説明

吹奏楽器用クリーナー

【課題】生体に無害な食品添加物のみを用いた吹奏楽器用クリーナーを開発することを課題とする。
【解決手段】蔗糖脂肪酸エステルを主成分とし、プロピレングリコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、柿抽出液、シリコン樹脂、高度さらし粉、クエン酸等からなるクリーナーが有効であることを見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
吹奏楽器用クリーナーにおいて、生体に無害な食品添加物のみを用いたクリーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
楽器の掃除は演奏者にとって、気を使うがしかし大事な仕事の一つである。
従来の楽器の掃除に関する特許公報を調査したところ、例えば布を使用するなど物理的な掃除方法が主であった。また楽器そのものを汚れにくくするために、楽器に特殊な塗装を施す等の工夫を行ってきている。例えば、特開昭49−31588号公報(特許文献1)には、水に可溶化したロウ類を含有する表面処理剤を開発し、レザークリーナー、ガラスクリーナー、家具クリーナー、カークリーナーの他、楽器の洗浄つやだしにも利用できると記載されている。
しかしながら、口に咥える吹奏楽器にとって、ロウ類が口に入る危険性があり、人体への影響が危惧されるところである。
【特許文献1】特開昭49−31588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生体に無害な食品添加物のみを用いた吹奏楽器用クリーナーを開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、前期課題を解決するために鋭意研究した結果、蔗糖脂肪酸エステルを主成分とするクリーナーで解決できることを見出した。
すなわち、本発明は
(1)蔗糖脂肪酸エステルを主成分とする吹奏楽器用クリーナー、
(2)蔗糖脂肪酸エステル及び柿抽出液を主成分とする吹奏楽器用クリーナー、
(3)吹奏楽器がハーモニカであることを特徴とする(1)又は(2)記載の吹奏楽器用クリーナー
に関する。
【0005】
本発明のクリーナーの成分は、
蔗糖脂肪酸エステル 0.1 〜 5.0%
プロピレングリコール 0.1 〜 2.0%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1 〜 0.5%
柿抽出液 0.01 〜 0.5%
シリコン樹脂 0.001 〜 0.5%
高度さらし粉 0.001 〜 0.2%
クエン酸 0.01 〜 0.5%
精製水 全量を調整
100% 100%
であり、蔗糖脂肪酸エステルを主成分とするものである。
【0006】
本発明において吹奏楽器とは、ハーモニカ、鍵盤ハーモニカ、リコーダー、フルート、サックス、クラリネット、トランペット、トロンボーン、ピッコロ、オカリナ等を対象としている。
【0007】
本発明に用いられている各成分について詳説すると、蔗糖脂肪酸エステルはコーヒークリーム、アイスクリーム等の乳化剤として用いられており、またインスタント食品や醤油の分散剤、羊羹、チューインガム等の粘度調整剤、起泡剤、老化防止剤等食品分野では多用途を有する食品添加剤である。
【0008】
プロピレングリコールは、食品の安定性や品質を一定とするために用いられる品質保持剤であり、デヒドロ酢酸ナトリウムは、食品の保存料の一種である。
【0009】
柿抽出液は、植物フラボノイドを有している柿から抽出し加工した液体であり、特に加水分解に影響されないタンニンを多く含む柿渋から抽出したものである。この植物フラボノイド、すなわちタンニンには、悪臭を包み込んで持続効果のある消臭剤である。
【0010】
シリコン樹脂は、耐熱性、耐酸性が大きく、油性や水性の泡に対して強い消泡作用をもち、食品製造用の消泡剤として使用されている。
【0011】
高度さらし粉は、普通のさらし粉に比べ、有効塩素量が高く、水に溶かしたとき不溶性残渣が少なく、長期の保存に耐えることなどから、さらし粉に代わって使用されることが多い。食品添加物に指定されている。
【0012】
クエン酸は、有機酸の一種であるが、果実や野菜に存在し、爽快な酸味を呈する成分で、未熟のだいだい、レモン類には多く存在している。
【0013】
以上のように、本発明品はそれぞれの成分が食品に使用されており、従って体内に入ったとしてもなんら害を及ぼすものではないので、口に咥える管楽器のクリーナーとして好適である。
【0014】
なお、蔗糖脂肪酸エステル以外の成分については、同様の効果を有する食品添加物であれば代替使用することは可能である。
【0015】
本発明のクリーナーは、塗布しても良いし、噴霧しても良い。従って、クリーム状、エアゾル状であっても良い。また、液状であっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明品を吹奏楽器、特にハーモニカの汚れ落としに使用すると、本発明品が食品添加物主体であるため、体に害を及ぼすことなく汚れを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明をより具体的に説明するため、以下に実施例を示す。
【実施例1】
【0018】
本発明品の除菌効果につき、以下の要領で試験を行った。
保管温度:恒温槽設定 35℃±2℃
試験試料:本発明品、精製水
検査器具:大腸菌群用試験紙 (共立理科学研究所製)
ブドウ球菌用試験紙(サン化学製)
試験方法:大腸菌群用試験紙及びブドウ球菌用試験紙をシャーレに採る。
次いで、本発明品を全体に濡れる程度(1ml)に添加し、細菌が培養に適し
た温度35℃前後で20時間放置する。後に試験紙にある斑点の発色数を目
視にて計測し、除菌効果の有無を確認する。
判定方法:試験紙は、予め大腸菌群及びブドウ球菌を付着させた状態でフリーズドライ
化したもので、上記細菌に適した水分及び温度の持続(12〜20時間)で活
性化し繁殖する。
なお、試験紙の細菌が繁殖するにつれ、斑点が発生する。(陽性+)
また、除菌剤等により細菌が抑制された場合、試験紙に変化はない。
(陰性−)
細菌試験方法の指示通り細菌が活性に適した温度(35℃±2℃)に設定し、 20時間保管する。
塩素が添加される水道水は、使用せず純水またはイオン交換水を使用し、細
菌が活性しやすい状態とする。
細菌検出試験は、各2回行い斑点の数を計測する。
試験結果後、試験紙を写真にとり記録する。なお、試験紙は焼却処分とす
る。
【0019】
試験結果:
【表1】

結果: 本発明のクリーナーで除菌効果が認められた。
【実施例2】
【0020】
本発明品と他社製品とについて、油汚れ洗浄における効能・効果を比較・検討した。
測定環境 室温、湿度: 室温 平均23℃ 湿度 平均60%
比較検体: 本発明品 100ml
Y社楽器クリーナー 100ml
水道水
試験試料: 台所用換気扇ネット(1年間使用品)を縦1.5cm×横4.0
cmの長方形にカットしたもの
試験方法 油汚れ試験: 100mlビーカーに比較検体を10g取り試料をドブ漬け5
分間放置し、後に流水にて1分間洗浄し油汚れの除去を目視に
て確認。
判定基準:判定基準は以下の通り
5= 油汚れを除去しネットが白色に近くなる。
4= 5に比べ汚れが残っているが除去できる。
3= 油汚れ落ちは認められるが汚れが残っている。
2= 1に比べ多少の汚れが除去できる程度。
1= 油汚れ落しの効果が認められない。
【0021】
試験結果
【表2】

【0022】
表2から明らかなように、水道水でも、Y社クリーナーでも油汚れが残っているのに対して、本発明品は油汚れが除去できており、本発明品が他のクリーナーよりも汚れ除去により効果的であることが証明された。
【0023】
なお、この実施例で用いた本発明品の構成成分は
蔗糖脂肪酸エステル 0.5%
プロピレングリコール 0.5%
デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1%
柿抽出液 0.1%
シリコン樹脂 0.005%
高度さらし粉 0.01%
クエン酸 0.01%
精製水 98.775%
100%
であった。
【実施例3】
【0024】
実施例1及び実施例2で本発明品の汚れ落とし効果が確認できたので、実際にハーモニカに使用してみた。
ハーモニカを2時間吹いた後、本発明品のクリーナーでハーモニカの表面を拭いたところ、手垢等の汚れが綺麗に落とされた。
なお、他の吹奏楽器においても、同様に汚れ落とし効果を発揮した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔗糖脂肪酸エステルを主成分とする吹奏楽器用クリーナー。
【請求項2】
蔗糖脂肪酸エステル及び柿抽出液を主成分とする吹奏楽器用クリーナー。
【請求項3】
吹奏楽器がハーモニカであることを特徴とする請求項1又は2記載の吹奏楽器用クリーナー。

【公開番号】特開2008−24847(P2008−24847A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199829(P2006−199829)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(593084627)日本フイリン株式会社 (14)
【Fターム(参考)】