説明

吸着性粒状物およびその製造方法

本発明は、ホージャサイト構造、および≧2.1−2.5のSiO/Alモル比率を持つX−ゼオライト基材の吸着剤粒状物に関し、ここに、該粒状物は、>300nmの平均輸送細孔直径、およびメソ細孔の無視できる画分を有し、ここに、該粒状物の機械的特性は不活性バインダーを用いて成形されたX−ゼオライト基材の粒状物の特性と少なくとも同一であるか、またはそれよりも良好であり、水、COおよび窒素に対する平衡吸着容量は同様な組成を持つ純粋なX−ゼオライト粉末のそれと同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホージャサイト構造を持つゼオライトを基とする吸着性粒状物、およびその製造方法に関する。本発明は、さらに、好ましくは、気体および液体の選択的分離、精製および乾燥のための吸着剤としての該粒状物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高い化学的および熱的抵抗性、ナノメーター以下の均一なチャンネル細孔系の存在、および可変カチオン組成を基とする吸着された分子との特異的相互作用の発生のようなそれらの特異的特性を持つゼオライトを基とする吸着剤は、顕著な経済的重要性を有する(非特許文献1参照)。
【0003】
気体または液体を乾燥する分野における古典的適用(絶縁性ガラス窓における静的な適用、粗製油および天然ガス処理の分野における動的−再生的適用)の他に、これは、特に、空気分離(低温または非低温)の分野における適用に関し、ここに、ホージャサイト−ゼオライト(タイプX)を基とする吸着剤は大規模に用いられている(非特許文献2参照)。用語ホージャサイト−ゼオライトは、元来は天然鉱物として発見された一定クラスの結晶性アルモシリケート(酸化アルミニウム−酸化ケイ素塩)を定義するが、該ホージャサイト構造を持つ合成品のみが経済的重要性を獲得している。ホージャサイト構造を持つこれらのゼオライトの中で、それらの組成に従った(特に、モル比SiO/Alに従った)もう1つの分類がポピュラーとなった。かくして、比率SiO/Al>3.0を持つ製品はY−ゼオライトと命名されており、SiO/Al<3.0を持つものはX−ゼオライトと命名されている。
【0004】
それらのSiO/Al比率に従ったX−ゼオライトのもう1つの分類は、歴史的には、異なる種々の合成法の発達に由来するものであった。かくして、長い間、X−ゼオライトに対する「実現可能な限定」は、約2.46のSiO/Al比率において認められていた(例えば、特許文献1参照)。これらの製品は13X−ゼオライトとして命名されている。しかしながら、後に、SiO/Al<2.46を持つX−ゼオライトについての種々の合成法も開発された。かくして、もう1つの区別は、2.0±0.1のSiO/Alを持ついわゆるLSX(低ケイ素―X)と、>2.2−約2.45の範囲のSiO/Al比率を持つMSX(中程度ケイ素−X)−ゼオライト(以下、本特許出願においてこのようにいう)との間でなされる。前記した区別は、異なるサブタイプについて異なる合成方法も用いられているので有用である。かくして、Y−タイプのホージャサイト−ゼオライトは、典型的には、「母体となる基材」から基材成分が制御されバックフィードされた「純粋な」SiO/Al基材成分を用いて、および恐らくは、芽晶溶液(例えば、非特許文献3参照)を用いて製造され、他方、LSXタイプのホージャサイト−ゼオライトの合成は、典型的な苛性ソーダ溶液以外とすれば、一般に苛性カリ溶液の存在下で(例えば、特許文献2参照)、または高圧の適用を通じて(特許文献1参照)行われる。種々の合成法は、約2.5のSiO/Al比率を持つ13Xについて、MSXの製造についての種々の合成法とは、やはり明らかに異なる。
【0005】
Xタイプの中では、「古典的な」13X−タイプは容量に基づく最大の特徴を有する。これは、天然ガス処理用の、また、圧力変化吸着技術を通じての非低温酸素豊富化用の低温空気分離装置で原料空気を処理する場合の吸着剤としてのその使用に関する。しかしながら、この適用に対してより強力なMSX−タイプを用いる傾向の増大がある。LSX−タイプは、前記した圧力変化吸着技術を介しての非低温酸素豊富化のために(好ましくは、Liを含めた材料として)用いられている(非特許文献4参照)。
【0006】
本発明は、上記段落に関するものであり、好ましくは、X−ゼオライト、特に、モルSiO/Al>2.1−2.5を持つX−ゼオライトを基とするモレキュラーシーブ用の粒状物に関する。
【0007】
原理的には、ゼオライトを基とする全てのモレキュラーシーブのための各「純粋な」ゼオライト成分の吸着特性(選択性および容量)を使用することが好ましい。原理的には、静的吸着プロセスでは粉末(合成後の主な形態)の形態のゼオライトモレキュラーシーブを用いることができるが、これは(流動する媒体においては)動的プロセスでは可能ではなく、または制限内で可能なのに過ぎない。というのは、粉末の堆積による過剰な圧力降下は当該方法を操作できないものとするからである。従って、これらの場合においては、いくつかの形状の形態を有するエレメントを用いなければならない(非特許文献5参照)。これは、動的プロセスのための吸着剤の形状概念についての基本的な問題に触れている:一方において、動的方法でプロセスを現実に操作できるためには成形体が必要とされる。公知の理由から、これらの成形体は、それらの機械的特性に関する特定の最低限の要件(ダスト、摩耗、圧力抵抗、注入重量)を満足させなければならない。他方、成形体は不利である。というのは、一方では、活性成分がバインダー材料を含むそれらの成形体において希薄形態で供されているに過ぎず、他方、ゼオライト活性成分における現実に望まれる吸着および脱着には、成形体における材料輸送プロセスが加重され得るからである。典型的には、機械的により安定な成形体であれば、材料輸送プロセスはあまり不利ではない。
【0008】
当該分野においては、球状形態の成形体が用いられており、これは、典型的には、天然粘土バインダーまたは押出し成形(円筒形、中空円筒形、巻かれたストランド)を用いて、典型的には、粘土または他の珪酸バインダー材料を用いて層状造粒を介して製造される(例えば、非特許文献6参照)。
【0009】
全ての言及された成形体は、適用プロセスおよび/または使用されるバインダー材料の容量によって順に決定される成形体のサイズの関数として、前記した材料輸送プロセスの多かれ少なかれ強い影響を考慮しなければならないという共通点を有する。例えば、粘土鉱物や含有ゼオライトで変形された典型的な粒状物は、常に、(水銀高圧ポロシメトリーを通じて測定された)輸送細孔の一部において比較的高い比率の細孔を示し、ここに、該細孔は<50nmの直径を有し(いわゆるメソ細孔)、これは、ゼオライト中の吸着中心へ、およびそこから輸送される場合に分子の輸送性を制限することが知られている。
【0010】
輸送細孔システムは、技術的吸着剤で望ましく、ここに、該システムは無視できる比率のメソ細孔および可能な限り大きな平均細孔直径のみを含む(非特許文献7参照)。粘土バインダーによって変形されたゼオライト−含有モレキュラーシーブの粒状物における分子の制限された輸送性の問題は、成形体をそれらの寸法(短い輸送経路)に関して比較的小さく保つことによって軽減することができ、ここに、しかしながら、この場合には、吸着材料の収集において起こる圧力降下は、これらの小さな粒子の使用を低い注入高さまたは小さな装置に制限する。大きいが高度に多孔性の成形体を別法として用いることができる。一次的な細孔成形剤を変形の間に粒状物に加えることによって、改良された輸送細孔系を持つ粘土鉱物と結合したより大きな粒状物を生産するのはオプションであり、ここに、細孔成形剤は典型的には熱的に破壊され得るが、これは、変形が形成された後、および引き続いての熱的処理の後には完全に燃焼され、ここに、各細孔成形系の後に細孔成形剤は残る(特許文献3参照)。
【0011】
しかしながら、あいにくと、古典的なゼオライトのタイプ(A、特に、ホージャサイト)は、熱的(水熱的)処理に関してより影響を受けやすい。かくして、細孔成形剤の熱的破壊は、粒状物の該熱的/水熱的負荷が回避されるように成されなければならず、これは、さらなる複雑性を引き起こす。熱的負荷の問題は、さらに、既に、500−>600℃の範囲の熱的処理を受けなければならない(例えば、アタパルジャイトのような)典型的に用いられる鉱物結合剤の結合に関する(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
しかしながら、当該分野においては、いずれの場合にも、それは非常に多孔性であり得るが、不活性なバインダー材料による現実の活性成分の「希薄化」の問題は、不活性な粘土材料によって結合されたゼオライト含有粒状物についてはいずれの場合にも残る。
【0013】
ゼオライト含有成形体における活性成分の部分を最大化することが試みられる複数の方法が知られている。それらの中には、特に、バインダー材料を含まないいわゆるゼオライト含有成形体の製造方法がある。これらの製品を製造する場合、本質的には2つの経路が採用される。一方においては、その変形性および化学的組成(殆どはカオリン)に関して適当な原料が成形体に成形され、成形体は、引き続いて、熱的および/または化学的後処理を通じて完全にゼオライトから作製された材料に変換される(例えば、特許文献5参照)。これは、好ましくは、ゼオライトのタイプAについては既に数十年前に記載されている。これは、特に、SiO/Al含有量を参照するその組成においてカオリンがゼオライトAの組成に非常に近くなるので当てはまる。メタ−カオリンを超えて成形されたカオリンのホージャサイト(X−タイプ)のゼオライト材料への直接的変換は知られていないが、ケイ酸ナトリウムおよび細孔成形剤を含めたメタ−カオリン成形体の、ホージャサイトタイプのゼオライト材料への変換は知られている。かく得られた材料の質は、X線法によって決定された73−74%のゼオライトタイプ−X材料の含有量によってのみ記載されている。特許文献6は同様な方法を開示している;しかしながら、ゼオライト材料へのほとんど完全な転移が可能となることを確実とできるようにするために、強制的細孔成形剤の使用がここに記載されている。無バインダーゼオライト含有成形体を製造するもう1つの選択肢は、適当なバインダー材料、恐らくは、いくつかの製品の混合物で、ある種のゼオライト−タイプの粉末を変形し、引き続いて、バインダー部分をゼオライトに変換することを含む。記載された方法では、カオリンまたはメタ−カオリン(熱的に活性化されたカオリン)は重要な役割を再度演じる(特許文献7参照)。また、この場合、結合剤として使用されるカオリン/メタ−カオリンは、引き続いての熱的−化学的処理を通じてゼオライト材料に変換される。
【0014】
長年の間、Bayer AGのモレキュラーシーブを含めた無バインダーゼオライトは商業的に入手可能であり、商品名「BAYLITH」下で知られていた。これらの製造方法はいくつかの特許文献(例えば、特許文献8参照)に記載されている。原理的には、シリカゲルは一次結合剤として用いられ、ここに、該シリカゲルは異なる部分的に非常に複雑な方法で系に導入される。シリカゾルおよび酸化マグネシウム懸濁液またはケイ酸ナトリウムの混合物が、そこでは、ゲル成形系として記載されている。このようにして成形されたシリケートバインダー部分は、次いで、今度は、引き続いての工程でゼオライトに変換される。結合剤部分が変換される前記した方法では、導入されたゼオライト成分のタイプに拘わらず結合剤がゼオライトタイプAに意図的に変換され、かくして、BAYLITH W894と命名された製品もそうであり、ここに、タイプX材料(ホージャサイト)がゼオライトとして変形に導入されるのは典型的である。全プロセスの結果は、ゼオライトXおよびゼオライトAを含む成形体である(特許文献9参照)。前記した方法のもう1つの不利は、さらなる処理にとっては有害であるSiO含有成形体の多孔度のようである。かくして、例えば、特許文献10においては、特に、より大きな粒状物の直径では、現実の変換前におけるSiO部分をゼオライト材料に変換するための溶解に比較的長い操作時間が必要であって、一方において、SiO含有量の可能なゼオライト材料への殆ど完全な変換を達成し、他方において、所望の非常にオープンな輸送細孔系を達成するためには、変換粒状物の非常に長い水処理が必要であることが特に示されている。典型的には、これらの製品においては、50nm未満の直径を持つかなりの比率の輸送細孔(メソ細孔)が検出可能であるが、これは、鉱物粘土のバインダー材料で変形された粒状物においては全く当てはまらない。
【0015】
圧力変化吸着技術を通じての非低温酸素豊富化のための強力な吸着剤としての前記したLSX−ゼオライトを導入する間においては、結合剤を含まないLSX−タイプのモレキュラーシーブもまた製造するために、ほぼ1990年代の半ば以来増大した努力がなされてきた。かくして、前記した方法の原理は同様に導入される。かくして、「BAYER」の原理に従って製造された製品はタイプLSXおよびタイプAを含む(特許文献11参照)。
【0016】
カオリン/メタ−カオリン基材で製造された製品については、示された結果はかなり反対である。しかしながら、2つの有害な傾向が明らかである。しかしながら、不十分な機械的安定性を持ついずれかの良く結晶化する製品が、カオリン/メタ−カオリンのゼオライト材料への変換を通じて得られるか、あるいは所望のLSX構造以外に、「本質的でない相」としての他の結晶構造(例えば、ゼオライト−Aまたはゼオライト−P)も含み、あるいは所望の構造への変換が理論的に可能な程度まで行われない機械的に安定な製品が得られる(特許文献12およびそこに含まれる引用参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第4,289,740号公報
【特許文献2】独国特許公開公報第2,731,010号
【特許文献3】特開昭62−283812号公報
【特許文献4】米国特許第6,743,745号公報
【特許文献5】米国特許第3,119,660号公報
【特許文献6】米国特許第4,818,508号公報
【特許文献7】米国特許第3,119,659号公報
【特許文献8】独国特許公開公報第1,203,238号
【特許文献9】英国特許公開公報第1,348,993号
【特許文献10】独国特許公開公報第2,016,838号
【特許文献11】米国特許第5,962,358号公報
【特許文献12】米国特許第6,478,854号公報
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】「The Economics of Zeolites,第6版」:Roskill Inf.Serv.Ltd,London,UK,2003
【非特許文献2】A.Pfenninger:Proc.Ind.Appl.Zeol.,Brugge,2000,73.
【非特許文献3】Costenoble u.a.:J/Chem.Soc.,Faraday Trans.I,72(1976),1877
【非特許文献4】M.−T.Grandmougin,R.Le Bec,D.Plee:Ind.Appl.Zeol.,Brugge,2000,93
【非特許文献5】A.Pfenniger「Molecular Sieves−Science and Technology」,Volume 2,Springer−Verlag,1999,163
【非特許文献6】Wpietsch:Aggl.Proc.:Phen.,Techn.,Equipmt.:Wiley−VCH,Weinheim,2002
【非特許文献7】D.Bathen,M.Breitbach:「Adsorptionstechnik」,Springer−Verlag 2001,13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
結論として、現在に至るまで、該モレキュラーシーブ粒状物は専らゼオライト−X材料から作製され、X−ゼオライトに基づいた機械的に安定なバインダー材料を含まないモレキュラーシーブ粒状物を生産するための効果的な方法は明らかにないと認められる。これは、少なくとも、>2.1−2.5範囲のSiO/Al比率を持つ製品に関する。
【0020】
記載された技術に基づき、本発明の目的は、ホージャサイト構造を持ち、かつ>2.1−2.5の範囲のSiO/Al比率を持つゼオライトを基とする低コストの機械的に安定な粒状物を提供することにある。ここに、該粒状物は、無視できる小さな割合のメソ細孔および最高の可能な平均直径の輸送細孔を持つ最適輸送系、およびホージャサイト構造、および>2.1−2.5の範囲のSiO/Al比率を持つ最大含有量のゼオライト材料を含む。該粒状物は技術的吸着プロセス用の高度に効果的な吸着剤として用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
該目的は、>2.1−2.5のSiO/Alモル比率を持つX−タイプの粉末ゼオライトを、最初に粉末状の熱的に処理されたカオリンと激しく混合することによって達成され、この混合物に水酸化ナトリウムとケイ酸ナトリウムを含む溶液が加えられて激しく混合され、こうして製造された混合物が公知の方法で水を加えつつ均一な形状の粒状物に変換される。該粒状物は乾燥され、乾燥の後に水和され、水酸化ナトリウムおよびアルミン酸ナトリウムの溶液で処理され、引き続いて、この溶液から分離され、洗浄され、乾燥され、調質される。
【発明の効果】
【0022】
驚くべきことに、かく製造された成形体は本発明の目的として達成されるべき前記した所望の特性を有し、当該分野で知られた現存の/記載された製品の不利は排除されることが判明した。特に有利なのは、成形体は、匹敵する測定条件下で、少なくとも水、二酸化炭素および窒素について、(活性化された条件における)基材製品として使用されるゼオライト粉末と同一の重量吸着容量を有するという事実である。粒状物はその全製造プロセスの間に400℃を超える温度に暴露される必要はないのはさらに有利である。これは、エネルギー(およびかくしてコスト)の削減を生じさせ、ゼオライト構造は同時に温和に処理される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】水銀ポロシメトリーを通じて作製された実施例2〜4による製品の細孔半径分布を示す概略図
【図2】水銀ポロシメトリーを通じて作製された実施例2〜4による製品の細孔半径分布を示す概略図
【図3】水銀ポロシメトリーを通じて作製された実施例2〜4による製品の細孔半径分布を示す概略図
【図4】水銀ポロシメトリーを通じて作製された実施例2〜4による製品の細孔半径分布を示す概略図
【図5】水銀ポロシメトリーを通じて作製された実施例2〜4による製品の細孔半径分布を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記方法を、より詳細に記載する。
【0025】
乾燥されたX−タイプのゼオライト粉末は、>2.1−2.5のモルSiO/Alを持つ、好ましくは2.25−2.45のSiO/Alモル比率を持つ基となる材料として用いられる。この目的では、前記X−タイプのゼオライトは、フィルターケーキまたはスラリーとして構成される場合にも使用することができ、ここに、各水分含有量は、造粒混合物を計算する場合には、それに従って考慮されなければならない。
【0026】
もう1つの基材成分として用いられる熱的に処理されたカオリンは、商業的に入手可能な原料カオリンから生成させる。この原料カオリンを、非−カオリン性成分(特に、シリカおよび長石)の含有量に基づいて選択することが重要である。さらなる処理を通じて(ゼオライト材料に変換されることができない)これらの異質な成分の含有量は<5質量%、好ましくは、<1質量%とすべきである。
【0027】
この原料カオリンの熱的処理は、例えば、600℃から800℃の温度範囲、好ましくは620℃から800℃の範囲で行われる。熱的負荷のためには、原料カオリンの焼成ロス(1時間,950℃)は、14%から約1%まで減少される。
【0028】
必要な場合、熱的に処理されたカオリンは、更なる処理の前に粉砕プロセスを通過させなければならない。というのは、<10μmの平均粒子サイズを持つ材料を用いるのは有利であることが証明されているからである。熱的に処理されたカオリンは、(各々、2つの成分の絶対的に水を含まない材料に関して)1:1から1:5の質量比率にて、好ましくは1:2から1:3.5の質量比率にてゼオライト成分と混合される。
【0029】
水酸化ナトリウムおよびケイ酸ナトリウムを含む溶液が該混合物に加えられ、激しく混合される。
【0030】
該混合は、例えば、ドラムミキサー、サイクロンミキサー、プラウシェアミキサーのような公知の装置で行われることができる。いずれの場合においても、成分の激しい混合が確保されなければならない。
【0031】
前記混合物は、公知の技術を介して均一に成形された粒状物(好ましくは、球状粒状物)に変化される。例えば、混合造粒器、プレート造粒器またはサイクロン造粒器を器具のために用いることができる。必要であれば、造粒プロセスの間に水を混合機に加える。
【0032】
仕上げられた造粒物を10℃から100℃、好ましくは40℃から70℃の温度で乾燥される。乾燥は静的な雰囲気または不活性ガス雰囲気で行うことができるが、乾燥すべき造粒物は雰囲気空気によって流動させるのが有利であることが判明した。
【0033】
乾燥された造粒物は、接着性ダスト粒子を除去し、またゼオライト化工程のための輸送細孔の接近性を改良するために、引き続いて、完全に脱塩された水で水和させる。このプロセスは、適当な攪拌容器中で、また、フラッシング水を通じて連続的に流動し、かつ粒状物を充填したカラム中で行うことができる。粒状物に対する水の比率は、好ましくは5:1から40:1の範囲、好ましくは8:1から20:1の範囲である。フラッシングで用いる水の温度は15℃から40℃の範囲とすべきであり、好ましくは、水処理は雰囲気温度で行われる。処理時間は5分から120分、好ましくは15分から60分である。
【0034】
水処理された粒状物は、引き続いて、アルミン酸ナトリウム溶液を加えつつ、薄くされた水酸化ナトリウム溶液を含む溶液で処理される。該処理は、適当な攪拌容器中で、または、該溶液によって連続的に流通され、かつ粒状物が充填されたカラム中で、行うことができる。粒状物に対する溶液の比率は、典型的には、5:1から40:1の範囲、好ましくは8:1から20:1の範囲である。このプロセス工程のための処理温度は、例えば、70℃から95℃の範囲、好ましくは75℃から90℃の範囲である。処理の持続は8から24時間の範囲であって、従前の非ゼオライト粒状物部分の所望のゼオライト材料への変換の達成された程度によって詳細に決定される。
【0035】
「エージング工程」は、この処理の前に、同様な組成を持つ、または同一溶液のアルカリ性溶液を用い、しかしながら、0.5から24時間、好ましくは1から4時間の時間にわたり、より低い温度、好ましくは雰囲気温度にて行うことができる。該処理が完了した後に、粒状物を処理溶液から分離し、<12のpH値が洗浄水で達成されるまで、前記したのと同一の基本的方法で完全に脱塩された水で洗浄する。変換からの使用済みの処理溶液は、再生されることが可能で、新しい粒状物での引き続いての処理工程で用いられることが可能である。
【0036】
洗浄された粒状物は、洗浄水から分離され、乾燥され、調質される。前記熱的工程は、材料の熱的/水熱的損傷が排除されるような条件下で行われなければならない。好ましくは、粒状物が乾燥した空気または不活性ガスによって連続的に流通され、温度が少しずつ上昇させることができる装置が用いられる。これらの熱的工程の持続および最終温度は、材料が必要な(最小の)水分率(典型的には、<1%質量)を含むように選択されなければならない。かくして、本状況においては、最高温度<450℃が十分である。以降の実施例および記載は、本発明の基本的原理を説明することを意図するものである。
【実施例】
【0037】
〔実施例1〕(NaMSX−基材成分)
以降の特性を持つ工業的製造方法を介して製造されたNaMSX粉末が、基材材料として用いられた:
SiO/Al: 約2.35
50: 約3.5μm
LOI(1時間,950℃): 21.4%質量
【0038】
〔実施例2〕(参照実施例)
本実施例に記載される材料は、1.6−2.5mmの典型的な粒サイズ範囲の、約2.35のSiO/Al比率(re.実施例1)を持つNaMSXゼオライト粉末に基づいた工業的製造技術を通じて慣用的方法で製造されたモレキュラーシーブである。活性化された状態の材料を参照して17%質量の比率でアタパルジャイト(タイプClarsol(Zeoclay) ATC NA,CECA)を、バインダー材料として用いた。活性化は、異なる温度ゾーンおよび540℃の最終温度を持つコンベアベルトオーブン中で行った。
【0039】
〔実施例3〕(本発明による)
基材粒状物を製造するために、2.35のSiO/Alモル比率および21.4%の焼成ロス(実施例1参照)を持つ733gのゼオライトNaMSXが、1%乾燥材料の焼成ロスにて、マッフル炉中で700℃にて1時間予備処理したKSブランド(販売業者DVS Co.Limited/Ukraine組成 表1参照)の223gのカオリンとMTI−混合機中で混合される。
別の容器中で、257gの5%水酸化ナトリウム溶液が、激しく攪拌されて、27.5%のSiO含有量および8.3%のNaO含有量を持つ257gのケイ酸ナトリウムと混合される。
造粒を行うために、ゼオライトおよびメタ−カオリンから作製された500gの乾燥混合物がMTI−混合機に入れられ、少量のケイ酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの調製された溶液が、混合機中に配置した超湿潤混合物において実質的な造粒が起こるまで加えられる。粒状物が約1.5−3mmの所望の粒サイズに到達するや否や、より少量の、ゼオライトおよび焼成されたカオリンを含む乾燥混合物を加えることによって混合物を粉末化する。得られた原料粒状物は、引き続いてRotorcoatorで丸くされる。このように抽出された水分は、特定の粒状物粒が一緒に付着するのを妨げるために、より少量の乾燥混合物を加えることによって補われる。
【0040】
得られた粒状物は、換気された乾燥室中で60℃にて20時間乾燥され(層の厚み,約2cm)、引き続いて、2つの画分に篩われる。
【0041】
ゼオライト化を行うために、30gの粒状物の1.6−2.5mm画分が、全ての接着性ダスト粒子を除去するように200mlの脱イオン水で3回水和される。引き続いて、300mlの脱イオン水の下で粒状物は、さらに30分間放置される。水は、この期間の後にほとんど注ぎ出され、ゼオライト化のための反応混合物で置き換えられる。ゼオライト化は、320gの3%水酸化ナトリウムを製造するために、各々19.5%のNaOおよびAlの含有量を持つ1.75gの工業用水酸化アルミン酸ナトリウムを加えることによって行われる。前述のように、この溶液は、水和した湿潤基材粒状物に加えられ、粒状物および反応性溶液から作製された混合物が、雰囲気温度にて4時間エージングされる。この期間の間に、容器は、エージング溶液の組成における均一性を最小まで制限するように時々軽く振盪される。
【0042】
エージングプロセスの完了の後、反応容器は、水浴に入れられ、83℃の温度まで加熱される。かくして、液体の蒸発が実質的に排除されるように容器が閉じられる。引き続いて、ゼオライト化反応が、この温度で16時間にわたって行われる。
【0043】
反応時間が終了した後、反応容器は、水浴から取り出され、余分な母水酸化物が50℃まで冷却した後に注ぎ出され、捨てられる。引き続いて、約200mlの脱イオン水での洗浄が行われ、洗浄水は、各々デカントすることによって除去される。引き続いて、粒状物が300mlの水の下に5−10分間放置され、しかる後ビュヒナー漏斗で吸引され、各々200mlの脱イオン水で2回再度洗浄され、激しく排気、引き続いて、赤外線ランプの下で約60℃にて約30分間乾燥される。
【0044】
X線結晶化度および異質相含有量を決定するために、0.8グラムの乾燥した造粒物がボールミル中で10分間にわたって粉砕される。次いで、得られた粉末が試料キャリア上に置かれ、ソフトウエアパッケージ「DIFFRACplus」が用いられた、Fa.Bruker−AXS GmbH,カールスルーエ製の型式「D4 ENDEAVOR」の回折計を用いて、得られたゼオライトのタイプ―X相の結晶化度について、および結晶性異質相の不存在についてチェックされる。本実施例に従って製造された粒状物については、これにより90%のX線結晶化度および結晶性異質相がないことが導き出される。
【0045】
化学的組成を決定するために、1.2gの乾燥粒状物がボールミル中で約20分間粉砕され、引き続いて、6gの結晶性ホウ酸を用いてSCHRAMMに従って圧縮されて、圧縮された円柱成分が成形される。次いで、ソフトウエアパッケージ「SPECplus」が用いられた、Fa.Bruker−AXS GmbH,カールスルーエ製の型式「S4 Explorer」のX線分光計にてこの試料の組成が決定される。かくして、各検定値を用いて、SiO/AlおよびNaO/Alのモル比率が決定され、他方、他の元素の含有量は、該ソフトウエアパッケージのラインライブラリーを用い、標準のない測定値として得られる。このように決定されたSiO/Al比率(「モジュール」)は2.34であって、かくして、基材粒状物を製造するのに用いるNaMSX粉末のモジュールにほとんど正確に対応する。主な成分SiO,AlおよびNaO以外に、造粒物は、さらに0.2%TiO、0.2%Fe、および各々0.1%に近いCaOおよびKOを含む。
乾燥された造粒物で決定された圧力抵抗性は、約31N/球であった。
【0046】
水に対する平衡吸着容量を決定するために、2gの乾燥造粒物が450℃にて約1時間活性化され、引き続いて、活性化された試料が五酸化リン上で乾燥機中にて冷却される。引き続いて、試料が希硫酸を入れた乾燥機中の秤量ガラスに入れられ、25℃におけるその蒸気圧は55%相対質量における水の分圧に対応する。硫酸が沸騰し始めるまで乾燥機は排気され、この条件において24時間放置される。次いで、水に対する吸着容量が質量増加から計算される。乾燥機中でのさらに24時間の留置時間の後に、試料質量の変化が検出されなかったので、吸着容量は水蒸気についての分析した粒状物試料の平衡吸着容量に対応すると推定するのは安全であった(結果 表2参照)。
【0047】
窒素および二酸化炭素に対する吸着容量を決定するために、0.4gの乾燥粒状物が、真空下でMicrometrics Company(USA)製の試料調製ステーション型式「VacPrep 061」中の試験管中で400℃にて3時間活性化され、引き続いて、吸着物としての各測定ガスを含む、Micrometrics Company(USA)製の吸着測定装置型式「Gemini 2370」中にて25.0℃で測定される。得られた吸着値は、表2に含まれ、基材粒状物を製造するのに用いるNaMSX粉末で決定された値に対応する測定精度内にある。
【0048】
〔実施例4〕(本発明による)
メタカオリン粉末は、ゼオライト化のためのより多量の基材粒状物を製造するのに用いられ、引き続いて規定された平均粒子サイズまでジェットミル中で粉砕するとともに、カオリンをIMERYS Co.製の商品名「Super Standard Porcelain」とともに、回転式管状炉で約720℃の最大製品温度および約1時間の留置時間にて焼成することによって、メタカオリン粉末が得られる。こうした基材カオリンの組成は、表1に含まれる。該材料はほとんどシリカを含まないが、それは、明らかに、有意な量のカリウム長石を含む。これは、比較的高いKO含有量およびX線回折図形における各映像の存在に由来することができる。
【0049】
各々基材粒状物を製造するために、21.4%の焼成ロスおよび2.35のモジュール(実施例1参照)を持つ24.1kgのNaMSX粉末が、7.4kgの前記メタ−カオリン粉末と乾燥状態で型式R7のEIRICH混合機中で混合される。次いで、この乾燥混合物は、各々、7.7kgの(27.5%のSiO含有量および8.3%のNaO含有量を持つ)ケイ酸ナトリウムと0.8kgの48%水酸化ナトリウムとの8.5kgの溶液とともにゆっくりと補充される。次いで、このプレミックスは、実質的な均一性レベルが達成されるまで混合する。このプロセスは、十分な量の造粒可能なプレミックスを得るために、数回反復される。
【0050】
造粒を開始するために、プレミックスの製造された40kgバッチの最後が、EIRICH混合機中に放置され、粒状物の成形が、水をゆっくりと加えることによって開始される。粒状物の成形が開始された後、プレミックスの散布と水での湿潤化が、約1.5−3.0mmの所望の粒状物スペクトルに到達するまで、交互に行われる。次いで、完全に造粒された混合物は、篩装置において、使用可能な粒画分、過小サイズの粒画分および過大サイズの粒画分に分離される。次いで、引き続いて、過大粒画分は、EIRICH混合機中で破砕され、再生材料としての過小サイズの粒画分と一緒に造粒プロセスにフィードバックされる。次いで、各々、プレミックスおよび再生材料を用いて引き続いての造粒プロセスが行われる。
次いで、得られた新鮮な粒状物の使用可能な粒画分を、約2の層の厚みにて、空気を循環させるチャンバードライヤー中で、24−36時間の間乾燥され、引き続いてゼオライト化のために基材粒状物として用いられる。
【0051】
ゼオライト化を行うため、8.5kgの乾燥造粒物が、約15cm内径および約70cmの使用可能な高さを持つ除去可能な挿入部を備えたフロースルー式反応器に入れられ、循環流において脱イオン水で30分間水処理される。それに並行して、反応性溶液は、別々の貯蔵容器中で調製され、ここに、該溶液は、200リットルの3%水酸化ナトリウムおよび、各々19.5%のNaOおよびAlの含有量を持つ1.1kgの工業用水酸化アルミン酸ナトリウムを含む。次いで、この反応溶液は、23℃の温度および200l/時間のフロースルー速度にて、予め洗浄された粒状物上に2時間ポンプ送液される。このエージング時間の後に、該反応溶液は、バイパス熱交換器を通じて蒸気で83℃まで加熱され、ゼオライト化が16時間にわたって行われる。この時間が終了した後に、母体となる基材は、排出され、粒状物が、各々200リットルの脱イオン水の3回分で洗浄される。
【0052】
次いで、湿潤粒状物が挿入部と一緒に反応器から取り出され、50℃の最大温度にて空気流中で約8時間乾燥される。乾燥の後に、380℃までの漸次の活性化が行われる。得られた粒状物は、1.0%未満の残留水含有量を有する。X線蛍光分析を通じて決定した粒状物の比率は2.37であり、かくして、基材粒状物を製造するのに用いられたNaMSX粉末についての値にほぼ対応する。
本実施例に従って製造された粒状物については、86%のX線結晶化度および結晶性異質相の欠如が検出される。
【0053】
吸着特性および圧力抵抗性に関する、および得られた粒状物に関するデータが表2に含まれる。得られた吸着特性は、基材粒状物を製造するのに用いられたNaMSX粉末の吸着特性にほぼ対応する。実施例1と比較し、二酸化炭素に対する僅かにより低い吸着容量は、用いたメタ−カオリン中のカリウム長石の検出可能な含有量によって説明することができる。明らかに、このカリウム長石は、ゼオライト相に変換されず、あるいは十分には変換されない。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

注釈:WAC−25℃および55%相対質量における水吸着容量
【0056】
表2による結果を基とすると、その機械的安定性に関する本発明の製品は、慣用的な製品に少なくとも匹敵すると判断することができる。本発明の製品についてX線回折法を通じて決定された粒状物中のゼオライト材料の部分の結晶化度は、匹敵する慣用的な製品よりも高い。驚くべきことに、本発明による製品について、純粋な粉末について測定された吸着容量と実質的に同一となる吸着容量が見出されうる。これは、本発明による製品が現実に、所望の構造のほとんど100%ゼオライト材料から作製されたことを示す。一方においてX線回折法を通じて、および他方において吸着測定を通じて、決定された粒状物中のゼオライト材料含有量の間の明らかな矛盾は、吸着を通じて検出されたゼオライト材料の一部はX線回折法を通じて検出できず、かくして、それは「X線アモルファス」である点で説明することができる。この状況は、各結晶子が余りにも小さくて、X線回折を引き起こさない場合に起こる。かくして、実施例3および4に関する「ゼオライト化」の間において、ゼオライト材料の約10%が、X線回折法の検出限界値未満の粒子サイズ、しかして、全ての現在の経験により吸着の適用において有利な特性を有するべきナノ粒子、とともに作り出されたと推定することができる。
【0057】
図1〜5は、水銀ポロシメトリーを通じて作製された実施例2〜4による製品の細孔半径分布を示す。測定は、Porotec Co.製の機器の組合せPASCAL P140、P440で行われた。最初に、干渉性ガスが、真空中で試料表面から除去された。その後、400kPaまでの漸次の圧力上昇が、低圧ポロシメーターP140で行われた。その後、試料は、大気圧で高圧ステーションに挿入され、圧力が400mPaまで上昇される。特定の方法(PASCAL)を通じて、圧力変化勾配が、圧力範囲の関数として、およびプローブによる水銀吸着量の関数として変化させられる。プローブに浸透する水銀容量が記録され、細孔サイズの分布が決定される。図2〜5と図1との比較に基づき、本発明による製品は、無視できるほど僅かな比率の、<50nmの直径を持つ望ましくない輸送細孔(メソ細孔)を含むに過ぎないと確定することができる。該特性は、基材粒状物(新鮮な粒状物 図3参照)の製造の間に既に形成されている。引き続いての処理工程(水処理、ゼオライト化、洗浄、乾燥および調質 図4および5参照)は、より大きな直径までの輸送細孔スペクトルの移動、および/または例えば結晶化プロセスを通じての依然として存在するメソ細孔の排除に導く。特に、本発明による製品は、吸着および脱着の間の迅速な変化を伴う吸着プロセスについての、慣用的な製品を超える輸送細孔系を基とする動的な吸着プロセスにおけるそれらの適用で有意な利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホージャサイト構造、≧2.1−2.5のSiO/Alモル比率、>300nmの平均輸送細孔直径からなるゼオライトを基とする吸着剤粒状物であって、該輸送細孔がメソ細孔およびマクロ細孔を含み、および該メソ細孔画分は、十分な加工性の粒状物の安全な取扱を促進する機械的特性を備えて、<10%、好ましくは<5%であることを特徴とする吸着剤粒状物。
【請求項2】
1.6−2.5mmの範囲の直径を持つ乾燥された粒状物において測定した圧力抵抗性が、≧30N/球である請求項1に記載の吸着剤粒状物。
【請求項3】
同一構造および組成を持つゼオライト粉末についての値の少なくとも96%以内の静的吸着容量があり、X線図を通じて決定されたゼオライト部分の結晶化度が、>85%である請求項1または2に記載の吸着剤粒状物。
【請求項4】
乾燥粉末、フィルターケーキまたはスラリーとして供された≧2.1−2.5のSiO/Alモル比率を持つX−タイプのゼオライトが、≦5質量%の非カオリン製材料を含んでもよい≦10μmの範囲の平均粒子直径を持つ熱的に処理されたカオリンと1:1から1:5の重量比率で混合され、次いで、該混合物は水酸化ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム溶液の混合物と混合され、該混合物は粒状物に成形され、該粒状物は乾燥プロセスに付され、引き続いて、完全に脱塩された水で水和され、70℃から90℃の範囲の温度にてアルミン酸ナトリウム溶液で24時間にわたって処理され、次いで、かく処理された粒状物は溶液から分離され、洗浄され、乾燥され、調質されることを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の吸着剤粒状物の製造方法。
【請求項5】
カオリンを熱的に処理するための温度が、600℃から850℃の範囲にある請求項4に記載の方法。
【請求項6】
粒状物に対する洗浄水の比率が、5:1から40:1の範囲、好ましくは8:1から20:1の範囲である請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
該水和された粒状物が、アルミン酸ナトリウム溶液を加えつつ、希薄な水酸化ナトリウム溶液を含む溶液で処理される請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
粒状物に対する溶液の比率が、5:1から40:1の範囲、好ましくは8:1から20:1の範囲である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該アルミン酸ナトリウム溶液での処理の持続が、非ゼオライト性粒状物成分の所望のゼオライト材料への変換の得られた程度によって決定される請求項4に記載の方法。
【請求項10】
アルミン酸ナトリウム、またはもう1つの組成を除いて同一の成分を含む溶液での、しかしながら、より低温でのエージング工程が、該アルミン酸ナトリウム溶液での処理を行う前に、0.5から24時間、好ましくは1から4時間にわたって行われる請求項4に記載の方法。
【請求項11】
請求項4から10のいずれか1項に従って製造された吸着剤粒状物からなる、またはそれを含む吸着剤。
【請求項12】
酸素豊富化、水素精製、天然ガス処理、エネルギー貯蔵および同様な吸着プロセスのためのプロセスにおいて請求項11に記載の吸着剤を用いる方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−514839(P2011−514839A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549108(P2010−549108)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052385
【国際公開番号】WO2009/109529
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(510237491)ヒェミーヴェルク バット ケーストリッツ ゲーエム ベーハー (1)
【Fターム(参考)】