説明

吸湿呼吸器

【課題】シリカゲルの交換に要する手間や人件費を削減する。
【解決手段】吸湿呼吸器本体に対し、空気の流出入を必要とする電気機器の空気流出入口と連通する第1の空気流出入口と、前記第1の空気流出入口が空気流入口となる場合は空気流出口となり、前記第1の空気流出入口が空気流出口となる場合は空気流入口となる第2の空気流出入口と、前記第1の空気流出入口と前記第2の空気流出入口との間の空気流出入路に介在し、前記空気流出入路を通過する空気の吸湿を行う吸湿剤と、前記吸湿剤の除湿を行うための所定値以下の湿度を有する空気が流入する乾燥空気流入口と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿呼吸器に関する。
【背景技術】
【0002】
吸湿呼吸器は、空気流出入口を有し空気の流出入が行われる電気機器に取り付けられ、電気機器に流出入する空気の吸湿を行うものである。吸湿呼吸器は、吸湿機能を有する吸湿剤(例えばシリカゲル)を充填する収納容器、及び当該収納容器の一方側及び他方側に、相補的に空気流入口及び空気流出口となる2つの空気流出入口を有している。そして、一方側の空気流出入口は、前記電気機器の空気流出入口と連通している。以上の構成により、吸湿呼吸器は、前記電気機器の空気の流出入時に、空気の吸湿を行うことになる。吸湿呼吸器が取り付けられる電気機器としては、例えば変電所おいて、油(絶縁油)を変圧器本体の絶縁と冷却のための媒体として用いた油入変圧器がある。
【0003】
油入変圧器の絶縁油は、変圧器本体で発生する熱や外気温度に応じて、膨張又は収縮する。そこで、油入変圧器は、絶縁油の膨張・収縮による体積変化を、空気の流出・流入によって吸収するコンサベータが備えられている。コンサベータには、空気と絶縁油とが接触する開放型のものと、例えばゴム製の袋や膜(以下ゴム膜とする)を使って空気と絶縁油とを遮断する遮断型のものがある。開放型のコンサベータの場合、絶縁油と空気中の水分との接触によって、絶縁油の劣化の恐れがある。また、遮断型のコンサベータの場合、ゴム膜と空気中の水分との接触によって、ゴム膜の劣化の恐れがある。
【0004】
そこで、吸湿呼吸器は、これらのコンサベータに流入する空気の吸湿を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図12は従来の吸湿呼吸器の構成の一例を説明するための図である。図12に示す吸湿呼吸器110は、主として、配管接続フランジ112、収納容器114、空気案内板120、空気案内筒121、油容器122、油用覗き窓126、吸湿剤取込口130、吸湿剤取出口132、吸湿剤用覗き窓134、蓋131、133を有している。
【0006】
収納容器114は、シリカゲル116を収納するための、例えば円筒形状の容器である。シリカゲル116は、収納容器114のU面と、B面と、その側面とで囲まれた中に収納される。
【0007】
シリカゲル116は、複数の粒からなり、空気の吸湿を行う吸湿機能を有している。シリカゲル116は、吸湿を行うのに伴い青色から薄桃色へと次第に変化していく(この変化の過程を劣化と称する)。そして、シリカゲル116は、当該シリカゲル116の重量に対して約30%の水分を吸湿すると、薄桃色になり、それ以上吸湿を行わなくなる(この状態を寿命と称する)。シリカゲル116が寿命になると、新しいものと交換する必要がある。そこで、収納容器114には、後述するように当該収納容器114からシリカゲル116の取り出しを行う吸湿剤取出口132と、当該収納容器114にシリカゲル116を取り込む吸湿剤取込口130とが備えられている。また、寿命になったシリカゲル116は、例えばヒーターなどで加熱することによって、吸湿した水分が除湿されると、再度、空気の吸湿を行うことができるようになる(例えば、特許文献2参照)。このことをシリカゲル116の再生という。
【0008】
配管接続フランジ112は、収納容器114の+z側の面Uに設けられ、不図示の電気機器の配管との接続を行なうものである。この接続によって、吸湿呼吸器110の空気流出入口111と、不図示の電気機器の空気流出入口とが連通することになる。
【0009】
吸湿剤取込口130は、収納容器114にシリカゲル116を取り込むためのものであり、収納容器114の面Uの一部に設けられている。
【0010】
蓋131は、吸湿剤取込口130を閉塞するものであるとともに、開放することによって吸湿剤取込口130からシリカゲル116の取り込みを可能とするものである。
【0011】
通気孔117は、収納容器114においてシリカゲル116が収納される部分の−z側の面Bに、シリカゲル116の直径よりも小さい直径で複数設けられている。なお、面Bは、x方向が+側になるのに伴い(吸湿剤取出口132に向かうほど)z方向が−側(鉛直方向側)となるべく傾斜して設けられている。
【0012】
吸湿剤取出口132は、収納容器114からシリカゲル116を取り出すためのものである。
【0013】
蓋133は、吸湿剤取出口132を閉塞するものであるとともに、開放することによって吸湿剤取出口132からシリカゲル116の取り出しを可能とするものである。蓋133を吸湿剤取出口132から開放すると、シリカゲル116は、面Bが傾斜していることにより、自重によって吸湿剤取出口132に向かって移動することになる。よって、収納容器114からシリカゲル116を取り出すことができる。
【0014】
吸湿剤用覗き窓134は、シリカゲル116の劣化の状態(色)を目視で確認するため透明の素材(例えばガラス)で形成されたものであり、収納容器114の面Uと面Bの間の側面の一部に設けられている。
【0015】
空気案内板120は、収納容器114の面Bよりも−z側に配設された円盤形状のものであり、中央部分に空気の流出入を行う開口を有している。
【0016】
空気案内筒121は、空気案内板120の開口に沿って−z方向に配設されている。
【0017】
油容器122は、シリカゲル116を外部の空気と閉塞するための隔離油124を保持する透明(例えばガラス)の容器であり、空気案内板120と図中cで固着されている。なお、油容器122と空気案内板120とが固着されていない箇所には通気口128が形成されている。また、隔離油124は、空気案内筒121の下端(−z側)が浸かる程度の高さまで油容器122に充填されている。
【0018】
油用覗き窓126は、隔離油124の量や状態を目視で確認するためのものであり、透明の素材で形成されている。
【0019】
以下、図13を参照しつつ、吸湿呼吸器110を、油入変圧器に取り付けた場合について説明する。図13は、油入変圧器に吸湿呼吸器110を取り付けた一例を説明するための図である。なお、図13(a)は遮断型のコンサベータの場合を示す図であり、図13(b)は、開放型のコンサベータの場合を示す図である。また、図13(a)と図13(b)において同一構成の部分には同一符号を付し説明を省略する。まず、図13(a)に示す遮断型のコンサベータの場合について説明する。
【0020】
変圧器本体100は、筐体102に収容されるとともに、筐体102には絶縁油101が充填されている。
【0021】
コンサベータ104は、空気流出入口109を有し、筐体102の変圧器本体100の動作に伴う絶縁油の膨張又は収縮に応じて空気流出入口109から空気の流出入を行うべく、連結管103を介して筐体102と連通している。なお、絶縁油101は、コンサベータ104の略中間の高さ(図13のh)となるまで充填されている。
【0022】
ゴム膜105は、絶縁油101の層(以下絶縁油層とする)と空気の層(以下空気層とする)とを遮断するためのものである。ゴム膜105には、柔軟で対油性のあるものが使用される。なお、ゴム膜105は、コンサベータ104の内周に沿って当該コンサベータ104と固着されており、固着されていない部分は、空気層の圧力と絶縁油層の圧力に応じて昇降可能となっている。図13(a)の場合、空気層の圧力と絶縁油層の圧力とは、hの高さで釣り合っていることになる。
【0023】
空気流出入口109は、連結管108を介して吸湿呼吸器110の空気流出入口111と連通している。
【0024】
次に、図12、13(a)を参照しつつ空気の流出入の動作について説明する。油入変圧器102の絶縁油101が収縮する場合、ゴム膜105の高さがhの位置より下降する。このhの変化量に応じて、吸湿呼吸器110、連結管108を通して、コンサベータ104に空気が流入することになる。このときの、吸湿呼吸器110における空気の流路を図12に実線の矢印で示す。すなわち、通気口128から流入した空気は、油容器122内の隔離油124、空気案内筒121、収納容器114の面Bの通気孔117を介して、収納容器114に流入され、シリカゲル116によって吸湿される。吸湿された空気は、収納容器114の面Uの空気流出入口111からコンサベータ104の空気流出入口109へと流出される。
【0025】
一方、油入変圧器102の絶縁油101が膨張する場合、hの位置が上昇する。このhの変化量に応じて、空気層の一部の空気がコンサベータ104から追い出され、連結管108、吸湿呼吸器110を通して流出される。このときの吸湿呼吸器110における空気の流路を、図12に破線の矢印で示す。コンサベータ104から流出された空気は、連結管108を通して吸湿呼吸器110の空気流出入口111に流入し、シリカゲル116を通過して通気孔117から流出される。そして、空気案内筒121、隔離油124、通気口128を介して外部に流出される。つまり、空気が流入する場合と逆の流路で、空気が流出されることになる。
【0026】
図13(b)に示す開放型のコンサベータ106の場合は、コンサベータ106内で空気層と絶縁油層が直接接触している。吸湿呼吸器110を設けた場合の空気の流出入の動作は、図13(a)のコンサベータ104の場合と同じである。よって、説明を省略する。
【特許文献1】特開平10−165749号公報
【特許文献2】特開平10−165750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
吸湿呼吸器110の外部から通気口128を通して通気孔117に流入する空気は、所定値より高い湿度を有する空気(以下、乾燥していない空気と称する)となる場合がある。従来の吸湿呼吸器110では、このように乾燥していない空気の吸湿を行う場合があるとともに、シリカゲル116の除湿をしていないため、シリカゲル116が寿命となるまでの期間が短かった(例えば6ヶ月程度)。このことにより、シリカゲル116を交換する手間や人件費がかかるという問題点があった。
【0028】
また、シリカゲル116が劣化するのに伴い、十分に吸湿されていない空気をコンサベータ104又はコンサベータ106に供給してしまうこととなり、絶縁油101やゴム膜105が劣化する恐れがあった。また、寿命となったシリカゲル116を、吸湿呼吸器10から取り出して、例えばヒーターによって加熱して再生することは、手間がかかり経済的でないという問題点があった。
【0029】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吸湿剤の寿命を従来よりも延ばすことができ、吸湿剤の交換に要する手間や人件費を削減することができる吸湿呼吸器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
前記課題を解決するための発明は、吸湿呼吸器本体に対し、空気の流出入を必要とする電気機器の空気流出入口と連通する第1の空気流出入口と、前記第1の空気流出入口が空気流入口となる場合は空気流出口となり、前記第1の空気流出入口が空気流出口となる場合は空気流入口となる第2の空気流出入口と、前記第1の空気流出入口と前記第2の空気流出入口との間の空気流出入路に介在し、前記空気流出入路を通過する空気の吸湿を行う吸湿剤と、前記吸湿剤の除湿を行うための所定値以下の湿度を有する空気が流入する乾燥空気流入口と、を備えたことを特徴とする。乾燥空気流入口から乾燥空気を流入することにより、吸湿剤が吸湿する水分を従来よりも少なくすることができる。よって吸湿剤の寿命を従来よりも延ばすことができ、吸湿剤の交換に要する手間や人件費を削減することができる。
【0031】
また、かかる吸湿呼吸器において、前記所定値以下の湿度を有する空気は、前記第1の空気流出入口が空気流入口となる場合は前記第2の空気流出入口から流出され、且つ、前記第1の空気流出入口が空気流出口となる場合は前記第1の空気流出入口から流出される、流入圧力を有していてもよい。電気機器の空気の流出入に応じて、吸湿呼吸器内の乾燥空気の流路を切り替えることができる。
【0032】
さらに、かかる吸湿呼吸器において、前記所定値以下の湿度を有する空気は、前記乾燥空気流入口へ常時流入することが好ましい。乾燥空気を常時流入しておくことによって、乾燥していない空気が外部から吸湿呼吸器に流入することを防止できる。
【0033】
さらに、かかる吸湿呼吸器において、前記第1の空気流出入口と前記乾燥空気流入口の間を前記第2の空気流出入口へ向かって一部仕切る仕切版、を更に備えることが好ましい。仕切版を設けることによって、吸湿呼吸器内の乾燥空気の流路が長くなり、より乾燥した空気を電気機器へ流出することができる。また、吸湿剤をより乾燥させることができる。
【0034】
また、かかる吸湿呼吸器において、前記所定値以下の湿度を有する空気が前記乾燥空気流入口へ流入する第1のモードと、前記所定値以下の湿度を有する空気が前記乾燥空気流入口へ流入しない第2のモードと、の何れか一方のモードとなるようにしてもよい。モードの切り替えにより吸湿剤の再生を吸湿呼吸器で行うことができ、さらに第2のモードでは乾燥空気を流入しないので、経済的である。
【0035】
また、かかる吸湿呼吸器において、前記所定値以下の湿度を有する空気が第1の流量で前記乾燥空気流入口へ流入する第1のモードと、前記所定値以下の湿度を有する空気が第2の流量(<第1の流量)で前記乾燥空気流入口へ流入する第2のモードと、の何れか一方のモードとなるようにしてもよい。第2のモードでも第2の流量の乾燥空気を流入するので、吸湿剤の劣化を遅らせることができる。
【0036】
さらに、かかる吸湿呼吸器において、前記吸湿剤の湿度に応じて、前記第1のモード又は前記第2のモードの何れか一方のモードとなることが好ましい。例えば湿度センサーで吸湿剤の湿度を検出することによって、自動的にモードを切り替えることができる。
【0037】
さらに、かかる吸湿呼吸器において、前記第2の空気流出入口に対して空気が流出入する場合、前記第2の空気流出入口を前記空気の流出入圧力を受けて開放し、且つ、前記第2の空気流出入口に対して空気が流出入しない場合、前記第2の空気流出入口を閉塞する防湿液と、前記防湿液を介して前記第2の空気流出入口と外部との間を開放又は閉塞するべく、前記防湿液を保持する保持容器と、前記所定値以下の湿度を有する空気を流出する乾燥空気流出口と、前記第1のモードである場合、前記第2の空気流出入口への空気の流入を禁止するとともに前記乾燥空気流出口への空気の流入を許可し、前記第2のモードである場合、前記第2の空気流出入口への空気の流入を許可するとともに前記乾燥空気流出口への空気の流入を禁止する切替器と、を更に備えたことが好ましい。第1のモードでは、防湿液を介さずに乾燥空気が流出するので、第2のモードよりも乾燥空気の流量を増加することができ、防湿剤の再生を効果的に行うことができる。
【0038】
また、かかる吸湿呼吸器において、前記吸湿剤は、吸湿機能を有する複数の粒からなることが好ましい。吸湿剤が単体である場合に比べて、表面積が大きくなり、吸湿量を増大することができる。また、吸湿呼吸器の側面下部に傾斜して取り出し口を設けると、あるいは、吸湿呼吸器の下面に取り出し口を設けると、吸湿剤が粒であることにより、自重で吸湿剤が落下することになるので、吸湿呼吸器から吸湿剤を容易に取り出すことができる。
【0039】
また、かかる吸湿呼吸器において、前記吸湿剤の取り込み又は取り出しを行うための吸湿剤出入口と、前記吸湿剤出入口を閉塞するための蓋と、を更に備えたことが好ましい。吸湿剤の吸湿機能の劣化によって、吸湿剤を新しいもの、あるいは再生したものと交換することができる。
【0040】
また、かかる吸湿呼吸器において、前記所定値以下の湿度を有する空気は、コンプレッサから供給されることが好ましい。例えば変電所において、圧縮空気を利用する装置(開閉器など)に圧縮空気を供給するため設置されているコンプレッサから、乾燥空気を流入することができる。よって、装置を増設することなく乾燥空気を得ることができる。
【0041】
また、かかる吸湿呼吸器において、前記電気機器は、変圧器本体と、前記変圧器本体及び当該変圧器本体の周囲を覆う絶縁油を収容する筐体と、前記空気流出入口を有し、前記変圧器本体の動作に伴う前記絶縁油の膨張に応じて前記空気流出入口から空気を流出し、前記絶縁油の収縮に応じて前記空気流出入口に空気を流入するべく前記筐体と連通する空気室と、を備えた油入変圧器である、ことが好ましい。絶縁油の膨張又は収縮に応じて、空気の流出入の動作を行う油入変圧器において、例えば絶縁油の劣化を効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、吸湿剤の寿命を従来よりも延ばすことができ、吸湿剤の交換に要する手間や人件費を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0044】
===第1実施形態===
<全体構成>
図2は本発明の第1実施形態に係る吸湿呼吸器10を用いた全体構成の一例を示す図である。なお、吸湿呼吸器10は、油入変圧器に設けられることとする。また、図2において図13(a)と同一構成の部分には同一符号を付している。
【0045】
図2に示すように本発明の第1実施形態に係る吸湿呼吸器10を用いた全体構成は、主として、吸湿呼吸器10と、空気圧縮装置200と、連結管103、108、コンサベータ104(空気室)、筐体102によって構成されている。
【0046】
筐体102は、変圧器本体100及び、当該変圧器本体100の周囲を覆う絶縁油を収容している。
【0047】
コンサベータ104は、空気流出入口109を有し、筐体102の変圧器本体100の動作に伴う絶縁油の膨張又は収縮に応じて空気流出入口109から空気の流出入を行うべく、連結管103を介して筐体102と連通している。またコンサベータ104の空気流出入口109は連結管108を介して、後述する吸湿呼吸器10の空気流出入口111と連通している。
【0048】
吸湿呼吸器10は、内部にシリカゲル116(吸湿剤)を収納しており、流入した空気を吸湿して流出する。なお本発明の吸湿呼吸器10は、後述する空気圧縮装置200から、配管220を通して、後述する流入圧力で常時空気を流入している。
【0049】
空気圧縮装置200は、空気を圧縮することによって高圧の圧縮空気を発生する。また、空気圧縮装置200は、この圧縮に基づいて得られる、所定値(例えば19%)以下の湿度を有する空気(以下乾燥空気とする)を、配管220を通して吸湿呼吸器10に供給する。なお、この乾燥空気は、例えば絶縁油101やゴム膜105を、ほとんど劣化させることがなく、さらに、シリカゲル116の除湿を行うことが可能な湿度の空気である。
【0050】
<空気圧縮装置の構成>
空気圧縮装置200は、例えば変電所において空気操作式の機器(例えば開閉器、遮断器)に用いられる圧縮空気を発生する周知の構成の装置である。空気圧縮装置200は、エアフィルタ202、吸気管204、空気圧縮機206(コンプレッサ)、吐出管208、モータ210、空気タンク212、ドレン弁214、流量調整弁216、配管220を有している。
【0051】
エアフィルタ202は、空気中の塵埃を除去して吸気管204に供給する。
【0052】
モータ210は、空気圧縮装置200を駆動する動力源である。
【0053】
空気圧縮機206は、モータ210によって駆動し、エアフィルタ202、吸気管204を通して取り入れた空気を圧縮して高圧の圧縮空気を作り、吐出管208に吐出する。空気圧縮機206の圧縮方式としては、往復式(例えばピストン式)のものと、回転式(例えばスクリュー式)のものとがあるが、本発明の吸湿呼吸器10には、何れの方式でも使用することができる。
【0054】
空気タンク212は、吐出管208から吐出された圧縮空気を、一時的に蓄えておくものである。なお、空気は圧縮されると高温になり、多くの水分を含んでいる、この圧縮空気が吐出管208や空気タンク212などで自然冷却されると、含みきれなくなった水分が水滴となり、空気圧縮機206から生じた潤滑油や金属粉などと混じってドレンと呼ばれる不純物が発生する(この原理については後述する)。ドレンは、空気タンク212の底に貯まる。
【0055】
ドレン弁214は、空気タンク212の底に貯まったドレンを空気タンク212から放出するための弁である。
【0056】
流量調整弁216は、空気タンク212から流出する圧縮空気を減圧するとともに、配管220に流れる空気の流量を調節する。
【0057】
次に空気圧縮装置200の動作について説明する。
空気圧縮装置200をモータ210によって駆動すると、エアフィルタ202、吸気管204を通して、空気圧縮機206に空気が取り込まれる。この空気は、空気圧縮機206で圧縮され高圧の圧縮空気となる。
【0058】
空気圧縮機206から吐出された圧縮空気は、吐出管208を通って空気タンク212に取り込まれる。なお、空気タンク212において、圧縮空気の凝縮によりドレンが発生し、空気タンク212の底に貯まる。このドレンは、ドレン弁214から、例えば定期的に空気タンク212の外部に放出される。
【0059】
また、空気タンク212内の圧縮空気は、流量調整弁216の調整によって、減圧されて、配管220に流出される。この配管220に流出される空気は、乾燥空気となっている。
【0060】
図5は、乾燥空気の発生の原理を説明するための図である。なお、図5の横軸は温度であり、縦軸は絶対湿度〔空気1kgに含まれる水蒸気の量(kg)〕である。
また、図5の実線は大気圧下の飽和線であり、破線は 加圧下の飽和線である。このように、空気が含むことのできる最大水分量(飽和水蒸気量)は、空気の温度が同じであれば、圧力にほぼ反比例して低下する。
【0061】
大気圧下で絶対湿度x1、温度t1の空気(状態A)の空気を空気圧縮機206によって加圧し、空気タンク212において、そのままの圧力で圧縮前と同じ温度t1まで冷却したとすると加圧下の飽和線のBの状態となる。すなわちx1―x2の水分が除湿されたことになる。このように、高温の圧縮空気が、吐出管208又は空気タンク212で自然冷却されると、含みきれなくなった水分が凝縮して現れることになる。なお、t2は、加圧下のBの状態から空気圧に膨張した後の露点(冷却したときに凝縮がおこるときの温度)である。
【0062】
よって、空気圧縮装置200から、配管220に流出される空気は、例えばx1―x2の水分が除湿された乾燥空気となっている。
【0063】
<吸湿呼吸器の構成>
図1および図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態にかかる吸湿呼吸器10の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる吸湿呼吸器10の一例を示す断面図である。なお、図1、図2において、図12と同一構成の部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0064】
図2に示すように、吸湿呼吸器10は、配管接続フランジ112で連結管108と接続されている。このことにより、コンサベータ104の空気流出入口109と吸湿呼吸器10の空気流出入口111とが連通している。そして、吸湿呼吸器10は、油入変圧器102の絶縁油101の膨張又は収縮に応じて、コンサベータ104の空気流出入口109に空気の流出入を行うことになる。なお、収納容器114は、吸湿呼吸器10の本体(吸湿呼吸器本体)を構成している。
【0065】
また、吸湿呼吸器10は、図12の蓋131及び吸湿剤取込口130の代わりに、蓋12及び吸湿剤取込口13(乾燥空気流入口)を有している。さらに、吸湿呼吸器10は、仕切版14を有している。なお、本実施形態では吸湿呼吸器10は仕切版14を有することとしているが、仕切版14を有していなくてもよい。
【0066】
蓋12は、吸湿剤取込口13を閉塞するとともに、開放することによって吸湿剤取込口13から収納容器114へのシリカゲル116の取り込みを可能とするものである。なお、本発明の吸湿呼吸器10の蓋12には空気圧縮装置200の配管220が貫通されている。
【0067】
吸湿剤取込口13は、収納容器114にシリカゲル116を取り込む取込口であるとともに、配管220を通して、空気圧縮装置200から乾燥空気が流入される乾燥空気の流入口となっている。なお、乾燥空気の流入口を、吸湿剤取込口13と別個に設けてもよい。例えば収納容器114の側面に乾燥空気の流入口を設けるようにしてもよい。図1において、吸湿剤取込口13及び吸湿剤取出口132は吸湿剤出入口を構成している。
【0068】
仕切版14は、収納容器114の面Uから通気孔117(第2の空気流出入口)の方に向かって設けられている。また、仕切版114と通気孔117との間には、吸湿剤取込口13から、空気流出入口111(第1の空気流出入口)への空気の流れを可能とするための隙間が形成されている。 吸湿剤取込口13から流入した乾燥空気は、この隙間を通過して、空気流出入口111から流出することになる。図3(a)、(b)、(c)は、本発明の吸湿呼吸器10の仕切版14の一例を説明するための断面図である。図3(a)、(b)、(c)は図1と異なる方向(z方向)の断面を示している。図3(b)の仕切版14′には複数の開口15aが設けられている。また、図3(c)の仕切版14″には、図3(b)の開口15のうち、y方向に隣接するもの同士を繋げた複数の開口16が設けられている。
【0069】
図3(a)のように仕切版14を設けた場合には、吸湿剤取込口13から流入した乾燥空気は、仕切版114と通気孔117との隙間を通過して、空気流出入口111から流出する。よって、乾燥空気の流路が長くなり、より乾燥した空気を空気流出入口111から流出することができる。
【0070】
図3(b)のように仕切版14′を設けた場合には、吸湿剤取込口13から流入した乾燥空気は、仕切版114と通気孔117との隙間又は開口15を通過して空気流出入口111から流出する。よって、乾燥空気の流路が分岐するので、図3(a)の場合より、空気流出入口111に乾燥空気を早く到達させることができる。
【0071】
図3(c)のように仕切版14″を設けた場合には、吸湿剤取込口13から流入した乾燥空気は、仕切版114と通気孔117との隙間又は開口16を通過して空気流出入口111から流出する。開口16は開口15よりも面積が大きいので、図3(b)の場合に比べ、空気流出入口111に早く到達する乾燥空気の量を増やすことができる。
【0072】
なお、本発明の吸湿呼吸器10では、仕切版14を設けていなくても、吸湿剤取込口13から流入した乾燥空気をシリカゲル116によって吸湿してコンサベータ104へ流出することができる。仕切版14を設けると、さらに吸湿効果を上げることができる。
【0073】
<吸湿呼吸器における空気の流路>
図4を参照しつつ、本発明の吸湿呼吸器10の空気の流路について説明する。図4は本発明の吸湿呼吸器10における空気の流路を説明するための図である。
【0074】
≪コンサベータに空気を流出する場合≫
図4(a)に示すように空気タンク212から流出された乾燥空気は、配管220を通して、吸湿呼吸器10の吸湿剤取込口13から収納容器114に流入される。そしてシリカゲル116で吸湿が行われ更に湿度の低い乾燥空気となり、コンサベータ104で必要な分だけが空気流出入口111から流出される。なお、図3(b)、(c)のように開口15、16を設けた場合には、同図の太線(破線)に示すように乾燥空気の流路が分岐することになる。コンサベータ104へと流出されなかった乾燥空気は、通気孔117、及び通気口128を通して外部に流出される。
【0075】
図4(b)は、空気が通気口128から流出することを説明するための図である。空気案内筒121の内部では実線の矢印方向の圧力が発生する。この圧力により、空気案内筒121近傍の隔離油124の液面が低下することになり、空気案内筒121の下端と隔離油124の液面との間に間隙が生じる。よって通気孔117と通気口128の間が開放されることになり、通気口128から空気が流出する。なお、通気孔117から空気が流出しない場合には、通気孔117は隔離油124によって外部と閉塞されている。
【0076】
≪コンサベータから空気を流入する場合≫
図4(c)に示すように空気タンク212から流出された乾燥空気は、配管220を通して吸湿剤取込口13から収納容器114に流入される。また、コンサベータ104から流出された空気は、連結配管108、空気流出入口111を通して収納容器114に流入される。なお、図3(b)、(c)のように開口15、16を設けた場合には、図4の太線(破線)に示すように乾燥空気の流路が分岐する。これらはともにシリカゲル116、通気孔117、及び通気口128を通して外部に放出される。
【0077】
なお、空気タンク212から配管220を通して流入される乾燥空気は、流量調整弁216によって所定の流入圧力となるべく調整されている。なお、この流入圧力は、図4(a)の場合において、空気流出入口111から空気を流出可能とするとともに、通気口128から外部の空気を収納容器114内に流入させず、さらに、図4(b)の場合において、通気孔117から流出する空気の圧力によって隔離油124に気泡が発生しないように設定されたものである。
【0078】
このように、本発明の吸湿呼吸器10では、常時空気タンク212から乾燥空気を流入しているので、乾燥空気でシリカゲル116の除湿を行うことになる。よって、シリカゲル116の寿命を従来よりも長くすることができ、シリカゲル116の交換に要する手間や、人件費を抑えることができる。
【0079】
また、空気圧縮装置200が、例えば装置トラブルによって停止することにより、乾燥空気が流入されなくなった場合においても、従来と同様に、通気口128から流入した外部の空気を、通気孔117、シリカゲル116、空気流出入口111を通すことにより除湿を行い、コンサベータ104に流出することができる。
【0080】
さらに、シリカゲル116が十分に吸湿出来ない状態まで劣化したとしても、乾燥空気をコンサベータ104に流出することができる。
【0081】
<シリカゲルの再生>
寿命となったシリカゲル116は、空気圧縮装置200から流出される乾燥空気を利用して再生することができる。
【0082】
以下、図6、7、8を参照しつつ、シリカゲル116の再生について説明する。なお、図6は、シリカゲル116の再生に用いる容器の一例を示す図であり、図7は、吸湿呼吸器10からシリカゲル116の取り出しを説明する図であり、図8は、シリカゲル116の再生方法の一例を説明するための図である。
【0083】
図6に示す容器400は、例えば底を切り抜いた2個のペットボトルを背中合わせにして、例えばテープ404で接合したものである。蓋406は容器400の一端を閉塞するとともに、開放することによって容器400の一端からのシリカゲル116の取り込み又は取り出しを可能とするものであり、蓋406は容器400の他端を閉塞するとともに、開放することによって容器400の他端からのシリカゲル116の取り込み又は取り出しを可能とするものである。
【0084】
また、容器410は、例えばペットボトルの底に、シリカゲル116の単一粒の直径よりも小さい複数の通気孔414を設けたものである。蓋412は、容器410の一端を閉塞するものであるとともに、開放することによって容器410の一端からのシリカゲル116の取り込み又は取り出しを可能とするものである。
【0085】
以上の構成の容器400、410に、吸湿呼吸器10から寿命のシリカゲル116を取り込む。図7に示すように吸湿剤取出口132の蓋133を外すと、シリカゲル116は、自重によって落下するので、吸湿剤取出口132から外部に放出される。このシリカゲル116を容器400及び容器410に取り込み、容器400、410に空気圧縮装置200からの空気を流入するべく図8に示すように配管220、420と接続する。なお、蓋426には配管220が貫通されており、蓋428、432にはそれぞれ配管420が貫通されている。
【0086】
そして、空気圧縮装置200の流量調整弁216を調整することによって、シリカゲル116の除湿を行う流量(例えば40リットル/分)の乾燥空気を流出させる。この流量の乾燥空気が容器400、410内のシリカゲル116を通過して通気孔414から流出することになり、容器400、410内のシリカゲル116は除湿されて再生することになる。なお、容器400の蓋426、428を、それぞれ蓋406、408と取り替えることによって、容器400は密閉されるので、容器400をシリカゲル116の保存に使用することができる。
【0087】
吸湿呼吸器10に、再生したシリカゲル116、又は新しいシリカゲル116の取り込みを行う場合には、吸湿剤取込口13の蓋12を外して、当該吸湿剤取込口13から取り込みを行うことになる。
【0088】
===第2実施形態===
図9、10、11を参照しつつ、本発明の第2実施形態にかかる吸湿呼吸器の構成について説明する。図9は、本発明の第2実施形態にかかる吸湿呼吸器20の構成を説明するための断面図である。図10は、吸湿呼吸器20の内部の構成の一部を説明するための斜視図である。図11は、吸湿呼吸器20におけるモードの切替を説明するための図である。なお、図9において図1と同一構成の部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0089】
吸湿呼吸器20は、空気案内板22、回動板24(切替器)、回動板駆動装置26、空気案内筒28、油容器30(保持容器)、湿度センサー40を有している。また、吸湿呼吸器20の外部には湿度検出装置42、制御装置44、流量調整弁制御装置46が設けられている。
【0090】
湿度センサー40は、収納容器114内のシリカゲル116の湿度を測定するものである。
湿度検出装置42は、湿度センサー40によって測定されたシリカゲル116の湿度が、シリカゲル116の寿命よりも前であることを示す所定値未満の湿度であるか否かを検出し、検出結果を制御装置44に出力する。
【0091】
制御装置44は、第1の流量の乾燥空気が吸湿剤取込口13に流入する再生モード(第1のモード)と、第2の流量(<第1の流量)の乾燥空気が吸湿剤取込口13に流入する通常モード(第2のモード)と、との切り替えを行うための制御信号を流量調整弁制御装置46及び回動板駆動装置26に出力する。なお、後述するように、通常モードでは乾燥空気を流入しないようにしてもよい。制御信号は、シリカゲル116の湿度が、所定値未満であることを示す湿度検出装置42の出力の場合、例えばローレベル(以下「L」とする)となり、シリカゲル116の湿度が、所定値に達したことを示す湿度検出装置42の出力の場合、例えばハイレベル(以下「H」とする)となる。
【0092】
空気案内板22は、図10に示すようにc1を中心とする、例えば円盤形状の板であり、収納容器114の面Bよりも−z側に固設されている。また、空気案内板22には、例えばc1を中心とする同心円上に開口22a(第2の空気流出入口)と、開口22b(乾燥空気流出口)とが設けられている。
【0093】
回動板24は、空気案内板22の+z側と当接して設けられた、空気案内板22のc1上の軸c2を中心とする、例えば円盤形状の板であり、空気案内板22に対し、軸c2を中心として回動可能となっている。また、回動板24には、回動により空気案内板22の開口22a、22bとそれぞれ重なり合う位置に開口24aが設けられている。
【0094】
回動板駆動装置26は、回動版24を定められた位置に回動するための、例えばステッピングモータ(不図示)を有しており、制御装置44から出力される制御信号に応じて、回動板24を回動する。例えば制御信号が「L」の場合は、回動板24の開口24aを、空気案内板22の開口22aと重なる位置に回動し、制御信号が「H」の場合は回動板24の開口24aを、空気案内板22の開口22bと重なる位置に回動する。
空気案内筒28は、空気案内板22の開口22aに沿って−z側に設けられている。
【0095】
油容器30は、隔離油124(防湿液)を収容する容器であり、空気案内板22の開口22aの−z側に固設されている。また、油容器30には、空気案内筒28の下端が浸かる程度に隔離油124が充填されている。
【0096】
流量調整弁制御装置46は、制御装置44から出力される制御信号に応じて、流量調整弁216の開閉状態を制御する。例えば、流量調整弁制御装置46は、配管220に流れる乾燥空気を、制御信号が「H」の場合には、第1の流量(例えば40リットル/分とする)とするべく流量調整弁216を調整し、制御信号が「L」の場合には、第1の流量よりも少ない第2の流量(例えば0.1リットル/分とする)とするべく流量調整弁216を調整する。このように、制御信号が「L」の期間に、第2の流量の乾燥空気を流入することで、シリカゲル116の劣化を遅らせることができる。
【0097】
なお、制御信号が「L」の場合、乾燥空気を流入しないように流量調整弁216を調整するようにしてもよい。この場合、従来と同様の流路で空気の流出入が行われることになる。よって、制御信号が「L」の期間に乾燥空気を流入しないので、経済的に吸湿を行うことができる。
【0098】
以下、吸湿呼吸器20の動作について説明する。
【0099】
≪通常モード≫
シリカゲル116の湿度が、所定値未満の場合、湿度検出装置42検出結果に基づき制御装置44は「L」の制御信号を出力する。流量調節弁制御装置46は「L」の制御信号によって配管220に流れる乾燥空気の流量を0.1リットル/分とするべく流量調整弁216を調整する。また、回動板駆動装置26は、「L」の制御信号によって、図11(a)に示すように、回動板24の開口24aと空気案内板22の開口22aとが重なり合う位置に回動板24を回動する。
【0100】
この通常モードでは、配管220から収納容器114に流入される乾燥空気のうち、空気流出入口111から流出されなかった分は、空気孔117、回動板24の開口24a、空気案内板22の開口22a、空気案内筒28、隔離油124、通気口128を介して外部に流出されることになる。
【0101】
≪再生モードの場合≫
シリカゲル116の湿度が、所定値に達すると、湿度検出装置42の検出結果に基づき制御装置44は「L」から「H」に切り替える。流量調節弁制御装置46は「H」の制御信号によって配管220に流れる乾燥空気の流量を40リットル/分とするべく流量調整弁216を調整する。また、回動板駆動装置26は、「H」の制御信号を受信すると、図11(b)に示すように、図11(a)の状態から回動板24の開口24aと空気案内板22の開口22bとが重なり合う位置までa方向に回動板24を回動する。
【0102】
再生モードでは、配管220から収納容器114に流入された乾燥空気のうち、空気流出入口111から流出されなかった分は、回動板24の開口24a、空気案内板22の開口22bを通して外部に流出されることになる。よって、油容器30に乾燥空気が流入しないことになるので、配管220から流入する乾燥空気の流量を通常モードの流量よりも大きくすることができ、シリカゲル116の除湿を効果的に行うことができる。
【0103】
また、制御装置44は、例えば、制御信号が「L」から「H」に変化してから、予め設定された時間を計測するタイマ(不図示)を有している。予め設定された時間とは、例えば40リットル/分の流量の乾燥空気でシリカゲル116を再生するのに要する時間である。そして、制御信号の「L」から「H」に変化してから、タイマによって前記予め設定された時間が計測されると、制御装置44は、制御信号を「H」から「L」に切り替える。
【0104】
「L」の制御信号によって、回動板駆動装置26は、図11(b)から図11(a)の位置まで、回動板24をb方向に回動し、流量調整弁制御装置46は、配管220に流れる乾燥空気を0.1リットル/分とするべく流量調整弁216を調整する。このようにして、再生モードから通常モードへの切り替えが行われる。
【0105】
以上説明したように本発明の吸湿呼吸器20では、通常モードと再生モードとを切り替えることによって、シリカゲル116を収納容器114から取り出すことなくシリカゲル116の再生を行うことができる。なお、本実施形態ではシリカゲル116の湿度に応じて通常モードと再生モードとを自動的に切り替えることとしたが、回動板24を手動操作で回動させるようにしてもよい。そして、例えば吸湿剤用覗き窓134からシリカゲル116の状態(色)を目視で確認し、流量調整弁216と回動板24を手動で操作して、通常モードと再生モードを切り替えるようにしてもよい。
また、吸湿呼吸器20に図1の仕切版14を適用すると、さらに吸湿効果を上げることができる。
【0106】
以上説明したように、本発明の吸湿呼吸器は、乾燥空気を常時収納容器114内に流入しているので、シリカゲル116の寿命を延ばすことができ、シリカゲル116の交換に要する手間や人手を削減することができる。なお、本実施形態では、吸湿剤としてシリカゲル116を用いることとしたが、活性炭や珪藻土などを粒として用いるようにしてもよい。
【0107】
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されるとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吸湿呼吸器の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る吸湿呼吸器を用いた全体構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の吸湿呼吸器の仕切版を説明するための断面図である。
【図4】本発明の吸湿呼吸器における空気の流路を説明するための図である。
【図5】乾燥空気の発生の原理を説明するための図である。
【図6】シリカゲルの再生に用いる容器の一例を示す図である。
【図7】吸湿呼吸器からシリカゲルの取り出しを説明する図である。
【図8】シリカゲルの再生方法を説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る吸湿呼吸器の構成を説明するための断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る吸湿呼吸器の内部構成を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る吸湿呼吸器におけるモードの切替を説明するための図である。
【図12】従来の吸湿呼吸器の構成の一例を説明するための図である。
【図13】油入変圧器に吸湿呼吸器を取り付けた一例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0109】
10、20、110 吸湿呼吸器
12、131、133、406、408、412、426、428、432 蓋
13、130 吸湿剤取込口 14 仕切板
15、16、22a、22b、24a 開口
22、120 空気案内板 24 回動板
26 回動版駆動装置 28、121 空気案内筒
30、122 油容器 40 湿度センサー
42 湿度検出装置 44 制御装置
100 変圧器本体 101 絶縁油
102 筐体 103、108 連結管
104、106 コンサベータ 105 ゴム膜
109、111 空気流出入口 112 配管接続フランジ
114 収納容器 116 シリカゲル
117、414 通気孔 124 隔離油
126 油用覗き窓 128 通気口
132 吸湿剤取出口 134 吸湿剤用覗き窓
200 空気圧縮装置 202 エアフィルタ
204 吸気管 206 空気圧縮機
208 吐出管 210 モータ
212 空気タンク 214 ドレン弁
216 流量調整弁 220、420 配管
400、410 容器 404 テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿呼吸器本体に対し、
空気の流出入を必要とする電気機器の空気流出入口と連通する第1の空気流出入口と、
前記第1の空気流出入口が空気流入口となる場合は空気流出口となり、前記第1の空気流出入口が空気流出口となる場合は空気流入口となる第2の空気流出入口と、
前記第1の空気流出入口と前記第2の空気流出入口との間の空気流出入路に介在し、前記空気流出入路を通過する空気の吸湿を行う吸湿剤と、
前記吸湿剤の除湿を行うための所定値以下の湿度を有する空気が流入する乾燥空気流入口と、
を備えたことを特徴とする吸湿呼吸器。
【請求項2】
前記所定値以下の湿度を有する空気は、前記第1の空気流出入口が空気流入口となる場合は前記第2の空気流出入口から流出され、且つ、前記第1の空気流出入口が空気流出口となる場合は前記第1の空気流出入口から流出される、流入圧力を有することを特徴とする請求項1に記載の吸湿呼吸器。
【請求項3】
前記所定値以下の湿度を有する空気は、前記乾燥空気流入口へ常時流入することを特徴とする請求項2に記載の吸湿呼吸器。
【請求項4】
前記第1の空気流出入口と前記乾燥空気流入口の間を前記第2の空気流出入口へ向かって一部仕切る仕切版、を更に備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の吸湿呼吸器。
【請求項5】
前記所定値以下の湿度を有する空気が前記乾燥空気流入口へ流入する第1のモードと、前記所定値以下の湿度を有する空気が前記乾燥空気流入口へ流入しない第2のモードと、の何れか一方のモードとなることを特徴とする請求項1に記載の吸湿呼吸器。
【請求項6】
前記所定値以下の湿度を有する空気が第1の流量で前記乾燥空気流入口へ流入する第1のモードと、前記所定値以下の湿度を有する空気が第2の流量(<第1の流量)で前記乾燥空気流入口へ流入する第2のモードと、の何れか一方のモードとなることを特徴とする請求項1に記載の吸湿呼吸器。
【請求項7】
前記吸湿剤の湿度に応じて、前記第1のモード又は前記第2のモードの何れか一方のモードとなることを特徴とする請求項5又は6に記載の吸湿呼吸器。
【請求項8】
前記第2の空気流出入口に対して空気が流出入する場合、前記第2の空気流出入口を前記空気の流出入圧力を受けて開放し、且つ、前記第2の空気流出入口に対して空気が流出入しない場合、前記第2の空気流出入口を閉塞する防湿液と、
前記防湿液を介して前記第2の空気流出入口と外部との間を開放又は閉塞するべく、前記防湿液を保持する保持容器と、
前記所定値以下の湿度を有する空気を流出する乾燥空気流出口と、
前記第1のモードである場合、前記第2の空気流出入口への空気の流入を禁止するとともに前記乾燥空気流出口への空気の流入を許可し、前記第2のモードである場合、前記第2の空気流出入口への空気の流入を許可するとともに前記乾燥空気流出口への空気の流入を禁止する切替器と、
を更に備えたことを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の吸湿呼吸器。
【請求項9】
前記吸湿剤は、吸湿機能を有する複数の粒からなることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の吸湿呼吸器。
【請求項10】
前記吸湿剤の取り込み又は取り出しを行うための吸湿剤出入口と、
前記吸湿剤出入口を閉塞するための蓋と、
を更に備えたことを特徴とする請求項9に記載の吸湿呼吸器。
【請求項11】
前記所定値以下の湿度を有する空気は、コンプレッサから供給されることを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の吸湿呼吸器。
【請求項12】
前記電気機器は、
変圧器本体と、前記変圧器本体及び当該変圧器本体の周囲を覆う絶縁油を収容する筐体と、前記空気流出入口を有し、前記変圧器本体の動作に伴う前記絶縁油の膨張に応じて前記空気流出入口から空気を流出し、前記絶縁油の収縮に応じて前記空気流出入口に空気を流入するべく前記筐体と連通する空気室と、を備えた油入変圧器である、ことを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の吸湿呼吸器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−118039(P2008−118039A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301740(P2006−301740)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】