で、上記と同様に複数のマウンティングブラケット23を介して、シャシーフレーム2にボルト固定されている(図12)。そして、前方サブフレーム52および後方サブフレーム22は、それぞれ延設サブフレーム53上に載置された状態で、複数のマウンティングブラケット23を介して、延設サブフレーム53にボルト固定されている(図15)。このようにして、前方サブフレーム52および後方サブフレーム22とシャシーフレーム2との間に延設サブフレーム53が介在することとなる。
【0043】
また、延設サブフレーム53は、前方サブフレーム52よりも車両の前方に延設する部分を延設部53aとしており、この延設部53a上に基台42を介してポンプユニット6が載置されている。
この第2実施形態の吸引車50によっても、互いに重量や支持位置を異にするポンプユニット6とレシーバタンク7とが、延設サブフレーム53によって一体となってシャシーフレーム2に固定される。
【0044】
しかも、第2実施形態の吸引車50においては、ポンプユニット6やレシーバタンク7の負荷が、前方サブフレーム52および後方サブフレーム22に加えて延設サブフレーム53をも介してシャシーフレーム2に作用する。したがって、シャシーフレーム2に対する負荷が全体としてより軽減されることとなる。
さらに、第2実施形態の吸引車50においては、ポンプユニット6を支持する延設サブフレーム53に、前方ロードセル14を支持する前方サブフレーム52と、後方ロードセル15を支持する後方サブフレーム53とが支持されている。したがって、ポンプユニット6によってもたらされる負荷と、レシーバタンク7によってもたらされる負荷とが一層分散されることとなり、シャシーフレーム2の局部的な負荷をより軽減することが可能となる。
【0045】
なお、上記第2実施形態においては、前方サブフレーム52と後方サブフレーム22とが分割形成されるとともに、前方サブフレーム52に前方ロードセル14が支持され、後方サブフレーム22に後方ロードセル15が支持されている。しかしながら、前方サブフレーム52と後方サブフレーム53とを一体的に構成して、1つのフレームに前方ロードセル14および後方ロードセル15を支持させるようにしても構わない。
【0046】
次に、図17〜図20を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、この第3実施形態においては、サブフレームおよびロードセルの構成のみ上記第2実施形態と異なっており、その他の構成は上記第2実施形態と同じである。したがって、ここでは、第2実施形態と異なる構成、特にはサブフレームとロードセルの構成を中心に説明するとともに、上記と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0047】
図17は、第3実施形態における吸引車60の左側面図であり、図18は、図17の部分拡大図である。これらの図に示すように、第3実施形態の吸引車60においては、レシーバタンク7に固定されるタンクフレーム9と延設サブフレーム53との間に、前方ロードセル61および後方ロードセル62が介在している。この第3実施形態では、レシーバタンク7の収容物の重量を計測するための前方ロードセル61および後方ロードセル62が、従来周知のバー型の剪断型ロードセルによって構成されている。前方ロードセル61および後方ロードセル62の構成および取り付け構造は両者ともに同一であるため、以下では、前方ロードセル61を用いて説明する。
なお、この第3実施形態における延設サブフレーム53が、本発明のサブフレームに相当するものである。
【0048】
図19は、図18におけるF−F線の断面図、図20は、図18におけるG−G線の断面図である。図18および図19に示すように、第2タンクフレーム12には、取り付けブラケット63が固定されており、この取り付けブラケット63の下面にロードセル本体64が対面配置されている。ロードセル本体64は、シャシーフレーム2の長手方向に沿って所定の長さを有しており、その長手方向略中央に、上方に突出する荷重受け部65が設けられている。この荷重受け部65は、プレート66を介して第2タンクフレーム12に接触しており、レシーバタンク7の荷重が荷重受け部65に作用するようになっている。従来周知の構成であるため、詳細な説明は省略するが、荷重受け部65は、荷重に応じて高さ方向に撓む構成となっており、この撓み量を不図示の歪ゲージが検出することにより、剪断歪が検出されるようになっている。
【0049】
図20に示すように、ロードセル本体64は、ベースプレート67を介して延設サブフレーム53の上面に載置されている。そして、シャシーフレーム2、延設サブフレーム53、ベースプレート67およびロードセル本体64が、4本の締結ボルト68によって一体的に結合されている。したがって、この第3実施形態の吸引車60においては、延設サブフレーム53は、マウンティングブラケット23ではなく締結ボルト68によって、シャシーフレーム2に固定されることとなる。
ただし、この第3実施形態においても、上記第2実施形態と同様に、延設サブフレーム53は、車両の前方に延設される延設部53aを有しており、この延設部53a上に基台42を介してポンプユニット6が載置されている。この延設部53aにおいては、第2実施形態と同様に、マウンティングブラケット23によって延設サブフレーム53がシャシーフレーム2に固定されることとなる。
以上のように、この第3実施形態の吸引車60によっても、ポンプユニット6とレシーバタンク7とが、延設サブフレーム53によって一体となってシャシーフレーム2に固定されるので、第2実施形態と同様の効果を実現可能である。
【0050】
なお、上記各実施形態においては、ブラケット11を介して連結される第1タンクフレーム10および第2タンクフレーム12によってタンクフレーム9が構成されているが、本発明のタンクフレームは上記の構成に限らない。例えば、レシーバタンク7に直接固定される第1タンクフレーム10のみによって本発明のタンクフレームを構成するようにしても構わない。このとき、第1タンクフレーム10は、必ずしもシャシーフレーム2に対して起伏する必要はないが、仮にシャシーフレーム2に対して起伏可能な構成とする場合には、ロードセルによる重量検出に影響を与えないように、第1タンクフレーム10をシャシーフレーム2に対して起伏自在に連結すればよい。いずれにしても本発明のタンクフレームは、レシーバタンクに直接または間接的に固定されるものを広く含むものである。
【0051】
また、上記各実施形態においては、レシーバタンクに収容された収容物(回収対象)の重量を4つのロードセルによって検出することとしたが、ロードセルの数はこれに限らず、少なくとも1つのロードセルを有していればよい。例えば、上記各実施形態においては、車両の幅方向に左右一対のシャシーフレーム、サブフレームおよびロードセルが配備されているが、これらは必ずしも左右一対設ける必要はなく、車両の幅方向略中央に1つのみ設けるものであっても構わない。また、車両の前後方向に一対のロードセルが配備されているが、例えば、レシーバタンクの前後方向略中央に1つのみロードセルを配備することとしてもよい。
【0052】
なお、上記各実施形態におけるロードセルの構成や支持構造は一実施形態に過ぎず、本発明は、上記の構成や構造に限定されるものではない。いずれにしても、ロードセルを支持する1のフレームまたは複数の別体からなるフレームによってサブフレームが構成され、このサブフレームにポンプユニットが支持されるものを広く含むものである。
【符号の説明】
【0053】
1,50,60 吸引車
2 シャシーフレーム
6 ポンプユニット
7 レシーバタンク
9 タンクフレーム
10 第1タンクフレーム
12 第2タンクフレーム
14,61 前方ロードセル
15,62 後方ロードセル
20,51 サブフレーム
21,52 前方サブフレーム
22 後方サブフレーム
41,53a 延設部
53 延設サブフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプユニットおよびポンプユニットの吸引力によって回収された回収対象を収容可能なレシーバタンクがシャシーフレーム上に載置された吸引車に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、ポンプユニットと、このポンプユニットの吸引力によって回収された汚水などの回収対象が収容されるレシーバタンクとがシャシーフレーム上に載置された吸引車が知られている。
また、例えば、特許文献2〜6に示されるように、塵芥収集車に代表される作業用車両において、積載物を積載するための荷台や荷箱がロードセルを介してシャシーフレームに支持されたものが知られている。このように、ロードセルを介して荷台や荷箱をシャシーフレームに支持させることにより、積載物の重量が計測できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−84627号公報
【特許文献2】実公平6−49524号公報
【特許文献3】特開2004−224502号公報
【特許文献4】特開2004−299847号公報
【特許文献5】特開2004−224503号公報
【特許文献6】特開2007−99490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ポンプユニットとレシーバタンクとが独立してシャシーフレームに支持される吸引車において、回収対象の重量を検出するために、ロードセルを介してシャシーフレームにレシーバタンクを支持させると、以下のような問題が生じてしまう。
すなわち、車両が急旋回、急停車した場合や悪路を走行した場合などには、慣性や衝撃によって、シャシーフレームにおいて、重量物であるポンプユニットやレシーバタンクの支持点に特に大きな振動やねじれが生じる。
【0005】
このとき、レシーバタンクがロードセルによって支持されていると、ロードセルの支持点周辺において、特に局部的に大きな負荷が作用する。また、ポンプユニットとレシーバタンクとでは、重量や取り付け位置が異なる関係上、シャシーフレームに対して種々の方向および大きさの負荷が作用する。
このように、さまざまな負荷が近傍で生じると、シャシーフレームに対して作用する振動やねじれといった負荷がときに増大してしまい、走行安定性が低下してしまうおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、回収対象の重量を検出しながらも、シャシーフレームに対する負荷を軽減して走行安定性を向上することができる吸引車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポンプユニット、および、このポンプユニットの吸引力によって回収された回収対象を収容可能なレシーバタンクがシャシーフレーム上に載置された吸引車を前提とする。
【0008】
上記の構成を前提として、請求項1に記載の発明は、前記シャシーフレームに固定されたサブフレームと、前記レシーバタンクに固定されたタンクフレームと、前記サブフレームにタンクフレームを連結支持させて、前記レシーバタンクに回収された回収対象の重量を検出可能なロードセルと、を備えている。
そして、前記サブフレームは、前記シャシーフレームに沿って前記レシーバタンクよりも車両前方に延設された延設部を有するとともに、この延設部を介して前記ポンプユニットが前記シャシーフレームに固定されてなることを特徴とする。
【0009】
本発明において、ロードセルの配置、数、支持構造や取り付け構造などは特に限定されない。したがって、バー型やビーム型といった従来周知のロードセルを幅広く適用可能である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記ロードセルが、車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルが支持されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記ロードセルが、車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルおよび後方ロードセルの双方が支持されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記サブフレームおよびタンクフレームは互いにオーバーラップして設けられ、前記サブフレームおよびタンクフレームの双方には、それぞれ前記ロードセルを支持する保持部が車両の幅方向に対向して設けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方は高さ方向に開口が形成されるとともに、この開口から前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方が進入して両者がオーバーラップしてなることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方には、一対の第1保持部が車両の幅方向に対向配置されるとともに、前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方には、車両の幅方向に貫通する孔からなる第2保持部が前記第1保持部に対向配置され、前記ロードセルは、長手方向に所定の間隔で設けられた一対の第1支持部が前記第1保持部に支持されるとともに、前記一対の第1支持部間に設けられた第2支持部が前記第2保持部に支持されてなることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記第1保持部が、前記ロードセルの第1支持部を挿入して支持可能な孔によって構成されてなることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記サブフレームが、前記タンクフレームにオーバーラップするとともに前記ロードセルを支持する第1サブフレームと、前記第1サブフレームとシャシーフレームとの間に介在するとともに、当該第1サブフレームの固定位置よりも車両前方に前記延設部を有する第2サブフレームと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、互いに重量や支持位置を異にするポンプユニットとレシーバタンクとが、一体となってシャシーフレームに固定される。したがって、シャシーフレームに作用する振動やねじれといった負荷が、ポンプユニットおよびレシーバタンクの支持点周辺において分散されることとなり、シャシーフレームの局部的な負荷が軽減されて走行安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態の吸引車の左側面図である。
【図2】第1実施形態の吸引車の上面図である。
【図3】レシーバタンクの傾倒状態を示す左側面図である。
【図4】図1の部分拡大図である。
【図5】図4におけるV−V線の断面図である。
【図6】図4におけるVI−VI線の断面図である。
【図7】図4におけるVII−VII線の断面図である。
【図8】図4におけるVIII−VIII線の断面図である。
【図9】図4におけるIX−IXの断面図である。
【図10】第2実施形態の吸引車の左側面図である。
【図11】図10の部分拡大図である。
【図12】図11におけるA−A線の断面図である。
【図13】図11におけるB−B線の断面図である。
【図14】図11におけるC−C線の断面図である。
【図15】図11におけるD−D線の断面図である。
【図16】図11におけるE−E線の断面図である。
【図17】第3実施形態の吸引車の左側面図である。
【図18】図17の部分拡大図である。
【図19】図18におけるF−F線の断面図である。
【図20】図18におけるG−G線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図9を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態における吸引車1の左側面図であり、図2は、吸引車1の上面図である。図1および図2に示すように、この第1実施形態の吸引車1は、車両の前後方向に延設する一対のシャシーフレーム2,2を備えており、このシャシーフレーム2,2に前輪3および後輪4が支持されている。一対のシャシーフレーム2,2は、車両の幅方向に対面配置するように設けられており、その前端部に、運転席を有するキャビン5が設けられている。また、一対のシャシーフレーム2,2には、キャビン5よりも車両後方に、吸引ポンプPを有するポンプユニット6およびレシーバタンク7が各々所定の間隔で懸架されている。
【0020】
ポンプユニット6の吸引ポンプPには、フレキシブルホース8が接続されており、吸引ポンプPの吸引力によって吸引回収された汚水などの回収対象が、フレキシブルホース8を介してレシーバタンク7に収容されるようになっている。なお、吸引ポンプPは、PTO43によって伝達されるエンジンの出力によって駆動するようになっている。
【0021】
上記のレシーバタンク7は、車両の幅方向に対面配置された一対のタンクフレーム9,9によってシャシーフレーム2,2に支持されている。タンクフレーム9は、レシーバタンク7の下面に直接固定される第1タンクフレーム10と、この第1タンクフレーム10にブラケット11を介して連結されるとともに、シャシーフレーム2に後述の剪断型ロードセルを介して支持される第2タンクフレーム12とによって構成されている。
【0022】
具体的には、レシーバタンク7の下面には、車両の前後方向に延設する一対の第1タンクフレーム10,10が直接固定されている。これら一対の第1タンクフレーム10,10は、断面コ字形の長板部材によって構成されており、開口をレシーバタンク7の下面に臨ませた状態で固定されている(図5参照)。これら第1タンクフレーム10,10は、車両の幅方向に対面配置されており、その後端にそれぞれブラケット11が固定されている。
また、シャシーフレーム2,2には、車両の前後方向に延設する断面矩形の第2タンクフレーム12,12が、後述する剪断型ロードセル14,15を介して支持されている。これら一対の第2タンクフレーム12,12は、クロスメンバ16によって左右が連結されており、各第2タンクフレーム12,12の後端には、枢支ピン11aによって上記したブラケット11が回動自在に取り付けられている。
【0023】
走行時や回収作業時などには、図1に示すように、第2タンクフレーム12,12と第1タンクフレーム10,10とが面接触状態となる。これに対して、レシーバタンク7から回収対象を排出する場合には、図3に示すように、第1タンクフレーム10,10が枢支ピン11aを軸として起伏することとなり、これと一体となってレシーバタンク7が傾倒して後方から回収対象を排出可能となる。
【0024】
なお、レシーバタンク7は、図3に示すように、伸縮シリンダ13の伸縮動作によって傾倒する。具体的には、伸縮シリンダ13は、一端が第1タンクフレーム10の長手方向略中央に回動自在に固定され、他端が第2タンクフレーム12の長手方向中央よりも僅かに後端寄りに回動自在に固定されている。伸縮シリンダ13が収縮した状態では、図1に示すように、第1タンクフレーム10が第2タンクフレーム12およびシャシーフレーム2と平行となり、これに伴ってレシーバタンク7もシャシーフレーム2と平行して支持される。この状態から伸縮シリンダ13を伸長させると、図3に示すように、第1タンクフレーム10が枢支ピン11aを軸として起伏し、レシーバタンク7はシャシーフレーム2に対して傾倒することとなる。
【0025】
そして、一対のタンクフレーム9,9は、それぞれ2つの剪断型ロードセル14,15を介してシャシーフレーム2,2に支持されている。すなわち、シャシーフレーム2には、車両の前方側に位置する前方ロードセル14と、車両の後方側に位置する後方ロードセル15とがそれぞれ支持されており、これら両ロードセル14,15によってシャシーフレーム2にタンクフレーム9が支持されることとなる。
以下では、シャシーフレーム2に対するタンクフレーム9の支持構造について詳細に説明する。なお、タンクフレーム9の支持構造は、車両の幅方向両側で対称である点を除いて同一であるため、ここでは車両の左側における支持構造について説明する。
【0026】
図4は、吸引車1の左側方を部分的に拡大して示した図であり、図5〜図9は、それぞれ図4におけるV−V線、VI−VI線、VII−VII線、VIII−VIII線、IX−IX線の断面図である。
図4〜図9に示すように、シャシーフレーム2は、外側面2aを車両の幅方向外方に臨ませるとともに、この外側面2aの上辺および下辺をそれぞれ車両の内方に略90度屈曲させた上面2bおよび下面2cとする断面U字形の長板部材によって構成されている。このシャシーフレーム2の上面2bには、車両の前後方向に延設するサブフレーム20が載置されて固定されている。
【0027】
この第1実施形態においては、サブフレーム20は、車両の前方側に位置する前方サブフレーム21と、車両の後方側に位置する後方サブフレーム22とに分割形成されている。なお、この第1実施形態における前方サブフレーム21が本発明のサブフレームに相当するものである。
図5に示すように、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22は、車両の幅方向外方に位置する外側面21a(22a)、車両の幅方向内方に位置する内側面21b(22b)およびシャシーフレーム2の上面2bに臨む底面21c(22c)によって屈曲形成された断面U字形の部材によって構成されている。前方サブフレーム21および後方サブフレーム22は、その外側面21a,22aがマウンティングブラケット23を介してシャシーフレーム2の外側面2aにボルトで固定されている。そして、第2タンクフレーム12は、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22の開口から進入して、図示のとおり、非接触でオーバーラップさせた状態で支持されることとなる。このように、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22に対して第2タンクフレーム12をオーバーラップさせることにより、吸引車1の車高を低く抑えることが可能となっている。
【0028】
図6に示すように、第2タンクフレーム12は、前方ロードセル14を介して前方サブフレーム21に支持される。具体的には、前方サブフレーム21の外側面21aおよび内側面21bには、車両の幅方向に貫通する貫通孔からなる第1保持部24,24がそれぞれ対面する位置に形成されている。一方、第2タンクフレーム12にも、車両の幅方向に貫通する貫通孔からなる第2保持部25が、第1保持部24,24に対向する位置に形成されている。そして、これら第1保持部24,24に、前方ロードセル14の幅方向両端近傍に位置する第1支持部14a,14aを挿入支持させるとともに、第2保持部25に、前方ロードセル14の幅方向略中央に位置する第2支持部14bを挿入支持させている。このように、前方ロードセル14は、その長手方向を車両の幅方向に沿わせて位置することとなり、この前方ロードセル14を介して、第2タンクフレーム12が前方サブフレーム21に支持されることとなる。
なお、ここでは前方ロードセル14の支持構造について説明したが、後方サブフレーム22における後方ロードセル15の支持構造も同様となっている。
【0029】
このように、サブフレーム20(前方サブフレーム21および後方サブフレーム22)にそれぞれ両持ちで支持される前方ロードセル14および後方ロードセル15には、レシーバタンク7の荷重が作用する。そして、レシーバタンク7に収容された収容物の重量変化に応じて、サブフレーム9に対してレシーバタンク7が上下方向に変位し、この変位量に応じて各ロードセル14,15が撓むこととなる。このとき負荷された剪断荷重に応じた値を各ロードセル14,15が検出し、その検出値に基づいて収容物の重量が計測される。
【0030】
また、図7は、図4におけるVII−VII線の断面図であるが、この図に示すように、前方サブフレーム21と第2タンクフレーム12との間には、レシーバタンク7の脱落を防止するための連結ピン26が、前方ロードセル14とは別に設けられている。この連結ピン26は、前方ロードセル14に対して車両の前方または後方に設けられるものであり、この第1実施形態においては、連結ピン26を前方ロードセル14に対して車両の前方に配置している。
【0031】
具体的には、前方サブフレーム21の外側面21aおよび内側面21bには、車両の幅方向に貫通する貫通保持孔27,27がそれぞれ対面する位置に形成されている。一方、第2タンクフレーム12には、車両の幅方向に貫通するとともに上記の貫通保持孔27,27よりも大径の挿入孔28が、貫通保持孔27,27に対向する位置に形成されている。そして、連結ピン26を挿入孔28に貫通させた状態で、当該連結ピン26の両端近傍を貫通保持孔27,27に挿入支持させている。このとき、挿入孔28は、貫通保持孔27,27よりも大径であるため、連結ピン26と第2タンクフレーム12とは非接触状態に維持されている。これは、通常、各ロードセル14,15による重量計測に影響を与えないようにしながらも、事故などで仮にロードセル14,15が破損した場合に、レシーバタンク7がシャシーフレーム2から脱落するのを、連結ピン26によって防止するためである。
なお、ここでは前方サブフレーム21における連結ピン26の取り付け構造について説明したが、後方サブフレーム22においても同様の構造により連結ピン26が取り付けられている。
【0032】
また、図8は、図4におけるVIII−VIII線断面図であるが、この図に示すように、車両の幅方向に対面配置された一対の前方サブフレーム21,21は、クロスメンバ29によって連結されている。また、これと同様に、車両の幅方向に対面配置された一対の後方サブフレーム22,22も、互いにクロスメンバ29によって連結されている(図2)。
このように、左右一対のサブフレーム20(前方サブフレーム21および後方サブフレーム22)がクロスメンバ29によって連結されることにより、サブフレーム20の強度を向上するとともに、シャシーフレーム2とサブフレーム20との横方向のズレを防止することが可能となる。
また、これと同様に、左右一対の第2タンクフレーム12もクロスメンバ16によって連結されることにより、強度が向上するようになっている。
なお、図5に示すように、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22には、これら両フレーム21,22の内側面21b,22bを車両の幅方向内方に引っ張り保持するテンションボルト30が連結されており、車両の幅方向へのズレを防止する構造となっている。
【0033】
そして、第1実施形態においては、図4からも明らかなように、前方サブフレーム21を車両の前方に延設させるとともに、前方サブフレーム21の延設した部位にポンプユニット6を支持させている。
具体的には、前方サブフレーム21は、長手方向中央よりも車両の後方側に位置する基部40と、長手方向中央よりも車両の前方に位置する延設部41とが連続形成された構成となっている。基部40は、上述のとおり、外側面21a、内側面21bおよび底面21cによって断面U字形に構成されており、この基部40において前方ロードセル14が支持されている。この基部40においては、断面をU字形に形成することによって、第2タンクフレーム12をオーバーラップさせた状態で支持するようになっている。
【0034】
一方で、延設部41は、基部40と同様に複数のマウンティングブラケット23を介してシャシーフレーム2にボルトによって固定されている。この延設部41は、図9に示すように、外側面21aおよび内側面21bの上端が上面21dによって連続する断面矩形状に形成されており、この上面21d上にポンプユニット6が載置された状態で固定されることとなる。このように、基部40においては、第2タンクフレーム12をオーバーラップさせる都合上、断面U字形に形成されているのに対し、こうした制約を受けない延設部41においては、その断面を矩形として強度を向上させるようにしている。これにより、1つの延長形成された前方サブフレーム21に対して、ポンプユニット6の荷重とレシーバタンク7の荷重とがそれぞれ作用したとしても、シャシーフレーム2に対するねじれ応力や振動などの負荷を軽減することが可能となっている。
【0035】
なお、図9からも明らかなように、前方サブフレーム21は、車両の幅方向に一対対面配置されている。これら一対の前方サブフレーム21,21は、左右対称な構成となっているが、延設部41の構成は両前方サブフレーム21,21で共通している。そして、両前方サブフレーム21,21の上面21d,21d間には基台42が架け渡されており、この基台42上にポンプユニット6が載置されている。
また、図9において、符号43は、エンジンの出力を取り出すPTOを示しており、符号44は、基台42に載置された動力発生装置を示している。この動力発生装置44は、ポンプユニット6を構成する装置の一つであり、PTOにテンションベルト45によって連結されて、伸縮シリンダ13などの油圧アクチュエータに対して作動油の給排を行う油圧ポンプや吸引ポンプPの駆動源となっている。
【0036】
以上のように、第1実施形態の吸引車1によれば、互いに重量や支持位置を異にするポンプユニット6とレシーバタンク7とが、サブフレーム20(前方サブフレーム21)によって一体となってシャシーフレーム2に固定される。したがって、シャシーフレーム2に作用する振動やねじれといった負荷が、ポンプユニット6およびレシーバタンク7の支持点周辺において分散されることとなり、シャシーフレーム2の局部的な負荷が軽減されて走行安定性を向上することができる。
【0037】
なお、上記第1実施形態においては、サブフレーム20が前方サブフレーム21および後方サブフレーム22に分割形成されるとともに、前方サブフレーム21に前方ロードセル14が支持され、後方サブフレーム22に後方ロードセル15が支持されている。しかしながら、前方サブフレーム21と後方サブフレーム22とを一体的に構成して、1つのサブフレームに前方ロードセル14および後方ロードセル15を支持させるようにしても構わない。つまり、延設部を有する1つのサブフレームに、ポンプユニット6、前方ロードセル14および後方ロードセル15が全て支持されるようにしてもよい。
【0038】
また、上記第1実施形態においては、前方サブフレーム21および後方サブフレーム22を上方に開口を有する断面U字形に構成し、この開口に第2タンクフレーム12を進入させて両者をオーバーラップさせる構成としている。しかしながら、これとは逆に、第2タンクフレーム12を下方に開口させる構成とし、この第2タンクフレーム12の開口に前方サブフレーム21または後方サブフレーム22を進入させる構成としてもよい。いずれにしても、サブフレーム20またはタンクフレーム9のいずれか一方を高さ方向に開口させ、この開口からいずれか他方を進入させて両者をオーバーラップさせれば、車高を抑えることが可能となる。
【0039】
次に、図10〜図16を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態においては、サブフレームの構成のみ上記第1実施形態と異なっており、その他の構成は上記第1実施形態と同じである。したがって、ここでは、第1実施形態と異なる構成、特にはサブフレームの構成を中心に説明するとともに、上記と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0040】
図10は、第2実施形態における吸引車50の左側面図であり、図11は、図10の部分拡大図である。これらの図に示すように、第2実施形態の吸引車50においては、レシーバタンク7に固定されるタンクフレーム9が、サブフレーム51によって支持されている。
このサブフレーム51は、前方サブフレーム52、後方サブフレーム22および延設サブフレーム53の3つのフレームによって構成されており、車両の幅方向に一対対面配置されている。なお、この第2実施形態において、前方サブフレーム52、後方サブフレーム22および延設サブフレーム53によって構成されるサブフレーム51が本発明のサブフレームに相当するものである。また、前方サブフレーム52または後方サブフレーム22が本発明の第1サブフレームに相当し、延設サブフレーム53が本発明の第2サブフレームに相当するものである。
【0041】
後方サブフレーム22は、第1実施形態と同一であり、また、前方サブフレーム52は、第1実施形態における前方サブフレーム21の基部40と同一の構成である。つまり、前方サブフレーム52は、延設部41を備えていない点のみ第1実施形態における前方サブフレーム21と異なっている。したがって、前方サブフレーム52は、車両の前方側の端面を、レシーバタンク7の前端面とほぼ面一となる程度の長さを有することとなる。なお、前方サブフレーム52の具体的な構成は、前方サブフレーム21における基部40の構成と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
そして、延設サブフレーム53は、シャシーフレーム2の長手方向に沿って設けられており、その前端を、ポンプユニット6が載置される基台42よりも僅かに車両の前方に位置させ、その後端が、シャシーフレーム2の後端面と面一になる程度の長さを有している。
図12〜図16は、それぞれ図11におけるA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線の断面図である。これらの図に示すように、延設サブフレーム53は、断面矩形の中空部材によって構成されており、シャシーフレーム2の上面2bに載置された状態で、上記と同様に複数のマウンティングブラケット23を介して、シャシーフレーム2にボルト固定されている(図12)。そして、前方サブフレーム52および後方サブフレーム22は、それぞれ延設サブフレーム53上に載置された状態で、複数のマウンティングブラケット23を介して、延設サブフレーム53にボルト固定されている(図15)。このようにして、前方サブフレーム52および後方サブフレーム22とシャシーフレーム2との間に延設サブフレーム53が介在することとなる。
【0043】
また、延設サブフレーム53は、前方サブフレーム52よりも車両の前方に延設する部分を延設部53aとしており、この延設部53a上に基台42を介してポンプユニット6が載置されている。
この第2実施形態の吸引車50によっても、互いに重量や支持位置を異にするポンプユニット6とレシーバタンク7とが、延設サブフレーム53によって一体となってシャシーフレーム2に固定される。
【0044】
しかも、第2実施形態の吸引車50においては、ポンプユニット6やレシーバタンク7の負荷が、前方サブフレーム52および後方サブフレーム22に加えて延設サブフレーム53をも介してシャシーフレーム2に作用する。したがって、シャシーフレーム2に対する負荷が全体としてより軽減されることとなる。
さらに、第2実施形態の吸引車50においては、ポンプユニット6を支持する延設サブフレーム53に、前方ロードセル14を支持する前方サブフレーム52と、後方ロードセル15を支持する後方サブフレーム53とが支持されている。したがって、ポンプユニット6によってもたらされる負荷と、レシーバタンク7によってもたらされる負荷とが一層分散されることとなり、シャシーフレーム2の局部的な負荷をより軽減することが可能となる。
【0045】
なお、上記第2実施形態においては、前方サブフレーム52と後方サブフレーム22とが分割形成されるとともに、前方サブフレーム52に前方ロードセル14が支持され、後方サブフレーム22に後方ロードセル15が支持されている。しかしながら、前方サブフレーム52と後方サブフレーム53とを一体的に構成して、1つのフレームに前方ロードセル14および後方ロードセル15を支持させるようにしても構わない。
【0046】
次に、図17〜図20を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、この第3実施形態においては、サブフレームおよびロードセルの構成のみ上記第2実施形態と異なっており、その他の構成は上記第2実施形態と同じである。したがって、ここでは、第2実施形態と異なる構成、特にはサブフレームとロードセルの構成を中心に説明するとともに、上記と同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0047】
図17は、第3実施形態における吸引車60の左側面図であり、図18は、図17の部分拡大図である。これらの図に示すように、第3実施形態の吸引車60においては、レシーバタンク7に固定されるタンクフレーム9と延設サブフレーム53との間に、前方ロードセル61および後方ロードセル62が介在している。この第3実施形態では、レシーバタンク7の収容物の重量を計測するための前方ロードセル61および後方ロードセル62が、従来周知のバー型の剪断型ロードセルによって構成されている。前方ロードセル61および後方ロードセル62の構成および取り付け構造は両者ともに同一であるため、以下では、前方ロードセル61を用いて説明する。
なお、この第3実施形態における延設サブフレーム53が、本発明のサブフレームに相当するものである。
【0048】
図19は、図18におけるF−F線の断面図、図20は、図18におけるG−G線の断面図である。図18および図19に示すように、第2タンクフレーム12には、取り付けブラケット63が固定されており、この取り付けブラケット63の下面にロードセル本体64が対面配置されている。ロードセル本体64は、シャシーフレーム2の長手方向に沿って所定の長さを有しており、その長手方向略中央に、上方に突出する荷重受け部65が設けられている。この荷重受け部65は、プレート66を介して第2タンクフレーム12に接触しており、レシーバタンク7の荷重が荷重受け部65に作用するようになっている。従来周知の構成であるため、詳細な説明は省略するが、荷重受け部65は、荷重に応じて高さ方向に撓む構成となっており、この撓み量を不図示の歪ゲージが検出することにより、剪断歪が検出されるようになっている。
【0049】
図20に示すように、ロードセル本体64は、ベースプレート67を介して延設サブフレーム53の上面に載置されている。そして、シャシーフレーム2、延設サブフレーム53、ベースプレート67およびロードセル本体64が、4本の締結ボルト68によって一体的に結合されている。したがって、この第3実施形態の吸引車60においては、延設サブフレーム53は、マウンティングブラケット23ではなく締結ボルト68によって、シャシーフレーム2に固定されることとなる。
ただし、この第3実施形態においても、上記第2実施形態と同様に、延設サブフレーム53は、車両の前方に延設される延設部53aを有しており、この延設部53a上に基台42を介してポンプユニット6が載置されている。この延設部53aにおいては、第2実施形態と同様に、マウンティングブラケット23によって延設サブフレーム53がシャシーフレーム2に固定されることとなる。
以上のように、この第3実施形態の吸引車60によっても、ポンプユニット6とレシーバタンク7とが、延設サブフレーム53によって一体となってシャシーフレーム2に固定されるので、第2実施形態と同様の効果を実現可能である。
【0050】
なお、上記各実施形態においては、ブラケット11を介して連結される第1タンクフレーム10および第2タンクフレーム12によってタンクフレーム9が構成されているが、本発明のタンクフレームは上記の構成に限らない。例えば、レシーバタンク7に直接固定される第1タンクフレーム10のみによって本発明のタンクフレームを構成するようにしても構わない。このとき、第1タンクフレーム10は、必ずしもシャシーフレーム2に対して起伏する必要はないが、仮にシャシーフレーム2に対して起伏可能な構成とする場合には、ロードセルによる重量検出に影響を与えないように、第1タンクフレーム10をシャシーフレーム2に対して起伏自在に連結すればよい。いずれにしても本発明のタンクフレームは、レシーバタンクに直接または間接的に固定されるものを広く含むものである。
【0051】
また、上記各実施形態においては、レシーバタンクに収容された収容物(回収対象)の重量を4つのロードセルによって検出することとしたが、ロードセルの数はこれに限らず、少なくとも1つのロードセルを有していればよい。例えば、上記各実施形態においては、車両の幅方向に左右一対のシャシーフレーム、サブフレームおよびロードセルが配備されているが、これらは必ずしも左右一対設ける必要はなく、車両の幅方向略中央に1つのみ設けるものであっても構わない。また、車両の前後方向に一対のロードセルが配備されているが、例えば、レシーバタンクの前後方向略中央に1つのみロードセルを配備することとしてもよい。
【0052】
なお、上記各実施形態におけるロードセルの構成や支持構造は一実施形態に過ぎず、本発明は、上記の構成や構造に限定されるものではない。いずれにしても、ロードセルを支持する1のフレームまたは複数の別体からなるフレームによってサブフレームが構成され、このサブフレームにポンプユニットが支持されるものを広く含むものである。
【符号の説明】
【0053】
1,50,60 吸引車
2 シャシーフレーム
6 ポンプユニット
7 レシーバタンク
9 タンクフレーム
10 第1タンクフレーム
12 第2タンクフレーム
14,61 前方ロードセル
15,62 後方ロードセル
20,51 サブフレーム
21,52 前方サブフレーム
22 後方サブフレーム
41,53a 延設部
53 延設サブフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプユニット、および、このポンプユニットの吸引力によって回収された回収対象を収容可能なレシーバタンクがシャシーフレーム上に載置された吸引車において、
前記シャシーフレームに固定されたサブフレームと、
前記レシーバタンクに固定されたタンクフレームと、
前記サブフレームにタンクフレームを連結支持させて、前記レシーバタンクに回収された回収対象の重量を検出可能なロードセルと、を備え、
前記サブフレームは、
前記シャシーフレームに沿って前記レシーバタンクよりも車両前方に延設された延設部を有するとともに、この延設部を介して前記ポンプユニットが前記シャシーフレームに固定されてなることを特徴とする吸引車。
【請求項2】
前記ロードセルは、
車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、
前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルが支持されてなることを特徴とする請求項1記載の吸引車。
【請求項3】
前記ロードセルは、
車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、
前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルおよび後方ロードセルの双方が支持されてなることを特徴とする請求項1記載の吸引車。
【請求項4】
前記サブフレームおよびタンクフレームは互いにオーバーラップして設けられ、
前記サブフレームおよびタンクフレームの双方には、それぞれ前記ロードセルを支持する保持部が車両の幅方向に対向して設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸引車。
【請求項5】
前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方は高さ方向に開口が形成されるとともに、この開口から前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方が進入して両者がオーバーラップしてなることを特徴とする請求項4記載の吸引車。
【請求項6】
前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方には、一対の第1保持部が車両の幅方向に対向配置されるとともに、
前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方には、車両の幅方向に貫通する孔からなる第2保持部が前記第1保持部に対向配置され、
前記ロードセルは、
長手方向に所定の間隔で設けられた一対の第1支持部が前記第1保持部に支持されるとともに、前記一対の第1支持部間に設けられた第2支持部が前記第2保持部に支持されてなることを特徴とする請求項5記載の吸引車。
【請求項7】
前記第1保持部は、前記ロードセルの第1支持部を挿入して支持可能な孔によって構成されてなることを特徴とする請求項6に記載の吸引車。
【請求項8】
前記サブフレームは、
前記タンクフレームにオーバーラップするとともに前記ロードセルを支持する第1サブフレームと、
前記第1サブフレームとシャシーフレームとの間に介在するとともに、当該第1サブフレームの固定位置よりも車両前方に前記延設部を有する第2サブフレームと、からなることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の吸引車。
【請求項1】
ポンプユニット、および、このポンプユニットの吸引力によって回収された回収対象を収容可能なレシーバタンクがシャシーフレーム上に載置された吸引車において、
前記シャシーフレームに固定されたサブフレームと、
前記レシーバタンクに固定されたタンクフレームと、
前記サブフレームにタンクフレームを連結支持させて、前記レシーバタンクに回収された回収対象の重量を検出可能なロードセルと、を備え、
前記サブフレームは、
前記シャシーフレームに沿って前記レシーバタンクよりも車両前方に延設された延設部を有するとともに、この延設部を介して前記ポンプユニットが前記シャシーフレームに固定されてなることを特徴とする吸引車。
【請求項2】
前記ロードセルは、
車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、
前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルが支持されてなることを特徴とする請求項1記載の吸引車。
【請求項3】
前記ロードセルは、
車両の前方側に位置する前方ロードセルと、この前方ロードセルよりも車両の後方に位置する後方ロードセルとによって構成され、
前記延設部にポンプユニットが固定されるサブフレームには、前記前方ロードセルおよび後方ロードセルの双方が支持されてなることを特徴とする請求項1記載の吸引車。
【請求項4】
前記サブフレームおよびタンクフレームは互いにオーバーラップして設けられ、
前記サブフレームおよびタンクフレームの双方には、それぞれ前記ロードセルを支持する保持部が車両の幅方向に対向して設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸引車。
【請求項5】
前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方は高さ方向に開口が形成されるとともに、この開口から前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方が進入して両者がオーバーラップしてなることを特徴とする請求項4記載の吸引車。
【請求項6】
前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか一方には、一対の第1保持部が車両の幅方向に対向配置されるとともに、
前記サブフレームまたはタンクフレームのいずれか他方には、車両の幅方向に貫通する孔からなる第2保持部が前記第1保持部に対向配置され、
前記ロードセルは、
長手方向に所定の間隔で設けられた一対の第1支持部が前記第1保持部に支持されるとともに、前記一対の第1支持部間に設けられた第2支持部が前記第2保持部に支持されてなることを特徴とする請求項5記載の吸引車。
【請求項7】
前記第1保持部は、前記ロードセルの第1支持部を挿入して支持可能な孔によって構成されてなることを特徴とする請求項6に記載の吸引車。
【請求項8】
前記サブフレームは、
前記タンクフレームにオーバーラップするとともに前記ロードセルを支持する第1サブフレームと、
前記第1サブフレームとシャシーフレームとの間に介在するとともに、当該第1サブフレームの固定位置よりも車両前方に前記延設部を有する第2サブフレームと、からなることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の吸引車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−37430(P2012−37430A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178949(P2010−178949)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
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