説明

吸着材の吸着容量測定装置

【課題】振動に強く、運搬が容易で、且つ短時間での測定が可能な吸着材の吸着容量測定装置を提供する。
【解決手段】吸着材10を収納する吸着材容器22と、吸着材容器22へ導入させる水を貯留させておく水容器24と、水容器24内の水温を測定する第1の温度センサ40と、吸着材容器22内へ水を導入させた後の吸着材容器22内の水温を測定する第2の温度センサ38と、吸着材容器22に水を導入した後の水温の上昇温度ΔTと吸着材10の水の吸着容量との関係式を予め記憶させてある記憶手段44と、第1の温度センサ40で測定された第1の温度T1と第2の温度センサ38で測定された第2の温度T2との差である上昇温度ΔTを算出し、算出された上昇温度ΔTに基づいて記憶手段44に記憶されている関係式から吸着容量を算出する算出手段42とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着材における吸着容量を自動的に測定する吸着容量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカゲル、アルミナ、ゼオライト等の水を吸着する吸着材は、その種類によってどのくらい水を吸着可能か、その容量(吸着容量)が異なっている。
一方、吸着材を利用している側では、吸着材の使用後に廃棄するかリサイクルするかを判断するために、吸着材の吸着容量を測定することが望まれている。
【0003】
従来より知られている吸着材の吸着容量の測定方法としては、吸着材の吸着前後の重量を比較して重要の変化量から吸着容量を算出する方法(重量法)と、吸着材へ導入した気体の体積が吸着により減少することを利用して体積変化から吸着容量を測定する方法(容量法)とがある。
一般的には、吸着容量の測定装置としては、装置構成が簡易となることから、重量法が多く採用されている。
【0004】
重量法に基づいて自動的に吸着容量を測定する吸着容量測定装置としては、ばね秤の先端部に吸着材を収納するバスケットを設けておき、吸着材の吸着前後におけるばねの伸張量をレーザ光によって測定するもの(例えば、特許文献1参照)や、精密天秤を用いて吸着材の吸着前後の重量を測定するもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−277369号公報
【特許文献2】特開2000−292246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、吸着容量測定装置においては、ばね秤や精密天秤等の精密機器を内蔵しており、吸着容量の測定は正確に行える。
しかし、精密天秤は振動に弱く、振動の多い場所では使用できないという課題があった。さらに、このような吸着容量測定装置を運搬しようとすると運搬時の振動により精度が変化してしまい、場所を移動させる都度精密天秤の校正が必要であり、使用に際しては大変な手間がかかっているという課題があった。
一方、ばね秤を使用する吸着容量測定装置や、容量法による吸着容量測定装置については装置が大型化しており、運搬自体が困難であり、持ち運びが簡単にできる装置が望まれているという課題があった。
【0007】
さらに、ばね秤や精密天秤を使用した従来の吸着容量測定装置では、吸着材の吸着容量に基づく重量が平衡状態に達するまでに時間がかかり、短時間での測定が望まれているという課題もあった。
【0008】
そこで、本発明者等は、吸着材の吸着容量の測定方法として、吸着材が水を吸着した後の温度変化に基づく方法を採用し、自動的に吸着容量を測定可能な測定装置に適用すべく鋭意検討した結果、本発明に想到した。
【0009】
すなわち、本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、振動に強く、運搬が容易で、且つ短時間での測定が可能な吸着材の吸着容量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成すべく、以下の構成を備える。
すなわち、本発明にかかる吸着材の吸着容量測定装置によれば、吸着材を収納する吸着材容器と、吸着材容器へ導入させる水を貯留させておく水容器と、水容器内の水温を測定する第1の温度センサと、吸着材容器内へ水を導入させた後の吸着材容器内の水温を測定する第2の温度センサと、吸着材容器に水を導入した後の水温の上昇温度と吸着材の水の吸着容量との関係式を予め記憶させてある記憶手段と、第1の温度センサで測定された第1の温度と第2の温度センサで測定された第2の温度との差である上昇温度を算出し、算出された上昇温度に基づいて記憶手段に記憶されている関係式から吸着容量を算出する算出手段とを具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、吸着容量の測定を温度上昇に基づいて算出可能となるので、秤や天秤など振動に弱い構成を採用しなくともよく、振動に強い吸着容量測定装置とすることができる。また、振動に強いので可搬性に優れる。さらに、吸着材が吸水して恒温状態となるには数分間程度で済むので、短時間で測定が完了する。
【0011】
また、前記水容器と前記吸着材容器との間に配設され、前記水容器から前記吸着材容器へ水を導入するための導入管と、該導入管の中途部に設けられ、導入管を開閉するバルブと、前記吸着材容器に設けられ、前記水容器から導入された水量を測定する水量測定センサと、水量測定センサが測定した水量が所定量に達した場合にはバルブを閉じるように制御する制御手段とを具備することを特徴としてもよい。
この構成によれば、吸着材容器へ水を導入する際に正確な量の水を導入することができるので、吸着容量も正確な値を算出することができる。
【0012】
また、少なくとも前記吸着材容器および前記水容器は、恒温槽内に設けられていることを特徴としてもよい。
この構成によれば、水容器内および吸着材容器に導入した水の温度が外乱により変化することがなく、正確な吸着容量を測定することができる。
【0013】
さらに、前記算出手段によって算出された吸着容量を表示する表示手段が設けられていることを特徴としてもよい。
この構成により、ユーザは容易に測定結果を知ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる吸着材の吸着容量測定装置によれば、振動に強く、持ち運びが容易にでき、しかも短時間で吸着容量の測定ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1に本実施形態の吸着容量測定装置の外観構成を示し、図2に吸着容量測定装置の内部構成について示す。
吸着容量測定装置20は、正面側が開口した収納空間23を有する筐体21内に、測定すべき吸着材10を収納する吸着材容器22と、吸着材容器22内の吸着材に吸着させる水を貯留させておく水容器24が設けられて成る。
【0016】
筐体21は、収納空間23の正面をガラス等で構成され、収納空間23を開閉する正面扉26を有している。ユーザが正面扉26を開閉することで、吸着材容器22への吸着材の充填・廃棄や、水容器24への水の供給等を行うことができる。
また、筐体21の収納空間23の周囲の筐体内部には、断熱材(図示せず)が設けられており、収納空間23内が恒温となるように設けられている。
【0017】
筐体21の収納空間23の横の正面側には、初期状態の水の温度T1(℃)、吸着後の水の温度T2(℃)、吸着後の水の温度T2から初期状態の水の温度T1を減算した上昇温度ΔT(℃)、上昇温度に基づいて算出された吸着容量(重量%)をそれぞれ表示する表示部28が設けられている。表示部28は液晶またはその他の手段で構成されている。
【0018】
収納空間23の底面23aには、吸着材容器22および水容器24の下端部を収納保持するように、各容器の外径よりも若干大径の収納穴31,32が設けられている。各収納穴31,32に吸着材容器22および水容器24の下端部を挿入して保持させることにより、収納空間23内で吸着材容器22と水容器24は、倒れずに保持される。
【0019】
なお、本実施形態では、吸着材容器22および水容器24の形状は、下端部が徐々に窄まるような球状または円錐状に形成され、下端部よりも上方全体が円柱状に形成されている形状となっている。
しかし、本発明としては、このような形状に限定することはなく、下端部が窄まるように形成されていなくてもよく、また四角柱状等の多角形状に形成されていてもよい。
【0020】
吸着材容器22の下端部および水容器24の下端部には、それぞれ連通穴22a,24aが形成されており、連通穴22aと連通穴24aとの間は導入管34が接続されている。
導入管34は単なるパイプであり、水容器24の下端部から流出した水を、吸着材容器22の下端部へ導入すべく設けられている。導入管34の中途部にはバルブ36が設けられており、導入管34を開閉させる機能を有する。
また、導入管34およびバルブ36は、筐体21の収納空間23の周囲の筐体内部に配設されているとよい。これにより、導入管34内を流通する水も恒温状態を維持することができ、吸着容量の正確な測定に寄与する。
【0021】
吸着材容器22内には、吸着材容器22内に水を導入して吸着材10に水を吸着させた後の水の温度T2を測定するための温度センサ38が設けられている。
また、水容器24内には、吸着材10に水を吸着させる前の段階の水の温度T1を測定するための温度センサ40が設けられている。
これら温度センサ38,40としては、白金測温抵抗、サーミスタ、熱電対等を採用することができる。
【0022】
吸着材容器22に導入する水は、少なくとも収納されている吸着材10の上面よりも上方に水面が来るような量を導入し、吸着材10全体を水に浸漬させる必要がある。一方で、吸着材容器22から水があふれ出ないようにする必要もある。
そこで、吸着材容器22には、導入された水量を測定する水量測定センサ46が設けられている。水量測定センサ46としては、吸着材容器22内に配置されて吸着材容器22内の液面を検出する液面センサ46を採用するとよい。
液面センサ46は、吸着材容器22に充填される吸着材10の上面よりもやや上方を検出設定位置とし、下端部から導入された水が吸着材10のやや上方に達した場合に液面センサ46がこの液面を検出するように設けられる。
液面センサ46としては、光学式、電極式、静電容量式など様々ものを採用することができる。
【0023】
温度センサ38,40および液面センサ46は、制御部42に接続されている。制御部42は、CPUと、ROMおよびRAMから成るメモリとから構成されており、測定開始スイッチ30からの入力信号や、温度センサ38、40、液面センサ46からの温度信号や検出信号に基づいて各構成の動作を制御する。
【0024】
制御部42には、吸着材容器22に水を導入した後の水温の上昇温度と吸着材の吸着容量との関係式を記憶する記憶部44が接続されている。記憶部44としては、ROM等を用いることができる。
なお、記憶部44に記憶される関係式は1種類だけではなく、吸着材の種類により複数の関係式が記憶されているとよい。
【0025】
また、制御部42は、特許請求の範囲の算出手段に該当し、測定された水容器24内の水温(初期状態の水温)T1と吸着材に水を吸着させた後に測定された吸着材容器22内の水温T2との差である上昇温度を算出する機能、および算出した上昇温度に基づいて記憶部44内の関係式より吸着容量を算出する機能を有している。
【0026】
さらに、制御部42は、液面センサ46からの検出信号に基づいて、導入管34に設けられたバルブ36の開閉を制御するように設けられており、特許請求の範囲でいう制御手段に該当する。
【0027】
なお、筐体21の正面側のいずれかの箇所には、ユーザが操作するための測定開始スイッチ30および吸着材選択スイッチ33が設けられている。
測定開始スイッチ30は、制御部42に接続され、制御部42が測定動作を開始するトリガとなる測定開始信号を制御部42に送る。
【0028】
また、吸着材選択スイッチ33は、制御部42に接続され、測定対象となる吸着材10の種類をユーザに選択させるためのスイッチである。吸着材選択スイッチ33の近傍には、選択用表示部29が設けられている。選択用表示部29に表示される複数の吸着材(記憶部44に関係式が記憶されている吸着材)の種類の中からユーザが任意の吸着材を選択して決定した場合、選択信号が制御部42に入力され、制御部42は選択信号に対応する種類の吸着材10の関係式を記憶部44から読み出す。
【0029】
図3に、吸着材容器22に水を導入した後の水温の上昇温度と吸着材の吸着容量との関係について示す。
ここで示す関係は、例として、所定の径を有する合成ゼオライトの吸着容量と、吸着後の水の温度上昇との関係についてグラフに表したものであるが、吸着材の種類によってその関係式は様々に異なるものである。このような関係式については予め実験を行って求めておく必要がある。
図3では、x軸に上昇温度を、y軸に吸着容量を示しており、グラフは右肩下がりの直線状になる。したがって、上昇温度と吸着容量との関係は1次関数で表され、上昇温度が判明すれば、1次関数によって吸着容量が容易に算出される。
このような関係式が吸着材10の種類毎に記憶部44に記憶される。
【0030】
なお、吸着材10に水を吸着させた場合の温度上昇は、図4に示すように、吸着直後から徐々に上昇し始め、所定の温度に達した後、徐々に下降していく。
したがって、制御部42では、温度センサ38の測定値を常時チェックし、温度がピークに達したときの温度を吸着後の上昇温度とし、この温度を用いて最終的に吸着容量を算出する。
【0031】
次に、図5に制御フローチャートを示し、これに基づいて吸着容量測定装置20の動作について説明する。
まず、ユーザは、吸着材容器22に測定しようとする吸着材10を所定量充填する。また、ユーザは、水容器24に所定量以上の水が充填されているか確認し、水の充填量が足りない場合には水を追加する。なお、この状態では、吸着材容器22と水容器24とを連通している導入管34のバルブ36は閉となっており、水容器24内の水は吸着材容器22内へ導入されないように設けられている。
【0032】
ユーザが吸着材選択スイッチ33を操作して設定すると(ステップS100)、選択信号が制御部42に入力される。制御部42は、入力された選択信号に基づいて吸着容量算出時において選択された吸着材の種類に対応する関係式を記憶部44から読み出すように制御する。
【0033】
そして、ユーザが測定開始スイッチ30を押下すると(ステップS101)、測定開始信号が制御部42に入力され、制御部42は現在の水容器24内の水温T1を測定する(ステップS102)。測定された水温T1は制御部42内のメモリ内に記憶される。また、制御部42は、測定された水温T1を表示部28に表示させるように表示信号を出力する(ステップS103)。
【0034】
その後、制御部42はバルブ36を開けるようにバルブ36へ制御信号を出力する(ステップS104)。
バルブ36が開となることによって、水容器24内の水が導入管34を通って吸着材容器22へ流れ込む。
【0035】
液面センサ46が、吸着材容器22の水位が液面センサ46の取り付け位置までの上昇を検知すると(ステップS106)、制御部42は、液面センサ46からの検知信号を受信し、水の導入を停止させるべく、バルブ36を閉じるように制御信号を出力し、バルブ36を閉じる(ステップS108)。
【0036】
次に、制御部42は、吸着材容器22内の温度センサ38により、温度検出を実行する(ステップS110)。このとき、制御部42は、水が導入された後の温度上昇を常時検出し続け、ピークに達したときの温度を吸着材容器22の水温T2として認識する(ステップS112)。測定された水温T2は制御部42内のメモリ内に記憶される。また、制御部42は、測定された水温T2を表示部28に表示させるように表示信号を出力する(ステップS113)。
【0037】
次に、制御部42は、T2−T1を計算し、上昇温度ΔTを算出する(ステップS114)。また、制御部42は、算出された上昇温度ΔTを表示部28に表示させるように表示信号を出力する。また算出された上昇温度ΔTは、制御部42内のメモリ内に記憶される(ステップS115)。
そして、制御部42は、記憶部44に記憶させておいた関係式に上昇温度を代入することにより、吸着容量を算出する(ステップS116)。制御部42は、算出した吸着容量を表示部28に表示させるように表示信号を出力する。また算出された吸着容量は、制御部42内のメモリ内に記憶される(ステップS117)。
測定された吸着容量が表示部28に表示されることにより、吸着容量測定装置20の吸着容量の測定動作は終了する。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。ただし、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
上述した実施形態では、筐体21の収納空間23の底面23aに、吸着材容器22および水容器24の下端部を挿入して保持させ、ユーザが水容器24へ水を入れ、吸着材容器22から水を捨てるようにしているものであったが、本実施形態では、吸着材容器22および水容器24を筐体21に固定して、自動的に水の導入と排出を実行できる点で上述した実施形態の構成と異なる。
【0039】
図6に示すように、吸着材容器22と水容器24とを連通している導入管34には、外部から水を供給するために水供給源(図示せず)と連結される水供給口48と、水供給口48を開閉する供給バルブ52とが設けられている。
導入管34の供給バルブ52とバルブ36の間に、水容器24の連通穴24aへ連通する分岐管34aが配設されている。
また、水容器24には、水容器24内の水量を測定する水量測定センサ54が設けられている。本実施形態では、水量測定センサとして液面センサ54を用いている。
【0040】
また、導入管34のバルブ36を挟んで水供給口48とは反対側の端部には、吸着材容器22からの水を排出する排出口50と、排出口50を開閉する排出バルブ56とが設けられている。
導入管34の排出バルブ56とバルブ36の間に、吸着材容器22の連通穴22aへ連通する分岐管34bが配設されている。
また、導入管34における排出バルブ56と分岐管34bとの間には、水検知センサ57が設けられており、導入管34内の水の流通を検出可能である。
【0041】
次に、図7および図8に制御フローチャートを示し、これに基づいて第2の実施形態における吸着容量測定装置20の動作について説明する。
ユーザが吸着材選択スイッチ33を操作して設定すると(ステップS200)、選択信号が制御部42に入力される。制御部42は、入力された選択信号に基づいて吸着容量算出時において選択された吸着材の種類に対応する関係式を記憶部44から読み出すように制御する。なお、このとき、バルブ36、供給バルブ52および排出バルブ56の全てのバルブは閉となっている。
【0042】
そして、ユーザが測定開始スイッチ30を押下すると(ステップS201)、測定開始信号が制御部42に入力される。制御部42は、供給バルブ52を開けるように制御信号を出力する(ステップS202)。液面センサ54が水容器24内に所定量の水が貯留されたことを検出した(ステップS203)場合には、制御部42は、供給バルブ52を閉じるように制御信号を出力する(ステップS204)。
【0043】
次に、制御部42は現在の水容器24内の水温T1を測定する(ステップS205)。測定された水温T1は制御部42内のメモリ内に記憶される。また、制御部42は、測定された水温T1を表示部28に表示させるように表示信号を出力する(ステップS206)。
【0044】
その後、制御部42はバルブ36を開けるようにバルブ36へ制御信号を出力する(ステップS207)。
バルブ36が開となることによって、水容器24内の水が導入管34を通って吸着材容器22へ流れ込む。
【0045】
液面センサ46が、吸着材容器22の水位が液面センサ46の取り付け位置までの上昇を検知すると(ステップS208)、制御部42は、液面センサ46からの検知信号を受信し、水の導入を停止させるべく、バルブ36を閉じるように制御信号を出力し、バルブ36を閉じる(ステップS209)。
【0046】
次に、制御部42は、吸着材容器22内の温度センサ38により、温度検出を実行する(ステップS210)。このとき、制御部42は、水が導入された後の温度上昇を常時検出し続け、ピークに達したときの温度を吸着材容器22の水温T2として認識する(ステップS212)。測定された水温T2は制御部42内のメモリ内に記憶される。また、制御部42は、測定された水温T2を表示部28に表示させるように表示信号を出力する(ステップS213)。
【0047】
次に、制御部42は、T2−T1を計算し、上昇温度ΔTを算出する(ステップS214)。また、制御部42は、算出された上昇温度ΔTを表示部28に表示させるように表示信号を出力する。また算出された上昇温度ΔTは、制御部42内のメモリ内に記憶される(ステップS215)。
そして、制御部42は、記憶部44に記憶させておいた関係式に上昇温度を代入することにより、吸着容量を算出する(ステップS216)。制御部42は、算出した吸着容量を表示部28に表示させるように表示信号を出力する。また算出された吸着容量は、制御部42内のメモリ内に記憶される(ステップS217)。
【0048】
次に、制御部42は、排出バルブ56を開くように制御信号を出力する(ステップS218)。排出バルブ56が開くと、排出口50から吸着材容器22内の水が排出される。この排出口50へ流れる水は水検知センサ57によって検知されており、水検知センサ57による水が検知されなくなった場合(ステップS219)には、吸着材容器22からの水の排出が完了したものとして、制御部42は排出バルブ56を閉じるように制御信号を出力する。
【0049】
このように、第2の実施形態では、水の供給と排出を自動的に行うことができ、第1の実施形態と比較してユーザの手間を省くことができる。
【0050】
なお、上述した各実施形態の構成では、制御部42が吸着材容器22の上昇温度を測定するために、温度がピークになるまで測定を続けるものについて説明した。
しかし、本発明としてはこの構成に限定されることなく、ある一定の時間を経過した場合には吸着材容器22の上昇温度に到達したとみなして、このときの温度を吸着材容器22内の水の温度T2としてもよい。例えば、吸着材に水を吸着させたときの温度上昇は、10〜20秒程度で最高に到達するので、吸着材容器22へ水を導入してから20秒経過時の温度を吸着材容器22内の水の温度T2とする。
【0051】
また、水量測定センサとしては、液面センサ46に限定されるものではなく、重量により所定量の水が導入されたか否かを判別する重量センサであってもよい。
【0052】
さらに、上述した各実施形態における表示部28は、吸着前の初期状態の水温T1、水の吸着後の水温T2、上昇温度ΔT、および算出された吸着容量を表示させるものであった。しかし、表示部28としては、少なくとも最終的に算出された吸着容量のみを表示させるものであってもよい。
【0053】
また、測定開始スイッチ30が操作されてからの経過時間を表示する時間表示部(図示せず)を筐体21に設けるようにし、ユーザの利用に供するようにしてもよい。
【0054】
以上本発明につき好適な実施形態を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の吸着容量測定装置の外観構成を示す説明図である。
【図2】吸着容量測定装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】吸着材に水を吸着させた場合の上昇温度と吸着容量との関係を示すグラフである。
【図4】吸着材に水を吸着させた場合の上昇温度の時間変化を示すグラフである。
【図5】吸着容量測定装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】第2の実施形態の内部構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態の動作を説明するフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートの続きである。
【符号の説明】
【0056】
10 吸着材
20 吸着容量測定装置
21 筐体
22 吸着材容器
22a,24a 連通穴
23 収納空間
24 水容器
26 正面扉
28 表示部
29 選択用表示部
30 測定開始スイッチ
31,32 収納穴
33 吸着材選択スイッチ
36 バルブ
38,40 温度センサ
42 制御部
44 記憶部
46 水量測定センサ(液面センサ)
48 水供給口
50 排出口
52 供給バルブ
54 水量測定センサ(液面センサ)
56 排出バルブ
57 水検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着材を収納する吸着材容器と、
吸着材容器へ導入させる水を貯留させておく水容器と、
水容器内の水温を測定する第1の温度センサと、
吸着材容器内へ水を導入させた後の吸着材容器内の水温を測定する第2の温度センサと、
吸着材容器に水を導入した後の水温の上昇温度と吸着材の水の吸着容量との関係式を予め記憶させてある記憶手段と、
第1の温度センサで測定された第1の温度と第2の温度センサで測定された第2の温度との差である上昇温度を算出し、算出された上昇温度に基づいて記憶手段に記憶されている関係式から吸着容量を算出する算出手段とを具備することを特徴とする吸着材の吸着容量測定装置。
【請求項2】
前記水容器と前記吸着材容器との間に配設され、前記水容器から前記吸着材容器へ水を導入するための導入管と、
該導入管の中途部に設けられ、導入管を開閉するバルブと、
前記吸着材容器に設けられ、前記水容器から導入された水量を測定する水量測定センサと、
水量測定センサが測定した水量が所定量に達した場合にはバルブを閉じるように制御する制御手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の吸着材の吸着容量測定装置。
【請求項3】
少なくとも前記吸着材容器および前記水容器は、恒温容器内に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸着材の吸着容量測定装置。
【請求項4】
前記算出手段によって算出された吸着容量を表示する表示手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれ1項記載の吸着材の吸着容量測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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