説明

吸水性を有する生分解性架橋ポリマー及びその製造方法

【課題】 使用後土壌中に放置すれば十分に生分解される吸水性の生分解性架橋ポリマーを提供する。
【解決手段】 該ポリマーを、(A)環状ケテンアセタール類と(B)親水・架橋性モノマーの共重合体及び(A)環状ケテンアセタール類と(B´)架橋性モノマーと(C)親水性モノマーの共重合体の一方又は両方からなるものとする。このものは、これら所定アセタール類と所定モノマーをラジカル重合開始剤の存在下で共重合させることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性とともに吸水性も兼ね備えた生分解性架橋ポリマーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、高吸水性ポリマーゲルとしては、ポリアクリル酸や、γ線をアミノ酸に照射して生成されるポリアミノ酸が知られているが、これらは生分解を受けにくかったり、生分解を受けても完全には生分解されないという問題があった。
【0003】
そこで、本発明者らは、先に完全に分解される生分解性架橋ポリマーゲルを提案した(特許文献1、非特許文献1参照)。しかし、このポリマーゲルは吸水性が十分ではなかった。
【0004】
【特許文献1】特許第3049321号(特許請求の範囲その他)
【非特許文献1】「ジャーナル オブ マテリアルズ サイエンス レターズ(Journal of Materials Science Letters)」、(アメリカ)2002年、第1巻、p.1875−1876
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、このような事情の下、使用後土壌中に放置すれば十分に生分解される吸水性の生分解性架橋ポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記した好ましい特性を有する生分解性架橋ポリマーを開発するために種々研究を重ねた結果、特定のモノマーと親水・架橋性モノマーとを共重合させるか、特定のモノマーと架橋性モノマーと親水性モノマーを共重合させることにより得られる架橋ポリマーが課題解決に資することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)(A)環状ケテンアセタール類と(B)親水・架橋性モノマーの共重合体及び(A)環状ケテンアセタール類と(B´)架橋性モノマーと(C)親水性モノマーの共重合体の一方又は両方からなる吸水性を有する生分解性架橋ポリマー。
(2)環状ケテンアセタール類が2‐メチレン‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐1,3‐ジオキセパン、2‐メチレン‐1,3‐ジオキサン、2‐メチレン‐4,8‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐4,7‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐5,7‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカンである前記(1)記載の生分解性架橋ポリマー。
(3)親水・架橋性モノマーがα,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸の多価アミンとのポリアミド化物、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のポリエチレングリコールとのポリエステル化物、グリシジルエステル系架橋性モノマー、多親水性官能基含有アジリジン系架橋性モノマー、多エポキシ系架橋性モノマーである前記(1)又は(2)記載の生分解性架橋ポリマー。
(4)架橋性モノマーが少なくとも2個のビニル性不飽和基を有する前記(1)、(2)又は(3)記載の生分解性架橋ポリマー。
(5)少なくとも2個のビニル性不飽和基を有する架橋性モノマーが、2価脂肪酸ジビニルエステル、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸の多価アルコールとのポリエステル化物である前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマー。
(6)親水性モノマーが、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のアミド、N‐置換アミド又はN,N‐ジ置換アミド、ビニルラクタム、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のアルキル第3級アミノアルキルエステル、ビニルピリジン、一般式
CH=C(R)CO−〔A−(O)−〕
〔式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Aはアルキレン基、mは0又は1、nは1〜4の整数を示す〕
で表されるアクリレート又はメタクリレートである前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマー。
(7)モノマー(A)の開環重合による構造単位とモノマー(B)単位又はモノマー(B)の開環構造単位の含有割合がモル比で100:5〜200の範囲であるか、或いはモノマー(A)の開環重合による構造単位とモノマー(B´)単位又はモノマー(B´)の開環構造単位とモノマー(C)単位の含有割合が1000:5〜500:50〜1500の範囲であり、重量平均分子量が1000〜10000000の範囲である前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマー。
(8)(A)環状ケテンアセタール類と(B)親水・架橋性モノマー、又は(A)環状ケテンアセタール類と(B´)架橋性モノマーと(C)親水性モノマーをラジカル重合開始剤の存在下で共重合させることを特徴とする前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマーの製造方法。
【0008】
本発明の生分解性架橋ポリマーは、所定モノマーの共重合体からなり、該共重合体は、モノマー(A)として環状ケテンアセタール類を、モノマー(B)として親水・架橋性モノマーを用い、これらを共重合好ましくはラジカル共重合させ、また、モノマー(B´)として架橋性モノマーを、モノマー(C)として親水性モノマーを用い、これらとモノマー(A)とを共重合好ましくはラジカル共重合させることにより得られ、環状ケテンアセタール類が開環重合され、架橋化されて3次元網状構造が形成され、しかも吸水性、好ましくは高吸水性を示すものである。
本発明の生分解性架橋ポリマーは、親水性モノマー及び架橋性モノマーにより電荷移動錯体を形成し、交互共重合体を生成するものであってもよい。
【0009】
環状ケテンアセタール類は特に制限されないが、好ましくは2‐メチレン‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐1,3‐ジオキセパン、2‐メチレン‐1,3‐ジオキサン、2‐メチレン‐4,8‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐4,7‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐5,7‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカン等が用いられる。
【0010】
親水・架橋性モノマーは、架橋性モノマーであって、かつそれを用いて共重合・架橋させて得られる生分解性架橋ポリマーに吸水性を付与しうるものであれば特に制限されないが、好ましくはα,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸の多価アミンとのポリアミド化物、例えばN,N´‐メチレン(ビスアクリルアミド)、N,N´‐メチレン(ビスメタクリルアミド)等や、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のポリエチレングリコールとのポリエステル化物、例えばポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等や、グリシジルエステル系架橋性モノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、ソルビン酸グリシジル、クロトン酸グリシジル等や、多親水性官能基含有アジリジン系架橋性モノマー、例えばトリメチロールプロパン‐トリス‐〔β‐(N‐アジリジニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール‐トリス‐〔β‐(N‐アジリジニル)プロピオネート〕、トリメチロールプロパン‐トリス‐〔β‐(N‐メチルアジリジニル)ピロピオネート〕等や、多エポキシ系架橋性モノマー、例えば2,3‐エポキシプロピル‐2´,3´‐エポキシ‐2´‐メチルプロピルエーテル、エチレングリコール‐2,3‐エポキシプロピル‐2´,3´‐エポキシ‐2´‐メチルプロピルエーテル、2‐メチル‐1,2,3,4‐ジエポキシブタン、2‐メチル‐1,2,4,5‐ジエポキシペンタン等が用いられる。
なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0011】
親水性モノマーと共に用いられる架橋性モノマーは、通常架橋ポリマーを形成させるのに用いられるものであれば特に制限されないが、好ましくは少なくとも2個のビニル性不飽和基を有する架橋性モノマー、中でも2価脂肪酸ジビニルエステル、例えばジビニルアジペート、ジビニルセバケート等や、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸の多価アルコールとのポリエステル化物、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3‐ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4‐ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等や、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ビニル性不飽和基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基等が好ましい。
【0012】
親水性モノマーは、それを用いて共重合させて得られる生分解性架橋ポリマーに吸水性を付与しうるものであれば特に制限されないが、好ましくはα,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のアミド、N‐置換アミド又はN,N‐ジ置換アミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、それらのN‐モノアルキル又はN,N‐ジアルキル誘導体(例えばN,N‐ジメチルアクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミド等)や、ビニルラクタム、例えばN‐ビニル‐2‐ピロリドン等や、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のアルキル第3級アミノアルキルエステルや、ビニルピリジン、例えば2‐ビニルピリジン、4‐ビニルピリジン等のような含窒素系親水性モノマーや、その他、α,β‐オレフィン性不飽和ジカルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸等や、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル又はアルコキシアルキルエステル、これらのエステル部分のアルキレン鎖にオキシアルキレン鎖が少なくとも1個付加されたアクリレートおよびメタクリレート、例えば次の一般式
CH=C(R)CO−〔A−(O)−〕
〔式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基又はエチル基)、Aはアルキレン基、mは0又は1、nは1〜4の整数(好ましくは2〜3)を示す〕
で表されるアクリレート又はメタクリレート等が挙げられる。
無水マレイン酸等のα,β‐オレフィン性不飽和ジカルボン酸無水物を用いる場合は、共重合後、酸無水物部を炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液で加水分解し、カルボン酸ナトリウム塩等のカルボン酸塩とするのが吸水性が高まるので好ましい。
【0013】
上記共重合体は、モノマー(A)の開環重合による構造単位(以下構造単位Iと称することもある)とモノマー(B)単位又はモノマー(B)の開環構造単位(以下構造単位IIと称することもある)からなるか、或いは構造単位Iとモノマー(B´)単位又はモノマー(B´)の開環構造単位(以下構造単位IIIと称することもある)とモノマー(C)単位からなるものである。
構造単位Iは、モノマー(A)すなわち環状ケテンアセタール類を一般式
【化1】

(式中、R、Rは互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭化水素基を示すか、或いはRとRとそれらが結合する炭素原子とで脂環式環を形成し、Aは酸素原子が1個又は2個以上介在していてもよい2価炭化水素基を示す)
で表すと、一般式
−(CRCO)−
(式中、R、R及びAは前記したと同じ意味を示す)
で表されるものである。
これらの式において、R、Rは共に水素原子であるのが好ましく、また、これらが炭化水素基を示す場合、炭化水素基として好ましくはアルキル基やシクロアルキル基が挙げられ、また、Aとして好ましくは酸素原子が1個又は2個以上介在していてもよいアルキレン基、中でも炭素数2ないし6のアルキレン基や一般式
−〔(CH−O〕−(CH
(式中、kは2又は3、jは1又は2を示す)
で表される2価連結基が挙げられる。
上記共重合体は、重量平均分子量が通常1000〜10000000、好ましくは10000〜500000の範囲であり、該共重合体において、上記構造単位やモノマー単位の含有割合については、構造単位Iとモノマー(B)単位又は構造単位IIの含有割合はモル比で通常100:5〜200、好ましくは100:20〜120の範囲、また、構造単位Iとモノマー(B´)単位又は構造単位IIIとモノマー(C)単位の含有割合はモル比で通常1000:5〜500:50〜1500、好ましくは100:1〜20:20〜100の範囲とするのがよい。
このモノマー(B)単位又は構造単位IIの含有割合が少なすぎると架橋度が低下して十分な三次元網目構造が形成されず、かつ吸水性が不十分となり、モノマー(B´)単位の含有割合が少なすぎると架橋度が低下して十分な三次元網目構造が形成されず、モノマー(C)単位の含有割合が少なすぎると吸水性が不十分となるし、また、これらのモノマー(B)単位又は構造単位IIの含有割合が多すぎると生分解性が不十分となる。
モノマー(B)単位又は構造単位IIやモノマー(B´)単位又は構造単位IIIやモノマー(C)単位の含有割合が多すぎると生分解性が不十分となる。
【0014】
本発明の生分解性架橋ポリマーは、所定モノマーの共重合体からなり、該共重合体は、モノマー(A)として環状ケテンアセタール類を、モノマー(B)として親水・架橋性モノマーを用い、これらを共重合させ、また、モノマー(B´)として架橋性モノマーを、モノマー(C)として親水性モノマーを用い、これらとモノマー(A)とを共重合させることにより得られる。モノマー(B´)の架橋性モノマーには、上記親水・架橋性モノマーを用いてもよい。
共重合は、加熱、光・放射線照射、カチオン触媒使用等の重合条件下での重合反応、例えば光重合反応や電子線重合反応等によっても行われるが、好ましくはラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合反応させることにより行われる。
ラジカル重合開始剤としては、従来公知のもの、例えば、2,2´‐アゾビスイソブチロニトリルや、ジ‐t‐ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、1,1‐ビス(t‐ブチルペルオキシ)3,3,5‐トリメチルシロキサン等の有機過酸化物等が用いられる。
重合反応は、10〜200℃、好ましくは40〜140℃で行われ、必要に応じ、不活性溶媒、例えば、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン等の炭化水素やハロゲン化炭化水素の存在下で行うこともできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の生分解性架橋ポリマーによれば、従来の吸水性ゲルでは、使用後、完全には分解されず、ゴミ問題として大きな環境問題を引き起こしてきたのに対し、使用後、土壌などの自然環境中で完全に分解され、従来の吸水性ゲルに見られるような公害問題を生ずることはなく、環境保全に優れるという顕著な効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
2‐メチレン‐1,3,6‐トリオキソカン(MTC)1.00g、N,N´‐メチレン(ビスアクリルアミド)(NMBA)0.296g、2,2´‐アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0252g、ジメチルホルムアミド2.81gをアンプル中で混合し、脱気封管した後、60℃で1時間加熱する。その後、開管し、エタノール中に投入し、エタノール不溶部0.493gを共重合体ゲル(重量平均分子量300000〜500000)として得た。得られたゲルの赤外吸収スペクトルでは、1740cm−1にエステル基の吸収が、1650cm−1にアミド基の吸収が見られた。
【実施例2】
【0018】
MTC1.3g、無水マレイン酸(MA)0.441g、ジビニルアジペート(DVA)0.10g、AIBN0.049g、クロロベンゼン8.44gをアンプル中で混合し、脱気封管した後、60℃で48時間加熱する。その後、エーテル中に投入し、共重合体ゲルとしてエーテル不溶部1.24gを得た。得られたゲル1.00gを水100mlに分散させ、0.01N/規定炭酸ナトリウムをpH7.0になるまで滴下した。得られたカルボン酸ナトリウム塩を、溶媒を水として一晩透析し、水を真空下除去し、カルボン酸ナトリウム塩ゲル0.08gを共重合体ゲル(重量平均分子量100000〜300000)として得た。得られたゲルの赤外吸収スペクトルでは、1735cm−1にエステル基の吸収が、1580cm−1、1400cm−1にカルボン酸陰イオンの吸収が見られた。
【実施例3】
【0019】
MTC1.0g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量100〜4000)(PEGDA)0.614g、AIBN0.025g、クロロベンゼン2.60gをアンプル中で混合し、脱気封管した後、60℃で48時間加熱する。その後エーテル中に投入し、エーテル不溶部0.85gを共重合体ゲル(重量平均分子量200000〜400000)として得た。得られたゲルの赤外吸収スペクトルでは、1735cm−1にエステル基、1100cm−1にエーテル基の吸収が見られた。
【実施例4】
【0020】
実施例1で得られたゲル0.058gを大過剰の生理食塩水に浸し、37℃で24時間、静置した。その結果、膨潤ゲル0.688gが得られた。
【実施例5】
【0021】
実施例2で得られたゲル0.018gを大過剰の生理食塩水に浸し、37℃で24時間、静置した。その結果、膨潤ゲル0.145gが得られた。
【実施例6】
【0022】
実施例3で得られたゲル0.09gを大過剰の生理食塩水に浸し、37℃で24時間、静置した。その結果、膨潤ゲル0.32gが得られた。
【実施例7】
【0023】
実施例1、2、3で得られた共重合体ゲルの生分解性を酵素分解法で評価した。すなわち、精製された共重合体ゲル20mgをリン酸緩衝液(pH7.0)1mlに投入して懸濁し、リパーゼ(リゾープス・アルフィズス、13330ユニット)を加え24時間振とうした後、孔径0.2μmのフィルターでろ過したものについての可溶性有機物をTOC−5000(商品名、嶋津製作所社製、全有機炭素量測定装置)を用いて測定した。対照実験として酵素を含まない場合について同様の操作を行った。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の生分解性架橋ポリマーの用途は特に限定されず、従来の吸水性樹脂が通常用いられる各種用途のいずれにも使用できる。このような用途としては、例えば、生理用品、紙おむつ、母乳パット、使い捨て雑巾等の衛生用品、創傷保護用ドレッシング材、医療用アンダーパット、パップ剤等の医療用品、ペット用シート、携帯用トイレ、ゲル芳香剤、ゲル消臭剤、吸汗性繊維、使い捨てカイロ等の生活用品、シャンプー、セット用ジェル剤、保湿剤等のトイレタリー用品、農・園芸用の保水材、切り花の延命剤、フローラルフォーム(切り花の固定化材)、育苗用苗床、水耕栽培、植生シート、種子テープ、流体播種、結露防止用農業用シート等の農・園芸用品、食品トレー用鮮度保持材、ドリップ吸水性シート等の食品包装材、保冷材、生鮮野菜運搬用吸水性シート等の運搬用資材、結露防止用建築材料、土木・建築用のシーリング材、シールド工法の逸泥防止剤、コンクリート緩和剤、ガスケット・パッキング等の土木建築資材、光ファイバー等の電子機器のシール材、通信ケーブル用止水材、インジェット用記録紙等の電気機器関連資材、汚泥の凝固材、ガソリン、油類の脱水、水分除去剤等の水処理剤、捺染用のり、水膨潤性玩具、人工雪、徐放性肥料、徐放性農薬、徐放性薬剤、湿度調整材、帯電防止剤、プラスチック用可塑剤等が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)環状ケテンアセタール類と(B)親水・架橋性モノマーの共重合体及び(A)環状ケテンアセタール類と(B´)架橋性モノマーと(C)親水性モノマーの共重合体の一方又は両方からなる吸水性を有する生分解性架橋ポリマー。
【請求項2】
環状ケテンアセタール類が2‐メチレン‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐1,3‐ジオキセパン、2‐メチレン‐1,3‐ジオキサン、2‐メチレン‐4,8‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐4,7‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカン、2‐メチレン‐5,7‐ジメチル‐1,3,6‐トリオキソカンである請求項1記載の生分解性架橋ポリマー。
【請求項3】
親水・架橋性モノマーがα,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸の多価アミンとのポリアミド化物、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のポリエチレングリコールとのポリエステル化物、グリシジルエステル系架橋性モノマー、多親水性官能基含有アジリジン系架橋性モノマー、多エポキシ系架橋性モノマーである請求項1又は2記載の生分解性架橋ポリマー。
【請求項4】
架橋性モノマーが少なくとも2個のビニル性不飽和基を有する請求項1、2又は3記載の生分解性架橋ポリマー。
【請求項5】
少なくとも2個のビニル性不飽和基を有する架橋性モノマーが、2価脂肪酸ジビニルエステル、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸の多価アルコールとのポリエステル化物である請求項1ないし4のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマー。
【請求項6】
親水性モノマーがα,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のアミド、N‐置換アミド又はN,N‐ジ置換アミド、ビニルラクタム、α,β‐オレフィン性不飽和カルボン酸のアルキル第3級アミノアルキルエステル、ビニルピリジン、一般式
CH=C(R)CO−〔A−(O)−〕
〔式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、Aはアルキレン基、mは0又は1、nは1〜4の整数を示す〕
で表されるアクリレート又はメタクリレートである請求項1ないし5のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマー。
【請求項7】
モノマー(A)の開環重合による構造単位とモノマー(B)単位又はモノマー(B)の開環構造単位の含有割合がモル比で100:5〜200の範囲であるか、或いはモノマー(A)の開環重合による構造単位とモノマー(B´)単位又はモノマー(B´)の開環構造単位とモノマー(C)単位の含有割合が1000:5〜500:50〜1500の範囲であり、重量平均分子量が1000〜10000000の範囲である請求項1ないし6のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマー。
【請求項8】
(A)環状ケテンアセタール類と(B)親水・架橋性モノマー、又は(A)環状ケテンアセタール類と(B´)架橋性モノマーと(C)親水性モノマーをラジカル重合開始剤の存在下で共重合させることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の生分解性架橋ポリマーの製造方法。

【公開番号】特開2006−232890(P2006−232890A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45934(P2005−45934)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】