説明

吸着表面を有する微小粒子、それを作製する方法、およびその使用

【課題】薬剤、特に、高度に感受性でありかつ処方するのが困難な薬物のための柔軟な送達系を提供すること。
【解決手段】吸着表面を有する微小粒子であって、該微小粒子は、ポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマー;および界面活性剤、を含有する、微小粒子。この微小粒子はさらに、前記微小粒子の表面に吸着した第一の生物学的に活性な高分子であって、ここで、該第一の生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、医薬、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、およびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、第一の生物学的に活性な高分子を含有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、1999年4月2日に出願された米国特許出願番号09/285,855の一部継続出願であり、米国特許法第120条の下でそこから優先権が主張され、そしてこの出願はその全体が参考として本明細書中に援用される。米国特許出願番号09/285,855は、1998年7月29日に出願された米国特許出願番号09/124,533の一部継続出願であり、米国特許法第120条の下でそこから優先権が主張され、そしてこの出願はその全体が参考として本明細書中に援用される。米国特許出願番号09/124,533は、1998年1月29日に出願された米国特許出願番号09/015,652の一部継続出願であり、米国特許法第120条の下でそこから優先権が主張され、そしてこの出願はその全体が参考として本明細書中に援用される。米国特許出願番号09/015,652は、次には、1997年1月30日に出願された米国仮出願番号60/036,316、および1997年12月16日に出願された60/069,749に関連し、米国特許法第119条(e)(1)の下でそこから優先権が主張され、そしてこの出願はその全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、一般的に、薬学的組成物に関する。詳細には、本発明は、吸着表面を有する微小粒子、このような微小粒子を調製するための方法、およびそれらの使用に関する。さらに、本発明は、生分解性の微小粒子を含む組成物に関し、ここで生物学的に活性な薬剤(例えば、治療用ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗原、およびアジュバント)は、微小粒子の表面に吸着される。
【背景技術】
【0003】
(背景)
粒子キャリアは、制御された、治療化合物の非経口的な送達を達成するために使用されてきた。このようなキャリアは、長期間にわたって送達系において活性薬剤を維持するために設計される。微小粒子キャリアの例には、ポリメチルメタクリレートポリマー由来の微小粒子、ならびにポリ(ラクチド)(例えば、特許文献1を参照のこと)、PLGとして知られるポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(例えば、特許文献2を参照のこと)、PEGとして知られるポリエチレングリコール(例えば、特許文献3を参照のこと)由来の微小粒子が含まれる。ポリメチルメタクリレートポリマーは、非分解性であり、一方、PLG粒子は、ランダムな非酵素的なエステル結合の加水分解によって、通常の代謝経路に沿って排出される乳酸およびグリコール酸に生分解する。
【0004】
例えば、特許文献3は、鼻、経口、肺、および経口送達のための薬物送達系として、カプセル化された医薬を有するミクロスフェアの使用を記載する。種々のポリペプチド増殖因子を含む徐放性処方物もまた、記載されている。例えば、特許文献4特許文献5、および特許文献6を参照のこと。
【0005】
非特許文献1は、吸着したオリゴヌクレオチドを有するポリアルキルシアノアクリレート(PACA)から調製されるナノ粒子を記載する。
【0006】
粒子キャリアはまた、適切な免疫応答を誘発するための試みにおいて吸着されたかまたは閉じ込められた抗原とともに使用されてきた。このようなキャリアは、免疫系に対する選択された抗原の複数のコピーを提示し、そして局所的なリンパ節における抗原の捕捉および保持を促進する。この粒子は、マクロファージによって食菌され得、そしてサイトカイン放出を通して抗原提示を増強し得る。例えば、1998年1月29日に出願された、共有に係る、同時係属中の出願番号09/015,652は、細胞媒介免疫応答を刺激するための、抗原を吸着させた微小粒子および抗原をカプセル化させた微小粒子の使用、ならびにその微小粒子を作製する方法を記載する。
【0007】
例えば、共有に係る仮特許出願60/036,316において、微小粒子を形成する方法が開示され、これは、ポリマーを有機溶媒と合わせる工程、次いで、エマルジョン安定化剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA))を添加する工程、次いで、有機溶媒を蒸発させ、それによって微小粒子を形成する工程を包含する。この微小粒子の表面は、そのポリマーおよびその安定化剤を含む。次いで、高分子(例えば、DNA、ポリペプチド、および抗原)が、これらの表面に吸着され得る。
【0008】
カチオン性脂質に基づくエマルジョンは、遺伝子キャリアとして使用され得ることがまた示さている。例えば、非特許文献2非特許文献3非特許文献4を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,773,919号明細書
【特許文献2】米国特許第4,767,628号明細書
【特許文献3】米国特許第5,648,095号明細書
【特許文献4】国際公開第94/12158号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,134,122号明細書
【特許文献6】国際公開第96/37216号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Fattalら、Journal of Controlled Release 53:137−143(1998)
【非特許文献2】Yiら、Cationic Lipid Emulsion;a Novel Non−Viral,and Non−Liposomal Gene Delivery System,Proc.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.,24:653−654(1997)
【非特許文献3】Kimら、In Vivo Gene Transfer Using Cationic Lipid Emulsion−Mediated Gene Delivery System by Intra Nasal Administration,Proc.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.,25:344−345(1998)
【非特許文献4】Kimら、In Vitro and In Vivo Gene Delivery Using Cationic Lipid Emulsion,Proc.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.,26,#5438(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
抗原吸着したPLG微小粒子は、他のより毒性の系よりも有意な利点を提供し、微小粒子表面への生物学的に活性な薬剤の吸着は、問題であり得る。例えば、荷電しているか、またはかさ高い生物学的に活性な薬剤(例えば、ポリヌクレオチド、大きなポリペプチドなど)を、微小粒子表面に吸着させることは、しばしば困難か、または不可能である。従って、このような薬剤、特に、高度に感受性でありかつ処方するのが困難な薬物のための柔軟な送達系の必要性が、継続して存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明者らは、本明細書中において、広範な種々の高分子を吸着し得る吸着表面を有する微小粒子を形成する方法を発明した。この微小粒子は、ポリマーおよび界面活性剤の両方からなる。本発明の微小粒子は、現在利用可能な他の微小粒子よりも効率的にこのような高分子を吸着する。
【0013】
この微小粒子は、ポリマー(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、PACA、ポリシアノアクリレートなど)から誘導され、そして界面活性剤(例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤)とともに形成される。これらの界面活性剤は、組み合わせて使用され得る。さらに、本発明者らは、これらの微小粒子が、PVAのみを使用するプロセスによって形成される微小粒子と比較して、ウイルス抗原の吸着の改善をもたらし、そして、優れた免疫応答を提供することを発見した。PVAのみを用いて作製される微小粒子は、いくつかの高分子を吸着し得るが、他の界面活性剤を単独で、組み合わせて、またはPVAと組み合わせて使用する本発明の微小粒子は、広範な種々の高分子を吸着する。従って、次いで、本発明は、主に、そのような微小粒子、ならびに、そのような微小粒子を作製するためのプロセス、およびその微小粒子を使用する方法に関する。
【0014】
1つの実施態様において、本発明は、吸着表面を有する微小粒子に関し、ここでその微小粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマーを含む。
【0015】
別の実施態様において、本発明は、微小粒子表面に吸着される、選択した高分子(例えば、医薬、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、抗原、アジュバント、またはそれらの組合せなど)をさらに含むこのような微小粒子に関する。
【0016】
別の実施態様において、本発明は、本発明の微小粒子に吸着した、選択した高分子、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む、微小粒子組成物に関する。
【0017】
別の実施態様において、本発明は、生分解性ポリマーおよびイオン性界面活性剤を含有する微小粒子に関する。
【0018】
別の実施態様において、本発明は、吸着表面を有する微小表面を産生する方法に関し、この方法は以下の工程:
(a)ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマーを含有するポリマー溶液(ここでこのポリマーは、約1%〜約30の濃度で、有機溶媒中に存在する)、
およびアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤(ここでこれらの界面活性剤は、0.001〜10の重量対重量の界面活性剤対ポリマーの比で存在して、ポリマー/界面活性剤混合物を形成する)をポリマー溶液と合わせる工程;
(b)このポリマー/界面活性剤混合物を分散させる工程;
(c)有機溶媒を除去する工程;ならびに
(d)微小粒子を回収する工程、
を包含する。
【0019】
好ましくは、ポリマー/界面活性剤混合物は、有機溶媒を除去する前に乳化されてエマルジョンを形成する。
【0020】
別の実施態様において、本発明は、上記に記載した方法によって産生される微小粒子に関する。
【0021】
別の実施態様において、本発明は、吸着された高分子を有する微小粒子を産生する方法に関し、以下の工程:
(a)ポリ(D,L−ポリラクチド−コ−グリコリド)を含有するポリマー溶液(ここでこのポリマーは、有機溶媒中で、約3%〜約10%の濃度で存在する);
および、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤(ここでこの界面活性剤は、0.001〜10の重量対重量の界面活性剤対ポリマーの比で存在して、ポリマー/界面活性剤混合物を形成する)を合わせる工程;
(b)このポリマー/界面活性剤混合液を分散させる工程;
(c)このエマルジョンから溶媒を除去する工程;
(d)微小粒子を回収する工程;ならびに
(e)微小粒子の表面に高分子を吸着させる工程であって、ここでこの高分子は、医薬、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、抗原、アジュバント、およびそれらの組合せからなる群より選択される。好ましくは、ポリマー/界面活性剤混合物は、有機溶媒を除去する前に乳化されて、エマルジョンを形成する。別の実施態様において、本発明は、上記に記載の方法によって産生された吸着した高分子を有する微小粒子に関する。
【0022】
別の実施態様において、本発明は、微小粒子の表面に吸着した高分子および薬学的に受容可能な賦形剤を有する、吸着微小粒子を合わせる工程を包含する、吸着微小粒子組成物を産生する方法に関する。
【0023】
なお別の実施態様において、本発明は、上記の組成物を、脊椎動物被験体に投与する工程を包含する、脊椎動物被験体に高分子を送達する方法に関する。
【0024】
さらなる実施態様において、本発明は、本発明の微小粒子に吸着した選択された高分子の治療的有効量を、脊椎動物被験体に投与する工程を包含する、脊椎動物被験体において細胞内免疫応答を誘発するための方法に関する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、上記の微小粒子組成物の治療的有効量を、脊椎動物被験体に投与する工程を包含する、免疫方法に関する。この組成物は、必要に応じて、結合していない高分子を含み得、そしてまた、必要に応じて、アジュバント(アルミニウム塩(例えば、リン酸アルミニウム)を含む)を含み得る。
【0026】
好ましい実施態様において、微小粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸);より好ましくは、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド);そして最も好ましくは、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)から形成される。
【0027】
好ましい実施態様において、微小粒子は、疾患の診断における使用のためである。
【0028】
好ましい実施態様において、微小粒子は、疾患の処置における使用のためである。
【0029】
好ましい実施態様において、微小粒子は、ワクチンにおける使用のためである。
【0030】
好ましい実施態様において、微小粒子は、免疫応答を惹起する際における使用のためである。
【0031】
非消耗性の以前に記載された吸着微小粒子の各々はまた、必要に応じて、それらの中に閉じ込められた高分子を有し得る。
【0032】
本発明のこれらおよび他の実施態様は、本明細書中の開示を考慮して、当業者に容易に想定される。
好適な実施形態によれば、本発明により、以下が提供される:
(項目1) 吸着表面を有する微小粒子であって、該微小粒子は、以下:
ポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマー;および
界面活性剤、
を含有する、微小粒子。
(項目2) さらに、以下:
前記微小粒子の表面に吸着した第一の生物学的に活性な高分子であって、ここで、該第一の生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、医薬、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、およびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、第一の生物学的に活性な高分子を含有する、
項目1に記載の微小粒子。
(項目3) さらに、以下:
前記微小粒子内にカプセル化された第二の生物学的に活性な高分子であって、ここで、該第二の生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、医薬、ホルモン、酵素,転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、およびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、第二の生物学的に活性な高分子を含有する、
項目2に記載の微小粒子。
(項目4) 前記微小粒子がポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(αヒドロキシ酸)を含有する、項目1〜3のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目5) 前記微小粒子がポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)を含有する、項目1〜4のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目6) 前記界面活性剤がカチオン性界面活性剤である、項目1〜5のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目7) 前記界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、項目1〜5のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目8) 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、項目1〜5のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目9) 前記第一の生物学的に活性な高分子が、gp120、p24gag、p55gagおよびインフルエンザA赤血球凝集素抗原からなる群より選択される抗原である、項目2〜8のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目10) 前記第一の生物学的に活性な高分子がgp120をコードするポリヌクレオチドである、項目2〜9のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目11) 前記第二の生物学的に活性な高分子がアジュバントである、項目3〜10のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目12) 前記アジュバントがアルミニウム塩である、項目1〜11のいずれか1項に記載の微小粒子。
(項目13) 項目1〜12のいずれか1項に記載の微小粒子および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、微小粒子組成物。
(項目14) 項目1〜12のいずれか1項に記載の微小粒子を含有し、さらにアジュバントを含有する、微小粒子組成物。
(項目15) 前記アジュバントがCpGオリゴヌクレオチド、LTK63、LTR72、MPLおよびアルミニウム塩からなる群より選択されるメンバーである、項目14に記載の微小粒子組成物。
(項目16) 前記アジュバントがアルミニウム塩であって、該アルミニウム塩がリン酸アルミニウムである、項目15に記載の微小粒子組成物。
(項目17) 吸着表面を有する微小粒子を産生する方法であって、該方法は以下の工程:
(a)ポリマー溶液および界面活性剤の混合物を分散させる工程であって、ここで、該ポリマー溶液が、ポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマーを含有し、ここで、該ポリマーが有機溶媒中の約1%〜約30%の濃度で存在し、そして該界面活性剤が約0.00001:1〜約0.1:1の重量対重量の界面活性剤対ポリマー比で該混合物中に存在する、工程;および
該エマルジョンから該有機溶媒を除去する工程、
を包含する、方法。
(項目18) 前記界面活性剤がアニオン性界面活性剤である、項目17に記載の方法。
(項目19) 前記界面活性剤がカチオン性界面活性剤である、項目17に記載の方法。
(項目20) 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、項目17に記載の方法。
(項目21) 前記界面活性剤が約0.0001:1〜約0.01:1の重量対重量での界面活性剤対ポリマー比で存在する、項目17〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目22) 前記界面活性剤が約0.001:1〜約0.01:1の重量対重量での界面活性剤対ポリマー比で存在する、項目17〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目23) 前記界面活性剤が約0.005:1〜約0.01:1の重量対重量での界面活性剤対ポリマー比で存在する、項目17〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目24) 前記微小粒子がポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)およびポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)からなる群より選択されるポリ(αヒドロキシ酸)を含有する、項目17〜23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25) 前記微小粒子が、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)を含有する、項目24に記載の方法。
(項目26) 前記微小粒子が約3%〜約10%の濃度で存在するポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)を含有する、項目25に記載の方法。
(項目27) 吸着表面を有する微小粒子を産生する方法であって、該吸着表面には、生物学的に活性な高分子が吸着されており、該方法は以下の工程:
(a)ポリマー溶液および界面活性剤の混合物を乳化してエマルジョンを形成する工程であって、該ポリマー溶液は、ポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマーを含有し、そして該ポリマーは、約1%〜約30%の濃度で、有機溶媒中に存在し、そして該界面活性剤は、約0.00001:1〜約0.1:1の重量対重量の界面活性剤対ポリマー比で該混合物中に存在する、工程;
(b)該エマルジョンから該有機溶媒を除去して、該吸着表面を有する該微小粒子を形成する工程;ならびに
(c)該微小粒子の表面に対して該高分子を吸着させる工程、
を包含する、方法。
(項目28) 前記高分子が、医薬、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、ポリペプチド、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、抗原、およびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、項目27に記載の方法。
(項目29) 前記高分子が、gp120、p24gag、p55gagおよびインフルエンザA赤血球凝集素抗原からなる群より選択される抗原である、項目27〜28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30) 前記高分子が、gp120をコードするポリヌクレオチドである、項目29に記載の方法。
(項目31) 前記界面活性剤が約0.0001:1〜約0.01:1の重量対重量での界面活性剤対ポリマー比で存在する、項目27〜30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32) 前記界面活性剤が約0.001:1〜約0.01:1の重量対重量での界面活性剤対ポリマー比で存在する、項目27〜30のいずれか1項に記載の方法。
(項目33) 前記界面活性剤が約0.005:1〜約0.01:1の重量対重量での界面活性剤対ポリマー比で存在する、項目27〜30のいずれか1項に記載の方法。
(項目34) 項目17〜33のいずれか1項に記載の方法に従って作製された微小粒子。
(項目35) 項目34に記載の微小粒子および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、微小粒子組成物。
(項目36) 吸着表面を有する微小粒子を含有する微小粒子組成物を産生する方法であって、該吸着表面には、生物学的に活性な高分子が吸着されており、該方法は以下の工程:
(a)ポリマー溶液および界面活性剤の混合物を乳化してエマルジョンを形成する工程であって、該ポリマー溶液は、ポリ(αヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物およびポリシアノアクリレートからなる群より選択されるポリマーを含有し、そして該ポリマーは、約1%〜約30%の濃度で、有機溶媒中に存在し、そして該界面活性剤は、約0.00001:1〜約0.1:1の重量対重量の界面活性剤対ポリマー比で該混合物中に存在する、工程;
(b)該エマルジョンから該有機溶媒を除去して、該吸着表面を有する該微小粒子を形成する工程;
(c)該微小粒子の表面に対して該高分子を吸着させる工程;ならびに
(d)工程(c)からの該吸着された高分子を有する該微小粒子を薬学的に受容可能な賦形剤と合わせて該微小粒子組成物を形成する工程、
を包含する、方法。
(項目37) 項目36に記載の方法に従って作製された微小粒子組成物。
(項目38) 脊椎動物被験体に治療上有効な量の高分子を送達する方法であって、項目13〜16、35または37のいずれか1項に記載の微小粒子組成物を該脊椎動物被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目39) 疾患の診断のための、項目13〜16、35または37のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
(項目40) 疾患の処置のための、項目13〜16、35または37のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
(項目41) ワクチンのための、項目13〜16、35または37のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
(項目42) 免疫応答を惹起するための、項目13〜16、35または37のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
(項目43) 吸着表面を有する微小粒子であって、該微小粒子は以下:
生体分解性ポリマー;および
界面活性剤、
を含有する、微小粒子。
(項目44) さらに、以下:
前記微小粒子の表面に吸着した第一の生物学的に活性な高分子であって、ここで、該第一の生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、医薬、ホルモン、酵素、転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、およびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、第一の生物学的に活性な高分子を含有する、
項目43に記載の微小粒子。
(項目45) さらに、以下:
前記微小粒子内にカプセル化された第二の生物学的に活性な高分子であって、ここで、該第二の生物学的に活性な高分子が、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオシド、抗原、医薬、ホルモン、酵素,転写メディエーター、翻訳メディエーター、代謝経路の中間体、免疫調節剤、およびアジュバントからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、第二の生物学的に活性な高分子を含有する、
項目44に記載の微小粒子。
(項目46) 項目44〜45のいずれか1項に記載の微小粒子および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する、微小粒子組成物。
(項目47) 項目46の記載の微小粒子を含有し、さらに、アジュバントを含有する、微小粒子組成物。
(項目48) 疾患の診断のための、項目46〜47のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
(項目49) 疾患の処置のための、項目46〜47のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
(項目50) ワクチンのための、項目46〜47のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
(項目51) 免疫応答を惹起するための、項目46〜47のいずれか1項に記載の微小粒子組成物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施は、他に示さない限り、当業者の範囲内にある、化学、高分子化学、生化学、分子生物学、免疫学、および薬学の従来の方法を利用する。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Methods In Enzymology(S.ColowickおよびN.Kaplan編、Academic Press,Inc.);Handbook of Experimental Immunology,第I巻〜第IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、1986,Blackwell Scientific Publications);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、1989);Handbook of Surface and Colloidal Chemistry(Birdi,K.S.編、CRC Press,1997)およびSeymour/Carraher’s Polymer Chemistry(第4版、Marcel Dekker Inc.,1996)を参照のこと。
【0034】
本明細書中で引用される、すべての刊行物、特許、および特許出願は、上記または下記に関わらず、それらの全体が本明細書によって参考として援用される。
【0035】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」「an」および「the」は、文脈がそうでないと明確に指示しない限りは、複数形の言及を含む。従って、例えば、用語「微小粒子(a microparticle)」とは、1つ以上の微小粒子をいう、などである。
【0036】
(A.定義)
本明細書において記載される際に、以下の用語が使用され、そして以下に示すように定義されることが意図される。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「微小粒子」とは、直径約100nm〜約150nm、より好ましくは、直径約200nm〜約30μm、そして最も好ましくは、直径約500nm〜約10μmの粒子をいう。好ましくは、この微小粒子は、針およびキャピラリーをふさぐことなく、非経口投与または粘膜投与を可能にする直径のものである。微小粒子のサイズは、当該分野で周知の技術(例えば、光子相関分光法、レーザー回折法、および/または走査電子顕微鏡法)によって容易に決定される。
【0038】
本明細書中における使用のための微小粒子は、滅菌可能であり、非毒性であり、そして生分解性である物質から形成される。このような物質には、限定することなく、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、PACA、およびポリシアノアクリレートが挙げられる。好ましくは、本発明での使用のための微小粒子は、ポリ(α−ヒドロキシ酸)由来、特に、ポリ(ラクチド)(「PLA」)、またはD,L−ラクチドおよびグリコリドもしくはグリコール酸のコポリマー(例えば、D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」または「PLGA」)またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマー由来である。この微小粒子は、種々のポリマー性の出発物質のいずれかから誘導され得る。この物質は、種々の分子量を有し、そしてPLGのようなコポリマーの場合、種々のラクチド:グリコリド比、を有し、これらの選択は、大部分選択可能な問題であり、同時投与される高分子に部分的に依存する。これらのパラメーターは、以下でより十分に議論される。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「界面活性剤(detergent)」とは、界面活性剤(surfactant)およびエマルジョン安定化剤を含む。アニオン性界面活性剤には、SDS、SLS、硫酸化脂肪アルコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤には、セトリミド(CTAB)、塩化ベンザルコニウム、DDA(ジメチルジオクトデシルアンモニウムブロマイド)、DOTAPなどが挙げられるが、これらに限定されない。非イオン性界面活性剤には、ソルビタンエステル、ポリソルビン酸、ポリオキシエチル化グリコールモノエステル、ポリオキシエチル化アルキルフェノール、ポロキサマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で用いられる用語「正味の正電荷」は、微小粒子の表面上の電荷が、PVAを用いて作製された対応する微小粒子の表面上の電荷より正であることを意味する。同様に、本明細書で用いられる「正味の負電荷」は、微小粒子の表面上の電荷が、PVAを用いて作製された対応する微小粒子の表面上の電荷より負であることを意味する。正味の電荷は、カチオン性またはアニオン性界面活性剤を用いて作製された微小粒子のζ電位(界面動電位としてもまた知られる)を、PVAを用いて作製された対応する微小粒子と比較することにより評価され得る。従って、「正味の正電荷」を有する微小粒子表面は、PVAを用いて作製された微小粒子の表面のζ電位より大きなζ電位を有し、そして「正味の負電荷」を有する微小粒子は、PVAを用いて作製された微小粒子の表面のζ電位より小さなζ電位を有する。明らかなように、本発明の微小粒子の正味の電荷は、対応するPVA微小粒子のζ電位に対して算出される。
【0041】
本明細書で用いる用語「ζ電位」は、すべての固体と液体の界面を横切って存在する電位、すなわち、荷電したコロイド粒子を取り囲むイオンの拡散層を横切る電位をいう。ζ電位は、電気泳動の移動度、すなわち、測定される物質と接触して配置された荷電電極の間をたどるコロイド粒子の速度から、当該部分野で周知の技法を用いて算出され得る。
【0042】
本明細書で用いる用語「高分子」は、制限されずに、医薬品、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ホルモン、酵素、転写メディエーターまたは翻訳メディエーター、代謝経路中の中間体、免疫モジュレーター、抗原、アジュバント、またはそれらの組み合わせをいう。本発明との使用のための特定の高分子は、以下により詳細に記載される。
【0043】
用語「医薬品」は、以下でより詳細に論議される、抗生物質、抗ウイルス剤、増殖因子、ホルモンなどのような生物学的に活性な化合物をいう。
【0044】
「ポリヌクレオチド」は、生物学的に活性な(例えば、免疫原性または治療)タンパク質またはポリペプチドをコードする核酸分子である。このポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの性質に依存して、例えば、このポリヌクレオチドが抗原をコードする場合、ポリヌクレオチドは、10程度の少ないヌクレオチドを含み得る。さらに、「ポリヌクレオチド」は、二本鎖および一本鎖配列の両方を含み得、そして限定されないが、ウイルスからのcDNA、原核生物mRNAまたは真核生物mRNA、ウイルスからのゲノムRNAおよびDNA配列(例えば、RNAおよびDNAウルイスおよびレトロウイルス)または原核生物DNA、および特に合成DNA配列をいう。この用語はまた、DNAおよびRNAの任意の公知の塩基アナログを含み、かつ核酸分子が、治療または抗原性タンパク質をコードする限り、ネイティブ配列に対する、欠失、付加および置換のような改変(本質的にほぼ保存的)を含む配列を示す。これらの改変は、部位特異的変異誘発によるように意図的であり得るか、または抗原を産生する宿主の変異によるような偶発的であり得る。
【0045】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーをいい、そしてこの産物の最小長さに限定されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなどがこの定義内に含まれる。完全長タンパク質およびそのフラグメントの両方がこの定義に包含される。この用語はまた、タンパク質が、免疫応答を惹起する能力を維持するか、またはこのタンパク質が投与される被験体に対する治療効果を有する限り、ネイティブ配列に対する欠失、付加および置換(本質的にほぼ保存的)のような改変もまた含む。
【0046】
「抗原」は、宿主の免疫系を刺激し得る1つ以上のエピトープを含み、この抗原が本発明に従って提示されるとき、細胞抗原特異的免疫応答、または体液性抗体応答を生じる分子を意味する。抗原は、それ自身で、または別の分子と組み合わせて存在するとき、細胞性または体液性応答を惹起し得る。通常、エピトープは、約3〜15の間、一般に約5〜15のアミノ酸を含む。所定のタンパク質のエピトープは、当該分野で周知の任意の数のエピトープマッピング技術を用いて同定され得る。例えば、Methods in Molecular Biology、第66巻(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press、Totowa,New Jersey中のEpitope Mapping Protocolsを参照のこと。例えば、直線状のエピトープは、例えば、固体支持体上で多数のペプチドを同時に合成すること(これらのペプチドはタンパク質分子の部分に対応する)、およびこれらのペプチドをなお支持体に付着しているまま、これらペプチドを抗体と反応させることにより決定され得る。このような技法は、当該分野で公知であり、そして例えば、米国特許第4、708、871;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709−715に記載される(すべてはそれらの全体が参考として援用される)。同様に、構造エピトープは、例えば、X線結晶学および2次元核磁気共鳴によるようなアミノ酸の空間的構造を決定することにより容易に同定され得る。例えば、Epitope Mapping Protocols、前述を参照のこと。
【0047】
本明細書で用いる用語「抗原」は、サブユニット抗原、すなわち抗原が自然状態では会合している完全な生物から分離および別個である抗原、および殺傷、弱毒または不活性化細菌、ウイルス、寄生体またはその他の微生物の両方を示す。抗イディオタイプ抗体、そのフラグメント、および抗原または抗原性決定基を模倣し得る合成ペプチドミモトープ(mimotope)のような抗体はまた、本明細書で用いられるような抗原の定義の下に含ます得る。同様に、遺伝子治療および核酸免疫化適用におけるような、インビボで、治療または免疫原性タンパク質、または抗原性決定基を発現するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドもまた、本明細書で抗原の定義内に含まれる。
【0048】
さらに、本発明の目的には、抗原は、任意のいくつかの公知のウイルス、細菌、寄生体およびカビ、ならびに任意の種々の腫瘍抗原に由来し得る。さらに、本発明の目的には、「抗原」は、タンパク質が免疫学的応答を惹起する能力を維持する限り、ネイティブ配列に対する、欠失、付加および置換のような改変(本質的にほぼ保存的)を含むタンパク質をいう。これらの改変は、部位特異的変異誘発によるような意図的であり得るか、または抗原を産生する宿主の変異によるような偶発的であり得る。
【0049】
抗原または組成物に対する「免疫学的応答」は、被験体における、目的の組成物中に存在する分子に対する体液性および/または細胞性免疫応答の発生である。本発明の目的には、「体液性免疫応答」は、抗体分子により媒介される免疫応答をいい、その一方、「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/またはその他の白血球細胞により媒介されるものである。細胞性免疫の1つの重要な局面は、細胞溶解性T細胞(「CTL」)による抗原特異的応答を含む。CTLは、主要組織適合性複合体(MHC)によりコードされるタンパク質と会合して存在し、そして細胞の表面上に発現されるペプチド抗原に対する特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の細胞内破壊、またはこのような微生物で感染した細胞の溶解を補助して誘導しかつ促進する。細胞性免疫の別の局面は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を含む。ヘルバーT細胞は、この機能を補助して促進し、そしてそれらの表面上にMHC分子と会合するペプチド抗原を提示する細胞に対して非特異的エフェクター細胞の活性を集めるために作用する。「細胞免疫応答」はまた、サイトカイン、ケモカイン、ならびに活性化T細胞および/またはCD4+およびCD8+T細胞由来の白血球を含むその他の白血球細胞により産生される他のそのような分子の産生をいう。
【0050】
免疫原性組成物のような組成物、または細胞免疫応答を惹起するワクチンは、細胞表面で、MHC分子と会合する抗原の提示によって脊椎動物被験体を感作するように働き得る。細胞媒介免疫応答は、それらの表面で抗原を提示する細胞、またはその近傍を指向する。さらに、抗原特異的Tリンパ球が生成され、免疫化宿主の将来の保護を可能にし得る。
【0051】
特定の抗原または組成物が細胞媒介性免疫学的応答を刺激する能力は、リンパ球増殖(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞傷害性細胞アッセイによるか、感作された被験体中の抗原に特異的であるTリンパ球についてアッセイすることによるような、多くのアッセイにより測定され得る。このようなアッセイは、当該分野で周知である。例えば、Ericksonら、J.Immunol.(1993)151:4189−4199;Doeら、Eur.J.Immunol.(1994)24:2369−2376;および以下の実施例を参照のこと。
【0052】
従って、本明細書で用いられるように、免疫学的応答は、CTLの産生、および/またはヘルパーT細胞の産生または活性化を刺激するものであり得る。目的の抗原はまた、抗体媒介性免疫応答を惹起し得る。それ故、免疫学的応答は、以下の効果の1つ以上を含み得る:B細胞による抗体の産生;および/または目的の組成物またはワクチン中に存在する抗原(単数または複数)に対して特異的なサプレッサーT細胞および/またはγδT細胞の活性化。これらの応答は、感染力を中和するため、および/または抗体−補体、または抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介するように働き得、免疫化宿主に保護を提供する。このような応答は、当該分野で周知の標準的な免疫アッセイおよび中和アッセイを用いて決定され得る。
【0053】
微小粒子に吸着された選択抗原を含む組成物は、それが、微小粒子と会合することなく送達されたときに、等量の抗原によって惹起される免疫応答より大きい免疫応答を惹起する能力を所有するとき、「増大した免疫応答」を果たす。従って、組成物は、「増大した免疫原性」を果たし得る。何故なら、抗原は、微小粒子への吸着のため、より強力に免疫原性であるからであるか、またはより低用量の抗原が、それが投与される被験体における免疫応答を達成するために必要であるからである。このような増大した免疫原性は、微小粒子/抗原組成物、および抗原コントロールを動物に投与すること、ならびに当該分野で周知の、ラジオイムノアッセイおよびELISAのような標準的なアッセイを用いることにより、この2つに対する抗体力価を比較することにより測定され得る。
【0054】
本明細書で提供されるように、高分子/微小粒子の、用語「有効量」または「薬学的に有効な量」は、免疫学的応答、および対応する治療効果のような所望の応答を提供するために、非毒性であるが十分な量、または治療タンパク質の送達の場合には、以下に規定されるように被験体の処置を行うに十分な量の高分子/微小粒子をいう。以下に指摘されるように、正確な必要量は、被験体の種、年齢、および一般状態、処置される状態の重篤度、および目的の特定の高分子、投与の様式などに依存して、被験体により変動し得る。任意の個々の事例における適切な「有効」量は、慣用的な実験を用いて当業者により決定され得る。
【0055】
「脊椎動物被験体」は、cordata亜門(subphylum cordata)の任意のメンバーを意味し、制限されずに、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマおよびヒトのような哺乳動物;イヌおよびネコのような家畜動物;ならびにヒヨコを含む雄鳥および雌鳥、七面鳥およびその他のキジ類の鳥のような、家禽、野生および狩猟鳥を含む鳥類を含む。この用語は、特定の年齢を示さない。従って、成体動物および新生動物の両方を含むことが意図される。
【0056】
「薬学的に受容可能」または「薬理学的に受容可能」は、生物学的でないか、またはそうでなければ所望されない材料を意味し、すなわち、この材料は、任意の所望されない生物学的影響を引き起こさないか、またはそれが含まれる組成物の任意の成分と有害な様式で相互作用することなく、微小粒子処方物とともに、個体に投与され得る。
【0057】
「生理学的pH」または「生理学的範囲にあるpH」は、約7.2〜8.0を含む範囲、より代表的には、約7.2〜7.6を含む範囲にあるpHを意味する。
【0058】
本明細書で用いられる「処置」は、(i)伝統的なワクチンにおけるような、感染または再感染の予防、(ii)症状の低減または除去、および(iii)問題の病原体または障害の実質的または完全な除去のいずれもをいう。処置は、予防的(感染前)または治療的(感染後)に実施され得る。
【0059】
(B.一般的方法)
本発明は、本発明のPLAおよびPLG微小粒子が、生物学的に活性な高分子を効率的に吸着するという発見に基づく。さらに、これらの微小粒子は、PVAで調製された微小粒子より容易に、荷電および/またはかさ高い高分子を含む、より多種の分子を吸収する。従って、本発明の高分子/微小粒子は、広範な種類の疾患を処置、予防および/または診断するために、生物学的に活性な成分を送達するための送達系として用い得る。
【0060】
本発明は、広範な種類の高分子を送達するために用い得、制限されないで、抗生物質および抗ウイルス剤、非ステロイド抗炎症性薬物、鎮痛剤、血管拡張薬、循環器薬物、向精神剤、神経安定薬、抗うつ薬、抗パーキンソン薬物、βブロッカー、カルシウムチャネルブロッカー、ブラジキニンインヒビター、ACEインヒビター、血管拡張剤、プロラクチンインヒビター、ステロイド、ホルモンアンタゴニスト、抗ヒスタミン剤、セロトニンアンタゴニスト、ヘパリン、化学療法剤、抗腫瘍剤および増殖因子(PDGF、EGF、KGF、IGF−1およびIGF−2、FGFを含むがこれらに限定されない)、ワクチンにおける使用のための、治療または免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク質およびそれらのエピトープをコードするポリヌクレオチド、ペプチドホルモン(例えば、インスリン、プロインスリン、成長ホルモン、GHRH、LHRH、EGF、ソマトスタチン、SNX−111、BNP、インスリノトロピン、ANP、FSH、LH、PSHおよびhCG)、生殖腺ステロイドホルモン(アンドロゲン、エストロゲンおよびプロゲステロン)、甲状腺刺激ホルモン、インヒビン、コレシストキニン、ACTH、CRF、シソルフィン、エンドルフィン、エンドセリン、フィブロネクチンフラグメント、ガラニン、ガストリン、インスリノトロピン、グルカゴン、GTP結合タンパク質フラグメント、グアニリン、ロイコキニン、マガイニン、マストパランス(mastoparans)、デルマセプシン(dermaseptin)、システミン(systemin)、ニューロメディン(neuromedin)、ニューロテンシン、パンクレアスタチン、膵臓ポリペプチド、サブスタンスP、セクレチン、チモシン、などを含むホルモン、酵素、転写または翻訳メディエーター、代謝経路中の中間体、(インターロイキン1、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン4、およびγインターフェロンを含む種々のサイトカインのいずれかのような)免疫モジュレーター、抗原、ならびにアジュバントのような医薬品を含む。
【0061】
好適な実施態様では、上記高分子は抗原である。本発明の特定の利点は、吸着された抗原をともなう微小粒子が脊椎動物被験体で細胞媒介免疫応答を生成する能力である。本発明の抗原/微小粒子が選択された抗原に対する細胞媒介性免疫応答を惹起する能力は、広範な種類の病原体による感染に対する強力なツールを提供する。従って、本発明の抗原/微小粒子は、ワクチン組成物中に取り込まれ得る。
【0062】
従って、従来の抗体応答に加えて、本明細書に記載のシステムは、例えば、クラスI MHC分子との発現された抗原の会合を提供し、その結果、目的の抗原に応答するインビボ細胞免疫応答が、CTLの産生を刺激し、この抗原の将来の認識を可能するようにマウントされ得る。さらに、この方法は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答を惹起し得る。従って、本発明の方法は、細胞性および/または体液性免疫応答が所望される任意の高分子、好ましくは、抗体,T細胞ヘルパーエピトープおよびT細胞細胞障害性エピトープを誘導し得るウイルス病原体由来の抗原、を用いた使用を見出す。このような抗原は、制限されないで、ヒトおよび動物ウイルスによりコードされる抗原を含み、そして構造または非構造タンパク質のいずれかに対応し得る。
【0063】
本発明の微小粒子は、通常、貧弱な免疫応答を惹起する細胞内ウイルスに対する免疫化に特に有用である。例えば、本発明は、ヘルペスウイルスファミリーからの広範な種類のタンパク質に対する免疫応答を刺激するための使用を見出し、このタンパク質には、HSV−1およびHSV−2糖タンパク質gB、gDおよびgHのような、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型由来のタンパク質;CMV gBおよびgHを含む、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)およびサイトメガロウイルス(CMV)由来の抗原;ならびにHHV6およびHHV7のような他のヒトヘルペスウイルス由来の抗原が挙げられる。(例えば、Cheeら、Cytomegaloviruses(サイトメガロウイルスのタンパク質コード内容の総説は、J.K.McDougall編、Springer−Velag 1990)125〜169頁;種々のHSV−1がコードするタンパク質の論議は、McGeochら、J.Gen.Virol.(1988)69:1531〜1574;HSV−1およびHSV−2 gBおよびgDタンパク質およびそれらをコードする遺伝子の論議は、米国特許第5,171,568号;EBVゲノム中のタンパク質コード配列の同定は、Baerら、Nature(1984)310:207〜211;ならびにVZVの総説は、DavisonおよびScott、J.Gen.Virol.(1986)67:1759〜1816を参照のこと)。
【0064】
A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、Δ肝炎ウイルス(HDV)、E型肝炎ウイルス(HEV)およびG型肝炎ウイルス(HGV)を含む、ウイルスの肝炎ファミリーからの抗原もまた、本明細書に記載の技法において首尾良く用いられ得る。例として、HCVのウイルスゲノム配列は、この配列を得るための方法のように公知である。例えば、国際公開番号WO89/04669;WO90/11089;およびWO90/14436を参照のこと。このHCVゲノムは、E1(Eとしてもまた公知)およびE2(E2/NS1としてもまた公知)およびN−末端ヌクレオカプシドタンパク質(「コア」と呼ばれる)を含むいくつかのウイルスタンパク質をコードする(E1およびE2を含むHCVタンパク質の論議は、Houghtonら、Hepatology(1991)14:381〜388を参照のこと)。これらタンパク質の各々、およびその抗原性フラグメントは、本発明の組成物および方法において使用を見出し得る。
【0065】
同様に、HDV由来のδ抗原の配列は公知であり(例えば、米国特許第5,378,814号を参照のこと)、そしてこの抗原はまた、本発明の組成物および方法において好都合に使用され得る。さらに、HBV由来の抗原(例えば、コア抗原、表面抗原、sAg、およびプレ表面配列(pre−S1およびpre−S2(以前はpre−Sと呼ばれた)、ならびに上記の組み合わせ(例えば、sAg/pre−S1、sAg/pre−S2、sAg/pre−S1/pre−S2、およびpre−S1/pre−S2)は、本明細書中で用途を見出す。例えば、「HBV Vaccines−from the laboratory to licence: a case study」、Mackett、M.およびWilliamson、J.D.、Human Vaccines and Vaccination、159〜176頁、HBV構造の考察について;米国特許第4,722,840号、第5,098,704号、第5,324,513号(その全体が参考として本明細書中に援用される);Beamesら、J.Virol.(1995)69:6833−6838、Birnbaumら、J.Virol.(1990)64:3319−3330;およびZhouら、J.Virol.(1991)65:5457−5464を参照のこと。
【0066】
他のウイルス由来の抗原もまた、本願発明の組成物および方法における用途を見出す。このような抗原としては、限定なく、とりわけ以下の科のウイルスのメンバー由来のタンパク質が挙げられる:ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルスなど);カルシウイルス科;トガウイルス科(例えば、風疹ウイルス、デングウイルスなど);フラビウイルス科;コロナウイルス科;レオウイルス科;ビルナウイルス科;ラボドウイルス科(Rhabodoviridae)(例えば、狂犬病ウイルスなど);フィロウイルス科;パラミクソウイルス科(例えば、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス(respratory syncytial virus)など);オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルスA型、B型、C型など);ブンヤウイルス科;アレナウイルス科;レトロウイルス科(例えば、HTLV−I;HTLV−II;HIV−I(HTLV−III、LAV、ARV、hTLRなどとしても知られる)であり、分離株HIVIIIb、HIVSF2、HIVLAV、HIVLAI、HIVMN由来の抗原を含むが、これらに限定されない);HIV−1CM235、HIV−1US4;HIV−2;シミアン免疫不全ウイルス(SIV)。さらに、抗原はまた、ヒトパピローマウイルス(HPV)、およびダニ媒介脳炎ウイルス由来であり得る。これらおよび他のウイルスの説明については、例えば、Virology、第3版(W.K.Joklik編、1988);Fundamental Virology、第2版(B.N.FieldsおよびD.M.Knipe編、1991)を参照のこと。
【0067】
より詳細には、上記のHIV分離株(HIVの種々の遺伝子サブタイプのメンバーを含む)のいずれかに由来のgp120エンベロープタンパク質が公知であり、そして報告され(例えば、Myesら、Los Alamos Database、Los Alamos National Laboratory、Los Alamos、New Mexico(1992);Myersら、Human Retroviruses and Aids、1990、Los Alamos、New Mexico:Los Alamos National
Laboratory;およびModrowら、J.Virol.(1987)61:570−578を参照のこと(種々のHIV分離株のエンベロープ配列の比較について))、そしてこれらの分離株のいずれかに由来の抗原は、本方法において用途を見出す。さらに、本発明は、種々のHIV分離株のいずれかに由来の他の免疫原性タンパク質(種々のエンベロープタンパク質(例えば、gp160およびgp41)、gag抗原(例えば、p24gagおよびp55gag)、ならびにpol領域由来のタンパク質を含む)に等しく適用し得る。
【0068】
インフルエンザウイルスは、本発明が特に有用であるウイルスの別の例である。詳細には、エンベロープ糖タンパク質であるインフルエンザAのHAおよびNAは、免疫応答を生成するために特に関心が高い。インフルエンザAの多数のHAサブタイプは、同定されている(Kawaokaら、Virology(1990)179:759−767;Websterら「Antigenic variation among type A influenza viruses」127〜168頁、P.PaleseおよびD.W.Kingsbury(編)、Genetics of influenza viruses.Springer−Verlag、New York)。従って、これらの分離株のいずれかに由来のタンパク質もまた、本明細書中に記載の組成物および方法において使用され得る。
【0069】
本明細書中に記載の組成物および方法はまた、種々の細菌抗原(例えば、ジフテリア、コレラ、結核、破傷風、百日咳、脳髄膜、および他の病原状態を引き起こす生物(Bordetella pertussis、Neisseria meningitidis(A、B、C、Y)、Neisseria gonorrhoeae、Helicobacter pylori、およびHaemophilus influenza、Haemophilus influenza B型(HIB)、Helicobacter pylori、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない)に由来の抗原)を伴う用途を見出す。Neisseria meningitides B由来の抗原の例は、以下の共同所有する特許出願に開示される:PCT/US99/09346;PCT IB98/01655;PCT IB99/00103;および米国仮特許出願第60/083,753号;第60/094,869号;第60/098,994号;第60/103,749号;第60/103,794号;第60/103,796号;および第60/121,528号。寄生生物抗原の例は、マラリア病およびライム病を引き起こす生物に由来する抗原を包含する。
【0070】
本発明は、広範な種々の高分子を送達するために、従って多数の疾患の処置、予防、および/または診断するために使用され得ることが、容易に明らかである。別の実施態様では、本発明の高分子/微小粒子組成物は、部位特異的標的化送達のために使用され得る。例えば、高分子/微小粒子組成物の静脈投与は、肺、肝臓、脾臓、血液循環、または骨髄を標的化するために使用され得る。
【0071】
吸着微小粒子の表面への高分子の吸着は、任意の結合−相互作用機構を介して生じる。このような機構としては、イオン結合、水素結合、共有結合、ファンデルワールス結合、および親水性/疎水性相互作用を介する結合を包含するが、これらに限定されない。当業者は、吸着される高分子のタイプに適切な界面活性剤を容易に選択し得る。
【0072】
例えば、荷電された界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤)の存在下で製造された微小粒子は、正味の負電荷または正味の正電荷を有する表面を有する微小粒子を生じ得る。この微小粒子は、広範な種々の分子を吸着し得る。例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のようなアニオン性界面活性剤を用いて製造された微小粒子(すなわち、SDS−PLG微小粒子)は、正に荷電された抗原(例えば、タンパク質)を吸着する。同様に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)のようなカチオン性界面活性剤を用いて製造された微小粒子(すなわち、CTAB−PLG微小粒子)は、負に荷電された高分子(例えば、DNA)を吸着する。吸着される高分子が正電荷および負電荷の領域を有する場合、カチオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤のいずれかが適切であり得る。
【0073】
本発明と共に使用するための微小粒子を製造するための生分解性ポリマーは、例えば、Boehringer Ingelheim、GermanyおよびBirmingham Polymers,Inc.、Birmingham、AL.から容易に商業的に入手可能である。例えば、本明細書中の微小粒子を形成するために有用なポリマーは、ポリヒドロキシ酪酸;ポリカプロラクトン;ポリオルトエステル;ポリ無水物;ならびにポリ(α−ヒドロキシ酸)(例えば、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)(ともに、本明細書中で「PLA」として知られる)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、D,L−ラクチドおよびグリコリドのコポリマー(例えば、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(本明細書中では「PLG」または「PLGA」と称される)、またはD,L−ラクチドおよびカプロラクトンのコポリマーに由来のポリマーを包含する。本明細書中の使用のための特に好ましいポリマーは、PLAおよびPLGポリマーである。これらのポリマーは、種々の分子量で利用可能であり、そして所定の用途のための適切な分子量は、当業者によって容易に決定される。従って、例えば、PLAについては、適切な分子量は、約2000〜5000の桁であり得る。PLGについては、適切な分子量は、一般に、約10,000〜約200,000の範囲であり、好ましくは約15,000〜約150,000、そして最も好ましくは約50,000〜約100,000である。
【0074】
PLGのようなコポリマーを用いて微小粒子を形成する場合、種々のラクチド:グリコリド比が本明細書中で用途を見出し、そしてこの比は大いに設計事項であり、同時投与される高分子、および所望の分解率に一部依存する。例えば、50:50PLGポリマー(50%D,L−ラクチドおよび50%グリコリドを含む)は、迅速に再吸収するコポリマーを提供するが、一方、75:25 PLGは、より緩慢に分解し、そして85:15および90:10ではさらにより緩慢である。これは、ラクチド成分の増加に起因する。ラクチド:グリコリドの適切な比は、問題の抗原および障害の性質に基づいて当業者によって容易に決定されることが、容易に明らかである。さらに、種々のラクチド:グリコリド比を伴う微小粒子の混合物が、所定の高分子について所望の放出速度論を達成するため、および一次免疫応答および二次免疫応答の両方を提供するために、本明細書中で用途を見出す。本発明の微小粒子の分解率はまた、ポリマー分子量およびポリマー結晶性のような要因によって制御され得る。種々のラクチド:グリコリド比および分子量を伴うPLGコポリマーは、多数の供給源から商業的に容易に入手可能である。このような供給源としては、Boehringer Ingelheim、GermanyおよびBirmingham Polymers、Inc.、Birmingham、ALが挙げられる。これらのポリマーはまた、当該分野で周知の技術(例えば、Tabataら、J.Biomed.Mater.Res.(1988)22:837−858に記載の技術)を用いて、乳酸成分の単純な縮合によって合成され得る。
【0075】
高分子/微小粒子は、当該分野で周知のいくつかの方法のいずれかを用いて調製される。例えば、二重エマルジョン/溶媒エバポレーション技術(例えば、米国特許第3,523,907号およびOgawaら、Chem.Pharm.Bull.(1988)36:1095−1103に記載の技術)が、この微小粒子を作製するために本明細書中で使用され得る。これらの技術は、ポリマー溶液の小滴からなる一次エマルジョンの形成を包含する。これは、続いて、粒子安定剤/界面活性剤を含む連続した水相と混合される。
【0076】
あるいは、水中油中水(w/o/w)溶媒エバポレーションシステムは、O’Haganら、Vaccine(1993)11:965−969およびJefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362により記載のように微小粒子を形成するために使用され得る。本技術において、特定のポリマーは、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、塩化ジメチル(塩化メチレンおよびジクロロメタンとも呼ばれる)、アセトニトリル、アセトン、クロロホルムなど)と組み合わされる。ポリマーは、有機溶媒中、約1〜30%溶液、好ましくは約2〜15%、より好ましくは約3〜10%、および最も好ましくは約4%溶液中に提供される。このポリマー溶液が、例えば、ホモジナイザーを用いて乳化される。必要に応じて、次いで、エマルジョンが、大量のエマルジョン安定剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、およびカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤)の水溶液と組み合わされる。エマルジョンは、1つより多くのエマルジョン安定剤および/または界面活性剤と組み合わされ得る(例えば、PVAおよび界面活性剤の組み合わせ)。特定の高分子は、安定剤および/または界面活性剤の組み合わせを有する微小粒子に、より容易に吸着し得る。エマルジョン安定剤が使用される場合、代表的には約2〜15%溶液、より代表的には約4〜10%溶液で提供される。一般に、約0.00001:1から約0.1:1の範囲の界面活性剤:ポリマー重量比が使用され、より好ましくは、約0.0001:1から約0.01:1、より好ましくは約0.001:1から約0.01:1、およびさらにより好ましくは約0.005:1から約0.01:1である。次いで、混合物はホモジナイズされて、安定なw/o/w二重エマルジョンを生成する。有機溶媒は、次いでエバポレートされる。
【0077】
処方パラメーターは、0.05μm(50nm)の桁の小さな微小粒子から50μmまたはさらに大きいより大きな微小粒子の調製を可能にするように操作され得る。例えば、Jefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362−368;McGeeら、J.Microencap.(1996)を参照のこと。例えば、攪拌の減少は、内部相の体積の増大につれて、より大きな微小粒子を生じる。小さな粒子は、高い濃度のエマルジョン安定剤を有する低い水性相体積により生成される。
【0078】
微小粒子はまた、噴霧乾燥およびコアセルベーション(例えば、Thomasinら、J.Controlled Release(1996)41:131;米国特許第2,800,457号;Masters、K.(1976)Spray Drying、第2版、Wiley、New Yorkに記載のような);空気懸濁コーティング技術(例えば、パンコーティングおよびWursterコーティング)(Hallら(1980)The「Wurster Process」、Controlled Release Technologies:Methods、Theory、and Applications(A.F.Kydonieus編)、Vol.2、133〜154頁、CRC Press、Boca Raton、FloridaおよびDeasy、P.B.、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.(1988)S(2):99−139に記載のような);およびイオンゲル化(例えば、Limら、Science (1980)210:908−910により記載のような)を用いて形成される。
【0079】
粒子サイズは、例えば、レーザー光散乱によって、例えば、ヘリウム−ネオンレーザーを取り込むスペクトロメーターを用いて、決定され得る。一般には、粒子サイズは室温で決定され、そして粒子直径についての平均値を得るための問題のサンプルの複数回分析(例えば、5〜10回)を包含する。粒子サイズはまた、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて容易に決定される。
【0080】
調製後、微小粒子は、そのままで貯蔵され得るか、または将来の使用のために凍結乾燥され得る。高分子を微小粒子に吸着するために、微小粒子調製物は、目的の高分子と単に混合され、そして得られた処方物は、使用する前に再度凍結乾燥され得る。一般に、高分子が微小粒子に添加されて、約0.0001:1から約0.25:1、好ましくは、約0.001:1から0.1、より好ましくは約0.01から0.05の高分子:微小粒子の重量比を有する吸着された高分子を有する微小粒子を生成する。微小粒子の高分子含量は、標準的な技術を使用して容易に決定され得る。
【0081】
本発明の微小粒子は、その上に吸着された高分子を有すると同様に、その中に閉じ込められたまたはカプセル化された高分子を有する。従って、例えば、当業者は、本発明に従って、その上に吸着されたタンパク質を伴うカプセル化されたアジュバントを有する微小粒子、またはその上に吸着されたアジュバントを有するカプセル化されたタンパク質を有する微小粒子を調製し得る。
【0082】
高分子で吸着された微小粒子が一旦生成されると、それらは、上記のように、広範な種々の障害を処置、予防、および/または診断するために、薬学的組成物またはワクチンに処方される。組成物は、一般に、1つ以上の「薬学的に受容可能な賦型剤またはビヒクル」(例えば、水、生理食塩水、グリセロール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、エタノールなど)を包含する。さらに、付属物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、生物学的緩衝物質など)は、このようなビヒクル中に存在し得る。生物学的緩衝液は、事実上、薬学的に受容可能であり、そして所望のpH(すなわち、生理学的範囲のpH)を有する処方物を提供する任意の溶液であり得る。緩衝溶液の例としては、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、Tris緩衝化生理食塩水、ハンクス緩衝化生理食塩水などが挙げられる。
【0083】
アジュバントは、薬学的組成物の有効性を増強するために使用され得る。アジュバントは、本発明の微小粒子と同時に、例えば、同じ組成物中でまたは別個の組成物中で、投与され得る。あるいは、アジュバントは、本発明の微小粒子組成物の前にまたは引き続いて投与され得る。別の実施態様では、そのアジュバント(例えば、免疫学的アジュバント)は、微小粒子中にカプセル化され得る。アジュバント(例えば、任意の高分子)は、当該分野で公知のいくつかの方法のいずれかを使用して、微小粒子内でカプセル化され得る。例えば、米国特許第3,523,907号;Ogawaら、Chem.Pharm.Bull.(1988)36:1095−1103;O’Haganら、Vaccine(1993)11:965−969およびJefferyら、Pharm.Res.(1993)10:362を参照のこと。あるいは、アジュバントは、任意の高分子について上述したように微小粒子上で吸着され得る。
【0084】
免疫学的アジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなど);(2)水中油エマルジョン処方物(他の特定の免疫刺激剤(例えば、ムラミルペプチド(以下を参照のこと)または細菌細胞壁成分)を有するまたは有さない)、(例えば、(a)MF59(国際公開番号WO90/14837)、5%スクアラン(Squalene)、0.5%Tween80、0.5%Span85(種々の量のMTP−PE(以下を参照のこと)を必要に応じて含むが、これらは特に必要とされない)(Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)のようなマイクロフルイダイザーを使用するサブミクロン粒子に処方される)、(b)SAF(10%スクアラン(Squalane)、0.4%Tween80、5%プルロニックブロックポリマーL121、およびthr−MDP(以下を参照のこと)(サブミクロンエマルジョンにマイクロフルイダイズ化されるか、またはボルテックスされるかのいずれかで、より大きな粒子サイズのエマルジョンを生成する)、および(c)RibiTMアジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem、Hamilton、MT)(2%スクアラン(Squalene)、0.2%Tween80、およびモノホスホリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つ以上の細菌細胞壁成分、好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM)(本明細書中で使用するための適切なサブミクロン水中油エマルジョンについてのさらなる考察について、共同所有する米国特許出願第09/015,736号(1998年1月29日出願)を参照のこと);(3)サポニンアジュバント(例えば、QS21(例えば、StimulonTM(Cambridge Bioscience、Worcester、MA))が使用され得るか、またはそれから生成され得る粒子(例えば、ISCOM(免疫刺激複合体));(4)フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA);(5)サイトカイン(例えば、インターロイキン(IL−1、Il−2など)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)、など;(6)細菌ADPリボシル化毒素(例えば、コレラ毒素(CT)、百日咳毒素(PT)、またはE.coli熱不安定毒素(LT))の解毒変異体(特に、LT−K63(63位の野生型アミノ酸がリジンに置換されている)、LT−R72(72位の野生型アミノ酸がアルギニンに置換されている)、CT−S109(109位の野生型アミノ酸がセリンに置換されている)、およびPT−K9/G129(9位の野生型アミノ酸がリジンに、そして129位の野生型アミノ酸がグリシンに置換されている)(例えば、国際公開WO93/13202およびWO92/19265を参照のこと);(7)CpGオリゴヌクレオチドおよび他の免疫刺激配列(ISS);ならびに(8)組成物の有効性を増強するために免疫刺激剤として作用する他の物質。ミョウバンおよびMF59が好ましい。
【0085】
ムラミルペプチドとしては、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(isogluatme)(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
アジュバントのさらなる例のために、Vaccine Design,The Subunit and the Adjuvant Approach、Powell、M.F.およびNewman、M.J.編、Plenum Press、1995を参照のこと)。
【0087】
この組成物は、目的の高分子の「治療上有効な量」を含む。すなわち、症状を予防、減弱、排除または診断するために、被験体に十分な応答を生じさせる量の高分子/微小粒子がこの組成物に含まれる。正確な量は、以下に依存して必然的に変化する:(他にも因子はあるが)、処置される被験体;処置される被験体の年齢および全身状態;処置される状態の重篤度;免疫学的応答の場合には、被験体の免疫系が抗体を合成する能力;所望されるタンパク質の程度および選択される特定の抗原ならびにその投与の形態。適切な有効量は、当業者により容易に決定され得る。従って、「治療上有効な量」は、慣用的なトライアルを通して決定され得る比較的広範な範囲におさまる。たとえば、本発明の目的のためには、高分子がポリヌクレオチドである場合、有効用量は、代表的に1用量あたり送達される高分子の約1ng〜約1mg、より好ましくは約10ng〜約1μg、そして最も好ましくは約50ng〜約500ngの範囲であり;高分子が抗原である場合は、代表的に1用量あたり送達される高分子の約1μg〜約100mg、より好ましくは約10μg〜約1mg、そして最も好ましくは約50μg〜約500μgの範囲である。
【0088】
一旦処方されれば、本発明の組成物は、非経口的に、例えば、注射により投与され得る。この組成物は、皮下に、腹腔内に、静脈内に、または筋肉内にのいずれかで注射され得る。投与の他の形態としては、経鼻投与、経口投与および肺投与、坐剤、ならびに経皮適用(transdermalまたはtranscutaneous)が挙げられる。投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数用量スケジュールであってもよい。複数用量スケジュールは、投与の初回の経過が、治療応答を維持および/または増強するように選択された、1〜10の別個の用量、その後引き続く時間間隔で与えられる他の用量、例えば、第2の用量については1〜4ヶ月、そして必要であれば数ヶ月後の引き続く用量を伴い得るスケジュールである。この投薬レジメンはまた、少なくとも一部は、被験体の必要性により決定され、そして医師の判定に依存する。
【0089】
さらに、疾患の防御が所望される場合、目的の病原での初回感染の前にワクチン中の高分子が一般的に投与される。処置(例えば、症状または再発の減少)が所望される場合、高分子は、一般に初回感染に続いて投与される。
【0090】
(C.実験)
以下は、本発明を実行するための特定の実施態様の実施例である。本実施例は、例示の目的のためにのみ提供されるものであり、そしていかなる手段でも本発明の範囲を限定することは意図しない。
【0091】
用いる数値(例えば、量、温度など)について精度を保証する努力がなされているが、当然ながらある程度の実験誤差および偏差は許容されるべきである。
【実施例】
【0092】
(実施例1)
(エマルジョン安定剤としてPVAを用いるブランク微小粒子の調製)
ブランク微小粒子(例えば、高分子を吸着または閉じ込めていない)を以下のようにポリビニルアルコール(PVA)を用いて作製した。用いた溶液は以下である:(1)ジクロロメタン中の6%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)
(2)水中の10%ポリビニルアルコール(PVA)(ICN)。
【0093】
詳細には、10mlのポリマー溶液と1.0mlの蒸留水を組み合わせること、および10mmのプローブでのOmniベンチトップホモジナイザーを10K rpmで3分間用いてホモジナイズすることにより、水/油(w/o)エマルジョンを形成し、微小粒子を作製した。このw/oエマルジョンを40mlの10%PVA溶液に添加し、そして3分間ホモジナイズして、水/油/水(w/o/w)エマルジョンを形成した。このw/o/wエマルジョンを溶媒エバポレーションのために一晩撹拌し続け、微小粒子を形成した。形成した微小粒子を4回遠心分離することで水で洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、この微小粒子を、後の使用のためにMalvern Master整粒器中でサイズ選別した。
【0094】
(実施例2)
(CTABを用いるブランク微小粒子の調製)
ブランク微小粒子を以下のようにCTABを用いて生成した。用いた溶液は以下である:
(1)ジメチルクロライド中の4%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)
(2)水中の0.5%CTAB(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)。
【0095】
詳細には、12.5mlのポリマー溶液と1.25mlの蒸留水を合わせること、および10mmのプローブを備えるOmniベンチトップホモジナイザーを10K rpmで3分間用いてホモジナイズして、w/oエマルジョンを形成することにより、微小粒子を作製した。このw/oエマルジョンを50mlの0.5%CTAB溶液に添加し、そして3分間ホモジナイズし、水/油/水(w/o/w)エマルジョンを形成した。このw/o/wエマルジョンを溶媒エバポレーションのために一晩撹拌し続け、微小粒子を形成した。次いで、形成した微小粒子を38μメッシュを通して濾過し、4回遠心分離することで水で洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、この微小粒子を、後の使用のためにMalvern Master整粒器中でサイズ選別した。
【0096】
(実施例3)
(SDSを用いるブランク微小粒子の調製)
ブランク微小粒子を以下のようにSDSを用いて生成した。用いた溶液は以下である:
(1)ジメチルクロライド中の6%RG 504 PLG(Boehringer Ingelheim)
(2)水中の1%SDS(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)。
【0097】
詳細には、12.5mlのポリマー溶液と50mlのSDS溶液を合わせること、および10mmのプローブを備えるOmniベンチトップホモジナイザーを10K rpmで3分間用いてホモジナイズすることにより、この微小粒子を作製した。このエマルジョンを溶媒エバポレーションのために一晩撹拌し続けた。形成した微小粒子を38μメッシュを通して濾過し、4回遠心分離することで水で洗浄し、そして後の使用のために凍結乾燥した。次いで、この微小粒子を、後の使用のためにMalvern Master整粒器中でサイズ選別した。
【0098】
(実施例4)
(ブランク微小粒子へのタンパク質の吸着)
以下のように、微小粒子にタンパク質を吸着させた。
【0099】
(A.p55gagの1%および3%の理論的負荷)
1%および3%の理論的負荷を獲得するために、実施例3で生成した50mgの凍結乾燥したブランクSDS/PLG微小粒子をNalgene遠心分離管に入れ、そしてp55gagタンパク質(Chiron Corporation,Berkeley,CA)を含有する6M尿素を有する、10mlの25mMホウ酸緩衝液、pH9を添加した:(a)1%理論負荷のために、10mlの50μg/ml p55gag溶液を用いた;そして(b)3%理論負荷のために、10mlの150μg/ml p55gag溶液を用いた。この溶液を室温で一晩振盪しながらインキュベートした。翌日、この微小粒子を遠心分離し、そして上清を、ビシンコニン(bicinchoninic)アッセイ(BCA;Pierce,Rockford,IL)によりgag濃度についてアッセイして、吸着した量を決定した。この微小粒子を10mlのホウ酸/6M尿素緩衝液で2回、そして30mlの水で2回洗浄し、そして後の使用のために凍結乾燥した。
【0100】
(B.HCVコア抗原の1%理論負荷)
1%理論負荷を獲得するために、50mgの凍結乾燥ブランクSDS/PLG微小粒子をNalgene遠心分離管に入れ、そしてモノマー性HCVコアタンパク質(10mlの50μg/mlHCVコアタンパク質溶液;Chiron Corporation,Berkeley,CA)を含有する6M尿素を有する、10mlの30mMクエン酸緩衝液、pH6.5を添加した。この混合物を室温で一晩振盪しながらインキュベートした。翌日、この微小粒子を遠心分離し、そして上清を、ビシンコニンアッセイ(BCA;Pierce,Rockford,IL)によりHCV濃度についてアッセイし、吸着した量を決定した。この微小粒子を30mlのクエン酸/6M尿素緩衝液で2回、そして30mlの水で2回洗浄し、そして後の使用のために凍結乾燥した。
【0101】
(実施例5)
(微小粒子の吸着効率)
実施例4からの吸着したタンパク質と凍結乾燥された微小粒子を、以下のように塩基加水分解を用いて総吸着タンパク質について分析した。10mgの凍結乾燥した吸着粒子を5%SDSを有する2ml 0.2N NaOH中で4時間、加水分解し、中和し、そして1:10に希釈し、そしてMicroBCAタンパク質アッセイ(Pierce,Rockford,IL)を用いてタンパク質含量について分析した。表1に示すように、CTABおよびSDSのような界面活性剤で調製した改変された表面を有する微小粒子は、両方とも、PVAのみを用いて作製した微小粒子よりもより効率的にタンパク質を吸着した。
【0102】
【表1】

(実施例6)
(A.gag吸着微小粒子の免疫原性)
実施例4に記載のように、PVAまたはSDSを用いて生成したgag吸着微小粒子ならびにp55gag単独を、関連する微小粒子(陰性コントロールとして)およびワクシニアgag−polコントロール(陽性コントロールとして)を伴わずに、マウスに筋肉内投与した。この動物を7日および14日でブースト(追加免疫)した。投与した総用量を表2および3に示す。最終免疫後2週間で脾臓を収集し、そしてDoeら、Proc.Natl.Acad.Sci.(1996)93:8578〜8583に記載のようにCTL活性をアッセイした。
【0103】
リンパ球培養物を以下のように調製した。免疫マウスからの脾臓細胞(sc)を1ウェルあたり5×106細胞で24ウェルシャーレ中で培養した。これらの細胞のうち、1×106を、合成エピトープペプチド形態HIV−1SF2タンパク質で10μMの濃度で37℃で1時間、感作させ、洗浄し、そして残りの4×106の未処置のscとともに、熱非働化ウシ胎仔血清、5×10-5M2−メルカプトエタノール、抗生物質および5%インターロイキン2(Rat T−Stim,Collaborative Biomedical Products,Bedford,MA)を補充した2mlの培養培地[50%RPMI 1640 および50%α−MEM(GIBCO)]中で、同時培養した。3日目および5日目に1mlの新鮮培養培地を細胞に供給し、そして6日目に細胞傷害性をアッセイした。
【0104】
細胞傷害性細胞アッセイを以下のように実施した。51CV放出アッセイにおいて用いたSvBALB(H−2d)(SvB)標識細胞およびMC57(H−2b)標的細胞は、クラスIMHC分子を発現するがクラスIIMHC分子は発現しない。約1×106の標的細胞を50μCi(1Ci=37Gbq)の51Crおよび合成HIV−1ペプチド(1mM)を含有する200μlの培地中で60分間インキュベートし、そして3回洗浄した。エフェクター(E)細胞を、96ウェル丸底組織培養プレート中で、5×103標的(T)細胞とともに種々のE/T比で、200μlの培養培地中で、4時間培養した。二連のウェルからの平均cpmを用いて51Cr解離の特異比を算出した。
【0105】
表2および3に示すように、SDS−PLG/p55微小粒子は、ワクシニアコントロールに匹敵する活性を有し、そしてPVA−PLG/p55微小粒子およびp55gagタンパク質処方物よりも活性であった。詳細には、表2に示すように、p55gagタンパク質は、10μg、25μgおよび50μgの濃度で不活性であった。さらに、表3に示すように、SDS−PLG/p55処方物は、PVA−PLG/p55微小粒子およびp55gagタンパク質処方物よりも活性であった。このことは、タンパク質がPVA−PLG/p55タンパク質処方物およびp55gagタンパク質処方物に比べて、SDS−PLG/p55処方物において、微小粒子により効率的に吸着されたことを示す。
【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

(実施例7)
(改変された表面を有するpCMVgp120DNA−吸着微小粒子の調製)
gp120をコードする吸着プラスミドDNAを有する微小粒子を以下のように調製した。実施例1および2に記載の様に調製した、1ml用量の20mgのブランク微小粒子をpCMVgp120DNAの漸増濃度とともに4℃で3時間インキュベートした。インキュベーション後、この微小粒子を遠心分離し、Tris−EDTA緩衝液で2回洗浄し、そして一晩、凍結乾燥した。この微小粒子を実施例5に記載の様に加水分解し、吸着したDNAの量についてA260nmで分析した。
【0108】
表4は、PLG−PVA微小粒子およびPLG−CTAB微小粒子の負荷効率を提示する。この表に示されるように、PLG−CTAB微小粒子は、対応するPLG−PVA粒子よりも効率的に吸着する。
【0109】
【表4】

(実施例8)
(HCV−E2吸着)
微小粒子を、PVA、およびいくつかの異なる界面活性剤を使用して、先の実施例に記載のように調製した。C型肝炎ウイルス(HCV)由来のE2タンパク質を、以下のようにこれらの微小粒子の表面上に吸着させた:0.2mg/mlのE2を、20mgの、PBS中の微小粒子に添加し、全容量0.5ml中、0.5% w/wのE2/PLGの溶液を形成させた。この溶液を、37℃で、1.5時間インキュベートし、次いで遠心分離した。この上清を収集し、次いで、microBCAによってタンパク質含量を測定した。この結果を、表5に示す。この結果は、本発明の微小粒子による高分子の優れた吸着を確証する。
【0110】
【表5】

(実施例9)
(gp120タンパク質の吸着)
先の実施例に記載のように、PVAを使用して微小粒子を調製した。また、以下のように、オレイン酸Na、アニオン性界面活性剤を使用して、微小粒子を調製した:w/o/wエマルジョンを、内部水相として1.67mlの30mMクエン酸Na(pH 6)、溶媒(油相)として16.7mlの、ジクロロメタン中6%のポリマーRG505PLG(Boehringer Ingelheim)、および外部水相として66.8mlの0.4%オレイン酸Naを用いて、調製した。これらの微小粒子を、「オレイン酸Na−PLG(w/o/w)」として、以下の表6に示す。さらに、微小粒子を、水中油処方物中のオレイン酸Naを使用して調製し、そしてこれらの微小粒子を、「オレイン酸Na−PLG(o/w)」として、以下の表6に示す。gp120タンパク質を、以下のように、この調製した微小粒子の表面上に吸着させた:0.388mg/mlのタンパク質を、約20mgの、PBS中の微小粒子に添加し、全容量0.8ml中、約1.4% w/wのgp120/PLGの溶液を形成させた。この溶液を、37℃で、1.5時間インキュベートし、次いで遠心分離した。この上清を収集し、次いで、microBCAによってタンパク質含量を測定した。この結果を、表6に示す。この結果は、本発明の微小粒子による高分子の優れた吸着を確証する。
【0111】
【表6】

(実施例10)
(リステリア溶解素(Lysteriolysin)タンパク質の吸着)
先の実施例に記載のように、PVAおよびCTABを使用して微小粒子を調製した。Listeria monocytogenes由来のリステリア溶解素タンパク質(LLO)を、以下のように、この微小粒子の表面上に吸着させた:1.0mg/mlのLLOを、100mgの、PBS中の微小粒子に添加し、全容量5ml中、1% w/wのLLO/PLGの溶液を形成させた。この溶液を、37℃で、1.5時間インキュベートし、次いで遠心分離した。この上清を収集し、次いで、microBCAによってタンパク質含量を測定した。この結果を、表7に示す。この結果は、本発明の微小粒子による高分子の優れた吸着を確証する。
【0112】
【表7】

(実施例11)
(アジュバントとしてのアルミニウム塩の効果)
p55gagDNA吸着PLG微小粒子を、上記のように、CTABを使用して調製した。この微小粒子を、2つの濃度でマウスに筋肉内注射し、そしてコントロールとして、DNA単独を、同じ2つの濃度で注射した。さらに、1つの試行において、50μgのリン酸アルミニウムを、注射するCTAB組成物に添加した。各処方物を、10匹のマウスに注射した。このマウスを、28日後にブーストした。この2回目の免疫化の2週間後、血清を収集し、そして各血清の相乗平均力価(GMT)を、標準誤差とともに測定した。この結果を、表8(線形値およびlog値の両方として表される)に要約する。各数値は、10匹のマウスから得られた結果の平均である。
【0113】
【表8】

これらの結果を統計的に比較するために、以下のものについて、P値を生成した:DNA−CTAB対DNA−CTAB+ALUM(P値=0.0017);DNA−CTAB+ALUM対DNA単独(P値<0.0001);およびDNA−CTAB(10μg)対DNA単独(10μg)(P値<0.0001)。これらのP値は、表8中の値の統計的有意性を確証する。
【0114】
(実施例12)
(ζ電位の測定)
ζ電位の測定を、Coulter Corp.,Miami,FL33116のDELSA 440SXゼータサイザー(zetasizer)上で実行した。このシステムを、Coulter(EMP SL7(ポリスチレンラテックスビーズの水性懸濁液))の移動度スタンダードを使用して較正する。サンプルセルを滅菌水でリンスした後、サンプルをサンプルセルに添加した。次いで、カウンターを、最も低い値にビームを合わせることによって0に設定した。電流を、対照について0.7mAおよびこのサンプルについて20Vに設定した。4つ全てのビームからの検出レベルをチェックし、次いでこのサンプルを、ソフトウェアから「run」を選択することによって作動させ、周波数測定を読取った。ビームを20Hz間隔にするべきである。次いで、各サンプルについての平均ζ電位を読取った。
【0115】
本発明のいくつかの微小粒子処方物についての測定を読取った。結果を表9に示す。この結果が示すように、微小粒子表面への高分子の吸着は、微小粒子のζ電位を変化させる。
【0116】
【表9】

(実施例13)
(カプセル化または吸着された高分子を含む微小粒子)
(A)PLG微小粒子を、RG505PLGおよびPVAを使用し、そしてアジュバントLTK63をカプセル化して調製した。100mgの微小粒子を、400μg/mlのp24gagタンパク質を含む5ml PBSと共にインキュベートした。次いで、この混合物を、室温で一晩、振動させながらインキュベートし、20ml PBSで2回および水で1回、遠心分離によって洗浄し、次いで、凍結乾燥させた。塩基の加水分解および中和後、吸着タンパク質%およびカプセル化アジュバント%を測定した;その結果を、表10に示す。
【0117】
(B)PLG微小粒子を、以下のように、SDSおよびRG505PLGを使用し、そしてアジュバントCpGオリゴヌクレオチドをカプセル化して調製した:DCM中、5mlの6%RG505ポリマーを、0.5mlの、50mM Tris/EDTA中、5mg/mlのCpGで乳化して、w/oエマルジョンを形成した。このw/oエマルジョンを、20mlの1% SDSに添加し、次いで乳化して、w/o/wエマルジョンを形成した。微小粒子を、一晩の溶媒エバポレーションによって形成し、次いで、洗浄し、遠心分離し、そして凍結乾燥させた。10mgのCpGカプセル化微小粒子を、1mlのDCM中に溶解させた。0.5mlの水を添加して、このオリゴヌクレオチドを抽出し、次いで、この混合物を遠心分離して、そしてその水相を、移動相としてPBSを用いる、サイズ排除カラム上に注入した。10mgのプラセボ微小粒子を、100μgのCpGオリゴヌクレオチドと混合し、そして上記のように、DCMで抽出し、スタンダードとしてこのカラム上で泳動させた。この捕捉された粒子中に存在するCpGオリゴヌクレオチドの量を、スタンダードに対して算出した。
【0118】
p55gagを、以下のように、CpGカプセル化微小粒子上に吸着させた:50mgの凍結乾燥したCpGカプセル化微小粒子を、5mlの、140μgのp55gagタンパク質を含む、6M尿素を含む25mMホウ酸(pH 9)と共に一晩インキュベートした。この混合物を、室温で一晩、振動させながらインキュベートし、20mlのホウ酸緩衝液/6M 尿素で2回、および水で2回洗浄し、次いで凍結乾燥させた。
【0119】
10mgのCpGカプセル化/p55gag吸着微小粒子を、塩基加水分解し、そして捕捉微小粒子%および吸着微小粒子%を測定した。他に示されない限り、この標的化された負荷は1.0%であった。この結果を、表10に示す。
【0120】
【表10】

(実施例14)
(吸着した2つの高分子を有する微小粒子)
(A)本発明に従って、2つ以上の高分子を、両方の高分子を吸着した微小粒子を含む組成物中で投与し得るか、または2つ以上の別個の微小粒子(各々が単一の高分子を吸着している)を含む組成物中で投与し得る。例えば、微小粒子を、以下のように、E2ポリペプチドおよびアジュバントCpGオリゴヌクレオチドの両方を吸着するように調製した:ブランクのPLG−CTABを、以前に記載されるように調製した。凍結乾燥した20mgの微小粒子を、生理食塩水中で1mlの200μg/ml E2とともに4時間インキュベートした。この混合物を、室温で4時間振動し、10,000Gでの遠心分離によって20mlの通常の生理食塩水で2回洗浄し、そしてペレットを、室温で4時間、200μg/ml CpGを含有するTE緩衝液中の1mlのCpG溶液中に再懸濁した。最終的な懸濁液を、遠心分離によってTE緩衝液で2回洗浄し、次いで凍結乾燥した。吸着したCpGおよびE2を有する10mgの微小粒子を塩基性加水分解し、そしてタンパク質濃度をBCAによって決定し、そして上清中に残存するCpGの量をHPLCによってアッセイして、微小粒子上に吸着したCpGの量を測定した。この結果を表11に表し、これは、両方の高分子についての陽性吸着を実証する。
【0121】
(B)微小粒子を、本発明に従って調製した。一部を使用してE2ポリペプチドを吸着させ、一方別の部分を使用してアジュバントCpGオリゴヌクレオチドを吸着させた。ブランクのPLG−CTABを、以前に記載されるように調製した。凍結乾燥した20mgの微小粒子を、生理食塩水中で1mlの200μg/ml E2とともに4時間インキュベートした。この混合物を、室温で4時間振盪し、10,000Gでの遠心分離によって20mlの通常の生理食塩水で2回洗浄し、次いで凍結乾燥した。別に、凍結乾燥した20mgの微小粒子を、TE緩衝液中で1mlの200μg/ml CpGとともに4時間インキュベートした。この混合物を、室温で4時間振動し、10,000Gでの遠心分離によって20mlのTE緩衝液で2回洗浄し、次いで凍結乾燥した。吸着した微小粒子のパーセントの測定の結果を、表11に表す。
【0122】
【表11】

(実施例15)
(界面活性剤およびPVAの組合せを使用して形成された微小粒子)
以下の手順を使用して、2つの界面活性剤(surfactant)(PVAおよび界面活性剤(detergent))を含む微小粒子を形成した:DCM中で10mlの5% PLGポリマーおよび0.2%の界面活性剤DOTAPを、12、000rpmで3分間、10mlの滅菌水とともに乳化して、一次w/oエマルジョンを形成した。このw/oエマルジョンを、40mlの0.8% PVAに添加し、そして3分間乳化して、二次w/o/wエマルジョンを形成し、このエマルジョンを、一晩攪拌して溶媒をエバポレートし、そして微小粒子を形成させた。この微小粒子を滅菌水中で2回洗浄し、そして凍結乾燥した。次いで、この微小粒子を、本発明に従う高分子の吸着のために準備ができている。
【0123】
同じ手順を利用して、PVAおよび界面活性剤DDAの組合せを含む微小粒子を形成した。
【0124】
(実施例16)
(吸着したp55 DNAを有する微小粒子の免疫原性)
微小粒子を、界面活性剤CTABまたはDDAを使用する、以前の実施例のように形成した。p55 DNAをこの微小粒子に吸着し、そして免疫原性を、以前の実施例に記載された手順を使用して評価した。この結果を、以下の表12に要約する。
【0125】
【表12】

(実施例17)
(吸着したルシフェラーゼDNAを有する微小粒子を使用するインビボルシフェラーゼ発現)
微小粒子を、PLGおよび界面活性剤CTABを使用する上記の手順を使用して形成した。ルシフェラーゼDNAを、以前に記載した方法を使用してこの微小粒子上に吸着させた。5μg用量のルシフェラーゼDNAを使用するインビトロルシフェラーゼ発現を、ルシフェラーゼDNA単独(1248pg)および微小粒子上に吸着したルシフェラーゼDNAを有する微小粒子(2250pg)を使用して測定した。インビボルシフェラーゼ発現を、以下のように、投与後1日目および14日目において筋肉中で測定した:2つの群のマウス(n=5)を、各々、50μgのルシフェラーゼプラスミドまたは50μgのPLG−CTAB−ルシフェラーゼDNA微小粒子のいずれかで注射した。両群のマウスに、2本の脚の前頸骨(TA)筋において筋肉内に注射した。2つの群における各マウス由来の両方のTA筋を、1日目および14日目のいずれかで収集し、そして−80℃フリーザー中に保存した。この筋肉を、ドライアイス上で乳鉢および乳棒を用いて粉砕した。粉末化筋肉を、0.5mlの1×Reporter Lysis緩衝液を含有するエッペンドルフチューブ中に収集した。このサンプルを、室温で15分間ボルテックスした。3回の凍結/融解後、このサンプルを、14,000rpmで10分間回転させた。各時点での各マウスのTA筋の上清をプールし、そしてこのサンプルの20μlを、ML3000(Dynatech)を使用して、ルシフェラーゼ発現のための増大したフラッシュ下でアッセイした。
【0126】
ルシフェラーゼ測定を、化学ルミネッセンスアッセイを使用して実施した。1×Reporter Lysis(Promega)中に1mg/mlのBSAを含有する緩衝液を、調製した。10mg/mlでのルシフェラーゼ酵素ストック(Promega)を基準物として使用し、500pg/20μlの濃度に希釈した。この基準物を、Microlite 2プレート(Dynatech)下へ連続的に1:2に希釈して、標準曲線を作製した。20μlのブランクおよびサンプルもまたこのプレート上に置き、そして連続的に1:2に希釈した。このプレートを、1ウェルあたり100μlのLuciferase Assay Reagent(Promega)を注入したML3000に置いた。増大したフラッシュ下において、相対光単位を、各サンプルについて測定した。
【0127】
この結果を、以下の表13において表にする。
【0128】
【表13】

(実施例18)
(閉じ込められた抗原を有する微小粒子の免疫原性に対する、吸着された抗原を有する微小粒子の免疫原性)
微小粒子を、以前の実施例において議論された手順を使用して調製した。次いで、E2タンパク質を、上記のようにこの微小粒子上に吸着させた。微小粒子をまた、上記のように、E2をこの微小粒子上に吸着させるのではなくこの微小粒子中に閉じ込めるように調製した。この微小粒子を、各々の型の微小粒子を用いる10匹のマウスの免疫後にIgG抗体を誘導する能力について評価した。各マウス由来の血清の相乗平均力価(GMT)を測定し、次いで、10匹の動物の群について平均した。標準誤差(SE)もまた算出した。FisherのPLSD(有意レベル5%)を、p=0.0006で測定した。この結果を、以下の表14に示す:この結果は、本発明の吸着された微小粒子を使用して体液性免疫応答が優位に誘導されることを明確に実証する。
【0129】
【表14】

(実施例19)
(その上にスレオニンを吸着したHCV E1E2タンパク質を有する微小粒子の免疫原性)
PLG−CTAB微小粒子を、以前の実施例において議論された手順を使用して調製した。C型肝炎ウイルス(HCV)由来のE1E2タンパク質を、この微小粒子上に吸着させた。この粒子を使用して、アジュバントミョウバンを用いてかまたは用いないで、10μgまたは100μgのタンパク質のいずれかを提供するために算出した微小粒子の用量でマウスを免疫した。相乗平均力価を測定し、そしてこの結果を以下の表15に示す。
【0130】
【表15】

この結果が示すように、微小粒子上に吸着したタンパク質を有する微小粒子は、10μg用量で優位な免疫応答を生じる。このことは、この微小粒子が、遊離のDNAがこのような応答を生じ得ない低用量において免疫応答を誘発することに有用であるという利点を有することを実証する。
【0131】
(実施例20)
(吸着されたp24gagタンパク質を有する微小粒子の免疫原性)
PLG−PVA微小粒子を、以前の実施例において議論された手順を使用して調製した。次いで、タンパク質p24gagを、上記のようにこの微小粒子上に吸着させた。この微小粒子を、10匹のマウスの免疫後にIgG抗体、IgG1抗体、およびIgG2a抗体を誘導する能力について評価した。2回目の免疫の2週間後(2wp2)および3回目の免疫の2週間後(2wp3)のマウスから収集した血清の相乗平均力価(GMT)を測定し、次いで、10匹の動物の群について平均した。平均誤差(SE)もまた算出した。結果を以下の表16に示す。この結果は、本発明の吸着した微小粒子を使用して体液性免疫応答が優位に誘導されることを明確に実証する。
【0132】
【表16】

(実施例21)
(p55 gagタンパク質および種々のアジュバントのIM免疫)
PLG/CTAB微小粒子、PLG/SDS微小粒子、およびPLG/PVA微小粒子を、先の実施例において上記されたように形成した。遊離の可溶性p55 gagを提供することに対する、微小粒子上に吸着させた抗原p55 gagタンパク質でマウスを免疫することの異なる効果を分析するため、そして同じく他の微小粒子上に吸着させるか、または遊離の可溶性形態で提供されるアジュバントCpG(CpGモチーフを有する20塩基長の一本鎖オリゴヌクレオチド)を有することの効果を決定するために、8つの群の微小粒子を作製した。この異なる群を、以下のように調製した。
【0133】
群1は、吸着CpGを有するPLG/CTAB粒子と混合した可溶性p55 gagタンパク質(2M尿素を有するtris/NaCl緩衝液中で、2mg/mlで酵母において生成された、組換えHIV p55タンパク質)を使用した。
【0134】
群2は、吸着CpGを有するPLG/CTAB粒子と混合した吸着p55 gagを有するPLG/SDS粒子を使用した。
【0135】
群3は、遊離CpGと混合した吸着p55 gagを有するPLG/SDS粒子を使用した。
【0136】
群4は、吸着p55 gagを有するPLG/SDS粒子を、アジュバントなしで使用した。
【0137】
群5は、吸着CpGを有するPLG/CTAB粒子と混合した、粒子中に閉じ込められたp55 gagを有するPLG/PVA粒子を使用した。
【0138】
群6は、コントロールであり、抗原を使用せず、そして可溶性CpGを使用した。
【0139】
群7は、別のコントロールであり、可溶性p55 gagタンパク質を使用し、そしてアジュバントを使用しなかった。
【0140】
群8は、別のコントロールであり、gag遺伝子を発現するワクシニアウイルス(vv gag)を単独で使用し、そしてアジュバントを使用しなかった。
【0141】
各群について、10匹のマウスを、群8を除いて(群8は、10×107pfuの投薬量で使用した)p55 gag抗原およびCpGアジュバントの投薬量が各々25μg(その群に存在する場合)になるように、十分な量の微小粒子または遊離分子で免疫した。免疫経路は、群8を除いてIMであった(群8は、IPであった)。免疫後、血清の抗p55 IgG力価を測定した。その結果を以下の表17において明らかにする、CTLによる標的の溶解もまた各群で測定した。その結果を以下の表18において明らかにする。
【0142】
【表17】

【0143】
【表18】

(実施例22)
(p55 DNAの吸着 対 閉じ込め)
吸着p55 DNAを有するPLG/CTAB微小粒子、および微小粒子中に閉じ込められたp55 DNAを有するPLG/CTAB微小粒子を、先の実施例において上記されたように形成した。マウスのIM免疫および抗体の誘導(血清の収集および分析)を、1回目の免疫の4週間後(4wp1)、および2回目の免疫の2、4、6、13、および15週間後(それぞれ、2wp2、4wp2、6wp2、13wp2、および15wp2)に、先の実施例において記載されたように実施した。以下の表19に示される結果は、閉じ込められたp55および遊離p55の両方に優る吸着微小粒子の明白な利点を実証する。
【0144】
【表19】

(実施例23)
(モルモットにおける免疫応答の微小粒子誘導)
吸着gp120 DNAを有するPLG/CTAB微小粒子を、先の実施例において上記のように形成した。他のサンプルは、以下の表20に示される通りである。そしてこれは、リン酸アルミニウムを伴うかまたは伴わない微小粒子、リン酸アルミニウムを伴うかまたは伴わない遊離の可溶性gp120のコントロール、およびgp120 DNAによってコードされるMF59タンパク質を含む。モルモットのIM免疫および抗体の誘導(血清の収集および分析)を、先の実施例において記載のように実施した。この結果を、以下の表20に示す。
【0145】
【表20】

(実施例24)
(p55 DNA吸着微小粒子での鼻腔内(IN)免疫)
吸着p55 DNAを有するPLG/CTAB微小粒子、および吸着p55 DNAを有するPLG/DDA微小粒子を、先の実施例において上記されたように形成した。25または100μgでのマウスのIN免疫、抗体の誘導(血清の収集および分析)、およびCTL誘導を、1回目の免疫の2および4週間後(2wp1、4wp1)、2回目の免疫の2および4週間後(2wp2、4wp2)、ならびに3回目の免疫の2および4週間後(2wp3、4wp3)に、先の実施例において記載のように実施した。コントロールは、可溶性p55 DNA単独での免疫、または10μgのコレラ毒素での免疫を含んだ。抗体誘導についての結果を表21に示す。そしてCTLによる溶解についての結果(4回目の免疫の4週間後)を、以下の表22に示す。
【0146】
【表21】

【0147】
【表22】

本発明の好ましい実施態様が幾分詳細に記載されたが、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、明白な改変がなされ得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−168392(P2010−168392A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58491(P2010−58491)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2000−561979(P2000−561979)の分割
【原出願日】平成11年7月29日(1999.7.29)
【出願人】(591076811)ノバルティス バクシンズ アンド ダイアグノスティックス,インコーポレーテッド (265)
【Fターム(参考)】