説明

吸気構造及びそれを用いた投写型映像表示装置並びに電子機器

【課題】 吸気口とフィルタの間にシールド部材を配置してもフィルタ性能を向上することができる吸気構造及びそれを用いた投写型映像表示装置並びに電子機器を提供する。
【解決手段】 フィルタ着脱用の開閉蓋6を有する吸気口19に電磁波を遮蔽するシールド部材20を装着してからフィルタ21を装着すると共に、フィルタ21と開閉蓋6の少なくとも一方に、開閉蓋6を閉じたときにフィルタ21をシールド部材20を介して吸気口19に弾性的に押さえ付ける弾性係合部材(弾性片25,押さえ突起26)を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、吸気構造及びそれを用いた液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投写型映像表示装置に限らず、各種の電子機器には、内部の発熱部品を冷却するための冷却ファンが必要である。また、塵や埃の侵入を嫌う機器の冷却空気の吸気口にはフィルタが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には記載されていないが、一般的に、フィルタが装着される吸気口にフィルタ着脱用の開閉扉や開閉蓋等の開閉部材を設けた構造で、さらに吸気口に電磁波の不要輻射を遮蔽するシールド部材を装着する場合、シールド部材をフィルタと開閉部材の間に挿入すると、フィルタ着脱の際に邪魔になるうえ、吸気口周りの他のシールド部材と接触を保つことが困難になるため、シールド部材は吸気口とフィルタの間に配置する必要がある。
【特許文献1】特開2006−267151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、吸気口とフィルタの間にシールド部材を配置する場合には、吸気口とフィルタの間に部品が一つ増えることになり、フィルタと吸気口の間に隙間が生じるため、フィルタ性能が低下する問題があった。
【0005】
そこで、本願発明はこのような課題を解決するためになされたもので、吸気口とフィルタの間にシールド部材を配置してもフィルタ性能を向上することができる吸気構造及びそれを用いた投写型映像表示装置並びに電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような目的を達成するために、本願発明の請求項1に係る吸気構造は、フィルタ着脱用の開閉部材を有する吸気口に電磁波を遮蔽するシールド部材を装着してから前記フィルタを装着すると共に、前記フィルタと前記開閉部材の少なくとも一方に、前記開閉部材を閉じたときに前記フィルタを前記シールド部材を介して前記吸気口に弾性的に押さえ付ける弾性係合部材を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る吸気構造は、請求項1記載の吸気構造において、前記弾性係合部材は、前記フィルタの枠体の両端側に形成された弾性片と、当該弾性片に対応して前記開閉部材の両側に前記弾性片に向かって突出した状態に形成された押さえ突起とから成ることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に係る吸気構造は、請求項1又は請求項2記載の吸気構造において、前記開閉部材とシールド部材のそれぞれに、前記吸気口の内側に配置された冷却ファンと一直線上に配置されないように吸気口をずらして形成すると共に、前記開閉部材とシールド部材間に、フィルタ濾材が襞折りされて成るプリーツ型フィルタをその折り溝が前記開閉部材の吸気口とシールド部材の吸気口間を繋ぐ方向と平行になるように形成して配置したことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る吸気構造は、請求項3記載の吸気構造において、前記開閉部材の吸気口とシールド部材の吸気口を上下にずらして形成したことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に係る吸気構造は、請求項4記載の吸気構造において、前記シールド部材の吸気口が上側で前記開閉部材の吸気口が下側に位置するように形成したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に係る投写型映像表示装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の吸気構造を備えて発熱部品を冷却すると共に、光源ランプから照射された光を映像信号に基づき変調し、変調された映像光を拡大投写することを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に係る電子機器は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の吸気構造を備えて発熱部品を冷却することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の請求項1記載の吸気構造によれば、フィルタと開閉部材の少なくとも一方に、開閉部材を閉じたときにフィルタをシールド部材を介して吸気口に弾性的に押さえ付ける弾性係合部材を備えたことにより、吸気口とシールド部材とフィルタを密着させることができるので、吸気口とフィルタの間にシールド部材を配置してもフィルタ性能を向上することができる。
【0014】
請求項2記載の吸気構造によれば、弾性係合部材は、フィルタの枠体の両端側に形成された弾性片と、当該弾性片に対応して開閉部材の両側に前記弾性片に向かって突出した状態に形成された押さえ突起とから成るものであるから、比較簡単な構成で安価にフィルタ性能を向上することができる。
【0015】
請求項3記載の吸気構造によれば、吸気口をずらして形成した開閉部材とシールド部材間に、プリーツ型フィルタをその折り溝が開閉部材の吸気口とシールド部材の吸気口間を繋ぐ方向と平行になるように形成して配置したことにより、プリーツ型フィルタの折り溝が吸気流路となって別途吸気流路のスペースを確保する必要がないので、吸気口から冷却ファンの駆動音が外部に漏れるのを抑制することができると共に、フィルタの厚み分のスペースで済んで大型化を防ぐことができる。
【0016】
請求項4記載の吸気構造によれば、開閉部材の吸気口とシールド部材の吸気口を上下にずらして形成したことにより、吸気口から冷却ファンの駆動音が僅かに漏れても、漏れた駆動音は上方又は下方に向かうので、利用者への影響は少なくなる。
【0017】
請求項5記載の吸気構造によれば、シールド部材の吸気口が上側で開閉部材の吸気口が下側に位置するように形成したことにより、吸気口から冷却ファンの駆動音が僅かに漏れても、漏れた駆動音は下方に向かうので、一般的な設置形態での利用者への影響が特に少なくなる。
【0018】
請求項6記載の投写型映像表示装置によれば、上記のような吸気構造を採用したことにより、塵埃の侵入を最も嫌う光学系を有しているので、フィルタ性能を向上することができて特に有効である。
【0019】
請求項7記載の電子機器によれば、上記のような吸気構造を採用することにより、電子部品も塵埃の侵入を嫌うので、フィルタ性能を向上することができて有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本願発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1〜図3は、本願発明の一実施形態である液晶プロジェクタの全体構成を示す斜視図で、図1は背面側斜め上方から見た外観斜視図、図2は同じくその上ケースや制御基板等を取り外して見た斜視図、図3は同じくその光学系を取り外して見た斜視図である。
【0022】
図1に示すように、この液晶プロジェクタ1の外郭を成す本体ケース2は、やや横長の箱形形状を成し、上ケース2aの上面中央部には、操作表示部3が設けられている。
【0023】
また、背面側の左下側には冷却用の吸気口4が形成され、その上方には、映像や音声等の各種入出力ケーブルを接続するための入出力端子群などを露出させたAVパネル5が設けられている。上記吸気口4は、スリット状の多数の通気孔が開閉可能な蓋(開閉部材)6に形成されて成り、この開閉蓋6を開けることにより後述するフィルタが着脱可能になっている。
【0024】
一方、背面側から見て右側面には、スリット状の多数の通気孔から成る排気口7が上ケース2aから下ケース2bにわたって形成されている。
【0025】
また、図2に示すように、前面側には投写レンズ8が露出している。本体ケース2(下ケース2b)の内部には、前方から見て左側奥部に光源ランプユニット9が配置されていると共に、この光源ランプユニット9から前記投写レンズ3に至る光学系10が略L字状に配置されている。
【0026】
上記投写レンズ8の排気口7側には電源ユニット11が配置されている。この電源ユニット11と排気口7間には、排気ファンとして電源周り冷却用の軸流ファン(プロペラファン)12が内蔵されている。また、排気ファンとしては、上記軸流ファン12と並設されると共に光源ランプユニット9に隣接してランプ周り冷却用の軸流ファン(プロペラファン)13が内蔵されている。さらに、光源ランプユニット9は、超高圧水銀ランプ等から成ってかなりの高温になるので、別途ランプ冷却専用の遠心ファン(シロッコファン)14が備えられている。
【0027】
一方、図3に示すように、吸気口4の内側には、RGB(赤色,緑色,青色)各色毎の液晶パネルと偏光板や偏光ビームスプリッタ等を冷却するための吸気ファンとして2台の遠心ファン(シロッコファン)15,15が内蔵されており、これらの遠心ファン15からの冷却風が吐出側ダクト16を介して吹出口17から液晶パネルと偏光板や偏光ビームスプリッタ等の光学部品に送風されて、これらが冷却されるようになっている。
【0028】
図4,図5は本実施形態の吸気構造を示す図で、図4(a)は吸気口部分の分解斜視図、図4(b)は開閉蓋とフィルタの関係を裏側から見た斜視図、図5は吸気口部分の要部縦断面図である。
【0029】
本実施形態においては、前述した遠心ファン15における吸入側ダクト18の吸気口19にフィルタ着脱用の開閉蓋6を有しており、電磁波を遮蔽するシールド部材20をフィルタ21と開閉蓋6の間に挿入すると、フィルタ着脱の際に邪魔になるうえ、吸気口19周りの他のシールド部材と接触を保つことが困難になるため、吸気口19にシールド部材20を装着してからフィルタ21を装着するようになっている。
【0030】
外壁となる開閉蓋6と内壁となるシールド部材20のそれぞれには、図5に示すように、吸気口19の内側に配置されている遠心ファン15と一直線上に配置されないように、多数の通気孔から成る吸気口4,22がずらして形成されている。具体的には、開閉蓋6の吸気口4とシールド部材20の吸気口22を上下にずらして、シールド部材20の吸気口22が上側で、開閉蓋6の吸気口4が下側に位置するように形成されている。これにより、遠心ファン15から発せられて吸入側ダクト18の吸気口19から漏れ出ようとする駆動音は、破線の矢印で示すように、シールド部材20又は開閉蓋6の吸気口非形成部分で遮断されるので、開閉蓋6の吸気口4から装置外へ駆動音が直接漏れるのを防ぐことができる。
【0031】
さらに、開閉蓋6とシールド部材20間には、フィルタ濾材23が襞折りされて成るプリーツ型フィルタ21をその折り溝が開閉蓋6の吸気口4とシールド部材20の吸気口22間を繋ぐ方向と平行,すなわち本実施形態では上下方向になるように形成して配置されるようになっている。
【0032】
なお、本実施形態においては、プリーツ型フィルタ21の折り溝が上下方向を向くようにしたが、開閉蓋6の吸気口4とシールド部材20の吸気口22を左右方向(横方向)にずらして形成する場合は、プリーツ型フィルタ21の折り溝も左右方向を向くようにする必要がある。
【0033】
また、図4に示すように、フィルタ濾材(図示せず)が襞折りされて成るプリーツ型フィルタ21の枠体24の両端側面には、開閉蓋6方向に向かって延びると共に先端側がやや外側に向けられた弾性片25が形成されている。一方、上記弾性片25に対応した開閉蓋6の内面両側には、弾性片25に向かって突出した状態に形成された押さえ突起26が形成されており、開閉蓋6を閉じたときに押さえ突起26がフィルタ枠体24の弾性片25の内側に係合摺接して、フィルタ21をシールド部材20を介して吸気口19に弾性的に押さえ付けるように構成されている。
【0034】
なお、本実施形態においては、上述したようにフィルタ21の枠体24側に弾性片25を形成し、開閉蓋6側に押さえ突起26を形成したが、逆にフィルタ21の枠体24側に突起を形成し、開閉蓋6側に弾性部材を形成しても良い。さらには、フィルタ21の枠体24と開閉蓋6のいずれか一方のみに他方に弾性的に当接する弾性部材を設けても良い。要は、フィルタ21と開閉蓋6の少なくとも一方に、開閉蓋6を閉じたときにフィルタ21をシールド部材20を介して吸気口19に弾性的に押さえ付ける弾性係合部材を備えれば良い。
【0035】
図6(a)は、本実施形態の冷却ファン取付構造の要部を示す斜視図、図6(b)はその要部縦断面図である。
【0036】
本実施形態においては、上述した吸気口19の内側に配置される冷却ファンとしての遠心ファン15が、本体ケース2の下ケース2bを遠心ファン支持部材27とし、遠心ファン15の吸入口15a側のダクト(吸入側ダクト)18を遠心ファンカバー部材28とした取付部29に取り付けられている。
【0037】
上記遠心ファン15は、そのケーシング15bの外周面に突設された一対の位置決め固定部15c,15cが、これらに対応して遠心ファン支持部材27から突設された位置決め固定部27c,27cにネジ等により固定されて上記取付部29に位置決め固定されるようになっている。
【0038】
そして、下方の遠心ファン支持部材27と上方の遠心ファンカバー部材28の双方から遠心ファン15に向けて、その位置決め固定部15cよりも遠心ファン15の羽根側で、遠心ファン15の中心部に対して対称にそれぞれ一対の支持突起27a,28aが突設されている。また、下側と上側の支持突起27a,28aはそれぞれ同軸上に配置されている。本実施形態では、遠心ファン15のケーシング15bのうち大きな強度が得られる外周縁に対応して上記支持突起27a,28aを形成している。
【0039】
さらに、上記各支持突起27a,28aの先端面には、合成ゴム等から成るリング状の弾性部材30が接着剤等により貼り付けられるようになっている。すなわち、遠心ファン15は、先端面に弾性部材30が貼り付けられた上下の支持突起28a,27aで挟み込まれるようにして弾性的に支持されるように構成されている。
【0040】
なお、図6では、吸気口19の内側に配置される2台の遠心ファン15,15の一方のみを示したが、他方も同様に構成されている。
【0041】
本実施形態の液晶プロジェクタ1は以上のように構成されて、図2に示した光源ランプユニット9から照射された光を光学系10を介してRGBの3色に分離すると共に、各色毎の液晶パネルで映像信号に基づき変調し、変調された映像光を合成して、投写レンズ8を介してスクリーン上に拡大投写するようになっている。
【0042】
上記光学系10を構成する各色毎の液晶パネルと偏光板や偏光ビームスプリッタ等の光学部品は、図3に示したように吸気口4の内側に内蔵された2台の遠心ファン15,15からの冷却風が吐出側ダクト16を介して、上記光学部品の下側に形成された吹出口17から吹き付けられて冷却される。
【0043】
また、光源ランプユニット9は、図2に示したランプ冷却専用の遠心ファン14からの吐出風が吹き付けれて冷却されると共に、温度が上昇したランプ周りの空気が軸流ファン13により吸い込まれて排気口7から装置外に排出されることにより冷却される。
【0044】
一方、電源ユニット11は、温度が上昇した内部や周囲の空気が軸流ファン12により吸い込まれて排気口7から装置外に排出されると共に、当該軸流ファン12の吸引によって電源ユニット11の内部や外表面に生じる空気流によって冷却される。
【0045】
また、本実施形態の吸気構造によれば、フィルタ21と開閉蓋6の少なくとも一方に、開閉蓋6を閉じたときにフィルタ21をシールド部材20を介して吸気口19に弾性的に押さえ付ける弾性係合部材を備えたことにより、吸気口19とシールド部材20とフィルタ21を密着させることができるので、吸気口19とフィルタ21の間にシールド部材20を配置してもフィルタ性能を向上することができる。
【0046】
さらに、上記弾性係合部材を、フィルタ21の枠体24の両端側面に形成された弾性片25と、当該弾性片25に対応した開閉蓋6の内面両側に弾性片25に向かって突出した状態に形成された押さえ突起26とから構成したことにより、比較簡単な構成で安価にフィルタ性能を向上することができる。
【0047】
また、吸気口4,22をずらして形成した開閉蓋6とシールド部材20間に、プリーツ型フィルタ21をその折り溝が開閉蓋6の吸気口4とシールド部材20の吸気口22間を繋ぐ方向と平行になるように形成して配置したことにより、プリーツ型フィルタ21の折り溝が吸気流路となって別途吸気流路のスペースを確保する必要がないので、吸気口4から遠心ファン15の駆動音が装置外へ直接漏れるのを防ぐことができると共に、フィルタ21の厚み分のスペースだけで済んで、装置が大型化するのを防ぐことができる。
【0048】
さらに、開閉蓋6の吸気口4とシールド部材20の吸気口22を上下にずらして、シールド部材20の吸気口22が上側で開閉蓋6の吸気口4が下側に位置するように形成したことにより、吸気口4から遠心ファン15の駆動音が僅かに漏れても、漏れた駆動音は下方に向かうので、一般的な床設置形態での利用者への影響が特に少なくなる。
【0049】
そして、本実施形態の液晶プロジェクタ1のような投写型映像表示装置に上記のような吸気構造を採用したことにより、吸気口4から遠心ファン15の駆動音が漏れるのを抑制することができると共に、フィルタ21の厚み分のスペースで済むので、より静かな環境で映像を鑑賞できると共に、装置が大型化するのを防ぐことができ、また、塵埃の侵入を最も嫌う光学系を有しているので、フィルタ性能を向上することができて、特に有効である。
【0050】
また、従来よりファン外周を覆うような防振ファンカバーはあるが、このような防振ファンカバーでは外周側に吐出口がない軸流ファンでも特殊な形状の弾性部材が必要でコスト高となる。これに対して、本実施形態の冷却ファン(遠心ファン)取付構造によれば、支持突起27a,28aの先端面に貼り付ける簡単な弾性部材30で済むので、特殊な形状の弾性部材を必要とせずに、遠心ファン15の振動が本体ケース2へ伝播して騒音となるのを抑制する構造を安価に実現できる。さらに、遠心ファン15の固定部15c以外で、固定部15cよりも大きな振動が発生する羽根側を弾性部材30を介して支持することで、固定部15cに弾性部材を備えるよりも大きな制振効果を得ることができる。
【0051】
また、ファン外周を覆う従来の防振ファンカバーを本実施形態のように外周側に吐出口がある遠心ファン15に適用する場合には、軸流ファンと比べてさらに複雑な形状が必要になるので、より効果的である。
【0052】
また、各支持突起27a,27a及び28a,28aは遠心ファン15の中心部に対して対称に配置されているので、安定した状態で支持しながら大きな制振効果を得ることができる。
【0053】
さらに、下側と上側の支持突起27a,28aは同軸上に配置されているので、両面側から安定した状態で支持しながら大きな制振効果を得ることができる。
【0054】
また、遠心ファンカバー部材28に遠心ファン15の吸入側ダクト18を用いたことにより、吸入側ダクト18を有効利用して安価に実現できる。
【0055】
さらに、遠心ファン支持部材27に遠心ファン15が収納される本体ケース2の下ケース2bを用いたことにより、本体ケース2の下ケース2bを有効利用して安価に実現できる。
【0056】
また、本実施形態の液晶プロジェクタ1のような投写型映像表示装置に上記のような冷却ファン(遠心ファン)取付構造を採用したことにより、遠心ファン15の振動が本体ケース2に伝播して騒音が大きくなるのを安価に且つ効果的に防ぐことができるので、より静かな環境で映像を鑑賞できて、特に有効である。
【0057】
なお、上記実施形態では、投写型映像表示装置として光変調素子に液晶パネルを用いた液晶プロジェクタを示したが、他の映像光生成系を備える投写型映像表示装置においても本願発明を適用することができる。すなわち、DLP(Digital Light Processing;テキサス・インスツルメンツ(TI)社の登録商標)方式等のプロジェクタにおいても本願発明を適用することができる。また、前面投写型の他、背面投写型映像表示装置においても本願発明を適用することができる。
【0058】
また、投写型映像表示装置に限らず、一般的な電子機器においても、上記のような吸気構造や冷却ファン取付構造を採用することにより、吸気口から冷却ファンの駆動音が漏れるのを抑制することができると共に、フィルタの厚み分のスペースで済むので機器の大型化を防ぐことができ、また、フィルタ性能を向上することができ、さらには冷却ファンの振動が機器本体に伝播して騒音が大きくなるのを安価に且つ効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本願発明の一実施形態としての液晶プロジェクタの全体構成を示す斜視図で、背面側斜め上方から見た外観斜視図。
【図2】同じくその上ケースや制御基板等を取り外して見た斜視図。
【図3】同じくその光学系を取り外して見た斜視図。
【図4】本実施形態の吸気構造を示す図で、(a)は吸気口部分の分解斜視図、(b)は開閉蓋とフィルタの関係を裏側から見た斜視図。
【図5】同じく吸気口部分の要部縦断面図。
【図6】本実施形態の冷却ファン取付構造を示す図で、(a)はその要部を示す斜視図、(b)はその要部縦断面図。
【符号の説明】
【0060】
1 液晶プロジェクタ
2 本体ケース
2a 上ケース
2b 下ケース
4 吸気口
6 開閉蓋
7 排気口
8 投写レンズ
9 光源ランプユニット
10 光学系
11 電源ユニット
12,13 軸流ファン
14,15 遠心ファン
15a 吸入口
15b ケーシング
15c 位置決め固定部
16 吐出側ダクト
17 吹出口
18 吸入側ダクト
19 吸気口
20 シールド部材
21 フィルタ
22 吸気口
23 フィルタ濾材
24 フィルタ枠体
25 弾性片
26 押さえ突起
27 遠心ファン支持部材
27a 支持突起
27c 位置決め固定部
28 遠心ファンカバー部材
28a 支持突起
29 取付部
30 弾性部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ着脱用の開閉部材を有する吸気口に電磁波を遮蔽するシールド部材を装着してから前記フィルタを装着すると共に、前記フィルタと前記開閉部材の少なくとも一方に、前記開閉部材を閉じたときに前記フィルタを前記シールド部材を介して前記吸気口に弾性的に押さえ付ける弾性係合部材を備えたことを特徴とする吸気構造。
【請求項2】
前記弾性係合部材は、前記フィルタの枠体の両端側に形成された弾性片と、当該弾性片に対応して前記開閉部材の両側に前記弾性片に向かって突出した状態に形成された押さえ突起とから成ることを特徴とする請求項1記載の吸気構造。
【請求項3】
前記開閉部材とシールド部材のそれぞれに、前記吸気口の内側に配置された冷却ファンと一直線上に配置されないように吸気口をずらして形成すると共に、前記開閉部材とシールド部材間に、フィルタ濾材が襞折りされて成るプリーツ型フィルタをその折り溝が前記開閉部材の吸気口とシールド部材の吸気口間を繋ぐ方向と平行になるように形成して配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の吸気構造。
【請求項4】
前記開閉部材の吸気口とシールド部材の吸気口を上下にずらして形成したことを特徴とする請求項3記載の吸気構造。
【請求項5】
前記シールド部材の吸気口が上側で前記開閉部材の吸気口が下側に位置するように形成したことを特徴とする請求項4記載の吸気構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の吸気構造を備えて発熱部品を冷却すると共に、光源ランプから照射された光を映像信号に基づき変調し、変調された映像光を拡大投写することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の吸気構造を備えて発熱部品を冷却することを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−54643(P2009−54643A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217418(P2007−217418)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】